JP2002086580A - プラスチックチューブ製造装置、及び該装置を用いたプラスチックチューブの製造方法 - Google Patents

プラスチックチューブ製造装置、及び該装置を用いたプラスチックチューブの製造方法

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JP2002086580A
JP2002086580A JP2000276502A JP2000276502A JP2002086580A JP 2002086580 A JP2002086580 A JP 2002086580A JP 2000276502 A JP2000276502 A JP 2000276502A JP 2000276502 A JP2000276502 A JP 2000276502A JP 2002086580 A JP2002086580 A JP 2002086580A
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孝啓 梶谷
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Yoshihiro Tange
善弘 丹下
Hideaki Matsuda
▲ひで▼明 松田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】大口径のプラスチックチューブの内表面処理を
実施する場合でもチューブ内部で安定な大気圧グロー放
電プラズマ発生領域を確保することができるプラスチッ
クチューブ製造装置を提供すること。 【構成】環状ダイスを備えた押出機2、引き取り手段
3、高圧側電極4、接地側電極5、高圧側電極4、高周
波電源6、ガス供給ライン7を備え、運転時、高圧側電
極4、接地側電極5間に高周波電源6から高圧交流電圧
を印可することによりチューブ内に大気圧グロー放電プ
ラズマを発生させることができ、更に、運転時チューブ
内に位置し、その外周表面にスぺーサー9が運転時プラ
ズマ発生領域におけるガスの流れを遮断しないように取
り付けられている安定部材8を備えた装置であって、チ
ューブと安定部材8間にプラズマ発生領域を確保できる
構造となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、大気圧グロー放電
プラズマにより内表面が処理されたプラスチックチュー
ブを製造できる装置、ならびに同装置を用いた内表面が
処理されたプラスチックチューブの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、大気圧下でグロー放電プラズマを
発生させる技術が開発され、様々な用途で利用されてい
る。この技術は、一定の間隔を以て対向する高圧側電極
と接地側電極間に形成される放電部に、ヘリウムのよう
な大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを大気圧もしく
は大気圧近傍圧力下で導入すると共に、前記電極間に高
圧交流電圧を印可することにより前記放電部に大気圧グ
ロー放電プラズマを発生させるものである。
【0003】このような大気圧グロー放電プラズマを用
いて表面改質や薄膜形成等の表面処理を行なう方法は、
従来行われてきた真空下でのプラズマ処理と比べ、低圧
雰囲気の形成や圧力制御用の装備を必要としない。この
ため、フィルムやシートのような大面積の処理を連続的
に行なう必要がある分野において好適に用いられてい
る。このような処理を行なう場合の大気圧グロー放電プ
ラズマ発生領域を形成する方法として、電極に多数の通
気孔を設け、この通気孔より大気圧グロー放電プラズマ
発生用ガスを供給したり、被処理材料を導入・搬出する
ための最低限の開口部を有するチャンバーで処理領域を
囲い、その領域へ大気圧グロー放電プラズマ発生用ガス
を連続的に供給することが提案されている。
【0004】しかし、このような方法では、ヘリウム等
の高価な大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを常時導
入し続けなければならず、コストが高くつくため、汎用
のプラスチックフィルム等の表面処理には利用されてい
ないのが現状である。このため、より簡便で、コストが
低く、応用範囲の広い大気圧グロー放電プラズマ表面処
理法の開発が望まれてきた。
【0005】一方、大気圧グロー放電プラズマによるプ
ラスチックチューブ内面の連続処理技術として、特開平
5−202481号公報あるいは特開平8−57038
号公報には、プラスチックチューブ内にその一端部から
大気圧近傍の圧力下において、大気圧グロー放電プラズ
マ発生用ガスと、処理ガスとの混合ガスを連続的に導入
しつつ、高圧側電極と接地側電極間に高圧交流電圧を印
可し大気圧グロー放電プラズマ処理を行なう方法が開示
されている。しかしながら、これらの方法では、大口径
のプラスチックチューブの内表面処理を実施する場合に
は、少しでもプラスチックチューブの揺れがあるとプラ
スチックチューブ内部において安定な大気圧グロー放電
プラズマ発生領域を確保することが難しいという問題が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を解決するためになされたもので、大気圧グロー
放電プラズマを利用してプラスチックチューブ内面を処
理するにあたり、大口径のプラスチックチューブの内表
面処理を実施する場合でもプラスチックチューブ内部で
の安定な大気圧グロー放電プラズマ発生領域を確保する
ことができるプラスチックチューブ製造装置を提供する
ことを目的とする。さらに、同装置を用いたプラスチッ
クチューブの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行った。この結果、運転時においてプラスチックチュー
ブ内に位置するプラスチックチューブ安定部材(8)を
装備し、しかも該プラスチックチューブ安定部材(8)
の外周表面に一定の厚みを有するスぺーサーが、運転時
大気圧グロー放電プラズマ発生領域におけるガスの流れ
を確保できる状態で取り付けられているプラスチックチ
ューブ製造装置が上記課題を解決するにあたり好適なも
のであることを見いだし本発明を完成するに至った。す
なわち本発明は、 [1]・環状ダイスを備えた押出機(2)、 ・環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチッ
クチューブを所定の速度で引き取るための引き取り手段
