JP2002060677A - 熱硬化性被覆用樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性被覆用樹脂組成物

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JP2002060677A JP2000247151A JP2000247151A JP2002060677A JP 2002060677 A JP2002060677 A JP 2002060677A JP 2000247151 A JP2000247151 A JP 2000247151A JP 2000247151 A JP2000247151 A JP 2000247151A JP 2002060677 A JP2002060677 A JP 2002060677A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性が良好で、硬化性、耐酸性に優
れ、しかも耐スリキズ性に優れた塗膜を形成しうる熱硬
化性被覆用樹脂組成物及びこの組成物を用いた上塗り塗
膜形成方法を提供する。 【解決手段】 (A)(a)炭素原子数が9〜24個で
あり、分子末端にカルボキシル基を有するカルボキシル
基含有重合性不飽和モノマー、(b)酸無水基を有する
重合性不飽和モノマー及び(c)他の共重合性モノマー
からなる共重合体の酸無水基をモノアルコールにてハー
フエステル化してなるハーフエステル基含有共重合体、
(B)ポリエステルポリオールと酸無水基含有化合物と
をハーフエステル化反応させてなる数平均分子量800
〜5,000のカルボキシル基含有ポリエステル、及び
(C)エポキシ当量が200〜800、アルコキシシリ
ル基当量が300〜10,000、重量平均分子量が
1,500〜10,000の共重合体を含有する熱硬化
性被覆用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貯蔵安定性が良好
で、しかも低温硬化性、耐酸性、耐スリキズ性などにす
ぐれた塗膜を形成しうる熱硬化性被覆用樹脂組成物、こ
の組成物を用いた上塗り塗膜形成法、及びこの上塗り塗
膜形成法によって塗膜が形成された物品に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車車体の上塗り塗料とし
て、水酸基含有樹脂とメラミン樹脂とを含有する塗料が
広く使用されているが、該塗料を用いて形成される塗膜
は耐酸性が十分でないという欠点を有している。
【0003】そこで、メラミン樹脂を使用せずに、カル
ボキシル基とエポキシ基との間の架橋反応を利用したカ
ルボキシル基/エポキシ基又はカルボキシル基/エポキ
シ基/水酸基からなる架橋系(特開昭62−87288
号公報、特開平2−45577号公報、特開平3−28
7650号公報等)などが提案されているが、これらの
架橋系の「酸−エポキシ型塗料」は、一般に、塗膜の耐
酸性にこそ優れるが、硬化塗膜の架橋密度が高くならな
いために耐擦り傷性が不十分であり、洗車時に塗面にス
リキズが発生しやするという欠点があり、改良が強く要
望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の主たる目的は、
耐酸性及び耐スリキズ性に優れた塗膜を形成することが
でき、しかも貯蔵安定性や塗膜の低温硬化性などにも優
れた、新規な「酸−エポキシ型塗料」として有用な熱硬
化性被覆用樹脂組成物を提供することである。本発明者
らは、今回、カルボキシル基の導入を、分子末端にカル
ボキシル基を有する炭素原子数が9〜24個のカルボキ
シル基含有重合性不飽和モノマー用いて行った共重合体
と、特定のカルボキシル基含有ポリエステルとを酸基含
有成分として用い、エポキシ基含有モノマーとアルコキ
シシリル基含有モノマーとをモノマー成分とする共重合
体をエポキシ基含有成分として用いることにより、上記
の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0005】かくして、本発明によれば、(A)(a)
炭素原子数が9〜24個であり、分子末端にカルボキシ
ル基を有するカルボキシル基含有重合性不飽和モノマ
ー、(b)酸無水基を有する重合性不飽和モノマー及び
必要に応じて(c)他の共重合性モノマーを共重合させ
ることにより得られるカルボキシル基と酸無水基とを有
する共重合体の酸無水基を炭素原子数1〜12個のモノ
アルコールにてハーフエステル化してなる重量平均分子
量が1,500〜10,000の範囲内にあるハーフエ
ステル基含有共重合体、(B)ポリエステルポリオール
と酸無水基含有化合物とをハーフエステル化反応させて
得られる酸価50〜200mgKOH/g、数平均分子
量800〜5,000のカルボキシル基含有ポリエステ
ル、及び(C)(d)エポキシ基含有重合性不飽和モノ
マー、(e)アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノ
マー及び必要に応じて(f)その他の共重合性モノマー
を共重合させてなる共重合体であって、エポキシ当量が
200〜800、アルコキシシリル基当量が300〜1
0,000、重量平均分子量が1,500〜10,00
0の範囲内にあるエポキシ基含有共重合体を含有するこ
とを特徴とする熱硬化性被覆用樹脂組成物が提供され
る。
【0006】また本発明によれば、さらに硬化触媒を含
有する上記被覆用樹脂組成物が提供される。
【0007】さらに本発明によれば、さらに架橋重合体
微粒子を含有する上記被覆用樹脂組成物が提供される。
【0008】また本発明によれば、さらに反応性オルガ
ノポリシロキサンを含有する上記被覆用樹脂組成物が提
供される。
【0009】さらに本発明によれば、素材に着色ベース
コート及びクリヤートップコートを順次形成させてなる
上塗り塗膜形成方法において、クリヤートップコートを
形成する塗料が、上記熱硬化性被覆用樹脂組成物である
ことを特徴とする上塗り塗膜形成法が提供される。
【0010】また本発明によれば、上記上塗り塗膜形成
法によって塗膜が形成された物品が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明の熱硬化性被覆用樹
脂組成物(以下、本組成物という)についてさらに詳細
に説明をする。
【0012】ハーフエステル基含有共重合体(A):本
発明において使用される共重合体(A)は、炭素原子数
が9〜24個であり、分子末端にカルボキシル基を有す
るカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)、酸
無水基を有する重合性不飽和モノマー(b)及び必要に
応じて他の共重合性モノマー(c)を共重合することに
より得られる酸無水基含有重合体をモノアルコールにて
ハーフエステル化したものである。
【0013】上記分子末端にカルボキシル基を有するカ
ルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)は、炭素
原子数が9〜24個、好ましくは12〜23個の範囲内
にあるものであって、例えば、(1)1分子中に水酸基
及び重合性不飽和基をそれぞれ1個ずつ有する水酸基含
有重合性不飽和単量体と酸無水基含有化合物とのハーフ
エステル化反応物、(2)カルボキシル基含有重合性不
飽和単量体(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)
にε−カプロラクトンのような環内エステル基含有化合
物(ラクトン)を付加させたものなどを挙げることがで
きる。
【0014】上記ハーフエステル化反応物(1)を製造
するに際して使用される水酸基含有重合性不飽和単量体
の具体例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロ
キシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アク
リル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチ
ル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒド
ロキシヘキシル、プラクセルFM又はFAシリーズ(ダ
イセル化学工業(株)商品名;アクリル酸又はメタクリ
ル酸とε−カプロラクトンとの開環エステル化物)など
があげられる。
【0015】上記ハーフエステル化反応物(1)を製造
するに際して使用される酸無水基含有化合物は、下記の
酸無水基
【0016】
【化1】
【0017】を有し、上記の水酸基含有重合性不飽和単
量体中の水酸基と容易にハーフエステル化反応して、酸
無水基1モルあたりカルボキシル基及びエステル基をそ
れぞれ1モルづつ生成するような線状もしくは環状の化
合物であり、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、テ
トラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、
無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、メチルシクロ
ヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸な
どが包含される。なかでも炭素原子数4〜12のものが
好適である。
【0018】上記ハーフエステル化反応物(1)を製造
するには、水酸基含有重合性不飽和単量体と酸無水基含
有化合物とを、前者の不飽和単量体中の水酸基1モルあ
たり後者の化合物中の酸無水基を0.95〜1.50モ
ル、好ましくは0.98〜1.30モル、特に好ましく
は1.00〜1.10モルの比率でハーフエステル化反応
させるのが、通常、貯蔵安定性、得られる硬化塗膜の耐
水性などの観点から適当である。上記の範囲内の比率で
反応させることにより、未反応の水酸基含有重合性不飽
和単量体が残存することが殆どなくなるので貯蔵安定性
の低下がなくなり、一方、未反応の酸無水基含有化合物
が残存することはあるが、これは後工程で一価アルコー
ルと反応してハーフエステル化され、そのものがエポキ
シ基含有共重合体(C)との架橋反応に関与するので、
塗膜性能を劣化させる要因にはならない。
【0019】水酸基含有重合性不飽和単量体と酸無水基
含有化合物とのハーフエステル化反応は、通常の方法、
例えば、適宜反応に不活性な有機溶媒中で、室温乃至約
150℃の温度で行うことができる。
【0020】また、酸無水物基含有重合性不飽和モノマ
ー(b)は、1分子中に一価アルコールと容易にハーフ
エステル化反応しうる酸無水基及び重合性不飽和基の両
方をそれぞれ1個有する化合物であり、具体的には、例
えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコ
ン酸などが挙げられる。
【0021】さらに、他の共重合性モノマー(c)は、
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)及び酸
無水基を有する重合性不飽和モノマー(b)と共重合可
能な化合物であり、具体的には、例えば(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ルなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C24
アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;エチレン、プ
ロピレンなどのオレフィン類;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなど
の不飽和アミド類;酢酸ビニル、塩化ビニル、2−ビニ
ルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニル化合物な
どが挙げられる。
【0022】以上に述べたカルボキシル基含有重合性不
飽和モノマー(a)、酸無水基を有する重合性不飽和モ
ノマー(b)及び他の共重合性モノマー(c)を共重合
することによりカルボキシル基と酸無水基とを有する共
重合体を得ることができる。これらの各成分の共重合比
率は臨界的ではなく、本組成物の使用目的等に応じて任
意に選択することができるが、一般には、これら3成分
の合計量を基準にして、成分(a)は5〜70重量%、
特に10〜65重量%、さらに特に15〜40重量%;
成分(b)は5〜40重量%、特に10〜35重量%、
さらに特に15〜25重量%;成分(c)は0〜85重
量%、特に10〜75重量%、さらに特に30〜60重
量%の範囲内が適している。
【0023】上記カルボキシル基と酸無水基とを有する
共重合体は、重量平均分子量が一般に1,400〜9,
800、特に1,900〜8,000の範囲内にあるこ
とが好ましく、一般に240〜2,000、好ましくは
280〜1,000、より好ましくは400〜650の
範囲内の酸無水基当量を有することができる。
【0024】本組成物の一部を構成するハーフエステル
基含有共重合体(A)は、上記カルボキシル基と酸無水
基とを有する共重合体を構成するモノマー(b)単位に
由来する酸無水基に一価アルコールを反応させてハーフ
エステル化することにより調製することができる。
【0025】上記エステル化反応において反応せしめら
れる一価アルコールとしては、1分子中に1個の水酸基
を有する有機化合物であり、具体的には、例えば、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの
アルカノール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ
などのアルキレングリコールのモノアルキルエーテル
類;ジメチルアミノエタノールなどのジアルキルアミノ
アルカノール類などがあげられる。中でも、炭素数1〜
4のアルカノールが好適である。これらの一価アルコー
ルはカルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体の酸
無水基とハーフエステル化反応して、その結果、1個の
酸無水基からカルボキシル基及びカルボン酸エステル基
がそれぞれ1個ずつが生成する。一価アルコールの使用
割合は、通常、カルボキシル基と酸無水基とを有する共
重合体の酸無水基1モルあたり1〜6モル、特に1.5
〜5モル、さらに特に2〜4モルの範囲内が適してい
る。このハーフエステル化反応は、適宜反応に不活性な
有機溶媒中で、通常の条件下、例えば、室温〜140℃
の温度で行うことができる。ハーフエステル化反応後、
余分の一価アルコールを減圧蒸留などにより除去しても
よい。
【0026】かくして得られるハーフエステル基含有共
重合体(A)は、重量平均分子量が1,500〜10,
000、特に2,000〜8,000の範囲内にあるこ
とが好ましく、カルボキシル基及びカルボン酸エステル
基を有しており、その酸価は一般に50〜240mgK
OH/g、特に100〜200mgKOH/gの範囲内
にあることが好ましい。
【0027】カルボキシル基含有ポリエステル(B)
カルボキシル基含有ポリエステルは、エチレングリコー
ル、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多
価アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フ
タル酸等の多価カルボン酸又はこれらの多価カルボン酸
の低級アルキル化物とを、水酸基量がカルボキシル基量
(酸無水基1モルはカルボキシル基2モルと計算)より
過剰となる配合条件下でエステル化反応(縮合反応、エ
ステル交換反応のいずれでもよい)して得られるポリエ
ステルポリオールを、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、無水コハク酸等の酸無水基含有化合物とハー
フエステル化反応させることによって容易に得ることが
できる。
【0028】上記ポリエステルポリオールは、通常のエ
ステル化反応条件によって得ることができ、このポリエ
ステルポリオールは、数平均分子量が350〜4,70
0、好ましくは400〜3,000の範囲内にあり、水
酸基価が70〜400mgKOH/g、好ましくは15
0〜350mgKOH/gの範囲内にあることが好適で
ある。
【0029】カルボキシル基含有ポリエステル(B)を
得るための、上記ポリエステルポリオールのハーフエス
テル化の反応は、通常の方法に従い、通常、室温から8
0℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として
用いて行なうことができる。カルボキシル基含有ポリエ
ステル(B)は、数平均分子量が800〜5,000、
好ましくは900〜3,000の範囲内にあり、酸価が
50〜200mgKOH/g、好ましくは100〜18
0mgKOH/gの範囲内にあることが適当である。
【0030】エポキシ基含有共重合体(C):本組成物
の一部を構成する重合体(C)は、1分子中にアルコキ
シシリル基及びエポキシ基の両方を有する重合体であ
る。
【0031】重合体(C)は、例えば、エポキシ基含有
重合性不飽和モノマー(d)、アルコキシシリル基含有
重合性不飽和モノマー(e)及びその他の重合性不飽和
単量体(f)を共重合することによって得ることができ
る。
【0032】重合体(C)を調製するために使用される
エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(d)は、1分子
中にエポキシ基及び重合性不飽和基を有する化合物であ
り、具体的には、例えば、アクリル酸グリシジルエステ
ル、メタクリル酸グリシジルエステル、アリルグリシジ
ルエーテル、β−グリシジルオキシエチル(メタ)アク
リレート、δ−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリ
