JP2002060875A - 水素吸蔵合金 - Google Patents

水素吸蔵合金

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Manabu Nagamura
学 長村
Kyoichi Kinoshita
恭一 木下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のCaMg2Ni9合金と同じ構成元素か
らなるCa−Mg−Ni系合金であっても、構成元素の
含有比、すなわちCaとMgとNiの割合を調整し合金
のCa含有比を高くすることで、水素吸蔵量が多く、ま
たプラトー領域の広い水素吸蔵合金を提供することを課
題とする。 【解決手段】 上記課題を解決するため、本発明の水素
吸蔵合金は、組成式Ca xMg2Niy(1<x≦2、6
≦y≦12)で表される組成を有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金、よ
り詳細には水素吸蔵量が多く、実用性の高い水素吸蔵合
金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、所定の条件で気体の水素を水素化
物という固体の形で吸蔵し、別の条件で放出可能な水素
吸蔵合金が注目されている。この合金は、爆発性のある
水素を安全な固体の形で貯蔵できる、水素吸蔵の際水素
化反応により熱を発生する等の種々の特性を有する。こ
のため燃料電池、冷暖房空調システム等への実用化が期
待されている。
【0003】実用化への期待に応えるべく、これまでに
水素吸蔵量の多い合金として、TiFe、TiCr2
CaNi5、Mg2Ni、LaNi5等の2成分系合金が
開発されている。また、2成分系合金の少なくとも一部
を他の元素で置換し、3成分系、4成分系等の合金と
し、水素吸蔵量や水素放出温度等の水素吸蔵特性を調整
した合金も開発されている。
【0004】上記2成分系合金の中でも特にMg2Ni
は水素吸蔵量が3.6重量%と多いが、Mg2Niは、
大気圧(0.1013MPa)下における水素放出温度
が250℃以上と高いため、言い換えると大気圧下にお
いて水素を放出させるためには合金を250℃以上に加
熱する必要があるため、実用上問題がある。かかる問題
を解決すべくJournal of Alloys and Compounds 2
84(1999)の145ページ〜154ページには、Mg−
Ni系合金のニッケル含有率を高くし、またこの合金に
カルシウムを添加することで大気圧下における水素放出
温度を下げたCaMg2Ni9合金が紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記CaMg2Ni9
金はMg2Ni合金よりは水素を放出する温度が低く、
具体的には100℃以下の温度で水素を放出することが
可能であり、この点に関しては実用的であるといえる。
しかし水素吸蔵量が少ないという問題点がある。本発明
者は、鋭意研究を重ねた結果、CaMg2Ni9合金元素
の組成割合を調整することで、水素吸蔵量を多くするこ
とができるとの知見を得た。本発明は、かかる知見に基
づき完成されたものであり、より水素吸蔵量が多い水素
吸蔵合金を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の水素吸蔵合金は合金の構成元素としてカル
シウム、マグネシウム、ニッケルを選択したこと、組成
式CaxMg2Niy(1<x≦2、6≦y≦12)で表
される組成を有することを特徴とする。
【0007】つまり、本発明の水素吸蔵合金は、合金を
構成する元素として水素吸蔵量が多く安価かつ軽量なカ
ルシウム、マグネシウムと、水素吸蔵量は少ないが水素
を放出しやすいニッケルを選択し、また合金組成を組成
式CaxMg2Niy(1<x≦2、6≦y≦12)で表
される組成とし、合金中のカルシウム含有比を従来のC
aMg2Ni9合金よりも高くするものである。
【0008】カルシウムはマグネシムと同様アルカリ土
類金属の一種だが、後に詳しく説明するようにマグネシ
ウムよりも原子半径が大きいため、合金中のカルシウム
含有比が高くなると合金がより水素を吸蔵しやすくな
る。すなわち水素吸蔵量は多くなる。
