JP2002058750A - 荷電ビーム照射方法および装置、ならびにコンピュータが読取り可能な記憶媒体 - Google Patents

荷電ビーム照射方法および装置、ならびにコンピュータが読取り可能な記憶媒体

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JP2002058750A
JP2002058750A JP2000250224A JP2000250224A JP2002058750A JP 2002058750 A JP2002058750 A JP 2002058750A JP 2000250224 A JP2000250224 A JP 2000250224A JP 2000250224 A JP2000250224 A JP 2000250224A JP 2002058750 A JP2002058750 A JP 2002058750A
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irradiation
charged beam
dose value
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unit
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JP2000250224A
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English (en)
Inventor
Kazunao Maeda
一尚 前田
Takao Yagi
敬雄 八木
Tamotsu Takeda
保 武田
Naohisa Tsuzuki
直久 都築
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】照射対象に照射される荷電ビームの線量値を高
精度で制御することを可能にしてビーム照射効率を向上
させる。 【解決手段】各照射位置に対応する電流値に基づいて荷
電ビームを異なる2方向に沿って走査することにより、
その荷電ビームを各照射位置に照射する偏向電磁石コイ
ル3、4、偏向電磁石電源X5、Y6と、電流値を複数
の照射位置に対応付けてテーブルTに記憶するメモリ1
3と、線量計7、信号処理回路9、信号入力部11と、
計測線量値が計画線量値に到達した際に、他の照射位置
に対応する電流値をメモリ13のテーブルTから読み出
して偏向電磁石電源X5、Y6に供給するプロセッサ1
2および信号出力部14とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加速器等のビーム
発生装置により荷電粒子を加速することにより発生する
荷電粒子線(以下、本明細書では、荷電ビームともい
う)を利用する分野、例えば、ビームを用いて材料を加
工する材料加工分野、ビームを用いて被検体の治療を行
なう医療分野等に適用される荷電ビーム照射方法および
装置ならびにコンピュータが読取り可能な記憶媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術】高速に加速された荷電粒子線(荷電ビー
ム)をビーム照射対象に照射する場合、そのビーム照射
対象のどの場所にどの程度の線量を照射すべきかは、予
めビーム照射目的に応じて計画される。すなわち、荷電
ビームのビーム強度は、加速器等のビーム発生装置の設
計あるいは実験により予め固定値として与えられ、荷電
ビームの所望の線量は、そのビーム強度と照射時間の積
として与えることができる。
【0003】したがって、従来の荷電ビーム照射装置で
は、ビーム照射制御は、ビーム強度および照射時間の積
により予め与えられたビーム線量値を用いてプログラム
化されて実行される。
【0004】また、従来の荷電ビーム照射装置では、荷
電ビームの照射位置を例えば2次元平面{(x、y)平
面}上において変化させるために、x方向偏向電磁石お
よびy方向偏向電磁石を用いている。
【0005】これらx方向偏向電磁石およびy方向偏向
電磁石に例えば正弦波の電流を供給してx方向偏向電磁
石およびy方向偏向電磁石を励磁し、その供給電流を制
御してx方向偏向電磁石およびy方向偏向電磁石の磁界
強度(磁束密度)を制御することにより、x方向偏向電
磁石およびy方向偏向電磁石の荷電ビームに対する偏向
の大きさを制御して荷電ビームの照射位置を変化させて
いる。
【0006】すなわち、従来の荷電ビーム照射装置で
は、上記x方向偏向電磁石およびy方向偏向電磁石の磁
界強度を制御して荷電ビームを高速かつ一定の周期で走
査(スキャニング)することにより、照射面全体に荷電
ビームを均等に照射している。
