JP4342709B2 - プラスチックチューブ製造装置、及び該装置を用いたプラスチックチューブの製造方法 - Google Patents

プラスチックチューブ製造装置、及び該装置を用いたプラスチックチューブの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、大気圧グロー放電プラズマにより内表面が処理されたプラスチックチューブを製造できる装置、ならびに同装置を用いた内表面が処理されたプラスチックチューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大気圧下でグロー放電プラズマを発生させる技術が開発され、様々な用途で利用されている。この技術は、一定の間隔を以て対向する高圧側電極と接地側電極間に形成される放電部に、ヘリウムのような大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを大気圧もしくは大気圧近傍圧力下で導入すると共に、前記電極間に高圧交流電圧を印可することにより前記放電部に大気圧グロー放電プラズマを発生させるものである。
【0003】
このような大気圧グロー放電プラズマを用いて表面改質や薄膜形成等の表面処理を行なう方法は、従来行われてきた真空下でのプラズマ処理と比べ、低圧雰囲気の形成や圧力制御用の装備を必要としない。このため、フィルムやシートのような大面積の処理を連続的に行なう必要がある分野において好適に用いられている。このような処理を行なう場合の大気圧グロー放電プラズマ発生領域を形成する方法として、電極に多数の通気孔を設け、この通気孔より大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを供給したり、被処理材料を導入・搬出するための最低限の開口部を有するチャンバーで処理領域を囲い、その領域へ大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを連続的に供給することが提案されている。
【0004】
しかし、このような方法では、ヘリウム等の高価な大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを常時導入し続けなければならず、コストが高くつくため、汎用のプラスチックフィルム等の表面処理には利用されていないのが現状である。このため、より簡便で、コストが低く、応用範囲の広い大気圧グロー放電プラズマ表面処理法の開発が望まれてきた。
【0005】
一方、大気圧グロー放電プラズマによるプラスチックチューブ内面の連続処理技術として、特開平5−202481号公報あるいは特開平8−57038号公報には、プラスチックチューブ内にその一端部から大気圧近傍の圧力下において、大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスと、処理ガスとの混合ガスを連続的に導入しつつ、高圧側電極と接地側電極間に高圧交流電圧を印可し大気圧グロー放電プラズマ処理を行なう方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、大口径のプラスチックチューブの内表面処理を実施する場合には、少しでもプラスチックチューブの揺れがあるとプラスチックチューブ内部において安定な大気圧グロー放電プラズマ発生領域を確保することが難しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、大気圧グロー放電プラズマを利用してプラスチックチューブ内面を処理するにあたり、大口径のプラスチックチューブの内表面処理を実施する場合でもプラスチックチューブ内部での安定な大気圧グロー放電プラズマ発生領域を確保することができるプラスチックチューブ製造装置を提供することを目的とする。さらに、同装置を用いたプラスチックチューブの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を行った。この結果、運転時においてプラスチックチューブ内に位置するプラスチックチューブ安定部材(8)を装備し、しかも該プラスチックチューブ安定部材(8)の外周表面に一定の厚みを有するスぺーサーが、運転時大気圧グロー放電プラズマ発生領域におけるガスの流れを確保できる状態で取り付けられているプラスチックチューブ製造装置が上記課題を解決するにあたり好適なものであることを見いだし本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
[1]・環状ダイスを備えた押出機(2)、
・環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブを所定の速度で引き取るための引き取り手段(3)、
・高圧側電極(4)、
・接地側電極(5)、
・高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可するための高周波電源(6)、
・運転時、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給するためのガス供給ライン(7)、
を備え、運転時、高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高周波電源(6)から高圧交流電圧を印可することによりプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生させることができ、更に、
・運転時プラスチックチューブ内に位置し、その外周表面に一定の厚みを有するスぺーサー(9)が、運転時大気圧グロー放電プラズマ発生領域におけるガスの流れを確保できる状態で取り付けられているプラスチックチューブ安定部材(8)、
