JP2002076520A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP2002076520A
JP2002076520A JP2000266037A JP2000266037A JP2002076520A JP 2002076520 A JP2002076520 A JP 2002076520A JP 2000266037 A JP2000266037 A JP 2000266037A JP 2000266037 A JP2000266037 A JP 2000266037A JP 2002076520 A JP2002076520 A JP 2002076520A
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light emitting
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Yasuji Seko
保次 瀬古
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い光学利得を有すると共に、結晶欠陥が少な
く優れた発光特性を有する半導体発光素子を提供する。 【解決手段】半導体発光素子の量子井戸構造が、量子井
戸層20、圧縮歪みを有し量子井戸層20と隣接する第
1障壁層18、22、第1障壁層18、22に各々隣接
する第2障壁層16、24から構成される。量子井戸層
20に存在する正孔の波動関数38は第1障壁層18、
22に浸み出している。このため第1障壁層18、22
を圧縮歪みにすることにより、正孔の波動関数38を構
成する重い正孔と軽い正孔との相互作用が抑制され、光
学利得が向上すると考えられる。光学利得が向上する。
一方、第2障壁層16、24を無歪みまたは引張歪みと
することにより、障壁層全体の応力を緩和することがで
き、結晶欠陥が少なく優れた発光特性を有する半導体発
光素子を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体発光素子に
関し、詳しくは、基板上に量子井戸層と該量子井戸層を
挟持する障壁層とをエピタキシャルに成長した半導体発
光素子に関する。特に、各種の光源として利用されるL
ED(発光素子)、あるいはレーザプリンターや光ディ
スク記録、ディスプレイなどの光源に使用される端面発
光型半導体レーザや面発光型半導体レーザの構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体で構成した量子井戸層を歪ませる
と、価電子帯のバンド構造が変化し、状態密度が小さく
なったり、オージェ非発光再結合が抑制されことによ
り、発光機構の利得を増大させたり、温度特性を向上さ
せることなどがYabnolovitchなどにより最初に理論予測
された(E.Yabnolovitch and E.O.Kane, Journal of Lig
htwave Technology, Vol.LT-4, No.5, 1986)。光学利得
の増大や非発光再結合の減少は、半導体レーザのしきい
値電流を低減し、レーザ性能を向上させることになる。
その後、半導体成長技術の向上に伴い、実際に量子井戸
層を歪ませた歪み量子井戸レーザが作製されるようにな
り、歪み量子井戸層の導入によるレーザ性能の向上が報
告された。
【0003】そして、様々な歪み量子井戸構造が提案さ
れている。例えば、井戸層のみを歪ませた量子井戸レー
ザの提案の他に、レーザの構造層作製時に結晶欠陥を防
ぐことを目的として障壁層の歪みを井戸層の歪みとを引
張歪みと圧縮歪みというように逆方向にする提案(特開
平6−224516号)、または、価電子帯のバンド構
造の観点から、井戸層と障壁層を圧縮あるいは引っ張り
の同一方向に歪ませる提案(特開平5−267784
号)など、障壁層を歪ませた量子井戸構造も提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等の研究によ
れば、井戸層が圧縮歪みであろうが、引張り歪みであろ
うが、障壁層を圧縮歪みにすることにより、光学利得が
向上する。
【0005】しかしながら、単一量子井戸構造の障壁層
の厚さは、通常、約30〜300nmの範囲内に有り、
多重量子井戸構造の障壁層の厚さは、井戸層と井戸層と
の間に有る障壁層で約1〜15nmの範囲内に有り、井
戸層とクラッド層との間に有る障壁層で約30〜300
nmの範囲内に有る。即ち、井戸層とクラッド層とに隣
