JP2002080585A - 架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法 - Google Patents

架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法

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JP2002080585A
JP2002080585A JP2000266511A JP2000266511A JP2002080585A JP 2002080585 A JP2002080585 A JP 2002080585A JP 2000266511 A JP2000266511 A JP 2000266511A JP 2000266511 A JP2000266511 A JP 2000266511A JP 2002080585 A JP2002080585 A JP 2002080585A
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JP2000266511A
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Ryotaro Tsuji
良太郎 辻
Masayuki Fujita
雅幸 藤田
Hiroshi Iwakiri
浩 岩切
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複金属シアン化物錯体を含有し、一分子中に
不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重
合体から、複金属シアン化物錯体の除去あるいは精製を
ほとんど行う必要なく、かつ架橋性ケイ素基や水酸基の
関与する副反応をほとんど起こさずに、架橋性ケイ素基
を有するポリオキシアルキレン系重合体を製造する簡便
な方法を提供すること。 【解決手段】 (a)複金属シアン化物錯体を含有し、
一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアル
キレン系重合体に、金属配位性化合物を添加した後、一
分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基とを有する
化合物をヒドロシリル化触媒存在下でヒドロシリル化反
応させ、(b)(a)で得られる、一分子中に架橋性ケ
イ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重合
体と、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネート基と
を有する化合物を反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は架橋性ケイ素基含有
ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法に関する。詳
しくは、複金属シアン化物錯体を含有し、一分子中に不
飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重合
体に、一分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基と
を有する化合物をヒドロシリル化反応させ、得られる一
分子中に架橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシ
アルキレン系重合体と、一分子中に架橋性ケイ素基とイ
ソシアネート基とを有する化合物を反応させることを特
徴とする、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系
重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】架橋性ケイ素基を有するポリオキシアル
キレン系重合体は、建築用あるいは工業用シーリング
材、接着剤、コーティング材などの原料ポリマーとして
広く用いられている。このような、架橋性ケイ素基を有
するポリオキシアルキレン系重合体は特開昭50−15
6599号公報、特開昭52−73998号公報、特開
平3−72527号公報などに例示されるように、主と
してポリオキシアルキレン系重合体の末端水酸基を利用
して、アリル基やメタリル基などの不飽和基を導入する
ことにより、末端に不飽和基を有するポリオキシアルキ
レン系重合体を製造した後、一分子中に水素−ケイ素結
合と架橋性ケイ素基とを有する化合物を用いてヒドロシ
リル化反応することにより製造されている。
【0003】しかし、これらの製造法においては、水酸
基を有するポリオキシアルキレン系重合体に不飽和基を
導入する際、塩などの副生物や不純物が生成するという
問題があった。そして、これらの副生物や不純物を除
去,あるいは精製しようとする場合に、製造工程が長く
煩雑になると共に、多量の排水や廃棄物が発生するとい
う問題があった。
【0004】また、複金属シアン化物錯体を用いて製造
した一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシ
アルキレン系重合体と、一分子中に水素−ケイ素結合と
架橋性ケイ素基とを有する化合物を反応させることによ
り、一分子中に架橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリ
オキシアルキレン系重合体の製造法が特開平5−125
176号公報に開示されている。しかし、該公報に開示
されている方法を複金属シアン化物錯体を除去せずに実
施した場合には、ヒドロシリル化収率が低く、かつ末端
水酸基の残存率が低いといった問題があった。末端水酸
基の残存率が低いと、水酸基を利用したウレタン化反応
などにより架橋性ケイ素基を導入する場合に収率が低
い、などといった問題があった。さらにこのような問題
を解決するために、ポリオキシアルキレン系重合体中よ
り複金属シアン化物錯体を除去、あるいは精製しようと
すれば製造工程が長く複雑となり、かつ排水や廃棄物が
発生するなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、複金属シアン化物錯体を含有し、一分子中
に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系
重合体から、複金属シアン化物錯体の除去あるいは精製
をほとんど行う必要なく、かつ架橋性ケイ素基や水酸基
の関与する副反応をほとんど起こさずに、一分子中に架
橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン
系重合体を製造し、さらに架橋性ケイ素基の関与する縮
合などの副反応をほとんど起こすことなく、一分子中に
架橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレ
ン系重合体と、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネ
ート基とを有する化合物との反応を行うことにより、架
橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を
製造する簡便な方法を提供することである。
【0006】すなわち、複金属シアン化物錯体の存在
下、水酸基と水素−ケイ素結合との脱水素縮合反応、水
酸基と架橋性ケイ素基との縮合反応、水素−ケイ素結合
と架橋性ケイ素基との縮合反応、ケイ素上置換基同士の
交換反応、ケイ素上置換基同士の不均化反応、架橋性ケ
イ素基を有する化合物同士の縮合反応などをほとんど起
こすことなく、一分子中に不飽和基と水酸基とを有する
ポリオキシアルキレン系重合体に、一分子中に水素−ケ
イ素結合と架橋性ケイ素基とを有する化合物をヒドロシ
リル化反応させ、さらにこうして得られる一分子中に架
橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン
系重合体中の水酸基と、一分子中に架橋性ケイ素基とイ
ソシアネート基とを有する化合物中のイソシアネート基
とを、架橋性ケイ素基の関与する副反応をほとんど起こ
すことなくウレタン化反応させる簡便な方法を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、複金属シアン化物錯体を含有し、一分子中に不飽
和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重合体
に、金属配位性化合物を添加することにより、一分子中
