JP4392117B2 - 熱硬化性被覆用樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性被覆用樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯蔵安定性が良好で、しかも低温硬化性、耐酸性、耐スリキズ性などにすぐれた塗膜を形成しうる熱硬化性被覆用樹脂組成物、この組成物を用いた上塗り塗膜形成法、及びこの上塗り塗膜形成法によって塗膜が形成された物品に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
自動車車体の上塗り塗料として、水酸基含有樹脂とメラミン樹脂とを含有する塗料が広く使用されているが、該塗料を用いて形成される塗膜は耐酸性が十分でないという欠点を有している。
【0003】
そこで、メラミン樹脂を使用せずに、カルボキシル基とエポキシ基との間の架橋反応を利用したカルボキシル基/エポキシ基又はカルボキシル基/エポキシ基/水酸基からなる架橋系(特開昭62−87288号公報、特開平2−45577号公報、特開平3−287650号公報等)などが提案されているが、これらの架橋系の「酸−エポキシ型塗料」は、一般に、塗膜の耐酸性にこそ優れるが、硬化塗膜の架橋密度が高くならないために耐擦り傷性が不十分であり、洗車時に塗面にスリキズが発生しやするという欠点があり、改良が強く要望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の主たる目的は、耐酸性及び耐スリキズ性に優れた塗膜を形成することができ、しかも貯蔵安定性や塗膜の低温硬化性などにも優れた、新規な「酸−エポキシ型塗料」として有用な熱硬化性被覆用樹脂組成物を提供することである。本発明者らは、今回、カルボキシル基の導入を、分子末端にカルボキシル基を有する炭素原子数が9〜24個のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー用いて行った共重合体と、特定のカルボキシル基含有ポリエステルとを酸基含有成分として用い、エポキシ基含有モノマーとアルコキシシリル基含有モノマーとをモノマー成分とする共重合体をエポキシ基含有成分として用いることにより、上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
かくして、本発明によれば、(A)(a)炭素原子数が9〜24個であり、分子末端にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、
(b)酸無水基を有する重合性不飽和モノマー及び必要に応じて
(c)他の共重合性モノマー
を共重合させることにより得られるカルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体の酸無水基を炭素原子数1〜12個のモノアルコールにてハーフエステル化してなる重量平均分子量が1,500〜10,000の範囲内にあるハーフエステル基含有共重合体、
(B)ポリエステルポリオールと酸無水基含有化合物とをハーフエステル化反応させて得られる酸価50〜200mgKOH/g、数平均分子量800〜5,000のカルボキシル基含有ポリエステル、及び
(C)(d)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー、
(e)アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー及び必要に応じて
(f)その他の共重合性モノマー
を共重合させてなる共重合体であって、エポキシ当量が200〜800、アルコキシシリル基当量が300〜10,000、重量平均分子量が1,500〜10,000の範囲内にあるエポキシ基含有共重合体を含有することを特徴とする熱硬化性被覆用樹脂組成物が提供される。
【0006】
また本発明によれば、さらに硬化触媒を含有する上記被覆用樹脂組成物が提供される。
【0007】
さらに本発明によれば、さらに架橋重合体微粒子を含有する上記被覆用樹脂組成物が提供される。
【0008】
また本発明によれば、さらに反応性オルガノポリシロキサンを含有する上記被覆用樹脂組成物が提供される。
【0009】
さらに本発明によれば、素材に着色ベースコート及びクリヤートップコートを順次形成させてなる上塗り塗膜形成方法において、クリヤートップコートを形成する塗料が、上記熱硬化性被覆用樹脂組成物であることを特徴とする上塗り塗膜形成法が提供される。
【0010】
また本発明によれば、上記上塗り塗膜形成法によって塗膜が形成された物品が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の熱硬化性被覆用樹脂組成物(以下、本組成物という)についてさらに詳細に説明をする。
【0012】
ハーフエステル基含有共重合体(A)
本発明において使用される共重合体(A)は、炭素原子数が9〜24個であり、分子末端にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)、酸無水基を有する重合性不飽和モノマー(b)及び必要に応じて他の共重合性モノマー(c)を共重合することにより得られる酸無水基含有重合体をモノアルコールにてハーフエステル化したものである。
【0013】
上記分子末端にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)は、炭素原子数が9〜24個、好ましくは12〜23個の範囲内にあるものであって、例えば、(1)1分子中に水酸基及び重合性不飽和基をそれぞれ1個ずつ有する水酸基含有重合性不飽和単量体と酸無水基含有化合物とのハーフエステル化反応物、(2)カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)にε−カプロラクトンのような環内エステル基含有化合物(ラクトン)を付加させたものなどを挙げることができる。
【0014】
上記ハーフエステル化反応物(1)を製造するに際して使用される水酸基含有重合性不飽和単量体の具体例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、プラクセルFM又はFAシリーズ(ダイセル化学工業(株)商品名;アクリル酸又はメタクリル酸とε−カプロラクトンとの開環エステル化物)などがあげられる。
【0015】
上記ハーフエステル化反応物(1)を製造するに際して使用される酸無水基含有化合物は、下記の酸無水基
【0016】
【化1】
Figure 0004392117
【0017】
を有し、上記の水酸基含有重合性不飽和単量体中の水酸基と容易にハーフエステル化反応して、酸無水基1モルあたりカルボキシル基及びエステル基をそれぞれ1モルづつ生成するような線状もしくは環状の化合物であり、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸などが包含される。なかでも炭素原子数4〜12のものが好適である。
【0018】
上記ハーフエステル化反応物(1)を製造するには、水酸基含有重合性不飽和単量体と酸無水基含有化合物とを、前者の不飽和単量体中の水酸基1モルあたり後者の化合物中の酸無水基を0.95〜1.50モル、好ましくは0.98〜1.30モル、特に好ましくは1.00〜1.10モルの比率でハーフエステル化反応させるのが、通常、貯蔵安定性、得られる硬化塗膜の耐水性などの観点から適当である。上記の範囲内の比率で反応させることにより、未反応の水酸基含有重合性不飽和単量体が残存することが殆どなくなるので貯蔵安定性の低下がなくなり、一方、未反応の酸無水基含有化合物が残存することはあるが、これは後工程で一価アルコールと反応してハーフエステル化され、そのものがエポキシ基含有共重合体(C)との架橋反応に関与するので、塗膜性能を劣化させる要因にはならない。
