JP2002065635A - 均一磁場発生用マグネット及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

均一磁場発生用マグネット及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置

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克典 東
Yoshihide Wadayama
芳英 和田山
Shigeru Kadokawa
角川  滋
Hirotaka Takeshima
弘隆 竹島
Kenji Sakakibara
健二 榊原
Takao Honna
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Abstract

(57)【要約】 【課題】精度の高い均一磁場発生用マグネット提供す
る。 【解決手段】均一磁場領域を挟んで対向して一対の超電
導コイルを配置し、強磁性材から成る一対の磁束制御体
群を磁場中に設け、この磁束制御体の形状を、径方向に
粗密のある環状の強磁性体から構成することにより、均
一磁場発生用マグネット装置を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均一磁場発生に好
適なマグネットの構造、特に広い開口部を有し被検者に
開放感を与えるとともに、高い磁場均一度を有する開放
型の磁気共鳴イメージング(磁気共鳴イメージング)装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、磁気共鳴イメージング装置などの
均一磁場を利用する医療用装置において、高解像度を実
現する観点から、より高い磁界を発生するため超電導磁
石が用いられている。一方、近年、検査時の被検者の開
放感や安心感、及び、医者から被検者へのアクセス性に
優れた開放型磁気共鳴イメージングが提案されている
(特開平9−271469、米国pat.874,88
0等)。これらの中で、特に磁場強度を高め、漏洩磁場
を低減するため、超電導コイルと強磁性体を組合わせた
構造をとることが提案されている。
【0003】しかし、ここで記されている強磁性体は、
均一度空間側の表面形状が凹凸で、かつ、一体型で構成
されるため、強磁性体が磁気飽和に達しない。このた
め、強磁性体の均質性等の点から、設計どうりの均一度
を実現することが難しい。また、さらに高い磁場強度を
得るためには、積極的に強磁性体を飽和させて使用する
ことも重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、強磁
性体をほぼ飽和状態で使用し、高い磁場強度と均一度、
重量の軽減を実現した均一磁場発生用マグネット装置を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、均一磁場領域
を挟んで対向して配置された一対の超電導コイルまたは
超電導コイル群及び強磁性材から成る一対の磁束制御体
群を具備した均一磁場用マグネットにおいて、この超電
導磁束制御体が複数の環状体の組合わせであり、かつそ
れらの中心軸が、磁場中心軸上にあることを特徴とした
均一磁場発生用マグネット装置を実現する。
【0006】さらに、上記複数の磁束制御体の各断面形
状が矩形であり、その軸方向の高さが同じで、径方向の
幅と隣り合う磁束制御体の径方向の隙間のうち両方また
は一方が異なることにより径方向に粗密配置をとること
で、均一磁場発生用マグネット装置を実現する。
【0007】さらに上記の磁束制御体が、一部及び全て
が、超電導コイル動作用の冷媒中にあることにより、均
一磁場発生用マグネット装置を実現する。
【0008】さらに上記の磁束制御体が、一部及び全て
が、超電導コイル動作用の冷凍機に熱接続されたれるこ
とにより、均一磁場発生用マグネット装置を実現する。
【0009】さらに、上記磁束制御体が、電磁鋼板など
の薄板形状の磁性体を螺旋状の巻くことにより矩形の断
面を構成する請求項1記載の均一磁場発生用マグネット
装置を実現する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の均一磁場用マグネ
ット装置の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】図1は第一の実施の形態を示す全体斜視
図、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。まず、
均一磁場空間の磁場中心を原点とする3次元直交座標系
を定義する。図2における上下方向をz軸、左右方向を
x軸、紙面に対し垂直な方向をy軸とする。
【0012】図1において、超電導マグネット装置は、
上下方向に均一な静磁場の空間である均一磁場領域1を
挟んで、上下に所定間隔をもって冷却容器2、2'が対向
して配置されており、構造部材3により支持される。こ
の超電導マグネット装置は、医者が被検者にアクセスが
容易な、開放型磁気共鳴イメージングに適した構造であ
る。
【0013】冷却容器2、2'は、図2に示すように均一
磁場領域1に静磁場を発生させる主超電導コイル6、
6'、漏洩磁場を低減するためのシールド超電導コイル
7、7'、環状の磁束制御体群81、82、83、84、
85、86、87および磁束制御体群81'、82’、8
3’、84’、85’、86’、87’を含み、液体ヘ
リウム等の冷媒9で満たされおり、所定の超電導特性が
得られる温度に冷却保持したり、磁束制御体群を恒温状
態に保つ役割を果たす。
【0014】図示していないが、冷却容器2、2’の断
熱空間は、真空で、輻射シールドを設け、熱侵入を低減
している。シールド超電導コイル7、7’は、主超電導
コイル6、6’とは逆方向の電流を通電し、均一空間に
対して主超電導コイル6、6’より遠くに配置する。す
なわち、シールド超電導コイル7、7’の設置間隔は、
主超電導コイル6、6’の設置間隔より大きくなってい
る。
【0015】一般にシールド超電導コイル7、7’の直
径を、主超電導コイル6、6’の直径より大きくするこ
とにより、漏洩磁場に対する効果を高める。超電導マグ
ネットと磁束制御体群81ないし87’、磁束制御体群
81’ないし87’は、非磁性の構造支持体10により非
磁性のボルトなどで連結され一体化する。構造支持体11
は、熱侵入と強度を最適化した寸法をもち、構造支持体
10を冷却容器2、2’の外部と連結している。
【0016】本発明では、磁束制御体群とコイルを組み
合わせることにより、高い均一度を実現している。図2
に示す如く磁束制御体群の中心軸と、超電導コイルの中
心軸は、共にz軸となるように配置することが重要であ
る。
【0017】また、均一磁場領域1を形成するために、
磁束制御体群の環状形状を決定する必要がある。この形
状は、コンピュータ上で磁場計算を行い、均一磁場を実
現する最適計算を行って決定する。
【0018】ここでは計算手法についての詳細は省く
が、均一磁場空間上の磁場成分を、球面調和関数により
展開し、磁場強度を現す展開係数を除く係数の絶対値和
を最適計算の目的関数にとり、その目的関数がほぼゼロ
をとるように形状と配置を決定する。
【0019】本発明では、各々の環状磁束制御体の均一
度空間側となるz軸高さを同じにし、径方向の長さ、隣
り合う磁束制御体の隙間を調整することにより均一度を
達成している。均一空間側のz軸高さが同じなため、磁
気共鳴イメージング装置に必要な傾斜磁場コイル(g
c)コイルや、均一度微調整のための部品などの配置が
しやすくなる。
【0020】磁束制御体は、均一磁場空間を実現するた
め、磁気的特性が均一である必要がある。一般的に、純
度の高い鉄などの強磁性材料は、製作時の鋳造や加工の
段階で、磁気的特性の不均一になることがあり、製品時
に設計どうりの均一度を実現することが難しい。
【0021】そこで、磁束制御体を、プレス加工などで
磁気的特性が平面方向に均一な電磁鋼板などを用いて製
作することがよい。図3に電磁鋼板を螺旋状に巻いた環
状の磁束制御体12の斜視図、図4にその断面を示す。
電磁鋼板13を螺旋状に径方向に厚みを作ることで、磁束
制御体12を製作することが可能である。
【0022】均一度空間は、上下方向に静磁場を作る必
要があるので、径方向に対して垂直方向に均一な磁気的
特性を有する電磁鋼板を用いた磁束制御体は最適であ
る。また、図3の断面図に示すように1枚1枚の電磁鋼
板の形状が縦長なため、形状に起因する反磁化係数が小
さく、磁気飽和しやすくなり、効率良く強磁性材を使用
することができる。
【0023】図5は、本発明装置の第二の実施の形態を
示す縦断面図である。磁束制御体群81ないし87を磁
性特性があり、かつ構造材としても機能する磁性板14に
固定する。磁性板14に、溝を設けることにより、磁束制
御体群81ないし87を正確に配置できるので、磁場均
一度を正確に制御することができる。また、これによ
り、均一度空間に近い磁性材のみ、磁気特性の均一な磁
性鋼板をもちいることにより、コスト低減や、支持強度
が向上する。
【0024】図6は、本発明装置の第三の実施の形態を
示す縦断面である。磁束制御体81ないし87、磁束制
御体81’ないし87’を低温容器2、2’の外に出す
ことにより、位置の調整が可能になるため、環境温度の
変化に合わせて調整することができる。
【0025】上記までの説明に於いては、冷媒を用いた
冷却容器を使用しているが、冷凍機で直接に超電導コイ
ル、磁性体を冷却する伝導冷却方式を使用すれば、冷媒
を収納する容器は不要になる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
強磁性体を有効に飽和させて使用することにより、高い
磁場と均一度が実現し、体積も小さくできるので重量も
軽くできる。また、表面積が増えるので、恒温室内で利
用するときには、温度調節が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる超電導マグネット装置の実施例
の全体斜視図である。
【図2】第一の実施の形態の断面図である。
【図3】磁性材リング実施例の斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】第二の実施の形態の断面図である。
【図6】第三の実施の形態の断面図である。
【符号の説明】
1…均一磁場発生領域、2…冷却容器、3…構造部材、4…
z軸、5…y軸、6、6'…主超電導コイル、7、7’…シー
ルド超電導コイル、8…磁束制御体群、9…冷媒、10…構
造支持体、11…構造支持体、12…磁束制御体、13…電磁
鋼板、14…磁性板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 6/00 ZAA H01F 7/22 ZAAZ (72)発明者 和田山 芳英 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 角川 滋 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 竹島 弘隆 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 (72)発明者 榊原 健二 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 (72)発明者 本名 孝男 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 Fターム(参考) 4C096 AA01 AB32 AB47 AD08 CA02 CA16 CA25 CA52

