JP2002060685A - 断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材 - Google Patents

断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材

Info

Publication number
JP2002060685A
JP2002060685A JP2000243548A JP2000243548A JP2002060685A JP 2002060685 A JP2002060685 A JP 2002060685A JP 2000243548 A JP2000243548 A JP 2000243548A JP 2000243548 A JP2000243548 A JP 2000243548A JP 2002060685 A JP2002060685 A JP 2002060685A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
insulating sheet
heat insulating
insulating layer
decorative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000243548A
Other languages
English (en)
Inventor
Arimichi Ito
有道 伊東
Ryohei Nagata
良平 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2000243548A priority Critical patent/JP2002060685A/ja
Publication of JP2002060685A publication Critical patent/JP2002060685A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術において、発泡剤を使用したときの
発泡倍率の制御が難しく、所定の大きさや密度の気泡を
有した断熱性層の形成が困難であった点を解消し得る塗
料組成物、並びに、曲げに関して柔軟性を有し、しか
も、加温加湿状態で長時間放置しても表面が粘着性を帯
びることがない断熱性シート、化粧断熱性シート、およ
びそれらが積層された断熱性建装部材を提供することを
課題とする。 【解決手段】 中空粒子と、バインダとして、ポリエス
テルポリオール、アミノ基含有ポリオール、および脂肪
族イソシアネート化合物の反応生成物からなり、ガラス
転移温度が−25℃〜5℃、前記反応生成物100gを
生成するために要する前記脂肪族イソシアネート化合物
のモル数が0.05モル〜0.296モルであるポリウ
レタン樹脂を用いて塗料組成物を調製して使用し、断熱
性シート等を作製し、課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の用途、分野
における断熱性層の形成を塗装や含浸によって行なうの
に適した断熱性層形成用塗料組成物に関する。その用
途、分野は、建築物や交通機関の乗客室の床・壁・天井
等を構成する各種部材、冷蔵庫・保温庫、もしくは液体
飲料用自動販売機や液体飲料用サーバ等の収納物の保冷
もしくは保温を行なう機械・器具、もしくは身体を包む
衣料品や靴等の広義の衣料や寝具等の用途、分野であ
り、これらにおいて、所定の空間と環境との間の熱伝導
や輻射を抑制し、環境温度よりも高いかもしくは低い適
正な温度を維持するための断熱性層を形成する目的で使
用する。また、本発明は、上記の断熱性層形成用塗料組
成物を用いて形成された断熱性シート、もしくは化粧を
施した化粧断熱性シートにも関するものである。さらに
また、本発明は、断熱性シート、もしくは化粧断熱性シ
ートを適用した断熱建装部材にも関するものである。
【0002】
【従来の技術】断熱材を、高温状態や低温状態を維持す
るために使用することは、よく行なわれており、エネル
ギーの節約、高温状態や低温状態が周囲の環境に影響を
与える事の抑制、あるいはそれらの状態にあるものに直
接に接触して火傷や凍傷になる事の防止等が実現され
る。
【0003】熱伝導は、伝熱、輻射、もしくは対流によ
って生じるので、断熱材としては、それらの熱伝導を抑
制するよう、密度が小さく、かさがあるもので構成され
たものを使用し、各種の繊維(絡み合った状態のも
の)、もしくは発泡体等で構成する事が多い。
【0004】しかし、各種の繊維は、対象となる部位に
適用するのに手作業の要素が多くなる上、吸湿すると断
熱効果が低下し、また、被覆せずに使用すると繊維が飛
散して、皮膚を刺激する等の欠点がある。発泡体は、予
め所定の厚みのシートとしておくことにより、取り扱い
が各種の繊維の場合よりは容易となるものの、直接、そ
の部位に注入して発泡する現場発泡を除けば、適用する
部位の形状に合わせることが難しく、また接触面積が小
さいために、他のフィルム等との貼り合わせが難しい等
の欠点を有している。なお、各種の繊維、発泡体のいず
れにおいても、厚みのごく薄い断熱材を形成するのが難
しい。
【0005】そこで、発明者等は、バインダー樹脂、発
泡剤、および溶剤を主成分とする発泡性塗料組成物を用
いることにより、上記の従来技術の改善を試みたが、こ
のような発泡性塗料組成物を用いて断熱性層を形成する
際には、発泡のための加熱温度もしくは加熱時間の僅か
な違いにより、発泡倍率が異なり、発泡の制御が難し
く、発泡を完全に行なわせようとすると、過度に発泡が
生じる等、所定の発泡倍率で均一に発泡した断熱性層の
形成を行なうことが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題の一は、
従来技術において、発泡剤を使用したときの発泡倍率の
制御が難しく、所定の大きさや密度の気泡を有した断熱
性層の形成が困難であった点を解消し得る塗料組成物を
提供することである。本発明の別の課題は、上記の塗料
組成物を用いて得られる断熱性シートとして、施工の際
に施工面に追随する柔軟性を有し、しかも、高温、高圧
下で粘着性を帯びることのないものを提供することであ
る。この断熱性シートとして、施工面に美観を与える目
的で、化粧を施された化粧断熱性シートを提供すること
も課題の一つである。さらに本発明の課題としては、上
記の断熱性シートもしくは化粧断熱性シートが表面に適
用された断熱性建装部材を提供することも含んでいる。
【0007】
【課題を解決する手段】本発明においては、従来の塗料