(3)、 ・高圧側電極(4)、 ・接地側電極(5)、 ・高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高圧交流電
圧を印可するための高周波電源(6)、 ・運転時、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプ
ラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマ発生
用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給す
るためのガス供給ライン(7)、を備え、運転時、高圧
側電極(4)、接地側電極(5)間に高周波電源(6)
から高圧交流電圧を印可することによりプラスチックチ
ューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生させること
ができ、更に、 ・運転時プラスチックチューブ内に位置し、その外周表
面に一定の厚みを有するスぺーサー(9)が、運転時大
気圧グロー放電プラズマ発生領域におけるガスの流れを
確保できる状態で取り付けられているプラスチックチュ
ーブ安定部材(8)、を備えた装置であって、運転時プ
ラスチックチューブが該スぺーサー(9)によりプラス
チックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動す
ることで、プラスチックチューブとプラスチックチュー
ブ安定部材(8)間に大気圧グロー放電プラズマ発生領
域を確保できる構造となっていることを特徴とするプラ
スチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0008】[2]さらに好ましくは、プラスチックチ
ューブ安定部材(8)が大気圧グロー放電プラズマ発生
領域を除いた領域のガスの流れを概ね遮断する構造であ
ることを特徴とする上記のプラスチックチューブ製造装
置を提供するものである。
【0009】[3]さらに好ましくは、運転時、環状ダ
イスから押し出され冷却固化されたプラスチックチュー
ブ内にガス供給ライン(7)を通じて供給されるガスを
排出するためのガス排出ライン(10)を更に備えるこ
とを特徴とする前記いずれかのプラスチックチューブ製
造装置を提供するものである。
【0010】[4]さらに好ましくは、ガス供給ライン
(7)のガス噴き出し口とガス排出ライン(10)のガ
ス吸入口が、運転時プラスチックチューブ内に発生する
大気圧グロー放電プラズマ発生領域によって隔絶される
ごとく配されていることを特徴とする上記のプラスチッ
クチューブ製造装置を提供するものである。
【0011】[5]さらに、引き取り手段(3)が、ニ
ップロールであることを特徴とする前記いずれかのプラ
スチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0012】[6]さらに、スぺーサー(9)が、プラ
スチックチューブ安定部材(8)の外周に沿って連続し
た螺旋状に、あるいは、部分的に途切れ部を有する螺旋
状に取り付けられていることを特徴とする前記いずれか
のプラスチックチューブ製造装置を提供するものであ
る。
【0013】[7]また、前記いずれかに記載のプラス
チックチューブ製造装置を用いて、環状ダイスから押し
出されるプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プ
ラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガ
スを供給し、高周波電源(6)により高圧側電極(4)
と接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可し、プラス
チックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生さ
せ、プラスチックチューブの内面を処理することを特徴
とする内面処理プラスチックチューブの製造方法を提供
するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における大気圧グロー放電
プラズマ処理(以下、大気圧グロー放電プラズマ処理を
単にプラズマ処理と、大気圧グロー放電プラズマを単に
プラズマと称することがある)とは、大気圧グロー放電
プラズマ発生用ガスのみにより発生させたプラズマによ
る表面の物理的及び化学的改質、大気圧グロー放電プラ
ズマ発生用ガスに目的に応じた処理ガスを少量添加する
ことにより発生させたプラズマによる表面の物理的及び
化学的改質等の各プラズマ処理、及びプラズマCVD、
プラズマグラフト重合等による表面への薄膜形成を意味
しており、一つに限定されるものではない。また、本発
明のプラズマ処理によりプラスチックチューブ内表面上
に発生させたラジカルやイオン等の化学的活性種を基点
とした反応性モノマー等よるグラフト化等の表面化学修
飾を、プラズマ処理の後工程として実施することも可能
である。なお、本発明でいう大気圧という文言は、厳密
な意味での大気圧を指すものではなく、環状ダイスから
押し出されて冷却固化されるプラスチックチューブの内
部が到達する常識の範囲内の圧力と解されるべきであ
る。さらに以下、大気圧グロー放電プラズマ発生用ガス
を単にプラズマ発生用ガスと、大気圧グロー放電プラズ
マ発生用ガスと処理ガスとの混合ガスを単に混合ガスと
称することがある。
【0015】本発明のプラスチックチューブ製造装置
は、通常の環状ダイスを備えた押出機(2)、環状ダイ
スから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブ
を所定の速度で引き取るための引き取り手段(3)、高
圧側電極(4)、接地側電極(5)、高周波電源
(6)、ガス供給ライン(7)、プラスチックチューブ
安定部材(8)、前記プラスチックチューブ安定部材外
周表面に取り付けられたスぺーサー(9)を備えてお
り、また好ましくはガス排出ライン(10)を備えてい
る。
【0016】このうち押出機(2)は、通常のインフレ
ーション式フィルム成形、パイプ・プラスチックチュー
ブ成形において用いられているものが制限なく使用可能
である。
【0017】また、引き取り手段(3)は成形されたプ
ラスチックチューブを連続的に移動させることができる
装置を意味するものであり、例えば、インフレーション
式フィルム成形において通常用いられる駆動手段の講じ
られたニップロール、あるいは、ベルトコンベア、駆動
