JP4189613B2 - 連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法 - Google Patents

連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法に関し、更に詳細には、電気メッキによる金属メッキ層を形成するに先立って行なわれる導電化工程を、廉価かつ容易になし得る連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般にポリウレタンフォーム等の高分子材料に代表される連続通気性を有する非導電性多孔性材料に金属メッキを施す場合、先ずその表面に導電層を形成して導電性を付与する必要がある。前記表面に導電性を付与する方法としては、多孔性を有しない、例えば板状のプラスチックに対して導電性を付与するのと同様の方法が用いられる。すなわち、以下の各方法である。
▲1▼カーボンブラックや金属粉等の導電性フィラーおよびバインダ樹脂を適当な溶媒に分散させたスラリーにメッキ対象物を含浸させ、しかる後にこれを乾燥させる。
▲2▼メッキ対象物の原料中に導電性フィラーを配合して該メッキ対象物を製造し、該導電性フィラーにより導電性を確保する。
▲3▼メッキ対象物の原料にイオン伝導性を付与する過塩素酸リチウムまたは4級アンモニウム塩を添加して該メッキ対象物を製造し、これに導電性を確保する。
【0003】
しかし上記何れかの方法により、ポリウレタンフォーム等の連続通気性を有する非導電性多孔性材料に対して導電性を付与した場合、導電度(電気伝導度)の制御が困難であったり、また該非導電性多孔性材料が有する物理的特性、すなわち弾性変形が可能であり、形状追従性が高いという特性が生かせなくなることが考えられる。そのため現在では、前記材料に対して先ず無電解メッキを施して極薄の導電層を形成することで導電性を付与し、その後に電気メッキを施して所望の導電度を得る方法が用いられている。本発明は、連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法に関するものであるので、従来技術に係る非導電性多孔性材料の金属メッキ方法について以下に説明する。
【0004】
先ず、製造済みの所要形状を有するポリウレタンフォーム等のメッキ対象物に対し、熱処理法等を施してセル膜を除去する。そして導電化工程(後述)の前処理として、例えば重クロム酸等によるエッチングを行なって表面を酸化させ、触媒物質(後述)の付着を高めるコンディショナに浸漬する。その後に水洗を行ない、無電解メッキの析出に不可欠である、例えば触媒としてのパラジウム・スズを触媒浴に浸漬することで付与し、最後に効率的に該触媒の析出させるために、例えば硫酸等に浸漬するアクセラレータ処理を施す。
【0005】
次いで導電層を形成する導電化工程が施される。この導電化工程は、前記メッキ対象物を、例えばニッケル等の無電解メッキ浴に所定時間浸漬することで無電解メッキを施し、その表面に導電層となる無電解メッキを析出させるものである。この導電化工程は、この後に行なわれる電気メッキ工程に必要かつ不可欠である。また無電解メッキでは、前記導電層の形成に多くの時間とそれに伴うコストの上昇を必要とするので、必要最小限の導電性の確保と、電気メッキによる金属メッキ層のツキマワリ性の確保とが図られる程度に施される。
【0006】
前記導電化工程を経たメッキ対象物には、最終的に電気メッキ工程が施されて、例えばニッケルや銅等の金属メッキ層が形成される。この電気メッキ工程は、前記ニッケル等の金属を含んだ、例えばスルファミン酸ニッケル浴に所定時間浸漬し、前記導電層に対して通電を行ない該金属を金属メッキ層として所望厚さ析出させることで完了する。前記金属メッキ層の厚さについては、所望の導電度を達成して、かつポリウレタンフォーム等のメッキ対象物の弾性変形を阻害しない程度に設定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように弾性変形が可能な、例えばポリウレタンフォームの如き連続通気性を有する非導電性多孔体材料の場合、その製造方法として▲1▼化学反応法、▲2▼気体混入法、▲3▼溶剤気散法、▲4▼溶出法および▲5▼焼結法等が一般に知られている。この中で▲5▼焼結法については、例えばPTFEや超高分子PEの微粉末を融点未満に加熱し、該微粉末間を融着して多孔体を得る方法であるので、ポリウレタンフォームの如き密度の低いものには適していない。その他の各製造法について、簡単に述べれば以下の通りである。
