JP2002060176A - 吊荷の振れ止め装置 - Google Patents

吊荷の振れ止め装置

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JP2002060176A JP2000251047A JP2000251047A JP2002060176A JP 2002060176 A JP2002060176 A JP 2002060176A JP 2000251047 A JP2000251047 A JP 2000251047A JP 2000251047 A JP2000251047 A JP 2000251047A JP 2002060176 A JP2002060176 A JP 2002060176A
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一正 藤原
Hiroshi Hirasawa
博 平沢
Shinya Kashiwasuga
信哉 栢菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】可動体駆動手段が破損した場合でも、自動的か
つ安定的に可動体の位置が決まる吊荷の振れ止め装置の
提供を目的とする。 【解決手段】荷物搬送用トロリー10において複数のロ
ープ6により吊り下げられた吊荷2の振れ止めを行う装
置であって、トロリー本体11と平行リンク機構を構成
してトロリーの下部に垂下される可動体16にロープガ
イドシーブ14を収容させ、前記トロリー本体に対して
相対的に前記可動体をトロリー進行方向に沿って前後移
動可能とする可動体駆動手段18を設けた構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吊荷の振れ止め装置
に関するものであり、特にコンテナヤードにおいてクレ
ーン吊りしたコンテナを横行トロリーにより搬送する作
業を安全に行うための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にコンテナはその長手方向を船の進
行方向に合わせて船積みされている。これを陸上げする
際には、岸壁に接岸された船の側方からクレーンでコン
テナを吊り上げ、横行トロリーにより陸側に移動搬送
し、荷下ろししている。
【0003】一般的なコンテナクレーンおよび横行トロ
リーの構成および動作について、図4を用いて簡単に説
明する。巻上げロープ106は、巻上げドラム108か
らロープガイドシーブ114を介して、コンテナ102
の上面に装着された吊具104上のシーブ105に巻き
回される。さらにその巻上げロープは、左右反対側にお
いて同様に配置された巻上げロープと、イコライザシー
ブ109側で結合させている。従って巻上げドラム10
8が巻上げロープ106を巻上げると、巻上げロープに
より4カ所のシーブ105が均等に持ち上げられ、コン
テナ102が吊り上げられる。次に巻上げドラム108
を固定して、コンテナ102を一定の高さに保持する。
そしてトロリー駆動手段112により、図示しない横行
レール上に配置された横行トロリー110を図4の左右
方向に移動させて、コンテナを搬送する。目標地点まで
搬送したら、巻上げドラム108から巻上げロープ10
6を送り出し、コンテナを荷下ろしする。
【0004】搬送中のコンテナにおいて、横行トロリー
の加減速によって横行トロリー進行方向の振れ(図5
(1)参照)が発生するとともに、コンテナ重心のずれ
等によってねじれ振動(スキュー振れ;図5(2)参
照)が発生することがある。その際、コンテナが振れた
ままでは目標地点に正確に荷下ろしできないため、振れ
がおさまるまで待ってから荷下ろししていた。しかしそ
れでは荷役効率が悪く、コンテナの振れを短時間で減衰
させる必要があった。
【0005】そこで特開平6−255928号公報等に
おいて、吊荷の振れ止め装置が提案されている。図4に
従来技術にかかる吊荷の振れ止め装置の説明図を示す。
