JP2002080213A - 炭素質多孔材 - Google Patents

炭素質多孔材

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JP2002080213A
JP2002080213A JP2000271854A JP2000271854A JP2002080213A JP 2002080213 A JP2002080213 A JP 2002080213A JP 2000271854 A JP2000271854 A JP 2000271854A JP 2000271854 A JP2000271854 A JP 2000271854A JP 2002080213 A JP2002080213 A JP 2002080213A
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porous material
adsorption
surface area
carbonaceous porous
resin
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Application number
JP2000271854A
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English (en)
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Masanori Yamazaki
正典 山崎
Hiroyuki Kakiuchi
博行 垣内
Tetsuya Aya
哲也 綾
Satoshi Nakajima
聡 中島
Masanobu Katani
昌信 架谷
Fujio Watanabe
藤雄 渡辺
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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  • Drying Of Gases (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 相対蒸気圧40%以下の範囲で大きな吸脱着
量変化を示す吸着材、および比較的低温の熱源で駆動す
る吸着ヒートポンプまたはデシカント空調装置を提供す
る。 【解決手段】 BET比表面積が400m2/g以上で、
細孔径2nm以上150nm以下の細孔の表面積が全表
面積の1〜10%であることを特徴とする炭素質多孔
材。上記炭素質多孔材よりなる吸着材を用いた吸着ヒー
トポンプまたはデシカント空調装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種物質を吸着
し、特に水を低相対蒸気圧域で吸着する炭素質多孔体、
該炭素質多孔材を吸着材として用いた吸着ヒートポンプ
またはデシカント空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】吸着ヒートポンプやデシカント空調装置
においては、一度水などの冷却媒体を吸着した吸着材を
再生するために、吸着材を加熱して冷却媒体を脱着さ
せ、乾燥した吸着材を再度吸着に使用する。つまり、こ
れらの装置の吸着材としては、低い蒸気圧で冷却媒体を
吸着し、少ない蒸気圧変化で大きい吸着量変化があり、
吸着質が容易に脱着するという特性を有する吸着材が望
ましい。特に、脱着温度が低いと低温で吸着材を再生で
きるため、駆動熱源の温度を下げることができる。
【0003】従来、吸着材としては活性炭、シリカゲ
ル、ゼオライト、活性アルミナ、ケイ酸カルシウムなど
が知られている。一般にこれら吸着ヒートポンプおよび
デシカント空調装置用の吸着材としては、ゼオライトや
シリカゲルが良く検討されている。ゼオライトやシリカ
ゲルは水の吸着能力に優れるが、一度吸着すると吸着質
が脱着しづらく、再生に高温の熱源が必要という欠点が
ある。
【0004】活性炭は最大吸着量が大きいため吸着材が
少量でよく、吸着と脱着がほぼ同じ相対蒸気圧で生ずる
ため低温の熱源で再生できるという利点があるが、吸着
ヒートポンプおよびデシカント空調装置における吸着材
の作動範囲である相対蒸気圧40%以下では吸着等温線
が立ち上がらないという欠点がある。そこで、活性炭の