【0009】上記組成を有することにより本発明の水素
吸蔵合金は、従来のCaMg2Ni9合金と比較して、よ
り水素吸蔵量が多く、よりプラトー領域の広い水素吸蔵
合金となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水素吸蔵合金の実
施の形態について、本発明の水素吸蔵合金の構成元素と
組成、本発明の水素吸蔵合金の製造方法の項目に分け
て、それぞれ説明する。
【0011】〈本発明の水素吸蔵合金の構成元素と組
成〉本発明の水素吸蔵合金は、水素吸蔵合金を、組成式
CaxMg2Niy(1<x≦2、6≦y≦12)で表さ
れる組成とするものである。そして、本水素吸蔵合金に
おいて、最も望ましいものは、組成式中のx、yをそれ
ぞれx=1.5、y=9とする組成式Ca1.5Mg2Ni
9で表される水素吸蔵合金である。以下に、まず、最良
の実施形態である組成式Ca1.5Mg2Ni9で表される
本発明の水素吸蔵合金の組成のもつ意味と作用について
詳しく説明する。
【0012】一般的に、2成分系の水素吸蔵合金には組
成別にAB2型(例えばMgCu2)AB3型(例えばC
eNi3)、A2B型(例えばMg2Ni)、A27
(例えばGd2Ni7)、AB5型(例えばCaCu5)等
のタイプがある。これらのタイプの2成分系水素吸蔵合
金は、水素との結合力が強いA原子と、水素との結合力
が弱いB原子とから構成されている。A原子には、例え
ば水素とイオン結合により結合するアルカリ金属原子、
アルカリ土類金属原子を用いることができる。一方、B
原子には、例えば水素と金属結合により結合する6A族
から8族の遷移金属原子を用いることができる。A原子
は水素との結合力が強く、水素を安定した状態で吸蔵す
ることができるため、水素吸蔵量は多いが、逆に安定で
あるため高温にならないと水素を放出しない。一方、B
原子は水素との結合力が弱いため水素吸蔵量は少ない
が、水素を放出しやすい。
【0013】本発明の合金を構成する元素としては、A
原子としてカルシウム、マグネシウムを、またB原子と
してニッケルをそれぞれ選択した。前述したようにA原
子には、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子等を
用いることができる。この中でカルシウム、マグネシウ
ムは水素吸蔵量がそれぞれ、4.8重量%、7.6重量
%と比較的多く、また双方とも軽量、安価である。この
ため、合金にカルシウム、マグネシウムを用いると、単
位重量あたりの水素吸蔵量が多い合金を安価に製造する
ことができる。また、前述したようにB原子には、6A
族から8族の遷移金属原子等を用いることができる。こ
の中で特にニッケルは、カルシウムとCaNi5という
金属間化合物を、マグネシウムとMg2Niという金属
間化合物をそれぞれ形成するが、これらの金属間化合物
はいずれも水素吸蔵特性を有する。すなわち、2成分系
合金においてニッケルはカルシウム、マグネシウム双方
と水素吸蔵合金を形成する。したがって、A原子として
カルシウム原子、マグネシウム原子を用い、B原子とし
てニッケル原子を用いた本発明の水素吸蔵合金は、水素
吸蔵特性が良好な水素吸蔵合金となる。
【0014】次に、本実施形態の水素吸蔵合金中のカル
シウム、マグネシウム、ニッケルの含有比について説明
する。前述したように、カルシウム、マグネシウムは水
素との結合力が強く水素を安定した状態で吸蔵すること
ができるため、水素吸蔵量は多いが、逆に安定であるた
め高温にならないと水素を放出しない。一方、ニッケル
は水素との結合力が弱いため水素吸蔵量は少ないが、水
素を放出しやすい。水素は、合金内においてカルシウ
ム、マグネシウムとニッケルにより形成される4面体の
間隙(以下「Tサイト」と称す)、または8面体の間隙
(以下「Oサイト」と称す)に吸蔵されていると考えら
れる。従って、合金の水素吸蔵量はこのTサイト、Oサ
イトの数、大きさ、サイトまでの経路の有無等に依存し
ている。
【0015】カルシウム単体金属は、イオン結合により
水素と安定な水素化物を形成するため、水素吸蔵量が
4.8重量%と非常に多い。また、カルシウムは資源的
に豊富であり安価である。さらに、カルシウムは軽量で
あるため上記水素吸蔵量の多さと相俟って単位重量あた
りの水素吸蔵量が非常に多い。一方、カルシウムは水素