これは一般的なコンテナクレーンおよび横行トロリーに
おいて、横行トロリー110の左右両側部に、横行トロ
リー本体111に対し相対的にその横行方向に沿って前
後移動できるようにした可動体116を設け、可動体内
に間隔をおいて2組のロープガイドシーブ114を設置
し、さらに各可動体を移動させる可動体駆動手段118
を設けたものである。
【0006】上記の吊荷の振り止め装置を用いた場合、
以下のようにして吊荷の振れ止めを行っている。図5
(1)にトロリー進行方向の振れ止め方法の説明図を示
し、同図(2)にスキュー振れ止め方法の説明図を示
す。まずコンテナ102にトロリー進行方向の振れ18
2vが発生した場合には、矢印182のようにコンテナ
の振れ方向と同じ方向に、可動体駆動手段118により
両可動体を同期して移動させる。さらにコンテナが逆方
向に振れた場合にも、両可動体をこれに追随して移動さ
せる。またスキュー振れ184vおよび184wが発生
した場合には、矢印184aおよび184bのように各
可動体側のコンテナの振れ方向と同位相となる方向に、
各可動体相互を逆方向に可動体駆動手段118により移
動させる。このようにしてコンテナの振れを短時間で減
衰させ制止させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術にかかる
吊荷の振れ止め装置では、可動体がトロリー上のすべり
軸受け等の上に配設されている。これを移動させる可動
体駆動手段が破損した場合、可動体を移動させることが
できなくなるばかりか、可動体の位置が決まらず不安定
になるという問題があった。このような状態でトロリー
を移動させ吊荷の運搬を行うと、不安定な可動体により
吊荷の姿勢が急激に変化し、吊荷の内容物が破損するお
それがあるとともに、装置各部に衝撃力が及んで各部を
破損させるおそれがあった。また不安定な可動体により
吊荷の振れも平常の場合より大きくなるという問題があ
った。従って吊荷の振れ止め制御はもちろん、吊荷の運
搬さえできなくなっていた。本発明は上記問題点に着目
し、可動体駆動手段が破損した場合でも、自動的かつ安
定的に可動体の位置が決まる吊荷の振れ止め装置の提供
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る吊荷の振れ止め装置は、荷物搬送用ト
ロリーにおいて複数のロープにより吊り下げられた吊荷
の振れ止めを行う装置であって、トロリー本体と平行リ
ンク機構を構成して前記トロリーの下部に垂下される可
動体にロープガイドシーブを収容させ、前記トロリー本
体に対して相対的に前記可動体を前記トロリー進行方向
に沿って前後移動可能とする可動体駆動手段を設けた構
成とした。
【0009】また、コンテナ搬送用横行トロリーにおい
てロープにより4点吊りされたコンテナの振れ止めを行
う装置であって、横行トロリー本体と平行リンク機構を
構成して前記横行トロリー横行方向の両側下部に垂下さ
れる可動体にロープガイドシーブを収容させ、前記横行
トロリー本体に対して相対的に前記各可動体を相互に独
立して前記横行トロリー横行方向に沿って前後移動可能
とする可動体駆動手段を設けた構成とした。
【0010】また、コンテナ搬送用横行トロリーにおい
てロープにより4点吊りされたコンテナの振れ止めを行
う装置であって、横行トロリー本体と平行リンク機構を
構成して前記横行トロリー横行方向の片側下部に垂下さ
れる可動体にロープガイドシーブを収容させ、前記横行
トロリー本体に対して相対的に前記可動体を前記横行ト
ロリー横行方向に沿って前後移動可能とする可動体駆動
手段を設けるとともに、前記横行トロリーを前記可動体
の移動方向と相反移動させる横行トロリー駆動手段を備
えた構成とした。
【0011】
【作用】可動体はトロリー本体と平行リンク機構を形成
するので、可動体を移動させる可動体駆動手段が破損し
た場合でも、可動体は自動的かつ安定的に最下点に位置
する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照して詳細に説明する。なお以下に記載するのは本発明
