JP2002066416A - ロールコーター - Google Patents

ロールコーター

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JP2002066416A
JP2002066416A JP2000260438A JP2000260438A JP2002066416A JP 2002066416 A JP2002066416 A JP 2002066416A JP 2000260438 A JP2000260438 A JP 2000260438A JP 2000260438 A JP2000260438 A JP 2000260438A JP 2002066416 A JP2002066416 A JP 2002066416A
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roll
coating liquid
plate
rolls
coating
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JP2000260438A
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English (en)
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Koichi Furuya
孝一 古屋
Yasuo Moriguchi
泰夫 森口
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】建築用窓または車両用窓ガラス向け等の大板ガ
ラスに、赤外線吸収または反射膜、紫外線吸収、または
防汚膜等の機能性膜、遮光目的の着色膜等の薄膜を、膜
厚ムラなく生産性よく塗布形成することが可能な安価な
ロールコーターを提供する。 【解決手段】水平な板状体の上面に塗布液を塗布するロ
ールコーターであって、回転軸が各々平行であり隣り合
うロールが接することなく隣設した、塗布液を塗布する
際に板状体上面とロールの下部が接する3本以上のロー
ルからなり、そのうち、少なくとも2本以上はステンレ
スワイヤーが金属棒に巻き付けられたワイヤーロール、
またはロール面に微細な窪みを有するロールであり、隣
設するロールの隙間を通して、板状体表面に塗布液を供
給する供給手段を備えていることを特徴とするロールコ
ーター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転可能なロール
によって、水平に置かれた液吸収性のない平面状の板状
体の上面に塗布液を塗布する装置であるロールコーター
および該ロールコーターを用いた塗布方法に関する。特
に、建築用窓ガラス、車両用窓ガラス向け等の大板ガラ
スに、赤外線吸収膜、赤外線反射膜、紫外線吸収膜、光
触媒機能を有する防汚性膜等の機能性膜、および遮光目
的の着色膜等を塗布形成するロールコーターおよび該ロ
ールコーターを用いた塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス等からなる板状体に塗布液を塗布
し、表面に薄膜を形成する湿式成膜法として、ディップ
コート法、スピンコート法、カーテンフローコート法、
スプレー法、フレキソ印刷法、ダイコート法、およびロ
ールコート法等が挙げられる。
【0003】ディップコ−ト法は、塗布液を満たした塗
布槽にガラス基板等の板状体を浸漬し、一定速度で引き
上げる方法で、均一な膜厚の薄膜が板状体の表面上に得
られるものの、板状体の片面側のみ成膜する場合は、一
方の面をマスキングする必要がある。例えば、建築用ま
たは車両用窓ガラス向け等の大板ガラスに塗布膜を塗布
形成する場合、大きな塗布槽を必要とし、大板ガラスを
塗布槽に浸漬し引き上げ塗布する際に時間がかかる、即
ち、塗布速度が遅い。更に、液晶用ガラス基板を塗布す
る際は、板厚が0.7mmが主流であり、板厚が薄く軽
量なので、多数を一度に塗布することが可能であるが、
建築用または車両用窓ガラス等向けの大板ガラスは板厚
が厚く、重量があり、多数を一度に塗布することは困難
である。更に、塗布槽を満たす多量の塗布液を必要と
し、塗布液の使用効率が低い。経済生産のためには、塗
布液を長期使用する必要があるが、例えば、シリカコー
ト液等のゾルゲル法による塗布液は、経時劣化しやす
い。何れにしても、ディップコート法は大板ガラスの表
面に生産性よく、薄膜を成膜するには適していない。
【0004】スピンコート法、フレキソ印刷法、カーテ
ンフローコート法、ダイコート法、スプレー法およびロ
ールコート法は、板状体を水平に配置し、板状体の上面
側、即ち、片面に塗布液を塗布する方法であり、マスキ
ングの必要がなく、塗布速度が速く生産性が高い。
【0005】スピンコート法は、回転台上に板状体を載
置して、吸着等により回転台上に固定させた後、回転台
を回転させ、回転の中心へ塗布液を滴下させて塗布する
方法である。スピンコート法は、塗布成膜毎に所定量の
塗布液を滴下させればよく、マスキングの必要もなく、
塗布液の劣化等の心配もない。
【0006】しかしながら、スピンコート法は、回転の
中心に滴下した塗布液を広げて、塗布するので、例え
ば、建築用または車両用窓ガラス向け等の大板ガラスに
対しては、回転の中心を円心として、大板ガラスの短辺
を直径とした円内は均一に塗布することが容易であるの
に対して、円外の部分は均一に塗布することが困難であ
る。また、供給した塗布液の大部分が飛散するので、シ
リカコート液等の化学変化する液は、回収して再利用で
きず、塗布液の使用効率が低い。
【0007】フレキソ印刷法は、弾性材料よりなるドク
ターロール、または表面に微細なエンボス加工がされた
アニロックスロール上に、塗布液供給装置であるディス
ペンサーで塗布液を滴下し、両ロール表面で塗布液を練
り、アニロックスロール表面に均一に広げ、版胴に巻か
れたゴム等からなるフレキソ版に転写させた後、フレキ
ソ版で板状体表面に塗布液を塗布する方法である。フレ
キソ印刷法においては、フレキソ版の長さを、塗布され
る板状体の長さより長くする必要があり、例えば、建築
用または車両窓用ガラス向け等の大板ガラスに、塗布液
を塗布するには、大型の版胴を用いなければならず、塗
布装置が大きく高価となる。
【0008】カーテンフローコート法は、スリットから
カーテン状に落下する塗布液の中を、板状体を高速で搬
送させつつ成膜するので生産性が高いが、建築用または
車両用窓ガラス向け等の大板ガラスに成膜するには、塗
布液を多量に必要とする。更に、塗布液を循環しつつ、
カーテンフローを行うので、塗布液が経時劣化を起こす
場合は、塗布液の使用効率が低くなる。また、塗布液を
カーテン状に落下させるためには、塗布液の粘度や流量