と安定な水素化物を形成するため一旦吸蔵した水素を放
出しにくい。例えば、大気圧下においてカルシウムが水
素を放出するためには600℃という高温雰囲気を作ら
なければならず、実用性極めて低い。このようなカルシ
ウム単体金属の特性から、水素吸蔵合金中のカルシウム
含有比が高いと合金の水素吸蔵量が多くなるが水素を放
出しにくくなる。
【0016】また、合金の結晶中においてカルシウムは
マグネシウムとともにA原子位置を占有し、B原子位置
を占有するニッケルと4面体または8面体を形成してい
るが、カルシウムはマグネシウムと比較して原子半径が
大きい。このため、カルシウム含有比が高いと上述した
TサイトまたはOサイトの体積が拡大されるため、言い
換えると4面体または8面体の隙間が大きくなるため、
水素が入りやすくなり、より一層水素吸蔵量が増える。
一方、カルシウム含有比が低いと、含有比が高い場合と
比較して合金は水素を放出しやすくなるが、Tサイトま
たはOサイトが拡大されないため水素吸蔵量は減る。
【0017】また、マグネシウム単体金属もカルシウム
と同様にイオン結合により水素と安定な水素化物を形成
するため、水素吸蔵量が7.6重量%と非常に多い。マ
グネシウムも安価、かつ軽量という特性を有するが、や
はりカルシウムと同様に一旦吸蔵した水素を放出しにく
く、例えば大気圧下においてマグネシウムが水素を放出
するためには287℃という高温雰囲気を作らなければ
ならない。
【0018】このようなマグネシウム単体金属の特性か
ら、水素吸蔵合金中のマグネシウム含有比が高すぎる
と、水素吸蔵量は増えるが水素を放出しにくくなるおそ
れがある。一方、マグネシウム含有比が低すぎると、水
素を放出しやすくなるが水素吸蔵量が減るおそれがあ
る。
【0019】また、ニッケル単体金属は金属結合により
水素と結合するが、結合力が弱く不安定であり、またニ
ッケル原子が小さく水素がTサイトまたはOサイトに入
りにくいこともあって水素吸蔵量は少ない。一方、水素
との結合力が弱く不安定なだけに、却って水素を放出し
やすい。
【0020】このようなニッケル単体金属の特性から、
水素吸蔵合金中のニッケル含有比が高いと合金の水素吸
蔵量が少なくなるおそれがあり、含有比が低いと合金が
水素を放出しにくくなるおそれがある。
【0021】以上詳しく述べた合金中のカルシウム、マ
グネシウム、ニッケルの作用、機能から、本発明の水素
吸蔵合金におけるカルシウムとマグネシウムとニッケル
との含有比は、Ca:Mg:Ni=1.5:2:9とす
るのがもっとも吸蔵特性と放出特性のバランスの採れた
ものであると結論づけられる。したがって、本実施形態
の水素吸蔵合金はその特性が最も良好なものとなる。
【0022】なお、従来のCaMg2Ni9合金は、前記
2成分系合金におけるAB3型類似の構造を有してい
る。上記Ca1.5Mg2Ni9合金の構造は明確にはされ
ていないが、このAB3型が維持された構造、あるいは
このAB3型に類似した構造を有していると考えられ
る。
【0023】本発明の水素吸蔵合金は、上記組成のもの
に限られるわけではない。様々なニーズに適確に対応し
た水素吸蔵特性を本発明の水素吸蔵合金が有するために
は、上記組成を中心とした所定の組成幅をもつ水素吸蔵
合金とすることができる。ただし、カルシウムとニッケ
ルはCaNi2、CaNi3、CaNi5等の、マグネシ
ウムとニッケルはMgNi2、Mg2Ni等の、カルシウ
ムとマグネシウムはCaMg2、カルシウムとマグネシ
ウムとニッケルはCa2MgNi6、CaMgNi4、C
aMg3Ni8等の金属間化合物をそれぞれ形成する。例
えば、上記実施形態であるCa1.5Mg2Ni9合金と比
較的組成の近いCaMg3Ni8金属間化合物の水素吸蔵
量は1.17重量%であり、このような金属間化合物が
存在すると、本発明の水素吸蔵合金は、その水素吸蔵量
が減少するおそれがある。そのため、これらの金属間化
合物の生成による影響を少なくすることが好ましい。
【0024】したがって、かかる観点から、実用的な水
素吸蔵合金であるためには、上記組成を中心として、そ
れぞれの構成元素の含有比を所定範囲とするのが望まし
い。本発明者による実験の結果等から判断し、組成式中
のxは1.5を中央値として±0.5、yは9を中央値
として±3とするのがよく、すなわち、本発明の水素吸
