JP2002061576A - 往復動式圧縮機 - Google Patents

往復動式圧縮機

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JP2002061576A
JP2002061576A JP2000247065A JP2000247065A JP2002061576A JP 2002061576 A JP2002061576 A JP 2002061576A JP 2000247065 A JP2000247065 A JP 2000247065A JP 2000247065 A JP2000247065 A JP 2000247065A JP 2002061576 A JP2002061576 A JP 2002061576A
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JP
Japan
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piston
hole
valve
suction valve
reciprocating compressor
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Withdrawn
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JP2000247065A
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English (en)
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Kenji Nakajima
健次 中嶋
Junichi Sakurai
順一 櫻井
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Keihin Corp
Original Assignee
Keihin Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】往復動式圧縮機において、ピストンに設けられ
た突起部に挿入された吸入弁の回り止めを図る。 【解決手段】吸入弁98に設けられた貫通孔108は、
円部110と、切欠溝112とを有する。ピストン16
の一端面から突出形成された突起部90は、円部110
に通された後に圧潰され、その側周壁部の一部が変形し
て切欠溝112に圧入される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復動式圧縮機に
関し、一層詳細には、ピストンの一端面に配置されて流
体が通過する通路の出口を開閉自在に覆う吸入弁が回転
動作することを抑制することが可能な往復動式圧縮機に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空調装置は、通常、凝縮器、蒸
発器および圧縮機等を備えている。外部から導入された
エアは、蒸発器へと送られ、該蒸発器のチューブ内を流
通する液状冷媒と互いに熱交換される。その結果、エア
は潜熱を奪われることにより冷却され、この冷却された
エアが自動車の車内冷房に供される。一方、液状冷媒は
気化してガス状冷媒となる。
【0003】ガス状冷媒は、次いで、圧縮機により高温
・高圧状態にされる。その後、凝縮器へと送気され、該
凝縮器にて冷却されることにより凝縮して液状冷媒とな
る。ガス状冷媒が圧縮機により高温・高圧状態にされる
ことにより、凝縮器における該ガス状冷媒の凝縮が比較
的容易に起こるようになる。そして、液状冷媒が蒸発器
に送液された後、上記のサイクルが繰り返されることに
より自動車の車内冷房が連続的に行われる。
【0004】上記したような作用を営む圧縮機として
は、往復動式圧縮機が例示されるが、その中でも特に、
斜板に嵌合されたピストンが前記斜板の回転動作に伴い
シリンダ内を往復動作する、いわゆる斜板式圧縮機が広
汎に使用されている。
【0005】ここで、一般的な斜板式圧縮機が備えるピ
ストンの長手方向概略断面図を図12に示すとともに、
その正面図を図13に示す。このピストン1において
は、円盤部2の中央部から一端部側に偏在して吸気口3