組成物において用いていた発泡剤に代えて、中空粒子を
用いることにより、上記の課題を解決することができ
た。また、本発明においては、塗料組成物に用いるバイ
ンダ樹脂として、特定のポリウレタン樹脂を用いること
により、このような塗料組成物を用いると、曲げに関し
て柔軟性を有し、しかも、加温加湿状態で長時間放置し
ても表面が粘着性を帯びることがない優れた断熱性層が
得られることが判明した。
【0008】第1の発明は、ポリエステルポリオール、
アミノ基含有ポリオール、および脂肪族イソシアネート
化合物の反応生成物からなり、ガラス転移温度が−25
℃〜5℃、前記反応生成物100gを生成するために要
する前記脂肪族イソシアネート化合物のモル数が0.0
5モル〜0.296モルであるポリウレタン樹脂100
質量部、および中空粒子10〜120質量部とが、水5
0〜5000質量部に分散していることを特徴とする断
熱性層形成用塗料組成物に関するものである。第2の発
明は、請求項1記載のポリウレタン樹脂100質量部中
に中空粒子10〜120質量部が分散していることを特
徴とする断熱性層が基材と積層されたことを特徴とする
断熱性シートに関するものである。第3の発明は、請求
項2記載の前記断熱性層が被覆用フィルムで被覆された
ことを特徴とする断熱性シートに関するものである。第
4の発明は、請求項2または3記載の前記断熱性シート
に化粧が施されたことを特徴とする化粧断熱性シートに
関するものである。第5の発明は、第4の発明におい
て、前記化粧が施された表面にさらに保護層が積層され
たことを特徴とする化粧断熱性シートに関するものであ
る。第6の発明は、請求項2または3記載の前記断熱性
シートに化粧シートが積層されたことを特徴とする化粧
断熱性シートに関するものである。第7の発明は、請求
項2もしくは3記載の断熱性シート、または請求項4〜
7いずれか記載の化粧断熱性シートが、熱伝導性の素材
からなる板の上、もしくはパネルの上に積層されたこと
を特徴とする断熱性建装部材に関するものである。第8
の発明は、請求項2もしくは3記載の断熱性シート、ま
たは請求項4〜7いずれか記載の化粧断熱性シートが、
熱伝導性の素材からなる押し出し型材の表面に積層され
たことを特徴とする断熱性建装部材に関するものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の断熱性層形成用塗料組成
物は、基本的には、特定のポリウレタン樹脂からなるバ
インダー樹脂、中空粒子、および分散剤である水とを構
成成分とするものである。中空粒子はアクリル系樹脂、
もしくはポリスチレン樹脂からなる有機質のものか、シ
リカ、もしくはアルミナを主成分とする無機質のもので
あるか、または、マイクロカプセル型発泡剤が発泡した
ものであり、さらに、増粘剤が配合されたものであって
もよい。
【0010】バインダー樹脂であるポリウレタン樹脂
は、ポリオール成分であるポリエステルポリオール、お
よびアミノ基含有ポリオールと、脂肪族イソシアネート
化合物との反応生成物からなり、ガラス転移温度が−2
5℃〜5℃、前記反応生成物100gを生成するために
要する前記脂肪族イソシアネート化合物のモル数が0.
05モル〜0.296モルであるものである。
【0011】上記のポリオール成分のうちのポリエステ
ルポリオールとしては、アジピン酸等のジカルボン酸と
グリコール、もしくはトリオールの縮合物(例えば、ポ
リアジペートジオール)、ポリラクトンポリオール(例
えばポリカプロラクトンジオール、もしくは、炭酸エス
テルとヘキサメチレングリコール等のグリコール類との
反応生成物であるポリカーボネートポリオール等を、単
独、もしくは混合して使用できる。
【0012】また、ポリオール成分のうちのアミノ基含
有ポリオールとしては、1−アミノ−1,4−ブタンジ
オール、もしくは1−アミノ−2−メチル−1,3−ブ
タンジオールが使用できる。
【0013】上記の2種類のポリオールは、ポリエステ
ルポリオール/アミノ基含有ポリオール=50/1〜1
/1の範囲(モル比)で併用することができる。この範
囲よりもポリエステルポリオールが過剰であれば、得ら
れる断熱性層に黄変が発生しやすく、また、この範囲よ
りもアミノ基含有ポリオールが過剰であれば、得られる
断熱性層が柔軟性に欠ける。
【0014】バインダー樹脂であるポリウレタン樹脂を
生成するための脂肪族イソシアネート化合物としては、
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート、もしくは水添キシリレン
ジイソシアネートを使用することができる。
【0015】上記のポリウレタン樹脂は、そのガラス転
移温度が−25℃〜5℃であることが好ましく、ガラス
転移温度が−25℃未満であると、このような樹脂をバ
インダとする断熱性層形成用塗料組成物を用いて得られ
る断熱性層は、長期的な使用で、粘着性を帯びる恐れが
あり、また、ガラス転移温度が5℃を超えると、このよ
うな樹脂をバインダとする断熱性層形成用塗料組成物を
用いて得られる断熱性層は、柔軟性が低くくなり、曲面
に沿って適用するのに支障が生じる。
【0016】また、上記のポリウレタン樹脂において、
ポリオール成分であるポリエステルポリオールおよびア
ミノ基含有ポリオールと、脂肪族イソシアネート化合物
とを反応させて反応生成物を得る際に、反応生成物10
0gを生成するために要する前記脂肪族イソシアネート
化合物のモル数が0.05モル〜0.296モルである
ものであることが好ましい。脂肪族イソシアネート化合
物が、上記のモル数未満であると、得られる断熱性層の
タックが強くなり、また、脂肪族イソシアネート化合物
が、上記のモル数を超えると、得られる断熱性層が柔軟
性に欠ける。
【0017】本発明の断熱性層形成用塗料組成物中に配
合する中空粒子としては、種々のものが使用でき、例え
ば、有機質の中空粒子としては、アクリル、もしくはア
クリルニトリル等のアクリル系樹脂、またはポリスチレ
ン樹脂等の合成樹脂を素材とするものが使用できる。ま
た、無機質の中空粒子としては、工業的に得られるシリ
カ、アルミナ等を主成分とするもののほか、天然品であ
る、火山性のシラスバルーンのようなものも使用でき
る。また、後述する親水性や疎水性の中空粒子も使用可
能である。
【0018】また、中空粒子としては、マイクロカプセ
ル型の発泡剤を予め発泡させた発泡済のものを使用する
こともできる。マイクロカプセル型の発泡剤自体は、ア
クリルニトリル等の樹脂で外壁が構成され、内容物とし
て、イソブタン、もしくはネオペンタン等の低沸点炭化
水素を含んだものである。マイクロカプセル型発泡剤の