蔵合金は、組成式CaxMg2Niy(1<x≦2、6≦
y≦12)で表される合金として実施することができ
る。
【0025】また、先に述べた最も望ましい組成の合金
と特性が極めて近似する実用的な合金を得るため、本発
明の水素吸蔵合金は、組成式CaxMg2Niy(1.4
≦x≦1.6、8≦y≦10)で表される合金として実
施することができる。
【0026】なお、本発明の水素吸蔵合金を作製する場
合、原料、製造工程等から不可避の不純物が混入するこ
とも考えられるが、本発明の合金は、このような不可避
の不純物が混入した合金を特に排除するものではない。
【0027】以上説明したように、本発明の水素吸蔵合
金は、従来のCaMg2Ni9合金と比較して水素吸蔵量
が多く実用的である。したがって定置式、携帯式の水素
貯蔵容器、水素の分離、精製、回収装置、ヒートポン
プ、冷暖房システム、蓄熱システム、ケミカルコンプレ
ッサ、水素駆動自動車の燃料源、温度センサ等種々の用
途に使用することができる。
【0028】〈本発明の水素吸蔵合金の製造方法〉本発
明の水素吸蔵合金は、従来から水素吸蔵合金の製造に用
いられている種々の方法により製造することができる。
ここでは、その一例となる製造方法について説明する。
【0029】その製造方法は、原料となる金属のそれぞ
れの粉末を秤量し、これらを混合して混合粉を調製する
混合粉調製工程と、この混合粉を成形し成形体を作製す
る成形体作製工程と、この成形体を焼結させ焼結体を作
製する焼結体作製工程とからなる。
【0030】まず、混合粉調製工程では、例えば、原料
となるカルシウム、マグネシウム、ニッケルのそれぞれ
の粉末を、合金組成が所定の比率になるように秤量し、
秤量後の粉末をボールミル、ジェットミル、ジョークラ
ッシャー等の公知の装置を用いて攪拌、混合すればよ
く、これにより均一な混合粉を得ることができる。秤
量、および攪拌、混合のそれぞれの作業は、原料粉末の
酸化等を防ぐために、不活性ガス雰囲気中で行うことが
望ましく、その際の不活性ガスとしては、アルゴンガ
ス、ヘリウムガス、窒素ガス等を用いることができる。
【0031】次に、成形体作製工程では、例えば、混合
粉を金型に入れ、これに荷重を加え圧縮成形することに
より、成形体(いわゆるペレット、タブレット等)を作
製すればよい。次に、焼結体作製工程では、成形体を焼
結し、焼結体、すなわち本発明の水素吸蔵合金を得るこ
とができる。焼結は不活性ガス雰囲気中または真空中で
行うことが望ましく、また、焼結における温度は適宜選
択すれば良く、600℃〜1100℃程度とするのが好
ましく、900℃〜1000℃程度とするのが理想的で
ある。さらにまた、焼結時間も焼結温度等により適宜選
択すれば良く、30分〜2時間程度とすることが望まし
い。
【0032】本製造方法においては原料は粉末状のもの
を用いたが、原料粉末を混合するのにボールミル、ジェ
ットミル、ジョークラッシャー等の粉砕装置を用いる場
合は顆粒状、フレーク状であっても良い。なお、一般的
に原料の粒子は粒径が小さいほど好ましい。また、上記
製造方法においては、原料としてカルシウム、マグネシ
ウム、ニッケル単体金属の粉末を用いたが、それぞれの
金属が含まれた合金の粉末、例えばCaNi5粉やMg
Ni2粉等を原料として用いても良い。また、本発明の
水素吸蔵合金は、種々の形状のものとして用いてもよ
く、例えば、水素と反応する合金の表面積を増やすた
め、上記焼結体をボールミル等の公知の装置を用いて粉
砕し、粉状体の形で用いることもできる。なお、この際
の粉砕は、粉砕装置に代え、合金に水素を吸蔵、放出さ
せることにより行っても良い。また、合金使用時におけ
る微粉化を防ぐため、合金の表面に銅等によるメッキ処
理、フッ素処理等のコーティング処理やカプセル化処理
を施しても良い。さらにまた、焼結体を作成した後、必
要に応じてさらに焼鈍(アニール)しても良い。
【0033】
【実施例】以下、本発明のCa1.5Mg2Ni9水素吸蔵
合金、および従来のCaMg2Ni 9水素吸蔵合金につい
て行った実験を、本実施例の項において説明する。
【0034】〈実施例のサンプルの製造〉実験に用いた
実施例のサンプルは、上述した方法により製造した。ま
ず、混合粉調製工程においては、サンプルを構成する合
金の組成がCa:Mg:Ni=1.5:2:9となるよ
