JP2002069191A - 水素化オクタシルセスキオキサン−水酸基含有化合物共重合体の製造方法 - Google Patents

水素化オクタシルセスキオキサン−水酸基含有化合物共重合体の製造方法

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JP2002069191A
JP2002069191A JP2000264154A JP2000264154A JP2002069191A JP 2002069191 A JP2002069191 A JP 2002069191A JP 2000264154 A JP2000264154 A JP 2000264154A JP 2000264154 A JP2000264154 A JP 2000264154A JP 2002069191 A JP2002069191 A JP 2002069191A
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Gregg Alan Zank
アラン ザンク グレッグ
Michitaka Sudo
通孝 須藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 籠型構造を有する水素化オクタシルセスキオ
キサンと反応させる、有機溶剤可溶性の、主鎖に水素化
オクタシルセスキオキサンを有する共重合体の製造法を
提供すること。 【解決手段】 縮合触媒の存在下、下記式(1)で表さ
れる水素化オクタシルセスキオキサン(A)と下記一般
式(2)で表される水酸基含有化合物(B)を反応させ
ることを特徴とする水素化オクタシルセスキオキサン−
水酸基含有化合物共重合体の製造方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、籠型構造を有す
る有機溶剤可溶性のオルガノポリシロキサン、特に水素
化オクタシルセスキオキサン−水酸基含有化合物共重合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オルガノポリシロキサンは、耐熱
性、電気絶縁性、耐炎性、耐候性等に優れているので、
半導体のレジスト材料、モーター用絶縁材料、トランス
用含浸絶縁材料、塗料、プライマー等として利用されて
いる(伊藤邦雄編「シリコーンハンドブック」日刊工業
新聞社、1990年発行参照)。オルガノポリシロキサ
ンは、各種組成、構造のものが知られ、その物性も変化
に富んでいる。
【0003】しかしながら、これらの電気・電子材料に
は更なる特性の改善が求められている。この様な特性と
して、例えば、絶縁性、耐熱性、耐久性等があげられ
る。
【0004】シルセスキオキサンを共重合成分とする共
重合体の製造方法に関して、下記の先行技術が知られて
いる。Lichtenhan等は、多面体オリゴメリッ
クシルセスキオキサン(polyhedral oli
gomeric Silsesquioxane)を、
アミン等を官能基とする二官能性のシラン、シロキサ
ン、又は有機金属化合物で架橋(結合)した共重合体の
製造方法について開示している(Lichtenha
n. J.D.;Gilman,J.W.等の米国特許第
5,412,053号明細書、Lichtenham.
J.D.、Gilman.J.W.等の米国特許第5,
589,562号明細書、Lichtenhan. J.
D.等の「Chem.Mater.」1996,8,1
250−1259)。
【0005】それらはいずれも、シルセスキオキサンの
籠型構造(cage)に欠損があるもの、いわゆる不完
全な籠型構造( 完全な8面体状ではなく、その1部が欠
損した構造) のものをシロキサンで結合した共重合体の
製造方法について開示するものである。
【0006】又、Lichtenhan. J.D.等
は、不完全な籠型構造のシルセスキオキサンをシロキサ
ン等で結合したものを主鎖とする共重合体の製造方法、
及び籠型構造のシルセスキオキサンをペンダント共重合
成分とし、メタクリル酸を共重合体主鎖成分とした共重
合体の製造方法を開示している(「CommentsI
norg.Chem.」1995,17,115−13