接する障壁層は約30nm以上の厚さを有している。こ
のため障壁層を歪ませた場合には、その応力が大きくな
り過ぎ、転位などの結晶欠陥が発生し易くなる。この結
晶欠陥の発生は、非発光部分の増大や漏れ電流の増大を
引き起こし、レーザ性能を低下させる、という問題があ
る。
【0006】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなさ
れたものであり、本発明の目的は、高い光学利得を有す
ると共に、結晶欠陥が少なく優れた発光特性を有する半
導体発光素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、基板上に量子井戸層と該
量子井戸層を挟持する障壁層とをエピタキシャルに成長
した半導体発光素子において、前記障壁層は、圧縮歪み
を有し前記量子井戸層と隣接する第1障壁層と、該第1
障壁層に隣接する第2障壁層と、から構成されることを
特徴とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記第1障壁層の厚さが1nm以上で
あることを特徴とする。請求項3に記載の発明は、請求
項1または2に記載の発明において、前記第1障壁層の
厚さが3nm以上であることを特徴とする。請求項4に
記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発
明において、前記第1障壁層の厚さが10nm以下であ
ることを特徴とする。
【0009】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれか1項に記載の発明において、前記第1障壁層及
び前記量子井戸層が歪み補償構造を形成することを特徴
とする。請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいず
れか1項に記載の発明において、前記第1障壁層及び前
記第2障壁層が歪み補償構造を形成することを特徴とす
る。請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか
1項に記載の発明において、前記第1障壁層、前記第2
障壁層、及び前記量子井戸層が歪み補償構造を形成する
ことを特徴とする。
【0010】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれか1項に記載の発明において、前記量子井戸層の
厚さが80nm以下であることを特徴とする。請求項9
に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の
発明において、AlGaInAs系材料で構成されてい
ることを特徴とする。
【0011】端面発光型の半導体量子井戸レーザでは、
特殊な場合を除いて、通常、量子井戸活性層の面内方向
に電界成分を持つTE(transverse electric)偏波した
光が増幅し、レーザ発振する。面発光型の半導体レーザ
においては、必ず、量子井戸活性層の面内方向に電界成
分を持つTE偏波した光がDBRミラーで反射され増幅
し、レーザ発振する。従って、端面発光型であれ、面発
光型であれ、量子井戸レーザの性能を向上させるために
は、量子井戸層の面内方向に電界成分を持つTE偏波光
の利得を増大させればよい。本発明者等は、量子井戸構
造の歪みとTE偏波光の利得との関係を以下の知見に基
づき計算した(以下、ここでは、TE偏波光の利得を単
に光学利得と呼ぶことにする)。即ち、その計算手順を
以下に示す。
【0012】まず、kp理論に基づいて出されたLuttin
ger-Kohnの4×4ハミルトニアンを利用して、マルチバ
ンドの有効質量近似方程式を立てる。これを有限差分法
を用いて井戸と障壁で構成される量子井戸構造に適用し
て、その固有エネルギーを量子井戸面内に平行な波数ベ
クトルの関数として求める。つまり、波数ベクトルを横
軸とした価電子帯のバンド構造が求められる。また、同
時に伝導帯と価電子帯の波動関数の重なり積分と光の電
界方向と電子の波数ベクトルの方向との関係から、TE
モードの遷移行列要素MTを計算する。次に価電子帯バ
ンド構造より、井戸内のキャリア密度と擬フェルミレベ
ルとの関係を求め、さらに、電子と正孔を結合させた結
合状態密度を算出する。遷移行列要素と擬フェルミレベ
ルと結合状態密度より、次式の光学利得gを算出するこ
とができる。
【0013】
【数1】
【0014】このようにして計算した光学利得と障壁層
の歪みとの関係を図1に示す。ここで用いた材料はAl
