JP2002060956A - ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液 - Google Patents

ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液

Info

Publication number
JP2002060956A
JP2002060956A JP2000249877A JP2000249877A JP2002060956A JP 2002060956 A JP2002060956 A JP 2002060956A JP 2000249877 A JP2000249877 A JP 2000249877A JP 2000249877 A JP2000249877 A JP 2000249877A JP 2002060956 A JP2002060956 A JP 2002060956A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
urethane foam
surfactant
palladium
electroless plating
strongly acidic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000249877A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiji Koyama
恵司 小山
Akihisa Hosoe
晃久 細江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2000249877A priority Critical patent/JP2002060956A/ja
Publication of JP2002060956A publication Critical patent/JP2002060956A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 無駄に消費されるパラジウムの量を抑えて、
パラジウムの全消費量をこれまでよりも少なくすること
ができる、新規なウレタンフォーム表面の無電解めっき
方法と、この無電解めっき方法に使用される、パラジウ
ムの全消費量を抑制するために有効な前処理液とを提供
する。 【解決手段】 無電解めっき方法は、ウレタンフォーム
の表面を界面活性剤によって親水化し、触媒付けを行っ
たのち活性化し、次いで無電解めっきによって金属膜を
形成するにあたり、触媒付けを行う前のウレタンフォー
ムの表面を、強酸性溶液で洗浄する。前処理液は、強酸
性溶液中に、親水化のためのノニオン系界面活性剤とカ
チオン系界面活性剤とを含有させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウレタンフォーム
の表面に、無電解めっきによって金属膜を形成するため
の無電解めっき方法と、それに用いる前処理液とに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ二次電池は、高信頼性でかつ小
型化、軽量化が可能であるため、ポータブル機器用の小
型のものから、産業用、大形設備用の大形のものまで、
各種装置の電源として多用されている。上記アルカリ二
次電池の電極を構成する電極用基材として、現在は、ニ
ッケルなどの導電性材料の粉末を焼結した多孔質の焼結
体が、一般的に使用されている。
【0003】しかし近年、例えば電気自動車やハイブリ
ッド自動車、あるいは電動工具などの電源として、これ
までよりもさらに急速な充放電が可能で、しかも高容量
化されたアルカリ二次電池が求められており、それに対
処すべく種々の構造を有する電極用基材が盛んに開発さ
れている。そのような新たな電極用基材の一例として、
連続気孔構造を有する多孔率の大きなポリウレタンの多
孔体(ウレタンフォーム)を芯材とし、その表面(外観
上の表面だけでなく、連続気孔を構成する内表面をも含
む全表面)を無電解めっき、さらに電気めっきによって
金属化(主にニッケル化)したのち、芯材を熱分解によ
って除去して製造される、3次元網目状構造を有する基
材(発泡メタルという)が、電池の高容量化に適したも
のとして実用化されつつある。
【0004】そして、かかる発泡メタルの空隙中に、例
えば正極用の活物質である水酸化ニッケル粒子を含むペ
ーストを充てんしたニッケル電極は、発泡メタルの多孔
率が、焼結体のそれよりも飛躍的に大きいために、体積
容量密度をこれまでよりも著しく増加させることがで
き、その結果、これまでにない高容量の電池が実現可能
であると考えられる。上記発泡メタルを製造するための
具体的な方法としては、まずウレタンフォームの表面
を、界面活性剤で処理して親水化することで、当該表面
に濡れ性を付与する(親水化工程)。
【0005】次いで、親水化された表面を塩酸水溶液で
処理することにより、次工程である触媒付け−活性化工
程で当該表面に供給されるキャタライザー中の塩素イオ