の実施形態の一態様にすぎず、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0013】図1に第1実施形態に係る吊荷の振れ止め
装置の説明図を示す。第1実施形態に係る吊荷の振れ止
め装置は、トロリー本体11と平行リンク機構を構成し
てトロリー10の下部に垂下される可動体16にロープ
ガイドシーブ14を収容させ、可動体をトロリー進行方
向に沿って前後移動可能とする可動体駆動手段18を設
けてなる。これらはトロリー進行方向の両側に配設され
る。さらにそのトロリー10は、荷物を吊り上げるクレ
ーン装置内に配置されて横行トロリーとして使用される
場合が多いが、これに限られず、例えば工場内の天井部
分に配置されて水平2方向の吊荷の移動に使用される場
合もある。なお、作業対象となる吊荷はコンテナである
場合が多いが、これに限られるものではない。また吊荷
を吊り上げる巻上げロープは、吊荷の重量を支持する十
分な強度がありなおかつ可撓性を有するものであれば、
ワイヤロープ等に限られず鎖等でもよい。
【0014】本実施形態に係る吊荷の振れ止め装置の可
動体16には、巻上げロープが巻き回される円筒形状の
ロープガイドシーブ14を設置するのが好ましい。もっ
ともトロリーをクレーン装置内で使用しない場合にはこ
れに限られず、ロープガイドシーブ以外でも可動体が巻
上げロープを支持することができるのであれば、例えば
小型の巻上げドラムを可動体内に設置してもよく、また
巻上げロープを可動体に直接固定してもよい。ロープガ
イドシーブ14を設置する場合、可動体16は側面を鋼
板等で囲って平面視長方形状に形成するのが好ましい。
ロープガイドシーブ14からは巻上げロープ6が下方に
伸びるため、ロープガイドシーブまたは巻上げロープと
干渉する可動体の下面部分は開放しておく。
【0015】ロープガイドシーブ14を設置する場合に
は、その中心軸をトロリー進行方向と直交させて回転自
在に設置する。可動体16に収容するロープガイドシー
ブの個数は、何本の巻上げロープで荷物を吊り上げるか
によって決まる。図1のように4本の巻上げロープで荷
物を吊り上げる場合には、バランス上トロリーの四隅に
近い部分に各巻上げロープが配置されるので、トロリー
進行方向の左右両側にはそれぞれ2本の巻上げロープが
配置され、従って各可動体は2個のロープガイドシーブ
14を収容することになる。また、吊荷にできるだけ振
れが生じないようにするため、吊具4上に設置されたシ
ーブ5相互の間隔よりも、ロープガイドシーブ14相互
の間隔を大きくとるのが好ましい。従って各ロープガイ
ドシーブ14は可動体16長手方向の両端部付近に設置
するのが好ましいが、必ずしもこれに限られるものでは
ない。なお、巻上げロープの位置がロープガイドシーブ
の軸方向にずれないように、ロープガイドシーブの表面
には巻上げロープの外径に対応したガイド溝を形成する
のが好ましい。
【0016】上記のように構成した可動体16は、トロ
リー10の下部にこれと平行に、その長手方向をトロリ
ーの進行方向に合わせて配置する。そしてトロリー本体
11と可動体16との間を平行リンク24で接続し、平
行リンク機構を形成する。平行リンク機構は、平行に配
置した部材間に1組のリンク部材を平行に掛け渡し、各
リンク部材の端部をピン結合したものである。このよう
な平行リンク機構を形成することにより、可動体は各頂
点をピン結合した平行四辺形の底辺として機能し、トロ
リー本体に対して平行を維持しながら移動可能となる。
この平行リンク24は可動体の幅方向両側に設置するの
が好ましいが、これに限られない。なおトロリー本体側
への接続は、トロリー本体下面に固定した接続部材26
に対して行うのが好ましいがこれに限られず、例えばト
ロリー平面に直接接続してもよい。以上のようにして、
可動体16をトロリー進行方向の左右両側に配設する。
なおその進行方向とは、トロリーをクレーン装置内に配
置して横行トロリーとして使用する場合には横行方向で