ロール、巻き取り装置等が挙げられる。
【0018】また、高圧側電極(4)と、接地側電極
(5)とは対をなすものであり両電極間に高周波電源
(6)から、高圧交流電圧を印可することにより、運転
時プラスチックチューブ内にプラズマを発生させること
ができる。通常、高圧側電極(4)と、接地側電極
(5)は運転時、その一方がプラスチックチューブ内に
配されるように、他方がプラスチックチューブ外に配さ
れるようになっている。そして、これらは通常、円筒状
の形状を有し同心状に互いに対向するように配される。
この場合、高圧側電極(4)と、接地側電極(5)のう
ち、運転時プラスチックチューブ内に配される電極がプ
ラスチックチューブ安定部材(8)を兼ねるようにな
る。また、特開平8−57038号公報に示されたごと
く、プラスチック、セラミックス等の絶縁体よりなる円
筒状の縁体に接地側電極と高圧側電極とを二重螺旋状に
装着したものを運転時プラスチックチューブの外周に配
するようにしてもプラスチックチューブ内にプラズマを
発生させることができ、該プラズマによるプラスチック
チューブ内面のプラズマ処理が可能である。この場合に
はプラスチックチューブ安定部材(8)を別個に設ける
必要があり、運転時これがプラスチックチューブ内に配
される構造とする。
【0019】高圧側電極(4)及び接地側電極(5)の
材質は、導電材料であれば特に限定されず、金属の場
合、ステンレス系鋼、真鍮、炭素鋼、超鋼等の合金や、
銅、アルミニウム等が挙げられ、これらを単体もしくは
適宜組み合わせて使用することができる。または非導電
性のプラスチック、セラミック等の表面に銅、金、金属
酸化物透明導電材料等をコーティングし導電化処理した
もの等を使用することもできる。
【0020】なお、高圧側電極(4)及び接地側電極
(5)のお互い対向する面の少なくとも一方は固体誘電
体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体の材質
としては、ガラス、セラミックス、耐熱プラスチック等
のものを例示することができる。また電極表面の被覆形
態として、電極の金属表面を酸化することによる金属酸
化物被膜の形成も好適である。
【0021】次いで高周波電源(6)は、高圧側電極
(4)、接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可して
運転時プラスチックチューブ内にプラズマを発生させる
ために用いるものである。発生させる高圧交流電圧の周
波数は特に限定はされないが、0.5kHz〜100M
Hzが好ましい。また、前記高圧交流電圧としてパルス
化された電圧を印可してもかまわないし、前記高圧交流
電圧に直流を重畳して用いても構わない。例としては、
工業的によく用いられる13.56MHzのものを使用
することができる。プラズマは、高圧交流電圧を電極間
に印可することによって発生させるが、その適当な電界
強度は、使用する接地側電極、高圧側電極等の材質、形
状、大きさ等により変化するため、これらを考慮して適
宜選定できる。電界強度が低すぎると、プラズマを発生
させることができず、反対に、電界強度が高すぎるとプ
ラズマがアーク放電に移行してしまう。
【0022】ガス供給ライン(7)はプラスチックチュ
ーブ内にプラズマを発生させるために必要なプラズマ発
生用ガスあるいは混合ガスを供給するためのガス流路を
意味する。ガス供給ライン(7)はプラスチックチュー
ブ製造装置の構造が、製造されるプラスチックチューブ
の最も下流側が開放されているようなものである場合に
は、この開放部に設けることもできる。しかし、最も有
利な構造は、ガス供給ライン(7)が環状ダイス内を通
過し、環状ダイスのダイスリップで囲まれた領域に出現
しているというものである。この構造は、通常インフレ
ーション成形において用いられる環状ダイスが備えてい
るブローアップ用エアー供給ラインに類するものであ
る。なお、ガス供給ライン(7)を通して混合ガスを供
給する場合において、混合ガス中の処理ガスが熱に敏感
なものである場合には、該ガス供給ライン(7)に断熱
あるいは冷却手段を講じるようにしてもよい。
【0023】次いでプラスチックチューブ安定部材
(8)について説明する。プラスチックチューブ安定部
材(8)には、その外周表面に一定の厚みを有するスぺ
ーサー(9)が、運転時プラズマ発生領域におけるガス
の流れを確保できる状態で取り付けられている。すなわ
ち、安定なプラズマを発生させるにはプラズマ発生領域
においてプラズマ発生用ガス等のガスが適当な流速で流
れていることが好ましく、プラスチックチューブ安定部
材(8)がこのような構造となっていることにより、プ
ラズマ発生領域において発生するプラズマを安定なもの
とすることができる。さらに運転時プラスチックチュー
ブが該スぺーサー(9)によりプラスチックチューブ安
定部材(8)から隔てられつつ移動することで、プラス
チックチューブとプラスチックチューブ安定部材(8)
間の間隙を変動の少ないものとすることができ、安定し
たプラズマ発生領域を確保できる構造となっている。プ
ラスチックチューブ安定部材(8)の素材は特に限定さ
れないが、高圧側電極(4)あるいは接地側電極(5)
がこれを兼ねる場合には導電性材料である必要がある。
またプラスチックチューブ安定部材(8)はプラズマ発
生領域を除いた領域のガスの流れを概ね遮断する構造で
あることが望ましい。具体的にはプラスチックチューブ
安定部材(8)を円筒状のものとするのではなく、概ね
円柱状のものとするか、円筒の一方あるいは両方の開口
部を閉塞した形状のものとする。このような構造のプラ
スチックチューブ安定部材(8)を用いた場合、プラズ
マ発生領域を除いた領域のガスの流れが遮断されること
により、プラスチックチューブ内に供給されたガスは、
そのほとんどがプラズマ発生領域を通過することとな
り、プラズマ発生領域における最適なガス流速を達成す
るために必要とされるガス流量を大幅に削減することが
でき好ましい。
【0024】つぎに、スぺーサー(9)について説明す
る。スぺーサー(9)は一定の厚みを有し、プラスチッ
クチューブ安定部材(8)の外周表面に運転時プラズマ
発生領域におけるガスの流れを確保できる状態で取り付
けられる。また運転時プラスチックチューブが該スぺー
サー(9)によりプラスチックチューブ安定部材(8)
から隔てられつつ移動することでプラスチックチューブ
は少なくともスぺーサーの厚み分はプラスチックチュー
ブ安定部材表面から隔たった状態になり、プラズマ発生