ン濃度の低下を抑制する(塩酸処理工程)。次にこの表
面に、触媒付けおよび活性化の工程を経て、触媒金属と
してのパラジウム(Pd)を析出させる(触媒付け−活
性化工程)。詳しくは、パラジウムイオン(Pd2+)の
周囲が多数のスズイオン(Sn2+)と塩素イオン(Cl
-)とでこの順に取り囲まれた形になっていると考えら
れているパラジウムコロイドを含有するキャタライザー
に、塩酸処理工程まで経過したウレタンフォームを浸漬
して、その表面に上記パラジウムコロイドを吸着させた
後(触媒付け)、塩酸、硫酸、ホウフッ酸などを含むア
クセラレータに浸漬してスズイオンと塩素イオンとを除
去することで、上記ウレタンフォームの表面にパラジウ
ムを析出させる(活性化)。
【0006】そして無電解めっき液に浸漬して無電解め
っきを行うことで、ウレタンフォームの表面に金属膜を
形成する(無電解めっき工程)。この後、この金属膜を
陰極として、電気めっきによってさらに金属膜を厚付け
して金属化し、そしてウレタンフォームを熱分解によっ
て除去すると、前述した発泡メタルが製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記の製造方
法では、触媒としてのパラジウムの全消費量が、無電解
めっきに最低限必要な、ウレタンフォーム表面への析出
量に比べて著しく大きくなって、地球上にごく少量しか
存在しないパラジウムを無駄に消費する量が多くなると
いう問題を生じることが明らかとなった。また白金ほど
ではないにしろ高価なパラジウムを多量に消費すること
になるため、このことが、無電解めっきのコストを圧迫
する原因ともなっていた。
【0008】またこれらの問題は、特にその孔径が小さ
く、かつ気孔率が大きい、したがって単位体積当たりの
表面積が大きいウレタンフォームほど深刻であった。本
発明の主たる目的は、無駄に消費されるパラジウムの量
を抑えて、パラジウムの全消費量をこれまでよりも少な
くすることができる、新規なウレタンフォーム表面の無
電解めっき方法を提供することにある。また本発明の他
の目的は、上記無電解めっき方法に使用される、パラジ
ウムの全消費量を抑制するために有効な前処理液を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課
題を解決するために、発明者らは、前述した親水化から
無電解めっきまでの各工程でどのような現象が生じて、
パラジウムが過剰に消費されるのかを検証した。その結
果、ウレタンフォームの表面が、前記触媒付け−活性化
工程で、酸性溶液であるキャタライザーと接触した際
に、当該表面に存在する比較的低分子量のウレタン成分
が液中に溶出し、液中のパラジウムコロイドと凝集して
沈殿することが、パラジウムの消費量を増大させる大き
な原因の一つであることが判明した。
【0010】そこで発明者らは、上記溶出、沈殿の発生
を抑制するために、触媒付けを行う前のウレタンフォー
ムの表面から、比較的低分子量のウレタン成分をあらか
じめ除去することを検討した結果、強酸性溶液で洗浄す
るのが有効であることを見出し、本発明を完成するに至
った。したがって請求項1記載の発明は、ウレタンフォ
ームの表面を界面活性剤によって親水化し、触媒付けを
行ったのち活性化し、次いで無電解めっきによって金属
膜を形成する方法であって、触媒付けを行う前のウレタ
ンフォームの表面を、強酸性溶液で洗浄する工程を含む
ことを特徴とするウレタンフォーム表面の無電解めっき
方法である。
【0011】なお強酸性溶液での洗浄工程は、前記従来
の工程のうち触媒付け以前の任意の時点に、別個に挿入
してもよいが、界面活性剤による親水化と同時に行うよ
うにするのが、工程数を少なくできるため好ましい。し
たがって請求項2記載の発明は、強酸性溶液による洗浄
を、界面活性剤による親水化と同時に行うことを特徴と
する請求項1記載のウレタンフォーム表面の無電解めっ
き方法である。
【0012】また発明者らが、親水化工程で使用する界
面活性剤について検討したところ、以下の事実が明らか
となった。すなわち従来法では、親水化工程でウレタン
フォームの表面に濡れ性を付与する界面活性剤として、
アニオン系界面活性剤を使用しているが、かかるアニオ
ン系界面活性剤を単独で使用したのでは、ウレタンフォ
ームの表面がアニオン性となるため、最外層の塩素イオ
ンの作用によってアニオンとして挙動するパラジウムコ
ロイドの、ウレタンフォーム表面への吸着性が低下す
る。
【0013】そこでカチオン系界面活性剤を併用して、
パラジウムコロイドの吸着性を高めることが行われる
が、かかる併用系では、アニオン系界面活性剤との反応
によって、カチオン系界面活性剤による上記吸着性向上
の効果が阻害されるという問題がある。また、これを防
止するためにカチオン系界面活性剤を過剰に添加した場
合には、アニオン系界面活性剤による濡れ性付与の効果
が阻害されるという別の問題がある。
【0014】そこで界面活性剤の組み合わせについて検
討したところ、ウレタンフォームに濡れ性を付与するた
めの界面活性剤として、アニオン系界面活性剤に代えて
ノニオン系界面活性剤を使用すると、(a) 当該ノニオン
