JP2002071098A - 水素吸蔵材料粉末の飛散防止用部材 - Google Patents

水素吸蔵材料粉末の飛散防止用部材

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JP2002071098A
JP2002071098A JP2000262038A JP2000262038A JP2002071098A JP 2002071098 A JP2002071098 A JP 2002071098A JP 2000262038 A JP2000262038 A JP 2000262038A JP 2000262038 A JP2000262038 A JP 2000262038A JP 2002071098 A JP2002071098 A JP 2002071098A
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hydrogen
container
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porous glass
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Hideaki Tanaka
秀明 田中
Kouji Kuraoka
孝治 蔵岡
Satoru Kiyobayashi
哲 清林
Hiroyuki Takeshita
博之 竹下
Nobuhiro Kuriyama
信宏 栗山
Tetsuo Yazawa
哲夫 矢澤
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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  • Filtering Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水素吸蔵材料微粉末の飛散を防止乃至は抑制し
うる技術を提供することを主な目的とする。 【解決手段】水素吸蔵材料粉末の飛散防止用部材であっ
て、多孔質ガラスからなることを特徴とする飛散防止用
部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金、炭
素系材料などの水素吸蔵材料を用いて水素を貯蔵し、或
いは貯蔵/輸送するに際し、水素吸蔵材料微粉末の飛散
を防止する技術に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】水素吸蔵材料は、一定の条件下
で水素と直接反応して速やかに大量の水素を吸蔵すると
ともに、他の条件下で吸蔵した水素を放出するという可
逆的特性を有している。従って、この水素吸蔵・放出に
おける可逆的特性に着目して、エネルギー技術分野を中
心として、水素吸蔵材料の利用に関する研究が広く進め
られている。水素吸蔵材料中でも、特に水素吸蔵合金
は、水素貯蔵/輸送用材料、エネルギー変換媒体、二次
電池負極、燃料電池用水素供給源として、幅広く利用さ
れつつある。
【0003】一般に、実用的な水素吸蔵材料としては、
以下の諸特性を具備していることが求められる。 使用温度条件下において、扱い易い水素吸蔵圧および
水素放出圧を有すること。 使用温度条件下において、水素吸蔵速度および水素放
出速度が速いこと。 使用温度条件および扱い易い圧力条件下において、繰
り返し吸蔵および放出できる有効水素量が多いこと。 初期水素化時の活性化が容易であること。 水素吸蔵時および水素放出時に要するそれぞれの水素
圧力の差(ヒステリシス)が小さいこと。 長期間にわたる繰り返し水素吸蔵/放出サイクルに対
する耐久性があること。 原料コストが安いこと。 材料自体の重量が大きくないこと。 材料あるいはその水素化物に毒性が無いこと。
【0004】現在までに開発されてきた水素吸蔵材料と
して、合金材料系としては、希土類系(La-Ni系、Mm-Ni
など;Mm(ミッシュメタル)は未分離精製状態にあるラ
ンタノイド元素混合物を意味する)、体心晶系(Ti-Fe