を備えた装置であって、運転時プラスチックチューブが該スぺーサー(9)によりプラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動することで、プラスチックチューブとプラスチックチューブ安定部材(8)間に大気圧グロー放電プラズマ発生領域を確保できる構造となっていることを特徴とするプラスチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0008】
[2]さらに好ましくは、プラスチックチューブ安定部材(8)が大気圧グロー放電プラズマ発生領域を除いた領域のガスの流れを概ね遮断する構造であることを特徴とする上記のプラスチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0009】
[3]さらに好ましくは、運転時、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブ内にガス供給ライン(7)を通じて供給されるガスを排出するためのガス排出ライン(10)を更に備えることを特徴とする前記いずれかのプラスチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0010】
[4]さらに好ましくは、ガス供給ライン(7)のガス噴き出し口とガス排出ライン(10)のガス吸入口が、運転時プラスチックチューブ内に発生する大気圧グロー放電プラズマ発生領域によって隔絶されるごとく配されていることを特徴とする上記のプラスチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0011】
[5]さらに、引き取り手段(3)が、ニップロールであることを特徴とする前記いずれかのプラスチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0012】
[6]さらに、スぺーサー(9)が、プラスチックチューブ安定部材(8)の外周に沿って連続した螺旋状に、あるいは、部分的に途切れ部を有する螺旋状に取り付けられていることを特徴とする前記いずれかのプラスチックチューブ製造装置を提供するものである。
【0013】
[7]また、前記いずれかに記載のプラスチックチューブ製造装置を用いて、環状ダイスから押し出されるプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給し、高周波電源(6)により高圧側電極(4)と接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可し、プラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生させ、プラスチックチューブの内面を処理することを特徴とする内面処理プラスチックチューブの製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における大気圧グロー放電プラズマ処理(以下、大気圧グロー放電プラズマ処理を単にプラズマ処理と、大気圧グロー放電プラズマを単にプラズマと称することがある)とは、大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスのみにより発生させたプラズマによる表面の物理的及び化学的改質、大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスに目的に応じた処理ガスを少量添加することにより発生させたプラズマによる表面の物理的及び化学的改質等の各プラズマ処理、及びプラズマCVD、プラズマグラフト重合等による表面への薄膜形成を意味しており、一つに限定されるものではない。また、本発明のプラズマ処理によりプラスチックチューブ内表面上に発生させたラジカルやイオン等の化学的活性種を基点とした反応性モノマー等よるグラフト化等の表面化学修飾を、プラズマ処理の後工程として実施することも可能である。なお、本発明でいう大気圧という文言は、厳密な意味での大気圧を指すものではなく、環状ダイスから押し出されて冷却固化されるプラスチックチューブの内部が到達する常識の範囲内の圧力と解されるべきである。さらに以下、大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスを単にプラズマ発生用ガスと、大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスと処理ガスとの混合ガスを単に混合ガスと称することがある。
【0015】
本発明のプラスチックチューブ製造装置は、通常の環状ダイスを備えた押出機(2)、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブを所定の速度で引き取るための引き取り手段(3)、高圧側電極(4)、接地側電極(5)、高周波電源(6)、ガス供給ライン(7)、プラスチックチューブ安定部材(8)、前記プラスチックチューブ安定部材外周表面に取り付けられたスぺーサー(9)を備えており、また好ましくはガス排出ライン(10)を備えている。
【0016】
このうち押出機(2)は、通常のインフレーション式フィルム成形、パイプ・プラスチックチューブ成形において用いられているものが制限なく使用可能である。
【0017】
また、引き取り手段(3)は成形されたプラスチックチューブを連続的に移動させることができる装置を意味するものであり、例えば、インフレーション式フィルム成形において通常用いられる駆動手段の講じられたニップロール、あるいは、ベルトコンベア、駆動ロール、巻き取り装置等が挙げられる。