表面にシリカゲルを添着することで活性炭の吸着等温線
を低相対蒸気圧側へ移動させることが検討されており、
活性炭の吸着等温線は低い相対蒸気圧側へ移動している
が、相対蒸気圧40%以下では充分な吸着量は得られて
いない(特開平10−263394号参照)。また、活
性炭は吸着量を増加させるために賦活処理によって表面
積を増加させると、賦活による重量減少が著しくなると
いった問題がある。
【0005】吸着材を吸着ヒートポンプやデシカント空
調装置に用いる場合、駆動可能な熱源温度を下げて熱を
有効に利用するためには、脱着温度を低くすることが重
要である。しかし、吸着剤の吸着性能の向上を目的とし
た検討は多くなされているが、脱着性能の向上について
は殆ど検討されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】吸着ヒートポンプやデ
シカント空調装置を小型化し、かつ駆動熱源温度を下げ
るためには、(1)吸着質を低相対蒸気圧で吸着し(吸
着温度が高く)、(2)吸脱着量が多く、(3)吸着質
を高相対蒸気圧で脱着(脱着温度が低い)する、吸着材
が好ましい。なぜならば、吸着質を低相対蒸気圧で吸着
すると、吸着材の周囲が比較的高い温度でも十分に装置
が作動できることになり、また吸脱着量が多いと吸着材
が少量でよいために装置の小型化が可能になり、さらに
脱着温度が低いと吸着質を脱着するのに低温の熱源を利
用できるためである。
【0007】本発明は上記実状に鑑みてなされたもので
あり、相対蒸気圧40%以下の範囲で大きな吸脱着量変
化を示す吸着材、および該吸着材を用いた100℃以下
の比較的低温の熱源で駆動する吸着ヒートポンプまたは
デシカント空調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の物理化学
的性質を有する炭素質多孔材が低い相対蒸気圧域の狭い
相対蒸気圧範囲で大きな吸脱着量変化を示すことを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明により、BET比表面積が
400m2/g以上で、細孔径2nm以上150nm以
下の細孔の表面積が全表面積の1〜10%であることを
特徴とする炭素質多孔材が提供される。また、本発明に
より水蒸気吸着等温線が相対水蒸気圧0〜0.5の範囲
でS字を描き、相対水蒸気圧0.4の水蒸気吸着量が飽
和水蒸気吸着量の50%以上であることを特徴とする炭
素質多孔材が提供される。さらに本発明の別の態様によ
り、吸着ヒートポンプまたはデシカント空調装置に用い
るための上記炭素質多孔材、上記炭素質多孔材よりなる
吸着材、該吸着材を用いた吸着ヒートポンプまたはデシ
カント空調装置が提供される。
【0010】上記の炭素質多孔材を吸着材として用いた
吸着ヒートポンプまたはデシカント空調装置は低相対蒸
気圧域で効率よく作動し、比較的低温の熱源を利用する
ことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0012】本発明の炭素質多孔材はBET比表面積が
400m2/g以上で、細孔径2nm以上150nm以
下の細孔の表面積が全表面積に対して1〜10%の範囲
である。
【0013】本願発明においてBET比表面積は、吸着
質に窒素ガスを用いて吸着量を求め、以下の式に窒素ガ
スの吸着量を挿入して求める。
【0014】S = 4.35×Vm(S:比表面積
(m2/g)、Vm:窒素ガス吸着量(ml/g)) 比表面積とは単位質量あたりの表面積であり、吸着材の
吸着量に関係する。比表面積が小さいと吸着量が少なく
なるため吸着ヒートポンプやデシカント空調装置の吸着
材として使用する際には、十分な蒸発潜熱を得られずに
冷却能力が低くなる。このため、比表面積は通常400
2/g以上は必要であり、好ましくは700m2/g以
上、さらに好ましくは1000m2/g以上である。
【0015】一般に吸着材の吸着性能は、材質、細孔径
の大きさ、細孔径の分布等により大きな影響を受ける。
細孔径が2nm以下で大きさの均一な細孔が多く存在す
ると、低相対水蒸気圧(0〜0.4)の範囲で水蒸気吸
着等温線が急激に立ち上がるため、操作湿度範囲が狭く
ても大きい吸着量を得られる。
【0016】本発明の炭素質多孔材の性質は、炭化され
る物質の種類や熱処理温度などにより異なる。熱硬化性