に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基とを有する化合物
を、ヒドロシリル化触媒存在下で副反応をほとんど起こ
すことなくヒドロシリル化反応させ、一分子中に架橋性
ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重
合体を製造でき、さらにこの水酸基を利用して、一分子
中に架橋性ケイ素基とイソシアネート基とを有する化合
物とウレタン化反応を行うことにより、架橋性ケイ素基
を有するポリオキシアルキレン系重合体を製造できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、(a)複金属シアン
化物錯体を含有し、一分子中に不飽和基と水酸基とを有
するポリオキシアルキレン系重合体に、金属配位性化合
物を添加した後、一分子中に水素−ケイ素結合と架橋性
ケイ素基とを有する化合物を、ヒドロシリル化触媒存在
下でヒドロシリル化反応させ、(b)(a)で得られ
る、一分子中に架橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリ
オキシアルキレン系重合体と、一分子中に架橋性ケイ素
基とイソシアネート基とを有する化合物を反応させるこ
とを特徴とする、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキ
レン系重合体の製造方法に関する。
【0009】本発明のより好ましい実施態様を列挙する
と、(イ)一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリ
オキシアルキレン系重合体に金属配位性化合物を添加し
た後、50℃以上の加熱処理を行うこと、(ロ)一分子
中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン
系重合体が、複金属シアン化物錯体を触媒として重合さ
れたものであること、(ハ)一分子中に不飽和基と水酸
基とを有するポリオキシアルキレン系重合体の数平均分
子量が3,000以上であること、(ニ)金属配位性化
合物が、カルボキシル基を有する化合物、キレート化
剤、およびフェノール性水酸基を有する化合物からなる
群から選ばれる化合物であること、(ホ)複金属シアン
化物錯体が、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛を含有する錯
体であること、(ヘ)ヒドロシリル化触媒が白金含有化
合物であること、(ト)一分子中に架橋性ケイ素基とイ
ソシアネート基とを有する化合物が、一般式(1) OCN−(CH2n−Si(R3-a)(Xa) (1) (式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、アリール
基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル
基、あるいはトリオルガノシロキシ基を示し、2個以上
存在するときには互いに同一でも異なっていてもよい。
Xは水酸基、または加水分解性基を示し、2個以上存在
するときには互いに同一でも異なっていてもよい。nは
3以上の整数であり、aは1、2、あるいは3であ
る。)で示される化合物であること、(チ)一分子中に
架橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレ
ン系重合体と、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネ
ート基とを有する化合物を反応させる際に、硫黄原子を
含有するスズ触媒を用いること、と示される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明の第一の特徴は、複金属シアン化物
錯体、水酸基、および架橋性ケイ素基が存在する条件で
副反応をほとんど起すことなくヒドロシリル化反応を実
施することであり、そのために金属配位性化合物を添加
することである。これにより得られる、一分子中に架橋
性ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系
重合体中の水酸基残存率は高く保たれ、また架橋性ケイ
素基も縮合反応をほとんど起こすことなく保たれる。本
発明の第二の特徴は、ヒドロシリル化反応により得られ
た、一分子中に架橋性ケイ素基と水酸基とを有するポリ
オキシアルキレン系重合体と、一分子中に架橋性ケイ素
基とイソシアネート基とを有する化合物とを反応させる
ことであり、ヒドロシリル化反応後のポリオキシアルキ
レン系重合体をほとんど精製する必要なく、かつ架橋性
ケイ素基の関与する副反応をほとんど起こすことなく、
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体
を簡便に製造できることである。
【0012】本発明で使用する複金属シアン化物錯体
は、米国特許3278457号公報、米国特許3278
458号公報、米国特許3278459号公報、米国特
許3427256号公報、米国特許3427334号公
報、米国特許3427335号公報、米国特許3829
505号公報、米国特許3941849号公報、米国特
許3941849号公報、米国特許4355188号公
報、米国特許4472560号公報、米国特許4721
818号公報、米国特許4843054号公報、米国特
許5158922号公報、特開平4−145123号公
報、特開平7−196778号公報、特開平8−311
171号公報、特開平8−104741号公報、特開平
9−59373号公報、WO9740086号公報、W
O9723544号公報、Macromolecula
r Synthesis第5巻9頁1974年刊などに
例示され、下記一般式(2)で表される。 Mp{M’[(CN)q(Y)rst・y(R)・z(H2O) (2) (式中、MはZn(II)、Fe(II)、Fe(II
I)、Co(II)、Ni(II)、Al(III)、
Sr(II)、Mn(II)、Cr(II)、Cu(I
I)、Sn(II)、Pb(II)、Mo(IV)、M
o(VI)、W(IV)、およびW(VI)からなる群
より選ばれる金属であり、M’はFe(II)、Fe
(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(I
I)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(II
I)、Ni(II)、V(IV)、およびV(V)から
なる群より選ばれる金属であり、YはCl、Br、I、
OH、NO、C24 、SO4、CNS、CNO、NC
O、およびNCSからなる群より選ばれる基であり、R
はケトン、エーテル、ポリエーテル、アルデヒド、エス
テル、アルコール、およびアミドからなる群より選ばれ
る有機配位子である。これらのM、M’、Y、およびR
はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、複数の種類を
組合せて用いてもよい。p、q、r、s、およびtは金
属の原子価と配位数により変わる正の数であり、yとz
は金属の配位数あるいは乾燥条件により変わる正の数で
ある。)
【0013】重合触媒として用いた場合の活性が高いと
いう理由から、一般式(2)におけるMはZn(II)
が好ましく、M’はFe(II)、Fe(III)、C
o(II)、Co(III)が好ましく、有機配位子で
あるRはエーテル、ポリエーテル、アルコールが好まし
く、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシ
プロピレントリオール、三級水酸基を含有するポリオキ
シプロピレンポリオール、t−ブタノール、イソプロピ
ルアルコールが特に好ましい。
【0014】複金属シアン化物錯体としては、重合触媒
として用いた場合の活性が高いという理由から、ヘキサ
シアノコバルト酸亜鉛を含有する錯体が好ましく、ヘキ
サシアノコバルト酸亜鉛のジメトキシエタン配位錯体、
ヘキサシアノコバルト酸亜鉛のt−ブタノール配位錯
体、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛のt−ブタノールおよ
びポリオキシプロピレンジオール配位錯体、ヘキサシア
ノコバルト酸亜鉛のt−ブタノールおよびポリオキシプ
ロピレントリオール配位錯体がより好ましい。また、重
合触媒として用いた場合の活性が高いという理由から、
少なくとも70重量%が実質的に非晶質の複金属シアン
化物錯体が好ましく、少なくとも90重量%が実質的に
非晶質の複金属シアン化物錯体がより好ましい。