【0018】
また、高圧側電極(4)と、接地側電極(5)とは対をなすものであり両電極間に高周波電源(6)から、高圧交流電圧を印可することにより、運転時プラスチックチューブ内にプラズマを発生させることができる。通常、高圧側電極(4)と、接地側電極(5)は運転時、その一方がプラスチックチューブ内に配されるように、他方がプラスチックチューブ外に配されるようになっている。そして、これらは通常、円筒状の形状を有し同心状に互いに対向するように配される。この場合、高圧側電極(4)と、接地側電極(5)のうち、運転時プラスチックチューブ内に配される電極がプラスチックチューブ安定部材(8)を兼ねるようになる。
また、特開平8−57038号公報に示されたごとく、プラスチック、セラミックス等の絶縁体よりなる円筒状の縁体に接地側電極と高圧側電極とを二重螺旋状に装着したものを運転時プラスチックチューブの外周に配するようにしてもプラスチックチューブ内にプラズマを発生させることができ、該プラズマによるプラスチックチューブ内面のプラズマ処理が可能である。この場合にはプラスチックチューブ安定部材(8)を別個に設ける必要があり、運転時これがプラスチックチューブ内に配される構造とする。
【0019】
高圧側電極(4)及び接地側電極(5)の材質は、導電材料であれば特に限定されず、金属の場合、ステンレス系鋼、真鍮、炭素鋼、超鋼等の合金や、銅、アルミニウム等が挙げられ、これらを単体もしくは適宜組み合わせて使用することができる。または非導電性のプラスチック、セラミック等の表面に銅、金、金属酸化物透明導電材料等をコーティングし導電化処理したもの等を使用することもできる。
【0020】
なお、高圧側電極(4)及び接地側電極(5)のお互い対向する面の少なくとも一方は固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体の材質としては、ガラス、セラミックス、耐熱プラスチック等のものを例示することができる。また電極表面の被覆形態として、電極の金属表面を酸化することによる金属酸化物被膜の形成も好適である。
【0021】
次いで高周波電源(6)は、高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可して運転時プラスチックチューブ内にプラズマを発生させるために用いるものである。発生させる高圧交流電圧の周波数は特に限定はされないが、0.5kHz〜100MHzが好ましい。また、前記高圧交流電圧としてパルス化された電圧を印可してもかまわないし、前記高圧交流電圧に直流を重畳して用いても構わない。例としては、工業的によく用いられる13.56MHzのものを使用することができる。プラズマは、高圧交流電圧を電極間に印可することによって発生させるが、その適当な電界強度は、使用する接地側電極、高圧側電極等の材質、形状、大きさ等により変化するため、これらを考慮して適宜選定できる。電界強度が低すぎると、プラズマを発生させることができず、反対に、電界強度が高すぎるとプラズマがアーク放電に移行してしまう。
【0022】
ガス供給ライン(7)はプラスチックチューブ内にプラズマを発生させるために必要なプラズマ発生用ガスあるいは混合ガスを供給するためのガス流路を意味する。ガス供給ライン(7)はプラスチックチューブ製造装置の構造が、製造されるプラスチックチューブの最も下流側が開放されているようなものである場合には、この開放部に設けることもできる。しかし、最も有利な構造は、ガス供給ライン(7)が環状ダイス内を通過し、環状ダイスのダイスリップで囲まれた領域に出現しているというものである。この構造は、通常インフレーション成形において用いられる環状ダイスが備えているブローアップ用エアー供給ラインに類するものである。なお、ガス供給ライン(7)を通して混合ガスを供給する場合において、混合ガス中の処理ガスが熱に敏感なものである場合には、該ガス供給ライン(7)に断熱あるいは冷却手段を講じるようにしてもよい。
【0023】
次いでプラスチックチューブ安定部材(8)について説明する。プラスチックチューブ安定部材(8)には、その外周表面に一定の厚みを有するスぺーサー(9)が、運転時プラズマ発生領域におけるガスの流れを確保できる状態で取り付けられている。すなわち、安定なプラズマを発生させるにはプラズマ発生領域においてプラズマ発生用ガス等のガスが適当な流速で流れていることが好ましく、プラスチックチューブ安定部材(8)がこのような構造となっていることにより、プラズマ発生領域において発生するプラズマを安定なものとすることができる。さらに運転時プラスチックチューブが該スぺーサー(9)によりプラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動することで、プラスチックチューブとプラスチックチューブ安定部材(8)間の間隙を変動の少ないものとすることができ、安定したプラズマ発生領域を確保できる構造となっている。プラスチックチューブ安定部材(8)の素材は特に限定されないが、高圧側電極(4)あるいは接地側電極(5)がこれを兼ねる場合には導電性材料である必要がある。またプラスチックチューブ安定部材(8)はプラズマ発生領域を除いた領域のガスの流れを概ね遮断する構造であることが望ましい。具体的にはプラスチックチューブ安定部材(8)を円筒状のものとするのではなく、概ね円柱状のものとするか、円筒の一方あるいは両方の開口部を閉塞した形状のものとする。このような構造のプラスチックチューブ安定部材(8)を用いた場合、プラズマ発生領域を除いた領域のガスの流れが遮断されることにより、プラスチックチューブ内に供給されたガスは、そのほとんどがプラズマ発生領域を通過することとなり、プラズマ発生領域における最適なガス流速を達成するために必要とされるガス流量を大幅に削減することができ好ましい。