レート、ω−(グリシジルオキシ)ヘキシルアクリレー
ト、(ジプロピレングリコールモノグリシシジルエーテ
ル)アクリレート、(ジエチレングリコールモノグリシ
シジルエーテル)アクリレート;脂環式骨格にエポキシ
基が結合してなる重合性不飽和単量体、例えば、3,4
−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4
−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどを
挙げることができる。
【0033】重合体(C)を調製するために使用される
アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(e)
は、1分子中にアルコキシシリル基及び重合性不飽和基
をそれぞれ1個ずつ有する化合物であり、具体的には、
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチ
ルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエト
キシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、β−(メタ)アク
リロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエト
キシシラン等を挙げることができ、好適には低温硬化性
及び貯蔵安定性の観点から、アルコキシシリル基がエト
キシシリル基であるビニルトリエトキシシラン、ビニル
メチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げ
ることができる。
【0034】重合体(C)を調製するために使用され
る、その他の共重合性モノマー(f)としては、ハーフ
エステル基含有共重合体(A)の製造に際して使用しう
るものとして前述した、他の共重合性モノマー(c)の
例示の中及び前記ハーフエステル化反応物(1)を製造
するに際して使用される水酸基含有重合性不飽和単量体
の中から適宜選択して使用することができる。その他の
共重合性モノマー(f)の一部として水酸基含有重合性
不飽和単量体を使用することが好適である。
【0035】共重合体(C)を調製するための、エポキ
シ基含有重合性不飽和モノマー(d)、アルコキシシリ
ル基含有重合性不飽和モノマー(e)及びその他の共重
合性モノマー(f)の各モノマーの共重合量は、通常、
全モノマー中、次のような割合とするのが適当である。
即ち、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(d)は、
硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜60重量%程度、
好ましくは10〜50重量%であるのが良い。アルコキ
シシリル基含有重合性不飽和モノマー(e)は、硬化性
とコストの観点から、3〜40重量%程度、好ましくは
5〜20重量%であるのが良い。また、その他の共重合
性モノマーは、0〜90重量%程度、好ましくは30〜
80重量%であるのが適当である。その他の共重合性モ
ノマー(f)である水酸基含有重合性不飽和単量体の共
重合量は、、通常、全モノマー中、0〜50重量%、好
ましくは5〜30重量%であるのが硬化性と貯蔵安定性
の観点から良い。
【0036】これらのモノマー(d)、(e)及び
(f)の共重合は、例えば、通常の溶液重合によって行
うことができ、得られる共重合体(C)は、エポキシ当
量が200〜800、特に250〜600の範囲内;ア
ルコキシシリル基当量が300〜10,000、好まし
くは900〜6,000;水酸基当量が350〜1,5
00、特に500〜1,200の範囲内;そして重量平
均分子量が1,500〜10,000、特に2,000
〜8,000の範囲内にあるのが適している。
【0037】熱硬化性被覆用樹脂組成物:本発明により
提供される熱硬化性被覆用樹脂組成物(本組成物)は、
以上に述べたハーフエステル基含有共重合体(A)、カ
ルボキシル基含有ポリエステル(B)及びエポキシ基含
有共重合体(C)を含んでなるものである。
【0038】本組成物は、共重合体(A)、ポリエステ
ル(B)及び共重合体(C)を、適当な有機溶剤中に配
合し、混合することによって調製することができる。そ
の際のこれらの重合体の配合比率は、(A)、(B)及
び(C)成分の合計固形分重量に基づいて下記の範囲内
にあることが好適である。 ハーフエステル基含有共重合体(A):10〜65重量
%、好ましくは20〜55重量%、 カルボキシル基含有ポリエステル(B):5〜60重量
%、好ましくは10〜30重量%、 エポキシ基含有共重合体(C):30〜70重量%、好
ましくは35〜60重量%。
【0039】さらに、(A)、(B)及び(C)成分の
配合割合は、(A)及び(B)成分中のカルボキシル基
と、(C)成分中のエポキシ基との当量比が、前者/後
者の比で、0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.2
の範囲内にあることが好適である。
【0040】本組成物を用いて形成される塗膜は、約1
20〜約160℃の温度で10〜40分間程度加熱する
ことにより容易に架橋硬化させることができる。この硬
化機構は十分に解明されていないが、加熱により、共重
合体(A)及びポリエステル(B)中のカルボキシル基
が共重合体(C)中のエポキシ基と反応し結合して水酸
基が生成し、共重合体(A)中のカルボキシル基とカル
ボン酸エステル基とが反応して酸無水物基が再生すると
ともに遊離の一価アルコールが脱離する。このアルコー
ルは加熱中に蒸発して除去される。再生した酸無水基
は、共重合体(C)に含まれる水酸基と反応して架橋
し、再度カルボキシル基が生成し、この生成したカルボ
キシル基が重合体(A)及びポリエステル(B)中のカ
ルボキシル基とともに重合体(C)に含まれるエポキシ
基と反応して架橋するものと推定される。また、重合体
(C)に含まれるアルコキシシリル基は、加水分解して
シラノール基となり、生成したシラノール基が重合体
(C)中の水酸基などと反応するものと考えられる。
【0041】本組成物には、上記した共重合体(A)、
ポリエステル(B)及び共重合体(C)に加え、さら
に、硬化触媒、流動調整剤、反応性オルガノポリシロキ
サン、着色顔料、メタリック顔料、光干渉顔料、体質顔
料、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの通常の塗料
用添加剤を配合することができる。
【0042】上記硬化触媒は、カルボキシル基とエポキ
シ基との反応を促進する触媒を挙げることができ、代表
例として、オニウム塩、オニウム塩系潜在性触媒などを
挙げることができる。オニウム塩は窒素、リン、イオウ
などのような孤立電子対をもつ元素を含む化合物におい
て、これらの孤立電子対にプロトンあるいは他の陽イオ
ン形の化合物が配位結合してなる化合物であり、第4級
アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホ
ニウム塩などが挙げられる。
【0043】硬化触媒として用いうるオニウム塩の代表
例としては、テトラエチルアンモニウムクロライド、テ
トラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアン
モニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド、ジエチルジブチルアンモニウムブロマイド、ジメ
チルジオレイルアンモニウムクロライド、ジメチルベン
ジルラウリルアンモニウムクロライド、ジメチルジシク
ロヘキシルアンモニウムブロマイド、テトラエチルホス
ホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマ
イド、テトラブチルホスホニウムクロライド、ジメチル
ベンジルラウリルホスホニウムブロマイド、トリエチル
スルホニウムクロライドなどが挙げられる。
【0044】硬化触媒として用いうるオニウム塩系潜在
性触媒は、上記オニウム塩と酸化合物とで構成され、両
者は混合物であっても反応していてもよい。酸化合物と
しては、なかでも酸性リン酸エステルが好適である。オ
ニウム塩系潜在性触媒は、常温では触媒能が抑制され、
高温で本来の硬化触媒機能を発揮するものであり、本組
成物の貯蔵安定性の面で有利である。酸性リン酸エステ
ルは、リン酸、亜リン酸及びこれらの縮合物の無機リン
化合物の一部の水素をアルキル基又はアリール基などで
置換した有機酸性(亜)リン酸エステルである。該アル
キル基としては直鎖状又は分枝状のいずれのタイプであ
ってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、is
o−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−
ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−デシルなどの基が
挙げられる。
【0045】酸性リン酸エステルとしては具体的にはジ
メチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジプロピ
ルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホ
スフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスフェート、
ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、モノフェニルホ
スフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスファイトな
どが挙げられる。
【0046】オニウム塩系潜在性触媒が、オニウム塩及
び酸性リン酸エステルで構成される場合、両者の配合割
合は両者の合計量に基づいて、オニウム塩が約2〜90
重量%、好ましくは約25〜75重量%であり、酸性リ
ン酸エステルが約10〜98重量%、好ましくは約25
〜75重量%の範囲にあることが低温硬化性及び本組成
物の貯蔵安定性の面から好適である。
【0047】本組成物に配合することができる流動調整
剤の代表例としては、架橋重合体微粒子を挙げることが
できる。架橋重合体微粒子は、前記共重合体(A)、ポ
リエステル(B)、及び共重合体(C)の各成分や溶剤
に対して相溶性が無く、しかも、安定に分散しうる内部
架橋された粒子状重合体である。架橋重合体微粒子は、
(A)、(B)及び(C)成分の混合物に対して、チキ
ソトロピー性を付与する目的で添加されるものである。
【0048】即ち、上記混合物は、実質的にニュートン
的流動特性を示すので、例えば基材を垂直にして塗装作
業を行う場合や、かかる塗装の後に行われる焼き付け時
における温度上昇に伴ってタレ、ハジキ等が生じたりす
る等の種々の塗膜欠陥が現れる。ところが、上記混合物
に、架橋重合体微粒子を添加した場合には、静置時にお
ける見かけ上の粘度は大きくなるものの、スプレー時等
のごとく、高剪断応力が加わるような場合には、十分に
粘度が小さくなって、タレを生じることなく、容易にス
プレー作業が出来るようになるし、しかも、基材への塗
着ののち、数秒ないしは数分間を経た時点で、すでにチ
キソトロピー性を発現し、ハジキ等の塗膜欠陥が生じな
くなるというように、塗膜欠陥の予防効果が十分に働く
ことになる。
【0049】該架橋重合体微粒子の具体例としては、水
性エマルジョンないしは水性サスペンジョン重合法又は
非水分散型重合法によって得られる公知の分子内架橋さ
れた微粒子状重合体が使用可能である。このうち、水性
エマルジョンないしは水性サスペンジョン重合法によっ
て得られる分子内架橋構造を有する微粒子重合体は、水
の蒸発もしくは共沸又は重合体(粒子)の沈殿もしくは
凝集等の、物理的ないしは化学的手段によって、固形物
の形で以て分離せしめることも出来るし、あるいは、こ
うした物理的ないしは化学的手段を施すに際して、目的
とする架橋重合体微粒子の媒体を、直接、水から他の樹
脂や有機溶剤等に置き換えることも出来る。
【0050】本発明においては、架橋重合体微粒子とし
て、特開平3−66770号公報に開示されているよう
な分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和
基を有する重合性モノマー及びその他のラジカル重合性
不飽和モノマーを分子内にアリル基を含有する反応性乳
化剤の存在下で乳化重合せしめて得られる架橋重合体微
粒子を好適に使用できる。この場合には、分子内に少な
くとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合
性モノマーにより、重合体微粒子が内部架橋されてい
る。
【0051】また、架橋重合体微粒子として、特開平1
−95116号公報に開示されているようなアルコキシ
シリル基含有ビニル単量体を必須単量体成分として含有
する重合体を分散安定剤樹脂として用い、該樹脂存在下
有機液体中でラジカル重合性不飽和単量体を重合させて
得られる該有機液体に不溶性の微粒子重合体の非水分散
液も好適に使用できる。この場合には、アルコキシシリ
ル基含有ビニル単量体により、重合体微粒子が内部架橋
されているが、更にラジカル重合性不飽和単量体として
分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基
を有する重合性モノマーを一部併用して、重合体微粒子
を更に内部架橋しても良い。
【0052】こうした架橋重合体微粒子は、架橋密度が
高く、トルエンや酢酸エチル等のような、ポリマー溶解
力の大きい溶剤中においても、実質的に、非膨潤性で、
かつ、非融着性であり、しかも、かかる溶解力の大きい
溶剤を含むバインダー樹脂溶液又は分散液に添加される
場合に、該溶液(分散液)の粘度を上げることなく、樹
脂含有率の高い、つまり、高固形分の溶液(分散液)の
収得を実現することができる。また、かかる架橋重合体
微粒子を配合した組成物は、乾燥後においては、該微粒
子とバインダー樹脂とが、共に硬化塗膜を形成する。
【0053】また、架橋重合体微粒子としては、平均粒
子径が0.01〜2μm程度、好ましくは0.05〜
0.5μm程度であるのが適当である。平均粒子径がこ
の範囲よりも小さくなるとタレ防止効果が低下する傾向
にあり、又この範囲より大きくなると仕上り外観が低下
する傾向にあるので、いずれも好ましくない。
【0054】本組成物に配合することができる反応性オ
ルガノポリシロキサンは、ポリシロキサン鎖の側鎖、末
端又はこれら両者に反応性官能基及びオルガノ基を有す
る化合物である。該反応性オルガノポリシロキサンは、
塗膜に高度な耐酸性と耐擦り傷性を付与するために用い
られる成分であり、前記共重合体(A)、ポリエステル
(B)、及び共重合体(C)の混合物に対して相溶性の
あるものであれば、特に制限されずに用いることができ
る。
【0055】該反応性オルガノポリシロキサンは、線
状、分岐状、網状、環状等のいずれの構造のものであっ
てもよい。上記オルガノ基(有機基)としては、アルキ
ル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基等)、アルケニル基、アリール基、アリル基、
フェニル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、ビニ
ル基、フェニル基等のオルガノ基を有するものが、コス
ト等の点から実用上有利である。上記反応性官能基とし
ては、シラノール基、アルコキシシリル基、アルコール
性水酸基、グリシジル基、アミノ基、メルカプト基、カ
ルボキシル基、アミド基、ビニル基、(メタ)アクリロ
キシ基等が挙げられる。なかでも、アルコキシシリル
基、アルコール性水酸基、グリシジル基が好ましい。
【0056】反応性オルガノポリシロキサンの分子量に
関しては、(A)、(B)及び(C)成分の混合物との
相溶性のある範囲において適宜選択可能であり一概には
言えないが、通常数平均分子量で100〜10,000
程度、好ましくは300〜5,000程度であるのが適
当である。この範囲よりも分子量が大きくなるにつれて
前記相溶性が低下する傾向がある。反応性オルガノポリ
シロキサン1分子中に含まれるケイ素原子の個数につい
ていえば、2〜300個であることが好ましく、2〜1
00個のものがより好ましく、3〜50個のものが特に
好ましい。
【0057】反応性オルガノポリシロキサンの具体例と
しては、例えば、特開平5−43696号公報、特開平
7−70509号公報に開示されているものが挙げられ
る。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0058】本組成物により形成される硬化塗膜は、硬
化性、耐酸性、耐スリキズ性などの性能にすぐれている
ので、本組成物は、金属製又はプラスチック製の自動車
車体や電気製品などの被塗物の外板部の上塗り塗料用と
して有利に使用することができる。具体的には、例え
ば、これらの被塗物に、直接、またはカチオン電着塗料
などの下塗り塗料及びさらに場合により中塗り塗料を塗
装し硬化させた後、1)本組成物を含んでなるソリッド
カラー上塗塗料を塗装するか、2)ソリッドカラー又は
メタリックの着色ベース塗料を塗装し、次いでこれらの
未硬化又は硬化塗膜面上に本組成物を含んでなるクリヤ
ー上塗塗料を塗装することができる。
【0059】本組成物の塗装は、例えば、塗装時の固形
分含有率を20〜75重量%に調整した後、エアレスス
プレー、エアスプレー、静電塗装などによって行うこと
ができ、その膜厚は硬化塗膜で10〜100μmの範囲
内が適しており、塗膜は約120〜約160℃の温度で
10〜40分間程度加熱することによって架橋硬化せし
めることができる。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によりさら
