JP2002085579A - 壁面埋め込み型消火器ケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 小さな開口面積で設置可能な壁面埋め込
み型消火器ケースを提供する。 【解決手段】 壁面埋め込み型消火器ケース（１）は、
少なくとも、両側面壁（２，２’）、背面壁（３）、上
面壁（４）、及び底面壁（５）からなり、消火器を収容
するに十分な高さ寸法Ｈを有する。ケース（１）の前面
（６）には、少なくとも上記高さ寸法Ｈの１／２の高さ
寸法Ｈ１の開口（６ａ）が設けられ、前面の残りの部分
（前面下部）は閉鎖面（６ｂ）として形成され、建物壁
面に埋め込まれた際に、上記開口（６ａ）のみが壁面に
出現するようになされている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、壁面埋め込み型消
火器ケースに関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の壁面を美的に印象づける要請か
ら、これまでにも壁面埋め込み型消火器ケースは多数提
案されている。しかし、消火器の縦方向の所定長さ寸法
ゆえに、壁面埋め込み型消火器ケースの長さ寸法も所定
長さを必要とせざるを得ず、開口部が大きくなってしま
う。このような壁面埋め込み型消火器ケースを、例えば
病院の廊下など、壁面の所定高さ位置にストレッチャー
などの衝突を防止するための保護カバーや手摺などが設
置されている壁面に埋め込む場合には、保護カバーや手
摺の一部を切断して、壁面埋め込み型消火器ケースを設
置していた。このように保護カバーや手摺の一部を切断
することは、美観を損なうばかりでなく、手摺を必要と
する患者等の歩行時の負担を大きくするという問題があ
る。

【０００３】あるいは、壁面埋め込み型消火器ケースを
横長に形成して、消化器を横にして配置する壁面埋め込
み型消火器ケースも提案されている。しかし、消火器を
横にして配置すると、火災時に消火器を取り出して消火
作業を行うために、横に寝た状態で保管されている消火
器を、消火作業に適する起立姿勢に立て直す必要があ
る。消火薬剤が充填されている消火器は一般に重量が重
く、緊急時に消火器を立て直すことは不便である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、手
摺や保護カバー等を壁面に設置する必要上、消火器を縦
置きにした状態で保管するためには十分な高さ寸法を確
保できない壁面に埋め込むことができる壁面埋め込み型
消火器であって、消火器を縦置きにした状態で保管可能
であり、且つ消火作業時に速やかに消火器を取り出すこ
とができる壁面埋め込み型消火器を提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、壁面埋
め込み型消火器ケースであって、少なくとも、両側部、
上部、及び底部を具備し、上記上部及び底部の間の距離
が、消火器を縦置きにして収容するに十分な高さ寸法と
なるように形成され、前面には、上記高さ寸法の少なく
とも１／２の高さ寸法の開口が設けられていて、上記壁
面埋め込み型消火器ケースを建物壁面に埋め込んだ設置
状態で、上記開口が建物壁面に出現するようになされて
いることを特徴とする壁面埋め込み型消火器ケースが提
供される。

【０００６】前記開口は、前記消火器ケース前面の上側
又は下側のいずれかに偏って設けられていることが好ま
しい。また、前記前面開口には、開閉自在なドアが取り
つけられていることが好ましい。この場合には、壁面埋
め込み型消火器ケース内に保管されている消火器に対す
るいたずら防止や、建物壁面の美観に対する考慮を図る
ことができる。

【０００７】さらに、背面部を有し、上記背面部には、
消火器の係止部に係合して上記消火器を静止状態に保持
するための保持具が取りつけられていることが好まし
い。かかる保持具を設けることによって、壁面埋め込み
型消火器ケース内に消火器を常に一定の高さ位置に保持
することができるとともに、用途に応じて異なる寸法の
消火器を、消火器の寸法に限定されることなく１種類の
高さ寸法の消火器ケース内に保管することができる。

【０００８】

【好ましい実施形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。

【０００９】図１〜図３に、本発明の壁面埋め込み型消
火器ケースの一実施形態を示す。図１に、本発明の壁面
埋め込み型消火器ケースの概略斜視図を示す。本実施形
態において、壁面埋め込み型消火器ケース１は、少なく
とも、両側面壁（両側部）２，２’、背面壁３、上面壁
（上部）４、及び底面壁（底部）５からなり、消火器を
収容するに十分な高さ寸法Ｈを有する。ケース１の前面
６には、少なくとも上記高さ寸法Ｈの１／２の高さ寸法
Ｈ１の開口６ａが設けられ、前面の残りの部分（前面下
部）は閉鎖面６ｂとして形成され、建物壁面に埋め込ま
れた際に、上記開口６ａのみが壁面に出現するようにな
されている。背面壁３は、前面６と平行に延びる平面３
ａ及び該平面３ａから両側面壁２，２’に向かって斜め
方向に延びて両側面壁２，２’と接合する斜面３ｂ、
３’ｂからなり、円筒形の消火器１５の位置決めを容易
になし得るように形成されている。さらに、背面壁３に
は、図３に最もよく示されるように、高さ方向の中点よ
りも上方に、フック形状の保持具７が取りつけられてい
て、消火器１５に設けられているコ状の突起１７を掛け
ることによって、消火器１５を静止状態に保持するよう
になされている。また、壁面埋め込み型消火器１の前面
６には、開口６ａよりも上方に突出するように「消火
器」の文字を記した表示板８が取りつけられている。消
火器１５は、壁面埋め込み型消火器ケース１内部に、消
火器１５の取っ手部分１６へのアクセスが容易に行える
方向に向けられて、消火器１５本体の上半分が開口６ａ
から見えるように収納されている。なお、本実施形態で
は、消火器ケース１を５面の完全な壁及び開口を有する
前面からなるほぼ六面体形状で示しているが、フレーム
のみからなるブラケット形態であってもよい。