【0024】
つぎに、スぺーサー(9)について説明する。スぺーサー(9)は一定の厚みを有し、プラスチックチューブ安定部材(8)の外周表面に運転時プラズマ発生領域におけるガスの流れを確保できる状態で取り付けられる。また運転時プラスチックチューブが該スぺーサー(9)によりプラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動することでプラスチックチューブは少なくともスぺーサーの厚み分はプラスチックチューブ安定部材表面から隔たった状態になり、プラズマ発生領域を安定して確保することができる。該スぺーサー(9)は非導電性のプラスチック、セラミック、木材、紙等の素材から形成されるが、摺動性に優れ、製造されるプラスチックチューブに傷がつきにくいという特徴を有することからフッ素樹脂を素材とするのが好適である。なお他の素材からなるスペーサーにフッ素樹脂をコートしたものも好ましい。スぺーサーの適切な厚みは、スぺーサーの形状、配置、プラスチックチューブ安定部材(8)表面の該スぺーサーによる占有面積等により変化するが、厚みが薄すぎるとプラスチックチューブ安定部材(8)の外周表面でのガスの流れが悪くなり、プラズマ発生領域を確保することができなくなる傾向がある。一方厚みが厚くなりすぎても安定したプラズマが発生しにくくなる傾向がある。このような意味合いから、スぺーサーの厚みは0.1〜10mm、さらには0.2〜5mmであることが好ましい。
【0025】
また、本発明のプラスチックチューブ製造装置は、ガス排出ライン(10)を備えていることが好ましい。ガス排出ライン(10)は、前記したガス供給ライン(7)からプラスチックチューブに供給されるプラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスをプラスチックチューブ内から排出するというものである。ガス排出ライン(10)が設けられていることにより、運転時、プラズマ発生領域を通過するプラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスの流速の制御を行いやすくなる。また、プラスチックチューブ製造装置が、運転時においてプラスチックチューブがニップロールなどにより閉じられ、プラズマ処理がこの閉鎖された空間内で行われるような構造のものである場合には、プラスチックチューブのサイズの微調整に便利であるし、また、排出したプラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスの再循環も可能である。
【0026】
ガス排出ライン(10)は、プラスチックチューブ製造装置の構造が、製造されるプラスチックチューブの最も下流側が開放されているようなものである場合には、この開放部に設けることもできる。しかし、最も有利な構造はガス供給ライン(7)で述べたと同じく、環状ダイス内を通過し、環状ダイスのダイスリップで囲まれた領域に出現しているというものである。
【0027】
また、上記したガス供給ライン(7)のガス噴き出し口(73)とガス排出ライン(10)のガス吸入口(101)が、運転時プラスチックチューブ内に発生するプラズマ発生領域によって隔絶されるごとく配されていることが望ましい。このようにガス供給ライン(7)のガス噴き出し口(73)とガス排出ライン(10)のガス吸入口(101)が配されていることにより、ガス供給ラインに供給したプラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスがスムーズにプラズマ発生領域を通過するようになるため、またプラスチックチューブ内面の周方向にわたるガス流速の分布を均一なものとできるため、プラズマ発生領域における最適なガス流速を達成するために必要とされるプラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスの流量を更に低く抑えることができる。
【0028】
また、プラスチックチューブ製造装置の引き取り手段(3)を、ニップロールとすることが望ましい。引き取り手段(3)を、ニップロールとすると、運転時においてプラスチックチューブがニップロールにより閉じられ、プラズマ処理がこの閉鎖された空間内で行われるようになり、プラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスの開放系への散失を防止できる。これは製造するプラスチックチューブが薄物の時に特に有効である。
【0029】
以下、本発明のプラスチックチューブ製造装置を、図面を参照しつつより具体的に説明する。図1は、本発明の内面処理機能を備えたプラスチックチューブ製造装置の一実施形態を示す模式図である。また、図2は図1で用いている接地側電極が兼ねたプラスチックチューブ安定部材の斜視図である(なお、図1では理解を助けるために、プラスチックチューブの径をより大きく強調して示した)。図3は図2の接地側電極が兼ねたプラスチックチューブ安定部材に取り付けられているスぺーサーの詳細図である。
この実施形態においてプラスチックチューブ製造装置(1)は、環状ダイス(22)を装着した押出機(2)、プラスチックチューブ冷却器、引き取り手段(3)としてのプラスチックチューブ巻き取り機等から構成される通常のパイプ製造装置が基本となっている。そしてこの装置に、環状ダイス内部を通過し、環状ダイスのダイリップで取り囲まれた領域へ出現したガス供給ライン(7)(プラズマ発生用ガス導入ライン(72)、処理ガス導入ライン(71))が設けられている。このような構造となっていることにより、運転時、プラスチックチューブ内にプラズマ発生用ガス、あるいは混合ガスを供給できる。なお、処理ガスによる表面処理を行わず単にプラズマによる表面処理を行う場合には、ガス供給ライン(7)のうち処理ガス導入ライン(71)を設ける必要はない。