【0019】
水酸基含有重合性不飽和単量体と酸無水基含有化合物とのハーフエステル化反応は、通常の方法、例えば、適宜反応に不活性な有機溶媒中で、室温乃至約150℃の温度で行うことができる。
【0020】
また、酸無水物基含有重合性不飽和モノマー(b)は、1分子中に一価アルコールと容易にハーフエステル化反応しうる酸無水基及び重合性不飽和基の両方をそれぞれ1個有する化合物であり、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
【0021】
さらに、他の共重合性モノマー(c)は、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)及び酸無水基を有する重合性不飽和モノマー(b)と共重合可能な化合物であり、具体的には、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどの不飽和アミド類;酢酸ビニル、塩化ビニル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニル化合物などが挙げられる。
【0022】
以上に述べたカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)、酸無水基を有する重合性不飽和モノマー(b)及び他の共重合性モノマー(c)を共重合することによりカルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体を得ることができる。これらの各成分の共重合比率は臨界的ではなく、本組成物の使用目的等に応じて任意に選択することができるが、一般には、これら3成分の合計量を基準にして、成分(a)は5〜70重量%、特に10〜65重量%、さらに特に15〜40重量%;成分(b)は5〜40重量%、特に10〜35重量%、さらに特に15〜25重量%;成分(c)は0〜85重量%、特に10〜75重量%、さらに特に30〜60重量%の範囲内が適している。
【0023】
上記カルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体は、重量平均分子量が一般に1,400〜9,800、特に1,900〜8,000の範囲内にあることが好ましく、一般に240〜2,000、好ましくは280〜1,000、より好ましくは400〜650の範囲内の酸無水基当量を有することができる。
【0024】
本組成物の一部を構成するハーフエステル基含有共重合体(A)は、上記カルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体を構成するモノマー(b)単位に由来する酸無水基に一価アルコールを反応させてハーフエステル化することにより調製することができる。
【0025】
上記エステル化反応において反応せしめられる一価アルコールとしては、1分子中に1個の水酸基を有する有機化合物であり、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルカノール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルキレングリコールのモノアルキルエーテル類;ジメチルアミノエタノールなどのジアルキルアミノアルカノール類などがあげられる。中でも、炭素数1〜4のアルカノールが好適である。これらの一価アルコールはカルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体の酸無水基とハーフエステル化反応して、その結果、1個の酸無水基からカルボキシル基及びカルボン酸エステル基がそれぞれ1個ずつが生成する。一価アルコールの使用割合は、通常、カルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体の酸無水基1モルあたり1〜6モル、特に1.5〜5モル、さらに特に2〜4モルの範囲内が適している。このハーフエステル化反応は、適宜反応に不活性な有機溶媒中で、通常の条件下、例えば、室温〜140℃の温度で行うことができる。ハーフエステル化反応後、余分の一価アルコールを減圧蒸留などにより除去してもよい。
【0026】
かくして得られるハーフエステル基含有共重合体(A)は、重量平均分子量が1,500〜10,000、特に2,000〜8,000の範囲内にあることが好ましく、カルボキシル基及びカルボン酸エステル基を有しており、その酸価は一般に50〜240mgKOH/g、特に100〜200mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0027】
カルボキシル基含有ポリエステル(B)
カルボキシル基含有ポリエステルは、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の多価カルボン酸又はこれらの多価カルボン酸の低級アルキル化物とを、水酸基量がカルボキシル基量(酸無水基1モルはカルボキシル基2モルと計算)より過剰となる配合条件下でエステル化反応(縮合反応、エステル交換反応のいずれでもよい)して得られるポリエステルポリオールを、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等の酸無水基含有化合物とハーフエステル化反応させることによって容易に得ることができる。
【0028】
上記ポリエステルポリオールは、通常のエステル化反応条件によって得ることができ、このポリエステルポリオールは、数平均分子量が350〜4,700、好ましくは400〜3,000の範囲内にあり、水酸基価が70〜400mgKOH/g、好ましくは150〜350mgKOH/gの範囲内にあることが好適である。
【0029】
カルボキシル基含有ポリエステル(B)を得るための、上記ポリエステルポリオールのハーフエステル化の反応は、通常の方法に従い、通常、室温から80℃程度の温度で、必要ならば3級アミンを触媒として用いて行なうことができる。カルボキシル基含有ポリエステル(B)は、数平均分子量が800〜5,000、好ましくは900〜3,000の範囲内にあり、酸価が50〜200mgKOH/g、好ましくは100〜180mgKOH/gの範囲内にあることが適当である。
【0030】
エポキシ基含有共重合体(C)
本組成物の一部を構成する重合体(C)は、1分子中にアルコキシシリル基及びエポキシ基の両方を有する重合体である。
【0031】
重合体(C)は、例えば、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(d)、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(e)及びその他の重合性不飽和単量体(f)を共重合することによって得ることができる。
【0032】
重合体(C)を調製するために使用されるエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(d)は、1分子中にエポキシ基及び重合性不飽和基を有する化合物であり、具体的には、例えば、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、β−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、δ−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、ω−(グリシジルオキシ)ヘキシルアクリレート、(ジプロピレングリコールモノグリシシジルエーテル)アクリレート、(ジエチレングリコールモノグリシシジルエーテル)アクリレート;脂環式骨格にエポキシ基が結合してなる重合性不飽和単量体、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0033】