0)。
【0007】更に、Lichtenhan. J.D.等
は、シルセスキオキサンの不完全な籠型構造の隅に位置
するSiに結合するOHと、ビス(ジメチルアミノ)シ
ラン等とを反応させたシルセスキオキサン−シロキサン
共重合体の製造方法を開示している(「 Macromo
lecules」 ,1993,26,2141−214
2)。
【0008】一方、完全な籠型構造のシルセスキオキサ
ンとビニル基含有化合物とを反応させる共重合体の製造
方法が、先行技術として開示されている(Lichte
nhan. J.D.,J,W.等の米国特許第5,48
4,867号明細書、Alan Sellinger等
の「 Macromolecules」 ,1996、2
9、p2327−2330参照)。
【0009】しかしながら、上記の各文献には、水素化
オクタシルセスキオキサンの水素と、水酸基含有化合物
の水酸基とを反応・結合させて水素化オクタシルセスキ
オキサンを一つ以上連結した、可溶性の共重合体を製造
する方法について記載されてない。
【0010】又、Hoebbel等は、Si−O−結合
を介してビニル基を籠の複数の隅に結合した完全な籠型
のシルセスキオキサン化合物の製造方法を開示し、その
化合物から得た共重合体は、透明なゲルとなること(即
ち、その得られた共重合体は可溶性ではないこと)を報
告している (D.Hoebbel等,J.Non−Cr
ystalline Solids 176(199
4),179−188)。
【0011】更に、I.Hasegawaは、シルセス
キオキサンの籠型構造を壊さないで、単にジメチルシリ
ル基で結合する化合物を製造する方法について開示して
いる(I.Hasegawa;J.of Sol−Ge
l Sci.and Technol.( 1995) 5
( 2) ,93−100)。
【0012】以上のとおり、公知文献のいずれにも、籠
型構造を有する水素化オクタシルセスキオキサンと水酸
基含有化合物とを反応させる、有機溶剤可溶性の、主鎖
に水素化オクタシルセスキオキサンを有する共重合体の
製造法に関しては開示されていない。又、前記公知技術
以上に優れた耐熱性、耐候性、耐酸化性等を備え、優れ
た絶縁性を有する共重合体が望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
要望に対応した材料、即ち水素化オクタシルセスキオキ
サンと、両端に水酸基を有する化合物とを反応させた有
機溶剤可溶性の共重合体(以下、「本発明の製造方法に
より得られる共重合体」と称する場合がある。)を製造
する方法を提供することにある。ここで、両端に水酸基
を有する化合物は、共重合体を構成するモノマー成分で
あり、また複数の水素化オクタシルセスキオキサンを結
合する作用を有する意味で架橋剤であるとも言える。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、縮合触媒の存
在下、下記式(1)で表される水素化オクタシルセスキ
オキサン(A)と下記一般式(2)で表される水酸基含
有化合物(B)(以下、本願においては「水酸基含有化
合物(B)」と称する。)を反応させることにより製造
される水素化オクタシルセスキオキサン−水酸基含有化
合物共重合体の製造方法である。
【化2】 HO−L−OH …式(2) (ここでLは、次の( i) 又は( ii) から選ばれる。 (i)炭素数3〜10の2価の有機基、 (ii)−(SiR 2O)m −SiR2 − m:0≦m≦10 Rは、それぞれ独立に炭素数1〜12の脂肪族炭化水素
基又は炭素数6〜9のアリール基)
【0015】水素化オクタシルセスキオキサン(A)
は、式(1)で表されるごとく、籠型構造を有するもの
で、籠の隅を構成するSi原子には、水素原子が結合し
ている。本発明は、前記水酸基含有化合物(B)を、水
素化オクタシルセスキオキサン(A)どうしの結合部分
(交互型ブロック共重合体成分)として用いることによ
り、両成分の構造上の特徴を活かし得る方法を提供する
ものである。
【0016】本発明の製造方法により水素化オクタシル
セスキオキサン−水酸基含有化合物共重合体は、水素化
オクタシルセスキオキサン(A)に由来する特性(例え
