JP2002069669A - 表面処理アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents
表面処理アルミニウム材及びその製造方法Info
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Abstract
アルミニウム材の表面に、最外層として、単に塗膜硬度
が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝撃性
をも有する塗膜層を有し、これによってアルミニウム材
本来の優れた耐食性、耐候性及び加工性だけでなく、塗
膜硬度と塗膜密着性及び耐衝撃性とにおいて優れた性能
を発揮する表面処理アルミニウム材及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に形成された粗面化表面と、
最外層を形成する塗膜層を有する表面処理アルミニウム
材であり、粗面化表面の表面粗さRzが表面処理アルミ
ニウム材の素地の硬度に応じた値を有すると共に、塗膜
層の鉛筆硬度が6H以上である、表面処理アルミニウム
材である。また、このような表面処理アルミニウム材を
製造するための製造方法である。
Description
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に形
成された粗面化表面と、最外層を形成する塗膜層を有す
る表面処理アルミニウム材に係り、特に最外層として設
けられた塗膜層の鉛筆硬度が6H以上であって、同時に
優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を有する表面処理アルミ
ニウム材及びその製造方法に関する。
ることから、押出形材や板材等として鉄道車両内装、建
物の窓や玄関建具等の建物の内外装、ビル外壁や内装等
の各種建築部材、道路資材、各種キャビネット、冷凍車
コンテナ内外装、冷凍ショーケース、各種日用品等極め
て多岐に亘って利用されている。
材は、一般に、その表面に陽極酸化処理を施して陽極酸
化皮膜層を形成したり、更にその上にアクリル電着塗装
を施して複合皮膜層を形成したり、また、表面に化成処
理を施して化成皮膜層を形成し、その後に通常の塗装を
施して塗膜層を形成した表面処理アルミニウム材として
使用されている。
塗膜層が形成されたアルミニウム材は、長期に亘って美
観と優れた耐食性を発揮するが、アルミニウム材が他の
金属に比べて柔らかく、このアルミニウム材を表面処理
して形成された陽極酸化皮膜層や塗膜層、特に最外層を
形成する塗膜層は、その塗膜硬度や耐衝撃性等の物性に
おいて不足する場合があり、そのため、摺動部や人の出
入りの激しい部位では、アルミニウム材表面の塗膜層が
傷付き易く、また、塗膜割れし易く、長期間に亘って美
観を維持し続けるのが困難であるという問題がある。
れたアルミニウム材が得られたとしても、一般に塗膜層
はその塗膜硬度が高くなるにつれて塗膜密着性や耐衝撃
性が低下する傾向にあり、高い塗膜硬度と優れた塗膜密
着性及び耐衝撃性の相反する性能を同時に満足する塗膜
層を得るのは困難であり、用途等に応じてそのいずれか
の性能をある程度犠牲にせざるを得ないという問題があ
る。
たアルミニウム材は、優れた耐食性、耐候性及び加工性
を有するため、前述したように広範な用途で使用されて
いるが、最近では、最終ユーザの嗜好の変化から、薄っ
ぺらである、安っぽい、冷たい等の感じがすることを指
摘するものも出始めている。このため、公共施設や鉄道
施設のように不特定多数の人々が使用する環境で用いら
れる材料については、これまでのアルミニウム材に代わ
って樹脂部材が用いられ始めているのが現状である。
樹脂製品については、廃棄後のリサイクル方法が確立さ
れていないため、廃棄物処理に大きな費用がかかるばか
りでなく、地球環境を汚染するという問題もある。
ミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム材
において、アルミニウム材本来の優れた耐食性、耐候性
及び加工性だけでなく、高い塗膜硬度を有し、しかも、
優れた塗膜密着性及び耐衝撃性を有する表面処理アルミ
ニウム材について鋭意研究した結果、アルミニウム材の
表面に表面処理後のアルミニウム材の素地の硬度に応じ
た表面粗さRzを有する粗面化表面を形成することによ
り、最外層として設けられる塗膜層に対して容易に鉛筆
硬度6H以上の塗膜硬度と優れた塗膜密着性及び耐衝撃