領域を安定して確保することができる。該スぺーサー
(9)は非導電性のプラスチック、セラミック、木材、
紙等の素材から形成されるが、摺動性に優れ、製造され
るプラスチックチューブに傷がつきにくいという特徴を
有することからフッ素樹脂を素材とするのが好適であ
る。なお他の素材からなるスペーサーにフッ素樹脂をコ
ートしたものも好ましい。スぺーサーの適切な厚みは、
スぺーサーの形状、配置、プラスチックチューブ安定部
材(8)表面の該スぺーサーによる占有面積等により変
化するが、厚みが薄すぎるとプラスチックチューブ安定
部材(8)の外周表面でのガスの流れが悪くなり、プラ
ズマ発生領域を確保することができなくなる傾向があ
る。一方厚みが厚くなりすぎても安定したプラズマが発
生しにくくなる傾向がある。このような意味合いから、
スぺーサーの厚みは0.1〜10mm、さらには0.2
〜5mmであることが好ましい。
【0025】また、本発明のプラスチックチューブ製造
装置は、ガス排出ライン(10)を備えていることが好
ましい。ガス排出ライン(10)は、前記したガス供給
ライン(7)からプラスチックチューブに供給されるプ
ラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスをプラスチックチ
ューブ内から排出するというものである。ガス排出ライ
ン(10)が設けられていることにより、運転時、プラ
ズマ発生領域を通過するプラズマ発生用ガス、あるいは
混合ガスの流速の制御を行いやすくなる。また、プラス
チックチューブ製造装置が、運転時においてプラスチッ
クチューブがニップロールなどにより閉じられ、プラズ
マ処理がこの閉鎖された空間内で行われるような構造の
ものである場合には、プラスチックチューブのサイズの
微調整に便利であるし、また、排出したプラズマ発生用
ガス、あるいは混合ガスの再循環も可能である。
【0026】ガス排出ライン(10)は、プラスチック
チューブ製造装置の構造が、製造されるプラスチックチ
ューブの最も下流側が開放されているようなものである
場合には、この開放部に設けることもできる。しかし、
最も有利な構造はガス供給ライン(7)で述べたと同じ
く、環状ダイス内を通過し、環状ダイスのダイスリップ
で囲まれた領域に出現しているというものである。
【0027】また、上記したガス供給ライン(7)のガ
ス噴き出し口(73)とガス排出ライン(10)のガス
吸入口(101)が、運転時プラスチックチューブ内に
発生するプラズマ発生領域によって隔絶されるごとく配
されていることが望ましい。このようにガス供給ライン
(7)のガス噴き出し口(73)とガス排出ライン(1
0)のガス吸入口(101)が配されていることによ
り、ガス供給ラインに供給したプラズマ発生用ガス、あ
るいは混合ガスがスムーズにプラズマ発生領域を通過す
るようになるため、またプラスチックチューブ内面の周
方向にわたるガス流速の分布を均一なものとできるた
め、プラズマ発生領域における最適なガス流速を達成す
るために必要とされるプラズマ発生用ガス、あるいは混
合ガスの流量を更に低く抑えることができる。
【0028】また、プラスチックチューブ製造装置の引
き取り手段(3)を、ニップロールとすることが望まし
い。引き取り手段(3)を、ニップロールとすると、運
転時においてプラスチックチューブがニップロールによ
り閉じられ、プラズマ処理がこの閉鎖された空間内で行
われるようになり、プラズマ発生用ガス、あるいは混合
ガスの開放系への散失を防止できる。これは製造するプ
ラスチックチューブが薄物の時に特に有効である。
【0029】以下、本発明のプラスチックチューブ製造
装置を、図面を参照しつつより具体的に説明する。図1
は、本発明の内面処理機能を備えたプラスチックチュー
ブ製造装置の一実施形態を示す模式図である。また、図
2は図1で用いている接地側電極が兼ねたプラスチック
チューブ安定部材の斜視図である(なお、図1では理解
を助けるために、プラスチックチューブの径をより大き
く強調して示した)。図3は図2の接地側電極が兼ねた
プラスチックチューブ安定部材に取り付けられているス
ぺーサーの詳細図である。この実施形態においてプラス
チックチューブ製造装置(1)は、環状ダイス(22)
を装着した押出機(2)、プラスチックチューブ冷却
器、引き取り手段(3)としてのプラスチックチューブ
巻き取り機等から構成される通常のパイプ製造装置が基
本となっている。そしてこの装置に、環状ダイス内部を
通過し、環状ダイスのダイリップで取り囲まれた領域へ
出現したガス供給ライン(7)(プラズマ発生用ガス導
入ライン(72)、処理ガス導入ライン(71))が設
けられている。このような構造となっていることによ
り、運転時、プラスチックチューブ内にプラズマ発生用
ガス、あるいは混合ガスを供給できる。なお、処理ガス
による表面処理を行わず単にプラズマによる表面処理を
行う場合には、ガス供給ライン(7)のうち処理ガス導
入ライン(71)を設ける必要はない。
【0030】また、本発明のプラスチックチューブ製造
装置には、プラズマを発生させるための接地された接地
側電極(5)、及び高周波電源(6)に接続された高圧
側電極(4)が装備されている。そして接地側電極
(5)と高圧側電極(4)間に高圧交流電圧を印可する
ことができる構造となっている。なお、本図では接地側
電極(5)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材
(8)がプラスチックチューブ内に配された例を示した
が、高圧側電極(4)が兼ねたプラスチックチューブ安
定部材(8)をプラスチックチューブ内に配されるよう
にしてもよい(後述する形態においても同様)。
【0031】そして図2に示すように、プラスチックチ
ューブ安定部材(8)は概ね円柱形状である。該プラス
チックチューブ安定部材(8)表面には、図3にその詳
細を示した非導電材料からなるスぺーサー(9)が、ガ
ス供給ラインのガス噴き出し口から供給されるプラズマ
発生用ガスあるいは混合ガスの流れを妨げないように複
数取り付けられている。なお、スぺーサー表面はプラス
チックチューブ安定部材(8)と同心円状の曲面形状を
有する。
【0032】図4は本発明で用いられる、プラスチック
チューブ安定部材(8)の他の例を示した図である。2
組の連続した螺旋状スぺーサー(9)が、プラスチック
チューブ安定部材(8)の外周表面に沿って取り付けて
ある。なお、該螺旋状のスぺーサー(9)は、部分的に
途切れ部を有するものであってもよい。
【0033】図5は、本発明の内面処理機能を備えたプ
