JP2002065259A - 核酸標識方法および核酸標識用キット - Google Patents

核酸標識方法および核酸標識用キット

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JP2002065259A
JP2002065259A JP2000254172A JP2000254172A JP2002065259A JP 2002065259 A JP2002065259 A JP 2002065259A JP 2000254172 A JP2000254172 A JP 2000254172A JP 2000254172 A JP2000254172 A JP 2000254172A JP 2002065259 A JP2002065259 A JP 2002065259A
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nucleic acid
primer
nucleotides
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JP2000254172A
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Shinya Watanabe
慎哉 渡辺
Junichi Imai
順一 今井
Kunihiro Hongo
邦広 本郷
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Nippon Gene KK
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MICRO DIAGNOSTIC KK
Nippon Gene KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 逆転写酵素反応によるmRNAからの第一鎖
cDNA合成の際に、第一鎖cDNAへの標識物質の取
り込み効率が従来より大幅に向上する核酸標識方法およ
び核酸標識キットの提供。 【解決手段】 基質であるデオキシリボヌクレオチド三
リン酸の溶液中で所定のメッセンジャーRNAから逆転
写酵素反応により第一鎖相補的DNAを合成する際に、
プライマーとして、4種のヌクレオチドからなり4ヌク
レオチド以上45ヌクレオチド以下の長さを持つランダ
ムヌクレオチドオリゴマーの5’端に、単位標識物質分
子が複数個連なってなる標識物質を予め結合させたもの
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばDNAチッ
プによる検体の遺伝子発現レベルの測定などに用いられ
る、試料核酸への標識方法および核酸標識用キットに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ルミネセンス(蛍光、燐光)を測
定対象とする非放射性標識物質を用いた極微量のハイブ
リダイゼーションシグナル検出法を包含する技術とし
て、DNAマイクロアレイあるいはDNAチップが開発
されている。
【0003】この新技術は、DNAをガラス基盤上に極
微量ずつ配列させたものからなり、基盤上にオリゴヌク
レオチドを合成したもの(以下、オリゴアレイと記す)
と、2本鎖DNAであるPCR産物を使う場合(以下、
PCR産物アレイと記す)とに大別される。
【0004】この新技術は、発現遺伝子の解析を行える
ものである。例えば、調べたい検体の核酸を標識してお
き、これらDNAチップの各スポットに振りかければ配
列が一致している部分に結合するので、その標識物質の
強度測定により特定の遺伝子の発現レベルを測定するこ
とができる。この場合、対象とする試料はメッセンジャ
ーRNA(以下、mRNAと記す)である。
【0005】従って、検体である核酸試料には予め標識
しておく必要がある。オリゴアレイの場合は、標識方法
として2本鎖DNAを鋳型とし、RNAポリメラーゼを
用いて標識済リボヌクレオチド三リン酸の存在下で合成
して標識物質を取り込んだRNAを使用している。ま
た、PCR産物アレイの場合は、RNAを鋳型とし、逆
転写酵素とオリゴデオキシミジンヌクレオチド(オリゴ
dT)を用いて標識済ヌクレオチド三リン酸の存在下で
合成して標識物質を取り込んだ第一鎖相補的DNA(以
