JP2002080983A - 酸洗液中浮遊物の除去装置 - Google Patents

酸洗液中浮遊物の除去装置

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JP2002080983A
JP2002080983A JP2000271739A JP2000271739A JP2002080983A JP 2002080983 A JP2002080983 A JP 2002080983A JP 2000271739 A JP2000271739 A JP 2000271739A JP 2000271739 A JP2000271739 A JP 2000271739A JP 2002080983 A JP2002080983 A JP 2002080983A
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pickling solution
filter
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Katsumasa Tanaka
勝正 田中
Tamotsu Shozaki
保 正▲崎▼
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 線材の酸洗処理工程で使用する酸洗液の劣化
を抑制して寿命を延長し使用量を低減するための酸洗液
中の未溶解鉄分等浮遊物の除去装置を提供する。 【解決手段】駆動ローラ2aと従動ローラ2b間に張架
され、一部を酸洗液9に浸漬されながらエンドレスに回
転するコンベアベルト状のメッシュフィルタ4で濾し取
られた浮遊物10を酸洗液9の液面より上方でフィルタ
清掃手段5によりメッシュフィルタ4から取り除き、浮
遊物排出口6から酸洗槽8外へ取出すようにしたことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線材の酸洗処理工
程で使用する酸洗液の劣化を抑制して寿命を延長し使用
量を低減するための酸洗液中の未溶解鉄分等浮遊物の除
去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】線材の二次製品加工の工程においては、
熱間圧延後の線材に対して、三次製品加工の工程である
部品製作加工をしやすくするため、熱処理、酸洗、皮膜
処理、冷間伸線といった一連の処理および加工が一般的
に行なわれている。
【0003】すなわち、熱間圧延後の線材および二次製
品加工の工程中に熱処理された線材の表面には通常、鉄
酸化物(FeO、Fe23 等)を主体とするスケール
が発生する。このスケールを除去(脱スケール)する処
理方法には機械的方法と化学的方法とがあり、さらに後
者には、線材をストランド上で走行させて連続的に酸洗
処理を行なうストランド方式と、線材をコイル状のまま
酸洗液中に浸漬させるバッチ方式とがある。これらの処
理方法は、線材の用途、工場の立地条件、あるいは線材
の表面状態などに応じて使い分けられるが、生産性の高
いバッチ式酸洗法が広く利用されている。酸洗により脱
スケールされた線材は、冷間伸線を容易にするため、さ
らに皮膜処理が施される。
【0004】バッチ式酸洗法を用いる線材の酸洗・皮膜
処理工程においては、例えば、図5に示すように、コイ
ル状線材搬入側から処理槽が6槽程度直列に配置される
のが一般的である。この場合、図6に示すように、搬入
側でヘアピンフックと呼ばれる吊り具12に懸吊された
コイル状線材11は、搬送装置13で吊り具12ごと吊
り下げられNo.1酸洗槽8の酸洗液9中に適当な時間
浸漬され処理され、次いで、移動して同様に、No.2
酸洗槽の酸洗液中に浸漬される。酸洗液としては、塩酸
もしくは硫酸等が用いられる。このようにして吊り具1
2に懸吊されたコイル状線材11は順次処理されてい
く。No.3酸洗槽で酸洗された線材は、シャワー槽で