系界面活性剤は、アニオン系界面活性剤のようにカチオ
ン系界面活性剤と反応しないため、カチオン系界面活性
剤による、パラジウムコロイドの吸着性を向上する効果
を阻害しない、(b) それゆえカチオン系界面活性剤とし
て、これまでよりもパラジウムコロイドを吸着する能力
の小さいものを使用したり、あるいはその使用量を減ら
したりすることができるため、パラジウムコロイドの、
ウレタンフォーム表面への吸着量を少なくして、パラジ
ウムの消費量をさらに抑制できることを見出した。
【0015】したがって請求項3記載の発明は、親水化
に用いる界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤とカ
チオン系界面活性剤とを併用することを特徴とする請求
項1または2記載のウレタンフォーム表面の無電解めっ
き方法である。また発明者らは、前記のように強酸性溶
液による洗浄と、界面活性剤による親水化とを同時に行
うことができ、しかもパラジウムの全消費量を抑制する
ために有効に機能する前処理液について検討した結果、
強酸性溶液に、上述したノニオン系界面活性剤とカチオ
ン系界面活性剤とを加えた1液の構成が好ましいことを
見出した。
【0016】したがって請求項4記載の発明は、ウレタ
ンフォームの表面を強酸性溶液で洗浄するとともに、界
面活性剤によって親水化し、触媒付けを行ったのち活性
化し、次いで無電解めっきによって金属膜を形成する無
電解めっき方法に用いる前処理液であって、強酸性溶液
中に、親水化のためのノニオン系界面活性剤とカチオン
系界面活性剤とを含有させたことを特徴とする前処理液
である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。 〈強酸性溶液による洗浄と界面活性剤による親水化工
程、およびそれに用いる前処理液〉本発明の無電解めっ
き方法においては、まずウレタンフォームの表面を、強
酸性溶液を用いて洗浄して、比較的低分子量のウレタン
成分を除去するとともに、界面活性剤を用いて親水化す
る。
【0018】この2つの工程は別々に行っても良いが、
前述したように同時に行うのが、工程数を少なくできる
ため好ましく、その際には、強酸性溶液に界面活性剤を
加えた1液の前処理液で処理をするのが好ましい。上記
強酸性溶液としては、例えば硫酸等の強酸の水溶液が好
適に使用される。前処理液の全量に対する強酸の濃度
は、2〜16体積%であるのが好ましい。強酸の濃度が
この範囲未満では、低分子量のウレタン成分を洗浄、除
去する効果が不十分になったり、あるいは十分な洗浄効
果を得るのに長時間を要するため、無電解めっきの生産
性が低下したりするおそれがある。逆に濃度がこの範囲
を超えた場合には、より分子量の大きなウレタン成分ま
で多量に溶出して、ウレタンフォームが肉痩せする結
果、所定の孔径や気孔率、強度等を有する発泡メタルを
製造できないおそれがある。
【0019】また界面活性剤としては、従来同様にアニ
オン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤との組み合わ
せを採用することもできるが、前記のようにノニオン系
界面活性剤とカチオン系界面活性剤との組み合わせがよ
り好適に採用される。このうちアニオン系界面活性剤と
しては、例えば脂肪酸石けん、N−アシルアミノ酸およ
びその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペ
プチド等のカルボン酸塩系;アルキルスルホン酸塩、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスル
ホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩系;硫
酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ア
ルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等
の硫酸エステル塩系;およびアルキルリン酸塩、アルキ
ルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩
等のリン酸エステル塩系;などの、従来公知の種々のア
ニオン系界面活性剤がいずれも使用可能である。アニオ
ン系界面活性剤は1種単独で使用される他、2種以上を
併用することもできる。
【0020】またノニオン系界面活性剤としては、例え
ばアルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエ
ーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキ
シエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンを親油基と
するブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピルアルキルエーテル等のエーテル型;グリセリン
エステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエ
ステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエ
ステルのポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエス
テル型;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリ
セリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタン
エステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エス
テル等のエステル型;および脂肪酸アルカノールアミ
ド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン、アミンオキシド等の含窒素型;な
どの、従来公知の種々のノニオン系界面活性剤が、いず
れも使用可能である。かかるノニオン系界面活性剤も1
種単独で使用される他、2種以上を併用することもでき
る。
【0021】さらにカチオン系界面活性剤としては、例
えば脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩、芳
香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩等
の、従来公知の種々のカチオン系界面活性剤が、いずれ
も使用可能である。かかるカチオン系界面活性剤も1種
単独で使用される他、2種以上を併用することもでき
る。カチオン系界面活性剤は、併用する他の界面活性剤
の種類に応じて使い分けるのが好ましい。
【0022】すなわちノニオン系界面活性剤と併用する
カチオン系界面活性剤としては、両者の併用系の利点で
あるパラジウムの消費量を抑制する効果を考慮すると、
前述したように、アニオン系界面活性剤と併用するもの
に比べてパラジウムコロイドを吸着する能力の比較的小
さいものを使用するのが好ましい。アニオン系界面活性
剤とカチオン系界面活性剤との組み合わせにおいて両界
面活性剤は、適宜の濃度および割合で前処理液に含有さ
せることができるが、通常は、前処理液の全量に対し
て、アニオン系界面活性剤の濃度が0.05〜0.12
体積%、カチオン系界面活性剤の濃度が0.01〜0.
07体積%であるのが好ましい。
【0023】アニオン系界面活性剤の濃度がこの範囲未
満では、当該アニオン系界面活性剤による、ウレタンフ
ォーム表面に濡れ性を付与する効果が不十分になるおそ
れがあり、逆にこの範囲を超えた場合には、表面がアニ
オン化して、パラジウムコロイドの吸着性が低下するお
それがある。またカチオン系界面活性剤の濃度が上記の
範囲未満では、当該カチオン系界面活性剤による、パラ
ジウムコロイドの吸着性を向上する効果が不十分になる
おそれがあり、逆に上記の範囲を超えた場合には、パラ
ジウムの消費量が増大するおそれがある。
【0024】またノニオン系界面活性剤とカチオン系界
面活性剤との組み合わせにおいて両界面活性剤は、やは
り適宜の濃度および割合で前処理液に含有させることが
できるが、通常は、前処理液の全量に対して、ノニオン
系界面活性剤の濃度が0.05〜0.15体積%、カチ
オン系界面活性剤の濃度が0.01〜0.07体積%で
あるのが好ましい。カチオン系界面活性剤の濃度が上記
の範囲に限定される理由は、先のアニオン系界面活性剤
との併用系の場合と同様である。
【0025】ノニオン系界面活性剤の濃度がこの範囲未
満では、当該ノニオン系界面活性剤による、ウレタンフ
ォーム表面に濡れ性を付与する効果が不十分になるおそ
れがあり、逆にこの範囲を超えた場合には、泡立ち異常
による水洗の不足と、それに伴う次工程以降への界面活
性剤の持ち込みが生じる結果、パラジウムコロイドの吸
着性、ひいては金属膜の密着性が低下するおそれがあ
る。上記本発明の前処理液、もしくは前記の、強酸性溶
液中にアニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤と
を配合した前処理液による、ウレタンフォームの処理条
件は、各成分の濃度等に応じて適宜、変更しうるが、通
常は液温が25〜45℃、浸漬時間が1〜3分間である
のが好ましい。
【0026】液温もしくは浸漬時間が、いずれか一方で
もこの範囲未満では、低分子量のウレタン成分を十分に
除去できないおそれがある。またウレタンフォームの表
面を十分に親水化できないおそれもある。また逆に、液
温もしくは浸漬時間が、いずれか一方でもこの範囲を超
えた場合には、より分子量の大きなウレタン成分まで多
量に溶出して、ウレタンフォームが肉痩せする結果、所
定の孔径や気孔率、強度等を有する発泡メタルを製造で
きないおそれがある。
【0027】〈塩酸処理工程〉上記処理が終了したウレ
タンフォームを、次に従来同様に、濃度8%程度の塩酸
水溶液に20〜40秒間程度、浸漬して、その表面を塩
