JP2002089467A - スクロール型流体機械 - Google Patents

スクロール型流体機械

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JP2002089467A
JP2002089467A JP2000272030A JP2000272030A JP2002089467A JP 2002089467 A JP2002089467 A JP 2002089467A JP 2000272030 A JP2000272030 A JP 2000272030A JP 2000272030 A JP2000272030 A JP 2000272030A JP 2002089467 A JP2002089467 A JP 2002089467A
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scroll
fluid machine
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type fluid
spiral wrap
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JP2000272030A
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Katsuhiro Fujita
勝博 藤田
Tetsuzo Ukai
徹三 鵜飼
Yasuji Maruiwa
保治 丸岩
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクロールの渦巻状ラップの先端部に設けら
れた溝内にバリが発生した場合においても、チップシー
ルは動作を妨げられることなく、シールの機能を果たす
ことができるスクロール型流体機械を提供する。 【解決手段】 チップシール(シール部材)13は、端
面に当接する面9dによって形成される周縁角部9gが
除去されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置や冷
凍装置等に用いられるスクロール型流体機械に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】空気調和装置や冷凍装置に用いられるス
クロール型流体機械は、固定スクロール、旋回スクロー
ル及び自転阻止機構を具備することで圧縮機構を構成し
ている。このスクロール型流体機械において、一方の固
定スクロールは、吸入管及び吐出管を接続したハウジン
グ内に固定支持された不動のスクロールである。他方の
旋回スクロールは、固定スクロールと上下または左右方
向に噛み合わされた状態で配置され、自転阻止機構によ
り自転を阻止されると共に、電動モータなどの駆動源と
連結されて、固定スクロールに対し公転旋回運動を行う
ものである。この旋回スクロールは、固定スクロールと
複数の接触点で接触して三日月状の圧縮室を形成し、同
圧縮室が外周側より容積を減少させながら内側へ移動す
ることにより、吸入・圧縮・吐出を同時に行うことがで
きる。
【0003】また、上述した固定スクロール及び旋回ス
クロールにおいては、それぞれの端板に立設された渦巻
状ラップの先端部に設けられたシール溝内にチップシー
ルと呼ばれるシール部材が収納されている。このチップ
シールは、相対的旋回運動を行う固定スクロール及び旋
回スクロールの渦巻状ラップ先端面において、それぞれ
が相手側スクロールの端板接触面に密接して低圧側と高
圧側との間をシールする機能を有している。図9に従来
の固定スクロールを示して簡単に説明する。図9の固定
スクロールは渦巻状ラップ側から見た平面図であり、図
中の符号100は固定スクロール、101は固定スクロ
ールの渦巻状ラップ、102はチップシール、103は
吐出ポートである。固定スクロールの端板104に立設
された固定スクロールの渦巻状ラップ101の先端面1
05には、シール溝を設けて渦巻状のチップシール10
2が収納されている。このチップシール102は全長に
わたって矩形の断面形状を有している。
【0004】図10に示すようにスクロール圧縮機構部
について、固定スクロール100の渦巻状ラップ101
の先端面105と旋回スクロール109の端板108に
は、スクロールの渦巻状ラップ等の加工誤差を吸収しス
ムーズな運転を行うように、設計的にクリアランスC1
が設定されている。通常、上記クリアランスC1は0.