a、3bが設けられており、これら吸気口3a、3b
は、吸入弁4により開閉される。
【0006】なお、吸入弁4には真円状の貫通孔5(図
13参照)が設けられており、該貫通孔5には、円盤部
2の中央部から突出形成された円柱状の突起部6が通さ
れている。そして、この突起部6は、その側周壁部が貫
通孔5の直径に比して大きく拡径されるまで圧潰されて
いる。すなわち、吸入弁4は、圧潰された突起部6に押
圧されており、これにより該吸入弁4の円盤部2からの
抜け止めがなされている。
【0007】吸気口3a、3bを通過したガス状冷媒
は、該吸気口3a、3b内の圧力とシリンダ7における
圧縮室7a内の圧力とに所定の差が生じた場合に吸入弁
4の開閉部4a(図13参照)を押し開く。これにより
ガス状冷媒が圧縮室7a(図12参照)に導入される。
【0008】なお、この際、吸入弁4の開閉部4aは、
2本のアーム部8a、8b(図13参照)が撓むことに
より円盤部2から離間する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、突起部6を
圧潰して吸入弁4を円盤部2に連結する場合、吸入弁4
の回転動作を充分に抑制することができない、すなわ
ち、吸入弁4の回り止めが充分になされないという不具
合がある。
【0010】吸入弁4が回転動作した場合には、例え
ば、吸気口3a、3bが吸入弁4の開閉部4aから露呈
し、このために吸気口3a、3bがシリンダ7の圧縮室
7aと常時連通するようになる。このような事態が生じ
た場合、ガス状冷媒の一部が吸気口3a、3b内を逆流
するので、圧縮室7a内に導入されたガス状冷媒を効率
よく圧縮することができなくなる等の不都合を招く。
【0011】また、吸気口3a、3bが露呈していない
場合であっても、開閉部4aが所定の位置から位置ずれ
を起こしていると、アーム部8a、8bの撓み量が互い
に異なるようになる。円盤部2からの開閉部4aの離間
距離が、例えば、吸気口3a側と吸気口3b側とで異な
るようになるからである。
【0012】アーム部8a、8bの撓み量が互いに異な
ると、該アーム部8a、8bに作用する応力も互いに異
なるようになる。すなわち、撓み量が大きいアーム部に
作用する応力は大きく、かつ撓み量が小さいアーム部に
作用する応力は小さい。このような状態が続くと、大き
な応力が作用するアーム部の方が早期に損傷することが
懸念される。
【0013】要するに、吸入弁4が回転動作してアーム
部8a、8bの撓み量が互いに異なるようになった場
合、該吸入弁4の耐久性が低下してしまうという懸念が
惹起される。
【0014】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、吸入弁の回転動作を抑制することが可能
であり、このために圧縮室内に導入されたガス状冷媒を
効率よく圧縮することができるとともに吸入弁の耐久性
が低下することを回避することが可能な往復動式圧縮機
を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、シリンダ内をピストンが往復動作する
ことにより流体を圧縮する往復動式圧縮機において、前
記ピストンは、前記流体が通過して該ピストンの端面に
出口が形成された通路を有するとともに前記端面に突起
部が設けられており、前記突起部は、前記通路の出口を
開閉自在に覆う吸入弁に形成された貫通孔に通され、か
つ圧潰されることにより該突起部の側周壁部が変形して
前記貫通孔が有する圧入部に圧入されていることを特徴
とする。
【0016】突起部の側周壁部を変形させて貫通孔の圧
入部に圧入することにより、吸入弁が該突起部に堅牢に
保持される。すなわち、吸入弁の回転動作が著しく抑制
される。したがって、通路の出口が露呈することがない
ので、圧縮室内に導入されたガス状冷媒を効率よく圧縮
することができる。また、吸入弁がピストンから略均等
に離間するので、吸入弁の耐久性が低下することを回避
することができる。
【0017】貫通孔の形状の好適な例としては、前記突
起部が通る円部と、前記円部の周部に形成された切欠溝
とを有するものを挙げることができる。この場合、前記
切欠溝が圧入部として作用する。
【0018】または、貫通孔を多角形状としてもよい。