【0007】一方、従来の荷電ビーム照射装置では、多
葉コリメータと呼ばれる荷電ビームを遮蔽する装置の各
ブレードにより荷電ビーム通過領域(通過窓)を作成
し、その通過窓の形状を荷電ビームの照射面に対応させ
ることにより、照射面形状を定めている。
【0008】そして、従来の荷電ビーム照射装置におい
ては、ビーム照射完了時およびビーム照射途中の中断時
において、各偏向電磁石の消磁は行なわれていなかっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の荷電ビーム照射装置では、以下に示す様々な課
題が生じている。
【0010】すなわち、従来の荷電ビーム照射装置で
は、ビーム強度が変動せずに一定であるという前提に基
づいてビーム線量値を定めているが、実際には、様々な
条件(要素)の変動、例えば、加速器等のビーム線源の
運転時間経過により生じる変化(電源変動による変化、
真空度変動による変化、周囲温度変動による変化、その
他)によりビーム強度は変動する可能性がある。
【0011】上記変動要素は予めプログラムすることが
困難であるため、照射線量の大きさを精度良く制御する
ことは難しかった。
【0012】従来の荷電ビーム照射装置では、荷電ビー
ムを一定の周期で走査(スキャニング)、すなわち、照
射線量値の大小に関係なく一定周期で走査することによ
り、荷電ビームを照射面に均等に照射している。
【0013】したがって、例えば、照射面内において、
実際に荷電ビームを照射したい領域(照射領域)および
荷電ビームを照射したくない領域(非照射領域)が混在
する場合でも、非照射領域に荷電ビームを照射する結果
となり、ビーム照射効率を悪化させていた。
【0014】また、従来の荷電ビーム照射装置において
は、上述したように、荷電ビームを一定周期で走査する
ことにより照射面に均等に照射しているため、照射面内
の実際のビーム照射対象の形状・特徴に応じて荷電ビー
ムを照射することができず、ビーム照射効率を悪化させ
ていた。
【0015】さらに、従来の荷電ビーム照射装置におい
ては、ビーム強度の大小に関係なく荷電ビームを一定周
期で走査しているため、例えばビーム強度の変化により
対応するビーム照射位置に対する照射線量にバラツキが
生じてビーム照射効率を低下させており、また、ビーム
強度の高い状態においても走査速度を変化させることが
できないため、荷電ビーム照射処理を迅速に行なうこと
が難しかった。
【0016】さらにまた、従来の荷電ビーム照射装置で
は、ビーム照射計画に従って照射面形状を切替える毎
に、計画された多葉コリメータの形状データ(計画形状
データ)を多様コリメータに送信し、その計画形状デー
タに応じて多様コリメータの各ブレードを動作させて照
射面形状を切替えている。
【0017】しかしながら、従来の荷電ビーム照射装置
によれば、多様コリメータの各ブレードにより作成され
た照射面形状が、計画形状データに対応する正確な形状
であるか否かを確認することができなかった。
【0018】したがって、例えばブレード駆動部分の故
障等の原因で、多様コリメータにより作成された照射面
形状が計画形状データに対応しない場合においても、ビ
ーム照射作業を行なうオペレータは、その照射面形状と
計画形状データとの非対応を把握することができず、ビ
ーム照射効率を悪化させる危険性が生じていた。
【0019】一方、従来の荷電ビーム照射装置において
は、荷電ビーム照射を途中で中断することを想定してい
ないため、一旦中断した後でビーム照射を再開する際
に、中断前にどの位置までビーム照射が行なわれたかを
明確に把握することができず、ビーム照射を安易に中断
することが困難であった。したがって、ビーム照射操作
の自由度を低減させていた。
【0020】ところで、一般的に、電磁石は電流および
磁力の関数としてヒステリシスの特性を有しており、励
磁途中でその励磁を停止した場合に、残留磁力に起因し
て、電磁石を流れる電流に対し発生する磁力に再現性が
なくなるという性質を有している。
【0021】従来の荷電ビーム照射装置によれば、ビー
ム照射完了時およびビーム照射中断時において偏向電磁
石の消磁を行なっていないため、ビーム照射再開時にお
いて、上記性質から偏向電磁石電流値に基づいてビーム
照射位置を正確に把握することが困難な場合が生じてい
た。
【0022】また、従来の荷電ビーム照射装置では、荷
電ビーム照射中において、ビーム照射状態を監視するこ
とができないため、ビーム照射作業を行なうオペレータ
は、ビーム照射状態を的確に把握することができず、オ
ペレータにとって使い勝手の悪い装置となっていた。
【0023】さらに、従来の荷電ビーム照射装置におい
ては、偏向電磁石に実際に通電される電流値およびビー