散水によりあら洗浄された後、さらに水洗槽の水洗用水
に浸漬されて完全に洗浄された後、皮膜処理槽の消石灰
液等に浸漬され皮膜処理される。
【0005】酸洗槽において同じ酸洗液を継続的に使用
して次々と新たなコイル状線材を酸洗処理していくと、
線材の処理量が増加するとともに酸洗液の酸濃度は低下
し、鉄分(第1鉄イオンFe2+)濃度は上昇していく。
そして、酸濃度が一定の基準値を下回わるか、あるいは
鉄分が一定の基準値を超えるかすると、酸洗処理後の線
材表面にスケール残り等の製品品質上致命的な欠陥が発
生する。また次工程へ進めない状況となり生産工程上も
非常に大きな問題となる。そのため、酸洗液の酸濃度お
よび鉄分の管理が操業上非常に重要である。
【0006】ここで、酸洗液による脱スケールの機構を
以下に説明する。
【0007】酸洗液として硫酸水溶液を用いる場合、以
下の式(1) 〜(4) に示す反応が進行する。
【0008】 Fe+H2 SO4 →FeSO4 +H2 …… (1) FeO+H 2SO4 →FeSO4 +H2 O …… (2) Fe23 +3H2 SO4 →Fe2 (SO43 +3H2 O …… (3) Fe2 (SO43 +H2 →2FeSO4 +H2 SO4 …… (4) 線材の生地部分の金属鉄(Fe)の一部は、式(1)に示
すように、硫酸(H2SO4 )により酸腐食して水素ガ
ス(H2 )を発生しながら可溶性の硫酸第1鉄(FeS
4 )となって酸洗液中に溶解する。一方、スケールの
主成分である酸化鉄のうちFeOは、式(2)に示す反応
により硫酸第1鉄(FeSO4 )となって同様に酸洗液
中に溶解する。また、Fe23 は、式(3)に示すよう
に、硫酸(H2 SO4 )との反応により一旦、難溶性の
硫酸第2鉄(Fe2 (SO43)となるが、式(1)で示
す反応で発生した水素ガス(H2 )で直ちに式(4) に示
す反応により可溶性の硫酸第1鉄(FeSO4 )に還元
され酸洗液中に溶解する。いずれの鉄分(Fe、Fe
O、Fe23 )とも最終的には可溶性の硫酸第1鉄
(FeSO4 )となって酸洗液中に溶け込み、第1鉄イ
オン(Fe2+)の形で存在する。
【0009】酸洗液として塩酸水溶液を用いる場合に
は、以下の式(5) 〜(8) に示す反応が進行する。
【0010】 Fe+2HCl→FeCl2 +H2 …… (5) FeO+2HCl→FeCl2 +H2 O …… (6) Fe23 +6HCl→2FeCl3 +3H2 O …… (7) 2FeCl3 +H2 →2FeCl2 +2HCl …… (8) この場合においても、上記の硫酸の場合と同様の反応に
より、いずれの鉄分(Fe、FeO、Fe23 )とも
最終的には可溶性の第1塩化鉄(FeCl2 )となって
酸洗液中に溶け込み、第1鉄イオン(Fe2+)の形で存
在する。
【0011】このようにして、線材表面のスケールは化
学反応により可溶性物質に変えられ酸洗液中に溶け込む
ことによって除去される。ただし、この際、線材表面の
金属鉄の一部も化学反応により可溶性物質に変えられ酸
洗液中に溶け込んでしまういわゆる酸腐食が起こる。
【0012】上記の説明から明らかなように、硫酸、塩
酸いずれを用いた場合にも、線材の酸洗処理量が増加す
るとともに酸洗液中の酸濃度は低下し、反対に第1鉄イ
オン(Fe2+)の濃度が上昇する。この第1鉄イオン
(Fe2+)濃度の上昇は、酸腐食速度を抑制する効果が
ある反面、脱スケール時間が長くなる悪影響がある。
【0013】一般に、酸洗液中の鉄分(Fe2+)濃度の
上限は、硫酸液の場合で約100g/l、塩酸液の場合
で約120g/lが目安とされている。この上限値以下
の鉄分濃度においては、酸洗液に新しい酸を追加して酸
濃度を維持し、あるいは酸洗液の温度を上昇させて反応
速度を上昇させることなどにより酸洗液を継続して使用
することが可能である(酸濃度は、酸洗液の種類、温度
により異なるが、一般的には、10〜25質量%程度の