重合体(C)を調製するために使用されるアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(e)は、1分子中にアルコキシシリル基及び重合性不飽和基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であり、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができ、好適には低温硬化性及び貯蔵安定性の観点から、アルコキシシリル基がエトキシシリル基であるビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0034】
重合体(C)を調製するために使用される、その他の共重合性モノマー(f)としては、ハーフエステル基含有共重合体(A)の製造に際して使用しうるものとして前述した、他の共重合性モノマー(c)の例示の中及び前記ハーフエステル化反応物(1)を製造するに際して使用される水酸基含有重合性不飽和単量体の中から適宜選択して使用することができる。その他の共重合性モノマー(f)の一部として水酸基含有重合性不飽和単量体を使用することが好適である。
【0035】
共重合体(C)を調製するための、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(d)、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(e)及びその他の共重合性モノマー(f)の各モノマーの共重合量は、通常、全モノマー中、次のような割合とするのが適当である。即ち、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(d)は、硬化性と貯蔵安定性の観点から、5〜60重量%程度、好ましくは10〜50重量%であるのが良い。アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー(e)は、硬化性とコストの観点から、3〜40重量%程度、好ましくは5〜20重量%であるのが良い。また、その他の共重合性モノマーは、0〜90重量%程度、好ましくは30〜80重量%であるのが適当である。その他の共重合性モノマー(f)である水酸基含有重合性不飽和単量体の共重合量は、、通常、全モノマー中、0〜50重量%、好ましくは5〜30重量%であるのが硬化性と貯蔵安定性の観点から良い。
【0036】
これらのモノマー(d)、(e)及び(f)の共重合は、例えば、通常の溶液重合によって行うことができ、得られる共重合体(C)は、エポキシ当量が200〜800、特に250〜600の範囲内;アルコキシシリル基当量が300〜10,000、好ましくは900〜6,000;水酸基当量が350〜1,500、特に500〜1,200の範囲内;そして重量平均分子量が1,500〜10,000、特に2,000〜8,000の範囲内にあるのが適している。
【0037】
熱硬化性被覆用樹脂組成物
本発明により提供される熱硬化性被覆用樹脂組成物(本組成物)は、以上に述べたハーフエステル基含有共重合体(A)、カルボキシル基含有ポリエステル(B)及びエポキシ基含有共重合体(C)を含んでなるものである。
【0038】
本組成物は、共重合体(A)、ポリエステル(B)及び共重合体(C)を、適当な有機溶剤中に配合し、混合することによって調製することができる。その際のこれらの重合体の配合比率は、(A)、(B)及び(C)成分の合計固形分重量に基づいて下記の範囲内にあることが好適である。
ハーフエステル基含有共重合体(A):10〜65重量%、好ましくは20〜55重量%、
カルボキシル基含有ポリエステル(B):5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%、
エポキシ基含有共重合体(C):30〜70重量%、好ましくは35〜60重量%。
【0039】
さらに、(A)、(B)及び(C)成分の配合割合は、(A)及び(B)成分中のカルボキシル基と、(C)成分中のエポキシ基との当量比が、前者/後者の比で、0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.2の範囲内にあることが好適である。
【0040】
本組成物を用いて形成される塗膜は、約120〜約160℃の温度で10〜40分間程度加熱することにより容易に架橋硬化させることができる。この硬化機構は十分に解明されていないが、加熱により、共重合体(A)及びポリエステル(B)中のカルボキシル基が共重合体(C)中のエポキシ基と反応し結合して水酸基が生成し、共重合体(A)中のカルボキシル基とカルボン酸エステル基とが反応して酸無水物基が再生するとともに遊離の一価アルコールが脱離する。このアルコールは加熱中に蒸発して除去される。再生した酸無水基は、共重合体(C)に含まれる水酸基と反応して架橋し、再度カルボキシル基が生成し、この生成したカルボキシル基が重合体(A)及びポリエステル(B)中のカルボキシル基とともに重合体(C)に含まれるエポキシ基と反応して架橋するものと推定される。また、重合体(C)に含まれるアルコキシシリル基は、加水分解してシラノール基となり、生成したシラノール基が重合体(C)中の水酸基などと反応するものと考えられる。
【0041】
本組成物には、上記した共重合体(A)、ポリエステル(B)及び共重合体(C)に加え、さらに、硬化触媒、流動調整剤、反応性オルガノポリシロキサン、着色顔料、メタリック顔料、光干渉顔料、体質顔料、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの通常の塗料用添加剤を配合することができる。
【0042】
上記硬化触媒は、カルボキシル基とエポキシ基との反応を促進する触媒を挙げることができ、代表例として、オニウム塩、オニウム塩系潜在性触媒などを挙げることができる。オニウム塩は窒素、リン、イオウなどのような孤立電子対をもつ元素を含む化合物において、これらの孤立電子対にプロトンあるいは他の陽イオン形の化合物が配位結合してなる化合物であり、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩などが挙げられる。
【0043】
硬化触媒として用いうるオニウム塩の代表例としては、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ジエチルジブチルアンモニウムブロマイド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロライド、ジメチルベンジルラウリルアンモニウムクロライド、ジメチルジシクロヘキシルアンモニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、ジメチルベンジルラウリルホスホニウムブロマイド、トリエチルスルホニウムクロライドなどが挙げられる。
【0044】
硬化触媒として用いうるオニウム塩系潜在性触媒は、上記オニウム塩と酸化合物とで構成され、両者は混合物であっても反応していてもよい。酸化合物としては、なかでも酸性リン酸エステルが好適である。オニウム塩系潜在性触媒は、常温では触媒能が抑制され、高温で本来の硬化触媒機能を発揮するものであり、本組成物の貯蔵安定性の面で有利である。
酸性リン酸エステルは、リン酸、亜リン酸及びこれらの縮合物の無機リン化合物の一部の水素をアルキル基又はアリール基などで置換した有機酸性(亜)リン酸エステルである。該アルキル基としては直鎖状又は分枝状のいずれのタイプであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−デシルなどの基が挙げられる。
【0045】