ラスチックチューブ製造装置の他の実施形態を示す模式
図である。また、図6は図5のA−A’線での模式断面
図である。この実施形態において、プラスチックチュー
ブ製造装置(1)は、環状ダイス(22)を装着した押
出機(2)、エアーリング(11)、安定板(32)、
引き取り手段(3)としてのニップロール、及び巻き取
りロール(33)等から構成される通常のインフレーシ
ョン式プラスチックフィルム成形装置が基本となってい
る。そしてこの装置に、環状ダイス内部を通過し、環状
ダイスのダイリップで取り囲まれた領域へ出現したガス
供給ライン(7)(プラズマ発生用ガス導入ライン(7
2)、処理ガス導入ライン(71))と、ガス排出ライ
ン(10)が装備されている。このような構造となって
いることにより、運転時、プラスチックチューブ内にガ
スを供給できるとともに、適宜これらのガスを排出する
ことによりプラスチックチューブ内のガス濃度および圧
力を所定の値に保つことができる。また、プラスチック
チューブのサイズの微調整に便利である。さらに本例で
はガス供給ライン(7)のガス噴き出し口(73)とガ
ス排出ライン(10)のガス吸入口(101)はプラス
チックチューブ内に発生するプラズマ発生領域によって
隔絶されるごとく配されている。なお、処理ガスによる
表面処理を行わず単にプラスチックチューブ内に発生す
るプラズマによる表面処理を行う場合には、ガス供給ラ
イン(7)のうち処理ガス導入ライン(71)を設ける
必要はない。また、本発明のプラスチックチューブ製造
装置にはプラズマを発生させるための接地された接地側
電極(5)、及び高周波電源(6)に接続された高圧側
電極(4)が装備されている。そして接地側電極(5)
と高圧側電極(4)間に高圧交流電圧を印可することが
できる構造となっている。ここで接地側電極(5)、高
圧側電極(4)、及び環状ダイスのダイスリップ、さら
に運転時に形成されるプラスチックチューブは同心位置
関係となるように配置されている。そして、接地側電極
(5)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材(8)は
図2にその概要を示したものと同様のものを用いてい
る。該接地電極は、概ね円柱状の形状を有しており、該
電極自体がプラズマ発生領域を除いた領域のガスの流れ
を概ね遮断することができる構造となっており、運転時
には、プラスチックチューブをスぺーサー(9)によっ
てプラスチックチューブ安定部材(8)から隔てるよう
にして移動させることにより、プラスチックチューブの
揺れ等を防ぐことができ、安定したプラズマ発生領域を
確保することができる。
【0034】一方、特開平8−57038号公報に示さ
れたごとく、プラスチック、セラミックス等の絶縁体よ
りなる円筒状の縁体に接地側電極と高圧側電極とを二重
螺旋状あるいは櫛状に装着したものを運転時プラスチッ
クチューブの外周に配するような形態においても、本発
明が適用可能である。すなわち、この形態に対応した構
成としては、図2や図4に類するプラスチックチューブ
安定部材(8)が運転時プラスチックチューブの内部に
配されるようになる装置の構造が例示できる。なおこの
場合、接地側電極あるいは高圧側電極がプラスチックチ
ューブ安定部材(8)を兼ねるものではない。
【0035】以上、本発明のプラスチックチューブ製造
装置につき代表的な実施形態を例に取り説明してきたが
これらはあくまで例示であり、限定ではない。よって当
業者によるこれらの例の変形は本発明の特許請求の範囲
に示された思想範囲内にある限り、本発明の一部に含ま
れるものと考えられる。
【0036】次いで本発明のプラスチックチューブの製
造方法について説明する。本発明のプラスチックチュー
ブ製造方法は、前記したごとくの本発明のプラスチック
チューブ製造装置を用いて、環状ダイスから押し出され
るプラスチックチューブ内にプラズマ発生用ガスあるい
は該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給し、高周波電源
(6)により高圧側電極(4)と接地側電極(5)間に
高圧交流電圧を印可し、プラスチックチューブ内にプラ
ズマを発生させプラスチックチューブの内面を処理する
というものである。以下その詳細を説明する。
【0037】本発明で使用されるプラズマ発生用ガス
は、プラズマを発生させるためのガスであり、希ガスあ
るいは窒素ガスが使用可能である。そしてプラズマ発生
用ガスの中で最も好ましいのはヘリウムであり、アルゴ
ンも好適に用いることができる。
【0038】一方、処理効果を向上させるために前記プ
ラズマ発生用ガスに添加する処理ガスは、表面処理の目
的に応じて適宜選択される。例えば、シート状物に撥水
性を付与するためには、4弗化エチレン、6弗化プロピ
レン等のフッ化エチレン列炭化水素化合物、4弗化メタ
ン、6弗化エタン等のフッ素化メタン列炭化水素化合
物、またはフッ素原子を含む側鎖のついた鎖状炭化水
素、あるいはフッ素化芳香族炭化水素などの官能基を有
する有機化合物を用いることができる。
【0039】また、処理ガスとして以下のような酸素元
素含有化合物、窒素元素含有化合物、硫黄元素含有化合
物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミノ
基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高く
し、親水性表面を得ることが出来る。
【0040】前記酸素元素含有化合物としては、酸素、
オゾン、水(水蒸気)、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸
化窒素、二酸化窒素の他、メタノール、エタノール等の
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、メタナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸
素元素を含有する有機化合物等が挙げられる。前記酸素
元素含有化合物と水素を混合して用いてもよい。さら
に、前記酸素元素含有化合物と、メタン、エタン等の炭
化水素化合物のガスを混合して用いてもよい。又、前記
酸素元素含有化合物に50体積%以下でフッ素元素含有
化合物を添加することにより親水化が促進される。フッ
素元素含有化合物としては前記例示と同様のものを用い
ればよい。
【0041】前記窒素元素含有化合物としては、窒素、
アンモニア等が挙げられる。また、前記硫黄元素含有化