性とを付与できることを見出し、本発明を完成した。
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面に、
最外層として、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優
れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する塗膜層を有し、
これによってアルミニウム材本来の優れた耐食性、耐候
性及び加工性だけでなく、塗膜硬度と塗膜密着性及び耐
衝撃性とにおいて優れた性能を発揮する表面処理アルミ
ニウム材を提供することにある。
材の表面に、単に塗膜硬度が高いというだけでなく優れ
た塗膜密着性及び耐衝撃性をも同時に有する塗膜層を形
成することができ、これによって耐食性、耐候性、加工
性、塗膜硬度、塗膜密着性及び耐衝撃性において優れた
性能を発揮する表面処理アルミニウム材を製造すること
ができる表面処理アルミニウム材の製造方法を提供する
ことにある。
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に形成された粗面化表面と、最外層を形成する
塗膜層を有する表面処理アルミニウム材であり、粗面化
表面の表面粗さRz(Rz:JIS B 0601-1994に準拠する
十点平均粗さ)が表面処理アルミニウム材の素地の硬度
に応じた値を有すると共に、塗膜層の鉛筆硬度が6H以
上であることを特徴とする表面処理アルミニウム材であ
る。
ニウム合金からなるアルミニウム材の表面に予め求めら
れた表面処理アルミニウム材の素地の硬度に応じて決め
られた表面粗さRzの粗面化表面を形成し、次いでこの
粗面化表面が形成されたアルミニウム材の表面に最外層
として塗膜層を設けることを特徴とする、塗膜層の鉛筆
硬度が6H以上である表面処理アルミニウム材の製造方
法である。
は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出形材や、
圧延加工された厚肉又は薄肉の板材、又はこれらを適宜
折り曲げ加工した曲げ加工材等が使用される。また、上
記アルミニウム材の表面は、平坦面に限らず、湾曲面又
は球状面も含まれ、かつ適宜のコーナー線を介して連続
する複数の平坦面及び/又は湾曲(球状)面の組合せも
含まれる。更に、加工されたアルミニウム材について
は、その表となる面が片面である場合と両面である場合
とがあり、従って、アルミニウム材の表面については片
面の場合と両面の場合とが含まれる。
の素地を構成するアルミニウム材(すなわち、素地構成
材)についても、必ずしも1種のアルミニウム材である
必要はなく、表面処理アルミニウム材の用途等に応じ
て、例えばプレス成形した板材と形材を組合わせて作ら
れた窓枠の化粧カバー等のように、2種以上の複数のア
ルミニウム材を組合せて構成されたものでもよい。
形成される粗面化表面の表面粗さRzは、このアルミニ
ウム材の表面に粗面化表面が形成され、また、塗装処理
と焼付け処理とが施されて最終的に最外層となる塗膜層
が形成された後のアルミニウム材、すなわち表面処理ア
ルミニウム材の素地(すなわち、最終的に塗膜焼付け処
理を施して最外層の塗膜層を形成せしめた表面処理後の
アルミニウム材)の硬度に応じた値を有する必要があ
り、この素地の硬度については、素地の硬さを正確に反
映するものであれば、例えばビッカース硬さ(JIS Z224
4-1998)、ブリネル硬さ(JIS Z2243-1998)等どのよう
な測定値でもよいが、再現性の観点から、好ましくはビ
ッカース硬さHVである。
地の硬度をビッカース硬さHVで規定する場合、この表
面処理アルミニウム材の素地が1種類のアルミニウム材
で構成されているときには、好ましくは、このアルミニ
ウム材の粗面化表面の表面粗さRzが下記の関係式 Rz ≧ 1.8×104/HV2 を満足するように、アルミニウム材の表面に形成される
粗面化表面の表面粗さRzを決定するのがよく、また、
表面処理アルミニウム材の素地が2種以上のアルミニウ
ム材からなる素地構成材で構成されているときには、好
ましくは、この素地の粗面化表面の表面粗さRzが下記
の関係式 Rz ≧ 1.8×104/(HVn)2 (但し、HVnは素地を構成する2種以上の素地構成材
のうちでビッカース硬さの値が最小となる素地構成材の
ビッカース硬さを示す。)を満足するように、アルミニ
ウム材の表面に形成される粗面化表面の表面粗さRzを
決定するのがよい。