範囲で管理され、3〜5質量%になると廃棄される)。
しかし、この上限値を超える鉄分濃度になると、新しい
酸を追加したり、温度を上昇させても脱スケール効果が
回復しないばかりか、それまで溶解していた第1鉄イオ
ン(Fe2+)が、溶解度を超えてしまうため、FeSO
4 ・7H 2 OやFeCl2 ・4H2 Oの結晶となって析
出し、線材の表面や酸洗槽の壁面に付着して水洗程度で
は除去できなくなる問題が生じる。
【0014】したがって、酸洗処理後の線材の品質を良
好に維持しつつ酸洗処理工程でのトラブルを防止するた
めには、鉄分濃度が上限値を超える前に新しい酸洗液に
取り替える必要がある。しかし、複数の酸洗槽で処理を
行なうバッチ式酸洗法においては、各酸洗槽の酸洗液を
その鉄分が管理上限値を超えるたびに新しい酸洗液に取
り換えることは、酸の消費量が増加して処理コストの増
大を招くことに加え、酸洗液の成分の変動が大きく、一
定した酸洗処理が行なえず自動化が困難であった。そこ
で近年、酸洗液を有効に利用して酸の消費量を低減しつ
つ酸洗液の成分変動を少なくして自動化が容易に行なえ
る技術としていわゆる酸液建浴システムが確立されてい
る。
【0015】このシステムによる酸洗液の成分の調整は
以下のように行われる。線材搬入側のNo.1酸洗槽の
酸洗液は、最も液汚れが激しく劣化が速い。それに対し
て、No.2酸洗槽、No.3酸洗槽へと処理が進むに
したがい、酸洗液の劣化度合いは緩やかになる。線材の
処理量が増加して酸洗液の劣化が進行し、No.1酸洗
槽の酸洗液の液濃度(酸濃度、鉄分濃度)が管理限界値
を外れたとき、この酸洗液を屋外ピット等へ全量排出し
てNo.1酸洗槽を空にする。ついで、No.2酸洗槽
の酸洗液を全量No.1酸洗槽へポンプにて移送する。
液の移送後、No.1酸洗槽の酸洗液に必要により新し
い酸を追加して所定の液濃度に調整する。空になったN
o.2酸洗槽にはNo.3酸洗槽から酸洗液を移送し、
同様の操作が繰り返される。最後の空になった酸洗槽
(図5の例でいえば、No.3酸洗槽)には、新しい酸
で液濃度が調整され、温度調整された酸洗液が充填され
る。このようにして、一連の酸洗液の更新が完了する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】この酸液建浴システム
により酸洗液の消費量が大幅に低減されたが、依然とし
て酸洗処理コストは高く、一層の酸洗液の節減が望まれ
ている。そこで、本発明の目的は、酸洗液の消費量を一
層低減するため、酸洗液の劣化を抑制してその寿命(新
しい酸洗液との交換までの時間)を延長することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】線材を酸洗液に浸漬した
とき、および酸洗処理中に一部のスケールは線材の表面
からフレーク状(サイズ:長さ0.02〜10mm×幅
0.02〜10mm×厚さ0.02mm程度)に剥がれ
落ち、酸洗液中を浮遊しながら酸で徐々に溶解される。
線材を酸洗処理する目的は、元々その表面に生成したス
ケールを除去することにある。したがって、この酸洗液
への浸漬時等に剥がれ落ちた浮遊物(スケール)を、溶
解してしまう前に酸洗液から取り除くことができれば、
酸洗液の劣化を抑制できる。
【0018】本発明は、この観点に基づいてなされたも
ので、以下の手段により目的が達成される。
【0019】請求項1に記載の発明は、酸洗槽内の酸洗
液から浮遊物を除去する装置において、(a) 下部に酸洗
液を流入させる開口部を有する函体であって、少なくと
も開口部の一部が前記酸洗液中に没した状態で配設され
た函体と、(b) 前記函体内であって、前記酸洗液の液面
より上方の部位に取り付けられた、水平方向へ伸びる軸
線の周りに回転される駆動ローラと、(c) 前記函体内で
あって、少なくとも一部が前記酸洗液に浸漬された状態
で前記駆動ローラと対向状態に配設された従動ローラ
