JP2002071278A - 湿式吹付施工方法 - Google Patents

湿式吹付施工方法

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JP2002071278A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 枠を不要としない湿式吹付け工法により、耐
用性が流し込み材に匹敵するものを提供する。 【解決手段】 混練した耐火又は断熱材料をポンプ圧送
し、珪酸アルカリを主成分とする凝集剤溶液と合流させ
て吹付けて施工する湿式吹付法において、凝集剤溶液に
用いられる珪酸アルカリのSiO2/アルカリ金属酸化
物モル比が3.3を超えるものであり、該凝集剤溶液の
比重が15℃のボーメ度として45以下であるものを使
用する湿式吹付方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種高温窯炉等に
使用される、耐火材料又は断熱材料の湿式吹付法、およ
び、それを用いた耐火又は断熱構造に関するものであ
る。さらに詳しくは本発明は、改良された凝集剤溶液を
使用する耐火材料又は断熱材料の湿式吹付法、および、
それを用いた耐火又は断熱構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不定形耐火物は、熟練作業を必要とせ
ず、施工の自動化、省力化も比較的容易に可能であるこ
ともあり、各種窯炉に幅広く適用されている。特に、吹
付工法は、枠が不要のためその適用範囲は広い。しか
し、一般的には乾式吹付施工体は気孔率が高く、耐用性
が流し込み材に比較して低く内張りへの適用は少なかっ
た。
【0003】しかし、近年、湿式吹付工法が従来乾式吹
付工法に比較し、耐用性の向上、リバウンドロス低減、
無発塵と従来吹付の欠点が大幅に改善されてきている。
そのため、樋、混銑車、溶銑鍋、溶鋼鍋、タンディッシ
ュ、RH等の溶融金属の容器や処理炉等、あるいは、廃
棄物焼却炉、溶融炉、セメントキルンやその付帯設備等
の内張りや補修用として、湿式吹付法が広く適用される
ようになっている。湿式吹付工法とは、特開平9−31
5872、特開平9−241080、特開平9−262
67、特開平9−250880、特開平10−1110
83、特開平10−194853、特許第293462
0、特許第2972179、特許第2965958等に
詳述されている技術であり、その要点は、耐火材料をそ
のポンプ圧送のためための適量水分にて混練し、適度な
柔らかさの混練物とし、ポンプを用いて混練物を圧送し
ノズル部まで供給し、ノズル部で圧縮エアーと凝集剤
(急結剤、硬化剤等とも呼ばれる)を加えて混練物を吹
付ける方法の総称である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】湿式吹付工法で通常使
用される凝集剤は、例えば特開平9−315872で使
用しているようなSiO2/アルカリ金属酸化物のモル
比:2.0〜3.3、15℃のボーメ度が40以上のJ
IS規格の珪酸ソーダ溶液である。しかし、この珪酸ソ
ーダ溶液では、耐火材料を凝集させるために必要な添加
量が、実際には0.5%から時には1%以上必要とな
る。このため、耐食性の低下や使用中の過焼結が進行し
剥離の原因ともなる。また、含有アルカリ成分が多いこ
ともこれらの傾向を増進させる。また、アルカリ成分が
多いため吹付時に瞬時にセメント硬化が開始されるた
め、施工された耐火物組織が稼働面に向かって層状に形
成され、稼働中の剥離を誘発する等の問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、混練した
耐火材料をポンプ圧送して施工する湿式吹付法に用いら
れる凝集剤、および、それを用いた吹付施工方法につい
て日々研究を重ねた結果、アルカリ成分の少ない珪酸ア
ルカリ溶液を凝集剤として適用することで耐食性の向
上、亀裂や剥離の抑制に効果があることを発見し、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の第一は、混練した耐火又
は断熱材料をポンプ圧送し、珪酸アルカリを主成分とす
る凝集剤溶液と合流させて吹付けて施工する湿式吹付法
において、該凝集剤溶液に用いられる珪酸アルカリのS
iO2/アルカリ金属酸化物モル比が3.3を超えるも
のであり該凝集剤溶液の比重が15℃のボーメ度として
45以下であることを特徴とする湿式吹付方法、を提供
する。また本発明は、上記第一の発明に記載の施工方法
を用いた窯炉等のライニング構造や断熱構造、を提供す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】湿式吹付工法の材料は、従来のポ
ンプ圧送可能な流し込み材と何ら変わることがない。典
型的には、耐火骨材、超微粉材料、その他調整剤や添加
物等からなる。湿式吹付法に用いられる耐火材料は、通
常はアルミナセメントキャスタブルと類似の不定形耐火