発泡済のものとしては、例えば、松本油脂製薬(株)製
の中空粒子(品番で、F−80ED、もしくはF−80
E)は、外壁がごく薄く、自身の密度が0.02g/c
3〜0.07g/cm3と小さいので、断熱性層形成用
塗料組成物に配合した際に、熱伝導性の抑制に効果的で
あり、好ましい。
【0019】一般的に入手が可能で、利用できる中空粒
子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であり、これら
の中から選択して1種類、または2種類以上を使用す
る。
【0020】中空粒子自体は比較的丈夫なため、圧縮等
の外力にも耐えるが、中空粒子を合成樹脂塗料組成物、
特に合成樹脂エマルジョン系塗料組成物中に分散させる
ときは、攪拌操作の際に、塗料組成物中に気泡が入り込
みやすい。気泡は、断熱性を向上させる意味で役立つの
で、意図的に気泡を発生させたり、もしくは、マイクロ
カプセル型や分解型等の化学発泡剤等を使用して発泡さ
せ、気泡を発生させてもよい。中空粒子を伴わず、気泡
のみでも、断熱性を与えることは可能だが、制御の困難
性があるので、気泡の過度な発生を起こさせないように
することが好ましい。
【0021】中空粒子を合成樹脂塗料組成物中に分散さ
せたものを使用する等して断熱性層を形成して使用する
と、中空粒子のつぶれにより、断熱性が経時的に低下す
る傾向が見られるので、断熱性シートの耐圧縮性を高く
する必要があるときには、中空粒子の選択を次のような
3通りの方式で行なってもよい。 (1)粒径の異なる中空粒子のブレンド (2)親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンド (3)粒径の異なる親水性中空粒子と疎水性中空粒子と
のブレンド 以上の3通りの方式について、以下に説明する。
【0022】(1)の粒径の異なる中空粒子のブレンド
で大きい中空粒子の間を小さい中空粒子が埋めるために
は、大きい方の中空粒子の直径a、小さい方の中空粒子
の直径bの関係は、b≧a(2−31/2 )/31/2 であ
り、これを計算すると、b≧0.155aである。ま
た、最も疎な充填である体心立方の場合には、b=a
(2−21/2 )/21/2 であり、これを計算すると、b
=0.414aである。従って、0.155a≦b≦
0.414aとなり、粒径aの中空粒子にブレンドする
ための中空粒子の直径bが規定される。
【0023】因みに、最も密な六方細密充填の場合に、
直径aの中空粒子の空隙に直径bの中空粒子が隙間無
く、ちょうど入り込むためには、b=2a(11/3)
1/2 /3であり、これを計算すると、b=0.277a
である。先に述べたように、入手し得る中空粒子の粒径
は、0.3〜300μmの範囲であるので、この中か
ら、上記の関係を満たす中空粒子の大小の組み合わせを
選択して使用する。
【0024】上記において、直径aの中空粒子の単位あ
たりの粒子の数N(a)と、直径bの中空粒子が入れる
空隙の数N(b)との関係は、六方細密の場合で、N
(b)/N(a)=8:6であり、体心立方の場合、N
(b)/N(a)=4:2である。これを整理すると、
1/2≦N(a)/N(b)≦3/4であり、それぞれ
の直径の中空粒子をブレンドする際の重量比は、充填の
疎密の度合いを決めた後、中空粒子の数の比、各中空粒
子の比重・粒径から計算で求める。
【0025】この(1)の粒径の異なる中空粒子のブレ
ンドを、上記したような条件下で行ない、高分子マトリ
ックス中に分散させて作製した断熱性層は、気泡のある
部分では、直径の小さい方の中空粒子が直径の大きい方
の中空粒子の間に充填されて補強されるため、耐圧縮性
が強化され、つぶれにくい構造となる。
【0026】(2)の親水性中空粒子と疎水性中空粒子
とのブレンドでは、疎水性の中空粒子が空気との親和性
の方がより高いために、分散の際に塗料組成物中に取り
込まれた気泡を疎水性の中空粒子が取り囲み、外側が疎
水性の二次的な粒子を作り、親水性の中空粒子および親
水性の樹脂の間に分散した形の断熱性シートとなる。
【0027】ここで、親水性の中空粒子とは、材質が、
ガラス、シリカ、シリカ・アルミナ、セラミック、シラ
ス、中空プラスチック、または中空繊維等からなるもの
であり、また、疎水性の中空粒子としては、これらの親
水性の粒子に疎水化処理を行なったものがある。親水性
中空粒子と疎水性中空粒子の混合比は、形成したい気泡
の大きさ、各中空粒子の粒径および比重から計算で求め
る。
【0028】(3)の粒径の異なる親水性中空粒子と疎
水性中空粒子とのブレンドは、上記の(1)および
(2)の方式の手段を合わせたもので、粒径の小さい疎
水性粒子と粒径の大きい中空粒子とが混合された中空粒
子の間に気泡を有した構造の断熱性層が得られる。この
方式では、粒径の大きい中空粒子の間に粒径の小さい疎
水性粒子が充填されるので、中空粒子の間に形成される
気泡の壁が強化され、つぶれにくい構造の断熱性層が得
られる。
【0029】以上に説明した各成分は、バインダーであ
る上記したポリウレタン樹脂100質量部、および中空
粒子10〜120質量部を、水50〜5000質量部と
配合し、分散させ、本発明の断熱性層形成用塗料組成物
とすることが出来る。
【0030】本発明の断熱性層形成用塗料組成物中に
は、増粘剤が配合されていてもよく、バインダー樹脂1
00質量部に対して、40〜200質量部、より好まし
くは40〜80質量部の割合で配合し、溶解もしくは分
散させて使用するとよい。
【0031】増粘剤は、本発明の断熱性層形成用塗料組
成物中での中空粒子の沈降、もしくは浮上による分離を
防止し、中空粒子を均一に分散させる目的で配合するも
のである。特に中空粒子として、マイクロカプセル型発
泡剤の発泡済のものを使用するときは、このものの密度
が小さいために、塗料組成物中に分散しても、浮上して
しまうが、増粘剤の配合により分散状態を安定に維持す
ることが可能になる。
【0032】具体的な増粘剤としては、水分散系のケイ
酸系やベントナイト等の無機質増粘剤、セルロース誘導
体、蛋白質系、ポリアクリル酸塩系、もしくはビニル系
等の有機質増粘剤が使用でき、有機質増粘剤は、具体的
には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、もしくはヒドロキシエチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン
酸アンモニウム、もしくはアルギン酸ナトリウム等のた
ん白質系、ポリアクリル酸ナトリウム、もしくはポリア
クリル酸アンモニウム等のポリアクリル酸塩系、または