【0008】
前記▲1▼化学反応法は、イソシアネートと、水とを反応させて炭酸ガスを発生させ、この炭酸ガスにより多孔体を製造する製造法あり(ポリウレタンフォーム)、▲2▼気体混入法は、液体原料に空気などの気体を加えて撹拌・固化させるものであり(ポリ塩化ビニルフラスチック、ラテックスフォームラバー等)、▲3▼溶剤気散法は、液体原料に有機溶媒または水を含有させて、液体原料硬化中に有機溶媒または水の気化により発生する泡を利用するものであり(フェノールフォーム、メラミンフォーム等)、▲4▼溶出法は、可溶性であるでんぷんやぼう硝を含有する原料を固化させた後、水等の溶媒により前記可溶性物を溶解除去する製造法である(ポリビニルアルコールフォーム、ビスコースフォーム等)。これら各フォームは、用途に応じて適宜選択的に使用される連続通気性を有する多孔体材料であり、殊に前記▲1▼の化学反応法により製造されるポリウレタンフォームは、形状追従性が高く幅広い用途に使用されている。
【0009】
ここで留意すべきは、前記▲1▼化学反応法、▲2▼気体混入法および▲3▼溶剤気散法については多孔体材料を得るのに必要かつ不可欠である泡を安定的に発生させ得る整泡剤としての界面活性剤を、主成分たる樹脂に対して数〜10数%添加する必要があり、また前記▲4▼溶出法については、可溶性成分が主成分である樹脂に対して、体積で少なくとも1.1〜1.9倍と多量に必要であるということである。すなわち、前記▲1▼化学反応法、▲2▼気体混入法および▲3▼溶剤気散法の場合には、前記界面活性剤を主として、未反応モノマー、オリゴマー、反応触媒および分散媒等がかなり残留し、また▲4▼溶出法の場合には、溶出・洗浄工程後においても未溶解の可溶性成分がかなりの割合で残留してしまう。
【0010】
これらの残留物は、前記材料製造後の各工程に対して悪影響を及ぼし、殊に金属メッキを施す最初の工程となる前記導電化工程の前処理に与える影響は深刻である。すなわち、導電化工程の前処理で行なわれるパラジウム・スズ触媒の付与は、該パラジウム・スズ触媒が塩化物錯イオンとして溶解・分散状態で貯留される触媒浴への浸漬で行なわれているが、このときに前記残留物が該触媒浴中に混入してしまうことになる。この残留物が前記触媒浴中に混入すると、前記パラジウム・スズ触媒の塩化物錯イオンが容易に安定性を失い、沈殿してしまって使用に供し得なくなってしまう。従って、前記パラジウム・スズ触媒を前記多孔性材料の表面に充分付与するためには、触媒浴の状態を常に監視すると共に、頻繁な更新が必要とされ、そのためにコストおよび手間が増大する重大な欠点が指摘される。また無電解メッキの析出の際して、これに好適に使用される前記パラジウム・スズ触媒に含有されるパラジウムは非常に高価な貴金属であるので、殊に製造コストに与える影響が大きいものとなる。
【0011】
また昨今、トリクロロエチレン等の水質汚濁物質に対する関心が高まり、これに対応して水質汚濁防止法等で広範囲に亘る水質汚染物質に対する規制が制定されつつある。このような社会情勢を背景に、前記パラジウムを含有する廃液は多様かつ高水準な処理を求められるものとなり、該処理が製造コストの増大させる点が大きな問題となりつつある。
【0012】
【発明の目的】
この発明は、従来技術に係る連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法に内在する問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、電気メッキにより金属メッキ層を形成する前に行なわれる導電化工程を、高価な貴金属を用いた浸漬法に替えて、より安価な金属を、メッキ対象物に残る各残量物の影響を受けることなく付与し得るスプレー法で行なう連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明の連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法は、
連続通気性を有する非導電性多孔性材料を、整泡剤としてアニオン系界面活性剤を用いて、セルサイズが50μm〜500μmで、かつ厚さが10mm以下となるよう製造し、