合物としては、二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げられ
る。また、硫酸を気化させて用いることも出来る。
【0042】また、分子内に親水性基と重合性不飽和結
合を有するモノマーを処理ガスとして用いることによ
り、親水性の重合膜を堆積させることも出来る。前記親
水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩
基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4
級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等
の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコー
ル鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜の
堆積が可能である。
【0043】前記モノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メ
タクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリ
ル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリル
アルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジ
メタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアク
リル酸エステル等が挙げられる。
【0044】前記親水性モノマーのうち固体のものは、
そのままあるいは溶媒に溶解させたものを減圧等の手段
により気化させて用いる。
【0045】又、処理ガスとして、金属含有化合物が好
適に使用できる。金属としては、例えば、Al、As、
Bi、B、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Ga、G
e、Au、In、Ir、Hf、Fe、Pb、Li、N
a、Mg、Mn、Hg、Mo、Ni、P、Pt、Po、
Rh、Sb、Se、Si、Sn、Ta、Te、Ti、
V、W、Y、Zn、Zr等の金属が挙げられ、該金属を
含有する化合物としては、金属有機化合物、金属−ハロ
ゲン化合物、金属−水素化合物、金属アルコキシド等の
処理ガスが挙げられる。
【0046】具体的に金属がSiである場合を例にとっ
て説明すると、テトラメチルシラン〔Si(C
3)4〕、ジメチルシラン〔Si(CH3)22〕、テト
ラエチルシラン〔Si(C25)4〕等の有機金属化合
物;4フッ化珪素(SiF4)、4塩化珪素(SiC
4)、2塩化珪素(SiH2Cl2)等の金属ハロゲン化
合物;モノシラン(SiH4)、ジシラン(SiH3Si
3)、トリシラン(SiH3SiH2SiH3)等の金属水
素化合物;テトラメトキシシラン〔Si(OC
3)4〕、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4
等の金属アルコキシド等が挙げられる。
【0047】前記の金属含有化合物が常温で気体であれ
ば、放電空間にそのまま導入することができるが、液
体、固体状であれば、気化装置を経て放電空間に導入す
ればよい。このような処理ガスを用いることによりSi
2、TiO2、SnO2、ZnO等の金属酸化物薄膜を
形成させ、基材表面に電気的、光学的機能を付与するこ
とが出来る。
【0048】なお、前記した処理ガスとして用いる化合
物は、単独で用いてもよく、その目的によっては2種以
上を併用してもよい。また、前記処理ガスとプラズマ発
生用ガス(希ガス)を混合して用いる場合の混合割合
は、使用するプラズマ発生用ガスと処理ガスの種類によ
って適宜決定されるが、処理ガスの濃度が10体積%を
超えると、高圧交流電圧を印可しても均一な放電プラズ
マの発生が難しくなることから、0.01〜10体積%
が好ましく、より好ましくは0.01〜5体積%であ
る。
【0049】また、本発明において処理が可能なプラス
チックチューブの材質としては、押出成形が可能なもの
であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン(P
E)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹
脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレ
ン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタ
ン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリア
セタール、ポリエステル、シリコン樹脂、アクリル樹
脂、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメチル
メタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリスルフ
ォン、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリエーテルスルフォン等が上げられるが、こ
れに限定されるものではない。
【0050】次に、本発明のプラスチックチューブの製
造方法を、図1、5を参照しつつ説明する。なお、図
1、5で示された装置の構成は前述したとおりである。
図1で示す装置を使用した場合、まず通常のプラスチッ
クチューブ(パイプ)製造プロセスでのプラスチックチ
ューブの連続製造を開始したのちに、プラズマ発生用ガ
ス導入ライン(72)を利用し、プラスチックチューブ
内部にヘリウム等のプラズマ発生用ガスを導入する。そ
の後、プラズマ発生用ガス導入ライン(72)からプラ
ズマ発生用ガスあるいは混合ガスを連続的に導入し、高
圧側電極(4)に高周波電源(6)から高圧交流電圧を
印可してプラズマ発生領域を形成し処理を行う。ここに
おいて接地側電極(5)が兼ねたプラスチックチューブ
安定部材(8)の周囲に取り付けられたスペーサー
(9)によってプラスチックチューブ(12)が、プラ
スチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動
し、両者間に安定なプラズマ発生領域を確保できる。
【0051】次いで、図5で示す装置を使用した場合、
まず通常のプラスチックチューブ製造プロセスでのプラ