GaInAs系であり、井戸層はGaInAsで構成
し、障壁層はAlGaInAsで構成し、基板はInP
とした。また、井戸層と障壁層のバンドギャップ差は、
歪みの無いフリースタンディングの状態で300meV
と一定にし、井戸層と障壁層の格子定数とInP基板と
の格子定数との相違による歪みの影響が光学利得にどの
ように影響するかを調べた。歪み量εは次式で算出し
た。
【0015】ε=(a0−a1)/a1 (a1:各層の格
子定数、a0:基板の格子定数)図1に示すように、井
戸層が圧縮歪みであろうが、引張り歪みであろうが、障
壁層を圧縮歪みにすることにより、光学利得が向上する
ことが分かる。ここで、マイナスの符号は圧縮歪みを表
し、プラスの符号は引張り歪みを表している。井戸層に
圧縮歪みを加えた場合、無歪みの井戸より利得は高くな
るが、障壁層をも歪ませることにより、さらに利得が向
上する。井戸層に引張り歪みを加えた場合、無歪みの井
戸より利得は小さくなるが、障壁層に圧縮歪みを加える
ことで利得を増大させることができる。逆に障壁層に引
張り歪みを加えた場合には、利得が大きく低下すること
も判明した。このように障壁層の歪みの役割が非常に大
きいことがわれわれの計算より導きだされた。
【0016】図2に、上記の計算に基づいて求めた種々
の量子井戸構造の光学利得と量子井戸幅との関係を示
す。例えば−0.7%w/+0.7%bは、井戸層には
0.7%の圧縮歪み、障壁層に0.7%の引張歪みがか
かっていることを表している。図2に示すように、障壁
層を圧縮歪みにすることにより光学利得が向上するとい
う傾向は井戸幅を変えても変わらないことが分かる。特
に、井戸幅が80nmより狭くなった場合には、井戸層
及び障壁層に圧縮歪みをかけた場合の利得とその他の歪
み量子井戸構造の利得とでは、大きな差が現れることが
見いだされた。即ち、井戸幅が80nm以下において、
圧縮歪みの障壁層の効果が大きくなる。
【0017】本発明者等はこのように障壁層の歪みの影
響が大きい理由について考察した。図3に、量子井戸構
造が無歪みの場合の量子井戸に存在する正孔の波動関数
の分布を示す。図中、18、22は第1障壁層、16、
24は第2障壁層、20は量子井戸層、34は伝導帯、
36は価電子帯、38は正孔の波動関数を表す。図3に
示すように、量子井戸層20に存在する正孔の波動関数
38は第1障壁層18、22に浸み出している。このた
め第1障壁層18、22を圧縮歪みにすることにより、
正孔の波動関数38を構成する重い正孔と軽い正孔との
相互作用が低減し、光学利得が向上すると考えられる。
この第1障壁層18、22の厚さは、波動関数38の浸
み出し長さと同程度にすれば良く、計算から1〜10n
m以下と考えてよい。
【0018】即ち、障壁層は通常約30nm以上の厚さ
を有しているが、その障壁層の量子井戸層との界面から
1〜10nm、好ましくは3〜10nmの厚さの部分
(第1障壁層)に面内方向の圧縮歪みを持たせることに
より、光学利得が向上する。一方、障壁層の第1障壁層
以外の部分(第2障壁層)を無歪みまたは引張歪みとす
ることにより、障壁層全体の応力を緩和することができ
る。特に、第1障壁層及び量子井戸層の間、第1障壁層
及び第2障壁層の間、第1障壁層、第2障壁層、及び量
子井戸層の間のいずれかにおいて歪み補償構造を形成す
ることにより、障壁層全体の応力をより一層緩和するこ
とができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
半導体発光素子の実施の形態について説明する。 (第1の実施の形態)第1の実施の形態は、図4に示す
AlGaInAs系の端面発光型の量子井戸レーザに本
発明を適用した例である。以下、この端面発光型の量子
井戸レーザの構造を製造工程に従い説明する。
【0020】MOVPE(metal organic vapor phase
epitaxy)装置の中にInP基板10を設置し、TMG
(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニ
ウム)、TMI(トリメチルインジウム)、AsH
3(アルシン)を用いて、n型InP基板10上に、n
型InPバッファー層12(200nm)、無歪みのn
型Al0.47In0.53Asクラッド層14(2μm)、無
歪みのAl0.24Ga0.23In0.53As第2障壁層16
(90nm)、−0.7%歪みAl0.29Ga0.08In
0.63As第1障壁層18(10nm)、−0.7%歪み