前記非導電性多孔性材料の表面にカチオン系界面活性剤をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に濡れ性を付与し、
前記非導電性多孔性材料の表面に還元触媒をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に還元触媒層を形成し、
前記還元触媒層が形成された前記非導電性多孔性材料の表面に、被還元金属の金属塩水溶液および還元剤を同時にスプレーすることで、該非導電性多孔性材料の表面に金属を析出させて導電層を形成した後、
前記導電層上に電気メッキを施すことで、金属メッキ層を形成することを特徴とする。
【0014】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願に係る別の発明の連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法は、
連続通気性を有する非導電性多孔性材料を、整泡剤としてアニオン系界面活性剤を用いて、セルサイズが50μm〜500μmで、かつ厚さが10mm以下となるよう製造し、
前記非導電性多孔性材料の表面にカチオン系界面活性剤をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に濡れ性を付与し、
前記非導電性多孔性材料の表面にスズまたはチタンの塩化物である還元触媒をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に還元触媒層を形成し、
前記還元触媒層が形成された前記非導電性多孔性材料の表面に、アンモニア性硝酸銀水溶液および還元剤を同時にスプレーすることで、該表面に金属銀を析出させて導電層を形成した後、
前記導電層上に電気メッキを施すことで、金属メッキ層を形成することを特徴とする
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法につき、好適な実施例を挙げて以下説明する。
【0016】
本発明に使用される連続通気性を有する非導電性多孔性材料としては、そのセルサイズが50〜500μm(0.5mm)で、かつ厚さが10mm以下のものが好適である。これは後述する導電化工程で使用される導電層を形成する金属のスプレー塗布が充分に行なわれるための条件であり、前記セルサイズが小さすぎる場合、該金属がセル内部まで充分に付着せず、結果電気メッキによる金属メッキ層がセル内部まで形成されなくなってしまうことが考えられる。この点については前記材料の厚さをより薄くすることで、更に小さいサイズのセルサイズまで対応可能とすることもできる。逆に前記セルサイズが大きすぎる場合は、スプレー塗布される金属が前記材料を突き抜けてしまうので、該金属を含む水溶液が大量に必要となり好ましくない。また前記非導電性多孔性材料製造時に使用される整泡剤としては、該材料表面を電気的にマイナスとして、かつ水に対する濡れ性を確保し得るアニオン系界面活性剤が好適である。
【0017】
本実施例においては金属メッキを施すメッキ対象物として、代表的な連続通気性を有する非導電性多孔性材料としてのポリエステル系ポリウレタンフォーム(イノアックコーポレーション製 商品名 MF−50)(以下PUFという)を、外寸100mm×100mm、厚さ1mmの正方形シート状物として用いた。このPUFの主要な物性は、(1)セルサイズ:0.4mm、(2)表面積:5500m2/m3(BET法による)である。
【0018】
前記PUFを使用するに際しては、例えば圧力密閉容器に該PUFを載置して、水素・酸素混合ガス等の爆発性ガスを充填・爆発させてセル膜を瞬時に除去する熱処理法により、予じめセル膜を除去しておく。このようにしてセル膜を除去したPUFは、セル膜を有するPUFに較べて電気メッキによる金属メッキ層の剥離が少なく、より付加価値の高い製品を製造し得る。本実施例でセル膜を除去したPUFは、その周囲を外寸120×120mm、厚さ3mm、枠部幅10mmの2枚のステンレス製枠で立てた状態に挟持されて、スプレー法により以下の各処理を施される。すなわち、図1に示すような各段階からなる導電化および電気メッキの両工程である。
【0019】