に具体的に説明する。部及び%はいずれも重量基準によ
るものであり、また塗膜の膜厚は硬化塗膜についてのも
のである。
【0061】ハーフエステル基含有共重合体の製造 製造例1 プラクセルFA2(ダイセル化学工業社製、末端に水酸
基を有する開環ε−カプロラクトン鎖含有エチレン性不
飽和化合物)とヘキサヒドロ無水フタル酸とを予めモノ
エステル化反応させて、下記式
【0062】
【化2】
【0063】で表されるカルボキシル基含有モノマー
(A)を合成した。
【0064】次に、撹拌機、温度計および冷却管を装備
した5リットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシ
エチル700部を仕込み、マントルヒーターで125℃
に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時
間かけて滴下した。
【0065】 スチレン 400部 イソブチルアクリレート 360部 無水マレイン酸 400部 上記カルボキシル基含有モノマー(A) 840部 プロピオン酸2−エトキシエチル 1350部 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部 その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート10部とエトキシプロ
ピオン酸エチル80部との混合物を1時間かけて滴下し
た。更に一旦、60℃に冷却して、メタノール390部
とトリエチルアミン4部を加えて、6時間加熱還流させ
た。その後、余分なメタノール260部を減圧脱溶剤し
て除去し、固形分約50%のハーフエステル基含有共重
合体溶液(a−1)を得た。この共重合体の重量平均分
子量は約7,000であり、樹脂酸価は150mgKO
H/gであった。
【0066】製造例24−ヒドロキシブチルアクリレー
トと無水コハク酸とを予め反応させ、下記式 CH2=CHCOOC48OOCCH2CH2COOH で表されるカルボキシル基含有モノマー(B)を合成し
た。次に、撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リ
ットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシエチル7
00部を仕込み、マントルヒーターで125℃に加熱し
た。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて
滴下した。
【0067】 スチレン 400部 イソブチルアクリレート 400部 イソブチルメタクリレート 400部 無水マレイン酸 300部 カルボキシル基含有モノマー(B) 500部 プロピオン酸2−エトキシエチル 1320部 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部 その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸
2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴
下した。更に一旦、60℃に冷却して、メタノール29
8部とトリエチルアミン4部を加えて、6時間加熱還流
させた。その後、余分なメタノール196部を減圧脱溶
剤して除去し、固形分約50%のハーフエステル基含有
共重合体溶液(a−2)を得た。この共重合体の重量平
均分子量は約7,000であり、樹脂酸価は135mg
KOH/gであった。
【0068】製造例3(比較例用) 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕
込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そし
て、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下し
た。
【0069】 スチレン 400部 イソブチルアクリレート 500部 アクリル酸 260部 カルボキシル基含有モノマー(A) 840部 プロピオン酸2−エトキシエチル 1220部 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部 その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸
2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴
下した。固形分約50%のハーフエステル基含有共重合
体溶液(a−3)を得た。この共重合体の重量平均分子
量は約7,200であり、樹脂酸価は148mgKOH
/gであった。
【0070】製造例4(比較例用) 炭素原子数が9
〜24個のカルボキシル基含有モノマーを共重合しない
もの 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕
込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そし
て、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下し
た。
【0071】 スチレン 400部 イソブチルアクリレート 540部 イソブチルメタクリレート 540部 無水マレイン酸 400部 アクリル酸 120部 プロピオン酸2−エトキシエチル 1350部 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部 その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸
2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴
下した。更に一旦、60℃に冷却して、メタノール39
0部とトリエチルアミン4部を加えて、6時間加熱還流
させた。その後、余分なメタノール260部を減圧脱溶
剤して除去し、固形分約50%のハーフエステル基含有
共重合体溶液(a−4)を得た。この共重合体の重量平
均分子量は約6,800であり、樹脂酸価は150mg
KOH/gであった。
【0072】製造例5(比較例用) 共重合体中の酸
無水基をハーフエステル化しないもの 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕
込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そし
て、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下し
た。
【0073】 スチレン 400部 イソブチルアクリレート 360部 無水マレイン酸 400部 上記カルボキシル基含有モノマー(A) 840部 プロピオン酸2−エトキシエチル 1220部 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部 その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸
2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴
下して、固形分約50%のハーフエステル基含有共重合
体溶液(a−5)を得た。この共重合体の重量平均分子
量は約6,900であり、樹脂酸価は160mgKOH
/gであった。
【0074】カルボキシル基含有ポリエステルの製造 製造例6 撹拌機、温度計、精留塔および水分離器を装備した5リ
ットルフラスコに、1,6−ヘキサンジオール283
部、トリメチロールプロパン491部、アジピン酸43
8部、ヘキサヒドロ無水フタル酸323部を仕込み、窒
素雰囲気下で180℃まで昇温した。その後、3時間か
けて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた
後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が
3以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキ
サヒドロ無水フタル酸776部を加え、再び140℃に
昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈し
て固形分50%のカルボキシル基含有ポリエステル溶液
(b−1)を得た。このポリエステルの数平均分子量は
2,400であり、樹脂酸価は130mgKOH/gで
あった。
【0075】製造例7 撹拌機、温度計、精留塔および水分離器を装備した5リ
ットルフラスコに、1,6−ヘキサンジオール566
部、トリメチロールプロパン437部、アジピン酸46
7部、ヘキサヒドロ無水フタル酸308部を仕込み、窒
素雰囲気下で180℃まで昇温した。その後、3時間か