と、(d) 前記駆動ローラと前記従動ローラ間に張架され
エンドレスに回転されるコンベアベルト状のメッシュフ
ィルタと、(e) 前記メッシュフィルタに濾し取られた浮
遊物を前記酸洗液面より上方で前記メッシュフィルタか
ら取り除くフィルタ清掃手段と、(f) 前記フィルタ清掃
手段で取り除かれた前記浮遊物を前記酸洗槽外へ取出す
浮遊物排出口とを含む、酸洗液中浮遊物の除去装置であ
る。
【0020】請求項2に記載の発明は、前記フィルタ清
掃手段が、(a) 前記メッシュフィルタの前記濾し取った
浮遊物が付着していない側の面にエアまたは水を吹き付
けるワイピング手段、(b) 前記メッシュフィルタの前記
濾し取った浮遊物が付着している側の面を掻く掻き取り
手段、(c) 前記メッシュフィルタの前記濾し取った浮遊
物が付着していない側の面を叩くタッピング手段の、い
ずれか1または2以上の組み合わせによるものである請
求項1に記載の酸洗液中浮遊物の除去装置である。
【0021】請求項3に記載の発明は、前記メッシュフ
ィルタの開き目が20〜500μmである請求項1〜3
のいずれかに記載の酸洗液中浮遊物の除去装置である。
【0022】コンベアベルト状のメッシュフィルタをそ
の一部を酸洗液に浸漬しながらエンドレスに回転させる
ことにより、酸洗液中の浮遊物(剥がれ落ちたスケー
ル)を濾し取り酸洗液から持ち上げ、浮遊物を濾し取っ
た後のメッシュフィルタ表面にエアあるいは水を吹き付
けること、メッシュフィルタの表面を掻くこと、あるい
は、メッシュフィルタの表面をタッピングすることによ
り濾し取った浮遊物をメッシュフィルタから取り除くこ
とができ、折角酸洗液から濾し取った浮遊物を再度酸洗
液に戻すことがなく、しかもメッシュフィルタの濾過機
能を長期に維持できる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に説明
する。
【0024】本発明の酸洗液中浮遊物の除去装置は、例
えば、図1および2に示すように構成される。図1は、
コンベアベルト状メッシュフィルタ、メッシュフィルタ
をエンドレスに回転させる駆動ローラと従動ローラ、メ
ッシュフィルタで濾し取った浮遊物を取り除くフィルタ
清掃手段、フィルタ清掃手段で取り除いた浮遊物を酸洗
槽外へ取出す浮遊物排出口からなる浮遊物除去装置の構
成の一例を示す図である。図2は、浮遊物除去装置の酸
洗槽への取付け状況を示す図である。図1において、函
体1の下部には酸洗液を流入させるための開口部7を設
けてある。函体1の内側上部に水平方向へ伸びる軸線周
りに自由に回転できる駆動ローラ2aが取り付けられ、
その駆動ローラ2aは、例えば、ギヤードモータなどの
駆動装置3に接続され任意の回転速度で回転できる。あ
るいは、装置をコンパクトにするため、駆動ローラ2a
に、駆動機構を内蔵するモータプーリを用いてもよい。
函体1の内側下部には、駆動装置のない、自由に回転で
きる従動ローラ2bが前記駆動ローラ2aと対向状態に
取り付けられている。これらのローラ2a、2b間に張
架されたコンベアベルト状のメッシュフィルタ4が、駆
動ローラ2aを駆動装置3で回転させることにより、エ
ンドレスに回転する。ローラ2a、2bの間でメッシュ
フィルタ4の浮遊物が付着していない側に水またはエア
を吹き付けるワイピング装置5を設けている。このワイ
ピング装置5は、例えば、片側先端を封じたパイプをロ
ーラ2a、2bの軸と平行に設置し、そのパイプの片側
側面に略メッシュフィルタ4の幅にわたってスリットを
設けたものを用いればよい。函体1の上部で、ワイピン
グ装置5によりメッシュフィルタ4にエアまたは水を吹
き付ける方向に浮遊物排出口6を設けている。
【0025】この浮遊物除去装置(函体)1を、図2に
示すように、酸洗槽8の側壁の上端に、メッシュフィル
タ4の一部が所定の深さまで酸洗液9に浸漬されるよう
に設置する。ただし、ワイピング装置5が液中に没しな