材の素地の硬度をビッカース硬さHVで規定する場合
に、鉛筆硬度6H以上の高い塗膜硬度と非常に良好な塗
膜密着性及び耐衝撃性とを同時に付与するという観点か
ら見出されたものであり、この表面粗さRzが上記関係
式で与えられ値より小さくなると、鉛筆硬度6H以上の
高い塗膜硬度が得られ難くなる。なお、この表面粗さR
zの上限値については、特に制限はないが、コスト面や
塗装外観から70μm程度までが好ましい。
の表面の一部又は全部に形成されていればよいが、本発
明の目的を達成する上で、好ましくは、アルミニウム材
の全表面積に対して粗面化表面が占める割合が70%以
上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%で
あるのがよい。更に、上記粗面化表面がアルミニウム材
の片面(表となる面)のみに形成される場合にも、その
場合にも粗面化表面はアルミニウム材の表面(片面)の
一部又は全部に形成されていればよく、また、本発明の
目的を達成する上で、好ましくは、アルミニウム材の表
面(片面)の全表面積に対して粗面化表面が占める割合
が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは
100%であるのがよい。
処理アルミニウム材の素地の硬度に応じた値を有すると
いうことは、表面処理前の素材の硬さがプレス成形や研
磨、ショットブラスト等による加工、更には塗装焼付の
加熱処理による熱履歴等によって変化する場合がある
が、完成品となった塗装後の正確な素材の硬さを知る必
要があるので、先ず本発明の表面処理アルミニウム材の
製作手順に従って粗面化表面及び塗膜層を有する表面処
理アルミニウム材の試作品(又は試験片)を作製する
か、あるいは、アルミニウム材の表面に適当な表面粗さ
Rzを有する粗面化表面を作り、塗料を塗布することな
く塗装の際の焼付処理と同じ加熱条件で加熱処理して試
作品(又は試験片)を作製し、次いでこの試作品(又は
試験片)の素地の硬度を測定し、求められた素地の硬度
に応じて粗面化表面の表面粗さRzを決定し、この決定
された表面粗さRzを達成する粗面化処理の処理条件を
設定し、設定された処理条件に従って粗面化処理を行う
ことにより粗面化表面が形成されているということを意
味する。
片)は、アルミニウム材の種類、粗面化表面、及び塗膜
層並びに必要に応じて付与されるその他の表面処理と製
作手順及びその際の製作条件とにおいて、製作予定の表
面処理アルミニウム材と全く同じであるのが理想ではあ
るが、少なくとも適当な表面粗さRzを有する粗面化表
面を形成し、実際に表面処理アルミニウム材を製造する
ときの塗膜の焼付条件と同じ条件で加熱処理を行って素
材の硬さを測定すれば、必ずしも製作予定の表面処理ア
ルミニウム材の表面処理と製作手順及びその際の製作条
件と完全に一致している必要はない。
は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の塗
料を用いて形成することができ、例えば、有機塗料とし
ては、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、ふっ素樹
脂塗料、ポリエステル、ビニールオルガノゾル等の塗料
を挙げることができ、また、無機系塗料としては、アル
キルシリケート系塗料、光触媒酸化チタン含有無機塗
料、シリカゾル系塗料、アルカリ金属塩素系塗料、金属
アルコキシド系塗料等の塗料を挙げることができ、更
に、有機及び無機の複合塗料としては、例えばアルコキ
シシラン、オルガノアルコキシシラン、シリコン樹脂等
を反応させたシロキサン結合を主体とするシリコンポリ
マー系塗料や、アルコキシシラン、アルコキシチタン等
をゾル−ゲル法で反応させた金属アルコキシド系塗料、
シリカ系セラミックス塗料等のセラミックス系塗料、光
触媒酸化チタン含有の有機・無機複合塗料等の塗料を挙
げることができる。また、これら塗膜層を形成する塗料
については、顔料を含む有色塗料又はクリア塗料が使用
される。
以上80μm以下であり、好ましくは5μm以上60μ
m以下であるのがよい。塗膜層の膜厚が5μm未満であ
ると粗面化処理によって得られるアルミニウム材の凹凸
を解消できず、最外層として形成された塗膜層に凹凸が
生じ、好ましくない外観となる場合がある。また、塗膜
層の厚さが80μmを超えると、効果が飽和するばかり
でなく、かえって使用される塗料そのものの塗膜硬度が
現出し、本発明の目的の1つである高い塗膜硬度を発現