酸処理する。その理由は前記のとおりである。 〈触媒付け−活性化工程〉次に、上記の表面に、触媒付
けおよび活性化の工程を経て、パラジウム(Pd)等の
触媒金属を析出させる。その具体的な方法としては、前
述したようにウレタンフォームを、パラジウムコロイド
を含むキャタライザーに浸漬して、その表面に、上記パ
ラジウムコロイドを吸着させた後、塩酸、硫酸、ホウフ
ッ酸などを含むアクセラレータに浸漬してスズを除去し
てパラジウムを析出させるキャタライザー−アクセラレ
ータ法が好適に採用される。
【0028】〈無電解めっき工程〉次に、上記の表面
に、無電解めっきによって金属膜を形成する。無電解め
っきに使用するめっき液の組成は、形成する金属膜の金
属種に応じて適宜、設定される。例えば金属膜としてニ
ッケル膜を形成する場合は、ニッケルイオンと、その還
元剤と、錯化剤もしくは安定剤と、そしてpH調整剤と
を含む通常のニッケルめっき液が使用される。
【0029】そしてこのめっき液中に、先の工程で表面
が活性化されたウレタンフォームを浸漬すると、その表
面のパラジウムを膜成長の核として、還元剤の作用によ
って、ニッケルイオンがニッケルに還元されて、ウレタ
ンフォームの表面に析出することで、ニッケル膜が形成
される。詳しくは、ウレタンフォーム表面のパラジウム
上で、下記反応式: H2PO2 -+H2O→H2PO3 -+2H++2e- による還元剤の酸化が進行し、それに伴って放出された
電子をめっき液中のニッケルイオンが受け取って、下記
反応式: Ni2++2e-→Ni によるニッケルイオンの還元、析出が進行して、ウレタ
ンフォームの表面にニッケル膜が形成される。
【0030】このあと、従来同様に、上記ニッケル膜を
陰極とする電気めっきによって、さらに同種の、あるい
は異種の金属を厚付けして金属化し、そしてウレタンフ
ォームを熱分解によって除去すると、電極用基材などと
して好適に使用される発泡メタルが製造される。
【0031】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。 実施例1 〈洗浄および親水化工程〉ウレタンフォームを、下記の
各成分を含む、液温35±1℃の前処理液に2分間、浸
漬して、上記ウレタンフォームの表面に存在する比較的
低分子量のウレタン成分を洗浄、除去するとともに、当
該表面を親水化した。
【0032】 前処理液 (成分) (体積%) 硫酸 3.5 アニオン系界面活性剤 0.1 〔ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム〕 カチオン系界面活性剤 0.05 〔テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド〕 水 残量 〈塩酸処理工程〉上記洗浄および親水化工程が終了した
ウレタンフォームを、液温23±1℃の8%塩酸水溶液
に30秒間、浸漬して塩酸処理を行った。
【0033】〈触媒付け−活性化工程〉塩酸処理工程が
終了したウレタンフォームを、液温23±1℃、パラジ
ウム濃度3ppmの、パラジウムコロイドを含む9%塩
酸水溶液(キャタライザー)に2.7分間、浸漬して触
媒付けを行った後、液温40±1℃の14%硫酸水溶液
(アクセラレータ)に2分間、浸漬して活性化させた。 〈無電解めっき工程〉触媒付け−活性化工程が終了した
ウレタンフォームを、下記の各成分を含む、液温40±
1℃、pH=9の無電解ニッケルめっき液に3.5分
間、浸漬して無電解めっきを行った。
【0034】無電解ニッケルめっき液 (成分) (g/リットル) 硫酸ニッケル6水和物 22 クエン酸ナトリウム 40 次亜リン酸ナトリウム 20 塩化アンモニウム 15 アンモニア水 10 上記各工程のうち触媒付け−活性化工程でウレタンフォ
ームの表面に吸着したパラジウムの量は、ウレタンフォ
ームの単位面積あたりに換算して25mg/m 2であ
り、また低分子量のウレタン成分とパラジウムコロイド
との凝集によってキャタライザー中に沈殿した沈殿物に
よって消耗されたパラジウムの量は、同じくウレタンフ
ォームの単位面積あたりに換算して4mg/m2であっ
た。
【0035】また無電解めっきによってウレタンフォー
ムの表面に形成されたニッケル層の目付量は8〜10g
/m2であった。 実施例2 洗浄および親水化工程に、下記の各成分を含む前処理液
を使用したこと以外は実施例1と同様にして、無電解め
っきまでの工程を行なった。 前処理液 (成分) (体積%) 硫酸 3.5 ノニオン系界面活性剤 0.05 〔ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル〕 カチオン系界面活性剤 0.05 〔オクタデシルアミン酢酸塩〕 水 残量 触媒付け−活性化工程でウレタンフォームの表面に吸着
したパラジウムの量は、ウレタンフォームの単位面積あ
たりに換算して15mg/m2であり、また低分子量の
ウレタン成分とパラジウムコロイドとの凝集によってキ
ャタライザー中に沈殿した沈殿物によって消耗されたパ
ラジウムの量は、同じくウレタンフォームの単位面積あ
たりに換算して4mg/m2であった。