系、Ti-Co系など)、Laves相系(Ti-Mn系、Zr-Mn系な
ど)、Mg系(Mg-Ni系など)、Ca系(Ca-Ni系など)などの
二元系・擬二元系金属間化合物およびV系固溶体型合金
(V-Ti-Ni系など)がある。また、近年、これら合金系材
料以外にも、各種炭素系材料(層状黒鉛、活性炭、フラ
ーレン、カーボンナノチューブなど)が水素吸蔵材料と
しての機能を有しているとの報告もなされている。
【0005】水素吸蔵合金においては、水素が合金の結
晶格子間隙に原子状(H)の形態で浸入し、不安定な結
合状態の金属水素化物を生成するので、比較的穏和な温
度と水素圧力の条件下にて水素の吸蔵/放出を繰り返し
行うことができる。
【0006】また、上記水素吸蔵合金の構成元素の少な
くとも一部を他の元素で置換することにより、合金の水
素吸蔵特性を制御することも可能である。例えば、水素
貯蔵容器、ニッケル−水素化物電池などにおいて実用化
されている希土類系合金材料に関しては、LaNi5系合金
ではLaを希土類元素の混合物であるミッシュメタル(M
m)で置換するか、或いはNiの一部をCo、Al、Mnなどで
置換することにより、多成分化して、それぞれの用途に
おける要求性能を満足する様に、金属組織構造と水素吸
蔵特性とが調整されている。
【0007】水素吸蔵合金を水素貯蔵媒体として使用す
る場合には、水素(気相)と合金(固相)との間の反応
表面積をできるだけ大きくするために、水素吸蔵合金
は、塊状或いは顆粒の形態ではなく、粉末(例えば、初
期粒径150μm未満75μm以上程度)の形態で用いられてい
る。そして、ほぼ全ての水素吸蔵合金粉末において、水
素の吸蔵/放出の繰り返しに伴い、徐々に微粉化が進行
する。この微粉化は、合金が水素を吸蔵/放出する、即
ち、合金が水素化/脱水素化する際の結晶格子間隙への
水素の浸入/脱離に伴う合金体積の膨脹/収縮を主な原
因とするものであり、一般に合金の水素化前後の体積差
が大きいほど、その進行が速い。この微粉化の進行が速
いことは、水素吸蔵材料に対して望まれる上記要件中の
に反する。例えば、水素の吸蔵/放出前後で約25%の
大きな体積変化率を示すLaNi5系合金の場合、初期粒径7
5μm以上の合金粉末を採用しても、数回の吸蔵/放出サ
イクル後には1〜4μm程度にまで微粉化する。
【0008】この様な水素吸蔵/放出の際に発生する水
素吸蔵合金の体積差を抑制する試みの一つが、前述の水
素吸蔵合金の成分変更による特性調整である。例えば、
図1に示す様に、膨張率の大きいMmNi4.5Mn0.5合金と膨
張率の小さいMmNi2.5Co2.5合金とを比較すると、微粉化
進行度に大きな差があることが知られている(大角泰章
ほか、日本化学会誌、1981(9)1493)。
【0009】さらに、水素吸蔵合金においては、数サイ
クルの水素吸蔵/放出後に新たな合金と交換すること
は、通常あり得ない。水素貯蔵用のみならず、いずれの
用途においても、多数回(数100〜1,000サイクル程度)
の水素の繰り返し吸蔵/放出に耐え得ることが、水素吸
蔵合金の実用化を達成するための必須の条件とされてい
る。
【0010】水素吸蔵合金の微粉化自体は、それに伴っ
て新鮮面が露出するので、初期活性化および水素化反応
促進のためには、有用な現象である。しかしながら、そ
の一方で、微粉化は、取り扱いの不便さ(例えば、水素
貯蔵容器からの飛散防止の困難さ)、熱伝導性の低下
(表面積の増加に伴い、水素化/脱水素化反応が伝熱律
速となる)、水素貯蔵容器への充填の困難さ、不純物相
析出に伴う劣化の促進などの問題を引き起こすので、実
用化の点からは、抑制が求められる現象である。
【0011】さらに、微粉化は、上述のように水素吸蔵
合金の有用性を損なうのみならず、水素吸蔵合金から供
給される水素を使用する装置系にも、しばしば悪影響を
及ぼす。
【0012】例えば、微粉化した合金は、流体(水素を
主とする気体)とともに配管系内あるいは装置系内に侵
入し、その一部は、配管壁、バルブ、センサーなどに付
着する。配管系内に侵入した微粉末は、管壁に付着して