01〜0.1mm程度に設定されている。さらに、固定
スクロール100の渦巻状ラップ101の先端面105
に設けられているシール溝106とチップシール102
の幅方向の寸法に関して設計的にクリアランスCsが設
定される。通常、上記クリアランスCsは0.01mm
〜0.2mm程度に設定される。このため、チップシー
ル102は軸方向へ自在に移動可能となっており、シー
ル溝106内の空間部107に導入した圧縮流体の圧力
を受けて、相手側スクロール(旋回スクロール109)
の端板108に対しシール面を密着させて摺動部のシー
ルをするものである。以上、固定スクロール100の渦
巻状ラップ101の先端面105に設置されるチップシ
ール102について説明したが、旋回スクロール109
にも同様にチップシール102aが設けられている。
【0005】また、上記チップシール102、102a
はカーボンを含む耐熱耐磨耗性樹脂の成形品が好適であ
り、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイト樹
脂)製の射出成形品が多く使用されている。このため、
チップシール102、102aはある程度の剛性が確保
され、シール性が向上するとともに、耐磨耗性に優れて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のスクロール型流体機械においては、何らかの理由で
システムに封入されている冷媒の量が少なくなった時な
ど、圧縮室内が過度に高温となり、その熱によって、ス
クロール部材が高温にさらされる場合がある。これによ
り渦巻状ラップは熱膨張し、スクロールの渦巻状ラップ
の先端面と相手側スクロールの端板とが接触した状態で
運転されることがある。言い換えれば、前記クリアラン
スC1が消滅する。その結果、最悪の場合、スクロール
の渦巻状ラップの先端面と相手側スクロールの端板との
間に磨耗、凝着等が生じ、チップシールを収納するシー
ル溝を形成する開口先端部の角部が塑性変形して、シー
ル溝内へ突出するいわゆるバリが発生することがある。
その後、このスクロール型流体機械が通常の運転に戻
り、渦巻状ラップが通常の状態に収縮した場合、図11
に示すようにシール溝106内に収納されたチップシー
ル102はバリ110に動作を妨げられる。すなわち、
前記のように、チップシール102はシール溝106と
のクリアランスCsが0.01mm〜0.2mmという
非常に小さい値で設定されているため、わずかな大きさ
(Cs程度)のバリ110が発生した場合についても、
チップシール102がシール溝106内に完全に収納さ
れた状態のままで、チップシール102の移動を妨げる
ために、チップシール102は相手側スクロールの端面
108へと移動して当接することができず、シールの機
能を果たさなくなる。このため、渦巻状ラップの先端面
101と相手側スクロールの端板108との間に隙間が
生じるので、圧縮された高圧の冷媒ガスは低圧側へ漏洩
し、著しく圧縮機の性能を低下させる問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、スクロールの渦巻状ラップの先端部に設けられ
た溝内にバリが発生した場合においても、チップシール
は動作を妨げられることなく、シールの機能を果たすこ
とができるスクロール型流体機械を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のスクロール型流
体機械は、ハウジング側に固定された固定スクロール
と、該固定スクロールに向かい合って噛み合うように設
置されるとともに前記固定スクロールに対して旋回する
旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールおよび前
記旋回スクロールはそれぞれ端板とその内面に立設され
た渦巻状ラップとを有し、該両渦巻状ラップの先端部に
設けられた溝内に収納されるとともに相手側スクロール
の端面に当接するシール部材を備えたスクロール型流体
機械において、前記チップシールは、前記端面に当接す
る面によって形成される周縁角部が除去されていること
を特徴とする。
【0009】このスクロール型流体機械においては、ス
クロールの渦巻状ラップの先端部に設けられた溝内に収
納されるシール部材は、相手側スクロールの端面に当接
する面によって形成される周縁角部が除去されているの
で、溝を形成する開口先端部の角部にいわゆるバリが発
生しても、シール部材はバリによって動作を妨げられる
ことなくシールの機能を果たすこととなる。チップシー
ルは、前記のようにたとえばPPS(ポリフェニレンサ
ルファイト樹脂)製の射出成形品が多く使用されてい
る。このような場合には、周縁角部を除去するに際し
て、射出型をそのように成形すればよく、従来のものに
対して、製造コストの上昇はほとんどない。
【0010】さらにシール部材は、前記端面に当接する
面によって形成される周縁角部のうち、外周側が除去さ
れていることを特徴とする。
【0011】圧縮室は中央部が高圧で外周側ほど低圧と
なっている。従って、シール部材は、圧縮流体の圧力に
より内周側から外周側へと押されて、収納される溝内に
おいて外周側に位置することになり、溝を形成する開口
先端部の外周側に発生したバリによって動作を妨げられ
易い。従って、このシール部材は、外周側が除去されて
いるので、溝を形成する開口先端部の外周側角部にいわ
ゆるバリが発生しても、シール部材はバリによって動作
を妨げられることなくシールの機能を果たすこととな
る。また、周縁角部のうち、外周側のみが除去されてい
るので、周縁角部の内周側および外周側ともに除去され
ている場合に比べて、シール部材が相手側スクロールの
端板と当接する面積が大きくなるので、シール面が十分
に確保されることとなる。
【0012】さらに本発明のスクロール型流体機械は、
前記周縁角部は、面取りされていることを特徴とする。
【0013】このスクロール型流体機械においては、周
縁角部は面取り形状とされているので、容易に加工され
ることとなる。
【0014】さらに本発明のスクロール型流体機械は、
前記シール部材は、前記両渦巻状ラップのうち、高さが
高い方に設けられていることを特徴とする。
【0015】前記のように、スクロールの渦巻状ラップ
の先端面と相手側スクロールの端板には、スクロールの
渦巻状ラップ等の加工誤差を吸収しスムーズな運転を行
うように、設計的にクリアランスが設定されている。さ
らに、旋回スクロールおよび固定スクロールの渦巻状ラ
ップの高さを違えて形成することがある。つまり、両ス
クロールの渦巻状ラップの高さについて、設計的に0.