ポリビニルアルコール等のビニル系である。また、アル
カリ共存型のアクリル樹脂系増粘剤は、アクリル樹脂溶
液として供給され、アルカリ(アンモニア)添加により
樹脂が膨潤して増粘効果を生じるもので、塗付後の乾燥
でアルカリ(アンモニア)が除かれるため、塗膜となっ
た状態で、増粘剤に起因する影響が残らず好ましい。
【0033】このほか増粘剤としては、体質顔料と呼ば
れる沈降性炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、
クレー、炭酸マグネシウム、石膏、カオリン、もしくは
水酸化アルミニウム等の体質顔料も使用できる。以上の
増粘剤は、1種または2種以上、選択して使用すること
ができる。
【0034】さらに、増粘剤が40質量部未満では、増
粘効果が不十分なため、中空粒子の沈降もしくは浮上が
避けられず、また200質量部を超えると、増粘が過度
になって、塗布もしくは含浸等に支障が生じる上、相対
的にバインダー樹脂の割合が少なくなり過ぎ、得られる
断熱性層の強度が低下するほか、使用する増粘剤の種類
にもよるが、得られる断熱性層中において、中空粒子を
取り囲む、バインダー樹脂および増粘剤からなる部分の
熱伝導性が上がるため、断熱性能が低下し、好ましくな
い。
【0035】本発明の断熱性層形成用塗料組成物の上記
配合比において、中空粒子が10質量部未満であると、
この断熱性層形成用塗料組成物を適用して得られる断熱
性層の空隙率が低いために、十分な断熱性能が得られ
ず、120質量部を超えると、相対的にバインダー樹脂
の割合が少なくなり過ぎ、得られる断熱性層の強度が低
下する。
【0036】また、分散剤である水が50質量部未満で
は、断熱性層形成用塗料組成物の流動性が乏しく、塗布
や含浸が円滑に行なえず、5000質量部を超えると、
断熱性層形成用塗料組成物の粘度が低くなりすぎて、塗
布もしくは含浸の際に、十分な塗布量もしくは含浸量が
得られなくなり、得られる断熱性層に必要な断熱性能を
付与することが困難になる。
【0037】本発明の断熱性層形成用塗料組成物は種々
の対象に適用可能であるが、工業的には、種々の基材上
に塗布するか、含浸性を有する基材に塗布もしくは含浸
させ、乾燥等により固化させ、断熱性層を形成して断熱
性シートとすることができる。
【0038】図1は、そのようにして、基材2上に断熱
性層3が積層された断熱性シート1の構造を示すもの
で、基材2が含浸性を有する場合には、図1に示すよう
に、基材2の上面側から内部に向かって断熱性層形成用
塗料組成物が浸透するので、基材2の上面側の一部は、
断熱性層形成用塗料組成物が浸透して固化したものであ
ることがある。含浸性を有しない基材2の場合には、単
なる積層状態が生じる。なお、金属ベルト上や剥離紙等
に断熱性層形成用塗料組成物を塗布し、乾燥、固化させ
た後に剥離すると、断熱性層3のみのものも得られ、こ
のような形態のものも断熱性シートとして使用できる。
【0039】基材2としては、紙、プラスチック、金属
等を素材とする、フィルム、シートもしくは板等が挙げ
られる。これらは、通常、断熱性層形成用塗料組成物全
体が実質的に浸透しない。
【0040】また、含浸性を有する基材2としては、天
然繊維、合成繊維、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊
維等の繊維を原料として製造されたフェルト、不織布、
布、もしくはこれらの前記繊維を原料として抄造された
紙(特に低密度紙)、またはセラミックスシート等が使
用できる。ここで言う含浸性とは、先に述べたように、
片側から断熱性層形成用塗料組成物を適用した際に、断
熱性層形成用塗料組成物が反対側の面まで到達しないよ
うな、厚みの全部には含浸せず、厚みの一部に含浸する
ものも含める。
【0041】上記の基材、もしくは含浸性を有する基材
は、基材の概念に含まれるものどうし、もしくは含浸性
基材の概念に含まれるものどうしを、適宜にラミネート
した複合体として、断熱性層形成用塗料組成物を塗布、
もしくは含浸してもよい。いずれにおいても、必ずしも
同一のものどうしをラミネートしなくてもよい。また、
上記の基材と含浸性基材を適宜にラミネートした複合体
として、基材側に断熱性層形成用塗料組成物を塗布する
か、もしくは含浸性を有する基材側に含浸してもよい。
【0042】断熱性層3は、図2に示すように、被覆用
フィルムで被覆されていてもよい。例えば、図2(a)
におけるように、基材2、断熱性層3、および被覆用フ
ィルム4が順に積層されていてもよい。断熱性層3上へ
の被覆用フィルム4の積層は例えば接着剤層(図示せ
ず。)を介して行なう。この図2(a)に示すような構
造のものにおいて、最下層の基材2は先に述べたよう
に、省くこともできる。
【0043】断熱性層3への被覆用フィルムの積層は、
図2(b)に示すように、断熱性層3の表裏に被覆用フ
ィルム4および4’を積層することもできる。この場
合、断熱性層3は、下層に基材2(図示せず。)を有し
ていてもよい。2枚の被覆用フィルム4および4’と断
熱性層3のみの積層体であれば、いずれか一方の被覆用
フィルムに断熱性層形成用塗料組成物を適用し、その
後、他方の被覆用フィルムを接着剤層を介して積層する
か、断熱性層形成用塗料組成物を接着剤層として扱っ
て、積層するとよい。
【0044】被覆用フィルム4(もしくは4’)として
は、まず、適宜なプラスチックフィルム、例えば、ポリ
エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチ
レン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ
リエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、
フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメ
タクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナ
イロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、三
酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、またはポ
リイミド樹脂等のフィルムが使用できる。
【0045】被覆用フィルム4(もしくは4’)として
は、上記の樹脂のフィルムの1軸又は2軸延伸のもの
を、必要に応じて、片面もしくは両面にコロナ放電処
理、低温プラズマ処理等の放電処理、シランカップリン