流路を狭めることにより、流体の円滑な流通を阻害す
る。さらに、装置系内に浸入した微粉末は、バルブの焼
き付き、センサーの誤作動などの機械的故障を誘発する
原因となり、重大な事故に至らしめる危険性がある。
【0013】従来は、市販されている金属粉末焼結体、
金属メッシュなどをフィルター材として採用することに
より、微粉化した水素吸蔵合金の各種装置内への侵入を
抑制する試みがなされてきた。しかしながら、市販品か
らなるフィルター材の目の開きは、通常0.5μm(=500nm)
以上であるので、水素吸蔵/放出を多数回繰り返した場
合に生成する粒径がその目よりも小さい超微粉を多く含
む合金粉末の侵入を完全に阻止することはできない。
【0014】合金系粉末水素吸蔵材料においては、微粉
化の進行を抑制することを目的として、合金の非晶質化
処理も、試みられてきた。これは、結晶格子内への水素
浸入/脱離に伴って発生する歪み応力を分散させるため
に、水素原子が浸入する結晶格子間隙の形状を不規則化
させるべく、合金作製もしくは調質段階で行われる処理
方法である。しかしながら、得られる非晶質合金は、結
晶質合金と比較して水素吸蔵量が減少する、或いは水素
解離圧プラトーに勾配が生じるなどという新たな問題を
生ずるので、非晶化処理は、必ずしも有効な手法である
とは言い難い。
【0015】水素吸蔵合金粉末表面にCu、Niなどのメッ
キ層を形成させ、このメッキ層により、微粉化した合金
の脱落を抑制するという「マイクロカプセル化」も試み
られている。この様な金属メッキ層材料は、水素吸蔵合
金とは異なり、展延性を有する。このため、合金粒子表
面を覆うように形成されているメッキ層は、水素吸蔵/
放出が繰り返されても、それ自身は水素吸蔵/放出に寄
与しないので、劣化することはない。しかし、合金粒子
の微粉化の進行に伴い、新たに生成されたメッキ層を有
しない合金微粒子の量が相対的に増加したり、合金部の
体積変化によりメッキ層と合金部とが遊離したりするこ
とにより、メッキ層の形成による意義が実質的に失われ
てしまう。また、メッキ層形成により、成型性が付与さ
れるとともに、導電性および伝熱性が改善されるので、
水素吸蔵合金の電極材料、ヒートポンプ材料としての新
たな応用が拓かれた。しかしながら、その一方で、水素
吸蔵には寄与しないメッキ層が存在することにより、材
料全体(=水素吸蔵合金+メッキ層)としての体積当たり或
いは重量当たりの水素吸蔵量が減少する欠点が生じる。
【0016】水素吸蔵材料としては、吸蔵量の多少、吸
蔵/放出温度における実用への適性などを別にすると、
上述の合金材料以外にも、炭素系材料が存在する。例え
ば、アルカリ金属などを挿入した層状黒鉛、カーボンナ
ノチューブなどがある。これらの水素吸蔵特性の詳細に
関しては、現在なお検討中の段階にある。仮に、これら
の炭素系材料が水素吸蔵材料として有用であることが確
認されたとしても、これら炭素系材料は、水素の吸蔵/
放出を始める以前において、例えば材料製造段階におい
て、すでに微粉の形態である場合が多い。従って、将来
これらの炭素系材料が、水素吸蔵材料として実用化され
た場合には、水素吸蔵合金の微粉末化に起因すると同様
の問題が発生する虞もある。さらに、炭素系微粉末に
は、環境対策上、発生が忌避される浮遊微粒子に区分さ
れる種類のものも存在するので、その飛散防止方法の確
立も、急務である。
【0017】以上のように、水素吸蔵材料の微粉化の進
行を抑制する方法、あるいは発生した微粉末による悪影
響を回避するために有効な方法は、現在のところ確立さ
れるには至っていない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、水
素吸蔵材料微粉末の飛散を防止乃至抑制しうる技術を提
供することを主な目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
従来技術の問題点に留意しつつ研究を重ねた結果、特定
の孔径を有する多孔質ガラスを、水素吸蔵容器乃至吸蔵
設備におけるフィルター部材として使用する場合には、