樹脂を炭化して得た炭素質多孔材が本発明として好適で
あり、例えばジメチルホルムアミドなどの溶液に溶解し
たポリイミド樹脂を熱処理して得た炭素質多孔材は、従
来の活性炭、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、
ケイ酸カルシウムなどの吸着材と比較して、低相対蒸気
圧で良好な吸脱着性能を示す。本願において相対蒸気圧
とは、吸着質の飽和蒸気圧Poに対する吸着質の蒸気圧
Pの比の値P/Poを意味し、本願の低相対蒸気圧とは
相対蒸気圧0.4以下を、高相対蒸気圧とは相対蒸気圧
0.4以上を意味する。
【0017】吸着ヒートポンプやデシカント空調装置に
用いる吸着材として、本願発明の炭素質多孔材において
は、吸着に寄与する細孔径2nm以下のミクロ孔と、吸
着質の物質移動に寄与する細孔径2nm〜50nmのメ
ソ孔が吸着性能に影響を及ぼす。
【0018】メソ孔を積極的に作る手法として、少なく
とも一種以上の熱硬化性樹脂を配合した複数種の樹脂の
混合物を熱処理する方法があげられる。この場合、熱硬
化性樹脂は炭素質多孔体中でマトリックスであり、これ
に組み合わされる樹脂はドメインとなる。このような複
数種の樹脂を組み合わせることにより熱硬化性樹脂中で
分散する他樹脂の分散径をマイクロ〜メソ孔の積極的な
形成へと結びつけることが出来る。
【0019】熱硬化性樹脂に分散させる成分は所望の細
孔径に応じてマトリックスとなる熱硬化性樹脂との相溶
性により、適宜選択する。一般には組み合わせる溶質の
相溶性が高い程、細孔径の小さい熱硬化性樹脂が得られ
る。
【0020】熱硬化性樹脂中で分散された他樹脂は熱処
理により分解または除去できなくてはならない。熱処理
によって該他樹脂が分解された空間が細孔となる。粒子
分散径は混合する樹脂同士の相溶性によって異なり、熱
硬化性樹脂の種類、混合する樹脂の種類に応じて細孔径
の制御が可能である。
【0021】細孔分布は一般的には窒素吸着法により測
定することが可能であるが、細孔径約1nm以下の細孔
について測定は出来ない。水蒸気が吸着される細孔は主
にミクロ孔であるためミクロ孔の数が多い方が吸着量が
大きく、細孔径が均一であると等温吸着曲線が狭い範囲
で立ち上がるため、好ましい。しかし、ミクロ孔のみで
は水の脱着時に高温の熱源が必要となるためにある程度
のメソ孔の存在も必要となる。その割合は2nm以上1
50nm以下の細孔径の占める割合が窒素吸着法により
計算される吸着材全体の表面積に対して1〜10%の範
囲であり、好ましくは1〜5%である。
【0022】2nm以上150nm以下の細孔径の占め
る割合が10%以上である場合、同一のBET比表面積
値であっても水蒸気吸着等温線における吸着開始点が高
相対湿度側かつ水蒸気吸着等温線自体ブロードとなり低
相対湿度で十分な吸着量を得られない。
【0023】本願発明の炭素質多孔材は、例えば次のと
おり製造することができる。まずミクロ孔および/また
はメソ孔を有する熱硬化性樹脂含有混合物を製造し、つ
ぎに該熱硬化性樹脂を炭化させることにより炭素質多孔
材が得られる。更に詳しくは、熱硬化性樹脂の前駆体を
熱処理して2次元あるいは3次元架橋を行わせて得た熱
硬化性樹脂を、さらに熱処理して架橋物の一部および熱
硬化性樹脂に添加された成分を分解させる。本願発明の
炭素質多孔材の製造方法の一例を以下3工程に分けて説
明する。
【0024】第一工程:細孔形成源を有する熱硬化性樹
脂前駆体の調製 第一工程においては、熱硬化性樹脂の前駆体に熱分解性
物質が分散した、細孔形成源を製造する。ここで熱分解
性物質とは熱硬化性樹脂が炭化する温度以下で分解する
物質をいう。該細孔形成源の製造方法としては、相転換
法およびポリマーブレンド法が好ましく例示される。
【0025】相転換法においては、熱硬化性樹脂の前駆
体である可溶性物質(A)を良溶媒(B)に溶解した溶
液を、ガラス板に塗布する。該ガラス板を、可溶性物質
(A)には貧溶媒であり溶媒(B)に対しては良溶媒で
ある溶媒(C)に導入すると、塗布した溶液中の溶媒
(B)が溶媒(C)と置換される。ここで、可溶性物質
(A)は溶媒(C)に溶解しないため、溶媒(B)が溶
媒(C)と置換される際に溶媒(B)が通過した空間に
は細孔源が形成される。熱硬化性樹脂の前駆体(A)に
ポリイミド樹脂を用いる場合、溶媒(B)にN,N−ジ