01mm〜0.2mm程度、どちらか一方を高く成形し
ている。言い換えると、スクロールの渦巻状ラップの先
端面と相手側スクロールの端板との間に設計的に設ける
クリアランスは、固定スクロールの渦巻状ラップと旋回
スクロールの端板との間のクリアランスと、旋回スクロ
ールの渦巻状ラップの先端面と固定スクロールの端板と
の間のクリアランスがそれぞれ存在し、どちらかのクリ
アランスが上記ラップの高さ相違分少なく設定する場合
がある。上記構造を採用した場合、渦巻状ラップの高さ
が高いスクロールが、低い方よりも先に相手側のスクロ
ールの端板に接触することになる。このため、シール部
材を収納する溝を形成する開口先端部の角部にバリが発
生するのは、渦巻状ラップの高さが高いスクロールであ
り、渦巻状ラップの高さが低いスクロールは相手側スク
ロールに接触するは高さが高いスクロールに比べて少な
い。そこで、本発明では、、相手側の端板に接触する渦
巻状ラップの高さが高いスクロールにシール部材を設け
ることとした。
【0016】さらに本発明のスクロール型流体機械は、
前記周縁角部が、中心から少なくとも略一巻きの位置ま
で連続的に除去されていることを特徴とする。
【0017】両スクロール部材により形成される圧縮室
は、中央部ほど高温高圧で、外側ほど低温低圧の状態に
なっている。このため、シール部材を収納する溝を形成
する開口先端部の角部にバリが発生しやすいのはスクロ
ールの中央側である。従って、このスクロール型流体機
械においては、もっともバリが生じやすいシール部材の
中心から少なくとも略一巻きの位置までについて、周縁
角部を連続的に除去することとした。
【0018】さらに本発明のスクロール型流体機械は、
前記旋回スクロールおよび前記固定スクロールのうち、
少なくとも一方のスクロールに対し、相手側スクロール
との摺動面に凝着防止のための表面処理が施されている
ことを特徴とする。
【0019】このスクロール型流体機械においては、旋
回スクロールおよび固定スクロールのうち、少なくとも
一方のスクロールに対し、相手側スクロールとの摺動面
に凝着防止のための表面処理が施されているので、凝着
により発生するバリの量は低減され、シール部材はバリ
によって動作を拘束されることなくシールの機能を果た
すこととなる。
【0020】さらに本発明のスクロール型流体機械は、
前記凝着防止のための前記表面処理が施される前記旋回
スクロールおよび前記固定スクロールはアルミ製とされ
ており、前記凝着防止のための表面処理は、硬質被膜処
理とされていることを特徴とする。
【0021】このスクロール型流体機械においては、ア
ルミ製のスクロールの先端面には凝着防止のための表面
処理として硬質被膜処理が施されている。すなわち、硬
質被膜処理を施すことにより、渦巻状ラップの先端面は
通常のアルミ製のものと比べて表面硬化され、相手側端
板との接触時において潤滑性が向上する。従って、この
硬質被膜処理が施された渦巻状ラップの先端面では、凝
着により発生するバリの量が著しく低減され、シール部
材はバリによって動作を妨げられることなくシールの機
能を果たすこととなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るスクロール型
流体機械の一実施形態として、図1にスクロール型圧縮
機を示して説明する。このスクロール型圧縮機1は、有
底筒形状のハウジング2と、該ハウジング2内部の上部
にフレーム3で支持されたスクロール型圧縮機構4と、
該スクロール型圧縮機構4の下方、すなわちハウジング
2内部の下部にフレーム3で支持して配設された駆動手
段のモータ5とを備え、該モータ5の回転シャフト6
が、スクロール型圧縮機構4の下部に連結されている。
【0023】前記ハウジング2は、筒部2aの下端及び
上端が底部2b及び蓋部2cでそれぞれ閉塞状態とさ
れ、筒部2aには吸入管7が内部と貫通状態に接続され
るとともに、蓋部2cには吐出管8が内部に突出状態に
接続された閉空間を形成している。前記スクロール型圧
縮機構4は、フレーム3を介してハウジング2側に固定
された固定スクロール9と、フレーム3と固定スクロー
ル9との間にスラスト軸受10を介して公転旋回運動が
可能に支持された旋回スクロール11と、該旋回スクロ
ール11の外面に設けられ旋回スクロール11の公転旋
回運動を許容しながらその自転を阻止する周知のオルダ