グ剤の塗布、ゾル−ゲル剤塗布、またはサンドブラスト
処理等の表面処理を施して接着性を向上させておく。
【0046】被覆用フィルム4もしくは4’には、透湿
性の低いポリ塩化ビニリデン樹脂等の樹脂バインダーを
用いて調製された別の塗料を塗布するか、金属ないし金
属酸化物の薄膜を形成して気体透過を抑制しておくとよ
い。これら金属薄膜においては、一酸化ケイ素と二酸化
ケイ素のように酸化数の異なる金属酸化物どうしの混合
物であったり、ケイ素化合物とアルミニウム酸化物との
混合物であってもよいし、無機酸化物を主体とした有機
基と結合したものであってもよい。
【0047】薄膜の形成方法としては、例えば、イオン
ビーム法、電子ビーム法等の真空蒸着法、またはスパッ
タリング法等の物理気相成長法、もしくは、プラズマ化
学気相成長法、熱化学気相成長法、または光化学気相成
長法等の化学気相成長法が利用できる。薄膜の厚みは、
好ましくは、50〜3000Åであり、より好ましくは
100〜1000Åである。50Å未満では気体透過を
抑制する効果がほとんど無く、3000Åを越えると薄
膜にクラックが生じて気体透過性が低下する恐れがある
上、材料費も割高となる。独立気泡の発泡シートにアル
ミニウム蒸着フィルムを貼ると、独立気泡内に封じ込め
た熱伝導率の低いガスが空気と置換するのを防ぐ効果も
ある。
【0048】本発明の断熱性層形成用塗料組成物を、上
記のような適用対象に適用する方法としては、公知の塗
布方法もしくは含浸方法を利用する。塗布方法として
は、粘度範囲、塗付量範囲が広いロールコーティング、
もしくはバーコーティングが適しているが、その他の方
法によってもよい。
【0049】含浸方法としては、断熱性層形成用塗料組
成物を満たした槽の中に、含浸性を有する基材を浸す方
法(いわゆるディッピング)によるか、公知の塗布手段
により、基材の片側もしくは両側から塗布する方法によ
る。含浸用塗料が十分浸透してから、余分の含浸用塗料
を適宜なかき取り装置または除去装置、例えば、サクシ
ョンドクター、ドクターロール、もしくは丸棒にワイヤ
ーを巻き付けたワイヤーバー等により、余剰分をかき取
るか、もしくは除去し、所定の量の断熱性層形成用塗料
組成物を基材に含浸させる。
【0050】断熱性層形成用塗料組成物を適用後、乾燥
させることによって、断熱性層3が得られる。断熱性層
形成用塗料組成物を構成する素材、特にバインダー樹脂
の素材によっては、一旦、比較的低温で乾燥させた後、
比較的高温度で乾燥させたり、乾燥の一部、もしくは全
部を紫外線照射や電子線照射によって行なってもよい。
【0051】被覆用フィルム4(もしくは4’)と断熱
性層3もしくは断熱性シート1との積層は、接着剤層を
介して行なうか、コロナ処理後に必要ならプライマー層
を介して接着剤を適用するか、もしくは熱シールによっ
て行なう。被覆用フィルム4(もしくは4’)を積層し
ても、断熱性層3もしくは断熱性シート1の端面は、空
気中に露出するため、端面に樹脂塗料を塗布するか、火
炎で素材を溶融させる等してシールしてもよい。
【0052】本発明の断熱性シートは、後に述べるよう
に、建装部材を含め種々の物品の表面に積層し、人目に
触れやすい箇所で使用されることもあるので、何らかの
化粧(=装飾)を施したものであってもよい。化粧の施
し方としては種々のものがあるが、着色、印刷、エンボ
ス、またはワイピング塗装が代表的であり、これらのう
ちから任意に選択して、1種または2種以上が組み合わ
せて施されたものであってもよい。
【0053】図3は化粧の様子を示すもので、図3
(a)は断熱性シート1に着色(ハッチで示す。)を施
して得られる化粧断熱性シート10を示す。なお、図3
(a)〜(c)で示す断熱性シート1は図1、図2
(a)、および図2(b)を引用して説明したような種
々の形態のものを含む。着色は、図3(a)にイメージ
的に示すように、断熱性シート1の厚み方向全体に施さ
れていても、観察側になる片側の表面のみに施されてい
てもよい。また、着色しただけでもよいが、さらに、保
護層6が積層してあってもよい。保護層6の積層は任意
であって、図3(b)および図3(c)を引用して行な
う説明においても、その都度の説明は省くが、同様であ
る。
【0054】図3(b)は、断熱性シート1(図では着
色してはいない。)に印刷して模様層7を施した化粧断
熱性シート10を示すもので、模様層7は着色層7aと
絵柄層7bとからなっているが、着色層7aは省略し得
る。また、断熱性シートが、図3(a)を引用して説明
したように着色されたものであってもよい。
【0055】図3(c)は、エンボス(=エンボス加工
による凹凸、図では凹部のこと)8を施した化粧断熱性
シート10を示し、かつ、エンボス8の部分に、ワイピ
ング塗装により着色剤8aを充填した様子を示す。やは
り、図では、断熱性シート1は着色してはいないが、図
3(a)を引用して説明したように着色されたものであ
ってもよい。ここにおいて、着色剤8aの充填が省かれ
ていてもよい。
【0056】化粧を施す部位は、断熱性シート1の表裏
のいずれの面でもよいが、化粧を施した側の面を外向き
にするか、あるいは、そうでない場合には、素材を通し
て化粧が透視できるように施す。保護層で化粧上を被覆
する場合は、保護層は下層の透視性の確保の点から、無
色透明または有色透明であることが望ましい。被覆用フ
ィルム4を伴なう断熱性シート1は、被覆用フィルム4
(もしくは4’)を対象として化粧を施すこともでき、
被覆用フィルム4(もしくは4’)が透明であれば下層
への化粧を施すこともできる。なお、基材2に化粧を施
すことも可能であり、基材2が透明であれば、基材2と
積層する断熱性層3に化粧を施すこともできる。
【0057】保護層6は、合成樹脂塗料の塗膜で構成す
るか、場合によっては、合成樹脂フィルムの積層によっ
て構成してもよい。保護層をポリメタクリル酸樹脂のフ
ィルムやフッ素系樹脂のフィルムで被覆して有っても良
いし、あるいはフッ素系樹脂のような汚れに強い樹脂の
フィルムでも有り得る。合成樹脂塗料の塗膜としては、
熱可塑性樹脂を用いたものでもよいが、ポリウレタン樹
脂等の熱硬化性樹脂の硬化した塗膜が耐久性の点で優れ
ており、さらに電離放射線硬化性のポリマーまたはプレ
ポリマーを用いて調製した電離放射線硬化性樹脂組成物
の塗布、および電離放射線の照射により架橋硬化させて
得られる塗膜で構成すると、なお、一層、下層の保護効
果が向上する。
【0058】着色は、断熱性シート1に直接に塗装、ま
たは含浸する等して施すか、断熱性層3や被覆用フィル
ム4(もしくは4’)の片方又は両方を構成する素材を
予め着色しておく。あるいは、被覆用フィルム4(もし