い深さとする。
【0026】以下、この浮遊物除去装置1により酸洗液
中の浮遊物が除去される作用を説明する。
【0027】酸洗液槽8中の酸洗液9に線材が浸漬され
た際、あるいは酸洗中に線材表面に存在するスケールの
一部が剥離し、酸洗液中に脱落する。スケールは酸化鉄
を主成分とするので酸洗液より比重が大きいが、剥離し
たスケール10はフレーク状の平べったい形状をしてい
るため直ちに沈降することはなく、脱落後長時間酸洗液
面近傍を浮遊しながら徐々に溶解する。また、線材を酸
洗液9に浸漬した際および酸洗液9から引き上げた際、
酸洗液9が激しく攪拌されるため、酸洗液面近傍には酸
洗槽8の中央部から側壁面へ向かう流れが生じる。この
流れに乗って浮遊物(スケール)10も液面近傍を酸洗
槽8の中央部から酸洗槽の側壁面へ向かって移動する。
浮遊物10は、やがて液の流れとともに開口部7から浮
遊物除去装置1内部へ流入する。開口部7の奥に、開口
部7全面を塞ぐようにメッシュフィルタ4が存在するの
で、開口部7から流れ込んだ浮遊物10を含む液は液中
から上方空間に移動するメッシュフィルタ4によって濾
され、液はメッシュフィルタ4の開き目を通過するが、
固体の浮遊物10は、メッシュフィルタ4に濾し取られ
る。濾し取られた浮遊物10はメッシュフィルタ4の回
転にともない液から大気中へと引き上げられる。なお、
メッシュフィルタ4の開き目は、20〜500μmとす
ることが好ましい。開き目を20μm以上としたのは、
20μmより小さいと液が開き目を通過することが阻害
されて濾過効率が低下するためであり、開き目を500
μm以下としたのは、500μmを超えると開き目を通
過してしまう浮遊物が多くなり濾過効率が低下するため
である。メッシュフィルタ4は、ナイロン製、フッ素樹
脂製、ステンレス鋼製など耐酸性を有する材料で作製さ
れたものを用いればよい。メッシュフィルタ4を通過し
た浮遊物が除去された液は、メッシュフィルタ4と函体
1との隙間を通って函体1外の酸洗液9中に戻ってい
く。なお、必要により、函体1に7とは異なる別の開口
部を設けて液を流通しやすくすることもよい。このよう
にして、浮遊物は連続的に酸洗液中から取り除かれてい
く。
【0028】なお、線材を浸漬した際および引き上げた
際に生じる液の流れは時間とともに弱くなり、浮遊物1
0が流れて除去装置1の開口部7に到達する確立が減少
して浮遊物除去の効率が低下する。したがって、液面近
傍の浮遊物を開口部7へ寄せるには、液中に気体を吹き
込むバブリングや、液面に空気を吹き付けるエアブロー
などにより、浮遊物除去装置1の開口部7の方向に向か
う液の流れを強制的に作ってやることも好ましい。
【0029】液面より上方でメッシュフィルタ4の内側
(濾し取った浮遊物の付着していない側)からエアまた
は水を吹き付けることにより、浮遊物10がメッシュフ
ィルタ4から確実に剥がされて吹き付け方向に移動し、
吹き付け方向に設けられた浮遊物排出口6を通って酸洗
槽外へ取り出されるので、メッシュフィルタ4表面の空
間を落下してメッシュフィルタ4に再付着したり、酸洗
液9中に戻ってしまうことはない。このようにして、メ
ッシュフィルタに付着した浮遊物をオンラインで効率よ
く酸洗槽外へ排出することができ、かつメッシュフィル
タの濾過機能を長期に維持できる。なお、函体1と浮遊
物排出口6との接続部14に浮遊物10が滞留しやすい
ので、接続部14を清掃できる掃除口15を設けておく
ことや、接続部14を排出口側が低くなるよう傾斜させ
て浮遊物10が排出口6側へ落とし込まれやすくするこ
となどの対策を講じておくことが望ましい。
【0030】なお、エアまたは水を吹き付ける手段の替
わりに、メッシュフィルタ4の外側(浮遊物の付着して
いる側)をスクレーパなどで掻いて浮遊物を掻き取る手
段や、フィルタの内側(浮遊物の付着していない側)か
らタッピングする手段により浮遊物10をフィルタから