物であって、粒度を規定、調整した耐火原料にセメント
成分を加え、セメントの硬化により結合強度を得るもの
である。
【0008】キャスタブルと異なる点は、超微粉原料や
アルミナセメントなどの微粉バインダーを水で混練する
ことによって分散させ流動性を与え、この混練物をポン
プで圧送し、ノズル部で凝集剤を添加して、エアーと共
にノズルから吹き出して、被施工面上で超微粉が凝集し
て、あるいはバインダーの成分との反応を急激に生じさ
せて、流動性を無くすことによって、流れ落ちずに保形
させて施工される点である。従って、この技術の成否の
要点は、バインダー成分(種類)、超微粉原料の種類、
分散剤、およびこれらに極短時間で作用する凝集剤であ
り、これらの組合せによって、初期の耐火材料混練物の
流動性やポンプ圧送性、凝集剤添加後の凝集性や硬化性
が決定される。
【0009】本発明に用いられる湿式吹付用耐火材料の
主原料は、従来から耐火物に用いられている既知の各種
原料を組み合わせて用いることが出来る。例えば、電融
アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、バンド頁岩、
カイヤナイト、アンダリュサイト、ムライト、ロー石、
珪石、アルミナ−マグネシアスピネル、電融マグネシ
ア、焼結マグネシア、クロム鉱、ジルコン、ジルコニ
ア、炭化珪素、黒鉛、ピッチ等が挙げられる。
【0010】本発明に用いられる湿式吹付用耐火材料の
超微粉原料としては、従来からの耐火物の超微粉原料に
用いられている、非晶質シリカ、耐火粘土、超微粉シリ
カ、仮焼アルミナ等の超微粉アルミナ、超微粉チタニ
ア、超微粉ムライト、超微粉ジルコニア、超微粉クロミ
ア、超微粉炭化珪素、超微粉カーボン、などを使用する
ことができる。超微粉原料の微粉サイズは、およそ15
μm以下の粒子を主体とすることが望ましい。
【0011】本発明に用いられる湿式吹付材料には、従
来と同様に、各種の調整剤や添加物を加えることが可能
である。例えば、爆裂を抑制するための添加剤としてア
ルミニウムやアルミニウム合金等の金属類やビニロン等
の有機繊維、あるいは、耐火材料の硬化時間を調整する
ためのカルボン酸、カルボン酸塩、炭酸塩等を用いるこ
とが出来る。また、施工体を補強するための金属ファイ
バー類や、施工体に断熱性を付与するためのパーライ
ト、バーミキュライト、スチレンビーズなどの有機、無
機の軽量骨材、あるいは吹付物の保形性を高めるための
メチルセルロース等の有機増粘剤やセピオライト、ベン
トナイト等の無機増粘剤を添加使用することもできる。
【0012】本発明に用いられる湿式吹付用耐火材料に
用いる分散剤としては、一般に低セメントあるいはノン
セメントキャスタブルに用いられるリン酸塩系、カルボ
ン酸系、スルホン酸系等を用いることが出来る。本発明
に用いられる湿式吹付用耐火材料の結合剤には、アルミ
ナセメントを使用する。アルミナセメント添加量として
は、樋、溶銑鍋、トーピードカー、溶鋼取鍋、タンディ
ッシュ等の溶融金属容器やRH、DH等の処理炉の内張
り材として使用するには0.2〜15wt%が望まし
い。溶融金属を受ける内張り材としてはアルミナセメン
ト0.2wt%以下では強度が不足し、15wt%以上
では耐食性の低下が大きくなるため望ましくない。焼却
炉、ボイラー、セメントプレヒーター、加熱炉等の雰囲
気炉内張り材では、2〜40wt%が望ましい。2wt
%以下では強度が不足し、40wt%以上では耐熱的に
問題がある。断熱材としては、20〜60wt%が望ま
しい。軽量骨材、繊維等を使用した場合、20wt%以
下では強度的に問題がある。また、60wt%以上は、
強度向上の効果は小さく、コスト上昇するだけであるの
で特に必要はない。
【0013】本発明に用いられる湿式吹付用耐火材料の
凝集剤としては、珪酸アルカリ溶液として、15℃での
ボーメ度45以下で、SiO2/アルカリ金属酸化物の
モル比が3.3、好ましくはボーメ度40以下、より
好ましくは10〜40、さらに好ましくは10〜30、
SiO2/アルカリ金属酸化物のモル比4.0以上、よ
り好ましくは4.4以上、さらに好ましくは4.8以
上、のアルカリ成分の少ない溶液を用いる。このアルカ
リ成分の少ない珪酸アルカリ溶液を耐火材料混練物に
0.1〜1.5wt%添加することにより、吹付施工可
能な接着性と保形性を具備し、低アルカリ、かつ、吹付
後の硬化促進を抑えることで施工体の層状化を防止する
ことに成功した。珪酸アルカリ溶液としては具体的に
は、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム溶液
である。
【0014】SiO2/アルカリ金属酸化物のモル比が
3.3以下では、アルカリ成分が多く過焼結、耐食性の
低下、硬化促進による施工体の層状化を起こす。また、
ボーメ度45以上では冬期の低温時に増粘しノズルで材
料と混合しにくくなり、ときにはゲル化する危険があ
る。
【0015】凝集剤の役割としては、混練物とノズルで
混合された瞬間の凝集強度発現と吹付後の養生中に起こ
るセメントの硬化促進効果の2つがある。凝集剤の珪酸