【0030】
また、本発明のプラスチックチューブ製造装置には、プラズマを発生させるための接地された接地側電極(5)、及び高周波電源(6)に接続された高圧側電極(4)が装備されている。そして接地側電極(5)と高圧側電極(4)間に高圧交流電圧を印可することができる構造となっている。なお、本図では接地側電極(5)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材(8)がプラスチックチューブ内に配された例を示したが、高圧側電極(4)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材(8)をプラスチックチューブ内に配されるようにしてもよい(後述する形態においても同様)。
【0031】
そして図2に示すように、プラスチックチューブ安定部材(8)は概ね円柱形状である。該プラスチックチューブ安定部材(8)表面には、図3にその詳細を示した非導電材料からなるスぺーサー(9)が、ガス供給ラインのガス噴き出し口から供給されるプラズマ発生用ガスあるいは混合ガスの流れを妨げないように複数取り付けられている。なお、スぺーサー表面はプラスチックチューブ安定部材(8)と同心円状の曲面形状を有する。
【0032】
図4は本発明で用いられる、プラスチックチューブ安定部材(8)の他の例を示した図である。2組の連続した螺旋状スぺーサー(9)が、プラスチックチューブ安定部材(8)の外周表面に沿って取り付けてある。なお、該螺旋状のスぺーサー(9)は、部分的に途切れ部を有するものであってもよい。
【0033】
図5は、本発明の内面処理機能を備えたプラスチックチューブ製造装置の他の実施形態を示す模式図である。また、図6は図5のA−A’線での模式断面図である。
この実施形態において、プラスチックチューブ製造装置(1)は、環状ダイス(22)を装着した押出機(2)、エアーリング(11)、安定板(32)、引き取り手段(3)としてのニップロール、及び巻き取りロール(33)等から構成される通常のインフレーション式プラスチックフィルム成形装置が基本となっている。そしてこの装置に、環状ダイス内部を通過し、環状ダイスのダイリップで取り囲まれた領域へ出現したガス供給ライン(7)(プラズマ発生用ガス導入ライン(72)、処理ガス導入ライン(71))と、ガス排出ライン(10)が装備されている。このような構造となっていることにより、運転時、プラスチックチューブ内にガスを供給できるとともに、適宜これらのガスを排出することによりプラスチックチューブ内のガス濃度および圧力を所定の値に保つことができる。また、プラスチックチューブのサイズの微調整に便利である。さらに本例ではガス供給ライン(7)のガス噴き出し口(73)とガス排出ライン(10)のガス吸入口(101)はプラスチックチューブ内に発生するプラズマ発生領域によって隔絶されるごとく配されている。なお、処理ガスによる表面処理を行わず単にプラスチックチューブ内に発生するプラズマによる表面処理を行う場合には、ガス供給ライン(7)のうち処理ガス導入ライン(71)を設ける必要はない。また、本発明のプラスチックチューブ製造装置にはプラズマを発生させるための接地された接地側電極(5)、及び高周波電源(6)に接続された高圧側電極(4)が装備されている。そして接地側電極(5)と高圧側電極(4)間に高圧交流電圧を印可することができる構造となっている。ここで接地側電極(5)、高圧側電極(4)、及び環状ダイスのダイスリップ、さらに運転時に形成されるプラスチックチューブは同心位置関係となるように配置されている。そして、接地側電極(5)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材(8)は図2にその概要を示したものと同様のものを用いている。該接地電極は、概ね円柱状の形状を有しており、該電極自体がプラズマ発生領域を除いた領域のガスの流れを概ね遮断することができる構造となっており、運転時には、プラスチックチューブをスぺーサー(9)によってプラスチックチューブ安定部材(8)から隔てるようにして移動させることにより、プラスチックチューブの揺れ等を防ぐことができ、安定したプラズマ発生領域を確保することができる。
【0034】
一方、特開平8−57038号公報に示されたごとく、プラスチック、セラミックス等の絶縁体よりなる円筒状の縁体に接地側電極と高圧側電極とを二重螺旋状あるいは櫛状に装着したものを運転時プラスチックチューブの外周に配するような形態においても、本発明が適用可能である。すなわち、この形態に対応した構成としては、図2や図4に類するプラスチックチューブ安定部材(8)が運転時プラスチックチューブの内部に配されるようになる装置の構造が例示できる。なおこの場合、接地側電極あるいは高圧側電極がプラスチックチューブ安定部材(8)を兼ねるものではない。
【0035】
以上、本発明のプラスチックチューブ製造装置につき代表的な実施形態を例に取り説明してきたがこれらはあくまで例示であり、限定ではない。よって当業者によるこれらの例の変形は本発明の特許請求の範囲に示された思想範囲内にある限り、本発明の一部に含まれるものと考えられる。
【0036】
次いで本発明のプラスチックチューブの製造方法について説明する。
本発明のプラスチックチューブ製造方法は、前記したごとくの本発明のプラスチックチューブ製造装置を用いて、環状ダイスから押し出されるプラスチックチューブ内にプラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給し、高周波電源(6)により高圧側電極(4)と接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可し、プラスチックチューブ内にプラズマを発生させプラスチックチューブの内面を処理するというものである。以下その詳細を説明する。