せしめることが難しくなる。
の塗膜層は、その鉛筆硬度が6H以上であることが必要
であり、好ましくは7H以上であるのがよい。この塗膜
層の鉛筆硬度が6Hより低いと、塗膜に傷がつき易くな
るという問題がある。
成されたアルミニウム材の表面に塗膜層を設けるのに先
駆けて、このアルミニウム材の表面に下地処理として化
成処理により化成皮膜層を設けてもよい。この化成処理
としては、例えばアルカリ−クロメート系、クロメート
系、燐酸−クロメート系、燐酸亜鉛系、ノンクロム系、
塗布型等の公知の方法を適用することができる。化成処
理を施すことにより、耐食性や塗膜密着性が一層向上す
る。
は、先ず、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる
アルミニウム材の表面に、予め求められた表面処理アル
ミニウム材の素地の硬度に応じて決められた表面粗さR
zの粗面化表面を、ショットブラスト処理、エッチング
処理、エンボスロール圧延処理等の粗面化処理により形
成し、次いで、必要により化成処理して化成皮膜層を設
けた後、上記粗面化表面が形成されたアルミニウム材の
表面に塗料を塗布し、焼付処理して最外層として塗膜層
を設けることにより製造される。
ト処理としては、例えば、アルミニウム材の表面に対し
て、最大粒径が1mm以下であって、かつ、平均粒径が
20μm以上のアルミナ粒子を用いてショットブラスト
を施すことが望ましい。このショットブラスト処理にお
いて、アルミナ粒子を用いることが望ましいとしたの
は、アルミニウム材の表面に硬質で微細な凹凸を容易に
形成することができ、かつ、アルミナ粒子がアルミニウ
ム材の表面に残留した場合においても、後工程の陽極酸
化処理時に悪影響を及ぼさないためである。従って、シ
ョットブラスト処理には、アルミナ粒子と同様の作用効
果を発揮し得る他のセラミック、砂、又は金属等からな
る粒子を用いることも可能である。
チング処理は、例えば、酸やアルカリのエッチング液を
使用した化学エッチングでアルミニウム材の表面の粗面
化を行う方法である。更に、上記粗面化処理として行わ
れるエンボスロール圧延処理は、例えば、一対の圧延ロ
ールのうちの少なくとも一方の圧延ロールとしてロール
表面が粗面化された圧延ロールを用い、これら一対の圧
延ロール間にアルミニウム板材を挿入し、加圧下に通過
させ、粗面化された圧延ロールの凹凸をアルミニウム材
の表面に転写させることにより行なうものである。
面化する手段については、例えば、レーザーダル加工、
ショットダル加工等を用いることができ、その際、圧延
ロールの粗面化は、この圧延ロールのロール間を通過し
たアルミニウム材の表面に、表面粗さRz 3〜70μm
の凹凸が形成されるように行われる。
ルギー密度のビーム、例えばレーザービームをブライト
ロール表面に照射して規則的な凹凸パターンを施して、
アルミニウム材に与えようとする凹凸パターンを形成す
る技術である。また、ショットダル加工は、ショットブ
ラストによりブライトロール表面に不均一な凹凸パター
ンを施して、アルミニウム材に与えようとする凹凸パタ
ーンを形成する技術である。
れたアルミニウム材の表面には、必要に応じて、その全
面に化成処理により化成皮膜層が設けられる。この化成
処理は、一般に、市販の処理液による浸漬法や塗布法に
よる公知の方法で行われる。
さRzを有する粗面化表面が形成され、更に必要に応じ
て化成処理により化成皮膜層が設けられたアルミニウム
材は、その表面に、電着塗装、スプレー塗装、静電塗装
又は浸漬塗装等の塗装処理が施され、陽極酸化皮膜層の
上に塗膜層が形成される。上記電着塗装、スプレー塗
装、及び浸漬塗装等はそれぞれ公知の方法によって行う
ことができる。本発明方法により製造された表面処理ア
ルミニウム材の最外層を形成する塗膜層は、少なくとも
その鉛筆硬度が6H以上の値を示し、同時に、優れた塗
膜密着性及び耐衝撃性を発揮する。
適な形態を図面と共に説明する。本発明は以下の実施形
態や実施例に限定されるものではない。
材を公知の方法により用意する。次に、このアルミニウ
ム材1に塗膜を設けるときと同じ焼付け条件(加熱温
度、加熱時間)でアルミニウム材の加熱を行う。その
後、このアルミニウム材素地のビッカース硬さHVを測
定する。その結果、アルミニウム材1の表面において、
表面粗さRzの下限値がアルミニウム材素地の塗膜焼付
け後のビッカース硬さHVに応じて求められる。上記表
面粗さRzの下限値以上である粗面化表面2が形成され
る。
1に形成すべき所定の表面粗さRzの粗面化表面を形成