【0036】また無電解めっきによってウレタンフォー
ムの表面に形成されたニッケル層の目付量は8〜10g
/m2であった。 比較例1 洗浄および親水化工程に代えて、下記の各成分を含む親
水化処理液を使用し、ウレタンフォームを、液温23±
1℃のこの親水化処理液に2分間、浸漬して従来の親水
化処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして、無電
解めっきまでの工程を行なった。
【0037】 親水化処理液 (成分) (体積%) アニオン系界面活性剤 0.1 〔ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム〕 カチオン系界面活性剤 0.05 〔テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド〕 水 残量 触媒付け−活性化工程でウレタンフォームの表面に吸着
したパラジウムの量は、ウレタンフォームの単位面積あ
たりに換算して30mg/m2であり、また低分子量の
ウレタン成分とパラジウムコロイドとの凝集によってキ
ャタライザー中に沈殿した沈殿物によって消耗されたパ
ラジウムの量は、同じくウレタンフォームの単位面積あ
たりに換算して30mg/m2であった。
【0038】また無電解めっきによってウレタンフォー
ムの表面に形成されたニッケル層の目付量は8g/m2
であった。以上の結果を表1にまとめた。
【0039】
【表1】
【0040】表より、親水化とともに強酸性溶液での洗
浄をした実施例1、2はともに、従来の、親水化のみを
行った比較例1に比べて、沈殿物によって無駄に消耗さ
れるパラジウムの量を著しく減少できることが確認され
た。また両実施例の比較より、ノニオン系界面活性剤
と、パラジウムコロイドの吸着能力の小さいカチオン系
界面活性剤とを併用した実施例2は、パラジウムの消費
量をさらに減少できることも確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K022 AA13 AA43 BA14 CA03 CA05 CA06 CA07 CA15 CA18 CA21 CA22 CA23 DA01 5H017 AA01 BB08 BB10 BB13 CC01 CC28 EE01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウレタンフォームの表面を界面活性剤によ
    って親水化し、触媒付けを行ったのち活性化し、次いで
    無電解めっきによって金属膜を形成する方法であって、
    触媒付けを行う前のウレタンフォームの表面を、強酸性
    溶液で洗浄する工程を含むことを特徴とするウレタンフ
    ォーム表面の無電解めっき方法。
  2. 【請求項2】強酸性溶液による洗浄を、界面活性剤によ
    る親水化と同時に行うことを特徴とする請求項1記載の
    ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法。
  3. 【請求項3】親水化に用いる界面活性剤として、ノニオ
    ン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤とを併用するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のウレタンフォー
    ム表面の無電解めっき方法。
  4. 【請求項4】ウレタンフォームの表面を強酸性溶液で洗
    浄するとともに、界面活性剤によって親水化し、触媒付
    けを行ったのち活性化し、次いで無電解めっきによって
    金属膜を形成する無電解めっき方法に用いる前処理液で
    あって、強酸性溶液中に、親水化のためのノニオン系界
    面活性剤とカチオン系界面活性剤とを含有させたことを
    特徴とする前処理液。
JP2000249877A 2000-08-21 2000-08-21 ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液 Pending JP2002060956A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000249877A JP2002060956A (ja) 2000-08-21 2000-08-21 ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000249877A JP2002060956A (ja) 2000-08-21 2000-08-21 ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002060956A true JP2002060956A (ja) 2002-02-28

Family

ID=18739551