メチルホルムアミド、(C)にアセトン、メタノール、
エタノール、水などを用いることができる。
【0026】ポリマーブレンド法においては、熱硬化性
樹脂の前駆体(D)に、(D)と相溶性の高い熱分解性
ポリマー(E)を均一に分散させる。このとき前駆体
(D)とポリマー(E)をそれぞれ溶媒(F)に溶解し
た後に混合すると、良好な混合液を得られるため、ポリ
マー(E)は、前駆体(D)と同一溶媒もしくは互いに
任意の割合で混合できる溶媒(F)に溶解するポリマー
が望ましい。熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である場
合、前駆体(D)にノボラック型のフェノール、クレゾ
ール、置換フェノール、置換クレゾールまたはクレゾー
ル型のフェノール、ポリマー(E)にポリメチルメタク
リレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエ
チルメタクリレート、ポリサルフォン誘導体、ポリスチ
レンとアクリロニトリルの共重合体、ポリビニルメチル
エーテル、ポリビニルアセテート、溶媒(F)にメタノ
ール、アセトン、メチルエチルケトン、メチレンクロラ
イドなどを用いることができる。ここで、溶媒(F)は
上記(D)および(E)に対して良溶媒であるものを適
宜選択する。そしてこの場合には(E)の分散を細孔形
成源として第三工程にて細孔を形成できる。
【0027】第二工程:多孔性熱硬化性樹脂の調製 上記第一工程で得た熱硬化性物質の前駆体である可溶性
物質の溶液を加熱して硬化処理し、該加熱温度よりも溶
媒の気化もしくは分解温度が高い場合には内部に溶媒を
含んだ熱硬化性樹脂を、低い場合には多孔性熱硬化性樹
脂を得る。ここで得られる多孔性熱硬化性樹脂は、BE
T比表面積が400m2/g以上で、細孔径2nm以上
150nm以下の細孔の表面積が全表面積の1〜10%
である多孔性熱硬化性樹脂が好ましい。
【0028】 第三工程:熱処理による炭素質多孔材の調製 第二工程で得られた熱硬化性樹脂を熱処理(加熱処理)
し、熱硬化性樹脂を炭化すると同時に、第一工程または
第二工程を経て残存している生成物中の分解分を除去し
て炭素質多孔材を製造する。
【0029】加熱条件としては、添加分散させた成分の
分解温度により異なるが、添加成分の分解温度±30℃
の範囲まで約2℃/minの温度で昇温し、分解温度に
て約1hr保持した後さらにマトリックスとなる熱硬化
性樹脂の炭化を行うことにより細孔分布、比表面積を制
御した炭素質多孔材を得ることができる。熱処理の際、
一般的に芳香環の様な構造は残りやすく、炭化水素など
のアルキル基は分解しやすいので、架橋物中の分解部分
が除去された多孔材となる。
【0030】以上の工程により、細孔径が制御された炭
素質多孔材を得ることが出来るが、例えばポリイミド中
空糸などの一般に入手可能な多孔質熱硬化性樹脂で、該
熱硬化性樹脂の孔が本発明に規定する値を満たしている
場合、該熱硬化性樹脂を第三工程により炭化すれば本発
明の炭素質多孔材が得られる。細孔が本発明に規定する
値を満たしている多孔質熱硬化性樹脂を一般に入手でき
ない場合でも、例えば特開昭63−270506号公報
に記載された方法等により適宜製造できる。
【0031】また、上記3工程中、第二工程が必ずしも
含まれる必要はない。第一工程と第三工程を組み合わせ
る場合、第一工程で溶媒置換された物質を作成でき、か
つそのままの形状を保持したまま第三工程にて炭素質多
孔材を得ることが可能であり、つまり第一工程により細
孔形成源を作製し、そのまま熱処理することで炭素質多
孔材を簡単に製造することが出来る。
【0032】炭素質多孔材を、それ自体の成形体とし形
状を保持したい場合には第二工程を必要とする。例え
ば、フィン付きパイプなどの成形体を予め第二工程を経
て硬化させることで形状を保持すればそのままさらに熱
処理しても熱硬化性樹脂がバインダー的な役割あるいは
マトリックスとして作用しているために形状を保持でき
るためである。
【0033】本発明では、最終的に熱硬化性樹脂を炭化
して炭素質多孔材を得るが、熱硬化性樹脂は、加熱処理
により分子内や分子間での縮合が進行するため、一般的
には3次元網目構造を有し、従って加熱処理後の残存量
が多く、様々な原料との硬化物を作成することも可能で
ある。また、架橋が2次元、3次元的に行われるために