【0015】一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポ
リオキシアルキレン系重合体中に含まれる複金属シアン
化物錯体の量は、特に限定されないが、通常、一分子中
に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系
重合体100重量部に対して、0.0001〜15重量
部であり、好ましくは0.0005〜0.1重量部であ
り、特に好ましくは0.005〜0.05重量部であ
る。0.0001重量部未満では重合触媒として十分な
活性が得られない場合があり、15重量部を超えるとヒ
ドロシリル化反応を著しく阻害したり、重合体中に沈殿
を生じたりする場合がある。
【0016】本発明で使用する、複金属シアン化物錯体
を含有し、一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリ
オキシアルキレン系重合体は、例えば、不飽和基を含有
する活性水素化合物を重合開始剤として、上述した複金
属シアン化物錯体を触媒に用いてエポキシ化合物を開環
重合させることにより、または、不飽和基を含有しない
活性水素化合物を重合開始剤として、上述した複金属シ
アン化物錯体を触媒に用いて不飽和基を含有しないモノ
エポキシドと不飽和基を含有するモノエポキシドを開環
重合させることなどにより得られるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0017】一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポ
リオキシアルキレン系重合体を合成するための重合開始
剤として用いることのできる活性水素含有化合物として
は、複金属シアン化物錯体に適用可能なものであれば特
に限定されないが、反応性が高い点でアルコール性水酸
基、フェノール性水酸基、カルボキシル基を含有する化
合物が好ましく、アルコール性水酸基を含有する化合物
がより好ましい。アルコール性水酸基を含有する化合物
としては特に限定されないが、アリルアルコール、メタ
リルアルコール、トリメチロールプロパンモノアリルエ
ーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グ
リセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエー
テル;これらのエチレンオキシド付加体、あるいはプロ
ピレンオキシド付加体など、一分子中に不飽和基とアル
コール性水酸基とを有する化合物;プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトールなどの低分子多価
アルコール;これら低分子多価アルコールのプロピレン
オキシドの付加体;ポリオキシプロピレングリコール、
ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレ
ンテトラオールなどのポリエーテルポリオール;水酸基
末端ポリブタジエン、水酸基末端の水素添加ポリブタジ
エンなどの水酸基末端炭化水素系化合物;アルコール性
水酸基末端ポリジメチルシロキサンなどのアルコール性
水酸基末端シリコーン系化合物などが挙げられる。ま
た、水も活性水素含有化合物として用いることができ
る。
【0018】これら重合開始剤としての活性水素含有化
合物のうち、重合後に不飽和基を導入する必要がないと
いう理由から、一分子中に不飽和基とアルコール性水酸
基とを有する化合物がより好ましく、入手性および反応
性の点でアリルアルコール、アリルアルコールのプロピ
レンオキシド付加体、メタリルアルコール、およびメタ
リルアルコールのプロピレンオキシド付加体が特に好ま
しい。このような重合開始剤としての活性水素含有化合
物は、単独で用いてもよく、あるいは複数を組み合わせ
て用いてもよい。
【0019】複金属シアン化物錯体を用いて開環重合さ
せるモノエポキシドは、特に限定されず、エチレンオキ
シド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、イソブテ
ンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシドな
どの不飽和基を有しないモノエポキシド;アリルグリシ
ジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブタジエ
ンモノオキシド、シクロペンタジエンモノオキシドなど
の不飽和基を有するモノエポキシドなどが挙げられる。
これらのうち、取扱が容易であるという理由からプロピ
レンオキシド、アリルグリシジルエーテル、メタリルグ
リシジルエーテルが好ましい。これらは単独で用いても
よく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0020】本発明で使用する、複金属シアン化物錯体
を含有し、一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリ
オキシアルキレン系重合体の分子量は、特に限定されな
いが、数平均分子量1,500〜50,000が好まし
く、3,000〜30,000がより好ましい。1,5
00未満では粘度が低く、50,000を超えると粘度
が高すぎるため取扱が困難な場合がある。本発明で使用
するポリオキシアルキレン系重合体としては、耐熱性や
耐候性などの物性が良好であるという理由から、重合体
中の50重量%以上がプロピレンオキシド単位であるこ
とが好ましく、重合体中の90重量%以上がプロピレン
オキシド単位であることがさらに好ましい。
【0021】本発明において使用する金属配位性化合物
とは、金属イオンまたは金属原子、特に複金属シアン化
物錯体中に含まれる金属イオンまたは金属原子に対して
配位することが可能な化合物である。ここで言う配位と
は、化学大辞典(第1版;東京化学同人刊)に記される
ように、「電子対供与体から電子対受容体への電子対の
供与のこと」と定義される。同書にはさらに、「通常は
金属イオンまたは金属原子が電子対受容体となっている
場合に配位という用語を用いる。電子対供与体として働
くものを配位子と呼ぶが、配位子となり得るものとして
は、NH3、P(C653、S(CH32などの孤立電
子対をもつ分子や、Cl-、NCS-などの陰イオンがあ
る。」と記されている。したがって、本発明において用
いることのできる金属配位性化合物とは、金属イオンま
たは金属原子に対して配位子となり得る化合物、あるい
は配位子となり得る構造を含む化合物である。このよう
な金属配位性化合物としては、カルボキシル基含有化合
物、キレート化剤、水酸基含有化合物、あるいはフェノ
ール性水酸基を有する化合物が好ましい。ここで言うキ
レート化剤とは、化学大辞典(第1版;東京化学同人
刊)に記されているように、「金属イオンに結合してキ
レート化合物を生成する複数の供与原子をもつ試薬」と
定義される。ここでキレート化とは、同書によれば「あ
る配位子に二つの配位原子が存在し、共に一つのイオン
または原子(通常は金属イオンもしくは金属原子)に配
位して環状の化合物(キレート化合物)を形成すること
をいう。単環状化合物をつくる場合ばかりではなく、配
位原子が3個以上のとき(環が二つ以上できる場合)に
も使われる。」と定義される。
【0022】本発明で使用する金属配位性化合物のう
ち、カルボキシル基含有化合物として具体的には、ギ
酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢
酸、2−エチルヘキサン酸、サリチル酸、p−ヒドロキ
シ安息香酸、ステアリン酸、グリコール酸、ラク酸、没
食子酸、ケイ皮酸、グリシン、乳酸、チグリン酸、アス
パラギン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、ナフトエ
酸、コハク酸モノメチル、コハク酸モノエチル、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどの一価のカ
ルボン酸;コハク酸、フタル酸、マロン酸、リンゴ酸、
グルタミン酸、イタコン酸、マレイン酸、アジピン酸、
アスパラギン酸、クエン酸、酒石酸、セバチン酸、チオ
ジプロピオン酸、チオリンゴ酸、イミノジ酢酸、イソフ
タル酸、2−カルボキシフェニル酢酸、シクロヘキサン
−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジ
カルボン酸、シュウ酸、グルタル酸、ベンゼントリカル
ボン酸、エチレンジアミン四酢酸などの多価カルボン
酸;ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体などのカルボ