前記導電化工程は大きく、▲1▼界面活性剤付与段階、▲2▼還元触媒付与段階および▲3▼導電性金属付与段階に分けられる。この導電化工程では、一般に導電度(電気伝導度)の高い金属の付与による導電層の形成が行なわれ、本実施例においては最も高い導電度を有し、銀鏡反応により還元析出が容易な銀が好適に用いるられるものである。▲1▼界面活性剤付与段階は、次段階の還元触媒付与を効率的に行なうためのものであり、該界面活性剤の付与よりPUFの濡れ性が向上し、その結果として還元触媒が効率的にPUF表面に対して付与される。その後、水道水等で前記PUFを洗浄する。前記界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤の使用が好適であり、該カチオン系界面活性剤の付与によりPUF表面が電気的にプラスに帯電し、これにより電気的にマイナスに帯電している前記還元触媒をPUF表面上に吸着させるものである。更に前述した如く、PUF製造時に不可欠である整泡剤としての界面活性剤を、前記カチオン系界面活性剤に応じてアニオン系界面活性剤とすれば、該カチオン系界面活性剤自体のPUF表面への吸着も電気的に強化できる。
【0020】
本実施例においては、前記界面活性剤付与段階にカチオン系界面活性剤(シプレイ・ファーイースト製 商品名 スプレークリーナー742)10gを純水1lに溶解させて、液温45℃とし、1g/秒、10秒間の条件で固定された前記PUFに対してスプレーにてまんべんなく塗布した。その後、純水を充分にスプレーすることで前記PUFを洗浄した。このとき前記カチオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤を整泡剤として作製されるPUF表面に電気的に吸着されているので、余剰分以外に洗浄されることはない。
【0021】
続いて行なわれる▲2▼還元触媒付与段階は、▲3▼導電性金属付与段階で付与され、これは導電層を形成する銀の効率的な付与のために行なわる。使用される還元触媒としては、酸化数が例えば2または3から4へ変化して、前記銀を還元し得るスズおよびチタン等の塩化物である塩酸酸性塩化スズ(SnCl2(II))および塩化チタン(TiCl3(III))水溶液が好適である。前記各塩化物水溶液は、SnCl2(II)またはTiCl3(III)を塩化物濃度1〜100g/lの範囲内に収まるように、各塩化物を水に溶解させた後に濃塩酸を加えることで調整され、前記各金属は塩化物錯イオンの形で水溶液中に存在している。そして、これらの各塩化物水溶液を前記PUF表面に付与することにより、該表面に還元触媒層が形成される。前記塩化物濃度が低すぎたり高すぎたりする場合は、夫々金属銀の効果的な析出ができなくなったり、スズ、チタン等の金属が無駄となってしまう。その後に純水等を利用して、還元触媒層の形成された前記PUFを洗浄する。
【0022】
本実施例では、無水第一塩化スズ10gを純水1lに対して溶解させた後、36%濃塩酸10gを加えて塩酸酸性塩化スズ溶液を調整し、0.1g/秒、10秒間の条件で前記PUFに対してまんべんなくスプレーした。そしてその後洗浄のために、純水を充分にスプレーした。このときも前記カチオン系界面活性剤と同様に、電気的にマイナスであるスズ等の還元触媒は、電気的にプラスである該カチオン系界面活性剤を介してPUF表面に対し強固な還元触媒層を形成し、従って余剰分以外が洗浄されることはない。
【0023】
次に▲3▼導電性金属付与段階により、被還元金属としての銀を用いてPUF表面に導電層に形成させるが、この段階は基本的に次の方法で行なわれる。すなわちアンモニア性硝酸銀水溶液および還元剤としてのグリオキサール水溶液を、例えば双頭ガン等を使用して同時にスプレーにより付与し、硝酸銀の還元により金属銀として、該金属銀皮膜を前記PUF表面にまんべんなく析出させるものである。この金属銀の導電度は非常に高く、例えば無電解メッキに用いられるニッケル等に較べて数倍高いものであるので、導電層の生成厚さは該ニッケルの数分の1で同様の導電率を得ることが可能である。すなわち前記ニッケルに較べ、使用量および時間の観点からもコストを削減し得る。またこのとき反応性を高める目的で、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加してもよい。このアルカリの添加により硝酸銀の還元速度が高まり、金属銀の析出が更に短時間で行なわれることになる。また本実施例では、被還元金属として銀を使用した例を述べたが、他に銅またはニッケル等も使用し得る。