酸性リン酸エステルとしては具体的にはジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノ−2−エチルヘキシルホスファイトなどが挙げられる。
【0046】
オニウム塩系潜在性触媒が、オニウム塩及び酸性リン酸エステルで構成される場合、両者の配合割合は両者の合計量に基づいて、オニウム塩が約2〜90重量%、好ましくは約25〜75重量%であり、酸性リン酸エステルが約10〜98重量%、好ましくは約25〜75重量%の範囲にあることが低温硬化性及び本組成物の貯蔵安定性の面から好適である。
【0047】
本組成物に配合することができる流動調整剤の代表例としては、架橋重合体微粒子を挙げることができる。架橋重合体微粒子は、前記共重合体(A)、ポリエステル(B)、及び共重合体(C)の各成分や溶剤に対して相溶性が無く、しかも、安定に分散しうる内部架橋された粒子状重合体である。架橋重合体微粒子は、(A)、(B)及び(C)成分の混合物に対して、チキソトロピー性を付与する目的で添加されるものである。
【0048】
即ち、上記混合物は、実質的にニュートン的流動特性を示すので、例えば基材を垂直にして塗装作業を行う場合や、かかる塗装の後に行われる焼き付け時における温度上昇に伴ってタレ、ハジキ等が生じたりする等の種々の塗膜欠陥が現れる。ところが、上記混合物に、架橋重合体微粒子を添加した場合には、静置時における見かけ上の粘度は大きくなるものの、スプレー時等のごとく、高剪断応力が加わるような場合には、十分に粘度が小さくなって、タレを生じることなく、容易にスプレー作業が出来るようになるし、しかも、基材への塗着ののち、数秒ないしは数分間を経た時点で、すでにチキソトロピー性を発現し、ハジキ等の塗膜欠陥が生じなくなるというように、塗膜欠陥の予防効果が十分に働くことになる。
【0049】
該架橋重合体微粒子の具体例としては、水性エマルジョンないしは水性サスペンジョン重合法又は非水分散型重合法によって得られる公知の分子内架橋された微粒子状重合体が使用可能である。このうち、水性エマルジョンないしは水性サスペンジョン重合法によって得られる分子内架橋構造を有する微粒子重合体は、水の蒸発もしくは共沸又は重合体(粒子)の沈殿もしくは凝集等の、物理的ないしは化学的手段によって、固形物の形で以て分離せしめることも出来るし、あるいは、こうした物理的ないしは化学的手段を施すに際して、目的とする架橋重合体微粒子の媒体を、直接、水から他の樹脂や有機溶剤等に置き換えることも出来る。
【0050】
本発明においては、架橋重合体微粒子として、特開平3−66770号公報に開示されているような分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマー及びその他のラジカル重合性不飽和モノマーを分子内にアリル基を含有する反応性乳化剤の存在下で乳化重合せしめて得られる架橋重合体微粒子を好適に使用できる。この場合には、分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマーにより、重合体微粒子が内部架橋されている。
【0051】
また、架橋重合体微粒子として、特開平1−95116号公報に開示されているようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体を必須単量体成分として含有する重合体を分散安定剤樹脂として用い、該樹脂存在下有機液体中でラジカル重合性不飽和単量体を重合させて得られる該有機液体に不溶性の微粒子重合体の非水分散液も好適に使用できる。この場合には、アルコキシシリル基含有ビニル単量体により、重合体微粒子が内部架橋されているが、更にラジカル重合性不飽和単量体として分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有する重合性モノマーを一部併用して、重合体微粒子を更に内部架橋しても良い。
【0052】
こうした架橋重合体微粒子は、架橋密度が高く、トルエンや酢酸エチル等のような、ポリマー溶解力の大きい溶剤中においても、実質的に、非膨潤性で、かつ、非融着性であり、しかも、かかる溶解力の大きい溶剤を含むバインダー樹脂溶液又は分散液に添加される場合に、該溶液(分散液)の粘度を上げることなく、樹脂含有率の高い、つまり、高固形分の溶液(分散液)の収得を実現することができる。また、かかる架橋重合体微粒子を配合した組成物は、乾燥後においては、該微粒子とバインダー樹脂とが、共に硬化塗膜を形成する。
【0053】
また、架橋重合体微粒子としては、平均粒子径が0.01〜2μm程度、好ましくは0.05〜0.5μm程度であるのが適当である。平均粒子径がこの範囲よりも小さくなるとタレ防止効果が低下する傾向にあり、又この範囲より大きくなると仕上り外観が低下する傾向にあるので、いずれも好ましくない。
【0054】
本組成物に配合することができる反応性オルガノポリシロキサンは、ポリシロキサン鎖の側鎖、末端又はこれら両者に反応性官能基及びオルガノ基を有する化合物である。該反応性オルガノポリシロキサンは、塗膜に高度な耐酸性と耐擦り傷性を付与するために用いられる成分であり、前記共重合体(A)、ポリエステル(B)、及び共重合体(C)の混合物に対して相溶性のあるものであれば、特に制限されずに用いることができる。
【0055】
該反応性オルガノポリシロキサンは、線状、分岐状、網状、環状等のいずれの構造のものであってもよい。上記オルガノ基(有機基)としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)、アルケニル基、アリール基、アリル基、フェニル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、ビニル基、フェニル基等のオルガノ基を有するものが、コスト等の点から実用上有利である。上記反応性官能基としては、シラノール基、アルコキシシリル基、アルコール性水酸基、グリシジル基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミド基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基等が挙げられる。なかでも、アルコキシシリル基、アルコール性水酸基、グリシジル基が好ましい。
【0056】
反応性オルガノポリシロキサンの分子量に関しては、(A)、(B)及び(C)成分の混合物との相溶性のある範囲において適宜選択可能であり一概には言えないが、通常数平均分子量で100〜10,000程度、好ましくは300〜5,000程度であるのが適当である。この範囲よりも分子量が大きくなるにつれて前記相溶性が低下する傾向がある。反応性オルガノポリシロキサン1分子中に含まれるケイ素原子の個数についていえば、2〜300個であることが好ましく、2〜100個のものがより好ましく、3〜50個のものが特に好ましい。
【0057】
反応性オルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、特開平5−43696号公報、特開平7−70509号公報に開示されているものが挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
本組成物により形成される硬化塗膜は、硬化性、耐酸性、耐スリキズ性などの性能にすぐれているので、本組成物は、金属製又はプラスチック製の自動車車体や電気製品などの被塗物の外板部の上塗り塗料用として有利に使用することができる。具体的には、例えば、これらの被塗物に、直接、またはカチオン電着塗料などの下塗り塗料及びさらに場合により中塗り塗料を塗装し硬化させた後、1)本組成物を含んでなるソリッドカラー上塗塗料を塗装するか、2)ソリッドカラー又はメタリックの着色ベース塗料を塗装し、次いでこれらの未硬化又は硬化塗膜面上に本組成物を含んでなるクリヤー上塗塗料を塗装することができる。