下、cDNAと記す)を使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、この新
技術における遺伝子発現レベルの測定では、対象とする
試料は、mRNAである。しかし、オリゴアレイの場合
は、二本鎖DNAを標識するための出発材料とする場合
もあるため、mRNAから二本鎖DNAへ変換する過
程、即ち二本鎖cDNAの合成を行う必要も生じる。
【0007】一方、PCR産物アレイの場合は、標識す
るための出発材料としてmRNAのみを必要とする。即
ち、標識された核酸試料を得るために、オリゴアレイの
場合ではPCR産物アレイの場合よりも必要工程数が多
くなる。
【0008】さらに、オリゴアレイでは、標識物質とし
てビオチンが用いられるため、最終的な標識物測定の前
に、予めビオチンに結合するアビジンにルミネセンスを
発する色素を結合させたアビジン−色素複合体との反応
が必要となる。
【0009】また、PCR産物アレイでは、標識のため
に蛍光色素を共有結合したデオキシウリジン三リン酸が
用いられているため、蛍光色素は核酸中に直接取り込ま
れて蛍光を発することができる。このように、標識物質
そのものを比較しても、オリゴアレイでは、PCR産物
アレイの場合より必要工程数が多くなる。
【0010】以上のように、mRNAを出発材料として
標識から最終的な物理量測定の工程へ至る間、必要とす
る工程が少ないほど出発材料の情報を正確に反映できる
という点から、現行のオリゴアレイよりもPCR産物ア
レイの方が優位である。
【0011】しかしながら、製作効率に注目した場合、
オリゴヌクレオチドは自動化して合成できるのに対し、
PCR産物を自動化して得ることはできないため、オリ
ゴアレイが優位となる。さらに、アレイを構成する塩基
配列の正確性に着目した場合も、自動化化学反応に基づ
く合成オリゴヌクレオチドは、酵素反応に基づくPCR
産物の塩基配列に比較して明らかに優位である。
【0012】以上のことから、現行のオリゴアレイとP
CR産物アレイでは、互いに比較すると優位性と劣性が
それぞれに見て取れる。そこで、これら2種の異なるア
レイ技術の優位性だけを統合する方法論が望まれる。ア
レイ技術において正確な測定結果を得るためには、ま
ず、アレイ上に供される試料に関して、検体である出発
材料の情報をより正確に反映されたものとすることと共
に、高い効率で標識することが重要である。
【0013】そこで、現状では、PCR産物アレイで用
いられている工程数の少ない標識方法、即ちRNAを鋳
型として逆転写酵素とオリゴdTを用いて標識済ヌクレオ
チド三リン酸の存在下で第一鎖cDNAを合成する方法
を基本として、より高い効率で試料核酸が標識物質を取
り込めるように改良された核酸標識方法を得ることが最
も望ましいと思われる。このような高い効率で試料核酸
への標識が行える標識方法が得られれば、DNAマイク
ロアレイ用に限らず、ハイブリダイゼーションを利用し
たDNA、RNAの解析、判定一般に有効であることは
言うまでもない。
【0014】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、逆転
写酵素反応によるmRNAからの第一鎖cDNA合成の
際に、第一鎖cDNAへの標識物質の取り込み効率が従
来より大幅に向上する核酸標識方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る核酸標識方法は、基質
であるデオキシリボヌクレオチド三リン酸の溶液中で所
定のメッセンジャーRNAから逆転写酵素反応により第
一鎖cDNAを合成する際に、プライマーとして、4種
のヌクレオチドからなり4ヌクレオチド以上45ヌクレ
オチド以下の長さを持つランダムヌクレオチドオリゴマ
ーの5’端に、単位標識物質分子が複数個連なってなる
標識物質を予め結合させたものを用いることを特徴とす
るものである。
【0016】また、請求項2に記載の発明に係る核酸標
識方法は、請求項1に記載の核酸標識方法において、前
記デオキシヌクレオチド三リン酸溶液は、標識物質を結
合したデオキシヌクレオチド三リン酸が混在することを
特徴とするものである。
【0017】さらに、請求項3に記載の発明に係る核酸
標識方法は、請求項2に記載の核酸標識方法において、
前記プライマーに結合させた標識物質と、前記デオキシ
ヌクレオチド三リン酸に結合させた標識物質とが同一物
質であることを特徴とするものである。
【0018】また、請求項4に記載の発明に係る核酸標