あるが、クレーン装置以外の例えば工場内の天井部分に
配置されて水平2方向の吊荷の移動に使用される場合に
は、水平2方向のいずれでもよい。
【0017】さらに可動体を移動させる可動体駆動手段
18を設ける。可動体駆動手段としては大きな駆動力を
発生しうる油圧シリンダを用いるのが好ましいが、荷物
を吊り下げた状態で可動体を移動させるだけの力を発揮
しうるものであればこれに限られず、例えばモータ等で
もよい。可動体駆動手段18として油圧シリンダを用い
た場合には、シリンダおよびロッドの一方をトロリー本
体側に他方を可動体側に接続する。また図1にように両
側のロッドが伸縮する油圧シリンダの場合には、一方の
ロッドをトロリー本体側に他方のロッドを可動体側に接
続する。一方可動体駆動手段としてモータを用いた場合
には、モータ本体を前記接続部材26内部に設置し、前
記平行リンクを直接回動させるようにしてもよい。各可
動体駆動手段18は、図示しない制御部と接続する。制
御部は、各可動体の移動方向および移動量につき、後述
するようにそれぞれの比率に基づいて相対的に制御する
機能を有する。
【0018】以上のように構成したトロリーにつき、ク
レーン装置内に配置して横行トロリーとして使用する場
合には、車輪等を設けた上で横行レール(図1には不図
示)上に配置する。さらにトロリーを横行レールに沿っ
て移動させるトロリー駆動手段12を設置する。トロリ
ー駆動手段は、吊荷やトロリーの重量を直接負担しない
ので極端に大きな出力を必要としないが、吊荷やトロリ
ーの重量によりトロリーの車輪等に係る転がり抵抗を負
担するので、これを上回る出力を発揮しうるものを選択
する。
【0019】一方、吊荷2の上面には吊具4を固定し、
吊具4の上面にはシーブ5を設置する。そして巻上げロ
ープ6の一端は巻上げドラム8に固定し、他端は可動体
に設置したロープガイドシーブ14を介して吊具4上の
シーブ5に巻き回す。さらに再度同じロープガイドシー
ブ14を介した上で、イコライザシーブ9の側で傾転ジ
ャッキ7に接続するのが好ましいが、これに限られな
い。傾転ジャッキは巻上げドラム8とは別に、各巻上げ
ロープの長さを個別に微調整する部分である。なお傾転
ジャッキに接続しないで、従来技術のように、トロリー
進行方向の両側に同様に配置された巻上げロープどうし
を、イコライザシーブ側で結合させてもよい。上記のよ
うに巻上げロープを巻上げドラムからイコライザシーブ
側に渡しかけることにより、トロリーは吊荷を吊り下げ
つつ巻上げロープの途中に配置された形となる。
【0020】そして、巻上げドラムを回転させ巻上げロ
ープを巻き取れば、巻上げロープの長さが短くなり荷物
が持ち上げられる。一定の高さまで持ち上げたら巻上げ
ドラムの回転を止める。次にトロリー駆動手段によりト
ロリーを移動させる。トロリーは吊荷を一定の高さに保
ちつつ、巻上げロープをたぐり寄せながら水平方向に吊
荷を搬送する。荷下ろし地点まで吊荷を搬送したらトロ
リー駆動手段を止め、巻上げドラムから巻上げロープを
繰り出して吊荷を下降させ、荷下ろしをする。なお傾転
ジャッキを設置した場合には、上記各作業の途中で必要
に応じて傾転ジャッキを駆動し、各巻上げロープの長さ
を個別に微調整することにより、吊荷の前後方向傾転お
よび左右方向傾転を行って姿勢をコントロールすること
もできる。
【0021】また上記のように構成したトロリーにつ
き、クレーン装置以外の例えば工場内の天井部分に配置
して水平2方向の吊荷の移動に使用する場合には、トロ
リー移動平面の両脇にレール等を設け、さらに両レール
間に渡し掛けられレール上を移動する梁等を設けて、そ
の梁等に沿って移動可能にトロリーを設置するのが好ま
しいが、これに限られない。その場合にはトロリー駆動
手段の他に、梁等の駆動手段を設ける。一方、巻上げロ
ープの一端はトロリー上に設置した巻上げドラムに固定
し、他端は吊荷上面に固定する。そして巻上げドラムに
より巻上げロープを巻き取れば荷物が持ち上げられる。