キシル基含有高分子などが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0023】また、系内でカルボキシル基を発生するよ
うな化合物、例えば無水コハク酸、無水フタル酸、無水
イタコン酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水酢
酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、無水安
息香酸などのカルボン酸無水物;ギ酸トリメチルシリ
ル、酢酸トリメチルシリル、プロピオン酸トリエチルシ
リル、安息香酸トリメチルシリル、トリフルオロ酢酸ト
リメチルシリル、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェ
ニルジアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、シリコンテトラベン
ゾエートなどのカルボン酸シリル化物を用いることもで
きるが、これらに限定されるものではない。
【0024】本発明で使用する金属配位性化合物のう
ち、キレート化剤、あるいはフェノール性水酸基を有す
る化合物の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイル
トリフルオロアセトン、ジピバロイルメタン、フロイル
トリフルオロアセトン、ヘプタフルオロブタノイルピバ
ロイルメタン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ピバ
ロイルトリフルオロアセトン、トリフルオロアセチルア
セトン、トリオクチルホスフィンオキシド、チエノイル
トリフルオロアセトンなどのキレート滴定用試薬;アゾ
メチンH、バソクプロイン、バソフェナントロリン、
4,4−ビスジメチルアミノジフェニルアミン、ビスム
チオール−II、N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロ
キシルアミン、ジブロモピロガロルスルフォンフタレイ
ン、カルシクローム、カルマガイト、クロラニル酸、ク
ロロヒドロキシフェニラゾナフトール、クロロフォスフ
ォナゾ−III、クロモトロープ酸、2,3−ジアミノ
ナフタレン、4,6−ジブチル−3−メトキシカテコー
ル、ジアンチピリルメタン、o,o−ジヒドロキシアゾ
ベンゼン、ジメチルスルフォナゾ−III、2,2−ジ
ピリジル、2−フリルジオキシム、2,2−ジベンゾオ
キサゾリン、ルモガリオン、ムレキシド、ネオキュプロ
イン、ネオトリン、ニトロフェロイン、ニトロフェニラ
ゾ−15−クラウン−5、ニトロソアミノフェノール、
ピリジルアゾナフトール、ピリジルアゾレゾルシノー
ル、5,6−ジフェニル−3−(2−ピリジル)−1,
2,4−トリアジン、o−フェナンスロリン、ポルフィ
リン、5,10,15,20−テトラフェニル−21
H,23H−ポルフィン、フェニル−2−ピリジルケト
オキシム、ピロガロールスルフォンフタレイン、ピロカ
テコールスルフォンフタレイン、N,N’−ビスサリシ
リデン−2,3−ジアミノベンゾフラン、サリシルアル
デヒド−2−オキシアニル、サリシリデンアミノ−2−
チオフェノール、スチルバゾ、1,1,1−トリフルオ
ロ−4−メルカプト−4−(2−チエニル)−3−ブテ
ン−2−オン、スルホアルサゼン、スルホクロロフェノ
ールS、スルフォナゾ−III、4−メチル−2−(2
−チアゾリルアゾ)フェノール、5−ジメチルアミノ−
2−(2−チアゾリルアゾ)フェノール、1−(2−チ
アゾリルアゾ)−2−ナフトール、4−(2−チアゾリ
ルアゾ)レゾルシノール、3’−ニトロ−4’−(2,
4,6−トリニトロフェニルアミノ)ベンゾ−18−ク
ラウン−6、テトラメチルムレキシド、4’−(2,6
−ジニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ
ベンゾ−15−クラウン−5、4’−(2,4−ジニト
ロ−6−トリフルオロメチルフェニル)アミノベンゾ−
15−クラウン−5、チオオキシン、トリン、チロン、
2,4,6−トリス(2−ピリジル)−1,3,5−ト
リアジン、ウンベリフェロン、バリアミンブルーB、キ
シリルアゾバイオレット−I、キシリルアゾバイオレッ
ト−IIなどの金属指示薬;1,3−ジヒドロキシアセ
トン、エチレングリコール、グリセリン、グルコノデル
タラクトン、エリスリトール、キシリトール、キシロー
ス、ソルビトールなどの多価アルコール化合物;フェノ
ール、p−フェノールスルホン酸、フェノキシフェノー
ル、フェニルフェノール、m−ヒドロキシベンズアルデ
ヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、アセチルアル
デヒド、2−ヒドロキシプロピオフェノン、4−ヒドロ
キシプロピオフェノン、p−ヒドロキシフェネチルアル
コール、p−ヒドロキシフェニル酢酸メチルエステル、
p−ヒドロキシフェニルアセトアミド、ビスフェノール
A、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイド
ロキノン、ノニルフェノール、o−ニトロフェノール、
p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、
トリニトロフェノール、2,3,5−トリメチルハイド
ロキノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェ
ノール、2,4,6−トリクロロフェノール、p−ドデ
シルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、
2,4−ジ−t−ブチルフェノール、1,4−ジヒドロ
キシアントラキノン、o−クレゾール−4−スルホン
酸、クレゾール、p−(α−クミル)フェノール、グエ
トール、グアヤコール、キシレノール、カテコール、p
−オクチルフェノール、p−オキシ安息香酸メチル、p
−エチルフェノール、アミノフェノール、2−アミノ−
4−クロロフェノール、4−t−ブチルカテコール、2
−t−ブチルヒドロキノン、p−t−ブチルフェノー
ル、フロログルシノール、ヘプチルパラベン、2−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール、メトール、p−(メト
キシエチル)フェノール、没食子酸ラウリル、レゾルシ
ン、ロイコ−1,4−ジヒドロキシアントラキノン、ア
ミドール、パラアミノフェノール、アトマール、4−ヒ
ドロキシベンゾニトリル、トリベンジルフェノールなど
のフェノール化合物;α−ナフトール、β−ナフトー
ル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,1’−ビ−
2−ナフトールなどのナフトール化合物;8−キノリノ
ールなどの複素芳香環化合物;ポリスチレンに一部水酸
基を導入した高分子化合物などが挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0025】本発明において使用する金属配位性化合物
としては、ヒドロシリル化収率が高く、副反応を抑制す
る効果が高いという理由から、サリチル酸、p−ヒドロ
キシ安息香酸、コハク酸モノエチル、トリクロロ酢酸、
乳酸、リンゴ酸などのカルボキシル基含有化合物;無水
コハク酸、アセチルアセトン、ベンゾイルトリフルオロ
アセトン、ジピバロイルメタン、フロイルトリフルオロ
アセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ヘキサフ
ルオロブタノイルピバロイルメタン、ピバロイルトリフ
ルオロアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、チエ
ノイルトリフルオロアセトン、カテコール、8−キノリ
ノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノールが
さらに好ましい。これらのうち、特に効果が高い点でア
ミノ基を含まないカルボキシル基含有化合物、無水コハ
ク酸、ジニトロフェノール、トリニトロフェノールがよ
り好ましく、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳
酸、リンゴ酸などのカルボキシル基と水酸基とをあわせ
もつ化合物が特に好ましい。これらの金属配位性化合物
は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよ
い。
【0026】本発明で使用する金属配位性化合物の添加
量は特に限定されないが、複金属シアン化物錯体中の金
属成分に対して0.01〜100当量が好ましく、0.