この場合、多角形状の頂点部が圧入部として作用する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る往復動式圧縮
機つき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して
詳細に説明する。
【0020】本実施の形態に係る往復動式圧縮機を図1
に示す。この往復動式圧縮機10においては、所定の角
度で傾斜した状態で回転軸12に固定された円盤状の斜
板14が回転動作することに伴い、該斜板14に嵌合さ
れたピストン16がシリンダ18内を往復動作する。す
なわち、この往復動式圧縮機10はいわゆる斜板式圧縮
機であり、自動車用空調装置においてガス状冷媒(流
体)を蒸発器から凝縮器へと送気するためのものとして
好適に使用される。
【0021】この往復動式圧縮機10のケーシングは、
リアハウジング20、リアシリンダブロック22、フロ
ントシリンダブロック24およびフロントハウジング2
6が図1における左方からこの順序で連結されてなり、
リアハウジング20とリアシリンダブロック22との
間、およびフロントシリンダブロック24とフロントハ
ウジング26との間にはバルブプレート28、28がそ
れぞれ介装されている。そして、両バルブプレート2
8、28とリアシリンダブロック22およびフロントシ
リンダブロック24とにより、図1のII−II線矢視
概略断面図である図2に示すように、72°の角度で互
いに離間した5本のシリンダ18がケーシングの内部に
形成される。勿論、ピストン16は全てのシリンダ18
内に配置されている。
【0022】フロントハウジング26(図1参照)の一
端面の中央には中空円筒部30が突出形成されており、
該中空円筒部30の外周壁部には電磁クラッチ32がベ
アリング33を介して回転自在に嵌合されている。ま
た、リアシリンダブロック22には導入ポート34およ
び導出ポート36が形成されており、かつリアシリンダ
ブロック22とフロントシリンダブロック24には、流
路38を介して導出ポート36に連通する室40が形成
されている。
【0023】一方、リアシリンダブロック22、フロン
トシリンダブロック24およびフロントハウジング26
には貫通孔42、44、46がそれぞれ形成されてお
り、回転軸12はこれら貫通孔42、44、46を通る
ことによりケーシング内に収容されている。なお、リア
シリンダブロック22およびフロントシリンダブロック
24の各貫通孔42、44と回転軸12との間にはラジ
アルベアリング48、48がそれぞれ介装されており、
回転軸12はこれらラジアルベアリング48、48を介
してリアシリンダブロック22およびフロントシリンダ
ブロック24に回転自在に支持されている。また、フロ
ントハウジング26の貫通孔46と回転軸12との間
は、シール部材50によりシールがなされている。
【0024】フロントハウジング26の貫通孔46は、
該貫通孔46に比して小径な小貫通孔52を介して中空
円筒部30の中空部と連通している。回転軸12の一端
部は、この小貫通孔52を通って中空円筒部30の外部
に突出することによりフロントハウジング26に支持さ
れている。この突出した回転軸12の一端部にはボルト
穴54が形成されており、該ボルト穴54に螺着された
ボルト56により回転軸12と電磁クラッチ32を構成
するハブ58とが互いに連結されている。
【0025】回転軸12の中央部には第1〜第4ディス
ク60、62、64、66が嵌合されており、かつ第1
ディスク60と第2ディスク62との間には第1スラス
トベアリング68、第2ディスク62と第3ディスク6
4との間には斜板14、第3ディスク64と第4ディス
ク66との間には第2スラストベアリング70がそれぞ
れ介装されるとともに回転軸12に嵌合されている。
【0026】斜板14の円盤部は、リアシリンダブロッ
ク22、フロントシリンダブロック24および両バルブ
プレート28、28により形成されるシリンダ18内ま
で延在している。そして、この円盤部には半球状シュー
72、72を介してピストン16が嵌合されており、後
述するように、斜板14が回転動作することに伴ってピ
ストン16がシリンダ18内を往復動作する。
【0027】ピストン16は、図3に示されるように、
略左右対称である。このピストン16は、第1および第