あとはトロリー駆動手段および梁の駆動手段を駆動して
吊荷を搬送すればよい。なお上記巻上げドラムを巻上げ
ロープ毎に別個に設置しておけば、搬送作業中に吊荷の
姿勢制御も可能となる。
【0022】上記のように構成した吊荷の振り止め装置
を用いた吊荷の振れ止め方法は、従来技術に係る吊荷の
振り止め装置を用いた吊荷の振れ止め方法と同様であ
る。図2(1)にトロリー進行方向の振れ止め方法の説
明図を示し、同図(2)にスキュー振れ止め方法の説明
図を示す。
【0023】トロリーが吊荷を搬送する際の加減速によ
り、吊荷に図2(1)の矢印82vのようなトロリー進
行方向の振れが発生する場合がある。この場合には両方
の可動体16を矢印82のように、吊荷の振れ方向と同
じ方向に移動させる。上記の吊荷の運動は、ロープガイ
ドシーブ14を設置した場合には、これらを支点とした
振り子運動と同視できる。一般に振り子は中立点からの
振れ幅に比例して、重力が振り子の進行方向成分に分解
された復元力を生じる。しかし振り子の変位に追随して
その支点を移動させれば、重力の方向は振り子の半径方
向と一致して、復元力が減少ないし消滅するから、振動
を短時間で減衰させることができる。よって可動体とと
もに支点となるロープガイドシーブ14を上記のように
移動させることにより、吊荷の振れを短時間で減衰させ
ることができる。1回の上記操作によって吊荷の振れが
十分に減衰しない場合には、吊荷の反対側への振れに追
随するように可動体を再移動させるのが好ましいが、こ
れに限られない。このような操作を繰り返して、最終的
に吊荷の振れを減衰ないし停止させる。
【0024】また、荷物の中心に対して重心がずれてい
る場合には、荷物搬送中に図2(2)の矢印84vおよ
び84wのようなスキュー(ねじれ振動)が発生するこ
とがある。この場合に吊荷の振れ84vおよび84w
は、それぞれロープガイドシーブ14を支点とする振り
子運動と同視することもできる。そこで各可動体16を
トロリー本体に対して相対的に、矢印84aおよび84
bのように各可動体側のコンテナの振れ方向と同位相と
なる方向に、各可動体相互を逆方向に移動させる。
【0025】また可動体の移動量については、吊荷の中
心とスキュー振れの中心が一致している場合には、各可
動体の絶対的移動量の比率が1:1程度となるようにす
る。一方吊荷の中心とスキュー振れの中心が一致してい
ない場合には、上記比率のまま可動体を移動させると、
スキュー振れの中心が動いて新たにトロリー進行方向の
振れが発生してしまう。そこで各可動体の絶対的移動量
の比率が、各可動体側の吊荷のスキュー振れ幅の比率と
同等となるように、可動体を移動させる。こうすれば、
スキュー振れの中心が動くことによって新たにトロリー
進行方向の振れを発生させることなく、スキュー振れを
止めることができる。
【0026】よって上記操作により、図2(1)と同じ
原理でスキュー振れを短時間で減衰させることができ
る。1回の上記操作によって吊荷の振れが十分に減衰し
ない場合には、吊荷の反対側への振れに追随するように
可動体を再移動させるのが好ましいが、これに限られな
い。このような操作を繰り返して、最終的に吊荷の振れ
を減衰ないし停止させる。
【0027】なお以上は、吊荷の振れを目視で確認しな
がら手動で可動体を移動させて振れ止めを行う場合につ
いて述べたが、以下のように自動制御することもでき
る。すなわち、トロリー本体に設置したCCDカメラ等
により吊荷を撮像し、画像をコンピュータに転送して吊
荷の振れ方向および振幅を解析し、振れ止めのための可
動体の移動方向および最適な移動量を計算し、計算結果
に基づく命令信号を可動体駆動手段に出力するのであ
る。このような制御を逐時行うことにより、最短時間で
吊荷の振れ止めができる。
【0028】上記のように構成した吊荷の振れ止め装置
は、可動体がトロリーの下部に配置され、トロリー本
体、可動体および平行リンクにより平行リンク機構が形
成されるので、可動体は各頂点をピン結合した平行四辺
形の底辺として機能する。そして平行リンクが垂直下方