のGa0.37In0.63As量子井戸層20(7nm)、−
0.7%歪みAl0.29Ga0.08In0.63As第1障壁層
22(10nm)、無歪みのAl0.24Ga0.23In0.53
As第2障壁層24(90nm)、無歪みのp型Al
0.47In0.53Asクラッド層26(2μm)、無歪みの
p型Al0.47In0.53Asコンタクト層28(200n
m)を順次エピタキシャル成長する。
【0021】次に、この基板をMOVPE装置からとり
だし、p型電極30としてAuZnを150nm、n型
電極32としてAuGeを150nm、InP基板10
側に蒸着した。この基板を共振器長が300μmになる
ように劈開して端面ミラーを作製し、端面発光型の量子
井戸レーザを作製した。この端面発光型の量子井戸レー
ザは波長1.64μmで発振し、しきい値電流密度は2
00A/cm2と良好なレーザ特性を示した。即ち、第
1障壁層に圧縮歪みをかけない場合に比べてしきい値電
流密度が低くなり、電流光変換効率が向上すると共に発
熱が減少することにより、半導体レーザが安定して動作
するようになる。
【0022】また、本実施の形態では、障壁層は量子井
戸層に隣接する第1障壁層にのみ歪み構造が採用されて
おり、上記の通りレーザ性能を損なうことなく、障壁層
の歪み応力が障壁層全体を同一方向に歪ませた場合(従
来例)の1/9に低減されている。これにより歪み応力
による結晶欠陥などの発生が抑制でき、高品質の量子井
戸構造を作製することができる。即ち、結晶欠陥を発生
させずに高性能レーザの作製が可能である。
【0023】(第2の実施の形態)第2の実施の形態
は、第1の実施の形態のAlGaInAs系の端面発光
型の量子井戸レーザにおいて、量子井戸層を無歪みとし
た例である。
【0024】第1の実施の形態と同様にして、n型In
P基板10上に、n型InPバッファー層12(200
nm)、無歪みのn型Al0.47In0.53Asクラッド層
14(2μm)、無歪みのAl0.24Ga0.23In0.53
s第2障壁層16(90nm)、−0.7%歪みAl
0.29Ga0.08In0.63As第1障壁層18(10n
m)、無歪みのGa0.47In0.53As量子井戸層20
(7nm)、−0.7%歪みAl0.29Ga0.08In0.63
As第1障壁層22(10nm)、無歪みのAl0.24
0.23In0.53As第2障壁層24(90nm)、無歪
みのp型Al0.47In0. 53Asクラッド層26(2μ
m)、無歪みのp型Al0.47In0.53Asコンタクト層
28(200nm)を順次エピタキシャル成長する。
【0025】次に、第1の実施の形態と同様にして、p
型電極30としてAuZnを150nm、n型電極32
としてAuGeを150nm、InP基板側に蒸着し
た。この基板を共振器長が300μmになるように劈開
して端面ミラーを作製し、端面発光型の量子井戸レーザ
を作製した。この端面発光型の量子井戸レーザは発振波
長1.49μmで発振し、しきい値電流は280A/c
2と良好なレーザ特性を示した。即ち、第1障壁層に
圧縮歪みをかけない場合に比べてしきい値電流密度が低
くなり、電流光変換効率が向上すると共に発熱が減少す
ることにより、半導体レーザが安定して動作するように
なる。
【0026】また、本実施の形態では、第1の実施の形
態と同様、障壁層は量子井戸層に隣接する第1障壁層に
のみ歪み構造が採用されており、上記の通りレーザ性能
を損なうことなく、障壁層の歪み応力が障壁層全体を同
一方向に歪ませた場合(従来例)の1/9に低減されて
いる。これにより歪み応力による結晶欠陥などの発生が
抑制でき、高品質の量子井戸構造を作製することができ
る。即ち、結晶欠陥を発生させずに高性能レーザの作製
が可能である。
【0027】(第3の実施の形態)第3の実施の形態
は、第1の実施の形態のAlGaInAs系の端面発光
型の量子井戸レーザにおいて、量子井戸層と第1障壁層
とが歪み補償構造を形成する例である。
【0028】第1の実施の形態と同様にして、n型In
P基板10上に、n型InPバッファー層12(200
nm)、無歪みのn型Al0.47In0.53Asクラッド層
14(2μm)、無歪みのAl0.24Ga0.23In0.53
s第2障壁層16(90nm)、−0.7%歪みAl
0.29Ga0.08In0.63As第1障壁層18(10n
m)、+0.7%引張歪みのGa0.47In0.53As量子
井戸層20(7nm)、−0.7%歪みAl0.29Ga
0.08In0.63As第1障壁層22(10nm)、無歪み