1〜10当量が特に好ましい。0.01当量未満ではヒ
ドロシリル化収率が低かったり、あるいはヒドロシリル
化以外の副反応を抑制できなかったりする場合があり、
100当量より多いと得られる架橋性ケイ素基含有ポリ
オキシアルキレン系重合体の貯蔵安定性などの物性に悪
影響を与えたり、着色や沈殿を生じたりする場合があ
る。
【0027】複金属シアン化物錯体を含有し、一分子中
に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系
重合体への、金属配位性化合物の添加方法は特に限定さ
れず、そのまま添加してもよく、溶媒に溶解して添加し
てもよい。固体の場合には融点以上に加熱融解して添加
してもよく、また固体で添加した後ポリオキシアルキレ
ン系重合体を加熱して溶解させてもよい。
【0028】また、金属配位性化合物を添加後、一分子
中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基とを有する化合
物によるヒドロシリル化反応を行う前に、複金属シアン
化物錯体を含有し一分子中に不飽和基と水酸基とを有す
るポリオキシアルキレン系重合体を加熱することが好ま
しい。加熱する場合には50〜200℃が好ましく、7
0〜150℃がより好ましい。加熱温度が50℃未満で
は、複金属シアン化物錯体によるヒドロシリル化反応の
阻害を十分に抑えることができない場合があり、また2
00℃を超えると、一分子中に不飽和基と水酸基とを有
するポリオキシアルキレン系重合体の熱劣化が起こる場
合がある。加熱時間は10分〜5時間が好ましく、20
分〜2時間が特に好ましい。
【0029】本発明で使用する、一分子中に水素−ケイ
素結合と架橋性ケイ素基とを有する化合物としては、特
に限定されないが、入手性および反応性の点で、下記一
般式(3)で表される化合物が好ましい。 H−(Si(R1 2-b)(Xb)O)mSi(R2 3-c)Xc (3) (式中、R1およびR2 は同一または異なる炭素数1か
ら20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、
炭素数7から20のアラルキル基、またはR3 3SiO−
で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1または
2が二個以上存在するとき、それらはそれぞれ同一で
あってもよく、あるいは異なっていてもよい。ここでR
3は炭素数1から20の一価の炭化水素基であり3個の
3は同一であってもよく、あるいは異なっていてもよ
い。Xは水酸基または加水分解性基を示し、二個以上存
在する時、それらは同一であってもよく、異なっていて
もよい。bは0、1、または2を、cは0、1、2、ま
たは3をそれぞれ示す。またm個の−Si(R1 2-b
(Xb)O−基におけるbについて、それらは同一であ
ってもよく、あるいは異なっていてもよい。mは0から
19の整数を示す。ただし、c+Σb≧1を満足するも
のとする。)
【0030】上記Xのうちの加水分解性基は特に限定さ
れず、従来公知の加水分解性基であればよい。例えばハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシ
メート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオ
キシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げ
られる。これらのうち、加水分解性が穏やかで取り扱い
やすいという点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基が好ましい。
これらの加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個結
合することができ、(c+Σb)は1から5であるのが
好ましい。加水分解性基が2個以上存在する場合には、
それらは同一であっても良く、あるいは異なっていても
よい。架橋性ケイ素基を有する化合物中のケイ素原子の
数は特に限定されないが、1〜30個程度が好ましい。
【0031】上記一般式(3)で表される化合物の例と
しては、入手が容易であるため下記一般式(4)で表さ
れる化合物が特に好ましい。 H−Si(R4 3-d)Xd (4) (式中、R4 は炭素数1から20のアルキル基、炭素数
6から20のアリール基、炭素数7から20のアラルキ
ル基、またはR3 3SiO−で示されるトリオルガノシロ
キシ基を示し、二個以上存在するとき、それらはそれぞ
れ同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
ここでR3は炭素数1から20の一価の炭化水素基であ
り3個のR3は同一であってもよく、あるいは異なって
いてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、二
個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異な
っていてもよい。dは1、2、または3を示す。)
【0032】本発明で使用する、一分子中に水素−ケイ
素結合と架橋性ケイ素基とを有する化合物として具体的
には、トリクロルシラン、メチルジクロルシラン、ジメ
チルクロルシラン、フェニルジクロルシラン、トリメチ
ルシロキシメチルクロルシラン、1,1,3,3−テト
ラメチル−1−ブロモジシロキサンなどのハロゲン化シ
ラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メ
チルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェ
ニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメト
キシシラン、トリメチルシロキシジエトキシシランなど
のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フ
ェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、ト
リメチルシロキシメチルアセトキシシラン、トリメチル
シロキシジアセトキシシランなどのアシロキシシラン
類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビ
ス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビ
ス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラ
ン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラ
ン、トリス(アセトキシメート)シランなどのケトキシ
メートシラン類;メチルイソプロペニルオキシシランな
どのアルケニルオキシシラン類などが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0033】これらのうち、反応性が穏やかで取り扱い
やすい点で、メチルジメトキシシラン、トリメトキシシ
ラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシランな
どのアルコキシシラン類;トリクロロシラン、メチルジ
クロロシランなどのハロゲン化シラン類が好ましく、加
水分解される際に酸などの有害物が発生しない点で、メ
チルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジ
エトキシシラン、トリエトキシシランが特に好ましい。
ハロゲン化シラン類のハロゲン原子は不飽和基にヒドロ
シリル化反応させた後、公知の方法によりカルボン酸、
オキシム、アミド、ヒドロキシアミンなどの活性水素化
合物やケトン類のアルカリ金属エノラートなどと反応さ
せることにより他の加水分解性基に変換してもよい。
【0034】一分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ
素基とを有する化合物の添加量は、特に限定されない
が、一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシ
アルキレン系重合体中の不飽和基に対して、通常0.3
〜3当量であり、好ましくは0.5〜2当量、より好ま
しくは0.6〜1.5当量である。0.3当量未満では
硬化物にしたときのゴム物性が不十分な場合があり、3
当量を超えると経済的に不利となる場合がある。過剰量
の一分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基とを有
する化合物は、反応終了後に減圧脱揮などにより除去し
てもよい。一分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素
基とを有する化合物は単独で用いてもよく、複数を組み
合わせて用いてもよい。
【0035】本発明において使用するヒドロシリル化触
媒としては、特に限定されないが、白金、ロジウム、コ
バルト、パラジウム、およびニッケルなどのVIII族
遷移金属元素から選ばれた金属錯体などが使用できる。
中でもヒドロシリル化の反応性の点から、H2PtCl6
・6H2O、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレ
フィン錯体、Ptメタル、RhCl(PPh33、Rh
Cl3、Rh/Al2 3、RuCl3、IrCl3、Fe
Cl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2
TiCl4などが好ましく、H2PtCl6・6H2O、白
金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体など
の白金含有化合物が好ましく、白金−ビニルシロキサン
錯体、白金−オレフィン錯体がより好ましい。
【0036】ここでいう白金−ビニルシロキサン錯体と
は、白金原子に対し、配位子として分子内にビニル基を
含有するシロキサン、ポリシロキサン、環状シロキサン
などが配位している化合物の総称であり、上記配位子の
具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル−1,
3−ジビニルジシロキサンなどが挙げられる。白金−オ
レフィン錯体のオレフィン配位子の具体例としては1,
5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デ
カジエン、1,11−ドデカジエン、1,5−シクロオ
クタジエンなどが挙げられる。上記配位子の中でもヒド
ロシリル化反応性の点で、1,1,3,3−テトラメチ
ル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,9−デカジエ
ンが好ましい。本発明で使用することのできるヒドロシ
リル化触媒は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて
用いてもよい。
【0037】ヒドロシリル化触媒の使用量は特に限定さ
れないが、反応活性とコストとの兼ね合いから、複金属
シアン化物錯体を含有し一分子中に不飽和基と水酸基と
を有するポリオキシアルキレン系重合体100重量部に
対して、触媒中の金属重量換算で通常0.00001か
ら1重量部であり、好ましくは0.00005から0.