【００１０】図２には、本発明の壁面埋め込み型消火器
ケース１が建物の壁面Ｗの凹所Ｗ１に埋め込まれた際の
正面図を示し、図３は図２の縦断側面図を示す。壁面Ｗ
には、床面Ｆから約１０ｃｍまでの高さ寸法を有するソ
フト幅木ＳＷと、このソフト幅木ＳＷのわずか上方に約
２０ｃｍの高さ寸法を有するキックガードＫＧと、床面
から約８０ｃｍの位置にストレッチャー接触防止用の上
部ガード又は手摺ＳＧと、が設けられている。このよう
な幅木やガードは、例えば病院等の壁面に一般的に設け
られている接触防止部材である。本発明の壁面埋め込み
型消火器ケース１は、開口６ａがキックガードＫＧと上
部ガードＳＧとの間に現れ、前面下部６ｂがキックガー
ドＫＧ及びソフト幅木ＳＷの背面側に隠れるように位置
づけられて埋め込まれる。

【００１１】本実施形態の壁面埋め込み型消火器ケース
１を建物壁面に取りつける際には、慣用の施工方法を制
限なく用いることができる。例えば、建物の建築過程に
おいて、壁面を形成する工程で、軽量鉄骨にタッピング
ビス又は溶接等によって、取り付け用ブラケット（図示
せず）を固定し、該取り付け用ブラケットの所定位置に
壁面埋め込み型消火器ケース１を位置づけて、ネジ止め
などによって固定する。

【００１２】本実施形態において、壁面埋め込み型消火
器ケースの具体的な寸法は、高さ寸法Ｈが６０７．２ｍ
ｍ、開口６ａの高さ寸法Ｈ１が３２４ｍｍ、表示板８の
高さ寸法Ｈ３が８８ｍｍ、ケースの奥行き寸法Ｄが２２
０ｍｍ、ケースの幅寸法Ｊが２５７．２ｍｍ、保持具７
の取り付け位置のケースの底面壁５からの高さ寸法Ｈ４
が３７７ｍｍである。この寸法の壁面埋め込み型消火器
ケースを用いる場合には、一般的に病院等で用いられる
消火器（薬剤量３．５ｋｇ、総重量約６．３ｋｇ、高さ
５１０ｍｍ）を収納することができ、しかも緊急時の取
り出しに支障がないことを確認した。

【００１３】前面開口６ａの高さ寸法Ｈ１は、壁面埋め
込み型消火器ケース１の全体の高さ寸法Ｈの少なくとも
１／２の大きさに設けられているから、緊急時に消火器
１５を容易に取り出すことができる。一方、壁面埋め込
み型消火器ケース１を建物壁面Ｗに埋め込んだ際に、消
火器ケース１全体が壁面Ｗに出現するのではなく、全体
の高さ寸法の少なくとも１／２の高さ寸法の開口６ａの
みが出現するので、消火器ケース１の全体高さ寸法の約
１／２は壁面Ｗに隠蔽され、例えば、手摺ＳＧ、キック
ガードＫＧ、ソフト巾木ＳＧなどを、壁面Ｗに、廊下全
長にわたって、切断する必要なく、設けることができ
る。

【００１４】図４〜図６には、本発明の壁面埋め込み型
消火器ケースの別の実施形態を示す。この実施形態にお
いては、図１における前面開口６ａにドアを設け、「消
火器」の表示板８を省略した以外は、図１〜図３の実施
形態と同じであるから、同じ構成要素には同じ参照符号
を付して説明を割愛し、異なる構成部分のみを説明す
る。

【００１５】図４は、ドア付の壁面埋め込み型消火器ケ
ース１０を壁面に埋め込んだ状態の正面図であり、図５
は図４の側面図、図６は図４の上面図である。壁面埋め
込み型消火器ケース１０には、前面開口６ａに、側面壁
２に取りつけられた２個のスライド丁番１１を介して、
ドア１２が開閉自在に設けられている。ドア１２には、
「消火器」の表示が付されているので、別個の表示板は
不要である。ドア１２の高さ寸法Ｈ１は、ドア付き壁面
埋め込み型消火器ケース１０の高さ寸法Ｈの少なくとも
１／２である。