のAl0.24Ga0.23In0.53As第2障壁層24(90
nm)、無歪みのp型Al0.47In0.53Asクラッド層
26(2μm)、無歪みのp型Al0.47In0.53Asコ
ンタクト層28(200nm)を順次エピタキシャル成
長する。
【0029】次に、第1の実施の形態と同様にして、p
型電極30としてAuZnを150nm、n型電極32
としてAuGeを150nm、InP基板側に蒸着し
た。この基板を共振器長が300μmになるように劈開
して端面ミラーを作製し、端面発光型の量子井戸レーザ
を作製した。この端面発光型の量子井戸レーザは発振波
長1.36μmで発振し、しきい値電流は340A/c
2と良好なレーザ特性を示した。即ち、第1障壁層に
圧縮歪みをかけない場合に比べてしきい値電流密度が低
くなり、電流光変換効率が向上すると共に発熱が減少す
ることにより、半導体レーザが安定して動作するように
なる。
【0030】所望のレーザ発振波長を得るためには量子
井戸層を引張り歪みをかける場合があるが、このような
場合でも量子井戸層に接する第1障壁層を圧縮歪みにす
ることで、レーザ性能を向上させることができる。
【0031】また、本実施の形態では、障壁層は量子井
戸層に隣接する第1障壁層にのみ歪み構造が採用されて
おり、上記の通りレーザ性能を損なうことなく、障壁層
の歪み応力が障壁層全体を同一方向に歪ませた場合(従
来例)の1/9に低減されている。また、量子井戸層と
第1障壁層とが歪み補償構造を形成することにより圧縮
歪みと引張歪みとの歪み応力が相殺され、これにより歪
み応力による結晶欠陥などの発生が更に抑制でき、より
高品質の量子井戸構造を作製することができる。即ち、
結晶欠陥を発生させずに更に高性能レーザの作製が可能
である。
【0032】(第4の実施の形態)第4の実施の形態
は、第1の実施の形態のAlGaInAs系の端面発光
型の量子井戸レーザにおいて、第1障壁層、第2障壁
層、及び量子井戸層の間で歪み補償構造を形成する例で
ある。
【0033】第1の実施の形態と同様にして、n型In
P基板10上に、n型InPバッファー層12(200
nm)、無歪みのn型Al0.47In0.53Asクラッド層
14(2μm)、+0.7%引張歪みのAl0.24Ga
0.23In0.53As第2障壁層16(90nm)、−0.
7%歪みAl0.29Ga0.08In0.63As第1障壁層18
(10nm)、−0.7%歪みのGa0.47In0.53As
量子井戸層20(7nm)、−0.7%歪みAl0.29
0.08In0.63As第1障壁層22(10nm)、+
0.7%引張歪みのAl0.24Ga0.23In0.53As第2
障壁層24(90nm)、無歪みのp型Al0.47In
0.53Asクラッド層26(2μm)、無歪みのp型Al
0.47In0.53Asコンタクト層28(200nm)を順
次エピタキシャル成長する。
【0034】次に、第1の実施の形態と同様にして、p
型電極30としてAuZnを150nm、n型電極32
としてAuGeを150nm、InP基板側に蒸着し
た。この基板を共振器長が300μmになるように劈開
して端面ミラーを作製し、端面発光型の量子井戸レーザ
を作製した。この端面発光型の量子井戸レーザは発振波
長1.64μmで発振し、しきい値電流は200A/c
2と良好なレーザ特性を示した。即ち、第1障壁層に
圧縮歪みをかけない場合に比べてしきい値電流密度が低
くなり、電流光変換効率が向上すると共に発熱が減少す
ることにより、半導体レーザが安定して動作するように
なる。
【0035】また、本実施の形態では、量子井戸層に隣
接する第1障壁層に圧縮歪みがかけられると共に、第1
障壁層、第2障壁層、及び量子井戸層の間で歪み補償構
造が採用されており、上記の通りレーザ性能を損なうこ
となく、量子井戸構造における歪み応力が相殺され、こ
れにより歪み応力による結晶欠陥などの発生が更に抑制
でき、より高品質の量子井戸構造を作製することができ
る。即ち、結晶欠陥を発生させずに更に高性能レーザの
作製が可能である。
【0036】上記の第1〜第4の実施の形態では、端面
発光型の単一量子井戸レーザの例について説明したが、
多重量子井戸レーザであっても同様の効果を得ることが
できる。多重量子井戸構造の場合は、量子井戸と量子井
戸の間の障壁層を圧縮歪みにすることがレーザ特性を向
上させるためには有効である。
【0037】また、上記の第1〜第4の実施の形態で
は、端面発光型のレーザの例について説明したが、面発
光型のレーザであっても同様の効果を得ることができ