ム照射時の線量値の履歴を把握することができないた
め、オペレータは、過去の荷電ビーム照射時における電
流値および線量値を参照することができず、オペレータ
にとって使い勝手の悪い装置となっていた。
【0024】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
ので、照射対象に照射される荷電ビームの線量値を正確
かつ高精度で制御することを可能にしてビーム照射効率
を向上させることをその第1の目的とする。
【0025】また、本発明は上述した事情に鑑みてなさ
れたもので、非照射領域以外の照射スポットに正確に荷
電ビームを照射することにより、ビーム照射対象の形状
・特徴に応じて荷電ビームを効率良く照射することを可
能にしたことをその第2の目的とする。
【0026】さらに、本発明は上述した事情に鑑みてな
されたもので、照射線量値の変化に係らず所望のスポッ
トに所望の線量値を有する荷電ビームを照射することを
可能にしてビーム照射効率を向上させることをその第3
の目的とする。
【0027】そして、本発明は上述した事情に鑑みてな
されたもので、多様コリメータにより作成された照射面
形状が計画形状データに対応しているか否かを確認する
ことを可能にして、ビーム照射効率を向上させることを
その第4の目的とする。
【0028】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
もので、荷電ビーム照射を途中で中断した場合において
も、中断前のビーム照射位置を明確に把握することを可
能にして、ビーム照射操作の自由度を向上させることを
その第5の目的とする。
【0029】また、本発明は、上述した事情に鑑みてな
されたもので、ビーム照射再開時において、ビーム照射
位置を正確に把握することを可能にしてビーム照射効率
を向上させることをその第6の目的とする。
【0030】さらに、本発明は、上述した事情に鑑みて
なされたもので、荷電ビーム照射中にビーム照射状態を
監視することを可能にして、オペレータにとって荷電ビ
ーム照射装置をより使いやすくすることをその第7の目
的とする。
【0031】そして、本発明は、上述した事情に鑑みて
なされたもので、偏向電磁石に実際に通電される電流値
およびビーム照射時の線量値の履歴を保存することを可
能にして、オペレータにとって荷電ビーム照射装置をよ
り使いやすくすることをその第8の目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために成されたものである。
【0033】すなわち、請求項1記載の発明によれば、
荷電ビームを照射面の複数の照射位置に対して照射する
荷電ビーム照射装置であって、前記各照射位置に対応す
る電流値に基づいて前記荷電ビームを異なる2方向に沿
って走査することにより、その荷電ビームを前記各照射
位置に照射する走査手段と、前記照射面の複数の照射位
置それぞれに対して予め計画された計画線量値および前
記複数の照射位置に対応する電流値を当該複数の照射位
置に対応付けて記憶する記憶手段と、前記各照射位置に
照射される荷電ビームの線量値を計測する計測手段と、
この計測手段により計測された各照射位置に照射される
荷電ビームの線量値と前記記憶手段に記憶された各照射
位置に対応する計画線量値とを各照射位置毎に比較し、
前記計測線量値が計画線量値に到達した際に、他の照射
位置に対応する電流値を前記記憶手段から読み出して前
記走査手段に対して供給する供給制御手段とを備えてい
る。
【0034】請求項2記載の発明において、前記記憶手
段は、前記複数の照射位置それぞれの計画線量値および
前記複数の照射位置に対応する電流値を複数のアドレス
にそれぞれ記憶しており、前記供給制御手段は、前記記
憶手段における前記各照射位置に対応する各アドレスに
記憶された計画線量値を読み出し、読み出した計画線量
値と前記計測手段により計測された各照射位置に照射さ
れる荷電ビームの線量値とを各照射位置毎に比較する比
較手段と、この比較手段の比較処理の結果、前記計測線
量値が計画線量値に到達した際に、前記記憶手段におけ
る現在の照射位置に対応するアドレスの次のアドレスに
記憶された電流値を読み出して前記走査手段に対して供
給する供給手段とを備えている。
【0035】請求項3記載の発明において、前記照射面
は複数であり、前記記憶手段は、各照射面毎に、その各
照射面上での複数の照射位置それぞれに対して予め計画
された計画線量値および前記複数の照射位置に対応する
電流値を当該複数の照射位置に対応付けて記憶するよう
になっている一方、前記走査手段は、切替指令が送信さ
れた際に、その切替指令に対応する照射面における前記
各照射位置に対応する電流値に基づいて前記荷電ビーム