を調整しなければならず、塗布膜の膜厚の精密な制御が
難しい。建築用または車両用窓ガラス向け等の大板ガラ
スを高速で搬送させるためには、長い搬送ラインが必要
であり現実的でない。
【0009】ダイコート法は、微細な精密加工が成され
た金属製スリットダイより、所定量の塗布液を吐出しな
がら成膜する方法であり、塗布液の使用効率が高く使用
量が少ない、塗布液の経時劣化の懸念がない等の長所が
ある。しかしながら、大板ガラスに使用する場合、大型
の金属製スリットダイの作製が甚だ困難であり、作製で
きたとしても装置が高価となる。更に、例えば、酸性の
塗布液等を塗布する場合、金属製スリットダイの寿命が
短くなる。
【0010】スプレー法は、塗布液を板状体表面に吹き
付ける方法であるが、スプレーした際に、塗布液が飛散
して塗布環境が悪くなり、更に、スプレーされた塗布液
が基板に到達する間に溶媒の蒸発が起こり、均一な膜厚
の薄膜を得づらい。
【0011】ロールコート法は、表面に塗布液を被着さ
せたコートーロールを板状体表面に接触させ、塗布液を
転写させて塗布する方法であり、ロールコート法による
ロールコーターが、実公昭59−42133号公報、特
開昭61−8161号公報に開示されている。
【0012】図6は実公昭59−42133に開示され
たロールコーターを側面から見た模式図である。図6に
示すように、塗布液を塗布しようとする基板の表面にア
プリケーターロール14が接触する一方、その裏面側に
バックアップロール15が設けられている。また、アプ
リケーターロール14にドクターロール13が接触して
おり、これらアプリケーターロール14とドクターロー
ル13との接触部に、塗布液を貯留するための塗布液貯
留部16が形成されている。更に、その塗布液貯留部1
6の上方には、塗布液の供給手段5が往復自在に設けら
れており、その供給手段5を往復運動させることによっ
て、塗布液貯留部16に塗布液を供給することができる
ようになっている。アプリケーターロール14とドクタ
ーロール13を回転させることによって、塗布液貯留部
16からの塗布液がアプリケーターロール14に供給さ
れ、基板の表面に塗布液が塗布される。
【0013】図7は特開昭61−8161号公報に開示
されたロールコーターを側面から見た模式図である。図
7に示すように塗布液が貯留されたディップ槽16にピ
ックアップロール17の一部が浸漬され、ピックアップ
ロール17を回転させることにより、ディップ槽16か
ら塗布液をピックアップし、アプリケーターロール18
に、塗布液が供給されるになっている。
【0014】また、板状体表面に均一に塗布液を塗布
し、膜ムラのない薄膜を得る湿式成膜法にマイクロロー
ルコート法、バーコート法が挙げられる。
【0015】マイクロロールコート法は、例えば、金属
製の円筒に、線径、約0.1mmのステンレス鋼製ワイ
ヤーを、螺旋状に隙間なきよう一重に巻き付けた、直
径、約10mmのステンレス鋼製ワイヤーロールを用い
て、ワイヤーロールの下部に塗布液を浸漬させた状態
で、ワイヤーロールを回転させることによってワイヤー
ロールに塗布液を供給し、水平方向に移動する板状体の
下面側を、回転するワイヤーロールの上部と接触させて
塗布液を塗布し、板状体の下面に薄膜を成膜する方法で
ある。
【0016】バーコート法は、例えば、金属製の円筒に
線径、約0.1mmのステンレス鋼製ワイヤーを巻き付
けた、直径、約10mmのステンレス鋼製ワイヤーロー
ルを用いて、予め水平な板状体上面に塗布液を供給し、
板状体を水平方向に移動させつつ、ワイヤーロールを回
転させることなく板状体に擦り付け、塗布液を塗布する
方法である。膜厚は、ワイヤーロールに巻かれた極細い
ステンレス鋼製ワイヤーの線径と、塗布液の固形分濃度
で制御し、板状体表面に均一な膜厚の薄膜を得ることが
可能である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前述した、いかなる湿
式塗布法を用いても、建築用窓ガラス、車両用窓ガラス
向け等の大板ガラスの表面に、均一な膜厚の薄膜を生産
性よく塗布すること、かつ塗布液の使用効率を高くする
ことが困難であった。
【0018】即ち、従来の実公昭59−42133号公
報、特開昭61−8161号公報に開示された、従来の
ロールコーターは、塗布液の供給にドクターロールまた
は、ピックアップロールを用いるが、大板ガラスに対し
塗布液を塗布すると、塗り始めは塗布液の供給が追従で
きても、途中より塗布液の供給が追従できなくなり、塗
布膜に膜厚ムラ、カスレ等を生じ大板ガラスには塗布で
きなかった。
【0019】マイクロロールコート法は、板状体の下面
側に成膜するので、板状体の搬送が難しく、成膜面を反
転させる必要があり、大板ガラスに適用するには、重量
のある大板ガラスを反転させる機構を設けなければなら
ない。また、塗布時に下面側にワイヤーロールがくるの
で、重量のある大板ガラスに適用する際は、ワイヤーロ
ールに荷重がかかり成膜が困難とならない手段を講じな
ければならない。吸着機能を持った定盤で大板ガラスの
上面側を吸着しつつ保持し、下面側に塗布液を塗布する
手段等が挙げられるが、定盤の平面度で膜の均一性が左
右される他、装置が大掛かりとなり、商業生産を行うに
現実的でない。
【0020】バーコート法は、ワイヤーロールを回転さ
せないので、大板ガラスに塗布液を塗布する際、極細い
ステンレス鋼製ワイヤーが切断しやすく、また、塗布液
の大板ガラス表面への均一な供給が難しく、塗布液の供
給が少ないと液切れし易く、また、板状体上面に供給さ
れた塗布液が、成膜前に板状体上面に不均一に溢れて流
れ出し、その跡が膜ムラとなって目立つほか、供給が過
剰であると、板状体上面に供給された塗布液が端部から
垂れ落ち、板状体の端部近傍と塗布装置が汚くなり、清
掃するのに手間がかかるという問題があった。
【0021】ロールコート法、マイクロロールコート
法、バーコート法およびフレキソ印刷法を用いた塗布装
置が、液晶用ガラス基板等の塗布向けに市販されている
が、塗布できる基板サイズは、板厚が1mm程度の板で
最大で800mm角サイズであり、板厚が1mm以上あ
り、サイズがメーター角以上ある建築用または車両用等
の大板ガラスを塗布できるものはない。
【0022】また、大型の装置を用いて、大板ガラスの
表面に均一な膜厚の薄膜を生産性よく塗布すること、か
つ塗布液の使用効率を高くすることができたとしても、
塗布装置が甚だ高価となる。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、例えば、建築
用窓ガラスまたは車両用窓ガラス向け等の大板ガラス
に、赤外線吸収または反射膜、紫外線吸収膜、防汚膜等
の機能性膜、および遮光目的の着色膜等の薄膜を、膜厚