識方法は、請求項2に記載の核酸標識方法において、前
記プライマーに結合させた標識物質と、前記デオキシヌ
クレオチド三リン酸に結合させた標識物質とが互いに異
なる物質であることを特徴するものである。
【0019】さらにまた、請求項5に記載の発明に係る
核酸標識方法は、請求項4に記載の核酸標識方法におい
て、前記プライマーに結合させた標識物質と、前記デオ
キシヌクレオチド三リン酸に結合させた標識物質とが、
蛍光共鳴エネルギー移動現象を生ずる蛍光色素物質であ
ることを特徴とするものである。
【0020】また、請求項6に記載の発明に係る核酸標
識キットは、プライマーと、逆転写酵素と、デオキシヌ
クレオチド三リン酸溶液とを備えた試薬キットであっ
て、前記プライマーは、4種のヌクレオチドからなり4
ヌクレオチド以上45ヌクレオチド以下の長さを持つラ
ンダムヌクレオチドオリゴマーの5’端に、単位標識物
質分子が複数個連なってなる標識物質を予め結合させた
ものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の核酸標識方法において
は、mRNAから逆転写酵素反応によって第一鎖cDN
Aを合成する際にプライマーとして用いるランダムヌク
レオチドオリゴマーを、予めその5’端に標識物質を結
合させておいたものとすることによって、該プライマー
の3’端から生合成が開始されて得られたcDNAに
は、必ず標識物質が取り込まれることとなるため、従来
の核酸標識方法に比べて簡便な工程でありながらも格段
に高い標識効率を得ることができる。しかも、本発明に
おける標識物質は、単位標識物質分子が複数個連なって
なるものであるため、一個の標識物質分子のみが標識さ
れる場合よりも検出感度が高く、本発明の方法によって
標識された核酸試料を用いれば、各種核酸解析や判定等
の測定精度を向上させることができる。
【0022】特に、マイクロアレイ(DNAチップ)用
の検体試料への標識においては、本発明の標識方法によ
れば、少ない工程数のまま従来のマイクロアレイ用標識
方法に比べて標識効率が格段に向上し、本発明の方法に
より標識された検体試料を用いてマイクロアレイによる
遺伝子発現レベルの測定を行えば、より正確な測定結果
を得ることができる。
【0023】その他、本発明の核酸標識方法は、例え
ば、サザンブロット、ノーザンブロット等の核酸ブロッ
トとハイブリダイゼーションさせるプローブの標識に利
用することも可能である。また、本発明による標識方法
での出発材料となるmRNAは、組織あるいは細胞、組
織培養液または細胞培養液、体液、生検材料など、種々
の検体を起原としたものが対象となりうる。
【0024】これらの検体からは、例えばグアニジウム
イソチアネート法やアシッドグアニジウム・フェノール
−クロロホルム法などの、従来から一般的にRNA抽出
方法として用いられている容易な方法でRNAを抽出す
れば良い。このように検体から抽出したRNAから、オ
リゴdT樹脂、オリゴdTセルロールカラム等を用いて、m
RNAを選択的に濃縮した試料を得ることができる。
【0025】また、請求項2に記載したように、プライ
マーへの標識物質結合だけでなく、基質であるデオキシ
ヌクレオチド三リン酸の溶液中にも、標識物質を結合し
たデオキシヌクレオチド三リン酸を混在しておけば、合
成された第一鎖cDNAには、プライマー以外の部分に
も直接標識物質が取り込まれるため、最終的にルミネセ
ンスを測定する場合、全体的に検出感度が向上し、測定
精度の向上も可能となる。
【0026】なお、プライマー側の標識物質とデオキシ
ヌクレオチド三リン酸側の標識物質とは、検出操作の簡
便性と効率性および検出感度の観点から、請求項3に記
載したように同じ物質を用いることが望ましい。但しこ
の場合、標識物質は、基質としてcDNA中に取り込ま
れ得るデキシヌクレオチド三リン酸にも結合させておく
ものであるため、逆転写酵素反応およびハイブリダイゼ
ーションに関して障害的に働くことのないものを選択す
る必要がある。
【0027】一方、請求項4に記載した如く、プライマ
ー側とデオキシヌクレオチド三リン酸側とで互いに異な
る標識物質を用いるものとすれば、もちろんデオキシヌ
クレオチド三リン酸側用には逆転写酵素反応およびハイ
ブリダイゼーションに関して障害的に働くことのないも
のを選択する必要があるが、プライマー側に関してみれ
ば、逆転写酵素反応およびハイブリダイゼーションへの