を異なる2方向に沿って走査して、当該荷電ビームを前
記各照射位置に照射するようになっており、前記供給制
御手段は、現在の照射面上の全ての照射位置に対するビ
ーム照射が終了した際に、その現在の照射面以外の他の
照射面に対する切替指令を前記走査手段に出力するよう
に構成される一方、前記荷電ビームを出力する出力手段
と、出力された荷電ビームの前記照射面に対する経路の
途中に配置された複数のブレードおよび前記複数のブレ
ードをそれぞれ独立に開閉移動可能な移動部を有し、前
記複数のブレードの開口形状により前記荷電ビームをコ
リメートするコリメータと、前記複数の照射面の形状を
前記複数のブレードそれぞれの位置データとして記憶す
る照射面形状記憶手段と、前記切替指令に対応する他の
照射面の形状に対応する複数のブレードの位置データを
前記照射面形状記憶手段から読み出す読み出し手段と、
読み出した複数のブレードの位置データに従って前記移
動部を制御することにより前記複数のブレードを移動さ
せる移動制御手段と、前記移動部による移動後の前記複
数のブレードの位置データと前記照射面形状記憶手段に
記憶された複数のブレードの位置データとを比較し、そ
の差が所定の範囲内であるか否か判断する判断手段とを
備えている。
【0036】請求項4記載の発明において、前記コリメ
ータの複数のブレードは前記荷電ビーム非照射時におい
て予め定められた初期位置に配置されており、前記移動
制御手段は、前記供給制御手段からの切替指令に応じて
複数のブレードの位置データを読み出した際に、前記移
動部を制御することにより前記複数のブレードを前記初
期位置まで移動させ、初期位置までの移動後に、読み出
した複数のブレードの位置データに従って前記移動部を
制御することにより前記複数のブレードを移動させるよ
うに構成されている一方、前記判断手段により所定範囲
外であると判断された場合に、前記出力手段からの前記
荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段をさらに備え
ている。
【0037】請求項5記載の発明において、前記判断手
段により所定範囲外であると判断された場合に、前記移
動部を制御して前記複数のブレードを全開および全閉さ
せる開閉制御手段と、前記複数のブレードの全開および
全閉動作後に、前記読み出し手段により読み出された複
数のブレードの位置データに従って前記移動部を制御す
ることにより前記複数のブレードを再移動させる再移動
制御手段と、前記移動部による再移動後の前記複数のブ
レードの位置データと前記照射面形状記憶手段に記憶さ
れた複数のブレードの位置データとを比較し、その差が
所定の範囲内であるか否か再判断する再判断手段と、こ
の再判断手段により所定範囲外であると判断された場合
に、前記出力手段からの前記荷電ビーム出力を停止させ
る出力停止手段とを備えている。
【0038】請求項6記載の発明において、前記荷電ビ
ーム出力用の出力手段と、前記供給制御手段の前記走査
手段に対する電流値供給タイミングに応じて第1の出力
許可信号を前記出力手段に送信し、かつ前記計測線量値
の前記計画線量値到達タイミングに応じて前記第1の出
力許可信号の送信を停止する第1の出力許可信号送信回
路と、前記照射面の複数の照射位置それぞれに対して予
め計画された計画線量値を保持しており、前記供給制御
手段の前記走査手段に対する電流値供給タイミングに応
じて第2の出力許可信号を前記出力手段に送信し、かつ
前記計測手段により計測された各照射位置に照射される
荷電ビームの線量値と保持した各照射位置に対応する計
画線量値とを各照射位置毎に比較し、前記計測線量値が
計画線量値に到達した際に、前記第2の出力許可信号の
送信を停止する第2の出力許可信号送信回路とを備え、
前記出力手段は、前記第1の出力許可信号および第2の
出力許可信号が送信された際に前記荷電ビームを出力
し、かつ前記第1の出力許可信号および第2の出力許可
信号の内の少なくとも一方の信号の送信が停止した際に
前記荷電ビームの出力を停止するように構成されてい
る。
【0039】請求項7記載の発明において、前記計測手
段は、前記各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
を計測する複数の計測器を備え、前記供給制御手段は、
前記複数の計測器の内の少なくとも1つの計測器により
計測された各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
と前記記憶手段に記憶された各照射位置に対応する計画
線量値とを各照射位置毎に比較するように構成されてい
る。
【0040】請求項8記載の発明において、前記計測手