ムリンク等よりなる自転阻止機構12とを備えている。
【0024】前記固定スクロール9は、端板9aと、該
端板の内面に立設された渦巻き状の渦巻状ラップ9b
と、固定スクロール9の端板9aの周縁部に形成された
円筒状の周壁部9cとを備え、固定スクロール9の渦巻
状ラップ9bの先端部にはシール溝が形成されており、
該シール溝内には弾性を有するチップシール13が収納
されている。このチップシール13にはカーボンを含む
耐熱耐摩耗性樹脂の成型品が好適であり、たとえばPP
S(ポリフェニレンサルファイト樹脂)製を採用してい
る。前記固定スクロール9の端板9aには、その中央部
に吐出ポート14が上下に貫通状態に形成されるととも
に、その上面には吐出ポート14を開閉する吐出弁15
が設けられている。
【0025】また、前記周壁部9cの上端には、キャビ
ティ蓋部16が気密状態に固定されて、内部に吐出キャ
ビティ17が形成されている。キャビティ蓋部16に
は、吐出管8の開口端が貫通状態に固定され、吐出管8
と吐出キャビティ17とが接続されている。また、周壁
部9cには、固定スクロール9の端板9a内面側とハウ
ジング2側とを連通する吸入通路18が形成され、該吸
入通路18は、固定スクロール9と旋回スクロール11
との間に形成される吸入室19に接続される。
【0026】前記旋回スクロール11は、前記固定スク
ロール9の端板9aに対向状態に配された端板11a
と、該端板11aの内面に立設されるとともに、固定ス
クロール9の渦巻状ラップ9bと噛み合わされた渦巻き
状の渦巻状ラップ11bとを備え、該旋回スクロール1
1の渦巻状ラップ11bの先端面には固定スクロール9
の渦巻状ラップ9bと同様にPPS製などのチップシー
ル13が収納されている。前記旋回スクロール11の端
板11aには、その外面に円筒形状のボス20が軸線を
同じくして立設され、該ボス20の内部には、ブッシュ
21が旋回軸受22を介して回転可能に収納されてい
る。また、該ブッシュ21には、その内部に軸線から偏
心した貫通孔21aが形成されている。
【0027】固定スクロール9と旋回スクロール11と
は、互いに所定の距離だけ偏心した状態で、固定スクロ
ール9の渦巻状ラップ9bと旋回スクロール11の渦巻
状ラップ11bとの互いの側面が複数個所で線接触する
ように180度の位相差をもって噛み合わされている。
また、この状態で、固定スクロール9の渦巻状ラップ9
b及び旋回スクロール11の渦巻状ラップ11bのチッ
プシール13がそれぞれ旋回スクロール11の端板11
a及び固定スクロール9の端板9aの内面に密接して、
図2に示すように、固定スクロールの渦巻状ラップ9b
と旋回スクロールの渦巻状ラップ11bの中心に対して
点対称の位置関係となる複数個所に密閉空間となる圧縮
室Pが形成される。なお、旋回スクロール11は、周知
のオルダムリンク23を備えた自転阻止機構12によっ
て、フレーム3及び同フレーム3に固定された固定スク
ロール9に対して、自転が阻止された状態で公転旋回運
動可能に配設されている。
【0028】次に、上記構成のスクロール圧縮機1のお
けるガス(流体)の圧縮方法について説明する。モータ
5を駆動することにより、回転シャフト6の回転が偏心
ピン26、ブッシュ21、旋回軸受22及びボス20を
介して旋回スクロール11に伝達されるとともに、旋回
スクロール11が自転阻止機構12によって自転が阻止
された状態で固定スクロール9に対して公転旋回運動を
行う。このとき、ガスは、吸入管7からハウジング2内
に供給されるとともにモータ5を冷却し、さらに通路3
c、吸入通路18及び吸入室19を経て圧縮室Pへと供
給される。
【0029】そして、圧縮室P内のガスは、旋回スクロ
ール11の上記公転旋回運動による圧縮室Pの容積縮小
に伴い、圧縮されながら中央部に移送される。このよう
にして、さらに圧縮されたガスは、吐出ポート14から
吐出弁15を押し開けて吐出キャビティ17内に排出さ
れ、該吐出キャビティ17から吐出管8によって外部へ
と排出される。
【0030】また、底部2bに貯留された潤滑油31
は、潤滑油ポンプ30によって吸い上げられるとともに
油通路29内を通って偏心ピン26先端から出され、偏
心ピン26、ブッシュ21、旋回軸受22、スラスト軸
受10、下部軸受25及び自転阻止機構12等を潤滑す
る。この後、潤滑油31は、室27から排油孔3bを介