に伸びて長方形を形成した場合に可動体は最下点をと
り、その位置から平行リンクがいずれの方向に回動して
も可動体の高さは上昇する。従って可動体駆動手段が破
損し可動体に対する制御が不能となった場合でも、可動
体はその自重により自動的に前記最下点に位置する。ま
た外力が作用して可動体が振れても、最後には安定的に
前記最下点に位置することになる。このような状態でト
ロリーを移動させ吊荷の運搬を行えば、吊荷の姿勢が急
激に変化することがないから、吊荷の内容物が破損した
り、装置各部に衝撃力が及んでその部分を破損させるこ
とがない。また吊荷の振れの増加も最小限に抑えること
ができる。よって可動体駆動手段が破損した場合でも、
吊荷の運搬を継続して行うことができるのである。
【0029】第1実施形態として、トロリー進行方向の
両側下部に可動体を配設する吊荷の振れ止め装置につい
て述べたが、第2実施形態として、片側下部のみに可動
体を配設する吊荷の振れ止め装置について説明する。な
お、第1実施形態と同じ構成および動作となる部分につ
いては説明を省略する。
【0030】図3において、第1実施形態と同様に構成
した可動体16および可動体駆動手段18は、第1実施
形態と同様の接続方法により、トロリー進行方向の片側
のみに配設する。なお進行方向の選び方も第1実施形態
と同様である。
【0031】可動体を配設した一方の側とは反対の他方
の側には、図3のように可動体を介さず直接トロリー上
に巻き上げロープ用のロープガイドシーブ15を設置す
るのが好ましい。もっともトロリーをクレーン装置内で
使用しない場合にはこれに限られず、ロープガイドシー
ブ以外でもトロリーが巻上げロープを支持することがで
きるのであれば、例えば小型の巻上げドラムをトロリー
上に設置してもよく、また巻上げロープをトロリーに直
接固定してもよい。ロープガイドシーブ15について
は、可動体を介さず直接トロリー上に設置する点の他
は、第1実施例においてロープガイドシーブ14につい
て述べたことがそのまま当てはまる。
【0032】さらにトロリーを移動させるトロリー駆動
手段を設置する。後述する吊り荷の振れ止めには、荷物
搬送用のトロリー駆動手段12をそのまま使用するのが
好ましいが、振れ止め用のトロリー駆動手段を別途設け
て使用してもよい。可動体駆動手段18およびトロリー
駆動手段12は、図示しない制御部と接続する。制御部
は、可動体およびトロリーの移動方向および移動量につ
き、後述するようにそれぞれの比率に基づいて相対的に
制御する機能を有する。
【0033】上記のように構成した吊荷の振り止め装置
を用いた場合は、以下のように吊荷の振れ止めを行う。
図3(1)にトロリー進行方向の振れ止め方法の説明図
を示し、同図(2)にスキュー振れ止め方法の説明図を
示す。
【0034】吊荷に図3(1)の矢印82vのようなト
ロリー進行方向の振れが発生した場合には、トロリーを
矢印82のように、吊荷の振れ方向と同じ方向に移動さ
せる。その際可動体16はトロリー本体11上を移動さ
せないでおくのが好ましい。トロリーとともに支点とな
るロープガイドシーブ14および15を上記のように移
動させることにより、図2(1)の場合と同じ原理で、
吊荷の振れを短時間で減衰させることができる。1回の
上記操作によって吊荷の振れが十分に減衰しない場合に
は、吊荷の反対側への振れに追随するようにトロリーを
再移動させるのが好ましいが、これに限られない。この
ような操作を繰り返して、最終的に吊荷の振れを減衰な
いし停止させる。
【0035】また、荷物搬送中に図2(2)の矢印84
vおよび84wのようなスキュー(ねじれ振動)が発生
した場合には、可動体16をトロリー本体に対して相対
的に、矢印84bのように可動体を設置した側の吊荷2
の振れ方向84wと同位相となる方向に移動させる。一
方トロリー10は矢印84aのように、吊荷2の振れ方
向84vと同位相となる方向であって可動体16とは反
対方向に移動させる。ここで可動体のみを上記のように
移動させた場合には、スキュー振れを停止させることは