【0024】
ここで使用される一方のアンモニア性硝酸銀水溶液については、硝酸銀を予じめ溶解させた硝酸銀水溶液に対しアンモニア水を徐々に充分の時間で加え、一度生成させた硝酸銀沈殿が全量再溶解して無色透明状態となったものを使用する。このときのアンモニア性硝酸銀水溶液中の硝酸銀含有量は、1l当たり1〜100gの範囲が好適であり、この含有量が低すぎるとPUF表面に金属銀が析出せず、また高すぎると高価である銀が無駄となって製造コストが上昇すると共に、前記金属銀の結晶が異常成長する等して平滑性および密着性に問題のある導電層が形成されやすくなる。他方の還元剤であるが、例えばホルムアルデヒド、グリオキサール、D(+)−グルコースまたは還元糖等が好適に使用される。ここで留意すべきは、前記硝酸銀と同様にその含有量は1l当たり1〜100gの範囲内とすることであり、この範囲より低濃度では還元作用が弱くて金属銀の析出が行なわれず、また高濃度では還元剤が無駄となるばかりでなく、前記金属銀の結晶が異常成長する等して平滑性および密着性に問題のある導電層が形成されやすくなる。
【0025】
本実施例では、硝酸銀20gを純水に溶解させて、その後濃度30%のアンモニア水を徐々に滴下してアンモニア性硝酸銀水溶液を調整した。このとき前記アンモニア性硝酸銀水溶液に含まれる各要素の量は、純水1lに対して硝酸銀20g、アンモニア18gであった。また還元剤として40%グリオキサール溶液100gを純水1lにて調整し、100g/lとなるようにした。そしてこれらアンモニア性硝酸銀水溶液および還元液を双頭ガンにより、0.1g/秒の吐出量で同時に10秒間まんべんなくPUFに対し吹き付けることで、該PUF表面に金属銀を析出させた。
【0026】
最終的に、金属銀が析出し導電層が形成された前記PUF表面を、純水等の使用により洗浄することで導電化工程は完了する。本実施例において水洗は、この後に実施される電気メッキ工程に不要な残留物を持ち込まないようにするため、スプレーで充分な純水を吹きかけて入念に行なわれる。しかし前記銀被膜は、前述のように電気的に強固に吸着された還元触媒を核とすることで、前記非導電性多孔性材料表面に対し非常に強固に析出しているため、容易に剥離するものではない。
【0027】
前記導電化工程を経て非導電性多孔性材料表面に導電層が形成された後、電気メッキ工程が次に施される。この電気メッキ工程は、電気メッキ付与段階および仕上からなり、該電気メッキ付与段階は前記導電層に電気を供給する電極を取り付け、後述する電気メッキ浴に該非導電性多孔性材料を浸漬し通電することで行なわれ、仕上は最終的な洗浄等である。前記電気メッキ浴としては、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、白金、クロム、亜鉛、スズ、はんだ、その他の合金メッキまたは分散メッキ等の公知の金属を使用した電気メッキ浴が挙げられる。そして前記金属を含有する塩の溶液に、その他各種薬品・添加剤等の混合物溶液を所定量加えたものが好適に使用される。ここで前記電気メッキ浴に利用される金属は、各種条件に応じて適宜選択的に採用されるものであり、殊に電析速度が速く、安定的であり、かつ使用金属が廉価であるニッケルを用いたスルファミン酸ニッケル浴が主流である。
【0028】
本実施例でも前記スルファミン酸ニッケル浴が好適に使用され、電気メッキが施される。前記スルファミン酸ニッケル浴は、スルファミン酸ニッケル300g/l、塩化ニッケル30g/l、ホウ酸30g/lおよびピット(ピンホール)防止剤としてのラリウル硫酸ナトリウム0.3g/l等の成分を含有しており、pH4、温度40℃の浴条件下で電気メッキ工程が行なわれる。このときの電流密度は、PUF(100mm×100mm×1mm)に対して、初期電流値2Aから次第に上昇させて10Aとし、最終的に該PUFに析出するニッケル量を1gとさせた。
【0029】
前記導電化工程および電気メッキ工程を経て作製されたPUFの断面を、倍率100倍の光学顕微鏡で観察したところ、電気メッキ金属であるニッケルが、該PUFの内部までその骨格を取り囲む形でムラなく析出して金属メッキ層を形成しており、本方法が非導電性多孔体材料に対する優れた金属メッキ法であることが確認された。
【0030】