水素吸蔵材料微粉末の容器外への飛散を防止しつつ、水
素などの気体を何らの支障なく透過させ得ることを見出
した。
【0020】すなわち、本発明は、下記の水素吸蔵材料
粉末の飛散防止用部材および水素貯蔵容器を提供する。 1.水素吸蔵材料粉末の飛散防止用部材であって、多孔
質ガラスからなることを特徴とする飛散防止用部材。 2.飛散防止用部材が、フィルターである上記項1に記
載の飛散防止用部材。 3.水素吸蔵材料粉末を収容する水素貯蔵容器であっ
て、水素流出部に水素吸蔵材料粉末の飛散防止用フィル
ターを備えており、該飛散防止用フィルターが多孔質ガ
ラスからなることを特徴とする水素貯蔵容器。 4.耐圧容器内に収容された水素吸蔵材料粉末を使用す
る水素貯蔵方法において、水素流出部に配置した飛散防
止用フィルターにより水素吸蔵材料粉末の飛散を防止す
る水素貯蔵方法。 5.飛散防止用部材が、水素吸蔵材料粉末の充填容器で
ある上記項1に記載の飛散防止用部材。 6.水素吸蔵材料粉末を収容する耐圧容器を備えた水素
貯蔵容器であって、耐圧容器が水素吸蔵材料粉末の飛散
防止用充填容器を内蔵しており、該充填容器が多孔質ガ
ラスからなることを特徴とする水素貯蔵容器。 7.耐圧容器内に収容された水素吸蔵材料粉末を使用す
る水素貯蔵方法において、耐圧容器に内蔵された多孔質
ガラスからなる充填容器に水素吸蔵材料粉末を収容する
ことにより、水素吸蔵材料粉末の飛散を防止する水素貯
蔵方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者による過去の耐久性試験
の結果を考慮すると、微粉化した水素吸蔵合金の粒径
は、実用的な吸蔵/放出の繰り返し回数(数100〜数1000
サイクル)においては、通常10μm未満程度の範囲内にあ
るものと推測される。これに対して、一般的な多孔質ガ
ラスの細孔径は、2〜100nm程度の範囲で任意に制御可能
であり、ある種の多孔質ガラスは、混合ガスから特定の
ガスのみを選択的に透過させて、分離する分子篩として
利用されている。
【0022】水素、ヘリウムならびに大気を構成する主
な気体分子の形態および大きさを以下に示す。 *水素(H2):二原子分子;ファン・デル・ワールス半径
=0.030nm、H-H間距離=0.074nm *ヘリウム(He):単原子分子;ファン・デル・ワールス
半径=0.140nm *窒素(N2):二原子分子;ファン・デル・ワールス半径
=0.070nm、N-N間距離=0.110nm *酸素(O2):二原子分子;ファン・デル・ワールス半径
=0.066nm、O-O間距離=0.121nm *アルゴン(Ar):単原子分子;ファン・デル・ワールス
半径=0.154nm *二酸化炭素(CO2):三原子分子;C-O間距離=0.116nm 図2は、代表的な5種のガスについて、温度と粘性率と
の関係を測定した結果を示すグラフである。水素は、他
のガスに比べて、最も粘性が低いので、多孔質ガラスを
フィルターとして使用した場合にも、透過についての問
題が全くないことが分かる。
【0023】上記に示すように、空気を構成する各種気
体の分子および水素分子の大きさは、いずれも多孔質ガ
ラスの細孔径(2〜100nm程度)に比べて十分小さい。
【0024】図3は、平均孔径4nmの多孔質ガラスに対
するヘリウムならびに窒素分子の透過特性を示すグラフ
である。ここで用いた多孔質ガラスは、厚さ0.5mm、細
孔容積0.13cm3/gであった。グラフに示す結果から、こ
の多孔質ガラスは、これらガスの透過を実質的に妨げな
いことが明らかである。そして、上記の通り、水素分子
は、ヘリウム分子および窒素分子に比べて、十分小さな
分子であることから、水素ガスの透過に際しても、全く
問題を生じないものと考えられる。従って、多孔質ガラ
スは、水素などのガスの流動性を阻害しないことが、明
らかである。
【0025】以上の事実を総合すれば、本発明において
使用する多孔質ガラスは、水素吸蔵合金などの水素吸蔵
材料微粉末の飛散を阻止する一方で、空気、水素などの
ガスの透過を全く妨げないという微粉末飛散防止部材