するのに適した粗面化処理(例えば、ショットブラスト
処理)の条件を設定し、これに基づいてアルミニウム材
1の表面にアルミナ粒子によるショットブラスト処理を
施し、ビッカース硬さHVに応じて求められた上記表面
粗さRzの粗面化表面2を形成する。この際の粗面化処
理の条件は、通常、用いるアルミナ粒子が粒径20μm
以上1mm以下であり、また、アルミニウム材1の送り
速度が約1m/分程度であって、ショット圧力が1〜5
kg/cm2の範囲である。
脱脂し洗浄した後、この粗面化表面2の上に直接塗装処
理を施して塗膜層4を設けるか、あるいは、必要により
アルミニウム材1の粗面化表面2に化成処理を施して化
成皮膜層3を設けた後、この化成皮膜層3の上に塗膜層
4を設ける。この際の塗装処理は、通常、電着塗装、ス
プレー塗装、静電塗装又は浸漬塗装等の方法が用いられ
る。
をより具体的に説明する。
ミニウム材からなり、同じ形状及びサイズの板材又は形
材に形成された試験片を用意し、実施例1〜17及び比
較例1〜7とした。各試験片の表面には、粒径50〜5
00μmのアルミナ粒子(組成;Al2O3:96.6wt
%、TiO2:2.4wt%、SiO2:0.6wt%、及び
その他)を用い、ショット圧力を3段階に変化させてシ
ョットブラスト処理を施し、各試験片の表面に表1に示
す表面粗さRzを持つ粗面化表面を形成した。
及び比較例4、5の試験片については表面洗浄処理を行
い、また、残りの実施例7〜13、17及び比較例1〜
3、6、7の試験片については下地処理としてクロメー
ト処理を施した。上記表面洗浄処理は、先ず35%-硝酸に
1分間浸漬したのち水洗し、次いで50℃で5%-水酸化
ナトリウム水溶液に3分間浸漬したのち水洗し、更に35
%-硝酸に1分間浸漬したのち水洗し、最後に50℃で5
分間乾燥する方法で行った。また、上記クロメート処理
は、40℃の処理液(日本パーカライジング社製:アロ
ジン1200)に浸漬し、クロム付着量が約20mg/m2
となるように化成処理を行い、水洗した後、50℃で5
分間乾燥する方法で行った。
〜7の試験片について、直ちに所定の塗装処理を行なっ
た。即ち、実施例1〜10、15〜17及び比較例1〜
3、6、7の各試験片については、表1に示す膜厚のシ
ロキサン結合を有する有機・無機複合系塗料を用いた塗
装を施した。この塗装はスプレー塗装により行い、19
0℃×20分の焼き付け処理を行なった。また、実施例
11〜14及び比較例4、5の各試験片については、ス
プレー塗布により熱硬化型アクリル系塗料を塗布し、次
いで170℃×20分の焼き付け処理を行なった。
は、各種のアルミニウム材からなる試験片について、粒
径が約300μmのアルミナ粒子でショットブラストを
行い、約20μmの表面粗さRzを持つ粗面化表面を形
成した。その後、塗料を用いた塗装処理は行わずに、焼
付処理の際の加熱条件、すなわち190℃×20分又は
170℃×20分の加熱処理のみを実施し、得られた表
面処理後の各試験片について、定法に従って樹脂に埋め
込み、研磨した後、試験荷重0.2452N(HV
0.025)、保持時間15秒の条件で測定した。
各試験片について、表面の塗膜層の塗膜硬度を鉛筆硬度
法(JIS K5400-1990に準拠)により測定すると共に、塗
膜層の密着性(付着性)を碁盤目法(JIS K5400-1990に
準拠)により測定し、◎:はがれによる欠損部が無い、
○:欠損部の面積が全正方形面積の5%以下である、
△:欠損部の面積が全正方形面積の5〜15%である、
×:欠損部の面積が全正方形面積の15%を超えてい
る、の4段階基準で評価した。
7の各試験片について、塗膜の耐衝撃性をデュポン衝撃
試験法(JIS K5400-1990に準拠)により測定した。この
際の衝撃荷重は500g(撃ち型及び受け台半径6.3
5±0.03mm)であり、落下高さは50cmであ
る。耐衝撃性の判定基準は、衝撃による変形で、◎:割
れ・剥がれを認めない、○:周辺部に目視観察で微かな
ひび割れを生じた、×:割れ・剥がれが生じた、の3段
階で評価した。
ム材の総合評価を行い、鉛筆硬度が6H以上であって、
塗膜密着性が◎又は○と評価され、かつ、耐衝撃性が◎
又は○と評価されたものを◎:良好と評価し、1項目で
も上記の基準を満たさないものを×:不良と判定した。
結果を表1に示す。
例1〜13の試験片はその粗面化表面の表面粗さRzが
関係式Rz ≧ 1.8×104/HV2を満たしており、
また、実施例14〜17の試験片は関係式Rz ≧ 1.