ば、強度及び電気特性)と水酸基含有化合物(B)に由
来する柔軟性を併せ持つものである。このため該共重合
体は含浸材料、層間材料、被膜又は成形材料の用途に適
用して、優れた絶縁特性、耐熱性、強度等を発揮するこ
とができる。
【0017】本発明の製造方法により得られる水素化オ
クタシルセスキオキサン−水酸基含有化合物共重合体
は、塗布、充填又は成形等の態様で所要部分に適用され
た後、自然放置あるいは適度な加熱等により、籠型構造
隅部の残存するSiHが、同じく他の籠型構造隅部のS
iHとの間でシロキサン結合を形成するものと考えられ
る。その結果、本発明により得られる共重合体は、三次
元網状構造を構築して、機械特性に優れ、又安定性、耐
熱性、耐酸化性、及び絶縁特性が改善された被膜、層、
成形体、及び層間絶縁材料となることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】水素化オクタシルセスキオキサン
化合物(A)が、水酸基含有化合物(B)と反応するこ
とにより水素化オクタシルセスキオキサン−水酸基含有
化合物共重合体が得られる。ここで、この特定の水酸基
含有化合物(B)を用いることにより、前記共重合体に
柔らかさ、柔軟性が導入され、上記各特性が相乗的に改
善される。この共重合体に導入された柔軟性は、例え
ば、絶縁塗膜の場合、塗装のし易さを提供し、欠陥のな
い塗膜を形成し、更には得られた被膜の強靭性を生み出
す。
【0019】オクタシルセスキオキサンは、一般に結晶
性が高く、水素化オクタシルセスキオキサン(A)も同
様であり、このため、水素化オクタシルセスキオキサン
単独で良好な被膜を得ることは容易ではなかった。本発
明の製造方法で得られる水素化オクタシルセスキオキサ
ン−水酸基含有化合物共重合体は、非結晶性であり、更
に有機溶剤に可溶性であるため、水素化オクタシルセス
キオキサンの持つ優れた特性(機械特性、電気特性、硬
化性等)を、絶縁材料を始めとする多くの用途において
発揮することが可能となった。
【0020】本発明の製造方法により得られる共重合体
は、基材に適用された後、該共重合体のオクタシルセス
キオキサン構造の有するSiHが、他のオクタシルセス
キオキサンの有する残存SiHとシロキサン結合を形成
することにより硬化するものである。この硬化反応は、
雰囲気や条件によっては水素ガスを副生物として発生す
る。例えば、絶縁材料の場合、実際に電子基板やシリコ
ンウエハー上に適用された後、高温等の過酷な条件にお
いて、未反応の官能基どうしの反応により、副生物が生
じることがある。本発明の製造方法により得られる共重
合体の場合、副生物が生じたとしても、それが水素ガス
であることは、炭素原子又は塩素原子を含む物質が副生
する絶縁材料に比べて、適用対象に与える影響や、絶縁
材料自体の電気特性や機械特性の維持の面で明かに有利
な点である。
【0021】式(2)HO−L−OHで規定した水酸基
含有化合物(B)におけるLは、次の(i)又は(ii)
から選ばれる。 (i)炭素数3〜10の2価の有機基、特に炭化水素基
又は置換炭化水素基 (ii)−(SiR2 O)m −SiR2 − m:0≦m≦10 Rは、それぞれ独立に炭素数1〜12の脂肪族炭化水素
基、又は炭素数6〜9のアリール基)
【0022】上記(i)の有機基の炭素数が3より少な
いとモノマー成分が揮発し易く、取り扱い上の複雑さを
もたらせる上、得られる共重合体の柔軟性が乏しくなる
等の理由により物性の改善が十分ではない。又、一方炭
素数が10を超えると共重合体中における籠型構造の水
素化オクタシルセスキオキサンの割合が相対的に少なく
なり、前記本発明の共重合体の有する各種特性を十分に
発揮しがたい。上記(i)の炭化水素基等の有機基は、
水酸基含有化合物が水素化オクタシルセスキオキサンの
籠型構造隅部のSiHと反応することを阻害せず、また
本発明の方法によって得られる共重合体が所期の効果を
発揮することに悪影響を与えないものであれば、直鎖状
又は分枝状の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基のい
ずれであってもよく、また、置換基の一部が炭素原子や