(フィルター部材)として優れた機能を発揮することが、
明らかである。
【0026】本発明において使用する多孔質ガラスは、
強度と耐熱性に優れたガラス材料からなるものであれ
ば、特に限定されない。ガラス材料としては、SiO2系材
料、SiO2-ZrO2系材料などが例示される。強度および耐
熱性を考慮すれば、SiO2系材料がより好ましい。一方、
水素吸蔵材料またはその水素化物の還元性が著しく現れ
る条件下で使用する場合、使用する水素吸蔵材料或いは
ガス材料に水分が含まれている場合などにおいては、耐
還元性および耐水性に優れたSiO2-ZrO2系材料がより好
ましい。なお、この様な多孔質ガラスおよびその製造方
法は、公知であり、例えば、SiO2系材料については、米
国特許第2,106,774号明細書、米国特許第3,843,341号明
細書などに記載されており、SiO2-ZrO2系材料について
は、特開昭62-202839号公報、特開平1-145349号公報な
どに開示されている。
【0027】多孔質ガラスの平均孔径は、通常2〜100nm
程度であり、より好ましくは4〜50nm程度である。厚さ
は、0.1〜1mm程度の範囲内であることが好ましく、細孔
容積は、0.05〜1cm3/g程度の範囲内にあることが好まし
い。
【0028】本発明により微粉末の飛散が防止される水
素吸蔵材料としては、特に限定されないが、水素吸蔵合
金、炭素系材料、ゼオライト系材料、中空ガラス微小球
などが例示される。
【0029】水素吸蔵合金としては、希土類系(La-Ni
系、Mm-Ni系、Mm-Ni-Al系、Mm-Ni-Co系など)、体心晶
系(Ti-Fe系、Ti-Co系など)、Laves相系(Ti-Mn系、Zr
-Mn系など)、Mg系(Mg-Ni系など)、Ca系(Ca-Ni系な
ど)などにより代表される二元系・擬二元系金属間化合
物、V系固溶体型合金(V-Ti-Ni系など)が例示される。
【0030】殆どの水素吸蔵材料は、水素吸蔵の際に膨
脹を伴い、また水素吸蔵/放出の際に熱を吸収/発生す
る。本発明において、多孔質ガラスからなる充填容器に
水素吸蔵材料を充填する場合には、この膨張による容積
増加を許容しうる様に、充填容量を定めればよい。
【0031】なお、本発明による水素貯蔵技術は、ガラ
ス軟化温度および吸蔵材料の分解温度を超えない温度で
実施すれば良く、さらには多孔質ガラスおよび吸蔵材料
のそれぞれの特性を損なわない温度域で、実施すること
がより好ましい。
【0032】以下に、図面を参照しつつ、本発明による
水素貯蔵技術の具体的な実施態様をより詳細に示す。
【0033】図4は、金属製円筒形耐圧容器内に水素吸
蔵材料を充填した水素貯蔵装置の一例の概要を示す。耐
圧容器への水素の吸蔵操作および耐圧容器からの水素の
放出操作は、上下方向に2本の矢印により図示する通
り、常法に従って行えば良い。本発明による水素吸蔵材
料粉末の飛散防止用部材(多孔質ガラスフィルター)は、
図4に示す様に、耐圧容器の水素流出/水素流入部に配
置されている。水素の吸蔵/放出の繰り返しにより微粉
化した水素吸蔵合金は、放出操作時に水素に随伴して、
上向き矢印方向に移動するが、水素流出部に配置された
多孔質ガラスフィルターにより捕捉され、耐圧容器外へ
の飛散乃至流出は、防止される。
【0034】図5は、金属製円筒形耐圧容器内に水素吸
蔵材料を充填した水素貯蔵装置の他の一例を示す。この
場合には、水素流入部と水素流出部とは、容器の両端に
それぞれ設けられている。耐圧容器への水素の導入操作
および耐圧容器からの水素の放出操作も、左から右の方
向に2本の矢印で図示する通り、常法に従って行えば良
い。図5に示す水素貯蔵容器においては、本発明による
水素吸蔵材料粉末の飛散防止用部材は、耐圧容器内に配
置された有底円筒容器乃至アンプル形状を呈している。
この場合には、貯蔵容器内の水素の流れは、常に同一方
向であるので、水素流入部は、開放されていても良い。
水素の吸蔵/放出の繰り返しにより微粉化した水素吸蔵
合金は、放出操作時に水素に随伴して、主として右向き
矢印方向に移動するが、水素流出部を構成する多孔質ガ