ムラなく生産性よく塗布形成することが可能な安価な塗
布装置としてのロールコーターおよび該ロールコーター
を用いた製造方法を提供することを目的とする。
【0024】本発明は、回転可能なロールによって、水
平な板状体の上面に塗布液を塗布するロールコーターで
あって、回転軸が各々平行であり隣り合うロールが接す
ることなく隣設した、塗布液を塗布する際に板状体上面
とロールの下部が接する3本以上のロールからなり、そ
のうち、少なくとも2本以上はコートロールであり、隣
設するロールの隙間を通して、板状体表面に塗布液を供
給する供給手段を備えていることを特徴とするロールコ
ーターである。
【0025】更に、本発明は、塗布液の供給箇所より後
段に設けられたコートロールに、ステンレス鋼製ワイヤ
ーが金属棒に巻き付けられたワイヤーロールを2本以上
用い、後列のワイヤーロールに用いたステンレス鋼製ワ
イヤーの線径が、その前列のステンレス鋼製ワイヤーの
線径と等しいか、または小さいことを特徴とする上記の
ロールコーターである。
【0026】更に、本発明は、塗布液の供給箇所より後
段に設けられたコートロールに、ロール表面に凹凸を有
するロールを2本以上用い、後列のロールの凹凸のサイ
ズが、その前列のロールの凹凸のサイズと等しいか、ま
たは小さいことを特徴とする上記のロールコーターであ
る。
【0027】更に、本発明は、少なくともロールの隙間
を通して、板状体表面に塗布液が供給される隣設するロ
ールは、板状体の端面より、0.5mm以上、内側で接
触する長さであることを特徴とする上記のロールコータ
ーである。
【0028】更に、本発明は、ロールの隙間を通して、
板状体表面に塗布液が供給される隣設するロールより後
段に設けられた、少なくとも1本以上のコートロール
は、板状体の端面まで接触する長さであることを特徴と
する上記のロールコーターである。
【0029】更に、本発明は、塗布液の供給箇所より前
段のロールは、表面が滑らかに加工されたロールである
ことを特徴とする上記のロールコーターである。
【0030】更に、本発明は、各ロールの径が、50mm
以下であることを特徴とする上記のロールコーターであ
る。
【0031】更に、本発明は、ロールを上下に可動可能
に設置したことを特徴とする上記のロールコーターであ
る。
【0032】更に、本発明は、ロール下部周辺の塗布液
を吸引する吸引手段を付設したことを特徴とする上記の
ロールコーターである。
【0033】更に、本発明は、上記のロールコーターを
用い、ロールの隙間を通して板状体表面に塗布液を供給
し、板状体の上面側に塗布液を塗布する塗布方法であ
る。
【0034】更に、本発明は、ロールの隙間を通して板
状体表面に塗布液が供給される隣設するロールは、板状
体の端面より0.5mm以上、内側で接触させる上記の
塗布方法である。
【0035】通常、液晶用基板等のガラス基板に塗布液
を塗布し、塗布膜を形成するためのロールコーターは、
移動するガラス基板の上面側に、連続的に塗布液を塗布
するために、ガラス基板の上面に直接、塗布液を滴下さ
せて供給することがないが、建築用窓ガラス、車両用窓
ガラス向け等の大板ガラスに関しては、大板ガラスを搬
送しつつ、連続的に大板ガラスの上面に塗布液を塗布す
ることは困難なので、直接、大板ガラスの表面に塗布液
を滴下させて塗布液を供給した後、ロールにて大板ガラ
スの表面上に塗布液を広げるようにして塗布する方が簡
便である。また、厚みのある大板ガラスは、ロールコー
ターに突入させると大板ガラスの端部でロール表面を傷
つけてしまう。
【0036】本発明のロールコーターは、回転可能なロ
ールによって、水平な板状体の上面に塗布液を塗布する
ロールコーターであって、回転軸が平行となり、お互い
接することなきよう隣接した3本以上のロールからなる
ロールコーターである。
【0037】本発明のロールコーターにおいて、隣接す
るロール間の隙間を通し板状体表面へ、直接、塗布液供
給手段手段によって塗布液を滴下する。該塗布液供給手
段としては、ロールの長手方向に対し移動可能なディス
ペンサー、塗布液ノズル、またはロールの長手方向と略
一致するよう設けられた塗布液槽等が挙げられる。
【0038】また、本発明のロールコーターにおいて、
板状体を塗布するする毎に、ロール間の隙間を通して板
状体表面に塗布液を供給するので、例えば、粘度が0.
003Pa・S程度の低粘度の塗布液でも、基板表面上
に塗布液が不均一に溢れることなく、板状体の幅方向に
均一に塗布液を供給できる。
【0039】本発明のロールコーターに使用する3本以
上のロールのうち、塗布液の供給箇所より後段側のロー
ル、即ち、塗布液を塗布するコートロールは2本以上あ
って、少なくとも2本以上はステンレス鋼製ワイヤーが
金属棒に巻き付けられたワイヤーロール、あるいは、ロ
ール面に凹凸を有するロール、例えば、金属製ロール表
面に微細な線状の窪みが全面に機械加工された、また
は、全面をラッピング加工し磨り面状としたロールであ
ることが好ましい。供給された塗布液は、ロール面のス
テンレス鋼製ワイヤー、あるいは窪みと板状体との間に
形成される微小な隙間により、板状体の表面に均一に伸
ばされつつ塗布され、膜厚が均一な、即ち、膜ムラのな
い塗布膜が形成される。ワイヤーロールに用いる微細な
ステンレス鋼製ワイヤーの線径、あるいはロール表面の
窪みのサイズの調整、塗布液の固形分濃度の調整によっ
て、塗布膜に所望の膜厚を得ることができる。
【0040】更に、塗布液の供給箇所より後段に、コー
トロールとして2本以上のワイヤロールを用いた際の、
ステンレス鋼製ワイヤーの線径については、後列のワイ
ヤロールに用いたステンレス鋼製ワイヤーの線径が、そ
の前列のステンレス鋼製ワイヤーの線径と等しいか、ま
たは小さいと塗布液供給時の供給量の変動による膜ムラ
が解消できるとともに、膜厚の均一性を大幅にアップす
ることができる。
【0041】一方、後列のワイヤロールに用いたステン
レス鋼製ワイヤーの線径が、その前列のステンレス鋼製
ワイヤーの線径より大きいと、塗布液供給時の供給量の
変動による膜ムラが解消できず、膜厚が不均一となる。
【0042】ワイヤーロールを用いた場合と同様に、塗
布液の供給箇所より後段に、ロール面に微細な窪みを有
する2本以上のロールを用いた際の窪みのサイズにおい
て、後列のロールの窪みのサイズが、その前列のロール
の窪みのサイズと等しいか、または小さいと塗布液供給
時の供給量の変動による膜ムラが解消できるとともに、
膜厚の均一性を大幅にアップすることができる。
【0043】一方、後列のロールの窪みのサイズが、そ
の前列のロールの窪みのサイズより大きいと、塗布液供
給時の供給量の変動による膜ムラが解消できず、膜厚が
不均一となる。
【0044】少なくともロール間の隙間を通して塗布液
が供給される隣接するロールは板状体の端面より、0.