水素原子以外の異原子、例えばF、Si、O等であって
もよい。炭化水素基として芳香族炭化水素基を選択する
場合、耐熱性が向上する点で好ましい。なお、籠型構造
の隅部のSiHとの反応を考慮すると、上記脂肪族炭化
水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であることが望まし
い。
【0023】上記(ii)のシロキサンの繰り返し単位に
おいて、mが10を超える場合、例えば、そのような共
重合体を適用した基材において、籠型構造の水素化オク
タシルセスキオキサンの占める割合いが少なくなるた
め、十分な性能が発揮されにくくなる。また、同シロキ
サンの置換基であるRの設定においても、炭素数が前記
設定範囲を超える場合は、相対的に籠型構造の水素化オ
クタシルセスキオキサンの占める割合が低下するため、
実用上の性能が低下する。
【0024】上記(ii)中のLをより詳しい一般式で示
すと、−SiR2 −、−R2 Si−O−SiR2 −、−
(R2 SiO)n −SiR2 −[式中、Rは上記式で定
義したものであるが、好ましくはそれぞれ独立に、炭素
数1〜12の直鎖若しくは分枝の炭化水素基、特にメチ
ル基、エチル基などのアルキル基、又は炭素数6〜9の
フェニル基などのアリール基、n =2〜10]である。
【0025】一般式(2)で表される水酸基含有化合物
(B)の具体例を以下に示す。
【化3】
【0026】水素化オクタシルセスキオキサン(A)の
1モルに対して、水酸基含有化合物(B)を0.2モル
以上、3モル未満の範囲で反応させることが好ましい。
水酸基含有化合物(B)を3モル以上とすると、得られ
る共重合体はゲル状となり、有機溶剤への溶解性が失わ
れる可能性がある。それは、水酸基含有化合物(B)が
過剰の場合、籠型構造の水素化オクタシルセスキオキサ
ンの隅部に必要とするより多くの水酸基含有化合物
(B)が付加して、必要とするより多くの架橋構造が形
成されるのが原因と考えられる。一方、0.2モル未満
であると、架橋構造が必要とする程度に形成されずに、
耐熱性、電気絶縁性、耐炎性、耐候性、及び強度、強靭
性等の機械的特性が悪くなり、その製品は、絶縁性材料
として必要なこれらの諸特性を併せ持つことができなく
なるおそれがある。
【0027】水素化オクタシルセスキオキサン(A)と
水酸基含有化合物(B)との縮合反応は触媒としては、
公知の縮合触媒を用いることができ、特に限定されな
い。例示すると、i)ジメチルヒドロキシアミン、アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジ
ンなどのアミノ基含有化合物、ii)錫、鉛、亜鉛、鉄、
ジルコニウム、コバルトなどの金属の脂肪酸塩、例え
ば、二酢酸錫、ジオクチル酸錫、二酢酸鉛、ジネオデカ
ン酸鉛、テトラキス(メタクリル酸)ジルコニウム、ii
i)チタン、ジルコニウムなどの金属のアルコラート、例
えば、テトラメトキシチタン、テトラ−n−プロポキシ
チタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラ−n−プ
ロポキシジルコニウム、iv) 三フッ化硼素などのルイス
酸、v)その他、例えば、塩化亜鉛、銅粉末、パラジウ
ム、パラジウム担持カーボンなどを挙げることができ
る。触媒の量は、水素化オクタシルセスキオキサン、水
酸基含有化合物および触媒の合計量を100質量%とし
て10-3質量%以上5質量%以下がよい。触媒量が不足
すると効果がなく、多すぎても不経済であり意味がな
い。本発明の方法において、水素化オクタシルセスキオ
キサン(A)と水酸基含有化合物(B)とは縮合反応を
行う。即ち、水酸基含有化合物(B)の両末端の水酸基
と2つの水素化オクタシルセスキオキサン(A)のケイ
素結合水素(SiH)とが脱水素縮合してSi−O−L
−O−Si結合を形成して、水素化オクタシルセスキオ
キサン(A)間を架橋する。この反応は、適当な溶剤中
で水素化オクタシルセスキオキサン(A)と水酸基含有
化合物(B)と触媒を、好ましくは攪拌し混合して行う
ことができる。溶剤は水素化オクタシルセスキオキサン
(A)、水酸基含有化合物(B)及び触媒に非反応性の