2円盤部74a、74bと、該第1および第2円盤部7
4a、74bからそれぞれ延在してテーパ状に縮径した
テーパ部76、76および半球状溝77、77が形成さ
れたシュー受部78、78を有する第1および第2吸気
部80a、80bと、シュー受部78、78同士を連結
する連結部82とが一体的に構成されてなる。なお、第
1吸気部80aと第2吸気部80bとは、シュー受部7
8、78同士が互いに対向しかつ所定の間隔で離間する
ように配置されている。
【0028】連結部82の最大高さは、斜板14の逃げ
を確保するために、各シュー受部78の半球状溝77の
図3における中心よりやや下方となるように設定されて
いる。
【0029】この連結部82からは、図4に示すよう
に、第1および第2円盤部74a、74bの直径方向と
平行にウェブ部84が突出しており、該ウェブ部84
は、第1円盤部74aから第2円盤部74bに亘って橋
架されている。すなわち、第1および第2円盤部74
a、74bはウェブ部84を介して互いに一体的に連結
されており、これによりピストン16の剛性が向上され
ている。
【0030】ウェブ部84の高さは、連結部82と同一
高さに設定されている(図3参照)。ウェブ部84を連
結部82に比して高くした場合、斜板14の逃げを確保
するために、該ウェブ部84におけるシュー受部78、
78同士の間の部位を切り欠く等の後加工が必要となる
からである。
【0031】第1および第2円盤部74a、74bの側
周壁部には溝86、86がそれぞれ設けられており、該
溝86、86にはリング状シール部材88、88が嵌合
されている。第1および第2円盤部74a、74bの厚
みは、このリング状シール部材88、88よりやや大き
い程度である。
【0032】そして、第1および第2円盤部74a、7
4bの略中央部には、突起部90が突出形成されてい
る。
【0033】また、図3およびピストン16の正面図で
ある図5から諒解されるように、第1および第2吸気部
80a、80bのテーパ部76、76の上方から第1お
よび第2円盤部74a、74bに至るまで、ケーシング
(図1参照)の導入ポート34から導入されたガス状冷
媒をバルブプレート28、28に形成された吐出口9
2、92へと送気するための通路である吸気口94a〜
94cが貫通形成されている。この場合、テーパ部7
6、76を避けることなく吸気口94a〜94cを設け
ることができるので、該吸気口94a〜94cの形状や
位置を自在に設定することができる。したがって、テー
パ部76、76を設けることに伴ってガス状冷媒のシリ
ンダ18への吸入効率が低下することはない。
【0034】吸気口94a〜94cの第1および第2円
盤部74a、74b側の開口、すなわち、ガス状冷媒の
出口には、吸入弁98が開閉自在に配設されている(図
5参照)。この吸入弁98は、図6に示すように、吸気
口94a〜94cを開閉する開閉部100と、該開閉部
100の両下端部から延在する第1および第2アーム部
102a、102bと、該第1および第2アーム部10
2a、102bを互いに連結する連結部104と、該連
結部104から立ち上がった固定部106とを有し、こ
のうち、固定部106には貫通孔108が形成されてい
る。
【0035】この貫通孔108は、突起部90が通る円
部110と、該円部110の周部に円弧状に形成された
複数個の切欠溝112とからなる。この切欠溝112に
は、突起部90の側周壁部の一部が該切欠溝112の形
状に対応する形状に変形した状態で圧入されている。す
なわち、切欠溝112は、突起部90の変形した側周壁
部が圧入される圧入部である。なお、突起部90は、そ
の頂部から圧潰されることにより変形される。また、突
起部90は、変形した側周壁部が貫通孔108の全体を
覆うように圧潰されている。
【0036】このように、突起部90の変形した側周壁
部の一部が切欠溝112に圧入されるとともに貫通孔1
08の全体を覆うことにより、吸入弁98が第1および
第2円盤部74a、74bに堅牢に保持される。すなわ
ち、吸入弁98の第1および第2円盤部74a、74b
からの抜け止めがなされるとともに該吸入弁98の回り
止めがなされる。
【0037】第1および第2吸気部80a、80b(図
3参照)のシュー受部78、78の半球状溝77、77