構造が緻密であり、硬化により構造が固定される。特に
吸着材としてこれら熱硬化性樹脂により作成された炭素
質多孔材は、生成される熱硬化性樹脂の構造が炭素質多
孔材にも反映されるため、熱硬化性樹脂の構成成分や構
造は重要である。
【0034】特に水を吸着させる場合、硬化分子構造内
に水との親和性の良い原子として窒素を含有するものが
よく、その観点からは、特にポリイミド樹脂を原料とし
て調製されたものが好ましい。また炭素質多孔材の調製
に用いられる熱硬化性樹脂は、一種類の樹脂であっても
良いし、複数の化合物を事前に調製し、加熱によりエポ
キシ樹脂とフェノール樹脂の複合体や、フェノール樹脂
とメラミン樹脂の複合体などが形成されるものであって
も良い。また予め、プレ硬化させ、ある程度の分子量に
した溶剤可溶性オリゴマーを用いても良い。熱硬化性樹
脂の種類は特に限定されないが、ポリイミド樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミドイミ
ド、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂およびこれらの誘導
体などが細孔制御の観点から好ましい。
【0035】かくして得られる炭素質多孔材は優れた吸
着能を有しており、吸着材として種々の用途に用いるこ
とができる。
【0036】特に吸着ヒートポンプ用吸着材においては
吸着媒体が低相対圧域で十分な量の平衡吸着量に達する
必要があり、本発明の炭素質多孔材は、吸着式ヒートポ
ンプおよび/またはデシカント空調装置用の吸着材とし
て好適に用いることが出来る。
【0037】すなわち、本発明の炭素質吸着材は、水蒸
気吸着等温線が相対水蒸気圧0〜0.5の範囲でS字曲
線を描き、相対水蒸気圧0.4の水蒸気吸着量が飽和水
蒸気吸着量の50%以上、好ましくは60%以上、更に
好ましくは70%以上であるという性質を有するもので
ある。この水蒸気吸着能力は、吸着ヒートポンプまたは
デシカント空調装置用の吸着材として特に好ましいもの
である。
【0038】本発明では、ヒートポンプおよび/または
デシカント空調装置としては、公知の各種の吸着ヒート
ポンプおよび/またはデシカント空調装置を利用し、そ
の装置の吸/脱着部に本発明である炭素質多孔材を使用
することができる。
【0039】吸着ヒートポンプおよび/またはデシカン
ト空調装置に本発明である炭素質多孔材を使用するにあ
たっては、その吸/脱着部での充填形態も、公知の各種
の方法を利用することができる。好ましくは、炭素質多
孔材をバインダーを用いて吸/脱着部に固定する方法、
炭素質多孔材を吸/脱着部に封入状態で充填する方法、
などが挙げられる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0041】実施例1 ポリイミドP−84(レンチィング社製)を外側に温水
を通すことの出来る2重構造となっている攪拌槽に投入
し、回転数150±50rpmで攪拌する。この攪拌を
原料の粘度が450ポイズに下がるまで熱処理した後、
ギヤーポンプ付きのタンクに移し替えた。この溶液を吐
出速度13.75g/minでクリアランス8ミクロン
の円形ノズルから50℃に設定した水中に押しだし、凝
固させた。その際、芯液としてアセトンを150mmH
gの圧力にて同時に押し出し、糸の巻き取り速度7.6
m/minにて紡糸する事により中空糸形状のサンプル
を得た。このサンプルを更に300℃熱処理し、仮硬化
させた。次に、この仮硬化させたサンプルをシランカッ
プリング剤(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン:日本ユニカー社製A112
0)にて塗布保持時間1minとして表面処理を行った
後、更にポリビニルアルコール(クラレ社製:Kポリマ
ー)の水溶液にて表面処理してポリイミド中空糸を作製
した(外径/内径=1610±60ミクロン)。
【0042】この中空糸を1L/minの窒素流通下で
シリコニット炉にて室温から2℃/minの昇温速度で
800℃まで加熱して炭化させた後、炉内で自然冷却
し、室温まで冷却して炭素質多孔材を得た。炭素質多孔
材のBET比表面積は450m 2/g、細孔径2nm以
上150nm以下のBET比表面積は20m2/gであ
った。こうして得られた試料の吸着等温線測定装置(ベ
ルソーブ18:日本ベル社製)にて水蒸気の吸着等温線