段は、前記各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
を計測する複数の計測器を備えるとともに、前記荷電ビ
ームを出力する出力手段と、前記複数の計測器によりそ
れぞれ計測された各照射位置に照射される荷電ビームの
線量値が一致しない場合に、前記出力手段からの前記荷
電ビーム出力を停止させる出力停止手段とを備えてい
る。
【0041】請求項9記載の発明において、前記計測手
段は、前記各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
を計測する複数の計測器を備えるとともに、前記荷電ビ
ームを出力する出力手段を備え、前記供給制御手段は、
前記複数の計測器の内の少なくとも1つの計測器により
計測された各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
と前記記憶手段に記憶された各照射位置に対応する計画
線量値とを各照射位置毎に比較するように構成されてお
り、前記複数の計測器の内の他の少なくとも1つの計測
器により計測された各照射位置に照射される荷電ビーム
の線量値に基づいて前記少なくとも1つの計測器の動作
が正常であるか否かをチェックする手段をさらに備えて
いる。
【0042】請求項10記載の発明において、前記計測
手段は前記各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
を計測する複数の計測器を備えるとともに、前記荷電ビ
ームを出力する出力手段を備え、前記供給制御手段は、
前記複数の計測器の内の少なくとも1つの計測器により
計測された各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
と前記記憶手段に記憶された各照射位置に対応する計画
線量値とを各照射位置毎に比較するように構成されてお
り、前記複数の計測器の内の他の少なくとも1つの計測
器により計測された各照射位置に照射される荷電ビーム
の線量値に基づいて前記少なくとも1つの計測器の動作
が正常であるか否か、および当該他の少なくとも1つの
計測器の動作が正常であるか否かをチェックする手段を
さらに備えている。
【0043】請求項11記載の発明においては、前記荷
電ビームを出力する出力手段と、前記荷電ビーム非照射
時の線量値を計測する非照射時計測手段と、予め設定さ
れた非照射時線量値を記憶しており、この記憶した非照
射時線量値に対して前記非照射時計測手段により計測さ
れた計測線量値が到達するか否か判断し、到達した際に
前記出力手段からの前記荷電ビーム出力を停止させる出
力停止手段とを備えている。
【0044】請求項12記載の発明においては、荷電ビ
ーム照射中断指令を入力する入力手段と、入力された中
断指令に応じて、現在の照射位置に対応するアドレスの
次のアドレスおよび中断時刻を互いに対応付けて記憶す
るアドレス記憶手段とを備えている。
【0045】請求項13記載の発明では、前記走査手段
は、前記各照射位置に対応する第1の電流値により前記
荷電ビームを第1の方向へ偏向させる第1の偏向電磁石
と、前記各照射位置に対応する第2の電流値により前記
荷電ビームを第2の方向へ偏向させる第2の偏向電磁石
とを備えており、前記荷電ビームを出力する出力手段
と、前記第1の偏向電磁石および第2の偏向電磁石をそ
れぞれ消磁して初期化するための初期化用電流値をそれ
ぞれ記憶する初期化用電流値記憶手段とを備え、前記供
給制御手段は、前記計測線量値が計画線量値に到達した
際に初期化指令を送信し、かつ前記出力手段からの前記
荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段と、送信され
てきた初期化処理終了信号に応じて他の照射位置に対応
する電流値を前記記憶手段から読み出して前記走査手段
に対して供給し、かつ前記出力手段からの前記荷電ビー
ム出力を開始させる供給手段とを備えるとともに、前記
初期化指令に応じて前記初期化用電流値記憶手段に記憶
された初期化用電流値を読み出して前記第1の偏向電磁
石および第2の偏向電磁石にそれぞれ供給することによ
り当該第1の偏向電磁石および第2の偏向電磁石を消磁
・初期化し、初期化終了時において前記初期化処理終了
信号を前記供給手段に送信する消磁・初期化処理手段を
さらに備えている。
【0046】請求項14記載の発明においては、前記計
測手段により計測された各照射位置に照射される荷電ビ
ームの線量値と前記記憶手段に記憶された各照射位置に
対応する計画線量値とを表示する表示手段を備えてい
る。
【0047】請求項15記載の発明では、前記計測線量
値が計画線量値に到達した際に、現在の計測線量値およ
び前記走査手段に対する供給電流値を互いに対応付けて