05重量部であり、より好ましくは0.0001から
0.01重量部である。0.00001重量部未満では
十分な反応活性が得られない場合があり、1重量部を超
えると経済的に不利となったり、重合体が着色したりす
る場合がある。
【0038】なお白金−ビニルシロキサン錯体、白金−
オレフィン錯体については特公平8−9006号公報な
どに開示されている。
【0039】本発明において使用する、一分子中に架橋
性ケイ素基とイソシアネート基とを有する化合物として
は、特に限定されないが、入手性の点で、一般式(1) OCN−(CH2n−Si(R3-a)(Xa) (1) (式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、アリール
基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル
基、あるいはトリオルガノシロキシ基を示し、2個以上
存在するときには互いに同一でも異なっていてもよい。
Xは水酸基、または加水分解性基を示し、2個以上存在
するときには互いに同一でも異なっていてもよい。nは
3以上の整数であり、aは1、2、あるいは3であ
る。)で示される化合物が好ましく、γ−イソシアネー
トプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプ
ロピルジメトキシメチルシラン、γ−イソシアネートプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピ
ルジエトキシメチルシランがさらに好ましい。
【0040】本発明で使用する、一分子中に架橋性ケイ
素基とイソシアネート基とを有する化合物の量は、特に
限定されないが、一分子中に架橋性ケイ素基と水酸基と
を有するポリオキシアルキレン系重合体中の水酸基の量
に対して、イソシアネート基換算で0.5当量以上が好
ましく、0.8当量以上がさらに好ましく、0.9当量
以上が特に好ましい。0.5当量未満では、硬化物にし
たときの強度が低い場合がある。水酸基に対して過剰の
一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネート基とを有す
る化合物は、減圧脱揮などの処理により除去してもよ
く、また活性水素基含有化合物と反応させるなど、何ら
かの反応により他の化合物へ変換させてもよく、あるい
はそのままポリアルキレンオキシド系重合体中に残存さ
せてもよい。ポリアルキレンオキシド系重合体中に過剰
に存在する、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネー
ト基とを有する化合物、あるいはその誘導体は、シラン
カップリング剤として作用させることが可能である。
【0041】本発明の実施において、一分子中に架橋性
ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重
合体と、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネート基
とを有する化合物を反応させる際、特に触媒を使用しな
くてもよいが、反応速度を向上させたり反応率を向上さ
せる目的で使用してもよい。このようなウレタン化触媒
としては、例えばPolyurethanes: Ch
emistry and Technology, P
art I, Table 30, Chapter
4, Saunders and Frisch, I
nterscience Publishers, N
ew York, 1963に列挙されている触媒をは
じめとして従来公知のウレタン化触媒を使用できるが、
これらに限定されるものではない。
【0042】このような公知のウレタン化触媒のうち、
オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、ジブチルスズジオ
クトエート、ジブチルスズジオレイルマレート、ジブチ
ルスズジブチルマレート、ジブチルスズジラウレート、
1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオ
キシカルボニルジスタノキサン、ジブチルスズジアセテ
ート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジブチル
スズビス(o−フェニルフェノキサイド)、ジブチルス
ズオキサイド、ジブチルスズビストリエトキシシリケー
ト、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズビスイ
ソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチルス
ズビスイソオクチルチオグリコレート、ジオクチルスズ
オキサイド、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチル
スズジアセテート、ジオクチルスズジバーサテートなど
の有機スズ化合物が活性が高い点で好ましい。さらに架
橋性ケイ素基に対して活性の低い触媒を用いることが好
ましく、例えばジブチルスズビスイソノニル−3−メル
カプトプロピオネート、ジブチルスズビスイソオクチル
チオグリコレートなどの硫黄原子を含有するスズ触媒が
特に好ましい。このようなウレタン化触媒の添加量は特
に限定されないが、ポリオキシアルキレン系重合体10
0重量部に対して、反応活性の点から0.0001〜
0.1重量部が好ましく、0.001〜0.01重量部
がさらに好ましい。0.0001重量部より少ないと十
分な反応活性が得られない場合があり、0.1重量部よ
り多いとポリオキシアルキレン系重合体の耐熱性、耐候
性、耐加水分解性、あるいは貯蔵安定性などの物性を悪
化させる場合がある。
【0043】本発明の製造方法においては、本質的には
溶媒を用いる必要はないが、触媒、あるいは基質を均一
に溶解させる目的で、また反応系の温度制御、あるいは
触媒成分の添加を容易にするため溶媒を用いることがで
きる。これらの目的のために適当な溶媒としては、例え
ばヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、
ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、ドデシルベンゼンなどの炭化水素化合物類;
クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、オルト
−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素化合物
類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレン
グリコールジメチルエーテルなどのエーテル類などを挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。また、フタル酸エステル類やポリエーテル類など、
ポリオキシアルキレン系重合体の可塑剤として使用され
得るものを反応溶媒として用いることもできる。
【0044】本発明は、複金属シアン化物錯体を含有し
一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアル
キレン系重合体に、金属配位性化合物を添加した後、一
分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基とを有する
化合物をヒドロシリル化触媒存在下でヒドロシリル化反
応させ、さらにこうして得られる一分子中に架橋性ケイ
素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重合体
と、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネート基とを
有する化合物とをウレタン化反応させることを特徴とす
る、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体
を製造する方法であるが、ヒドロシリル化反応前後、お