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 均一磁場領域を挟んで対向して配置され
    た一対の超電導コイルと、前記超電導コイルの発生する
    磁束を通すように配置された、一対の強磁性の磁束制御
    体群とを備え、前記磁束制御体群は複数の環状体の組合
    わせであり、かつ、それらの中心軸が、中心磁場に平行
    な磁場中心軸上に位置することを特徴とする均一磁場発
    生用マグネット装置。
  2. 【請求項2】 前記複数の磁束制御体の各断面形状が矩
    形であり、その軸方向の高さがほぼ同じで、径方向の幅
    あるいは隣り合う磁束制御体に対する径方向の隙間のう
    ち両方または一方が異なり、径方向に粗密配置されてい
    る請求項1記載の均一磁場発生用マグネット装置。
  3. 【請求項3】 前記磁束制御体が、電磁鋼板などの薄板
    形状の強磁性体を螺旋状に巻くことにより矩形の断面を
    構成する請求項1記載の均一磁場発生用マグネット装
    置。
  4. 【請求項4】 前記磁束制御体の一部及び全てが、超電
    導コイル冷却用の冷媒中にある請求項1ないし3のうち
    いずれか1項に記載の均一磁場発生用マグネット装置。
  5. 【請求項5】 前記磁束制御体の一部及び全てが前記超
    電導コイル冷却用の冷凍機と熱接続されている請求項1
    から3のうちいずれか1項に記載の均一磁場発生用マグ
    ネット装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし6のうちいずれか1項に
    記載の均一磁場発生用マグネットを用いた磁気共鳴イメ
    ージング装置。
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