履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段を備えてい
る。
【0048】請求項16記載の発明によれば、荷電ビー
ムを照射面の複数の照射位置に対して照射する荷電ビー
ム照射装置であって、前記各照射位置に対応する電流値
に基づいて前記荷電ビームを前記照射面に対応する異な
る2方向に沿って走査することにより、その荷電ビーム
を前記各照射位置に照射する走査手段と、前記複数の照
射位置それぞれに対して予め計画された計画線量値およ
び前記複数の照射位置に対応する電流値を当該複数の照
射位置に対応付けて記憶する記憶手段と、前記各照射位
置に照射される荷電ビームの線量値を計測する計測手段
と、この計測手段により計測された各照射位置に照射さ
れる荷電ビームの線量値および前記記憶手段に記憶され
た各照射位置に対応する計画線量値に基づいて前記荷電
ビームの走査速度を設定する設定手段と、設定された走
査速度に基づくタイミングで前記記憶手段から他の照射
位置に対応する電流値を読み出し、読み出した電流値を
前記走査手段に対して供給する供給制御手段とを備えて
いる。
【0049】請求項17記載の発明においては、前記走
査速度は前記計測線量値の変化率に比例し、かつ計画線
量値に反比例するように設定されている。
【0050】請求項18記載の発明によれば、荷電ビー
ムを照射面の複数の照射位置に対して照射する荷電ビー
ム照射装置であって、前記荷電ビームを出力する出力手
段と、前記各照射位置に対応する電流値を順次供給して
前記荷電ビームを前記照射面に対応する異なる2方向に
沿って走査することにより、その荷電ビームを前記各照
射位置に照射する走査手段と、前記複数の照射位置それ
ぞれに対して予め設定されたビーム内の基準位置をビー
ム位置として当該複数の照射位置に対応付けて記憶する
記憶手段と、前記各照射位置に照射される荷電ビーム内
の対応する基準位置を前記ビーム位置として計測する位
置計測手段と、この位置計測手段により計測された計測
ビーム位置と前記記憶手段に記憶された各照射位置に対
応する設定ビーム位置とを各照射位置毎に比較し、前記
計測ビーム位置と前記設定ビーム位置との差が所定の範
囲内か否かを判断する判断手段と、この判断手段により
所定範囲外であると判断された場合に、前記出力手段か
らの前記荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段とを
備えている。
【0051】請求項19記載の発明では、前記位置計測
手段は、前記各照射位置に照射される荷電ビームから前
記ビーム位置を表す信号を計測する計測部と、計測され
たビーム位置を表す信号を積分し、積分後のビーム位置
信号を各照射位置に照射される荷電ビームの計測ビーム
位置として前記判断手段に送信する積分部とを備え、こ
の積分部は、前記各照射位置に対応する電流値の前記走
査手段に対する供給タイミングに応じて積分動作の開始
および停止動作を行なうようにしている。
【0052】請求項20記載の発明においては、前記位
置計測手段は、前記各照射位置に照射される荷電ビーム
から前記ビーム位置を表す信号を計測する計測部と、こ
の計測部により計測された信号を増幅し、増幅後のビー
ム位置信号を各照射位置に照射される荷電ビームの計測
ビーム位置として前記判断手段に送信する増幅部と、前
記計測部により計測されたビーム位置を表す信号の最大
値レベルと予め設定した閾値レベルとを比較し、この比
較結果に応じて前記増幅部の増幅ゲインを変化させる増
幅ゲイン変化手段とを備えている。
【0053】請求項21記載の発明では、前記記憶手段
は、前記複数の照射位置それぞれに対して予め計画され
た計画線量値および前記複数の照射位置に対応する電流
値を当該複数の照射位置に対応付けて記憶しており、前
記位置計測手段は、前記各照射位置に照射される荷電ビ
ームから当該ビーム位置を表す信号を計測する計測部
と、この計測部により計測されたビーム位置を表す信号
を増幅し、増幅されたビーム位置信号を前記各照射位置
に照射される荷電ビームの計測ビーム位置として前記判
断手段に送信する増幅部と、増幅されたビーム位置信号
に基づいて前記各照射位置に照射される荷電ビームの線
量値を演算する演算手段と、演算された各照射位置に照
射される荷電ビームの線量値と前記記憶手段に記憶され
た各照射位置に対応する計画線量値とを各照射位置毎に
比較し、前記計測線量値が計画線量値に到達した際に、
前記記憶手段から他の照射位置に対応する電流値を読み
出して前記走査手段に対して供給する供給制御手段とを
備えている。
【0054】請求項22記載の発明によれば、荷電ビー
ムを照射面の複数の照射位置に対して照射する荷電ビー