ラスの底部により捕捉され、耐圧容器外への飛散乃至流
出が防止される。
【0035】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明らかにする。
【0036】なお、以下の実施例および比較例におい
て、水素吸蔵合金の水素吸蔵特性の測定に先立って行う
初期活性化処理などは、日本工業規格(JIS H 7201-199
1)に示された手順に準じ、以下の(1)、(2)の様にして
行った。 (1) 粒径75μm以上150μm未満に篩い分けられた水素吸
蔵合金粉末0.5gをSiO2系多孔質ガラスアンプル(形状
は、図5に示す通り;内径4mm、外径5mm、長さ80mm、平
均孔径4nm、細孔容積0.13cm3/g)に充填し、このアンプ
ルを装填したステンレス鋼製耐圧容器(内径0.75mm、外
径0.95mm、長さ127mm)を用いて、耐圧容器内の真空脱気
処理を室温にて行った。なお、ここで、「真空脱気処
理」とは、耐圧容器内圧力を1kPa以下に約5分間保持し
て、金属水素化物を分解し、金属相に戻すことを意味す
る。 (2)耐圧容器内に、室温で測定系が利用できる最高の圧
力近くまで水素ガスを導入した後、導入弁を閉じて、圧
力の降下が認められなくなるまで静置し、圧力減少がみ
られた場合には、水素ガスを適宜追加した。この過程
で、活性化の進展がみられない場合には、再度耐圧容器
を真空脱気し、適当な温度に加熱し、再度水素ガスを導
入した後、室温に戻す操作を繰り返し行った。
【0037】但し、上記(1)および(2)の工程における加
熱温度は、ガラス軟化温度および合金の融点未満とし
た。 実施例1〜2 2種の希土類金属系水素吸蔵合金粉末をそれぞれ耐圧容
器内の多孔質ガラスアンプル中に封入し、上記の手法に
より合金の初期活性化処理を行った後、代表的な水素吸
蔵特性である水素圧力-組成-温度特性(P-C-T特性)を
測定した。
【0038】耐圧容器内の多孔質ガラスアンプル中に封
入されたLaNi5とMmNi3.8Co0.7Mn0.1 5Al0.35のP-C-T特性
を図6(a)および図7(a)にそれぞれ示す。また、多孔質
ガラスアンプルを使用することなく、耐圧容器に直接La
Ni5とMmNi3.8Co0.7Mn0.15Al0 .35とを封入した場合のP-C
-T特性を図6(b)および図7(b)にそれぞれ示す。
【0039】多孔質ガラスアンプルの使用/不使用にか
かわらず、水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵/放出特性に変
化はないことが明らかである。換言すれば、多孔質ガラ
スアンプルは、合金材料のP-C-T特性には影響しない。 実施例3 TiFe系水素吸蔵合金粉末を使用する以外は、実施例1と
同様にして、耐圧容器内に配置した多孔質ガラス中に合
金粉末を封入し、P-C-T特性を測定した。
【0040】多孔質ガラス中に封入された水素吸蔵合金
TiFe0.8Ni0.2のP-C-T特性を図8(a)に示し、多孔質ガラ
スアンプルを使用することなく、耐圧容器に直接TiFe
0.8Ni0 .2を封入した場合のP-C-T特性を図8(b)に示す。
【0041】多孔質ガラスアンプルの使用/不使用にか
かわらず、水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵/放出特性は変
化していないことが明らかである。換言すれば、多孔質
ガラスアンプルは、合金材料のP-C-T特性には影響しな
い。比較例1水素吸蔵合金粉末を充填しない多孔質ガラ
スを耐圧容器内に収容して、実施例1に準じてP-C-T特
性測定空試験を行ったところ、図9に示すような結果が
得られた。この結果から、多孔質ガラス自体は、水素を
吸蔵し得ない材料であること、上記実施例で得られたP-
C-T特性は、多孔質ガラスとは関係のない、水素吸蔵材
料固有の特性であることが明らかである。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、多孔質ガラスを水素貯
蔵装置におけるフィルター部材として使用することによ