うに、原料となるCaNi5、Mg、Niの粉末をアル
ゴンガス雰囲気中において秤量した。なお、各々の原料
粉末は、それぞれの粒子の最大粒径が、CaNi5では
600μm以下、Mgでは80μm以下、Niでは2μ
m以上3μm以下のものを用いた。秤量後、それぞれの
粉末を1つの容器に入れ、転動ミルにて攪拌、混合し、
混合粉を調製した。次に、成形体作製工程では、この混
合粉を金型に入れ、343kNの荷重を加え圧縮成形
し、厚さ10mm、直径30mmφのペレットを作製し
た。次に、焼結体作製工程では、ペレットをアルゴンガ
ス雰囲気中で900℃の温度の下、1時間保持すること
により焼結体を作製した。最後に、焼結体をアルゴン雰
囲気中で粉砕し、Ca1.5Mg2Ni9の組成を有する水
素吸蔵合金の粉砕物、すなわち本実験に用いる実施例の
サンプルを作製した。なお、サンプルの最大粒径は10
0μm以下とした。
【0035】〈比較例のサンプルの製造〉比較例のCa
Mg2Ni9合金サンプルも、実施例のサンプルと同様に
上述した方法にて製造した。実施例のサンプル製造方法
における製造条件との相違点は、サンプルを構成する合
金の組成がCa:Mg:Ni=1:2:9となるように
各々の原料粉末を秤量している点だけであり、他の条件
は同様である。
【0036】〈実験方法〉実験は、20℃の温度条件下
における水素平衡圧力と水素吸蔵、放出量との関係を測
定することにより行った。水素平衡圧力と水素吸蔵、放
出量との関係は以下のようにして測定した。まず、既知
体積の蓄圧容器に充てんされている水素を、恒温槽によ
り20℃に保持されているサンプル入り容器に導入し
て、サンプルに水素を吸蔵、放出させ平衡状態に到達さ
せた。合金の水素吸蔵量は、水素をサンプル入り容器に
導入する前後の圧力の変化と系の内容積から気体の状態
方程式に基づいて計算した。なお、系の内容積とは水素
蓄圧容器、サンプルを入れてある容器、および配管等の
体積の和である。次に、蓄圧容器の水素圧を変えて同様
の操作を行い、その水素圧における水素吸蔵量を測定し
た。このような操作を、水素放出量を測定する場合は蓄
圧容器の水素圧を上げながら、また水素吸蔵量を測定す
る場合は蓄圧容器の水素圧を下げながら繰り返すことに
より様々な水素平衡圧力における水素吸蔵量を測定し、
水素平衡圧力−水素吸蔵、放出量等温線を作成した。
【0037】〈実験結果〉測定により作成した20℃に
おける水素平衡圧力−水素吸蔵、放出量等温線を図1に
示す。図中◆印は実施例のCa1.5Mg2Ni9合金サン
プルのデータを、▲印は比較例のCaMg2Ni9合金サ
ンプルのデータを示す。なお図中のヒステリシス曲線に
おいては、上側が水素吸蔵過程を、下側が水素放出過程
をそれぞれ示している。
【0038】図より20℃における合金の限界水素吸蔵
量は、水素吸蔵後の合金の重量を100%として、比較
例サンプルが0.83重量%であるのに対し、実施例サ
ンプルが1.36重量%であり、実施例サンプルの方が
限界水素吸蔵量が多いことが判った。また、プラトー領
域も、水素吸蔵過程、水素放出過程ともに実施例サンプ
ルの方が比較例サンプルよりも広いことが判った。
【0039】以上の、限界水素吸蔵量、およびプラトー
領域に関するデータから、実施例サンプルの方が比較例
サンプルよりも水素吸蔵量が多く実用的であることが判
った。
【0040】
【発明の効果】本発明の水素吸蔵合金は、その組成をC
xMg2Niy(1<x≦2、6≦y≦12)とする。
このような組成とすることにより、本発明の水素吸蔵合
金は、水素吸蔵量が多く、プラトー領域が広い水素吸蔵
合金となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例および比較例のサンプルの20℃にお
ける水素平衡圧力−水素吸蔵、放出量等温線を示す図で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式CaxMg2Niy(1<x≦2、
    6≦y≦12)で表される水素吸蔵合金。
  2. 【請求項2】 前記x、yはそれぞれx=1.5、y=
    9である請求項1に記載の水素吸蔵合金。
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