【0059】
本組成物の塗装は、例えば、塗装時の固形分含有率を20〜75重量%に調整した後、エアレススプレー、エアスプレー、静電塗装などによって行うことができ、その膜厚は硬化塗膜で10〜100μmの範囲内が適しており、塗膜は約120〜約160℃の温度で10〜40分間程度加熱することによって架橋硬化せしめることができる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明する。部及び%はいずれも重量基準によるものであり、また塗膜の膜厚は硬化塗膜についてのものである。
【0061】
ハーフエステル基含有共重合体の製造
製造例1
プラクセルFA2(ダイセル化学工業社製、末端に水酸基を有する開環ε−カプロラクトン鎖含有エチレン性不飽和化合物)とヘキサヒドロ無水フタル酸とを予めモノエステル化反応させて、下記式
【0062】
【化2】
Figure 0004392117
【0063】
で表されるカルボキシル基含有モノマー(A)を合成した。
【0064】
次に、撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0065】
スチレン 400部
イソブチルアクリレート 360部
無水マレイン酸 400部
上記カルボキシル基含有モノマー(A) 840部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1350部
p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部
その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とエトキシプロピオン酸エチル80部との混合物を1時間かけて滴下した。更に一旦、60℃に冷却して、メタノール390部とトリエチルアミン4部を加えて、6時間加熱還流させた。
その後、余分なメタノール260部を減圧脱溶剤して除去し、固形分約50%のハーフエステル基含有共重合体溶液(a−1)を得た。この共重合体の重量平均分子量は約7,000であり、樹脂酸価は150mgKOH/gであった。
【0066】
製造例2
4−ヒドロキシブチルアクリレートと無水コハク酸とを予め反応させ、下記式
CH2=CHCOOC48OOCCH2CH2COOH
で表されるカルボキシル基含有モノマー(B)を合成した。
次に、撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0067】
スチレン 400部
イソブチルアクリレート 400部
イソブチルメタクリレート 400部
無水マレイン酸 300部
カルボキシル基含有モノマー(B) 500部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1320部
p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部
その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴下した。更に一旦、60℃に冷却して、メタノール298部とトリエチルアミン4部を加えて、6時間加熱還流させた。
その後、余分なメタノール196部を減圧脱溶剤して除去し、固形分約50%のハーフエステル基含有共重合体溶液(a−2)を得た。この共重合体の重量平均分子量は約7,000であり、樹脂酸価は135mgKOH/gであった。
【0068】
製造例3(比較例用)
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0069】
スチレン 400部
イソブチルアクリレート 500部
アクリル酸 260部
カルボキシル基含有モノマー(A) 840部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1220部
p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部
その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴下した。固形分約50%のハーフエステル基含有共重合体溶液(a−3)を得た。この共重合体の重量平均分子量は約7,200であり、樹脂酸価は148mgKOH/gであった。
【0070】
製造例4(比較例用) 炭素原子数が9〜24個のカルボキシル基含有モノマーを共重合しないもの
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0071】
スチレン 400部
イソブチルアクリレート 540部
イソブチルメタクリレート 540部
無水マレイン酸 400部
アクリル酸 120部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1350部
p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部
その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴下した。更に一旦、60℃に冷却して、メタノール390部とトリエチルアミン4部を加えて、6時間加熱還流させた。
その後、余分なメタノール260部を減圧脱溶剤して除去し、固形分約50%のハーフエステル基含有共重合体溶液(a−4)を得た。この共重合体の重量平均分子量は約6,800であり、樹脂酸価は150mgKOH/gであった。
【0072】
製造例5(比較例用) 共重合体中の酸無水基をハーフエステル化しないもの
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、プロピオン酸2−エトキシエチル700部を仕込み、マントルヒーターで125℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0073】
スチレン 400部
イソブチルアクリレート 360部
無水マレイン酸 400部
上記カルボキシル基含有モノマー(A) 840部
プロピオン酸2−エトキシエチル 1220部
p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 160部
その後、30分間熟成し、更に、 p-tert-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部とプロピオン酸2−エトキシエチル80部との混合物を1時間かけて滴下して、固形分約50%のハーフエステル基含有共重合体溶液(a−5)を得た。この共重合体の重量平均分子量は約6,900であり、樹脂酸価は160mgKOH/gであった。
【0074】
カルボキシル基含有ポリエステルの製造
製造例6
撹拌機、温度計、精留塔および水分離器を装備した5リットルフラスコに、1,6−ヘキサンジオール283部、トリメチロールプロパン491部、アジピン酸438部、ヘキサヒドロ無水フタル酸323部を仕込み、窒素雰囲気下で180℃まで昇温した。その後、3時間かけて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が3以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキサヒドロ無水フタル酸776部を加え、再び140℃に昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈して固形分50%のカルボキシル基含有ポリエステル溶液(b−1)を得た。このポリエステルの数平均分子量は2,400であり、樹脂酸価は130mgKOH/gであった。
【0075】
製造例7