くは4’)の製造と同時に着色しておくか、シート化し
た後、染色、塗装等により、シートを着色しておく。な
お、着色は、顔料、染料を必要に応じてバインダー樹脂
と混練して作った塗料組成物を使用して行なう。
【0059】印刷は、断熱性シート1に行なってもよい
が、断熱性シート1の観察側の表面が凹凸形状を有する
場合には、その面に印刷を鮮明に行なうには支障があ
る。そのような場合には、直接印刷せず、転写した方が
印刷効果が上がる。片面が凹凸を有しない場合には、そ
こに印刷して観察側から見える限り、凹凸のない側に印
刷してもよい。印刷の際に、模様のみを印刷してもよい
が、下地色を整える意味で、均一な着色層3aを形成し
ておいてから、模様3bを印刷するとよい。なお、被覆
用フィルム4(もしくは4’)としては、表面が平坦な
ものを使用することが普通なので、被覆用フィルム4
(もしくは4’)が観察側になる限り、その表面に印刷
するとよく、被覆用フィルム4(もしくは4’)が透明
であれば、その裏面への印刷を行なってもよい。
【0060】エンボス8は、通常、型ロールを使用する
か、平らな板状の型を使用して加熱・加圧することによ
り形成する。エンボス8は、断熱性層3単独からなる断
熱性シート1、積層体である断熱性シート1のいずれに
も形成できる。エンボス8の模様には種々あり、木目、
石目、布目、またはその他のものがある。
【0061】エンボス8を形成した後は、そのままでも
よいが、エンボスによって生じた凹部にインキ状のもの
を充填するワイピング塗装が行なえる。ワイピング塗装
自体は、エンボス8の部分にインキ状の着色剤8aをた
らして、スキージーのようなものでかき取ることにより
簡便に行え、印刷に類似した効果を与えるが、印刷より
も着色剤の転移量が多いので、より深みが得られる。以
上の着色、印刷、エンボス、またはワイピング塗装等
は、任意に組み合わせて行ない、断熱性シート1に、素
材の持つ感じに加えて、外観の意匠を与える。
【0062】ところで、以上の説明においては、断熱性
シート1を対象として化粧を施すものであるが、断熱性
シート1とは別の基材を準備して化粧を施した化粧シー
トを断熱性シート1に積層して化粧断熱性シートとして
もよい。図4は、着色された化粧シート基材9上に模様
層7(図3(b)の絵柄層7bに相当。)、および保護
層6が順に積層され、最上面にエンボス8が形成された
ものからなる化粧シートDが断熱性シート1に積層され
たものである。化粧シートDとしては、上記の例に限る
ことなく、種々のものが利用できる。化粧シートDを使
用する場合、種々の化粧のための加工がしやすい(断熱
性層は加工がしにくいため。)。また、すでに出来上が
っている化粧シートを利用することもできる。
【0063】本発明の断熱性シート1は、各種の建装部
材に貼る等して、断熱性建装部材として使用することが
できる。図5(a)は、枠12の表裏に、板状体11お
よび11’を積層した熱伝導性のパネル13状の建装部
材の片面に断熱性シート1を積層して断熱性建装部材と
した例であり、積層は粘着剤、接着剤を介して行なう
か、熱シール、あるいは、粘着テープ、釘、針金等で止
め付けてもよい。このため、断熱性シート1には、予め
粘着剤を適用しておくとよく、次の図5(b)を引用し
て説明する別のタイプの建装部材においても同様であ
る。建装部材は板状のものであってもよい。図5(a)
のような構造としたものは、ドア、壁面、天井面、また
は床面等に、あるいは、断熱の必要なキャビネット等に
利用でき、ある程度広い面積の断熱が行なえる。
【0064】図5(b)は、本発明の断熱性シート1
を、長さの長い対象に積層した例であり、アルミニウム
等でできた、中空角柱の一つの側面が長さ方向に沿っ
て、中央付近を一定幅で除去された形の熱伝導性の押し
出し型材14の表面に、本発明の建装部材用断熱性複合
シート1を積層した断熱性建装部材の例である。図5
(b)の押し出し型材14の形状は一例であって、他の
ものであってもよい。積層は粘着剤、または接着剤を介
して行なうとよいが、他の方法も取ることができる。
【0065】ただし、単なる円柱や角柱の場合には、建
装部材用断熱性複合シート1を熱収縮性の素材が構成し
ておき、円柱や角柱よりも若干太めのチューブ状に作成
して被せ、加熱することにより、必ずしも接着剤を伴わ
ない積層も可能であり、また、これら以外の積層の方法
も取ることができる。図5(b)に示すような構造のも
のは、押し出し型材14の用途にもよるが、柱、幅木、
鴨居、敷居等や引き戸や開き戸等の戸自身の枠、戸を取
り付けるための枠等に利用できる。
【0066】
【実施例】(実施例1)ポリカプロラクトンジオール/
1−アミノ−1,4−ブタンジオールをモル比で1/1
とし、反応生成物100g中、イソホロンジイソシアネ
ートが0.295モルとなるようイソホロンジイソシア
ネートを希釈溶剤(酢酸エチル)と共に配合して、加熱
攪拌容器を用いて反応させ、反応後、溶剤を分離し、ポ
リウレタン樹脂(A)を得た。この樹脂のガラス転移点
は5℃であった。
【0067】次の配合比で各素材を攪拌し、分散して、
断熱性層形成用塗料組成物(A)を得た。 (断熱性層形成用塗料組成物) ・上記ポリウレタン樹脂(A) 100質量部 ・中空粒子 60質量部 (松本油脂製薬(株)製、マイクロスフェアー、F−80E) ・水 2500質量部
【0068】(実施例2)実施例1におけるポリカプロ
ラクトンジオール/1−アミノ−1,4−ブタンジオー
ルのモル比を1/1とし、反応生成物100g中、イソ
ホロンジイソシアネートが0.5モルとなるようイソホ
ロンジイソシアネートを希釈溶剤(酢酸エチル)と共に
配合して、加熱攪拌容器を用いて反応させ、反応後、溶
剤を分離し、ポリウレタン樹脂(B)を得た。この樹脂
のガラス転移点は49℃であった。得られたポリウレタ
ン樹脂(B)を実施例1と同様にして使用し、断熱性層
形成用塗料組成物(B)を得た。
【0069】(実施例3)実施例1におけるポリカプロ
ラクトンジオール/1−アミノ−1,4−ブタンジオー
ルのモル比を60/1とし、反応生成物100g中、イ
ソホロンジイソシアネートが0.295モルとなるよう
イソホロンジイソシアネートを希釈溶剤(酢酸エチル)
と共に配合して、加熱攪拌容器を用いて反応させ、反応
後、溶剤を分離し、ポリウレタン樹脂(C)を得た。こ
の樹脂のガラス転移点は−20℃であった。得られたポ
リウレタン樹脂(C)を実施例1と同様にして使用し、
断熱性層形成用塗料組成物(C)を得た。
【0070】上記の各実施例の断熱性層形成用塗料組成
物(A)、(B)、および(C)を用い、厚み50μm
のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に、乾燥
ユニット付きのコーター(井上金属工業(株)製、「コ
ンマコーター」を用いて塗布し、乾燥ユニット内の温度
を120℃に設定して乾燥させる工程を3回繰返し、断
熱性層形成用塗料組成物(A)、(B)、および(C)
の各々に対応し、合計厚み1.0mmの塗膜(断熱性
層)を有する断熱性シート(A)、(B)、および
(C)を得た。
【0071】得られた断熱性シートの断熱性の評価方法
は次のようにした。厚み1mmのアルミニウム板で作っ
た箱型の舟の舟底の一部に、上記各実施例で得た試料の
断熱性シートを20mm×20mmのサイズにカット
し、両面粘着テープで貼り合わせ、室温(25℃)の環
境下で、氷水の入った水槽に舟を浮かべ、接触型温度計
で温度を測定し、平衡状態になったとき(浮かべてから
おおよそ30分間後)の、断熱性シートの表面および舟
の底板の温度を測定し、温度差を求めた。
【0072】また、上記の断熱性シートを、四角柱の角
を曲率半径3mmとなるよう面取りしたものの角に、塗
膜側を外側にして押し当て、表面にひび割れが生じたか
どうかを観察し、柔軟性の評価とした。また、上記の断
熱性シートを温度80℃、相対湿度70%の湿熱環境下
に72時間放置した後、通常の状態に戻してから、表面
のタック(粘着性)を指触により判定し、合わせて、表
面の黄変等の外観の変化も観察した。結果の評価を次の
「表1」に掲げる。「表1」から明らかなように、いず
れの試料も良好な結果を示したが、中でも断熱性層形成
用塗料組成物(A)を用いて得られた断熱性シートが柔
軟性、湿熱試験後のタック、および外観の変化のいずれ
の点からも良好であった。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、従来の塗料組
成物において用いていた発泡剤に代えて、中空粒子を用
いることにより、気泡の大きさや密度が所定のものであ
る断熱性層の形成が可能な断熱性層形成用塗料組成物を
提供できる。また、バインダ樹脂として、特定のポリウ
レタン樹脂を用いたので、このような塗料組成物を用い
て得られる断熱性層は、曲げに関して柔軟性があり、し
かも、加温加湿状態で長時間放置しても表面が粘着性を
帯びることがない優れた断熱性層が得られる断熱性層形
成用塗料組成物を提供できる。請求項2の発明によれ
ば、請求項1の発明の断熱性層形成用塗料組成物により
形成された断熱性層を有しているので、曲げに関して柔
軟性があり、しかも、加温加湿状態で長時間放置しても
表面が粘着性を帯びることがない断熱性シートを提供で
きる。請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果
に加え、断熱性シートの断熱性層に被覆用フィルムが積
層されているので、吸湿や汚染、破損に対する耐性が付
与された断熱性シートを提供できる。請求項4の発明に
よれば、請求項2または請求項3の発明の効果に加え、
使用したときに、対象物に断熱性と共に意匠を付与する
ことができる化粧断熱性シートを提供できる。請求項5
の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、化粧が
施された表面に保護層が積層されているので、化粧面の
耐久性が増した化粧断熱性シートを提供できる。請求項
6の発明によれば、請求項4の発明と同様な効果を発揮
する上に、化粧シートを使用するので、種々の化粧のた
めの加工がしやすく、また、すでに出来上がっている化
粧シートを利用することもでき、単に化粧シートを積層
するだけで、化粧を施すことが可能になる化粧断熱性シ
ートを提供できる。請求項7の発明によれば、請求項2
もしくは3記載の断熱性シート、または請求項4〜7い
ずれか記載の化粧断熱性シートが適用されたことによ
り、断熱性が付与されたパネル状の建装部材を提供でき
る。請求項8の発明によれば、請求項2もしくは3記載
の断熱性シート、または請求項4〜7いずれか記載の化
粧断熱性シートが適用されたことにより、断熱性が付与
された押し出し型材状の建装部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基材と断熱性層が積層した断熱性シートの断面
図である。
【図2】断熱性層と被覆用フィルムが積層した断熱性シ
ートの断面図である。
【図3】断熱性シートに化粧を施した化粧断熱性シート
を示す断面図である。
【図4】断熱性シートに化粧シートを積層した化粧断熱
性シートを示す断面図である。
【図5】建装部材に断熱性シートを積層した状態を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 断熱性シート 2 基材 3 断熱性層 4 被覆用フィルム 5 着色 6 保護層 7 模様層(7a;着色層、7b;絵柄層) 8 エンボス(8a;着色剤) 9 化粧シート基材 10 化粧断熱性シート 11 板状体 12 枠 13 熱伝導性のパネル 14 熱伝導性の押し出し型材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/80 E04B 1/80 C Fターム(参考) 2E001 DD01 GA03 GA06 GA07 GA23 GA24 GA26 GA28 GA82 GA85 HA31 HA32 HA33 HB01 HC07 HD11 JA06 JA11 JA14 JD02 4F100 AK42 AK51A AL05A AP00E AS00C AT00B BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10B BA10C BA10D BA10E CC00A DE04A EH46 EH462 EJ42 EJ422 EJ86 EJ862 GB08 GB48 GB72 HB00D JA05A JJ02 JJ02A JJ02E 4J038 CC032 CG142 DG051 DG111 DG121 DG271 DG291 GA02 HA156 HA216 HA446 KA08 KA21 MA08 MA10 MA13 NA10 NA12 NA15 PB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルポリオール、アミノ基含有
    ポリオール、および脂肪族イソシアネート化合物の反応
    生成物からなり、ガラス転移温度が−25℃〜5℃、前
    記反応生成物100gを生成するために要する前記脂肪
    族イソシアネート化合物のモル数が0.05モル〜0.