ム照射装置であって、前記荷電ビームを出力する出力手
段と、前記各照射位置に対応する電流値を順次供給して
前記荷電ビームを前記照射面に対応する異なる2方向に
沿って走査することにより、その荷電ビームを前記各照
射位置に照射する走査手段と、前記複数の照射位置それ
ぞれに対して予め設定されたビーム幅を当該複数の照射
位置に対応付けて記憶する記憶手段と、前記各照射位置
に照射される荷電ビームのビーム位置を計測し、計測し
たビーム位置に基づいてビーム幅を算出する手段と、算
出されたビーム幅と前記記憶手段に記憶された各照射位
置に対応する設定ビーム幅とを各照射位置毎に比較し、
前記算出ビーム幅と前記設定ビーム幅との差が所定の範
囲内か否かを判断する判断手段と、この判断手段により
所定範囲外であると判断された場合に、前記出力手段か
らの前記荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段とを
備えている。
【0055】請求項23記載の発明によれば、荷電ビー
ムを照射面の複数の照射位置に対して照射する荷電ビー
ム照射方法であって、前記各照射位置に対応する電流値
に基づいて走査手段により前記荷電ビームを異なる2方
向に沿って走査することにより、その荷電ビームを前記
各照射位置に照射するステップと、前記照射面の複数の
照射位置それぞれに対して予め計画された計画線量値お
よび前記複数の照射位置に対応する電流値を当該複数の
照射位置に対応付けてメモリに記憶するステップと、前
記各照射位置に照射される荷電ビームの線量値を計測す
るステップと、計測された各照射位置に照射される荷電
ビームの線量値と前記メモリに記憶された各照射位置に
対応する計画線量値とを各照射位置毎に比較し、前記計
測線量値が計画線量値に到達した際に、他の照射位置に
対応する電流値を前記メモリから読み出して前記走査手
段に対して供給するステップとを備えている。
【0056】請求項24記載の発明によれば、各照射位
置に対応する電流値に基づいて走査装置により荷電ビー
ムを異なる2方向に沿って走査することにより、当該荷
電ビームを前記各照射位置に照射する荷電ビーム照射装
置に適用されるコンピュータが読取り可能な記憶媒体で
あって、前記照射面の複数の照射位置それぞれに対して
予め計画された計画線量値および前記複数の照射位置に
対応する電流値を当該複数の照射位置に対応付けて記憶
されたテーブルと、計測装置により計測された前記各照
射位置に照射される荷電ビームの線量値と前記テーブル
に記憶された各照射位置に対応する計画線量値とをコン
ピュータにより各照射位置毎に比較させる手段と、この
比較処理の結果、前記計測線量値が計画線量値に到達し
た際に、コンピュータにより他の照射位置に対応する電
流値を前記テーブルから読み出させて前記走査装置に対
して供給させる手段とを備えている。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0058】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略構成を
示すブロック図である。
【0059】図1に示すように、本実施形態の荷電ビー
ム照射装置は、荷電粒子を発生してエネルギーを与える
ことにより荷電粒子線(荷電ビーム)を生成し、後述す
る制御装置から送信される指令に応じて生成した荷電ビ
ームの出力制御を行なう粒子加速器等の粒子線源1を備
えており、この粒子線源1により出力された荷電ビーム
を2次元平面状に走査して照射対象2の照射面に照射す
る装置である。照射対象2は、例えば人体の患部等の立
体物であり、その照射面は、照射対象2が予め平面的に
複数(例えば1〜m)のスライスとして分割された際の
各スライス面である。また、各スライス面(照射面)F
1〜Fmは、そのスライス方向に対して直交する方向か
ら賽の目状に分割された際に得られる複数の微小領域
(スポット)の集合(照射スポット2a1〜2an)と
して想定されている。
【0060】一方、荷電ビーム照射装置は、荷電ビーム
進行方向に直交する2次元平面{(x、y)平面}的に
ビームを走査しながら照射対象2に対して照射するため
に、荷電ビームを、そのビーム進行方向に直交する第1
の方向(水平方向、x方向)および第1の方向に直交す
る第2の方向(垂直方向、y方向)にそれぞれ偏向させ
る偏向電磁石コイル3および4と、これら偏向電磁石コ
イル3および4に電流を供給してそれぞれ励磁させるた
めの偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6とを
備えている。
【0061】偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源