してハウジング2の底部2bに戻されて貯留される。
【0031】上述した構成のスクロール型圧縮機におい
て、本発明のシール部材は、相手側スクロールの端面に
当接する面によって形成される周縁角部が除去されてい
る。これを図3に示す実施形態に基づいて説明する。図
3において、符号9bは固定スクロールの渦巻状ラッ
プ、9eはシール溝、11aは旋回スクロールの端板、
13はチップシールである。チップシール13の端面に
当接する面9dによって形成される周縁角部9g(図に
おいて点線で示す。)は面取りされている。ここで、本
実施形態において、シール溝9eとチップシール13の
幅方向クリアランスCsは、加工誤差を考慮し設計的に
0.01mm〜0.2mmの幅で構成されている。ま
た、面取りは、C0.5程度で構成されている。従っ
て、上述したようにチップシール13を収納するシール
溝9eを形成する開口先端部9hの角部が凝着していわ
ゆるバリ9fが発生した場合においても、バリ9fの幅
方向長さLeが少なくとも0.5mm程度以下の場合、
チップシール13はバリ9fに引っ掛かることなくシー
ル溝9e内を旋回スクロールの端面11a側に移動し、
旋回スクロールの端面11aに当接する。従って、チッ
プシール13は低圧側と高圧側との間をシールすること
となる。なお、本実施形態では面取りの大きさをC0.
5程度で構成したが、実質的にはCs以上であるC0.
2以上で効果を発揮する。一方、チップシール幅の概略
1/4以上の場合、チップシールが相手側スクロール
(旋回スクロール)の端板と当接する面積が小さくなる
ため、シール面が十分確保されず性能低下が見られる。
従って、面取り、すなわち周縁角部の除去の大きさとし
てはCs以上、チップシール幅の1/4以下が好適であ
る。
【0032】次に、本実施形態の他の特徴部分を図4に
示す。図4に示すスクロール型圧縮機において、固定ス
クロール9の渦巻状ラップ9bの高さ(L2)は、旋回
スクロール11の渦巻状ラップ11bの高さ(L1)よ
りもわずかに大きくされている。このため、本実施形態
においては固定スクロール9の渦巻状ラップ9bの先端
面9iと旋回スクロール11の端板11aとの間のクリ
アランスC1と、旋回スクロール11の渦巻状ラップ1
1bの先端面11cと固定スクロール9の端面9aとの
間のクリアランスC2との相関は、クリアランスC2>
クリアランスC1となる。本実施形態では、クリアラン
スC2は0.02mmから0.1mm程度で設定されて
おり、クリアランスC1は常にクリアランスC2よりも
0.01mm程度小さくなるように設定されている。従
って、圧縮室が高温になり渦巻状ラップが膨張した場
合、旋回スクロール11の渦巻状ラップ11bが固定ス
クロール9の端板9aに接触する前に、固定スクロール
9の渦巻状ラップ9bが旋回スクロール11の端板11
aに接触することになるので、固定スクロール9の渦巻
状ラップ9bのシール溝9eを形成する開口先端部の角
部が変形し、固定スクロール9の渦巻状ラップ9bに設
けられたシール溝9eを形成する開口先端部の角部にバ
リ9fが発生する。しかし、固定スクロール9の渦巻状
ラップ9bの先端部に設けられたチップシール13の周
縁角部は除去されているので、チップシール13はバリ
9fに引っ掛かることなくシール溝9e内を旋回スクロ
ール11の端面11a側に遊動し、旋回スクロール11
の端面11aに当接する。従って、チップシール13は
低圧側と高圧側との間をシールすることとなる。
【0033】さらに、本実施形態の他の特徴部分を図5
に示す。チップシール13は、図5に示すごとく渦巻状
ラップの略中心からラップの巻終り角度付近まで設けら
れている。しかし、両スクロールにより形成される圧縮
室は、中央部ほど高温高圧で、外側ほど低音低圧の状態
であるので、シール溝を形成する開口先端部の角部が凝
着し、バリが発生しやすいのはスクロールの中央側であ
る。従って、図5に矢印で示すチップシールの中心から
少なくとも略一巻き(360度)の位置までの周縁角部
を連続的に除去していれば、チップシール13は、スク
ロールの中央側に発生したバリによって動作を妨げられ
ることなくシールの機能を果たすこととなる。
【0034】また、本実施形態では固定スクロールおよ
び旋回スクロールともにアルミ製とされており、固定ス
クロールの渦巻状ラップの先端面は硬質被膜処理が施さ