できてもトロリー進行方向の振れが新たに発生してしま
う。そこでトロリーを上記のように移動させれば、図2
(1)と同じ原理でトロリー進行方向の振れの新たな発
生を抑えることができるのである。結局ロープガイドシ
ーブ14および15の最終的な移動方向は、従来技術に
おいて各可動体を逆方向に移動させた場合と同じ移動方
向となる。
【0036】また可動体の移動量については、吊荷の中
心とスキュー振れの中心が一致している場合には、可動
体の絶対的移動量とトロリーの絶対的移動量との比率が
1:1程度となるようにする。これを可動体のトロリー
本体に対する相対的移動量とトロリーの絶対的移動量と
の比率でいえば2:1程度となる。一方吊荷の中心とス
キュー振れの中心が一致していない場合には、上記比率
のまま可動体およびトロリーを移動させると、可動体の
みを移動させた場合と同様に、スキュー振れの中心が動
いて新たにトロリー進行方向の振れが発生してしまう。
そこで、可動体の絶対的移動量とトロリーの絶対的移動
量との比率が、可動体側の吊荷のスキュー振れ幅とその
反対側の吊荷のスキュー振れ幅との比率と同等となるよ
うに、可動体およびトロリーを移動させる。こうすれ
ば、スキュー振れの中心が動くことによって新たにトロ
リー進行方向の振れを発生させることなく、スキュー振
れを止めることができる。
【0037】また1回の上記操作によって吊荷の振れが
十分に減衰しない場合には、吊荷の反対側への振れに追
随するように可動体およびトロリーをそれぞれ再移動さ
せるのが好ましいが、これに限られない。このような操
作を繰り返して、最終的に吊荷の振れを減衰ないし停止
させる。
【0038】なお以上は、吊荷の振れを目視で確認しな
がら手動で可動体を移動させて振れ止めを行う場合につ
いて述べたが、自動制御することもできる点は第1実施
形態の場合と同様である。
【0039】上記のように構成した吊荷の振れ止め装置
を上記のように使用することにより、有効な吊荷の振れ
止めを実現することができる。しかも第2実施形態に係
る吊荷の振れ止め装置はトロリーの片側のみに可動体お
よび可動体駆動手段を配設したものであり、トロリーの
両側に可動体および可動体駆動手段を配設している従来
の吊荷の振れ止め装置および第1の実施形態に比べて、
コストを低く抑えるとともにトロリーの重量を低減する
ことができる。トロリーの重量を低減すれば、トロリー
駆動手段の負担を減らしてその耐久性能を向上させるこ
とができるばかりか、エネルギー消費量を減らして運転
コストを低減することができる。
【0040】
【発明の効果】荷物搬送用トロリーにおいて複数のロー
プにより吊り下げられた吊荷の振れ止めを行う装置であ
って、トロリー本体と平行リンク機構を構成して前記ト
ロリーの下部に垂下される可動体にロープガイドシーブ
を収容させ、前記トロリー本体に対して相対的に前記可
動体を前記トロリー進行方向に沿って前後移動可能とす
る可動体駆動手段を設けた構成としたので、可動体駆動
手段が破損した場合でも可動体は自動的かつ安定的に最
下点に位置する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る吊荷の振り止め装置の説明
図である。
【図2】第1実施形態に係る吊荷の振れ止め方法の説明
図であり、(1)はトロリー進行方向の振れ止め方法の
説明図であり、(2)はスキュー振れ止め方法の説明図
である。
【図3】第2実施形態に係る吊荷の振れ止め方法の説明
図であり、(1)はトロリー進行方向の振れ止め方法の
説明図であり、(2)はスキュー振れ止め方法の説明図
である。
【図4】従来技術に係る吊荷の振れ止め装置の説明図で
ある。
【図5】従来技術に係る吊荷の振れ止め方法の説明図で
あり、(1)はトロリー進行方向の振れ止め方法の説明
図であり、(2)はスキュー振れ止め方法の説明図であ
る。
【符号の説明】 2………吊荷、4………吊具、5………シーブ、6……
…巻上げロープ、7………傾転ジャッキ、8………巻上