を測定した。測定結果を図1(実線)に示す。その結
果、相対湿度40%以下で吸着等温線が立ち上がり、自
重の16%の水蒸気を吸着した。また、水蒸気を吸着し
た吸着材の脱着等温線を測定したところ、吸着等温線と
ほぼ同じ曲線が得られ、ヒステリシスは殆ど見られなか
った。
【0043】比較例1 代表的な活性炭として三菱化学社製008(吸着材のB
ET比表面積:983m2/g、細孔径2nm以上15
0nm以下のBET比表面積:279m2/g)の吸着
等温線を図1(破線)に示す。図1から明らかなように
相対湿度が60%以上で、吸着等温線が立ち上がり、自
重の40%の水蒸気を吸着した。
【0044】
【発明の効果】本発明の炭素質多孔材は、吸着剤として
各種の用途に用いることができ、特に吸着ヒートポンプ
およびデシカント空調用の吸着剤として使用すると、装
置を小型化し、かつ低温の熱源で駆動できるため好まし
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水蒸気の吸着等温線を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 綾 哲也 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 (72)発明者 中島 聡 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 (72)発明者 架谷 昌信 愛知県名古屋市守山区下志段味穴ヶ洞2271 −334 (72)発明者 渡辺 藤雄 愛知県尾張旭市新居町上の田2897−6 Fターム(参考) 4D052 AA08 CE00 DA01 DB01 GB14 GB17 GB18 HA21 HB02 4G046 CA04 CB05 CB08 CC01 4G066 AA04B AA10D AB18D AC22A AC25A AC26A AC27A BA23 BA24 BA26 BA36 BA38 CA43 DA03 FA03 FA22 GA06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BET比表面積が400m2/g以上
    で、細孔径2nm以上150nm以下の細孔の表面積が
    全表面積の1〜10%であることを特徴とする炭素質多
    孔材。
  2. 【請求項2】 水蒸気吸着等温線が相対水蒸気圧0〜
    0.5の範囲でS字を描き、相対水蒸気圧0.4の水蒸
    気吸着量が飽和水蒸気吸着量の50%以上であることを
    特徴とする炭素質多孔材。
  3. 【請求項3】 比表面積が700m2/g以上である請
    求項1または2に記載の炭素質多孔材。
  4. 【請求項4】 BET比表面積が400m2/g以上
    で、細孔径2nm以上150nm以下の細孔の表面積が
    全表面積の1〜10%である熱硬化性樹脂を炭化させて
    なることを特徴とする炭素質多孔材。
  5. 【請求項5】 熱硬化性樹脂となる前駆体化合物の溶液
    を熱処理することにより得た熱硬化性樹脂を炭化させて
    なる、請求項1から4のいずれか1項に記載の炭素質多
    孔材。
  6. 【請求項6】 熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂、エポ
    キシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイ
    ミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂から選ばれる1種以上
    の架橋性樹脂である請求項4記載の炭素質多孔材。
  7. 【請求項7】 吸着ヒートポンプまたはデシカント空調
    装置に用いるための請求項1から6のいずれか1項に記
    載の炭素質多孔材
  8. 【請求項8】 請求項1から6のいずれか1項に記載の
    炭素質多孔材よりなる吸着材。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の吸着材を用いた吸着ヒ
    ートポンプまたはデシカント空調装置。
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