【００１６】この実施形態において、具体的な数値を挙
げると、壁面埋め込み型消火器ケースの高さ寸法Ｈは６
９３．６ｍｍ、ドア１２（すなわち開口６ａ）の高さ寸
法Ｈ１は４３０ｍｍ、ケースの奥行き寸法Ｄ１が最大２
２０ｍｍ、ケースの幅寸法Ｊ１が２５７．２ｍｍ、ドア
１２の幅寸法Ｋが２９０ｍｍ、保持具７の取り付け位置
のケースの底面壁５からの高さ寸法Ｈ５が３７７ｍｍで
ある。この寸法の壁面埋め込み型消火器ケースを用いる
場合には、一般的に病院等で用いられる消火器（薬剤量
３．５ｋｇ、総重量約６．３ｋｇ、高さ５１０ｍｍ）を
収納することができ、しかも緊急時の取り出しに支障が
ないことを確認した。

【００１７】本発明の壁面埋め込み型消火器ケースは、
上述の実施形態に限定されず、種々変更が可能である。
例えば、前面開口６ａの高さ寸法Ｈ１は、消火器ケース
全体の高さ寸法Ｈの１／２以上であればよく、キックガ
ード等の下部ガード部材の寸法に応じて、もっと大きく
してもよい。また、ドア１２を設ける場合には、ドアは
開閉自在であればよく、右開き、左開き、観音開きで
も、上方に開いても、下方に開いてもよい。さらに、ド
アに限られず、シャッター型式でも、蛇腹型式でもよ
い。

【００１８】

【発明の効果】本発明の壁面埋め込み型消火器ケースに
よれば、前面開口の高さ寸法が消火器ケースの全高さ寸
法の少なくとも１／２であり、建物の壁面に埋め込んで
設置する場合に壁面に出現する高さ寸法が従来の壁面埋
め込み型消火器ケースの半分程度で足りるため、建物の
壁面に消火器取り出し用の開口を設けるために必要な高
さ寸法が充分に確保できない場合であっても、支障なく
壁面に埋め込んで設置することができる。よって、壁面
にガード部材を設ける必要があり、消火器ケース設置用
の高さ寸法が制限される場所、例えば、病院の廊下等、
キックガードや手摺を壁面全長にわたって設ける必要が
ある場所でも、キックガードや手摺の一部を切断する必
要なく、本発明の壁面埋め込み型消火器ケースを設置す
ることができる。また、消火器ケースの高さ寸法の少な
くとも１／２の高さ寸法の開口が前面に設けられてい
て、壁面に出現するように構成されているので、緊急時
には消火器を容易に取り出すことができる。さらに、開
口に所望のドアを設けるなどして、壁面に埋め込まれた
際の美観を損なうことなく、壁面埋め込み型消火器ケー
スを設置することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の壁面埋め込み型消火器ケース
の一実施形態の概略斜視図である。

【図２】図２は、図１の壁面埋め込み型消火器ケースが
壁面に埋め込まれた際の正面図である。

【図３】図３は、図２の縦断面図である。

【図４】図４は、本発明の別の実施形態の壁面埋め込み
型消火器ケースが壁面に埋め込まれた状態を示す正面図
である。

【図５】図５は、図４の縦断面図である。

【図６】図６は、図４中ＶＩ−ＶＩ線に沿う横断面図で
ある。

【符号の説明】

１：壁面埋め込み型消火器ケース ２、２’：側面壁 ３：背面壁 ４：上面壁 ５：底面壁 ６：前面 ６ａ：前面開口 ６ｂ：前面下部 ７：保持具 １０：ドア付き壁面埋め込み型消火器ケース １２：ドア

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁面埋め込み型消火器ケースであって、 少なくとも、両側部、上部、及び底部を具備し、 上記上部及び底部の間の距離が、消火器を縦置きにして
   収容するに十分な高さ寸法となるように形成され、 前面には、上記高さ寸法の少なくとも１／２の高さ寸法
   の開口が設けられていて、 上記壁面埋め込み型消火器ケースを建物壁面に埋め込ん
   だ設置状態で、上記開口が建物壁面に出現するようにな
   されていることを特徴とする壁面埋め込み型消火器ケー
   ス。
2. 【請求項２】 請求項１の壁面埋め込み型消火器ケース
   であって、前記開口は、前記消火器ケース前面の上側又
   は下側のいずれかに偏って設けられていることを特徴と
   する壁面埋め込み型消火器ケース。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２の壁面埋め込み型
   消火器ケースであって、前記前面開口には、開閉自在な
   ドアが取りつけられていることを特徴とする壁面埋め込
   み型ケース。
4. 【請求項４】 請求項１〜請求項３のいずれか１項記載
   の壁面埋め込み型消火器ケースであって、さらに、背面
   部を有し、上記背面部には、消火器の係止部に係合して
   上記消火器を静止状態に保持するための保持具が取りつ
   けられていることを特徴とする壁面埋め込み型消火器ケ
   ース。