撹拌機、温度計、精留塔および水分離器を装備した5リットルフラスコに、1,6−ヘキサンジオール566部、トリメチロールプロパン437部、アジピン酸467部、ヘキサヒドロ無水フタル酸308部を仕込み、窒素雰囲気下で180℃まで昇温した。その後、3時間かけて230℃まで昇温し、230℃で1時間反応させた後、キシレンを加えて還流下で反応させた。樹脂酸価が3以下となったことを確認後、100℃に冷却してヘキサヒドロ無水フタル酸1294部を加え、再び140℃に昇温して2時間反応させた。冷却後、キシレンで希釈して固形分65%のカルボキシル基含有ポリエステル溶液(b−2)を得た。このポリエステルの数平均分子量は1,040であり、酸価は160mgKOH/gであった。
【0076】
エポキシ基含有共重合体の製造
製造例8
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで130℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0077】
スチレン 250部
イソボルニルアクリレート 750部
グリシジルメタクリレート 875部
4−ヒドロキシブチルアクリレート 375部
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 250部
n−ブタノール 250部
2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部
その後、30分間熟成し、さらに、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾール1000」400部との混合物を1時間かけて滴下し、1分子中にアルコキシシリル基、エポキシ基および水酸基を有する固形分約60%の共重合体溶液(c−1)を得た。この共重合体は、重量平均分子量が6,000であり、エポキシ当量406、アルコキシシリル基当量2,900、水酸基当量960であった。
【0078】
製造例9
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで130℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0079】
スチレン 250部
n−ブチルメタクリレート 375部
グリシジルメタクリレート 1000部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 500部
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 375部
n−ブタノール 250部
2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部
その後、30分間熟成し、さらに、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾール1000」400部との混合物を1時間かけて滴下し、1分子中にアルコキシシリル基、エポキシ基および水酸基を有する固形分約60%の共重合体溶液(c−2)を得た。この共重合体は、重量平均分子量が6,000であり、エポキシ当量355、アルコキシシリル基当量1,930、水酸基当量580であった。
【0080】
製造例10(比較例用) アルコキシシリル基を有さない共重合体の製造
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで130℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0081】
スチレン 250部
n−ブチルメタクリレート 750部
グリシジルメタクリレート 1000部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 500部
n−ブタノール 250部
2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部
その後、30分熟成し、さらに、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾール1000」400部との混合物を1時間かけて滴下し、1分子中に、エポキシ基および水酸基を有する固形分約60%のビニル系共重合体溶液(c−3)を得た。この共重合体は、重量平均分子量が6,000であり、エポキシ当量355、水酸基当量580であった。
【0082】
製造例11(比較例用) エポキシ基含有モノマーを共重合しないもの
撹拌機、温度計および冷却管を装備した5リットルフラスコに、「スワゾール1000」(炭化水素系有機溶剤;コスモ石油(株)製、商品名)750部およびn−ブタノール250部を仕込み、マントルヒーターで130℃に加熱した。そして、下記組成のモノマー混合物を4時間かけて滴下した。
【0083】
スチレン 250部
n−ブチルメタクリレート 375部
イソブチルメタクリレート 1000部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 500部
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン 375部
n−ブタノール 250部
2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 125部
その後、30分熟成し、さらに、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)12.5部と「スワゾール1000」400部との混合物を1時間かけて滴下し、1分子中にアルコキシシリル基および水酸基を有する固形分約60%の共重合体溶液(c−4)を得た。この共重合体は、重量平均分子量が6,000であり、アルコキシシリル基当量1,930、水酸基当量580であった。
【0084】
製造例12 架橋重合体微粒子(d−1)の製造
撹拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1リットルフラスコに、脱イオン水3547.5部及び50%「ラテムルS−120A」(花王(株)製、商品名、スルホコハク酸系アリル基含有アニオン性反応性乳化剤)20部を仕込み、撹拌しながら90℃まで昇温した。これに、水溶性アゾアミド重合開始剤である「VA−086」(和光純薬工業(株)製、商品名、2,2´−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド])12.5部を脱イオン水500部に溶解した水溶液の20%を加えた。15分後にスチレン150部、メチルメタクリレート550部、n−ブチルアクリレート150部、2−ヒドロキシエチルアクリレート50部及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート100部からなるモノマー混合物の5%を加えた。ついで、さらに30分間撹拌した後、残りのモノマー混合物及び重合開始剤の滴下を開始した。モノマー混合物の滴下は3時間で、重合開始剤の滴下は3.5時間かけてそれぞれ行ない、その間重合温度は90℃に保った。重合開始剤水溶液の滴下終了後も30分間加熱して90℃に保った後室温に冷却し、濾布を用いて取り出し、固形分20%の水性架橋重合体微粒子水分散液を得た。
【0085】
この水分散液をステンレスバット上で60℃の電気熱風式乾燥機中で乾燥させ、固形樹脂として取り出した。しかる後、60℃に加熱したキシレン/n−ブチルアルコール=50/50(重量比)の混合溶剤中に分散させて固形分濃度15%の架橋重合体微粒子(d−1)分散液を得た。
【0086】
得られた分散液は、ガードナー粘度(25℃)A2、重合体微粒子の平均粒子径は70nm(コールター社製、「ナノサイザーN−4」で測定)であった。