    296モルであるポリウレタン樹脂100質量部、およ
    び中空粒子10〜120質量部とが、水50〜5000
    質量部に分散していることを特徴とする断熱性層形成用
    塗料組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリウレタン樹脂100
    質量部中に中空粒子10〜120質量部が分散している
    ことを特徴とする断熱性層が基材と積層されたことを特
    徴とする断熱性シート。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の前記断熱性層が被覆用フ
    ィルムで被覆されたことを特徴とする断熱性シート。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の前記断熱性シー
    トに化粧が施されたことを特徴とする化粧断熱性シー
    ト。
  5. 【請求項5】 前記化粧が施された表面にさらに保護層
    が積層されたことを特徴とする請求項4記載の化粧断熱
    性シート。
  6. 【請求項6】 請求項2または3記載の前記断熱性シー
    トに化粧シートが積層されたことを特徴とする化粧断熱
    性シート。
  7. 【請求項7】 請求項2もしくは3記載の断熱性シー
    ト、または請求項4〜7いずれか記載の化粧断熱性シー
    トが、熱伝導性の素材からなる板の上、もしくはパネル
    の上に積層されたことを特徴とする断熱性建装部材。
  8. 【請求項8】 請求項2もしくは3記載の断熱性シー
    ト、または請求項4〜7いずれか記載の化粧断熱性シー
    トが、熱伝導性の素材からなる押し出し型材の表面に積
    層されたことを特徴とする断熱性建装部材。
JP2000243548A 2000-08-11 2000-08-11 断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材 Withdrawn JP2002060685A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000243548A JP2002060685A (ja) 2000-08-11 2000-08-11 断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000243548A JP2002060685A (ja) 2000-08-11 2000-08-11 断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002060685A true JP2002060685A (ja) 2002-02-26

Family

ID=18734382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000243548A Withdrawn JP2002060685A (ja) 2000-08-11 2000-08-11 断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002060685A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006026977A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Twintech Kk 断熱ボード
JP2010185291A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Toyota Central R&D Labs Inc 遮熱膜及びその形成方法
JP2011196122A (ja) * 2010-03-22 2011-10-06 Toyota Home Kk 建物の断熱構造及び建物
KR20110138064A (ko) * 2010-06-18 2011-12-26 현대모비스 주식회사 통기성 도료 조성물
JP2013100406A (ja) * 2011-11-08 2013-05-23 Ozonesave Corp 断熱用塗料、該塗料を用いた断熱方法、及び該塗料を塗布したシート材
WO2013108170A1 (en) 2012-01-16 2013-07-25 Manifattura Del Seveso Spa Multifunctional structure and method for its manufacture
KR101853650B1 (ko) * 2017-04-11 2018-05-02 김대홍 건축 구조물의 단열, 방음 및 방수를 위한 보강 구조 및 공법
JP2018111505A (ja) * 2017-01-10 2018-07-19 株式会社ダイセン 断熱シート及び断熱容器

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006026977A (ja) * 2004-07-13 2006-02-02 Twintech Kk 断熱ボード
JP2010185291A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Toyota Central R&D Labs Inc 遮熱膜及びその形成方法
JP2011196122A (ja) * 2010-03-22 2011-10-06 Toyota Home Kk 建物の断熱構造及び建物
KR20110138064A (ko) * 2010-06-18 2011-12-26 현대모비스 주식회사 통기성 도료 조성물
KR101723231B1 (ko) 2010-06-18 2017-04-05 현대모비스 주식회사 통기성 도료 조성물
JP2013100406A (ja) * 2011-11-08 2013-05-23 Ozonesave Corp 断熱用塗料、該塗料を用いた断熱方法、及び該塗料を塗布したシート材
WO2013108170A1 (en) 2012-01-16 2013-07-25 Manifattura Del Seveso Spa Multifunctional structure and method for its manufacture
JP2018111505A (ja) * 2017-01-10 2018-07-19 株式会社ダイセン 断熱シート及び断熱容器
KR101853650B1 (ko) * 2017-04-11 2018-05-02 김대홍 건축 구조물의 단열, 방음 및 방수를 위한 보강 구조 및 공법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3625069B2 (ja) 装飾シートおよびその製造方法
KR20030011576A (ko) 시트구조체와 그 제조방법
JP2002060685A (ja) 断熱性層形成用塗料組成物、断熱性シート、および化粧断熱性シート、ならびに断熱性建装部材
JP2000314187A (ja) 建装部材用蓄熱性シートおよび蓄熱性建装部材
JP2001030397A (ja) 断熱化粧シート及び断熱化粧部材
JP4620211B2 (ja) 断熱化粧材及び断熱化粧部材
JP2006026976A (ja) 断熱シート
JP2001090220A (ja) 建装部材用断熱性シートおよび断熱性建装部材
JP2001232704A (ja) 表面被覆用化粧断熱性ボードおよび被覆製品
JP2000296573A (ja) 断熱化粧シートおよび断熱部材
KR100760723B1 (ko) 코팅 조성물
JP2000246824A (ja) 内外装用断熱化粧シート及び内外装用断熱化粧部材
JPH11207853A (ja) 吸放湿機能を有する化粧材
JP2001199030A (ja) 化粧シート及びこれを用いた壁装材
JP7255294B2 (ja) 不燃シート
JP2000158603A (ja) 内装用断熱化粧シートおよび内装用断熱部材
JP2000229386A (ja) 外装用断熱化粧シートおよび外装用断熱化粧部材
JP2002036449A (ja) 吸放湿性化粧材
JP2013188991A (ja) 合成樹脂表皮材の製造方法および製造装置
JPH0222045A (ja) 透湿性結露防止壁紙およびその製造方法
JP2001054934A (ja) 建装部材用断熱性複合シートおよび断熱性建装部材、ならびにそれらに用いる断熱性シートおよびその製造方法
JP2000229387A (ja) 内外装用断熱化粧シートおよび内外装用断熱部材
JP2001277406A (ja) 内外装用断熱性シート、その製造方法、および断熱性建築部材
JPH0890707A (ja) 不燃性化粧板及びその製造方法
JP2000263680A (ja) 建装部材用断熱性複合シートおよび断熱性建装部材

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20071106