影響に左右されることなく、単位標識物質分子当たりで
高い検出強度を現すもの、例えば蛍光標識物質であれば
標識物質一分子当たりの蛍光強度が強いものなど、より
検出精度を向上させ得るものを広い範囲から選んで用い
ることができる。
【0028】また、互いに異なる標識物質を用いること
によって、最終的に検出精度を高めることができる場合
もある。例えば、異なる2種の蛍光色素が、蛍光共鳴エ
ネルギー移動(FRET:fluorescence resonant ener
gy transfer )現象を生ずる関係にあるものを標識物質
に用いれば、たとえ一種の蛍光色素のみを標識した場合
では検出が困難であった検体でも、前記FRET現象を
利用して、同一励起波長で異なった波長にエネルギーを
移転させてS/N比を向上させることにより微細なシグ
ナルを検出可能とすることもできる。
【0029】さらに、本発明による核酸標識方法を用い
る試薬キット、即ち、プライマーとして、5’端に標識
物質が結合された4種のヌクレオチドからなり4ヌクレ
オチド以上45ヌクレオチド以下の長さを持つランダム
ヌクレオチドオリゴマーと、基質溶液と、逆転写酵素を
備えたセットを核酸標識用キットとして製造しておけ
ば、マイクロアレイによる遺伝子発現レベルの測定の際
などに、試料検体から抽出、調整したmRNAを用い
て、標識された第一鎖cDNAが簡便に合成でき、測定
工程全体の簡略化が図れると共に、従来のものより正確
な測定結果が得られるものである。
【0030】なお、本発明におけるプライマーとしての
ランダムヌクレオチドオリゴマーとは、基質となる4種
のデオキシリヌクレオチド三リン酸(dATP,dGT
P,dCTP,TTP:総称してdNTP)がランダム
な順序で結合したヌクレオチドの集合体であり、例え
ば、ホスホロアミダイド法を用いた自動DNA合成機で
容易に合成できる。この自動合成の際に標識物質のアミ
ダイドを用いることによってヌクレオチドの5’端に標
識物質を容易に共有結合で導入することができる。
【0031】なお、本発明のヌクレオチドオリゴマー
は、その長さをプライマーとして実用に適した4〜45
ヌクレオチドとするが、6〜18ヌクレオチドのものを
選択することが好ましい。これは、数の増加に伴い、シ
グナル強度とS/N比が低下するためである。
【0032】また、本発明に用いられる標識物質として
は、例えば、HEX,TET,Cy3,Cy5,Cy5.
5,B−FAM,JOE,6−ROX,Cascade Blue,T
exasRed,Rhodamine,Rhodamine green,Rhodamine re
d,Rhodamine 6G,6-TAMRA,5-TMRIA,Alexa 430,Alex
a 488,Alexa 594,Bodipy R6G 等の蛍光色素およびビ
オチン等の比色素系物質など、従来から標識用色素とし
て用いられているものが広く使用可能である。特に、蛍
光色素を使用する場合は、蛍光を検出するためのスキャ
ナのフィルター特性に適合する特性を持つ物質を選択す
る必要が生じることから、現状のスキャナの普及度合い
を考慮するとCy3およびCy5を用いるのが好まし
い。
【0033】本発明における逆転写酵素反応では、市販
の逆転写酵素およびそれに付随する緩衝液が使用可能で
あり、これら製品の付随するプロトコールに従って反応
操作を行えばよい。なかでも、モロニーマウス白血病
(Moloney murine leukemia )ウイルス由来逆転写酵素
が好適である。
【0034】また、この逆転写酵素反応の基質としてd
NTPを用いるが、基質溶液中に標識済dNTPを混在
させてcDNA合成反応を行う場合に、この標識済dN
TPとして標識済デオキシウリジン三リン酸(dUT
P)を用いる場合は、チミジン三リン酸(TTP)の濃
度を他の3種のヌクレオチド三リン酸(dATP,dC
TP,dGTP)に比して減らすことになる。dAT
P,dCTP,dGTP濃度は、市販の逆転写酵素に付
随するプロトコール通りとし、TTPの濃度を他の1/
10以下にすることが可能であり、好ましくは1/50〜1
/50000が良い。
【0035】ランダムプライマーの濃度は、合成する第
一鎖cDNAの平均ヌクレオチド長に応じて増減するこ
とができる。一般に、ランダムプライマーの濃度が高い
ほど、第一鎖cDNAの平均長は短くなる。好ましく
は、mRNA 1μgあたり4nmolプライマーが良い。し