けて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた
後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が
3以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキ
サヒドロ無水フタル酸1294部を加え、再び140℃
に昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈
して固形分65%のカルボキシル基含有ポリエステル溶
液(b−2)を得た。このポリエステルの数平均分子量
は1,040であり、酸価は160mgKOH/gであ
った。
【0076】エポキシ基含有共重合体の製造 製造例8 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶
剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−
ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで13
0℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を
4時間かけて滴下した。
【0077】 スチレン 250部 イソボルニルアクリレート 750部 グリシジルメタクリレート 875部 4−ヒドロキシブチルアクリレート 375部 γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 250部 n−ブタノール 250部 2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部 その後、30分間熟成し、さらに、2,2'−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾー
ル1000」400部との混合物を1時間かけて滴下
し、1分子中にアルコキシシリル基、エポキシ基および
水酸基を有する固形分約60%の共重合体溶液(c−
1)を得た。この共重合体は、重量平均分子量が6,0
00であり、エポキシ当量406、アルコキシシリル基
当量2,900、水酸基当量960であった。
【0078】製造例9 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶
剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−
ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで13
0℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を
4時間かけて滴下した。
【0079】 スチレン 250部 n−ブチルメタクリレート 375部 グリシジルメタクリレート 1000部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 500部 γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 375部 n−ブタノール 250部 2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部 その後、30分間熟成し、さらに、2,2'−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾー
ル1000」400部との混合物を1時間かけて滴下
し、1分子中にアルコキシシリル基、エポキシ基および
水酸基を有する固形分約60%の共重合体溶液(c−
2)を得た。この共重合体は、重量平均分子量が6,0
00であり、エポキシ当量355、アルコキシシリル基
当量1,930、水酸基当量580であった。
【0080】製造例10(比較例用) アルコキシシ
リル基を有さない共重合体の製造 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶
剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−
ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで13
0℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を
4時間かけて滴下した。
【0081】 スチレン 250部 n−ブチルメタクリレート 750部 グリシジルメタクリレート 1000部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 500部 n−ブタノール 250部 2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部 その後、30分熟成し、さらに、2,2'−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾー
ル1000」400部との混合物を1時間かけて滴下
し、1分子中に、エポキシ基および水酸基を有する固形
分約60%のビニル系共重合体溶液(c−3)を得た。
この共重合体は、重量平均分子量が6,000であり、
エポキシ当量355、水酸基当量580であった。
【0082】製造例11(比較例用) エポキシ基含
有モノマーを共重合しないもの 撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラ
スコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶
剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−
ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで13
0℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を
4時間かけて滴下した。
【0083】 スチレン 250部 n−ブチルメタクリレート 375部 イソブチルメタクリレート 1000部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 500部 γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 375部 n−ブタノール 250部 2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部 その後、30分熟成し、さらに、2,2'−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾー
ル1000」400部との混合物を1時間かけて滴下
し、1分子中にアルコキシシリル基および水酸基を有す
る固形分約60%の共重合体溶液(c−4)を得た。こ
の共重合体は、重量平均分子量が6,000であり、ア
ルコキシシリル基当量1,930、水酸基当量580で
あった。
【0084】製造例12 架橋重合体微粒子(d−
1)の製造 撹拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1
リットルフラスコに、脱イオン水3547.5部及び5
0%「ラテムルS−120A」(花王(株)製、商品
名、スルホコハク酸系アリル基含有アニオン性反応性乳
化剤)20部を仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温し
た。これに、水溶性アゾアミド重合開始剤である「VA
−086」(和光純薬工業(株)製、商品名、2,2´
−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチ
ル)−プロピオンアミド])12.5部を脱イオン水5
00部に溶解した水溶液の20%を加えた。15分後に
スチレン150部、メチルメタクリレート550部、n
−ブチルアクリレート150部、2−ヒドロキシエチル
アクリレート50部及び1,6−ヘキサンジオールジア
クリレート100部からなるモノマー混合物の5%を加
えた。ついで、さらに30分間撹拌した後、残りのモノ
マー混合物及び重合開始剤の滴下を開始した。モノマー
混合物の滴下は3時間で、重合開始剤の滴下は3.5時
間かけてそれぞれ行ない、その間重合温度は90℃に保
った。重合開始剤水溶液の滴下終了後も30分間加熱し
て90℃に保った後室温に冷却し、濾布を用いて取り出
し、固形分20%の水性架橋重合体微粒子水分散液を得
た。
【0085】この水分散液をステンレスバット上で60
℃の電気熱風式乾燥機中で乾燥させ、固形樹脂として取
り出した。しかる後、60℃に加熱したキシレン/n−
ブチルアルコール=50/50(重量比)の混合溶剤中