5mm以上、内側で接触する長さであることが好まし
い。0.5mm以上内側で接触すると、塗布時、ロール
端部より表面張力により塗布液が広がらず、板状体端部
から塗布液が垂れ落ちることを抑制できる。板状体の大
きさに対する塗布液の量、ワイヤーロールに用いる微細
なステンレスワイヤーの線径、またはロール面に窪みの
あるロールの窪みのサイズにもよるが、0.5mm未満
では板状体端部より、塗布液が垂れ落ちてしまう可能性
が高い。
【0045】更に、ロール間の隙間を通して塗布液が供
給される隣接するロール以外のロール、即ち、後段の少
なくとも1本のコートロールが、板状体全面に接触する
長さであれば、前列のロール端部で表面張力により広が
らなかった、板状体端部の塗布液を広げることができ、
ロール軸方向、即ち、板状体の幅方向の板状体全面に塗
布液を塗布することが可能になる。
【0046】例えば、液晶用ガラス基板等の精密基板の
製造においてはフォトレジスト塗布後、バックリンスと
呼ばれる裏面洗浄工程、アルカリリムーバー液によるレ
ジスト除去工程があるが、建築用窓ガラス、車両用窓ガ
ラス向け等の大板ガラスの塗布においては、端部から塗
布液が垂れると装置を汚してしまい、装置の清掃が大変
になるとともに、塗布直後に裏面洗浄工程を入れるとコ
ストアップに繋がる。例えば、シリカコート液等、塗布
液の種類によっては、乾燥後、簡単に除去することが困
難となる。
【0047】本発明のロールコーターを用いて、大板ガ
ラスに塗布液を塗布形成すれば、塗布液が板状体表面よ
り垂れ落ち、ロール周囲および板状体の裏面側が汚れる
ことを防止でき、塗布後、後段に裏面洗浄工程を入れる
必要がなくなる。
【0048】ロール間の隙間を通して、板状体表面に塗
布液が供給される、隣接するロールにおいて、塗布液の
供給箇所より前段の塗布液を塗布するコートロールでは
ないロール、即ち、非成膜側のロールの役割は、塗布液
がコートロールにて延ばされる際に板状体表面に溢れ、
塗布液の供給が不均一になることを防止することであ
る。隣接するロールの径が小さく、隣接するロールが板
状体と接触する部分の間の面積、即ち、塗布液が供給さ
れる板状体の面積が小さく、供給する液量が多い場合
は、そこが液だめとなって、膜厚が均一な塗布膜を得る
ことに寄与する。
【0049】該塗布液の供給箇所より前段のロールは、
塗布液を塗布するコートロールではないため、ワイヤー
ロール、またはロール面に微細な窪みのある機械加工を
全面に施したロールであってもよいが、そうである必要
もなく、板状体表面にキズを付けることなきよう表面が
滑らかなロールであればよい。ワイヤーロールおよびロ
ール面に窪みのあるロールに比較して、表面を滑らかに
加工したロールの方が安価でありコストダウンをはかれ
る。
【0050】本発明のロールコーターに用いる各々のロ
ールの径は50mm以下であることが好ましい。径が5
0mmより大きいと、ロールの重量が増すので、基板に
ロールを接触させ搬送させる際、コートロールであるワ
イヤーロール、またはロール面に微細な窪みのあるロー
ルのロール面が傷むとともに、スムーズに搬送させるこ
とが難しくなる。各々のロールの径が50mm以下であ
ると、ロールの隙間を通して板状体表面に塗布液が供給
される隣接するロールにおいて、隣接するロールが板状
体と接触する部分の間の面積、即ち、塗布液が供給され
る板状体の面積が小さくなり、そこが液だめとなって、
塗布液自体のレベリング効果によってロールの軸方向に
塗布液が均一に供給される。更に、板状体に塗布膜を塗
布形成した際の、板状体の前後端部の塗布膜のない部分
の面積を小さくできるほか、装置も簡素となり、コート
ロールの表面積が小さくなって、塗布後のコートロール
表面に残る塗布液量が少なくなり、連続生産がし易くな
る。
【0051】また、本発明のロールコーターに使用する
ロールは、ロールを上下可動に設置することが好まし
い。ロールコーターの移動あるいは、板状体の移動に伴
って、各々のロールが板状体と接触し、自重による板状
体との接触抵抗により回転しながら塗布液を塗布するの
で、ロール以外の余分な荷重がかかることなく、コート
ロールであるワイヤーロール、またはロール面に微細な
窪みのあるロールの、ロール面の痛みが少ない、即ち、
コートロールの寿命を長くすることができる。塗布の
際、各々のロールがスムーズに回転するように、ロール
の両端部の軸受けにスプリング等を使用して、ロールを
板状体に押圧しても構わない。
【0052】また、本発明に使用するロールコーターに
塗布液の吸引手段を付設すれば、例えば、ロールコータ
ーの軸受け部に吸引手段を設け、塗布後にコートロール
下部周辺の板状体上の塗布液を吸引除去すれば、成膜後
にコートロールを板状体より離した際の、板状体の後端
部に残った塗布液の、塗布済みの面への流れ出しを防ぐ
ことができる。
【0053】
【発明の実施の形態】図1に本発明のロールコーターの
一例の主要部を側面から見た模式図を、図2に、図1に
示したロールコーターの主要部を上から見た模式図を示
す。図1および図2に示すロールコーターは、ロールの
本数が3本であるが、3本より多くても構わず、本発明
は図1および図2の模式図に示すロールコーターに限定
されるものではない。
【0054】図1および図2により本発明の実施の形態
を説明する。
【0055】図1およびに図2の模式図に示すロールコ
ーターにおいて、塗布液はロール1とロール2の隙間を
通し、供給手段5によって板状体4の上面に供給され
る。塗布液の供給量がロールの長手方向に対し一定とな
るように、供給手段5をロールの長手方向に移動させつ
つ、ロール1とロール2の隙間を通し板状体4の表面に
塗布液を供給する。板状体4の一方の端部において塗布
液を供給した後、板状体4を静止させたままで、ロール
間の間隔を保ったまま、各ロールを水平方向に動かす、
即ち、ロールコーターを水平方向に動かす、あるいは、
ロールコーターは動かさないで、板状体4を水平方向に