よびウレタン化反応前後に何ら処理工程あるいは精製工
程を必要としない。ただし、特別な理由により何らかの
処理工程あるいは精製工程を適用することについては、
これを排除するものではない。
【0045】なお、本発明の製造法においては精製工程
を必要としないため、重合によるポリオキシアルキレン
系重合体の製造から、ウレタン化反応まで、単一の反応
槽で連続して実施することが可能である。
【0046】本発明の製造法により得られる架橋性ケイ
素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、水分あ
るいは大気中の湿分と反応することにより架橋硬化物を
与える、建築用あるいは工業用シーリング材、接着剤、
コーティング材などの原料あるいは原料中間体として有
用である。
【0047】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】(製造例1)オートクレーブに、エポキシ
ド重合触媒としてヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム
錯体0.80g、重合開始剤として数平均分子量1,5
00の一分子中にアリル基と水酸基とを有するポリオキ
シプロピレン(日本油脂株式会社製ユニセーフPKA−
5014 0.676mmol−OH/g)603g、
プロピレンオキシド82gを仕込み、徐々に100℃ま
で昇温することにより重合反応をおこなった。続いてプ
ロピレンオキシド4321gを約7.5時間かけて滴下
し、内温を100〜110℃に保った。滴下終了後にさ
らに0.5時間加熱し、続いて減圧脱揮により微量の未
反応モノマーの回収を行った。これにより重合体中に約
160ppmのヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム錯
体を含有する、一分子中にアリル基と水酸基とを含する
ポリオキシプロピレン(数平均分子量約16,000)
を得た。得られた重合体のヨウ素価滴定で求めたアリル
基当量は0.081mmol/g、水酸基価滴定により
求めた水酸基当量は0.109mmol/gであった。
【0049】(実施例1)製造例1で得られた、ヘキサ
シアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を含有し、一分子中
にアリル基と水酸基とを含有するポリオキシプロピレン
236gをガラス製反応器に秤取し、トルエンを用いて
共沸脱水した後、サリチル酸27mgを添加した。窒素
雰囲気で100℃/1時間加熱した後、室温まで冷却
し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金重
量で4.0ppm)、ジメトキシメチルシラン1.64
g(ポリオキシプロピレン中のアリル基に対して0.8
07当量)を順に添加した。80℃で2時間反応を行っ
たところ、ヒドロシリル化収率が75%(アリル基基
準)に達し、しかも水酸基の関与する縮合や架橋性ケイ
素基の関与する縮合などの副反応は起こっていなかっ
た。
【0050】続いて、γ−イソシアネートプロピルトリ
メトキシシラン5.01g(24.4mmol;水酸基
に対して0.949当量)、ジブチルスズビスイソオク
チルチオグリコレート11mg(47ppm)を室温で
添加し、80℃で5時間加熱することにより、ウレタン
化反応を完結させた。メタノール5gを添加して1時間
撹拌し、IR分析によりイソシアネート基が残存してい
ないことを確認した。
【0051】こうして得られた架橋性ケイ素基含有ポリ
オキシプロピレンから作成した硬化物は、シーリング材
や接着剤などの用途に十分な物性を有していた。
【0052】(実施例2)製造例1で得られた、一分子
中にアリル基と水酸基とを有するポリオキシプロピレン
124gをガラス製反応器に秤取し、トルエンを用いて
共沸脱水した後、コハク酸モノエチル10mgを添加し
た。窒素雰囲気で80℃/2時間加熱した後、室温まで
冷却し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白
金重量で5.1ppm)、ジメトキシメチルシラン0.
855g(ポリオキシプロピレン中のアリル基に対して
0.800当量)を順に添加した。80℃で4時間反応
を行ったところ、ヒドロシリル化収率が71%(アリル
基基準)に達し、しかも水酸基の関与する縮合や架橋性
ケイ素基の関与する縮合などの副反応は起こっていなか
った。
【0053】続いてγ−イソシアネートプロピルトリメ
トキシシラン3.51g(17.1mmol;水酸基に
対して1.10当量)、ジブチルスズビスイソオクチル
チオグリコレート12mg(100ppm)を室温で添
加し、80℃で4時間加熱することによりウレタン化反
応を完結させた。
【0054】こうして得られた架橋性ケイ素基含有ポリ
オキシプロピレンから作成した硬化物は、シーリング材
や接着剤などの用途に十分な物性を有していた。
【0055】(製造例2)オートクレーブ中にエポキシ
ド重合触媒としてヘキサシアノコバルト酸亜鉛グライム
錯体を0.34g、水酸基当量0.185mmol/g
の両末端水酸基ポリオキシプロピレンを1,500g
(水酸基0.277mol)、プロピレンオキシドを1
65g仕込み、80℃に加熱することにより反応を行な
った。誘導期を経た後、反応液温は一旦上昇した後低下
した。反応液温の低下を確認後、プロピレンオキシド3
20g(5.6mol)とアリルグリシジルエーテル6
6g(0.58mol)との混合液を1.5時間かけて
滴下し、さらに2時間110℃に加熱した。反応液のガ
スクロマトグラフィー分析により、アリルグリシジルエ
ーテルの消失を確認した。減圧脱揮を行ない、一分子中
にアリル基と水酸基とを有するポリオキシプロピレン
(数平均分子量約18,000)を得た。ヨウ素価滴定
で求めた不飽和基当量は0.29mmol/g、水酸基
価滴定により求めた水酸基当量は0.15mmol/g
であった。
【0056】(実施例3)製造例2で得られた、一分子
中にアリル基と水酸基とを有するポリオキシプロピレン
150gをガラス製反応器に秤取し、トルエンを用いて
共沸脱水した後、p−ヒドロキシ安息香酸11mgと8
−キノリノール4mgをそれぞれ添加した。窒素雰囲気
で100℃/1時間加熱した後、室温まで冷却し、白金
ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金重量でポリ
オキシプロピレンの7.3ppm)、ジメトキシシラン
3.69g(ポリオキシプロピレン中のアリル基に対し
て0.80当量)を順に添加した。80℃で4時間反応
を行ったところ、ヒドロシリル化収率が72%(アリル
基基準)に達し、しかも水酸基の関与する縮合や架橋性
ケイ素基の関与する縮合などの副反応は起こっていなか
った。
【0057】続いてγ−イソシアネートプロピルトリメ
トキシシラン4.62g(22.5mmol;水酸基に
対して1.0当量)、ジブチルスズビスイソノニル−3
−メルカプトプロピオネート10mg(ポリオキシプロ
ピレンの67ppm)を室温で添加し、80℃で3時間
加熱することによりウレタン化反応を完結させた。
【0058】こうして得られた架橋性ケイ素基含有ポリ
オキシプロピレンから作成した硬化物は、シーリング材
や接着剤などの用途に十分な物性を有していた。
【0059】(実施例4)製造例1で得られた、ヘキサ
シアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を含有し、一分子中
にアリル基と水酸基とを含有するポリオキシプロピレン
235gをガラス製反応器に秤取し、トルエンを用いて
共沸脱水した後、p−ヒドロキシ安息香酸35mgを添
加した。窒素雰囲気で100℃/1時間加熱した後、室
温まで冷却し、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶
液(白金重量で5.0ppm)、ジメトキシメチルシラ
ン1.66g(ポリオキシプロピレン中のアリル基に対
して0.81当量)を順に添加した。80℃で2時間反