には半球状シュー72、72の半球部が収容されてお
り、該半球状シュー72、72の平面部同士は斜板14
の円盤部を介して対向している(図1参照)。すなわ
ち、斜板14は2個の半球状シュー72、72で挟持さ
れており、これによりピストン16が斜板14に嵌合さ
れている。
【0038】両バルブプレート28、28には、上記し
たように、シリンダ18内で圧縮されたガス状冷媒を吐
出するための吐出口92、92がそれぞれ形成されてい
る。各シリンダ18とフロントハウジング26およびリ
アハウジング20の各室40とは、これら吐出口92、
92により連通されている。
【0039】各吐出口92の形状は、突起部90に比し
てやや大きく形成されている。すなわち、ピストン16
が死点に到達した場合、図1に示すように、突起部90
の頂部は遊びがある状態で吐出口92に挿入される。
【0040】吐出口92の室40側の開口には、図7に
示すように、吐出弁116が配置されている。この吐出
弁116は、円環部118と、該円環部118からそれ
ぞれ延在してかつ互いに72°離間した5本の枝部12
0と、各枝部120の先端部に形成された円状部122
とを一体的に有する。円環部118の中央には大貫通孔
124が形成されており、フロントハウジング26側の
吐出弁116における該大貫通孔124には回転軸12
が通されている。また、該大貫通孔124の周囲にはピ
ン125(図1参照)を通すためのピン孔126が設け
られている。一方、各円状部122は、各シリンダ18
の吐出口92を開閉自在に覆っている。
【0041】吐出弁116の外側には、図8に示すよう
に、吐出弁用バルブストッパ128が配置されている。
該吐出弁用バルブストッパ128は、小円環部130
と、該小円環部130からそれぞれ延在して互いに72
°離間した5本の枝部132とを一体的に有し、吐出弁
116の枝部120(図7参照)は、バルブプレート2
8、28と吐出弁用バルブストッパ128の枝部132
との間に介装されている。
【0042】この枝部132は、吐出弁116の枝部1
20と円状部122との境界に対応する位置からフロン
トハウジング26またはリアハウジング20の室40側
に指向して屈曲し、かつ円状部122の端部に対応する
位置からバルブプレート28、28側に指向して屈曲し
た屈曲部134を有する(図1および図8参照)。吐出
弁116の円状部122(図7参照)がバルブプレート
28、28から離間した際、該円状部122は、吐出弁
用バルブストッパ128(図8参照)の屈曲部134に
当接して支持される。
【0043】また、吐出弁用バルブストッパ128の枝
部132同士は、該枝部132と一体的な大円環部13
6により互いに全て連結されている。この大円環部13
6には、ボルト孔138が設けられた複数個の固定部1
40が突出形成されている。すなわち、フロントシリン
ダブロック24とフロントハウジング26との間または
リアシリンダブロック22とリアハウジング20との間
に介装された吐出弁用バルブストッパ128は、ボルト
孔138を通ってフロントハウジング26からリアハウ
ジング20までを連結する図示しないボルトによりケー
シングに位置決め固定される。
【0044】さらに、吐出弁用バルブストッパ128の
小円環部130には、吐出弁116の円環部118のピ
ン孔126に対応する位置にピン孔140が設けられて
いる。これら両ピン孔126、140を通ったピン12
5(図1参照)がフロントシリンダブロック24とフロ
ントハウジング26、またはリアシリンダブロック22
とリアハウジング20に螺着されることにより、吐出弁
116がケーシングに位置決め固定される。
【0045】リアハウジング20の各室40およびフロ
ントハウジング26の各室40は流路38に連通してお
り、かつ該流路38は導出ポート36に連通している。
すなわち、各室40は流路38を介して導出ポート36
に連通しており、導入ポート34から往復動式圧縮機1
0内に導入されたガス状冷媒は、シリンダ18内にてピ
ストン16で圧縮された後、吐出口92、室40を介し
て導出ポート36から導出される。
【0046】フロントハウジング26の中空円筒部30
の外周壁部に嵌合された電磁クラッチ32(図1参照)
は、回転軸12を回転動作または回転停止させるための
機器である。