れている。硬質被膜処理を施すことにより、渦巻状ラッ
プの先端面は通常のアルミ製のものと比べて表面硬化さ
れ、相手側端板との接触時において潤滑性が向上する。
従って、この硬質被膜処理が施された渦巻状ラップの先
端面に凝着により発生するバリの量は著しく低減されこ
ととなる。もちろん、渦巻状ラップ全体に硬質被膜処理
を施してもよい。ここで、硬質被膜処理とは、陽極酸化
被膜処理、いわゆるアルマイト処理、または、このアル
マイト処理を施したものにテフロン(登録商標)等の潤
滑性樹脂を含浸させたもの、更にはニッケル−リンメッ
キ処理等を施したもの等を意味する。
【0035】上記構成のスクロール型流体機械によれ
ば、チップシールを収納するシール溝を形成する開口先
端部の角部にバリが発生し場合において、チップシール
はバリによって動作を妨げられることなくシールの機能
を果たすことになるので、従来のスクロール型流体機械
のように圧縮された高圧の冷媒ガスは低圧側へ漏洩する
ことはない。すなわち効率のよいスクロール型流体機械
が実現できる。
【0036】本実施形態では、チップシールの周縁角部
を除去する具体的手段として、最も容易に加工できる面
取りで行ったが、本発明はこれに限定されない。図6に
示すようにチップシール13の周縁角部を円弧9jとす
る構成としてもよいし、図7に示すようにチップシール
13を凸形状として、本発明の作用・効果を奏すること
ができる。つまり、シール溝9eを形成する開口先端部
の角部に発生するバリ9fにより動作が妨げられない形
状であればよく、上記の構成はもちろんのこと、これら
と均等とみなせる構成を本発明は包含する。
【0037】また、本実施形態では、チップシールの1
3の端面に当接する面によって形成される周縁角部の外
周側および内周側の周縁角部が面取りされている。この
変形例として図8に示すようにチップシール13の端面
11aに当接する面によって形成される周縁角部のう
ち、外周側の周縁角部のみを面取りしてもよい。すなわ
ち、このスクロール型圧縮機は中央部が高圧で外側ほど
低圧である。このため、シール溝9eの幅(図において
横方向)が大きい場合チップシール13は外側(図にお
いて右側)に位置する。この場合、シール溝9eを形成
する開口先端部の角部の外側に発生したバリ9fによる
チップシール13の動作の妨げを回避できればよい。従
って、チップシール13の外周側の周縁角部のみを除去
することにより、バリ9fによるチップシール13の動
作の妨げを防止し、チップシール13はシールの機能を
果たすことができる。また、この場合は、チップシール
13の周縁角部のうち、外周側のみの除去であるので、
内周側の周縁角部はシール面として作用させることがで
き、確実なシールが行える。
【0038】さらに、本実施形態では、固定スクロール
の渦巻状ラップの高さが、旋回スクロールの渦巻状ラッ
プの高さよりも高い構成としているが、旋回スクロール
の渦巻状ラップの高さを固定スクロールの渦巻状ラップ
の高さよりも高くしてもよい。この場合、旋回スクロー
ルの渦巻状ラップの先端部に設けられたシール溝内に収
納されるチップシールは、固定側端面に当接する面によ
って形成される周縁角部が除去されることになる。
【0039】なお、上述した本発明は、実施形態として
図面に基づいて説明した密閉縦形のスクロール圧縮機の
他にも、開放型や横形のスクロール型圧縮機及びスクロ
ール型流体機械にも適用可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明のスクロール型流体機械によれ
ば、シール部材の周縁角部を除去することとしたので、
製造コストを増大させることなく、スクロールの渦巻状
ラップの先端部に設けられた溝内にバリが発生した場合
においても、シール部材は動作を妨げられることなく、
シールの機能を果たすことができるので、効率のよいス
クロール型流体機械が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スクロール型流体機械の一例としてスクロー
ル型圧縮機の構成を示す断面図である。
【図2】 固定スクロールの渦巻状ラップと旋回スクロ
ールの渦巻状ラップの関係を示す説明図である。
【図3】 本発明に係るスクロール型流体機械の一実施
形態を示す図で、要部を示す拡大図である。