に分散させて固形分濃度15%の架橋重合体微粒子(d
−1)分散液を得た。
【0086】得られた分散液は、ガードナー粘度(25
℃)A2、重合体微粒子の平均粒子径は70nm(コー
ルター社製、「ナノサイザーN−4」で測定)であっ
た。
【0087】調製例1 有機溶剤型着色ベ−スコ−ト
用塗料組成物(P−1)の調製 下記の各成分の混合物を、トルエン30部、イソブチル
アルコ−ル20部、セロソルブアセテ−ト30部及び
「スワゾ−ル1000」(炭化水素系溶剤 コスモ石油
(株)社製 商品名)を20部からなる混合溶剤で粘度
13秒(フォ−ドカップ#4/20℃)に調整して、有
機溶剤型着色ベ−スコ−ト用塗料組成物(P−1)を得
た。
【0088】 50%アクリル樹脂溶液(注1) 110部 「サイメル370」(注2) 28部 20%CAB溶液(注3) 100部 アルミニウムペ−スト(注4) 20部 (注1)50%アクリル樹脂溶液:メチルメタクリレ−ト30部、エチルアク リレ−ト59部、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト10部及びアクリル酸1部 を、キシレン/n−ブタノ−ル=70/30(重量比)の混合溶剤中で100℃ にて重合せしめてなる、数平均分子量約17,000、樹脂固形分50%のアク リル樹脂溶液である。 (注2)「サイメル370」:三井サイテック(株)製、商品名、樹脂固形分 88%のメチル化メラミン樹脂溶液、イソプロパノ−ルを溶媒とする。 (注3)20%CAB溶液:トルエン/n−ブチルアセテート=50/50( 重量比)の混合溶剤を溶媒とする固形分20%のセルロースアセテートブチレー トの溶液。 (注4)アルミニウムペ−スト:東洋アルミニウム社製、商品名「アルミニウ ムペ−スト#55−519」、メタリック顔料。
【0089】調製例2 水性着色ベ−スコ−ト用塗料
組成物(Q−1)の調製 (1)アクリル樹脂水分散液(W−1)の調整 反応容器内に脱イオン水140部、「Newcol 7
07SF」(日本乳化剤(株)製、商品名、界面活性
剤、固形分30%)2.5部及び1部の下記単量体混合
物(1)を加え、窒素気流中で攪拌混合し、60℃で3
%過硫酸アンモニウム4部及び脱イオン水42部からな
る単量体乳化物を4時間かけて定量ポンプを用いて反応
容器に加えた。添加終了後1時間熟成を行なった。 単量体混合物(1) メチルメタクリレート 55部、 スチレン 10部、 n−ブチルアクリレート 9部、 2−ヒドロキシエチルアクリレート 5部、 メタクリル酸 1部。
【0090】次に、上記反応容器内を80℃に保持し、
この中に20.5部の下記単量体混合物(2)と3%過
硫酸アンモニウム4部を同時に1.5時間かけて反応容
器に並列滴下した。添加終了後1時間熟成し、30℃で
200メッシュのナイロンクロスで濾過した。このもの
にさらに脱イオン水を加えN,N−ジメチルアミノエタ
ノ−ルにてpH7.5に調整し、平均粒子径0.1μ
m、Tg(ガラス転移温度)46℃、不揮発分20%の
アクリル樹脂水分散液(W−1)を得た。 単量体混合物(2) メチルメタクリレ−ト 5部、 n−ブチルアクリレ−ト 7部、 2−エチルヘキシルアクリレ−ト 5部、 メタクリル酸 3部、 「Newcol 707SF」 0.5部。
【0091】(2)アクリル樹脂水溶液(W−2)の調
整 反応容器にエチレングリコールモノブチルエーテル60
部及びイソブチルアルコール15部を加えて窒素気流中
で115℃に加温した。115℃に達してから、n−ブ
チルアクリレート26部、メチルメタクリレート47
部、スチレン10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート10部、アクリル酸6部及びアゾビスイソブチロニ
トリル1部とブチルセロソルブ115部の混合物を1時
間にわたって加え、30分間熟成後50℃で200メッ
シュのナイロンクロスで濾過した。得られた反応生成物
の酸価は48mgKOH/g、粘度Z4(ガードナー泡
粘度計)、不揮発分55%、Tg45℃であった。この
ものをジメチルアミノエタノールで当量中和し、さらに
脱イオン水を加えることによって、不揮発分50%のア
クリル樹脂水溶液(W−2)を得た。
【0092】(3)水性着色ベ−スコ−ト用塗料組成物
(Q−1)の調整 上記不揮発分20%のアクリル樹脂水分散液(W−1)
275部、上記不揮発分50%アクリル樹脂水溶液(W
−2)40部、「サイメル350」(三井東圧化学社
製、商品名、メラミン樹脂)25部、「アルミペ−スト
AW−500B」(旭化成メタルズ社製、商品名、メタ
リック顔料)20部、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル20部及び脱イオン水253部を混合し、「チク
ゾ−ルK−130B」(共栄社油脂化学工業社製、商品
名、増粘剤)を添加して、B型粘度計(ローター回転数
6rpm)で3000mPa・s(ミリパスカル・秒)
になるように粘度を調整して不揮発分約19%の水性着
色ベ−スコ−ト用塗料組成物(Q−1)を得た。
【0093】実施例1〜8及び比較例1〜7 下記表に示す配合(固形分量で表示)で樹脂混合液を調
整した後、この樹脂混合溶液の固形分100部に対し
て、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチル
リン酸の当量配合物2部、「チヌビン900」(商品
名、チバガイギー社製、紫外線吸収剤)1部、及び「B
YK−300」(商品名、ビックケミー社製、表面調整
剤)0.1部を加えて「スワゾール1000」で希釈
し、粘度25秒(フォードカップ#4/20℃)に調整
して、本発明の塗料組成物及び比較の塗料組成物を調整
した。
【0094】得られた各塗料組成物の貯蔵安定性を下記
の方法で試験した。 貯蔵安定性:粘度25秒(フォードカップ#4/20
℃)に調整された塗料組成物300gをビーカーに入
れ、アルミ箔で軽く蓋をした後、40℃で2週間貯蔵し
た後の粘度(フォードカップ#4/20℃)を測定して
増粘の程度を調べた。評価基準は次の通りである。
【0095】 A:粘度が45秒未満であり、貯蔵安定性が良好、 B:粘度が45秒以上で且つ65秒未満であり、貯蔵安
定性がやや劣る、 C:粘度が65秒以上であり、貯蔵安定性が劣る。
【0096】
【表1】
【0097】上記表1において、e−1である「X−4
1−1067」は、信越化学工業(株)製の商品名であ
り、グリシジル基及びメトキシシリル基含有オルガノポ
リシロキサンであって、分子量約740を有する。
【0098】
【化3】
【0099】実施例9〜24及び比較例8〜21 上記実施例1〜8及び比較例1〜7で得た塗料組成物を
クリヤー上塗塗料として用い、下記の2コート1ベーク
方式によって上塗り塗膜を形成した。
【0100】リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8m
mのダル鋼板上にエポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜
厚約20μmとなるように電着塗装し、170℃で20
分間焼き付けた後、#400のサンドペーパーで研ぎ、
石油ベンジンで拭いて脱脂し、次いで自動車用中塗りサ
ーフェーサーを乾燥膜厚が約25μmになるようにエア
スプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた後、#
400のサンドペーパーで水研ぎし、水切り乾燥し、次
いで石油ベンジンで拭いて脱脂し試験用の素材とした。
【0101】次いで、この素材上に前記調製例で得たベ
ースコート用塗料組成物を膜厚20μmになるように塗
装し、室温で5分間乾燥後、その塗面に上記クリヤー上
塗塗料を硬化塗膜で40μmになるように塗装し、14
0℃で30分間加熱し両塗膜を硬化せしめて上塗り塗膜
を形成した。各実施例及び比較例において使用したベー
スコート用塗料組成物及びクリヤー上塗塗料の種類は後
記表2に示すとおりである。
【0102】得られた上塗り塗膜塗装板の性能試験を下
記試験方法に基づいて行なった。その試験結果を後記表
2に示す。
【0103】試験方法 塗膜外観:メタリック感(キラキラ感、白さ等)を目視
で評価した。評価基準は以下の通りである。 A:メタリックが優れる、 B:メタリック感が劣る、 C:メタリック感が著しく劣る。
【0104】耐キシレンラビング性:キシレンを含ませ
たガーゼで塗面を往復50回拭いたのち、塗面を観察し
た。評価基準は次の通りである。 A:塗面に変化がなく良好、 B:塗面にわずかにくもりが認めらる、 C:塗面に大きなくもりが認められる。
【0105】耐酸性:40%硫酸溶液に試験塗板を浸漬
し、約80℃で30分放置した後、水洗いし、塗面を観
察した。評価基準は、次の通りである。 A:塗面に目視でほとんど変化を観察できない B:塗面にフクレや穴の発生が目視で観察できる C:塗面が白化した。
【0106】耐擦り傷性:磨き粉(ダルマクレンザー)
を水で固練りして塗面に置き、その上に布を介して0.