8×104/(HVn)2(但し、HVnは素地を構成す
る2種以上の素地構成材のうちでビッカース硬さの値が
最小となる素地構成材のビッカース硬さを示す。)を満
たし、いずれも表面処理アルミニウム材の素地のビッカ
ース硬さHVに応じた表面粗さRzの粗面化表面を有し
て塗膜硬度(鉛筆硬度)、塗膜の密着性及び耐衝撃性に
おいて優れているのに対し、この粗面化表面の表面粗さ
Rzが上記関係式を満たさず、表面処理アルミニウム材
の素地のビッカース硬さHVに応じていない比較例1〜
7の各試験片については、その塗膜硬度(鉛筆硬度)、
塗膜の密着性及び耐衝撃性がそのいずれかにおいて不足
しているのが判る。
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
材の表面に、最外層として、単に塗膜硬度が高いという
だけでなく、優れた塗膜密着性及び耐衝撃性をも有する
塗膜層を有し、これによってアルミニウム材本来の耐食
性、耐候性及び加工性に加えて、塗膜硬度と塗膜密着性
及び耐衝撃性とが同時に優れた性能を発揮する。
製造方法によれば、アルミニウム材の表面に、単に塗膜
硬度が高いというだけでなく優れた塗膜密着性及び耐衝
撃性をも有する塗膜層を形成することができ、これによ
って耐食性、耐候性、加工性、塗膜硬度、塗膜密着性及
び耐衝撃性において優れた性能を発揮する表面処理アル
ミニウム材を製造することができる。
示す模式的断面図である。
層、4…塗膜層。
Claims (8)
- 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に形成された粗面化表面と、
最外層を形成する塗膜層を有する表面処理アルミニウム
材であり、粗面化表面の表面粗さRzが表面処理アルミ
ニウム材の素地の硬度に応じた値を有すると共に、塗膜
層の鉛筆硬度が6H以上であることを特徴とする表面処
理アルミニウム材。 - 【請求項2】 粗面化表面が形成されたアルミニウム材
の表面に塗膜層を設けるのに先駆けて、このアルミニウ
ム材の表面に下地処理として化成処理により形成された
化成皮膜層が設けられている請求項1に記載の表面処理
アルミニウム材。 - 【請求項3】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度が
ビッカース硬さHVである請求項1又は2に記載の表面
処理アルミニウム材。 - 【請求項4】 表面処理アルミニウム材の素地が1種類
のアルミニウム材で構成されており、このアルミニウム
材の粗面化表面の表面粗さRzが下記の関係式 Rz ≧ 1.8×104/HV2 を満足する請求項3に記載の表面処理アルミニウム材。 - 【請求項5】 表面処理アルミニウム材の素地が2種以
上のアルミニウム材からなる素地構成材で構成されてお
り、この素地の粗面化表面の表面粗さRzが下記の関係
式 Rz ≧ 1.8×104/(HVn)2 (但し、HVnは素地を構成する2種以上の素地構成材
のうちでビッカース硬さの値が最小となる素地構成材の
ビッカース硬さを示す。)を満足する請求項3に記載の
表面処理アルミニウム材。 - 【請求項6】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム材の表面に予め求められた表面処理ア
ルミニウム材の素地の硬度に応じて決められた表面粗さ
Rzの粗面化表面を形成し、次いでこの粗面化表面が形
成されたアルミニウム材の表面に最外層として塗膜層を
設けることを特徴とする、塗膜層の鉛筆硬度が6H以上
である表面処理アルミニウム材の製造方法。 - 【請求項7】 表面処理アルミニウム材の素地の硬度
は、粗面化表面及び塗膜層を有する表面処理アルミニウ
ム材のモデルを形成して予め測定される請求項6に記載
の表面処理アルミニウム材の製造方法。 - 【請求項8】 素地の硬度がビッカース硬さHVである
請求項6又は7に記載の表面処理アルミニウム材の製造
方法。
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