ものであればよく、特に限定されないが、非極性有機溶
媒が好適に用いられる、代表的な溶媒としては、トルエ
ン、キシレン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム
などが挙げられる。反応雰囲気はアルゴンガスなどの不
活性雰囲気とし、反応温度は室温から溶剤の沸点未満の
範囲内で適当に選択される。反応圧力は常圧または常圧
付近でよい。反応時間は反応温度により異なり、また目
的収率によっても異なるが、通常は常温にて1〜30時
間で反応が行われる。反応終了後、反応停止剤を加えて
反応を停止させる。この操作は反応停止剤を加えて10
〜60分間攪拌することによって行うことができる。反
応停止剤としてはトリメチルクロロシランなどを用いる
ことができる。こうして、本発明の方法により製造され
る水素化オクタシルセスキオキサン−水酸基含有化合物
共重合体は、説明のために例示すると、下記の如き構造
を有する。
【化4】 上記式では、水酸基は、水素化オクタシルセスキオキサ
ンの対角線の位置にある水素に対して反応した、線状構
造を示す典型的な共重合体の事例を示している。実際製
造される共重合体においては、反応する位置は対角線上
とは限らず、水素化オクタシルセスキオキサンの3つ以
上の水素に対して反応しているものが一部並存する場合
等も考えられる。上記のごとき水酸基含有化合物(B)
を利用することにより、水素化オクタシルセスキオキサ
ン(A)の結合も容易であるので、効率的に前記共重合
体を製造することができる。
【0028】更に、本発明の製造方法により得られる共
重合体は、各反応成分(分子鎖の長さ、硬さ、構成原子
等)、反応条件等により、不溶性になったり、あるい
は、硬くなったり、柔軟になったりする。具体的に言え
ば、一般的には、連結成分(架橋成分)として、長い鎖
の成分を用いれば、比較的柔軟な最終共重合体を得るこ
とができる。又、同じ炭素数の連結成分の場合、分枝構
造のものの方が、直鎖状のものより硬めの共重合体が得
られる。又、一般的に、架橋成分が多くなるとそれだけ
粘性の高い共重合体が得られる。実際に、これらの要素
を調整することにより、得られる共重合体の性状をある
程度は予測できる。
【0029】本発明の製造法により得られた共重合体
は、有機溶剤に可溶性である上、水酸基含有化合物
(B)により粘度、柔軟性を確保できるので、水素化オ
クタシルセスキオキサンの特性である絶縁性、耐候性を
十分に発揮できる。その結果、絶縁性被膜形成材料、耐
候性塗層材料、積層体用バインダー(層間絶縁)等とし
て幅広い用途に利用できる。
【0030】その際、目的とする材料の性状に応じて、
或いは塗装等の適用方法に応じて、共重合体の粘度、柔
軟性等も、共重合成分である水酸基含有化合物(B)、
即ち結合成分(架橋成分)を適宜選択することにより調
整できることも、本発明の製造方法の特徴である。
【0031】又、必要に応じて、本発明の製造方法によ
って得られた共重合体へは、所期の性状を損なわない範
囲で、他の成分をブレンドして使用することは差し支え
ない。この共重合体は絶縁被膜、耐候性被膜、あるいは
積層体のバインダー層、含浸絶縁材料等において通常使
用されるので、例えば、酸化防止剤、着色剤、充填剤等
を添加することができる。
【0032】得られた共重合体は、通常は反応成分の反
応が完了していてモノマー成分を含まないので、保存性
があり、そのまま用いることができる。反応が完了して
いない場合は、モノマーを除去することもできる。
【0033】
【実施例】本発明を一層理解し易くするために、本発明
の製造方法における原料となる水素化オクタシルセスキ
オキサンの製造例を含め、この発明の実施例及び比較例
を示す。ただし、これらによって、本発明をそれらの実
施形態にのみ限定すべきものでないことはいうまでもな
い。 (実施例1)250ml の三つ口丸型フラスコに攪拌棒を取
り付けた。0.85g の水素化オクタシルセスキオキサン(T
H8) と120ml のトルエンを攪拌しながらフラスコに入れ
た。このフラスコに0.60g のHO(Me2SiO)4OH と0.10μg
の触媒(C2H5)2N(OH)とを加え、混合物をアルゴン雰囲気