動かし、もう一方の端部まで移動させる。
【0056】ロールコーター、または板状体4の移動速
度が速すぎると、液切れにより塗布膜がかすれ、移動速
度があまりに遅すぎると経済生産が成り立たないので、
所望の膜厚で、均一な膜が得られるように移動速度を調
整する必要がある。
【0057】本発明のロールコーターは、特に、建築用
窓ガラス、または車両用窓ガラス向け等の大板ガラスの
片面に、均一な膜厚の薄膜を形成することを目的とした
ものであり、塗布液量が多い場合は、始めに、ロールコ
ーターおよび板状体4を静止させた状態で、ロールの長
手方向に行き渡るように、ロール1とロール2の隙間を
通し、板状体4の上面に塗布液を供給した後、ロールコ
ーターまたは板状体4を移動させつつ、更に、塗布液を
ロール1とロール2の隙間を通して、板状体4の上面に
塗布液を供給することが好ましい。
【0058】供給手段5は、ロールの長手方向に対し往
復可能であり、塗布液の供給速度を調整可能であるもの
が好ましく、例えば、圧縮気体により圧力をかけて塗布
液を射出するディスペンサー、または定量ポンプ等と組
み合わせた供給ノズル等が挙げられる。また、長手方向
のロールの長さと略一致する液だめ、即ち、塗布液槽を
設置し、塗布液槽の長手方向全体に供給口または供給ス
リット設け、供給口または供給スリットから、ロール1
とロール2の隙間を通し板状体4の表面に塗布液を供給
しても構わない。
【0059】ロール1、ロール2、およびロール3の大
きさは、直径50mm以下であることが好ましい。本発
明のロールコーターは、塗り始めと塗り終わりに、板状
体4の上面に塗布液を塗布しない箇所があるが、各ロー
ル1、2、3の径を小さくすることで、その面積を極力
小さくすることができるとともに、各ロール1、2、3
の重量を軽くすることで、塗布時に各ロール1、2、3
が板ガラス表面と接触し自重による接触抵抗で回転する
際に、ロール面が傷むことを防止することができる。
【0060】ロール1は、板状体4の上面に塗布液を塗
布するコートロールではないので、ワイヤーロール、ま
たは、ロール面に窪みがあるロールである必要はなく、
表面が滑らかなロールで構わない。ロール2、ロール3
は、板状体4の上面に塗布液を塗布するコートロールで
あるので、ワイヤロール、ロール面に微細な窪みのある
ロールである必要がある。
【0061】通常、ワイヤーロールは、ワイヤーロール
の表面の拡大断面図である図3に示すように、金属棒7
に、微細なワイヤー8が螺旋状に隙間なきよう一重で巻
き付けられており、微細なワイヤー8と板状体4の隙間
9に塗布液が保持され塗布される。微細なワイヤー8の
線径によって、隙間9の大きさが変わることで、隙間9
に保持される塗布液の量が変わり、塗布膜の膜厚を微細
なワイヤー8の線径によって調整することが可能であ
る。本発明のロールコーターに用いるワイヤーロールを
構成する金属棒7およびワイヤー8の材質としては、種
々の金属が挙げられるが、耐薬品性が高く、適度な硬度
を持ち、加工しやすいステンレス鋼が好ましい。通常、
機能性薄膜、着色膜を形成するための塗布液は、酸性で
あることが多く、耐酸性に優れたステンレス鋼を、金属
棒7とワイヤー8ともに用いることが好ましい。ワイヤ
ー8の線径に加え、塗布液の固形分濃度により、塗布膜
の膜厚を調整することが可能である。用いるワイヤー8
の線径は、0.05mm以上、2mm以下であることが
好ましい。線径が2mmより太いと、隙間9に保持され
る塗布液の量が多すぎて、板状体4の表面に形成した塗
布膜に垂れを生じてしまう。0.05mより細いと、隙
間9に保持される塗布液の量が少なすぎて、均一な塗布
膜の形成が困難である、また、板状体との接触により断
線する懸念がある。
【0062】一方、ロール面に凹凸のあるロールとして
は、金属ロール面の円周方向に線状の窪みを機械加工し
たロール、金属ロール面にラッピング加工等の機械加工
を施し、表面を磨り面状としたロールが挙げられる。ま
た、芯棒を金属とし、ロール面に表面に微細な窪みのあ
るシリコーン樹脂、ウレタン樹脂等、およびゴム等を使
用したロール等が挙げられる。
【0063】例えば、ワイヤロールと表面と同様の凹凸
をロール面に持つロールを作製するとれば、即ち、ロー
ルの円周方向に等間隔に細かい溝を多数加工するとすれ
ば、凸の部位と凹の部位の差としての凹凸のサイズ、即
ち、溝の深さは、0.025mm以上、1mm以下であ
る。溝の深さが1mmより深いと、ロールに保持される
塗布液の量が多すぎて、板状体4の表面に形成した塗布
膜に垂れを生じてしまう。0.025mmより浅いと、
保持される塗布液の量が少なすぎて、均一な塗布膜の形
成が困難である。この場合、溝の深さは、ワイヤーロー
ルに使用するワイヤー8の線径の半分になる。
【0064】本発明のロールコーターの一例の主要部を
上からみた模式図である図2に示すように、塗布液がロ
ール1およびロール2間の隙間を通して、板状体4の表
面に供給される。ロール1およびロール2の長さは、板
状体4の幅に対し若干短めであることが好ましい。即
ち、0.5mm以上、板状体4の内側で接触することに
より、塗布時、ロール2の端部より板状体4の表面に、
塗布液の表面張力により塗布液が広がらず、板状体4の
端部から塗布液が垂れ落ちることを抑制できる。塗布液
の供給量を調整し、板状体4の端部で広がらない塗布液
の量を調整し、ロール3を板状体4の幅方向全体に接触
する長さとすれば、板状体4の端部で広がらなかった液
をロール3により広げて、ロール軸方向、即ち、板状体
4の幅方向全面に対し、塗布液を均一に塗布することが
可能となる。
【0065】各ロール1、2、3の回転軸の軸受け部
は、例えば、両端にボールベアリング等を用いてスムー
ズに回転可能であるようにし、ベアリングに支持部を設
け、支持部が上下に可動可能にすることが好ましい。
【0066】ロールコーターを構成するロール1、2、
3の軸受け部に、図示しない吸引手段を設け、塗布後に