5Kgの荷重をかけて、往復回数20回にて往復摩擦し
た後、塗面を観察した。評価基準は次の通りである。 A:初期光沢と比べて変化なし、 B:初期光沢と比べてツヤびけが少し認められる、 C:初期光沢と比べてツヤびけがかなり認められる。
【0107】リコート付着性:各塗料を140℃で30
分間焼き付け後、その上に同じ上塗り塗料(ベースコー
ト用塗料/クリヤー上塗塗料)を同様に塗装し、120
℃で30分間焼き付け後、1mm間隔でクロスカット1
00個を入れ、セロテープ(登録商標)で剥離した時の
1回目と2回目の塗膜間での付着性を調べた。評価基準
は、次の通りである。 A:全く剥離が認められない、 B:わずかに剥離が認められる、 C:著しく剥離が認められる。
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
【発明の効果】以上述べたとおり、本組成物は、貯蔵安
定性が良好で、硬化性、耐酸性に優れ、しかも耐スリキ
ズ性に優れた塗膜を形成しうる熱硬化性被覆用樹脂組成
物であり、自動車車体の上塗り塗料用として特に有効に
使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米原 洋一 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 Fターム(参考) 4J038 CB031 CB091 CC021 CC071 CD041 CE051 CF021 CG061 CG081 CG141 CG161 CG171 CH031 CH041 CH151 CH171 CJ181 CJ251 CK041 CL001 DB211 DD041 DL052 DL082 DL092 GA01 GA03 GA06 GA07 GA08 GA09 GA15 JB01 JC17 JC29 KA04 KA07 KA20 MA14 NA04 NA11 NA26 PA19

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)炭素原子数が9〜24個であ
    り、分子末端にカルボキシル基を有するカルボキシル基
    含有重合性不飽和モノマー、(b)酸無水基を有する重
    合性不飽和モノマー及び必要に応じて(c)他の共重合
    性モノマーを共重合させることにより得られるカルボキ
    シル基と酸無水基とを有する共重合体の酸無水基を炭素
    原子数1〜12個のモノアルコールにてハーフエステル
    化してなる重量平均分子量が1,500〜10,000
    の範囲内にあるハーフエステル基含有共重合体、(B)
    ポリエステルポリオールと酸無水基含有化合物とをハー
    フエステル化反応させて得られる酸価50〜200mg
    KOH/g、数平均分子量800〜5,000のカルボ
    キシル基含有ポリエステル、及び(C)(d)エポキシ
    基含有重合性不飽和モノマー、(e)アルコキシシリル
    基含有重合性不飽和モノマー及び必要に応じて(f)そ
    の他の共重合性モノマーを共重合させてなる共重合体で
    あって、エポキシ当量が200〜800、アルコキシシ
    リル基当量が300〜10,000、重量平均分子量が
    1,500〜10,000の範囲内にあるエポキシ基含
    有共重合体を含有することを特徴とする熱硬化性被覆用
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー
    (a)が、水酸基含有重合性不飽和モノマーと炭素原子
    数4〜12の酸無水基含有化合物とのハーフエステル化
    物である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】ハーフエステル基含有共重合体(A)の製
    造に使用されるカルボキシル基と酸無水基とを有する共
    重合体が、上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマ
    ー(a) 5〜70重量%、上記酸無水基を有する重合
    性不飽和モノマー(b) 5〜40重量%、及び上記
    他の共重合性モノマー(c) 0〜85重量%からなる
    モノマー混合物を共重合させてなるものであることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】ハーフエステル基含有共重合体(A)が、
    全酸価50〜240mgKOH/gの範囲内にある共重
    合である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】上記エポキシ基含有共重合体(C)を構成
    するその他の重合性不飽和モノマーが水酸基含有重合性
    不飽和モノマーを含有するものであって、該エポキシ基
    含有共重合体(C)が水酸基当量350〜1,500を
    有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に
    記載の組成物。
  6. 【請求項6】上記ハーフエステル基含有共重合体(A)
    と上記カルボキシル基含有ポリエステル(B)と上記エ
    ポキシ基含有共重合体(C)との配合割合が、(A)、
    (B)及び(C)成分の合計固形分重量に基づいて、 ハーフエステル基含有共重合体(A) 10〜65重量%、 カルボキシル基含有ポリエステル(B) 5〜60重量%、 エポキシ基含有共重合体(C) 30〜70重量% の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か一項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】上記ハーフエステル基含有共重合体(A)
    と上記カルボキシル基含有ポリエステル(B)と上記エ
    ポキシ基含有共重合体(C)との配合割合が、該共重合
    体(A)及びポリエステル(B)中のカルボキシル基
    と、該共重合体(C)中のエポキシ基との当量比が前者
    /後者の比で、0.5〜2.0となる割合であることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】さらに硬化触媒を含有する請求項1〜7の
    いずれか一項に記載の組成物。
  9. 【請求項9】さらに架橋重合体微粒子を含有する請求項
    1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 【請求項10】さらに反応性オルガノポリシロキサンを
    含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 【請求項11】素材に着色ベースコート及びクリヤー上
    塗塗膜を順次形成させてなる上塗り塗膜形成方法におい
    て、クリヤー上塗塗膜を形成する塗料が、請求項1〜1
    0のいずれか一項に記載の熱硬化性被覆用樹脂組成物で
    あることを特徴とする上塗り塗膜形成法。
  12. 【請求項12】素材に着色ベースコートを形成する塗料
    を塗装した後、未硬化の着色ベースコートの上にクリヤ
    ー上塗塗料を塗装し、ついで両塗膜を加熱硬化させるこ
    とを特徴とする2コート1ベーク方式による請求項11
    記載の上塗り塗膜形成法。
  13. 【請求項13】請求項11又は12に記載の上塗り塗膜
    形成法によって塗膜が形成された物品。
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