剥がしてもよい(図示せず)。また、必要によりこれら
の手段を2以上組み合わせて行なってもよい。
【0031】メッシュフィルタ4を張架する駆動ローラ
2a、従動2bの配置の仕方は、図1、2に示すように
縦に並べて配置することに限定されるものではなく、例
えば、図3のように、駆動ローラ2aを酸洗槽8の外側
方向へずらして斜めに配置してもよい。斜めに配置する
ことは、縦に並べて配置することに比し装置が大きくな
り、酸洗槽8への設置スペースが多く要るデメリットが
あるが、メッシュフィルタ4が傾斜して回転するので浮
遊物10を広い面積で掬い上げることができることに加
え、浮遊物10をメッシュフィルタから剥がす際には、
浮遊物10の自重を利用できるメリットがある。また、
メッシュフィルタ10の長さ(または、ローラ2a、2
b間の間隔)、幅、酸洗液に浸漬する深さ、回転速度な
どは、設置する酸洗槽8の大きさ、酸洗液9の量、脱ス
ケールする線材の種類などに応じて、本発明の効果を奏
するように適宜変更しうるものである。さらに、浮遊物
除去装置1を酸洗槽へ設置する台数は、必ずしも1台に
限定されるものではなく、必要により2台以上設置して
もよい。また、複数の酸洗槽のうち、最も液汚れの激し
いNo.1酸洗槽にのみ設置してもよいし、各酸洗槽に
それぞれ設置してもよい。
【0032】以上により、本発明の浮遊物除去装置によ
って酸洗液中の浮遊物を効率的に除去することができ、
酸洗液の酸濃度の低下速度および鉄分濃度の上昇速度を
抑制し、酸洗液の寿命を延長することができる。
【0033】
【実施例】本発明の、メッシュフィルタ使用による酸洗
液の劣化速度の抑制の効果を確認するため、以下のビー
カテストを実施した。
【0034】先ず、酸洗液として、初期(酸洗処理前)
のHCl濃度15質量%、鉄分濃度0%、温度30℃の
塩酸液を2500ml入れたビーカを2つ準備した。酸
洗処理材として、SWRCH25K、18mm径の線材
を長さ100mmにカットしたものを用いた。それぞれ
のビーカ中の酸洗液に酸洗処理材5本ずつを30min
浸漬して酸洗処理を行なう。酸洗処理後、一方のビーカ
の酸洗液は、固定式の開き目100μmのナイロン製メ
ッシュフィルタで全量濾過する。濾過後の酸洗液のHC
l濃度および鉄分濃度を測定した後、新たな酸洗処理材
を浸漬して同じ操作を繰り返す。すなわち、酸洗処理継
続中に定期的に酸洗液の濾過を行ない浮遊物を除去する
ことにより、本発明を適用した場合を模擬したものであ
る(発明例)。他方のビーカの酸洗液は、濾過すること
なくHCl濃度および鉄分濃度を測定した後、そのまま
新たな酸洗処理材を浸漬して同じ操作を繰り返す。した
がって、浮遊物を除去しない従来の方法に相当するもの
である(比較例)。
【0035】図4は、酸洗処理回数と酸洗液中のHCl
濃度および鉄分濃度との関係を示す図である。図4中、
●印は発明例、×印は比較例を示す。図4から明らかな
ように、発明例、比較例とも、酸洗処理回数の増加とと
もにHCl濃度はほぼ直線的に低下するが、その低下の
度合いは大きく異なり、発明例は比較例に比して約50
%程度と遅くなっている。一方、鉄分濃度は、発明例、
比較例とも、酸洗処理回数の増加とともにほぼ直線的に
上昇するが、やはりその上昇の度合いは大きく異なり、
発明例は比較例に比して50〜70%程度と遅くなって
いる。このように、本発明を適用することにより、従来
法に比して酸洗液の劣化速度が大幅に抑制され、寿命が
延長されることが確認できた。
【0036】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
請求項1、2に記載の発明によれば、コンベアベルト状
のメッシュフィルタの一部を酸洗液に浸漬させつつエン
ドレスに回転させて酸洗液から浮遊物(剥離したスケー
ル)を溶解してしまう前に濾し取り、その濾し取った浮
遊物をメッシュフィルタからオンラインで取り除いて酸
洗槽外へ排出できるので、酸洗液の劣化を抑制して寿命