スチックチューブの連続製造を開始したのちに、プラズ
マ発生用ガス導入ライン(72)及び排気ライン(1
0)を利用し、プラスチックチューブ内圧を保持しなが
らプラスチックチューブ内部をヘリウム等のプラズマ発
生用ガスに置換する。その後、前記プラスチックチュー
ブ内の圧力を保持するように、排気ライン(10)から
プラスチックチューブ内のガスを排出しながらプラズマ
発生用ガス導入ライン(7)からプラズマ発生用ガスあ
るいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを連続的に導入
し、高圧側電極(4)に高周波電源(6)から高圧交流
電圧を印可してプラズマ発生領域を形成し処理を行う。
ここにおいて接地側電極(5)が兼ねたプラスチックチ
ューブ安定部材(8)の周囲に取り付けられたスペーサ
ー(9)によってプラスチックチューブ(12)が、プ
ラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移
動し、両者間に安定なプラズマ発生領域を確保できる。
【0052】接地電極(5)及び高圧側電極(4)は、
運転時においてプラスチックチューブ(12)が冷却固
化し径が固定される線、所謂フロストラインよりも下流
側の領域に、同軸中心の状態で間にプラスチックチュー
ブ(12)を介して対向するかたちで配置されることが
望ましい。
【0053】
【実施例】以下本発明を、実施例により、より詳細に説
明する。
【0054】[実施例1]図5に概略を示したプラスチッ
クチューブ連続製造装置を製作した。製造装置の基本と
なるインフレーションプラスチックチューブ製造装置と
しては、東洋精機株式会社製「ラボプラストミル50M
R」一軸押出機(20mm径、L/D25のフルフライ
トスクリュー)を用いた。これにガス導入ライン及び排
気ラインを設けたダイリップ径25mmの環状ダイス、
およびエアーリングを取り付け、安定板、ニップロー
ル、及び巻き取り機等の付属機器を装備した。なお、ダ
イス上面からニップロールまでの距離は約700mmで
あった。そして、図2に概略を示したように外周表面に
長さ(L)約15mm、幅(W)約5mm、厚み(H)
約1mmのポリテトラフルオロエチレン樹脂製のスぺー
サーを30個取り付けた外径44mm高さ50mmでア
ルミニウム製の円柱形状を有する接地側電極(プラスチ
ックチューブ安定部材を兼ねる)を、その下端がダイス
上面から約300mmの位置になるように、また、ダイ
スリップと同心状となるように環状ダイスのダイリップ
に取り囲まれた領域に取り付けられた支持具により取り
付けた。さらに図5に示すごとく二分割された内径48
mm厚み4mm高さ50mmのアルミニウム製の円筒形
状を有する高圧側電極を、プラスチックチューブ内の接
地側電極と同心円で対向する位置に設置した。なお、二
分割された高圧側電極はいずれもスライド式に後退でき
る構造とし、製造スタート時の作業性の向上を図った。
さらに、13.56MHzの高圧交流電圧を印可できる
高周波電源を高圧側電極に接続した。また環状ダイスに
はガス供給ラインとガス排出ラインを設けこれらがダイ
スリップで囲まれた領域に出現する構造とした。そして
ガス供給ラインのガス噴き出し口の位置が、接地側電極
より下側で、ガス排出ラインのガス吸入口が接地側電極
より上側となるようにした。このようにして本発明のプ
ラスチックチューブ製造装置を製作した。
【0055】上記した装置を用いて、住友化学工業株式
会社製低密度ポリエチレンF208−0を原料とし、ニ
ップロールの引取り速度1.5m/minでプラスチッ
クチューブ外径約46mm厚み約100μmのプラスチ
ックチューブの製造を開始した。このとき、プラスチッ
クチューブはスぺーサー表面を沿って移動するようにし
た。次にガス導入ラインおよび排気ラインを操作するこ
とでプラスチックチューブ内のガス圧、ならびにプラス
チックチューブの外径寸法を保持したままでプラスチッ
クチューブ内をヘリウムに置換した。さらに、この状態
で、ガス導入ラインおよびガス排気ラインを操作するこ
とで1L/minのヘリウムに加え酸素ガス5mL/m
inを連続導入した。次いで、二分割されスライド式に
後退させていた高圧側電極を元の位置に戻し、プラスチ
ックチューブ内の接地側電極と同心円で対向する位置に
設置した。このとき、プラスチックチューブと接地側電
極及び高圧側電極との間隔はそれぞれ約1mmであっ
た。次いで、高周波電源より高圧側電極に13.56M
Hzの高圧交流電圧を印可するとプラスチックチューブ
と接地電極間のスぺーサーが取り付けられている領域以
外の領域にプラズマが発生した。なお発生したプラズマ
は非常に安定なものであった。このようにして内面処理
ポリエチレンチューブを得た。処理前のポリエチレンチ
ューブ内面の水に対する接触角が98.5°であったの
に対し、処理後のポリエチレンチューブ内表面のそれは
70.6°であり明らかに処理効果が認められた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、大
気圧グロー放電プラズマを利用してプラスチックチュー
ブ内面を処理するにあたり、大口径のプラスチックチュ
ーブの内表面処理を実施する場合でもプラスチックチュ
ーブ内部での安定なプラズマ発生領域を確保することが
できるプラスチックチューブ製造装置が提供される。さ
らに、同装置を用いたプラスチックチューブの製造方法
が提供される。本発明のプラスチックチューブ製造装置
および、プラスチックチューブの製造方法により製造で
きる内面が処理されたプラスチックチューブは従来のも
のに比べ均一な処理がなされており、またコスト的に有
利なものであり、各用途において有用に用いられるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラスチックチューブ製造装置の一
実施形態を示す模式図である。
【図2】 プラスチックチューブ安定部材の斜視図であ
る。
【図3】 図2のプラスチックチューブ安定部材に取り
付けらるスぺーサーの投影図である。
【図4】 プラスチックチューブ安定部材の他の例を示
す斜視図である。
【図5】 本発明のプラスチックチューブ製造装置の他
の実施形態を示す模式図である。
【図6】 図5のA−A’線での模式断面図である。
【符号の説明】