中、周囲温度で16時間攪拌した。次いで2.0gのMe3SiCl
を加えて、さらに1 時間攪拌してから、溶剤を真空除去
した。白色固体が得られた。この白色固体について、29
Si-NMR、赤外分析及びGPC分析(PS 標準) を行った。
白色固体はトルエン、メチルイソブチルケトン(MBIK)、
クロロホルムに可溶であった。このポリシロキサンの特
性は、下記のとおりであった。 i)GPC分析 数平均分子量 6100 、重量平均分子量20,400 ii)赤外分析 2963cm-1(m); 2274cm -1(s); 1263cm -1(s); 1121cm -1
(vs);1080cm -1(vs); 880cm -1(s); 845cm -1(s); 802c
m -1(s); iii)29Si-NMR(C6D6): δ-17.9 〜-21.3 ppm (m) (Me2SiO2/2-) δ-83.3 〜-86.3 ppm (m) (SiH-) δ-110.04 ppm (m) (SiO4/2-) これらの分析データから、この生成物が、基本的には、
水素化オクタシルセスキオキサンが水酸基含有化合物で
結合された共重合体であり、有機溶剤に可溶であること
が分かる。
【0034】(実施例2)250ml の三つ口丸型フラスコ
に攪拌棒を取り付けた。0.85g の水素化オクタシルセス
キオキサン(TH8) と120ml のトルエンを攪拌しながらフ
ラスコに入れた。このフラスコに1.82g のHO(Me2SiO)12
OHと0.10μg の触媒(C2H5)2N(OH)とを加え、混合物をア
ルゴン雰囲気中、周囲温度で8時間攪拌した。次いで4.
0gのMe3SiCl を加えて、さらに0.25時間攪拌してから、
溶剤を真空除去した。粘性オイル状物が得られた。この
オイル状物について、GPC分析(PS 標準) を行った。
オイル状物はトルエン、メチルイソブチルケトン(MBI
K)、クロロホルムに可溶であった。
【0035】この生成物の分析データから、この生成物
が実施例1の生成物と同様のものであるは判断された。
即ち、基本的には、水素化オクタシルセスキオキサンが
水酸基含有化合物で結合された共重合体であり、有機溶
剤に可溶であった。
【0036】
【発明の効果】本発明は、籠型構造の水素化シルセスキ
オキサンと共重合体の性状を調整できる水酸基含有化合
物(共重合体成分)とから有機溶媒可溶性の、非結晶性
共重合体を製造する方法を提供することができる。本発
明製造方法により得られる共重合体は、有機溶剤に可溶
なので、各種用途への適用が可能であるが、更に、合成
段階での水酸基含有化合物の鎖長または置換基の選択に
より、より好適な粘度、柔軟性をもった共重合体を得る
ことができる。この結果、絶縁性、耐熱性、耐候性な
ど、水素化オクタシルセスキオキサンに由来する特性を
多くの用途で発揮できるようになった。本発明の製造方
法により得られる共重合体は、絶縁性被膜形成材料、耐
候性塗層材料、積層体用バインダー(層間絶縁)、トラ
ンス含浸絶縁材料、絶縁成形材料等として幅広い用途に
利用できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮合触媒の存在下、下記式(1)で表さ
    れる水素化オクタシルセスキオキサン(A)と下記一般
    式(2)で表される水酸基含有化合物(B)を反応させ
    ることを特徴とする水素化オクタシルセスキオキサン−
    水酸基含有化合物共重合体の製造方法。 【化1】 HO−L−OH …式(2) (ここでLは次の(i)又は(ii)から選ばれる。 (i)炭素数3〜10の2価の有機基 (ii)−(SiR 2O)m −SiR2 − m:0≦m≦10 Rは、それぞれ独立に炭素数1〜12の脂肪族炭化水素
    基又は炭素数6〜9のアリール基)
  2. 【請求項2】 水素化オクタシルセスキオキサン1モル
    に対して水酸基含有化合物0.2モル以上3モル未満の
    範囲で反応させる請求項1記載の水素化オクタシルセス
    キオキサン−水酸基含有化合物共重合体の製造方法。
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