コートロールであるロール2、ロール3の下部周辺の板
状体4上の塗布液を吸引することが好ましい。
【0067】以下の実施例によって、本発明を詳細に説
明するが、本発明は、以下の実施例によって限定される
ものではない。
【0068】
【実施例】実施例 板厚3.5mm、サイズ1m×1.8m、即ち、100
0mm×1800mmの建築用窓ガラス向けの板ガラス
の片面側に、本発明のロールコーターを用いて塗膜形成
後、焼成して光触媒活性、即ち、有機物を光化学反応に
より分解し板ガラス表面に防汚性を付与する防汚膜付き
板ガラスを作製した。
【0069】塗布液は、試薬ZrOCl2(キシダ化学
製)、シリコーン試薬であるCGS−DI−0600
(チッソ製、商品名)、TiO2とSiO2の混合物であ
るST−K01(石原テクノ製、商品名、重量比でTi
2:SiO2=4:1)を、エタノールおよび1−メト
キシ−2プロパノール(共にキシダ化学製)に溶かし
て、塗布膜を乾燥後、焼成して防汚膜とした際に、成分
の重量比で、ZrO2:SiO2:TiO2=3:4:4
となるように、固形分濃度、2重量%、即ち、2wt%
に調整した。塗布液の粘度を測定したところ、0.00
3Pa・Sであった。
【0070】塗布対象として、ブラシ洗浄機にて洗浄し
た後、乾燥させた板厚3.5mm、サイズ1000mm
×1800mmのフロート板ガラス(ソーダライムシリ
ケートガラス)を用い、1000mm×1800mmの
アルミニウムからなる定盤上に水平に載置し、定盤面に
設けられた微細な穴により真空吸着し固定した。
【0071】図1に本発明のロールコーターの一例の主
要部を側面から見た模式図を示す。ロール1は表面を滑
らかに加工した直径13mmのステンレス鋼製ロール
を、ロール2、ロール3は、線径0.15mmの微細な
ステンレス鋼製ワイヤーを一重に隙間なきよう、ステン
レス鋼製の金属棒に巻き付けた直径13mmのステンレ
ス鋼製ワイヤーロールを用いた。また、ロール間に塗布
液が供給されるロール1および前列のワイヤーロール2
は、有効幅を995mmとし、幅1000mmの前記板
状体に対して、端面より2.5mm内側で板状体と接触
するようにした。後列のワイヤーロール3は、有効幅1
050mmのものを用いた。
【0072】前記、各ロール1、2、3の両端は、ベア
リングで支持し、かつベアリングの両端をガイドで挟ん
で、上下方向に自在に動くようにして、ロールコーター
の移動に伴い、板ガラス4との接触抵抗によって、ワイ
ヤーロール2、ワイヤロール3が滑らかに回転し、塗布
液が板ガラス4の表面に塗布されるようにした。
【0073】板ガラス4を載置した前記定盤に対して、
所定の速度で移動する図示しない移動装置に取り付けた
ロールコーターを板ガラスの長辺方向(1800mm方
向)の片側端部に接触させ、ロール1、ロール2の間
に、調整済の前記塗布液10mlを極細いノズル5よ
り、板ガラス4の幅方向(1000mm方向)に移動さ
せつつ滴下させ、板ガラス4の幅方向全体に、均一な液
量となるように供給した。
【0074】供給した塗布液が、板ガラス4の幅方向全
体に、塗布液が広がったことを確認して、更に、定量ポ
ンプで10ml/minの流量で、板ガラス4の幅方向
に前記ノズル5を移動させつつ塗布液を供給し、長辺方
向のもう一方の片側端部に向けて、1500mm/mi
n、即ち、25mm/secの移動速度で、ロールコー
ターを移動させて、板状体との接触抵抗によって回転す
るワイヤーロール2、ワイヤロール3によって、塗布液
が板状体4の表面に塗布されるようにした。即ち、移動
前の10mlに加え、ロールコーターが移動する1分間
に、更に10ml、ロール1、ロール2の間に塗布液を
供給し、計20mlを板ガラス4の上面に塗布した。
【0075】ロールコーターを板ガラス4の長辺方向の
端部で停止させた後、ロール2、ロール3に付着した塗
布液を図示しない吸引手段で吸引除去した後、ロールコ
ーターを上方向に移動させ、ガラス面より浮かせて、塗
布を終了した。得られた塗布膜は、目視にて、垂れ、色
ムラ等なく、即ち、外観良好であった。特に、ガラス端
部からの塗布液の垂れ落ちが見られなかった。
【0076】塗布膜を形成した板ガラスを450℃で、
20分間加熱処理、即ち、焼成し、膜厚、100nm、
成分の重量比で、ZrO2:SiO2:TiO2=3:
4:4で形成された光触媒機能を有する防汚膜付き板ガ
ラスサンプルを作製した。
【0077】得られた板ガラスサンプルについて、膜厚
分布、光触媒活性と親水性維持性能を評価した。
【0078】膜厚分布は、前記板ガラスサンプルの塗布
を始める側の端部から、長さ方向に200mm、550
mm、900mm、1250mm、1600mmの各位
置について、板ガラスの幅方法の端部から10cm毎の
9点、合計45点について、エリプソメーター(株式会
社溝尻光学工業所製、DVAー36VWーS型)を用い
て膜厚を測定した。測定した結果、最大膜厚は106n
m、最小膜厚は85nmであり、(最大膜厚ー最小膜
厚)/(最大膜厚+最小膜厚)×100の数式により求
めた膜厚分布は±11%であり、膜厚ムラは小さく、均
一性は良好であった。
【0079】汚れを分解する能力である光触媒活性の評
価は、作製した機能薄膜付き板ガラスの薄膜形成側表面
にステアリン酸を塗布して、ステアリン酸の分解度で評
価した。即ち、ステアリン酸の分解度が大きくなるほ
ど、光触媒活性は高くなる。
【0080】光触媒活性の評価方法はFT−IR分光装
置(パーキンエルマー社製)を用いて、2910cm-1
から2920cm-1に現れるステアリン酸の伸縮振動に
起因する特性吸収の吸光度Aを、ステアリン酸を塗布す
る前の吸光度Ab、ステアリン酸を塗布した直後の吸光
度A0、および紫外線を1時間照射した後の吸光度A1
ついて、各々求め、吸光度の変化量を{(A0−Ab)−
(A1−Ab)}×1000の数式により算出し、ステア
リン酸の分解度の目安とした。なお、ステアリン酸のサ