前述の方法で作製された金属メッキを施された非導電性多孔性材料は、ポリウレタンフォーム等の弾力性を有し、かつ形状追従性の高い物質を核として使用しているので、例えば通気性のあるEMIシールド用の材料として好適である。また、核である前記非導電性多孔性材料は有機物であり、熱処理により全て除去可能であるので、予じめ所定の形状に作製した核としての非導電性多孔性材料に金属メッキを施し、熱処理により除去することで、例えばオイルミスト除去用のフィルタ、触媒担体および電池電極材等として利用が可能である。殊にポリウレタンフォーム等の場合には、空孔率が90%以上で表面積が大きく、被接触物との接触面積が大きくとれるため、電池電極材、すなわち陽極および陰極活物質(集電材)として好適に利用し得る。
【0031】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法によれば、電解メッキ工程に先立って必要かつ不可欠な導電化工程を、従来の浸漬による無電解メッキに替えて、銀等の還元されやすい金属を用いたスプレーとしたので、パラジウム等の高価な貴金属を使用する必要がなくなり、また非導電性多孔性材料中に残る界面活性剤等の残留物の影響を受けることなく該導電化工程を行なえるようになった。
【0032】
更に前記導電化工程に使用される銀等の被還元金属を含む水溶液は、強アルカリまたは強酸液を加えることで、容易にその該金属を粒子状態として回収可能であり、これらを含む廃液はpH調整、CODおよびBOD処理のみで排出規制に適合するので該廃液の処理が容易となる効果を奏する。整泡剤としての界面活性剤を、非導電性多孔性材料の濡れ性を改善するカチオン系界面活性剤に応じてアニオン系界面活性剤とすれば、該カチオン系界面活性剤自体の非導電性多孔性材料表面への吸着も電気的に強化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な金属メッキの実施例を示すフローチャートである。

Claims (3)

  1. 連続通気性を有する非導電性多孔性材料を、整泡剤としてアニオン系界面活性剤を用いて、セルサイズが50μm〜500μmで、かつ厚さが10mm以下となるよう製造し、
    前記非導電性多孔性材料の表面にカチオン系界面活性剤をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に濡れ性を付与し、
    前記非導電性多孔性材料の表面に還元触媒をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に還元触媒層を形成し、
    前記還元触媒層が形成された前記非導電性多孔性材料の表面に、被還元金属の金属塩水溶液および還元剤を同時にスプレーすることで、該非導電性多孔性材料の表面に金属を析出させて導電層を形成した後、
    前記導電層上に電気メッキを施すことで、金属メッキ層を形成する
    ことを特徴とする連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法。
  2. 連続通気性を有する非導電性多孔性材料を、整泡剤としてアニオン系界面活性剤を用いて、セルサイズが50μm〜500μmで、かつ厚さが10mm以下となるよう製造し、
    前記非導電性多孔性材料の表面にカチオン系界面活性剤をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に濡れ性を付与し、
    前記非導電性多孔性材料の表面にスズまたはチタンの塩化物である還元触媒をスプレーすることにより、該非導電性多孔性材料の表面に還元触媒層を形成し、
    前記還元触媒層が形成された前記非導電性多孔性材料の表面に、アンモニア性硝酸銀水溶液および還元剤を同時にスプレーすることで、該表面に金属銀を析出させて導電層を形成した後、
    前記導電層上に電気メッキを施すことで、金属メッキ層を形成する
    ことを特徴とする連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法。
  3. 前記アンモニア性硝酸銀水溶液における硝酸銀濃度は、1〜100g/lの範囲にある請求項記載の連続通気性を有する非導電性多孔性材料の金属メッキ方法。
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