げドラム、9………イコライザシーブ、10………トロ
リー、11………トロリー本体、12………トロリー駆
動手段、14………ロープガイドシーブ、15………ロ
ープガイドシーブ、16………可動体、18………可動
体駆動手段、24………平行リンク、26………接続部
材、82、82v………矢印、84a、84b、84
v、84w………矢印、102………コンテナ、104
………吊具、105………シーブ、106………巻上げ
ロープ、108………巻上げドラム、109………イコ
ライザシーブ、110………横行トロリー、111……
…横行トロリー本体、112………横行トロリー駆動手
段、114………ロープガイドシーブ、115………ロ
ープガイドシーブ、116………可動体、118………
可動体駆動手段、182、182v………矢印、184
a、184b、184v、184w………矢印
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平沢 博 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船 株式会社玉野事業所内 (72)発明者 栢菅 信哉 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船 株式会社玉野事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷物搬送用トロリーにおいて複数のロー
    プにより吊り下げられた吊荷の振れ止めを行う装置であ
    って、トロリー本体と平行リンク機構を構成して前記ト
    ロリーの下部に垂下される可動体にロープガイドシーブ
    を収容させ、前記トロリー本体に対して相対的に前記可
    動体を前記トロリー進行方向に沿って前後移動可能とす
    る可動体駆動手段を設けたことを特徴とする吊荷の振れ
    止め装置。
  2. 【請求項2】 コンテナ搬送用横行トロリーにおいてロ
    ープにより4点吊りされたコンテナの振れ止めを行う装
    置であって、横行トロリー本体と平行リンク機構を構成
    して前記横行トロリー横行方向の両側下部に垂下される
    可動体にロープガイドシーブを収容させ、前記横行トロ
    リー本体に対して相対的に前記各可動体を相互に独立し
    て前記横行トロリー横行方向に沿って前後移動可能とす
    る可動体駆動手段を設けたことを特徴とする吊荷の振れ
    止め装置。
  3. 【請求項3】 コンテナ搬送用横行トロリーにおいてロ
    ープにより4点吊りされたコンテナの振れ止めを行う装
    置であって、横行トロリー本体と平行リンク機構を構成
    して前記横行トロリー横行方向の片側下部に垂下される
    可動体にロープガイドシーブを収容させ、前記横行トロ
    リー本体に対して相対的に前記可動体を横行トロリー横
    行方向に沿って前後移動可能とする可動体駆動手段を設
    けるとともに、前記横行トロリーを前記可動体の移動方
    向と相反移動させる横行トロリー駆動手段を備えたこと
    を特徴とする吊荷の振れ止め装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101145254B1 (ko) * 2010-06-01 2012-05-24 한국과학기술원 호이스팅 가이드 시브 횡방향 이송장치
CN113213363A (zh) * 2021-06-04 2021-08-06 三一海洋重工有限公司 起升系统和起重机
WO2023138646A1 (zh) * 2022-01-19 2023-07-27 中车长江运输设备集团有限公司 一种空中运输车及控制方法
CN118651754A (zh) * 2024-08-21 2024-09-17 江苏东玖光电科技有限公司 适配于石墨旋转靶材使用的自动化吊装设备

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