ンプルへの塗布は、ステアリン酸をエタノールに溶解さ
せ3wt%の溶液とした後、予め用意した塗布槽内に該
溶液を満たし、上端部を保持したサンプルを塗布槽内へ
浸漬させた後、静かに8mm/secの引き上げ速度で
引き上げて塗布した。紫外線照射は、ブラックライトF
L15BLB(東芝製、商品名)を用い、波長365n
mの紫外線をサンプル表面に、強度、4mW/cm2
行った。前記吸光度の変化量が、5以上であれば光触媒
活性は十分高いと評価できる。
【0081】親水維持性能の評価方法は、サンプル作製
後、波長365nmにおける紫外線強度が、1μW/c
2以下の清浄な環境下に7日間サンプルを静置した後
の、純水に対するサンプルの薄膜形成側表面の接触角で
評価した。7日後の接触角が20度以下であれば、親水
性維持性能が十分高いと評価できる。
【0082】サンプルの光触媒活性および親水性維持性
能を、前記の方法により評価した結果、吸光度の変化量
は8であり、7日後の接触角は20度以下であり、光触
媒活性および親水性維持性能ともに充分に満足のいくも
のであった。 比較例1 実施例と同様に調製した塗布液10mlを、図4に示す
ように1本のロール10の手前に滴下させ、板ガラス4
の幅方向に均一な液量となるよう供給した。ロール10
には、線径0.15mmの微細なステンレス鋼製ワイヤ
ーを一重に隙間なきよう巻き付けた、直径13mm、有
効幅1050mmのステンレス鋼製ワイヤーロール10
を用いた。
【0083】塗布対象として、実施例1と同様にブラシ
洗浄機にて洗浄した後、乾燥させた板厚3.5mm、サ
イズ1000mm×1800mmのフロート板ガラス4
(ソーダライムシリケートガラス)を用い、1000m
m×1800mmのアルミニウムからなる定盤上に水平
に載置し、定盤面に設けられた微細な穴により真空吸着
し固定した。
【0084】前記、ロール10の両端は、ベアリングで
支持し、かつベアリングの両端をガイドで挟んで、上下
方向に自在に動くようにして、ロール10の移動に伴
い、板ガラス4との接触抵抗によって、滑らかに回転す
るロール10によって、塗布液が板ガラス4の表面に塗
布されるようにした。
【0085】板ガラス4を載置した前記定盤に対して、
所定の速度で移動する図示しない移動装置に取り付けた
ロール10を板ガラス4の長辺方向(1800mm方
向)の片側端部に接触させた後、ロール10の手前に、
調整済の前記塗布液10mlを極細いノズル5より、板
ガラス4の幅方向(1000mm方向)に移動させつつ
滴下させ、板ガラス4の幅方向全体に均一な液量となる
ように供給した。
【0086】塗布液を供給した後、板ガラス4の幅方向
全体に、塗布液が広がったことを確認して、更に、定量
ポンプで10ml/minの流量で、板ガラスの幅方向
方向に前記ノズル5を移動させつつ塗布液を供給し、長
辺方向のもう一方の片側端部に向けて、1500mm/
minの移動速度で前記ワイヤーロール10を移動させ
て、板状体との接触抵抗によって回転するワイヤーロー
ル10によって、塗布液が板状体表面に塗布されるよう
にした。即ち、移動前の10mlに加え、ワイヤーロー
ル10が移動する1分間に、更に10ml、ワイヤーロ
ールの手前に塗布液を供給し、計20mlを板ガラス上
面に1本のワイヤロール10で塗布した。
【0087】得られた塗布膜にはカスレおよび膜厚ムラ
が発生し、板ガラス4の表面に所定の膜厚で均一な塗布
膜を塗布形成することはできなかった。更に、板ガラス
4の端部から塗布液が垂れ落ちが見られ、定盤が汚れて
いた。 比較例2 実施例と同様に調製した塗布液10mlを、図5に、側
面から見た模式図を示す2本のロール11、12を用い
たロールコーターを用い、ロール11とロール12との
間に、塗布液を板ガラス4の幅方向に均一な液量になる
ように供給した。 ロール11には、直径13mm、有
効幅1050mmの表面が平滑なステンレス鋼製のロー
ル11を用い、ロール12には線径0.15mmの微細
なステンレス鋼製ワイヤーを一重に隙間なきよう巻き付
けた、直径13mm、有効幅1050mmのステンレス
鋼製ワイヤーロール12を用いた。
【0088】塗布対象として、実施例1と同様にブラシ
洗浄機にて洗浄した後、乾燥させた板厚3.5mm、サ
イズ1000mm×1800mmのフロート板ガラス4
(ソーダライムシリケートガラス)を用い、1000m
m×1800mmのアルミニウムからなる定盤上に水平
に載置し、定盤面に設けられた微細な穴により真空吸着
し固定した。
【0089】前記、ロール11およびワイヤロール12
の両端は、ベアリングで支持し、かつベアリングの両端
をガイドで挟んで、上下方向に自在に動くようにして、
ロールコーターの移動に伴い、板ガラス4との接触抵抗
によって滑らかに回転するロールによって、塗布液が板
ガラス4の表面に塗布されるようにした。
【0090】板ガラス4を載置した前記定盤に対して、
所定の速度で移動する図示しない移動装置に取り付けた
ロールコーターを板ガラスの長辺方向(1800mm方
向)の片側端部に接触させた後、ロール11とワイヤー
ロール12の間に、調整済の前記塗布液10mlを極細
いノズル5より、板ガラスの幅方向に移動させつつ滴下
させ、板ガラス4の幅方向全体に均一な液量となるよう
に供給した。
【0091】供給した塗布液が、板ガラス4の幅方向
(1000mm方向)に、広がったことを確認して、更
に、定量ポンプで10ml/minの流量で、板ガラス
4の幅方向方向に前記ノズル5より塗布液を供給しつ
つ、1500m/minの移動速度で、長辺方向のもう
一方の片側端部に向けて、ロールコーターを移動させ
て、板ガラス4との接触抵抗によって回転するロール1
1およびワイヤーロール12によって、塗布液が板状体
4の表面に塗布されるようにした。即ち、移動前の10
mlに加え、ロールコーターが移動する1分間に、更に
10ml、ロール11とワイヤーロール12との間に塗
布液を供給し、計20mlを板ガラス4の上面に塗布し