アルカリにおけるSiO2/アルカリ金属酸化物のモル
比を3.3超、15℃のボーメ度を45以下とすること
で凝集強度発現を高め、吹付に必要な凝集剤溶液の添加
量を抑えることができる。
【0016】さらにアルカリ金属の成分比も小さいた
め、全体として従来より施工体に添加されるアルカリ成
分の量が少なくなり、過焼結や耐食性の低下が抑えられ
る。また、アルカリ成分量が少ないため、吹付後のセメ
ントの硬化促進効果が小さくなり、本発明の範囲外の珪
酸アルカリよりもセメント水和による強度発現は遅れ
る。したがって、吹付直後は、施工体形状を保つために
必要な強度しかなく、手で削ることができるほど柔らか
く、後から重ね吹きしたときのなじみも良い。そのた
め、特に大型炉の施工のように一度に全体を吹き付け出
来ず、部分々々で短い時間をおいての打ち継ぎ吹付を行
うような場合、本発明の範囲外のアルカリ分の多い珪酸
アルカリ凝集剤溶液に比較し、継ぎ目からの亀裂抑制に
有効である。
【0017】同様の効果は、溶融金属容器や処理炉、雰
囲気炉の内張り材として使用する場合、あるいは断熱材
として使用した場合も、施工範囲が広く部分毎の打ち継
ぎで施工しなければならない場合でも常に柔らかい施工
体の上に吹付していくことが可能であり、なじみが非常
によく均一な施工体となり亀裂が入りにくい。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に説明する
が、これらに限定されるものではない。 (実施例1〜3)表1に記載の成分をそこに列記した量
(数字は重量部、以下同じ)だけ配合したアルミナ・マ
グネシア質耐火物混練物を、表1記載の(SiO2/R2
O)、(ボーメ度)、(添加量)の珪酸アルカリ溶液と
ともに、溶鋼取鍋の内張として湿式吹付けを行った。ま
た、これらの施工体について侵食試験及び実炉使用状況
の観察を行った。なお、侵食試験は、回転ドラム侵食法
で行った。アークにより1650℃まで加熱し、1時間
毎にスラグ(C/S=3)交換しながら合計3時間テス
トした。結果を表1に示す。
【0019】(比較例1及び2)実施例1に準じて表1
記載の配合で湿式吹付け及び流し込み成形を行った。比
較例2の成形体は、品質試験の基準とした。これらの結
果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】(実施例4〜6及び比較例3〜4)実施例
1に準じて、ストーカ式焼却炉のガス冷却室について、
表2の配合のシャモット質により湿式吹付け及び流し込
み成形を行った。結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】(実施例7〜9及び比較例5〜6)実施例
1に準じて、ストーカ式焼却炉のガス冷却室背部につい
て、表3の配合の断熱質により湿式吹付け及び流し込み
成形を行った。結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
【発明の効果】前記の各実施例及び比較例から明らかな
ように、本発明の珪酸アルカリ溶液を使用した湿式吹付
けにおいては、従来の流し込み法による成形体に匹敵す
る性状の耐火ライニング又は断熱ライニングを得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田淵 幸春 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内 (72)発明者 田中 浩一 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内 Fターム(参考) 4G012 PB06 PC01 4G033 AA01 AA06 AB04 BA02 4K051 BE03 LA02 LA11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混練した耐火又は断熱材料をポンプ圧送
    し、珪酸アルカリを主成分とする凝集剤溶液と合流させ
    て吹付けて施工する湿式吹付法において、該凝集剤溶液
    に用いられる珪酸アルカリのSiO2/アルカリ金属酸
    化物モル比が3.3を超えるものであり該凝集剤溶液の
    比重が15℃のボーメ度として45以下であることを特
    徴とする湿式吹付方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の湿式吹付方法を用いてなる窯
    炉内張りのライニング構造。
  3. 【請求項3】 請求項1の湿式吹付方法を用いてなる各
    種室内の断熱構造。
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KR101134564B1 (ko) * 2010-12-01 2012-04-19 목포대학교산학협력단 세라믹 내열도료의 조성물

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