【0087】
調製例1 有機溶剤型着色ベ−スコ−ト用塗料組成物(P−1)の調製
下記の各成分の混合物を、トルエン30部、イソブチルアルコ−ル20部、セロソルブアセテ−ト30部及び「スワゾ−ル1000」(炭化水素系溶剤 コスモ石油(株)社製 商品名)を20部からなる混合溶剤で粘度13秒(フォ−ドカップ#4/20℃)に調整して、有機溶剤型着色ベ−スコ−ト用塗料組成物(P−1)を得た。
【0088】
50%アクリル樹脂溶液(注1) 110部
「サイメル370」(注2) 28部
20%CAB溶液(注3) 100部
アルミニウムペ−スト(注4) 20部
(注1)50%アクリル樹脂溶液:メチルメタクリレ−ト30部、エチルアクリレ−ト59部、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト10部及びアクリル酸1部を、キシレン/n−ブタノ−ル=70/30(重量比)の混合溶剤中で100℃にて重合せしめてなる、数平均分子量約17,000、樹脂固形分50%のアクリル樹脂溶液である。
(注2)「サイメル370」:三井サイテック(株)製、商品名、樹脂固形分88%のメチル化メラミン樹脂溶液、イソプロパノ−ルを溶媒とする。
(注3)20%CAB溶液:トルエン/n−ブチルアセテート=50/50(重量比)の混合溶剤を溶媒とする固形分20%のセルロースアセテートブチレートの溶液。
(注4)アルミニウムペ−スト:東洋アルミニウム社製、商品名「アルミニウムペ−スト#55−519」、メタリック顔料。
【0089】
調製例2 水性着色ベ−スコ−ト用塗料組成物(Q−1)の調製
(1)アクリル樹脂水分散液(W−1)の調整
反応容器内に脱イオン水140部、「Newcol 707SF」(日本乳化剤(株)製、商品名、界面活性剤、固形分30%)2.5部及び1部の下記単量体混合物(1)を加え、窒素気流中で攪拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム4部及び脱イオン水42部からなる単量体乳化物を4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に加えた。添加終了後1時間熟成を行なった。
単量体混合物(1)
メチルメタクリレート 55部、
スチレン 10部、
n−ブチルアクリレート 9部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5部、
メタクリル酸 1部。
【0090】
次に、上記反応容器内を80℃に保持し、この中に20.5部の下記単量体混合物(2)と3%過硫酸アンモニウム4部を同時に1.5時間かけて反応容器に並列滴下した。添加終了後1時間熟成し、30℃で200メッシュのナイロンクロスで濾過した。このものにさらに脱イオン水を加えN,N−ジメチルアミノエタノ−ルにてpH7.5に調整し、平均粒子径0.1μm、Tg(ガラス転移温度)46℃、不揮発分20%のアクリル樹脂水分散液(W−1)を得た。
単量体混合物(2)
メチルメタクリレ−ト 5部、
n−ブチルアクリレ−ト 7部、
2−エチルヘキシルアクリレ−ト 5部、
メタクリル酸 3部、
「Newcol 707SF」 0.5部。
【0091】
(2)アクリル樹脂水溶液(W−2)の調整
反応容器にエチレングリコールモノブチルエーテル60部及びイソブチルアルコール15部を加えて窒素気流中で115℃に加温した。115℃に達してから、n−ブチルアクリレート26部、メチルメタクリレート47部、スチレン10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、アクリル酸6部及びアゾビスイソブチロニトリル1部とブチルセロソルブ115部の混合物を1時間にわたって加え、30分間熟成後50℃で200メッシュのナイロンクロスで濾過した。得られた反応生成物の酸価は48mgKOH/g、粘度Z4(ガードナー泡粘度計)、不揮発分55%、Tg45℃であった。このものをジメチルアミノエタノールで当量中和し、さらに脱イオン水を加えることによって、不揮発分50%のアクリル樹脂水溶液(W−2)を得た。
【0092】
(3)水性着色ベ−スコ−ト用塗料組成物(Q−1)の調整
上記不揮発分20%のアクリル樹脂水分散液(W−1)275部、上記不揮発分50%アクリル樹脂水溶液(W−2)40部、「サイメル350」(三井東圧化学社製、商品名、メラミン樹脂)25部、「アルミペ−ストAW−500B」(旭化成メタルズ社製、商品名、メタリック顔料)20部、エチレングリコールモノブチルエーテル20部及び脱イオン水253部を混合し、「チクゾ−ルK−130B」(共栄社油脂化学工業社製、商品名、増粘剤)を添加して、B型粘度計(ローター回転数6rpm)で3000mPa・s(ミリパスカル・秒)になるように粘度を調整して不揮発分約19%の水性着色ベ−スコ−ト用塗料組成物(Q−1)を得た。
【0093】
実施例1〜8及び比較例1〜7
下記表に示す配合(固形分量で表示)で樹脂混合液を調整した後、この樹脂混合溶液の固形分100部に対して、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルリン酸の当量配合物2部、「チヌビン900」(商品名、チバガイギー社製、紫外線吸収剤)1部、及び「BYK−300」(商品名、ビックケミー社製、表面調整剤)0.1部を加えて「スワゾール1000」で希釈し、粘度25秒(フォードカップ#4/20℃)に調整して、本発明の塗料組成物及び比較の塗料組成物を調整した。
【0094】
得られた各塗料組成物の貯蔵安定性を下記の方法で試験した。
貯蔵安定性:粘度25秒(フォードカップ#4/20℃)に調整された塗料組成物300gをビーカーに入れ、アルミ箔で軽く蓋をした後、40℃で2週間貯蔵した後の粘度(フォードカップ#4/20℃)を測定して増粘の程度を調べた。評価基準は次の通りである。
【0095】
A:粘度が45秒未満であり、貯蔵安定性が良好、
B:粘度が45秒以上で且つ65秒未満であり、貯蔵安定性がやや劣る、
C:粘度が65秒以上であり、貯蔵安定性が劣る。
【0096】
【表1】
Figure 0004392117
【0097】
上記表1において、e−1である「X−41−1067」は、信越化学工業(株)製の商品名であり、グリシジル基及びメトキシシリル基含有オルガノポリシロキサンであって、分子量約740を有する。
【0098】
【化3】
Figure 0004392117
【0099】
実施例9〜24及び比較例8〜21
上記実施例1〜8及び比較例1〜7で得た塗料組成物をクリヤー上塗塗料として用い、下記の2コート1ベーク方式によって上塗り塗膜を形成した。
【0100】
リン酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上にエポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚約20μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間焼き付けた後、#400のサンドペーパーで研ぎ、石油ベンジンで拭いて脱脂し、次いで自動車用中塗りサーフェーサーを乾燥膜厚が約25μmになるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた後、#400のサンドペーパーで水研ぎし、水切り乾燥し、次いで石油ベンジンで拭いて脱脂し試験用の素材とした。
【0101】
次いで、この素材上に前記調製例で得たベースコート用塗料組成物を膜厚20μmになるように塗装し、室温で5分間乾燥後、その塗面に上記クリヤー上塗塗料を硬化塗膜で40μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱し両塗膜を硬化せしめて上塗り塗膜を形成した。各実施例及び比較例において使用したベースコート用塗料組成物及びクリヤー上塗塗料の種類は後記表2に示すとおりである。