かし、この量はmRNAの精製度に依るため、必ずしも
至適ではなく、その場合、4nmol以上使用すれば良い。
【0036】逆転写酵素反応後に、取り込まれなかった
ランダムプライマーと基質dNTPとを除去すること
が、非特異的ハイブリダイゼーションを防止することに
なる。例えば、スピンカラム等の機器を用いてランダム
プライマーとdNTPが含まれる低分子分画を除去する
ことが必要である。この場合、限界分子量を3000〜
100000程度に選定することが可能であり、分子量
10000以下を除去することが望ましい。
【0037】
【実施例】本発明の一実施例として、それぞれプライマ
ーとしてランダムヘキサマーの5’末端に蛍光標識物質
Cy3を2分子連ねて結合させたものを用い、同じ蛍光
標識物質Cy3を標識したdNTPを混在させた基質d
NTPの溶液中(条件A)、および標識済dNTP無し
の基質dNTP溶液中(条件B)において、ヒト正常線
維芽細胞由来のmRNAから逆転写酵素反応により第一
鎖cDNAを合成した場合を以下に示す。
【0038】なお、上記条件Aおよび条件Bに加え、対
照として、従来から一般的に行われている方法と同様に
プライマーに標識なしのランダムヘキサマーを用い、基
質dNTPに蛍光標識物質Cy3を結合させた標識済d
NTPを混在させた溶液を用いた場合を条件Xとして同
時に検討した。
【0039】まず、検体用mRNAは、ヒト正常線維芽
細胞からトリゾル試薬(ライフテックオリエンタル社
製、#15596-026 )を用いて抽出した全RNAから、Po
ly(A)Pure キット(Ambion社製、#1915)を用いてポリ
アデニル酸(ポリ(A) )+RNAを抽出して得た。この
RNAは、 上記3つの条件別用にそれぞれ3本の試験
管(条件別に試験管X,試験管A,試験管Bと記す)内
に 250ngずつ分注しておく。
【0040】さらにこれらの試験管に、対応するプライ
マー水溶液を加えた。即ち試験管Xへはランダムヘキサ
マー1nmol/μL水溶液、試験管Aおよび試験管B
へがCy3−Cy3−ランダムヘキサマー1nmol/
μL水溶液をそれぞれ1μLずつ加え、ポリ(A) +RN
Aと混合して各15μL水溶液に調整した。これら各試
験管内のプライマー、RNA混合水溶液は、70℃で1
0分間熱変性させた後、氷上に素早く移して5分間冷却
し、以下の試薬を加え、逆転写酵素反応による第一鎖c
DNA合成を行った。
【0041】上記3つの試験管に、ジチオスレイトール
(ライフテックオリエンタル社製:SuperScript II、#
18064-014 付属品)を3μL,5×バッファー(ライフ
テックオリエンタル社製:SuperScript II、#18064-01
4 付属品)を6μL,デオキシヌクレオチド三リン酸混
合液(0.2mMデオキシアデニン三リン酸、0.2m
Mデオキシグアニン三リン酸、0.2mMデオキシシト
シン三リン酸、540nMチミジン三リン酸)を1.5
μL,逆転写酵素(ライフテックオリエンタル社製:Su
perScript II、#18064-014 付属品)を2μL、それぞ
れ加えた。
【0042】最後に、上記条件A,B,Xに従って試験
管Aおよび試験管Xには標識済ヌクレオチド溶液として
Cy3−デオキシウリジン三リン酸(Cy3−dUT
P)1mM溶液を1.5μLずつ、また試験管Bには標
識済ヌクレオチドに代わる未標識ヌクレオチド溶液とし
てチミジン三リン酸(TTP)1mM溶液を1.5μL
加え、最終反応溶液をそれぞれ30μLとし、42℃で
60分間保温して逆転写反応を行った。
【0043】反応後、各試験管に1M水酸化ナトリウム
−20mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液を
1.5μL、10%ドジテル硫酸ナトリウムを3μL加
え、65℃、10分間加温してRNAを分解した。
【0044】その後、各試験管内の反応液から濾過フィ
ルタ MicropureEZ( Millipore社製、#42530 )を用い
て酵素を除去し、次いで濾過フィルタ Microcon-30( M
illipore社製、#42410 )を用いたスピンカラム法によ
り各反応液中のデオキシヌクレオチド三リン酸、プライ
マー、および約60塩基以下の短いcDNAを除去し、
それぞれ5μL以下に濃縮した。
【0045】これら3つの濃縮されたcDNAを含む溶
液を、それぞれ純水を加えて100μLに調整し、0.