【図4】 本発明に係るスクロール型流体機械の一実施
形態を示す図で、要部を示す拡大図である。
【図5】 本発明に係るスクロール型流体機械の一実施
形態を示す図で、要部を示す拡大図である。
【図6】 実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図7】 実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図8】 実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図9】 従来例として固定スクロールを渦巻状ラップ
側から見て示す平面図である。
【図10】 従来のスクロール型流体機械の要部を示す
断面図である。
【図11】 従来のスクロール型流体機械の問題点を示
す拡大図である。
【符号の説明】
2 ハウジング 9 固定スクロール 9a 固定スクロールの端板 9b 固定スクロールの渦巻状ラップ 9e シール溝(溝) 9g 周縁角部 11 旋回スクロール 11a 旋回スクロールの端板 11b 旋回スクロールの渦巻状ラップ 13 チップシール(シール部材)
フロントページの続き (72)発明者 丸岩 保治 愛知県名古屋市中村区岩塚町字高道1番地 三菱重工業株式会社名古屋研究所内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA14 AB03 BB16 BB31 CC03 CC05 CC19 CC38 3H039 AA03 AA04 AA12 BB07 BB15 CC02 CC03 CC05 CC31 CC35 CC36

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング側に固定された固定スクロー
    ルと、該固定スクロールに向かい合って噛み合うように
    設置されるとともに前記固定スクロールに対して旋回す
    る旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールおよび
    前記旋回スクロールはそれぞれ端板とその内面に立設さ
    れた渦巻状ラップとを有し、該両渦巻状ラップの先端部
    に設けられた溝内に収納されるとともに相手側スクロー
    ルの端面に当接するシール部材を備えたスクロール型流
    体機械において、 前記シール部材は、前記端面に当接する面によって形成
    される周縁角部が除去されていることを特徴とするスク
    ロール型流体機械。
  2. 【請求項2】 前記端面に当接する面によって形成され
    る周縁角部のうち、外周側が除去されていることを特徴
    とする請求項1に記載のスクロール型流体機械。
  3. 【請求項3】 前記周縁角部は、面取りされていること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクロー
    ル型流体機械。
  4. 【請求項4】 前記シール部材は、前記両渦巻状ラップ
    のうち、高さが高い方に設けられていることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスクロール
    型流体機械。
  5. 【請求項5】 前記周縁角部が、中心から少なくとも略
    一巻きの位置まで連続的に除去されていることを特徴と
    する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスクロー
    ル型流体機械。
  6. 【請求項6】 前記旋回スクロールおよび前記固定スク
    ロールのうち、少なくとも一方のスクロールに対し、相
    手側スクロールとの摺動面に凝着防止のための表面処理
    が施されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のいずれかに記載のスクロール型流体機械。
  7. 【請求項7】 前記旋回スクロールおよび前記固定スク
    ロールはアルミ製とされており、前記凝着防止のための
    前記表面処理は、硬質被膜処理とされていることを特徴
    とする請求項6に記載のスクロール型流体機械。
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