り、水素吸蔵/放出の繰り返しに伴い次第に微粉化する
性質を有する水素吸蔵材料の貯蔵容器外への飛散を阻止
できるとともに、放出された水素を使用する各種装置系
への微粉末の侵入を防止できる。従って、水素貯蔵装置
および水素使用装置のメンテナンスフリー化を図ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素吸蔵合金の水素吸蔵前後における膨張に関
連して、膨張率の大きいMmNi4.5Mn0.5合金と膨張率の小
さいMmNi2.5Co2.5合金との微粉化の状況を対比して示す
グラフである(日本化学会誌1981(9)1493より引用)。
【図2】5種のガスの粘性率−温度特性を示すグラフで
ある。
【図3】平均孔径4nmのSiO2系多孔質ガラスにおける窒
素ガス透過速度を示すグラフである。
【図4】多孔質ガラスをフィルター部材として使用する
水素貯蔵容器の一例の概要を示す図面である。
【図5】多孔質ガラスをフィルター部材として使用する
水素貯蔵容器の他の一例の概要を示す図面である。
【図6】多孔質ガラスフィルターの使用が、LaNi5の水
素吸蔵特性(P-C-T特性)には影響を及ぼさないことを示
すグラフである。
【図7】多孔質ガラスフィルターの使用が、MmNi3.8Co
0.7Mn0.15Al0.35の水素吸蔵特性(P-C-T特性)には影響を
及ぼさないことを示すグラフである。
【図8】多孔質ガラスフィルターの使用が、TiFe0.8Ni
0.2の水素吸蔵特性(P-C-T特性)には影響を及ぼさないこ
とを示すグラフである。
【図9】多孔質ガラス自体は、水素吸蔵特性を有しない
ことを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 博之 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 栗山 信宏 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 矢澤 哲夫 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 Fターム(参考) 3E072 DB03 EA10 GA30 4D019 AA01 BA04 BB20 BD01 CB04 4G040 AA01 AA24 AA32

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素吸蔵材料粉末の飛散防止用部材であっ
    て、多孔質ガラスからなることを特徴とする飛散防止用
    部材。
  2. 【請求項2】飛散防止用部材が、フィルターである請求
    項1に記載の飛散防止用部材。
  3. 【請求項3】水素吸蔵材料粉末を収容する水素貯蔵容器
    であって、水素流出部に水素吸蔵材料粉末の飛散防止用
    フィルターを備えており、該飛散防止用フィルターが多
    孔質ガラスからなることを特徴とする水素貯蔵容器。
  4. 【請求項4】耐圧容器内に収容された水素吸蔵材料粉末
    を使用する水素貯蔵方法において、水素流出部に配置し
    た飛散防止用フィルターにより水素吸蔵材料粉末の飛散
    を防止する水素貯蔵方法。
  5. 【請求項5】飛散防止用部材が、水素吸蔵材料粉末の充
    填容器である請求項1に記載の飛散防止用部材。
  6. 【請求項6】水素吸蔵材料粉末を収容する耐圧容器を備
    えた水素貯蔵容器であって、耐圧容器が水素吸蔵材料粉
    末の飛散防止用充填容器を内蔵しており、該充填容器が
    多孔質ガラスからなることを特徴とする水素貯蔵容器。
  7. 【請求項7】耐圧容器内に収容された水素吸蔵材料粉末
    を使用する水素貯蔵方法において、耐圧容器に内蔵され
    た多孔質ガラスからなる充填容器に水素吸蔵材料粉末を
    収容することにより、水素吸蔵材料粉末の飛散を防止す
    る水素貯蔵方法。
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