応を行ったところ、ヒドロシリル化収率が74%(アリ
ル基基準)に達し、しかも水酸基の関与する縮合や架橋
性ケイ素基の関与する縮合などの副反応は起こっていな
かった。
【0060】続いて、γ−イソシアネートプロピルトリ
メトキシシラン7.92g(38.6mmol;水酸基
に対して1.5当量)、ジブチルスズビスイソオクチル
チオグリコレート12mg(50ppm)を室温で添加
し、80℃で3時間加熱することにより、ウレタン化反
応を完結させた。過剰のイソシアネート基に対して当量
のヘキサメチレンジアミン1.50g(12.9mmo
l)を添加し、80℃で1時間加熱した。
【0061】こうして得られた架橋性ケイ素基含有ポリ
オキシプロピレンから作成した硬化物は、過剰のγ−イ
ソシアネートプロピルトリメトキシシランとヘキサメチ
レンジアミンとの反応生成物がシランカップリング剤と
して作用するため、基材に対する接着性に優れていた。
【0062】(比較例1)製造例1で得られた、ヘキサ
シアノコバルト酸亜鉛グライム錯体を含有し、一分子中
にアリル基と水酸基とを含有するポリオキシプロピレン
76gをガラス製反応器に秤取し、トルエンを用いて共
沸脱水した後、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶
液(白金重量で4.4ppm)、ジメトキシメチルシラ
ン0.527g(アリル基に対して0.80当量)を室
温で添加した。80℃で3時間反応を行ったが、ヒドロ
シリル化収率は22%(アリル基基準)にしかならず、
しかも水酸基残存率は51%まで低下しており、水酸基
と架橋性ケイ素基との縮合反応が進行してしまってい
た。水酸基残存率が低いため、ウレタン化反応を利用し
た架橋性ケイ素基の導入を実施することはできなかっ
た。
【0063】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、複金属シア
ン化物錯体を含有し、一分子中に不飽和基と水酸基とを
有するポリオキシアルキレン系重合体から、複金属シア
ン化物錯体を除去あるいは精製する必要がほとんどな
く、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重
合体を得ることができる。本発明の製造方法において
は、不都合な副反応がほとんど起こらず、かつ精製が必
要な触媒残渣や不純物がほとんど残存しない。したがっ
て、製造工程の大幅な簡略化が可能となり、単一の反応
槽で製造することも可能である。しかも得られる架橋性
ポリオキシアルキレン系重合体は、シーリング材や接着
剤の原料として満足できる物性を示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)複金属シアン化物錯体を含有し、
    一分子中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアル
    キレン系重合体に、金属配位性化合物を添加した後、一
    分子中に水素−ケイ素結合と架橋性ケイ素基とを有する
    化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下でヒドロシリル化
    反応させ、(b)(a)で得られる、一分子中に架橋性
    ケイ素基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン系重
    合体と、一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネート基
    とを有する化合物を反応させることを特徴とする、架橋
    性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 複金属シアン化物錯体を含有し、一分子
    中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン
    系重合体に、金属配位性化合物を添加した後、50℃以
    上の加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載
    の、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 複金属シアン化物錯体を含有し、一分子
    中に不飽和基と水酸基とを有するポリオキシアルキレン
    系重合体が、複金属シアン化物錯体を触媒として重合さ
    れたものであることを特徴とする、請求項1または2に
    記載の、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重
    合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一分子中に不飽和基と水酸基とを有する
    ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量が3,0
    00以上であることを特徴とする、請求項1〜3の何れ
    か1項に記載の、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキ
    レン系重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属配位性化合物が、カルボキシル基を
    有する化合物、キレート化剤、およびフェノール性水酸
    基を有する化合物からなる群から選ばれる化合物である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載
    の、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 複金属シアン化物錯体が、ヘキサシアノ
    コバルト酸亜鉛を含有する錯体であることを特徴とす
    る、請求項1〜5の何れか1項に記載の、架橋性ケイ素
    基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 ヒドロシリル化触媒が白金含有化合物で
    あることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記
    載の、架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】 一分子中に架橋性ケイ素基とイソシアネ
    ート基とを有する化合物が、一般式(1) OCN−(CH2n−Si(R3-a)(Xa) (1) (式中、Rはアルキル基、置換アルキル基、アリール
    基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル
    基、あるいはトリオルガノシロキシ基を示し、2個以上
    存在するときには互いに同一でも異なっていてもよい。
    Xは水酸基、または加水分解性基を示し、2個以上存在
    するときには互いに同一でも異なっていてもよい。nは
    3以上の整数であり、aは1、2、あるいは3であ
    る。)で示される化合物であることを特徴とする、請求
    項1〜7の何れか1項に記載の、架橋性ケイ素基含有ポ
    リオキシアルキレン系重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 一分子中に架橋性ケイ素基と水酸基とを
    有するポリオキシアルキレン系重合体と、一分子中に架
    橋性ケイ素基とイソシアネート基とを有する化合物を反
    応させる際に、硫黄原子を含有するスズ触媒を用いるこ
    とを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の、
    架橋性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製
    造方法。
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