1. プラスチックチューブ製造装置 2. 押出機 22. 環状ダイス 3. 引き取り手段 32. 安定板 33. 巻取りロール 4. 高圧側電極 5. 接地側電極 6. 高周波電源 7. ガス供給ライン 71. 処理ガス導入ライン 72. プラズマ発生用ガス導入ライン 73. ガス噴き出し口 8. プラスチックチューブ安定部材 9. スぺーサー 10. ガス排出ライン 101.ガス吸入口 11. エアーリング 12 プラスチックチューブ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29L 23:00 B29L 23:00 (72)発明者 梶谷 孝啓 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 田中 治 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 丹下 善弘 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 松田 ▲ひで▼明 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 Fターム(参考) 4F073 AA01 AA02 BA07 BA08 BA11 BA13 BA15 BA16 BA17 BA18 BA19 BA23 BA24 BA26 BA27 BA28 BA29 BA32 BA33 BB03 CA01 CA09 CA14 CA65 4F207 AA07 AG08 AJ02 AJ03 KA01 KA17 KA19 KK51 KW41 4G075 AA24 BA05 BD14 CA02 CA03 CA16 CA25 CA47 CA63 DA02 DA12 EA01 EB24 EC01 EC10 EC21 ED04 ED09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ・環状ダイスを備えた押出機(2)、 ・環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチッ
    クチューブを所定の速度で引き取るための引き取り手段
    (3)、 ・高圧側電極(4)、 ・接地側電極(5)、 ・高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高圧交流電
    圧を印可するための高周波電源(6)、 ・運転時、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプ
    ラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマ発生
    用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給す
    るためのガス供給ライン(7)、を備え、運転時、高圧
    側電極(4)、接地側電極(5)間に高周波電源(6)
    から高圧交流電圧を印可することによりプラスチックチ
    ューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生させること
    ができ、更に、 ・運転時プラスチックチューブ内に位置し、その外周表
    面に一定の厚みを有するスぺーサー(9)が、運転時大
    気圧グロー放電プラズマ発生領域におけるガスの流れを
    確保できる状態で取り付けられているプラスチックチュ
    ーブ安定部材(8)、を備えた装置であって、運転時プ
    ラスチックチューブが該スぺーサー(9)によりプラス
    チックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動す
    ることで、プラスチックチューブとプラスチックチュー
    ブ安定部材(8)間に大気圧グロー放電プラズマ発生領
    域を確保できる構造となっていることを特徴とするプラ
    スチックチューブ製造装置。
  2. 【請求項2】 プラスチックチューブ安定部材(8)が
    大気圧グロー放電プラズマ発生領域を除いた領域のガス
    の流れを概ね遮断する構造であることを特徴とする請求
    項1に記載のプラスチックチューブ製造装置。
  3. 【請求項3】 運転時、環状ダイスから押し出され冷却
    固化されたプラスチックチューブ内にガス供給ライン
    (7)を通じて供給されるガスを排出するためのガス排
    出ライン(10)を更に備えることを特徴とする請求項
    1または2に記載のプラスチックチューブ製造装置。
  4. 【請求項4】 ガス供給ライン(7)のガス噴き出し口
    とガス排出ライン(10)のガス吸入口が、運転時プラ
    スチックチューブ内に発生する大気圧グロー放電プラズ
    マ発生領域によって隔絶されるごとく配されていること
    を特徴とする請求項3に記載のプラスチックチューブ製
    造装置。
  5. 【請求項5】 引き取り手段(3)が、ニップロールで
    あることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    のプラスチックチューブ製造装置。
  6. 【請求項6】 スぺーサー(9)が、プラスチックチュ
    ーブ安定部材(8)の外周に沿って連続した螺旋状に、
    あるいは、部分的に途切れ部を有する螺旋状に取り付け
    られていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    に記載のプラスチックチューブ製造装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のプラ
    スチックチューブ製造装置を用いて、環状ダイスから押
    し出されるプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電
    プラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合
    ガスを供給し、高周波電源(6)により高圧側電極
    (4)と接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可し、
    プラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマを
    発生させ、プラスチックチューブの内面を処理すること
    を特徴とするプラスチックチューブの製造方法。
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