を延長でき、酸洗液の消費量を低減できるとともに、メ
ッシュフィルタの濾過機能を長期に維持しメッシュフィ
ルタの取り換え頻度も低減できる。
【0037】請求項3に記載の発明によれば、メッシュ
フィルタの濾過効率を維持して効率的に浮遊物を濾し取
ることができるので、さらに酸洗液の劣化を抑制して寿
命を延長でき、酸洗液の消費量を一層低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る浮遊物除去装置の一態様を示す図
であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】酸洗槽への浮遊物除去装置の取付け状況を説明
する図である。
【図3】本発明に係る浮遊物除去装置の別の一態様を示
す図である。
【図4】酸洗処理回数とHCl濃度および鉄分濃度との
関係を示す図である。
【図5】線材の酸洗・皮膜処理工程の一例を説明する図
である。
【図6】酸洗槽において線材を酸洗処理する様子を説明
する図である。
【符号の説明】
1…浮遊物除去装置(函体)、2a…駆動ローラ、2b
…従動ローラ、3…駆動装置(ギヤードモータ)、4…
メッシュフィルタ、5…フィルタ清掃手段(ワイピング
装置)、6…浮遊物排出口、7…開口部、8…酸洗槽、
9…酸洗液、10…浮遊物、11…コイル状線材、1
2:吊り具、13:搬送装置、14…函体と浮遊物排出
口の接続部、15…掃除口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B201 AA18 AB08 AB44 BB01 BB96 CA05 CB23 CD22 CD24 4K053 PA02 PA15 QA01 RA15 RA19 SA06 TA16 TA24 XA03 XA41 XA50 YA06 YA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸洗槽内の酸洗液から浮遊物を除去する
    装置において、(a)下部に酸洗液を流入させる開口部を
    有する函体であって、少なくとも開口部の一部が前記酸
    洗液中に没した状態で配設された函体と、(b) 前記函体
    内であって、前記酸洗液の液面より上方の部位に取り付
    けられた、水平方向へ伸びる軸線の周りに回転される駆
    動ローラと、(c) 前記函体内であって、少なくとも一部
    が前記酸洗液に浸漬された状態で前記駆動ローラと対向
    状態に配設された従動ローラと、(d) 前記駆動ローラと
    前記従動ローラ間に張架されエンドレスに回転されるコ
    ンベアベルト状のメッシュフィルタと、(e) 前記メッシ
    ュフィルタに濾し取られた浮遊物を前記酸洗液面より上
    方で前記メッシュフィルタから取り除くフィルタ清掃手
    段と、(f) 前記フィルタ清掃手段で取り除かれた前記浮
    遊物を前記酸洗槽外へ取出す浮遊物排出口とを含む、酸
    洗液中浮遊物の除去装置。
  2. 【請求項2】 前記フィルタ清掃手段が、(a) 前記メッ
    シュフィルタの前記濾し取った浮遊物が付着していない
    側の面にエアまたは水を吹き付けるワイピング手段、
    (b) 前記メッシュフィルタの前記濾し取った浮遊物が付
    着している側の面を掻く掻き取り手段、(c) 前記メッシ
    ュフィルタの前記濾し取った浮遊物が付着していない側
    の面を叩くタッピング手段の、いずれか1または2以上
    の組み合わせによるものである請求項1に記載の酸洗液
    中浮遊物の除去装置。
  3. 【請求項3】 前記メッシュフィルタの開き目が20〜
    500μmである請求項1〜2のいずれかに記載の酸洗
    液中浮遊物の除去装置。
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