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000249877A Pending JP2002060956A (ja) 2000-08-21 2000-08-21 ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002060956A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214706A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Kanto Gakuin Univ Surface Engineering Research Institute 無電解めっき法で用いる触媒溶液及びその触媒溶液を用いた無電解めっき法並びにその無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成した被めっき物
EP3339472A3 (en) * 2016-12-22 2018-07-18 Rohm and Haas Electronic Materials LLC Electroless plating method

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214706A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Kanto Gakuin Univ Surface Engineering Research Institute 無電解めっき法で用いる触媒溶液及びその触媒溶液を用いた無電解めっき法並びにその無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成した被めっき物
EP3339472A3 (en) * 2016-12-22 2018-07-18 Rohm and Haas Electronic Materials LLC Electroless plating method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5645930A (en) Durable electrode coatings
JP6201153B2 (ja) 無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ用のニッケルコロイド触媒液並びに無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ方法
KR101818085B1 (ko) 고내식성을 갖는 금속 다공체 및 그의 제조 방법
US20070138446A1 (en) Nickel powder and method of producing the same
RU2398049C2 (ru) Усовершенствованные стабилизация и рабочие характеристики автокаталитических способов нанесения покрытия методом химического восстановления
JP3871653B2 (ja) 導電性微粒子の製造方法
JP2002060956A (ja) ウレタンフォーム表面の無電解めっき方法とそれに用いる前処理液
KR100825903B1 (ko) 전자파 차폐용 탄성다공체 시트 및 그 제조방법
JP2000021415A (ja) 導電性多孔質体とそれを用いた金属多孔質体および電池用の極板
JP2004131801A (ja) 導電性無電解めっき粉体及びその製造方法
EP0878858B1 (en) Electrode for alkaline storage battery and method for manufacturing the same
JPH05287543A (ja) 無電解銀メッキ方法
JP3735898B2 (ja) 金属多孔体の製造方法
JP4189613B2 (ja) 連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法
JPH1079246A (ja) アルカリ蓄電池用水酸化ニッケル電極の製造方法
KR100547605B1 (ko) 도전성 무전해 도금 분체 및 그 제조방법
JP2961491B2 (ja) 金属電極材料の作製方法
CN111041461B (zh) 一种铁氧体上化学镀镍的方法
JPH07133115A (ja) 水酸化コバルトを被覆した水酸化ニッケル粉末の製造方法
EP0920544B1 (en) Durable electrode coatings
JPH04263081A (ja) プラスチック基剤のシートの活性化において蓄積する廃液の処理方法
JPH05144434A (ja) 水素吸蔵電極の製造方法
JPH09330722A (ja) アルカリ電池用電極基体の製造方法
JP2004035320A (ja) 水酸化コバルトを被覆した水酸化ニッケル粉末の製造方法
JP2006286345A (ja) 水素吸蔵合金の表面処理方法、表面処理された水素吸蔵合金及びこれを用いたニッケル−水素二次電池