【0102】
得られた上塗り塗膜塗装板の性能試験を下記試験方法に基づいて行なった。その試験結果を後記表2に示す。
【0103】
試験方法
塗膜外観:メタリック感(キラキラ感、白さ等)を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
A:メタリックが優れる、
B:メタリック感が劣る、
C:メタリック感が著しく劣る。
【0104】
耐キシレンラビング性:キシレンを含ませたガーゼで塗面を往復50回拭いたのち、塗面を観察した。評価基準は次の通りである。
A:塗面に変化がなく良好、
B:塗面にわずかにくもりが認めらる、
C:塗面に大きなくもりが認められる。
【0105】
耐酸性:40%硫酸溶液に試験塗板を浸漬し、約80℃で30分放置した後、水洗いし、塗面を観察した。評価基準は、次の通りである。
A:塗面に目視でほとんど変化を観察できない
B:塗面にフクレや穴の発生が目視で観察できる
C:塗面が白化した。
【0106】
耐擦り傷性:磨き粉(ダルマクレンザー)を水で固練りして塗面に置き、その上に布を介して0.5Kgの荷重をかけて、往復回数20回にて往復摩擦した後、塗面を観察した。評価基準は次の通りである。
A:初期光沢と比べて変化なし、
B:初期光沢と比べてツヤびけが少し認められる、
C:初期光沢と比べてツヤびけがかなり認められる。
【0107】
リコート付着性:各塗料を140℃で30分間焼き付け後、その上に同じ上塗り塗料(ベースコート用塗料/クリヤー上塗塗料)を同様に塗装し、120℃で30分間焼き付け後、1mm間隔でクロスカット100個を入れ、セロテープで剥離した時の1回目と2回目の塗膜間での付着性を調べた。評価基準は、次の通りである。
A:全く剥離が認められない、
B:わずかに剥離が認められる、
C:著しく剥離が認められる。
【0108】
【表2】
Figure 0004392117
【0109】
【表3】
Figure 0004392117
【0110】
【表4】
Figure 0004392117
【0111】
【表5】
Figure 0004392117
【0112】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本組成物は、貯蔵安定性が良好で、硬化性、耐酸性に優れ、しかも耐スリキズ性に優れた塗膜を形成しうる熱硬化性被覆用樹脂組成物であり、自動車車体の上塗り塗料用として特に有効に使用することができる。

Claims (13)

  1. (A)(a)炭素原子数が9〜24個であり、分子末端にカルボキシル基を有するカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、
    (b)酸無水基を有する重合性不飽和モノマー及び必要に応じて
    (c)他の共重合性モノマー
    を共重合させることにより得られるカルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体の酸無水基を炭素原子数1〜12個のモノアルコールにてハーフエステル化してなる重量平均分子量が1,500〜10,000の範囲内にあるハーフエステル基含有共重合体、
    (B)ポリエステルポリオールと酸無水基含有化合物とをハーフエステル化反応させて得られる酸価50〜200mgKOH/g、数平均分子量800〜5,000のカルボキシル基含有ポリエステル、及び
    (C)(d)エポキシ基含有重合性不飽和モノマー、
    (e)アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー及び必要に応じて
    (f)その他の共重合性モノマー
    を共重合させてなる共重合体であって、エポキシ当量が200〜800、アルコキシシリル基当量が300〜10,000、重量平均分子量が1,500〜10,000の範囲内にあるエポキシ基含有共重合体を含有することを特徴とする熱硬化性被覆用樹脂組成物。
  2. カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a)が、水酸基含有重合性不飽和モノマーと炭素原子数4〜12の酸無水基含有化合物とのハーフエステル化物である請求項1記載の組成物。
  3. ハーフエステル基含有共重合体(A)の製造に使用されるカルボキシル基と酸無水基とを有する共重合体が、
    上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a) 5〜70重量%、
    上記酸無水基を有する重合性不飽和モノマー(b) 5〜40重量%、及び
    上記他の共重合性モノマー(c) 0〜85重量%
    からなるモノマー混合物を共重合させてなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4. ハーフエステル基含有共重合体(A)が、全酸価50〜240mgKOH/gの範囲内にある共重合である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 上記エポキシ基含有共重合体(C)を構成するその他の重合性不飽和モノマーが水酸基含有重合性不飽和モノマーを含有するものであって、該エポキシ基含有共重合体(C)が水酸基当量350〜1,500を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 上記ハーフエステル基含有共重合体(A)と上記カルボキシル基含有ポリエステル(B)と上記エポキシ基含有共重合体(C)との配合割合が、(A)、(B)及び(C)成分の合計固形分重量に基づいて、
    ハーフエステル基含有共重合体(A) 10〜65重量%、
    カルボキシル基含有ポリエステル(B) 5〜60重量%、
    エポキシ基含有共重合体(C) 30〜70重量%
    の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 上記ハーフエステル基含有共重合体(A)と上記カルボキシル基含有ポリエステル(B)と上記エポキシ基含有共重合体(C)との配合割合が、該共重合体(A)及びポリエステル(B)中のカルボキシル基と、該共重合体(C)中のエポキシ基との当量比が前者/後者の比で、0.5〜2.0となる割合であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. さらに硬化触媒を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. さらに架橋重合体微粒子を含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. さらに反応性オルガノポリシロキサンを含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 素材に着色ベースコート及びクリヤー上塗塗膜を順次形成させてなる上塗り塗膜形成方法において、クリヤー上塗塗膜を形成する塗料が、請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱硬化性被覆用樹脂組成物であることを特徴とする上塗り塗膜形成法。
  12. 素材に着色ベースコートを形成する塗料を塗装した後、未硬化の着色ベースコートの上にクリヤー上塗塗料を塗装し、ついで両塗膜を加熱硬化させることを特徴とする2コート1ベーク方式による請求項11記載の上塗り塗膜形成法。
  13. 請求項11又は12に記載の上塗り塗膜形成法によって塗膜が形成された物品。
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