【0047】この電磁クラッチ32は、上記したハブ5
8と、該ハブ58にボルト141を介して連結されたク
ラッチ板142と、ロータ144と、該ロータ144内
に収容された電磁石コイル146とを具備して構成され
ている。このうち、ロータ144の側周壁部には図示し
ないベルトが装着されており、該ベルトは自動車用内燃
機関(図示せず)を構成する駆動軸(図示せず)にも装
着されている。また、ハブ58には、上記したように、
ボルト56を介して回転軸12が連結されている。
【0048】電磁石コイル146への通電または通電停
止は、自在に設定することができる。後述するように、
電磁石コイル146へ通電または通電停止することによ
り、回転軸12を回転動作または停止させることができ
る。
【0049】本実施の形態に係る往復動式圧縮機10は
基本的には以上のように構成されるものであり、次にそ
の作用について説明する。
【0050】吸入弁98は、以下のようにしてピストン
16に保持される。
【0051】第1および第2円盤部74a、74bの略
中央部に突出形成された突起部90には、貫通孔108
の円部110が通され、その後、突起部90が頂部から
圧潰される。この圧潰により突起部90の側周壁部が拡
径され、この拡径された側周壁部により貫通孔108の
全体が覆われる。これにより、吸入弁98の第1および
第2円盤部74a、74bからの抜け止めがなされる。
【0052】その一方で、突起部90の側周壁部のう
ち、貫通孔108の切欠溝112の近傍は、圧潰される
ことに伴って該切欠溝112の形状に対応する形状に塑
性変形する。すなわち、突起部90の側周壁部の一部が
切欠溝112に圧入され、これにより吸入弁98が回転
動作することが著しく抑制される。換言すれば、吸入弁
98の回り止めがなされる。
【0053】ピストン16は、次いで、半球状シュー7
2、72を介して斜板14に嵌合され、シリンダ18内
に配置される。上記したように吸入弁98の回り止めが
なされているので、この際に該吸入弁98が位置ずれを
起こすことはない。したがって、吸気口94a〜94c
が露呈することもない。
【0054】往復動式圧縮機10は、以下のように動作
する。
【0055】まず、図示しない自動車用内燃機関を付勢
することにより該自動車用内燃機関を構成する駆動軸
(図示せず)を回転動作させる。その結果、前記ベルト
の作用によりロータ144(図1参照)が回転付勢され
る。
【0056】ここで、電磁石コイル146への通電がな
されていない場合、クラッチ板142がロータ144に
引き寄せられることはない。このため、クラッチ板14
2とロータ144とが互いに離間した状態を維持するの
で、ロータ144が回転動作することに伴いクラッチ板
142およびハブ58が回転動作することはない。した
がって、回転軸12が回転動作することはない。
【0057】一方、電磁石コイル146に通電がなされ
た場合、磁力の発生により該電磁石コイル146にクラ
ッチ板142が引き寄せられ、その結果、クラッチ板1
42がロータ144に当接する。したがって、ロータ1
44の回転動作に伴ってクラッチ板142およびハブ5
8が回転動作し、これにより回転軸12が回転動作され
る。この場合、斜板14も回転動作し、これによりピス
トン16がシリンダ18内を往復動作するに至る。
【0058】図示しない蒸発器から導入ポート34を介
してケーシングの内部に導入されたガス状冷媒は、図示
しない供給通路を介してシリンダ18内に供給され、次
いで、ピストン16の第1および第2円盤部74a、7
4bに設けられた吸気口94a〜94cに到達して貯留
される。そして、ピストン16が後退動作することによ
り、第1または第2円盤部74a、74bとバルブプレ
ート28、28の間、すなわち、圧縮室が負圧となる
と、吸入弁98が圧力差によってガス状冷媒により押圧
される。
【0059】この押圧により、該吸入弁98の第1およ
び第2アーム部102a、102b(図5および図6参
照)が該第1および第2アーム部102a、102bと
連結部104との連結箇所を起点として撓み、その結
果、開閉部100が第1または第2円盤部74a、74
bから離間する。すなわち、吸気口94a〜94cが開
放される。
【0060】この際、開閉部100における第1アーム