【0037】
本発明で使用されるプラズマ発生用ガスは、プラズマを発生させるためのガスであり、希ガスあるいは窒素ガスが使用可能である。そしてプラズマ発生用ガスの中で最も好ましいのはヘリウムであり、アルゴンも好適に用いることができる。
【0038】
一方、処理効果を向上させるために前記プラズマ発生用ガスに添加する処理ガスは、表面処理の目的に応じて適宜選択される。例えば、シート状物に撥水性を付与するためには、4弗化エチレン、6弗化プロピレン等のフッ化エチレン列炭化水素化合物、4弗化メタン、6弗化エタン等のフッ素化メタン列炭化水素化合物、またはフッ素原子を含む側鎖のついた鎖状炭化水素、あるいはフッ素化芳香族炭化水素などの官能基を有する有機化合物を用いることができる。
【0039】
また、処理ガスとして以下のような酸素元素含有化合物、窒素元素含有化合物、硫黄元素含有化合物を用いて、基材表面にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることが出来る。
【0040】
前記酸素元素含有化合物としては、酸素、オゾン、水(水蒸気)、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含有する有機化合物等が挙げられる。前記酸素元素含有化合物と水素を混合して用いてもよい。さらに、前記酸素元素含有化合物と、メタン、エタン等の炭化水素化合物のガスを混合して用いてもよい。又、前記酸素元素含有化合物に50体積%以下でフッ素元素含有化合物を添加することにより親水化が促進される。フッ素元素含有化合物としては前記例示と同様のものを用いればよい。
【0041】
前記窒素元素含有化合物としては、窒素、アンモニア等が挙げられる。また、前記硫黄元素含有化合物としては、二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。また、硫酸を気化させて用いることも出来る。
【0042】
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーを処理ガスとして用いることにより、親水性の重合膜を堆積させることも出来る。前記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜の堆積が可能である。
【0043】
前記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0044】
前記親水性モノマーのうち固体のものは、そのままあるいは溶媒に溶解させたものを減圧等の手段により気化させて用いる。
【0045】
又、処理ガスとして、金属含有化合物が好適に使用できる。金属としては、例えば、Al、As、Bi、B、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Ga、Ge、Au、In、Ir、Hf、Fe、Pb、Li、Na、Mg、Mn、Hg、Mo、Ni、P、Pt、Po、Rh、Sb、Se、Si、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Y、Zn、Zr等の金属が挙げられ、該金属を含有する化合物としては、金属有機化合物、金属−ハロゲン化合物、金属−水素化合物、金属アルコキシド等の処理ガスが挙げられる。
【0046】
具体的に金属がSiである場合を例にとって説明すると、テトラメチルシラン〔Si(CH3)4〕、ジメチルシラン〔Si(CH3)22〕、テトラエチルシラン〔Si(C25)4〕等の有機金属化合物;4フッ化珪素(SiF4)、4塩化珪素(SiCl4)、2塩化珪素(SiH2Cl2)等の金属ハロゲン化合物;モノシラン(SiH4)、ジシラン(SiH3SiH3)、トリシラン(SiH3SiH2SiH3)等の金属水素化合物;テトラメトキシシラン〔Si(OCH3)4〕、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4〕等の金属アルコキシド等が挙げられる。
【0047】
前記の金属含有化合物が常温で気体であれば、放電空間にそのまま導入することができるが、液体、固体状であれば、気化装置を経て放電空間に導入すればよい。このような処理ガスを用いることによりSiO2、TiO2、SnO2、ZnO等の金属酸化物薄膜を形成させ、基材表面に電気的、光学的機能を付与することが出来る。
【0048】
なお、前記した処理ガスとして用いる化合物は、単独で用いてもよく、その目的によっては2種以上を併用してもよい。また、前記処理ガスとプラズマ発生用ガス(希ガス)を混合して用いる場合の混合割合は、使用するプラズマ発生用ガスと処理ガスの種類によって適宜決定されるが、処理ガスの濃度が10体積%を超えると、高圧交流電圧を印可しても均一な放電プラズマの発生が難しくなることから、0.01〜10体積%が好ましく、より好ましくは0.01〜5体積%である。
【0049】
また、本発明において処理が可能なプラスチックチューブの材質としては、押出成形が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエステル、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン等が上げられるが、これに限定されるものではない。
【0050】
次に、本発明のプラスチックチューブの製造方法を、図1、5を参照しつつ説明する。なお、図1、5で示された装置の構成は前述したとおりである。