る。さらに、上記の第1〜第4の実施の形態では、Al
GaInAs系のレーザの例について説明したが、本発
明は、発光材料となる化合物半導体材料全般、即ち、II
I‐V族化合物では、AlGaInAsP系、AlGa
InP系、GaN系、II−VI化合物半導体ではZnSe
系などの材料を用いたレーザに適用できる。
【0038】また、本実施例では、半導体レーザの例に
ついて説明したが、LEDなどの発光素子においても、
同様に光学利得の向上を図ることができる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、高い光学利得を有する
と共に、結晶欠陥が少なく優れた発光特性を有する半導
体発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】GaInAs量子井戸/AlGaInAs障壁
層で構成された量子井戸構造における光学利得と障壁層
の歪みとの関係を表す線図である。
【図2】種々の量子井戸構造の光学利得と量子井戸幅と
の関係を表す線図である。
【図3】量子井戸構造が無歪みの場合の量子井戸に存在
する正孔の波動関数の分布を表す概念図である。
【図4】本実施の形態の端面発光型の量子井戸レーザの
層構成を表す断面図である。
【符号の説明】
10 基板 12 バッファー層 14 n型クラッド層 16 第2障壁層 18 第1障壁層 20 量子井戸層 22 第1障壁層 24 第2障壁層 26 クラッド層 28 p型コンタクト層 30 p型電極 32 n型電極 34 伝導帯 36 価電子帯 38 正孔の波動関数

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に量子井戸層と該量子井戸層を挟持
    する障壁層とをエピタキシャルに成長した半導体発光素
    子において、 前記障壁層は、圧縮歪みを有し前記量子井戸層と隣接す
    る第1障壁層と、該第1障壁層に隣接する第2障壁層
    と、から構成されることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】前記第1障壁層の厚さが1nm以上である
    請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】前記第1障壁層の厚さが3nm以上である
    請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】前記第1障壁層の厚さが10nm以下であ
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素
    子。
  5. 【請求項5】前記第1障壁層及び前記量子井戸層が歪み
    補償構造を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の半導体発光素子。
  6. 【請求項6】前記第1障壁層及び前記第2障壁層が歪み
    補償構造を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の半導体発光素子。
  7. 【請求項7】前記第1障壁層、前記第2障壁層、及び前
    記量子井戸層が歪み補償構造を形成する請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 【請求項8】前記量子井戸層の厚さが80nm以下であ
    る請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光素
    子。
  9. 【請求項9】AlGaInAs系材料で構成されている
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20050073740A (ko) * 2004-01-10 2005-07-18 삼성전자주식회사 이중 장벽층을 구비하는 양자우물 구조체를 포함하는반도체 소자 및 이를 채용한 반도체 레이저 및 그 제조 방법

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KR20050073740A (ko) * 2004-01-10 2005-07-18 삼성전자주식회사 이중 장벽층을 구비하는 양자우물 구조체를 포함하는반도체 소자 및 이를 채용한 반도체 레이저 및 그 제조 방법

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