部102a側の端部の離間距離と第2アーム部102b
側の端部の離間距離は互いに略等しい。すなわち、第1
および第2アーム部102a、102bの撓み量は互い
に略等しい。吸気口94a、94cにおけるガス状冷媒
の押圧力は互いに略等しく、かつ吸気口94bから導出
されるガス状冷媒は開閉部100の略中央部を押圧する
ので、結局、開閉部100が略均等に押圧されるからで
ある。
【0061】このように、第1および第2アーム部10
2a、102bの撓み量が互いに略等しいので、両者に
作用する応力も互いに略等しくなる。すなわち、いずれ
か一方のアーム部に応力が偏って作用することがないの
で、吸入弁98の耐久性が低下することを回避すること
ができる。
【0062】吸気口94a〜94c(図1参照)を通過
したガス状冷媒は、圧縮室に導入された後、該圧縮室内
でピストン16の前進動作により圧縮される。例えば、
図1においては、リアシリンダブロック22側の圧縮室
にガス状冷媒が導入されるとともにフロントシリンダブ
ロック24側の圧縮室で圧縮されたガス状冷媒が導出さ
れている状態が示されている。
【0063】この圧縮に伴い、圧縮室内の圧力が吸気口
94a〜94c内の圧力に比して高くなるので、吸入弁
98の開閉部100が第2円盤部74bに指向して押圧
される。その結果、吸気口94a〜94cが開閉部10
0により閉塞される。
【0064】すなわち、図1に示される場合、圧縮室に
てガス状冷媒が圧縮される際、第2円盤部74bに形成
された吸気口94a〜94cは吸入弁98の開閉部10
0により閉塞されている。このため、ガス状冷媒が吸気
口94a〜94cを逆流することがないので、ガス状冷
媒を効率よく圧縮することができる。
【0065】なお、ピストン16が死点に到達した際、
突起部90の頂部は吐出口92に遊びがある状態で挿入
される。このため、突起部90の頂部のためにピストン
16の死点を後退させる必要はない。したがって、突起
部90が存在することにより圧縮効率が低下することは
ない。
【0066】図1において、シリンダ18のフロントシ
リンダブロック24側の圧縮室に供給され、かつ圧縮さ
れたガス状冷媒は、バルブプレート28に設けられた吐
出口92から室40へ導出される。この際、吐出弁11
6がガス状冷媒に押圧されて開き、吐出弁用バルブスト
ッパ128の枝部132の屈曲部134に当接する。
【0067】ガス状冷媒は、さらに、流路38を介して
導出ポート36へと送気され、次いで、該導出ポート3
6から図示しない凝縮器へと送気される。
【0068】なお、図1において、フロントシリンダブ
ロック24側の圧縮室に供給されたガス状冷媒が圧縮さ
れて室40へと導出される一方で、次に圧縮・導出され
るガス状冷媒がリアシリンダブロック22側の圧縮室に
導入される。
【0069】そして、斜板14が1/2回転動作する
と、斜板14の円盤部は、図9に示されるように図1と
逆位相となる。その結果、ピストン16が図9における
右端へと移動し、これに伴いリアシリンダブロック22
側の圧縮室に導入されたガス状冷媒が圧縮・導出される
とともに、次に圧縮・導出されるガス状冷媒がフロント
シリンダブロック24側の圧縮室に導入される。すなわ
ち、1本のシリンダ18においては、回転軸12が1回
転することに伴ってガス状冷媒の吸入・排気が営まれ
る。
【0070】勿論、第1円盤部74a側の吸入弁98に
おいても、上記第2円盤部74b側の吸入弁98と同様
に抜け止めおよび回り止めがなされているので、該吸入
弁98の耐久性が低下することが回避されるとともに圧
縮効率が低下することが回避される。
【0071】なお、上記した実施の形態においては、円
部110の周部に切欠溝112を設けて該切欠溝112
を圧入部としているが、図10および図11に示すよう
に、吸入弁98に三角形状の貫通孔180や四角形状の
貫通孔182を設けるようにしてもよい。図示しない
が、それ以上の多角形状の貫通孔であってもよいことは
勿論である。これらの場合、貫通孔180、182の湾
曲された頂点部に突起部90の側周壁部が圧入され、こ
れにより吸入弁98の回り止めがなされる。すなわち、
各頂点部が圧入部となる。
【0072】また、この実施の形態では、第1および第
2円盤部74a、74bの略中央部から突起部90を突