図1で示す装置を使用した場合、まず通常のプラスチックチューブ(パイプ)製造プロセスでのプラスチックチューブの連続製造を開始したのちに、プラズマ発生用ガス導入ライン(72)を利用し、プラスチックチューブ内部にヘリウム等のプラズマ発生用ガスを導入する。その後、プラズマ発生用ガス導入ライン(72)からプラズマ発生用ガスあるいは混合ガスを連続的に導入し、高圧側電極(4)に高周波電源(6)から高圧交流電圧を印可してプラズマ発生領域を形成し処理を行う。ここにおいて接地側電極(5)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材(8)の周囲に取り付けられたスペーサー(9)によってプラスチックチューブ(12)が、プラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動し、両者間に安定なプラズマ発生領域を確保できる。
【0051】
次いで、図5で示す装置を使用した場合、まず通常のプラスチックチューブ製造プロセスでのプラスチックチューブの連続製造を開始したのちに、プラズマ発生用ガス導入ライン(72)及び排気ライン(10)を利用し、プラスチックチューブ内圧を保持しながらプラスチックチューブ内部をヘリウム等のプラズマ発生用ガスに置換する。その後、前記プラスチックチューブ内の圧力を保持するように、排気ライン(10)からプラスチックチューブ内のガスを排出しながらプラズマ発生用ガス導入ライン(7)からプラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを連続的に導入し、高圧側電極(4)に高周波電源(6)から高圧交流電圧を印可してプラズマ発生領域を形成し処理を行う。ここにおいて接地側電極(5)が兼ねたプラスチックチューブ安定部材(8)の周囲に取り付けられたスペーサー(9)によってプラスチックチューブ(12)が、プラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動し、両者間に安定なプラズマ発生領域を確保できる。
【0052】
接地電極(5)及び高圧側電極(4)は、運転時においてプラスチックチューブ(12)が冷却固化し径が固定される線、所謂フロストラインよりも下流側の領域に、同軸中心の状態で間にプラスチックチューブ(12)を介して対向するかたちで配置されることが望ましい。
【0053】
【実施例】
以下本発明を、実施例により、より詳細に説明する。
【0054】
[実施例1]
図5に概略を示したプラスチックチューブ連続製造装置を製作した。製造装置の基本となるインフレーションプラスチックチューブ製造装置としては、東洋精機株式会社製「ラボプラストミル50MR」一軸押出機(20mm径、L/D25のフルフライトスクリュー)を用いた。これにガス導入ライン及び排気ラインを設けたダイリップ径25mmの環状ダイス、およびエアーリングを取り付け、安定板、ニップロール、及び巻き取り機等の付属機器を装備した。なお、ダイス上面からニップロールまでの距離は約700mmであった。そして、図2に概略を示したように外周表面に長さ(L)約15mm、幅(W)約5mm、厚み(H)約1mmのポリテトラフルオロエチレン樹脂製のスぺーサーを30個取り付けた外径44mm高さ50mmでアルミニウム製の円柱形状を有する接地側電極(プラスチックチューブ安定部材を兼ねる)を、その下端がダイス上面から約300mmの位置になるように、また、ダイスリップと同心状となるように環状ダイスのダイリップに取り囲まれた領域に取り付けられた支持具により取り付けた。さらに図5に示すごとく二分割された内径48mm厚み4mm高さ50mmのアルミニウム製の円筒形状を有する高圧側電極を、プラスチックチューブ内の接地側電極と同心円で対向する位置に設置した。なお、二分割された高圧側電極はいずれもスライド式に後退できる構造とし、製造スタート時の作業性の向上を図った。さらに、13.56MHzの高圧交流電圧を印可できる高周波電源を高圧側電極に接続した。また環状ダイスにはガス供給ラインとガス排出ラインを設けこれらがダイスリップで囲まれた領域に出現する構造とした。そしてガス供給ラインのガス噴き出し口の位置が、接地側電極より下側で、ガス排出ラインのガス吸入口が接地側電極より上側となるようにした。このようにして本発明のプラスチックチューブ製造装置を製作した。
【0055】
上記した装置を用いて、住友化学工業株式会社製低密度ポリエチレンF208−0を原料とし、ニップロールの引取り速度1.5m/minでプラスチックチューブ外径約46mm厚み約100μmのプラスチックチューブの製造を開始した。このとき、プラスチックチューブはスぺーサー表面を沿って移動するようにした。次にガス導入ラインおよび排気ラインを操作することでプラスチックチューブ内のガス圧、ならびにプラスチックチューブの外径寸法を保持したままでプラスチックチューブ内をヘリウムに置換した。さらに、この状態で、ガス導入ラインおよびガス排気ラインを操作することで1L/minのヘリウムに加え酸素ガス5mL/minを連続導入した。次いで、二分割されスライド式に後退させていた高圧側電極を元の位置に戻し、プラスチックチューブ内の接地側電極と同心円で対向する位置に設置した。このとき、プラスチックチューブと接地側電極及び高圧側電極との間隔はそれぞれ約1mmであった。次いで、高周波電源より高圧側電極に13.56MHzの高圧交流電圧を印可するとプラスチックチューブと接地電極間のスぺーサーが取り付けられている領域以外の領域にプラズマが発生した。なお発生したプラズマは非常に安定なものであった。このようにして内面処理ポリエチレンチューブを得た。