た。
【0092】ロールコーターを板ガラス4の長辺方向の
端部で停止させた後、ロールコーターを上方向に移動さ
せ、ガラス面より浮かせて、塗布を終了した。得られた
塗布膜は、カスレはなかったものの目視にて、レベリン
グ不足と思える膜厚ムラによる色ムラが確認され、板ガ
ラス4の端部から塗布液が垂れ落ちが見られ、定盤が汚
れていた。
【0093】
【発明の効果】本発明のロールコーターを用いると、大
板ガラス、特に、建築用窓ガラス、または車両用窓ガラ
ス向け等に使用される大板ガラスに塗布液を膜厚ムラな
く、均一に塗布できる。本発明のロールコーターは、安
価であり、塗布液の使用効率が高く、塗布液に無駄がな
い。
【0094】また本発明のロールコーターは、ロールの
長さおよび塗布液の供給量を調整することによって、装
置を汚すことなく、大板ガラスの幅方向全体に均一な膜
厚の塗布膜を塗布形成できるものである。
【0095】本発明のロールコーターおよび塗布方法を
用いることによって、例えば、建築用窓ガラス、車両用
窓ガラス向け等に用いることができる、膜厚が均一な機
能性薄膜を塗布形成した機能性薄膜付き大板ガラスを安
価に製造することができる。
【0096】例えば、大板ガラス表面に光触媒活性を有
する防汚膜、赤外線吸収または反射膜、紫外線吸収膜等
の機能性膜、および遮光目的の着色膜等を安価に形成で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロールコーターの一例の主要部を側面
から見た模式図である。
【図2】本発明のロールコーターの一例の主要部を上か
ら見た模式図である。
【図3】ワイヤーロールの表面の拡大断面図である。
【図4】比較例1で用いたロールコーターを側面から見
た模式図である。
【図5】比較例2で用いたロールコーターを側面から見
た模式図である。
【図6】従来のロールコーターの一例を側面から見た模
式図である。
【図7】従来のロールコーターの一例を側面から見た模
式図である。
【符号の説明】
1、2、3 ロール 4、 板状体(ガラス板) 5、 塗布液供給手段(ノズル) 6 ロール軸端部
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AC21 AC29 AC84 AC95 CA48 DA04 EA05 4F040 AA22 BA12 CB07 CB26 CB36 4F042 AA22 CB04 CC03 DD10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転可能なロールによって、水平な板状体
    の上面に塗布液を塗布するロールコーターであって、回
    転軸が各々平行であり隣り合うロールが接することなく
    隣設した、塗布液を塗布する際に板状体上面とロールの
    下部が接する3本以上のロールからなり、そのうち、少
    なくとも2本以上はコートロールであり、隣設するロー
    ルの隙間を通して、板状体表面に塗布液を供給する供給
    手段を備えていることを特徴とするロールコーター。
  2. 【請求項2】塗布液の供給箇所より後段に設けられたコ
    ートロールに、ステンレス鋼製ワイヤーが金属棒に巻き
    付けられたワイヤーロールを2本以上用い、後列のワイ
    ヤーロールに用いたステンレス鋼製ワイヤーの線径が、
    その前列のステンレス鋼製ワイヤーの線径と等しいか、
    または小さいことを特徴とする請求項1に記載のロール
    コーター。
  3. 【請求項3】塗布液の供給箇所より後段に設けられたコ
    ートロールに、ロール表面に凹凸を有するロールを2本
    以上用い、後列のロールの凹凸のサイズが、その前列の
    ロールの凹凸のサイズと等しいか、または小さいことを
    特徴とする請求項1に記載のロールコーター。
  4. 【請求項4】少なくともロールの隙間を通して、板状体
    表面に塗布液が供給される隣設するロールは、板状体の
    端面より、0.5mm以上、内側で接触する長さである
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のロール
    コーター。
  5. 【請求項5】ロール間の隙間を通して、板状体表面に塗
    布液が供給される隣設するロールより後段に設けられ
    た、少なくとも1本以上のコートロールは、板状体の端
    面まで接触する長さであることを特徴とする請求項1乃
    至請求項4に記載のロールコーター。
  6. 【請求項6】塗布液の供給箇所より前段のロールは、表
    面が滑らかに加工されたロールであることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5に記載のロールコーター。
  7. 【請求項7】各ロールの径が、50mm以下であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のロールコータ
    ー。
  8. 【請求項8】ロールを上下に可動可能に設置したことを
    特徴とする請求項1乃至請求項7に記載のロールコータ
    ー。
  9. 【請求項9】ロール下部周辺の塗布液を吸引する吸引手
    段を付設したことを特徴とする請求項1乃至請求項8に
    記載のロールコーター。
  10. 【請求項10】請求項1乃至請求項9記載のロールコー
    ターを用い、ロールの隙間を通して板状体表面に塗布液
    を供給し、板状体の上面側に塗布液を塗布する塗布方
    法。
  11. 【請求項11】ロールの隙間を通して板状体表面に塗布
    液が供給される隣設するロールは、板状体の端面より
    0.5mm以上、内側で接触させる請求項10に記載の
    塗布方法。
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