出形成しているが、第1および第2円盤部74a、74
bの略中央部に穴部を設け、該穴部に円柱状部材を嵌入
することにより突起部90としてもよい。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る往復
動式圧縮機によれば、吸入弁の貫通孔に圧入部を設け、
かつピストンの一端面に設けられた突起部を圧潰するこ
とにより該突起部の側周壁部を変形させて前記圧入部に
圧入するようにしている。このため、吸入弁の回転動作
が著しく抑制される。すなわち、該吸入弁の回り止めを
なすことができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る往復動式圧縮機の縦断面概
略構成図である。
【図2】図1のII−II線矢視概略断面図である。
【図3】図1の往復動式圧縮機が有するピストンの要部
拡大一部縦断面図である。
【図4】図3に示すピストンの概略平面図である。
【図5】図3に示すピストンの概略正面図である。
【図6】前記ピストンに連結された吸入弁の概略正面図
である。
【図7】吐出口の開口に配置された吐出弁の全体構成説
明図である。
【図8】図7の吐出弁が開いた際に該吐出弁の円状部に
当接して支持する吐出弁用バルブストッパの全体構成説
明図である。
【図9】シリンダ内においてピストンが図1と逆位相と
なった状態を示す要部縦断面図である。
【図10】別の形状の貫通孔を有する吸入弁の全体概略
正面図である。
【図11】また別の形状の貫通孔を有する吸入弁の全体
概略正面図である。
【図12】従来技術に係る斜板式圧縮機が備えるピスト
ンの長手方向概略断面図である。
【図13】図12のピストンの概略正面図である。
【符号の説明】
10…往復動式圧縮機 12…回転軸 14…斜板 16…ピストン 18…シリンダ 28…バルブプレ
ート 32…電磁クラッチ 34…導入ポート 36…導出ポート 72…半球状シュ
ー 74a、74b…円盤部 76…テーパ部 80a、80b…吸気部 84…ウェブ部 90…突起部 92…吐出口 94a〜94c…吸気口(通路) 98…吸入弁 100…開閉部 102a、102
b…アーム部 108、180、182…貫通孔 110…円部 112…切欠溝(圧入部) 116…吐出弁 128…吐出弁用バルブストッパ 142…クラッチ
板 144…ロータ 146…電磁石コ
イル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダ内をピストンが往復動作すること
    により流体を圧縮する往復動式圧縮機において、 前記ピストンは、前記流体が通過して該ピストンの端面
    に出口が形成された通路を有するとともに前記端面に突
    起部が設けられており、 前記突起部は、前記通路の出口を開閉自在に覆う吸入弁
    に形成された貫通孔に通され、かつ圧潰されることによ
    り該突起部の側周壁部が変形して前記貫通孔が有する圧
    入部に圧入されていることを特徴とする往復動式圧縮
    機。
  2. 【請求項2】請求項1記載の往復動式圧縮機において、
    前記貫通孔は、前記突起部が通る円部と、前記円部の周
    部に形成された切欠溝とを有することを特徴とする往復
    動式圧縮機。
  3. 【請求項3】請求項1記載の往復動式圧縮機において、
    前記貫通孔が多角形状であることを特徴とする往復動式
    圧縮機。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100383385C (zh) * 2003-10-30 2008-04-23 乐金电子(天津)电器有限公司 往复式压缩机的阀门冲击缓冲装置
KR100855349B1 (ko) * 2002-05-20 2008-09-04 엘지전자 주식회사 왕복동식 압축기의 흡입밸브 고정장치
KR101261136B1 (ko) 2010-12-16 2013-05-06 한라비스테온공조 주식회사 압축기
JP2017082601A (ja) * 2015-10-23 2017-05-18 住友重機械工業株式会社 弁構造、無潤滑リニア圧縮機、および極低温冷凍機

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