処理前のポリエチレンチューブ内面の水に対する接触角が98.5°であったのに対し、処理後のポリエチレンチューブ内表面のそれは70.6°であり明らかに処理効果が認められた。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、大気圧グロー放電プラズマを利用してプラスチックチューブ内面を処理するにあたり、大口径のプラスチックチューブの内表面処理を実施する場合でもプラスチックチューブ内部での安定なプラズマ発生領域を確保することができるプラスチックチューブ製造装置が提供される。さらに、同装置を用いたプラスチックチューブの製造方法が提供される。本発明のプラスチックチューブ製造装置および、プラスチックチューブの製造方法により製造できる内面が処理されたプラスチックチューブは従来のものに比べ均一な処理がなされており、またコスト的に有利なものであり、各用途において有用に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラスチックチューブ製造装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】 プラスチックチューブ安定部材の斜視図である。
【図3】 図2のプラスチックチューブ安定部材に取り付けらるスぺーサーの投影図である。
【図4】 プラスチックチューブ安定部材の他の例を示す斜視図である。
【図5】 本発明のプラスチックチューブ製造装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図6】 図5のA−A’線での模式断面図である。
【符号の説明】
1. プラスチックチューブ製造装置
2. 押出機
22. 環状ダイス
3. 引き取り手段
32. 安定板
33. 巻取りロール
4. 高圧側電極
5. 接地側電極
6. 高周波電源
7. ガス供給ライン
71. 処理ガス導入ライン
72. プラズマ発生用ガス導入ライン
73. ガス噴き出し口
8. プラスチックチューブ安定部材
9. スぺーサー
10. ガス排出ライン
101.ガス吸入口
11. エアーリング
12 プラスチックチューブ

Claims (6)

  1. ・環状ダイスを備えた押出機(2)、
    ・環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブを所定の速度で引き取るための引き取り手段(3)、
    ・高圧側電極(4)、
    ・接地側電極(5)、
    ・高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可するための高周波電源(6)、
    ・運転時、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給するためのガス供
    給ライン(7)、を備え、運転時、高圧側電極(4)、接地側電極(5)間に高周波電源(6)から高圧交流電圧を印可することによりプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生させることができ、更に、
    ・運転時プラスチックチューブ内に位置し、その外周表面に一定の厚みを有するスぺーサー(9)が、運転時大気圧グロー放電プラズマ発生領域におけるガスの流れを確保できる状態で外周に沿って連続した螺旋状に、あるいは、部分的に途切れ部を有する螺旋状に取り付けられているプラスチックチューブ安定部材(8)、を備えた装置であって、運転時プラスチックチューブが該スぺーサー(9)によりプラスチックチューブ安定部材(8)から隔てられつつ移動することで、プラスチックチューブとプラスチックチューブ安定部材(8)間に大気圧グロー放電プラズマ発生領域を確保できる構造となっていることを特徴とするプラスチックチューブ製造装置。
  2. プラスチックチューブ安定部材(8)が大気圧グロー放電プラズマ発生領域を除いた領域のガスの流れを概ね遮断する構造であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックチューブ製造装置。
  3. 運転時、環状ダイスから押し出され冷却固化されたプラスチックチューブ内にガス供給ライン(7)を通じて供給されるガスを排出するためのガス排出ライン(10)を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチックチューブ製造装置。
  4. ガス供給ライン(7)のガス噴き出し口とガス排出ライン(10)のガス吸入口が、運転時プラスチックチューブ内に発生する大気圧グロー放電プラズマ発生領域によって隔絶されるごとく配されていることを特徴とする請求項3に記載のプラスチックチューブ製造装置。
  5. 引き取り手段(3)が、ニップロールであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプラスチックチューブ製造装置。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載のプラスチックチューブ製造装置を用いて、環状ダイスから押し出されるプラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマ発生用ガスあるいは該ガスと処理ガスとの混合ガスを供給し、高周波電源(6)により高圧側電極(4)と接地側電極(5)間に高圧交流電圧を印可し、プラスチックチューブ内に大気圧グロー放電プラズマを発生させ、プラスチックチューブの内面を処理することを特徴とするプラスチックチューブの製造方法。
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