50μLずつスライドガラス上にスポットし、風乾し
た。これらスライドガラス上の、前記条件X,条件A,
条件Bに対応する各スポット1,スポット2,スポット
3に対し、蛍光検出スキャナ(Axon社製、GenePix4000
A)を用いて波長532nmにおける蛍光シグナルを測
定し、各スポットの全ピクセルの蛍光強度の平均値を算
出した。結果を図1の棒グラフに示す。
【0046】図1からも明らかなように、従来方法に相
当する条件X、即ち基質dNTPに標識済dNTPを混
在させただけでmRNAから逆転写酵素反応で第一鎖c
DNAを合成した場合(スポット1)にくらべ、条件
B、即ち、プライマーに標識物質(標識物質分子二連結
合)を結合させたものを用いてcDNAを合成した場合
(スポット3)では、測定された蛍光強度は3倍近く強
くなっている。
【0047】これは、プライマー側に標識物質を結合さ
せておくことにより、cDNAの合成の際に標識物質が
非常に高い効率で確実に取り込まれたためであり、また
各標識物質が、通常一分子単位で用いられている標識物
質を二分子連ねたものを用いたことが蛍光強度の向上に
寄与したものと思われる。本実施例では、単位標識物質
分子を二分子連ねたものを用いた場合を示したが、さら
に三分子以上と増やしていけば、蛍光感度のさらなる向
上が期待できる。
【0048】また、条件A、すなわち、プライマー側だ
けでなく基質dNTP側にも標識済dNTPを混在させ
ておいた場合には、双方の標識物質が同一物質であるこ
とも加わって検出強度は格段に向上している。
【0049】以上の如く、本実施例において得られるc
DNAは、高い効率で標識物質を取り込んでおり、また
出発材料であるmRNAから逆転写反応で合成されたも
のであるため、検体出発材料からの工程数が少なく、そ
の情報が正確に反映されたものであることから、特にD
NAマイクロアレイ上に供される試料として優れたもの
である。
【0050】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の核酸標識
方法によれば、従来得られなかった高い標識効率で試料
核酸に標識物質を取り込ませることができると共に、よ
り高い検出強度が期待できるものである。従って、この
本発明の標識方法で得られた標識核酸を用いれば、例え
ば合成ヌクレオチドを用いたマイクロアレイに対して従
来の検出装置を用いても充分容易に測定可能なハイブリ
ダイゼーションシグナルが得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による核酸標識方法で標識さ
れたcDNAの蛍光強度測定値を対照と比較して示した
棒グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/532 G01N 33/58 A 33/58 37/00 102 37/00 102 C12N 15/00 A (72)発明者 渡辺 慎哉 東京都港区白金台3−18−8−804 (72)発明者 今井 順一 東京都目黒区平町2丁目4番3号202 (72)発明者 本郷 邦広 富山県富山市曙町6−34−306 Fターム(参考) 2G045 DA12 DA13 DA14 FB07 FB12 GC15 2G054 CA22 EA03 4B024 AA20 CA04 CA12 FA01 HA19 4B029 AA07 AA23 FA12 4B063 QA13 QQ42 QQ53 QR32 QR36 QR62 QS03 QS25 QS36 QX02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基質であるデオキシリボヌクレオチド三
    リン酸の溶液中で所定のメッセンジャーRNAから逆転
    写酵素反応により第一鎖相補的DNAを合成する際に、
    プライマーとして、4種のヌクレオチドからなり4ヌク
    レオチド以上45ヌクレオチド以下の長さを持つランダ
    ムヌクレオチドオリゴマーの5’端に、単位標識物質分
    子が複数個連なってなる標識物質を予め結合させたもの
    を用いることを特徴とする核酸標識方法。
  2. 【請求項2】 前記デオキシヌクレオチド三リン酸溶液
    は、標識物質を結合したデオキシヌクレオチド三リン酸
    が混在することを特徴とする請求項1に記載の核酸標識
    方法。
  3. 【請求項3】 前記プライマーに結合させた標識物質
    と、前記デオキシヌクレオチド三リン酸に結合させた標
    識物質とが同一物質であることを特徴とする請求項2に
    記載の核酸標識方法。
  4. 【請求項4】 前記プライマーに結合させた標識物質
    と、前記デオキシヌクレオチド三リン酸に結合させた標
    識物質とが互いに異なる物質であることを特徴とする請
    求項2に記載の核酸標識方法。
  5. 【請求項5】 前記プライマーに結合させた標識物質
    と、前記デオキシヌクレオチド三リン酸に結合させた標
    識物質とが、蛍光共鳴エネルギー移動現象を生ずる蛍光
    色素物質であることを特徴とする請求項4に記載の核酸
    標識方法。
  6. 【請求項6】 プライマーと、逆転写酵素と、デオキシ
    ヌクレオチド三リン酸溶液とを備えた試薬キットであっ
    て、 前記プライマーは、4種のヌクレオチドからなり4ヌク
    レオチド以上45ヌクレオチド以下の長さを持つランダ
    ムヌクレオチドオリゴマーの5’端に、単位標識物質分
    子が複数個連なってなる標識物質を予め結合させたもの
    であることを特徴とする核酸標識用キット。
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