Y6は、各偏向電磁石コイル3および4に供給する電流
値を制御して、それら各偏向電磁石コイル3および4か
ら発生する磁界の強度を変化させることにより、荷電ビ
ームに対する偏向の大きさを制御するようになってい
る。
【0062】そして、本実施形態の荷電ビーム照射装置
は、粒子線源1および照射対象2間におけるビーム軌道
(パス)の途中に配置され、その粒子線源1により生成
された荷電ビームの線量を例えば所定の周期毎に順次計
測して線量信号を出力するためのセンサである線量計7
を備えており、この線量計7は、例えばビーム透過電離
箱タイプのものが採用される。
【0063】また、荷電ビーム照射装置は、治療対象2
内のビーム進行方向に沿った任意の位置(任意の照射
面)に荷電ビームを照射するためのレンジシフタ8を備
えている。
【0064】すなわち、レンジシフタ8は、複数の照射
面F1〜Fmに対応する複数のレンジシフタ要素を有し
ており、シフタ変更信号に応じてレンジシフタ要素を変
更することにより、荷電ビームの深さ方向位置(照射面
位置)を制御するようになっている。
【0065】さらに、荷電ビーム照射装置は信号処理回
路9および制御装置10を備えている。
【0066】信号処理回路9は、図2に示すように、線
量計7から出力された線量信号を増幅するアンプ9a
と、このアンプ9aにより増幅された線量信号をカウン
トして積算して荷電ビームの線量値に比例する信号(線
量比例信号)を出力するカウンタ9bと、カウンタ9b
から出力された線量比例信号をディジタル信号(線量比
例ディジタル信号)に変換して出力するディジタル信号
出力回路9cと、制御装置10から送られるリセット信
号を入力し、そのリセット信号に応じてカウンタ9bの
カウント値(積算値)をリセット(初期化;積算値=0
に設定)するリセット入力回路9dとを備えている。
【0067】制御装置10は、信号処理回路9のディジ
タル信号出力回路9cから出力された線量比例データに
基づいて荷電ビームの照射制御を行なう機能を有してい
る。
【0068】すなわち、制御装置10は、図1に示すよ
うに、信号処理回路9から出力された線量比例ディジタ
ル信号を入力して数値データ(線量比例データ)に変換
するための信号入力部11と、この信号入力部11によ
り変換された線量比例データに基づいて後述する図4に
示す処理を行なうプロセッサ(コンピュータ)12と、
このプロセッサ12が読取り可能な記憶媒体(各種磁気
メモリ、半導体メモリ等)であるメモリ13とを備えて
おり、このメモリ13は、プロセッサ処理実行用プログ
ラムを予め記憶し、かつプロセッサ12の処理中のデー
タを記憶可能になっている。
【0069】さらに、メモリ13は、各照射面F1〜F
m毎に、その各照射面F1〜Fm上の複数の照射スポッ
ト2a1〜2anに対応する偏向電磁石3・4それぞれ
への供給電流値(X電流値・Y電流値)および線量値が
各アドレス毎に互いに対応付けられて記憶されたテーブ
ルTを有している。
【0070】図3は、メモリ13に予め用意された照射
対象2における照射面Fv(1≦v≦m)に対するビー
ム照射制御用テーブルTの記憶内容を概念的に示す図で
あり、テーブルTの各アドレスには、各照射スポット2
a1〜2anに対応する供給電流値(X電流値1〜X電
流値n、Y電流値1〜Y電流値n)および線量値R1〜
Rnが記憶されている。
【0071】図3に示すX電流値1〜X電流値n、Y電
流値1〜Y電流値nは、各照射スポット2a1〜2an
に対して荷電ビームを照射させるために、偏向電磁石電
源X5および偏向電磁石電源Y6が偏向電磁石コイル3
および4それぞれに対して供給する電流値であり、線量
値R1〜Rnは、各照射スポット2a1〜2anの特徴
に応じて予め計画・設定された線量値である。
【0072】また、制御装置10は、プロセッサ12か
ら送信される信号を粒子線源1、偏向電磁石電源X5・
偏向電磁石電源Y6、レンジシフタ8および信号処理回
路9へそれぞれ出力する信号出力部14と、プロセッサ
12から送信される情報を表示するための表示部15と
を備えている。
【0073】次に、本実施形態の荷電ビーム照射装置の
全体動作について説明する。
【0074】荷電ビーム照射装置を起動させて照射対象
2に対して荷電ビームの照射を開始する時、プロセッサ
12は、変数k、vを初期値1に設定してレンジシフタ
8に対し照射面Fv=1用のレンジシフタ要素設定信号
を信号出力部14を介してレンジシフタ8に送信する
(図4;ステップS1)。この結果、レンジシフタ8の
処理により、照射面F1用のレンジシフタ要素が設定さ
れる。
【0075】次いで、プロセッサ12は、メモリ13か
ら照射面Fvにおけるビーム照射制御用テーブルTの第
k番目の照射スポット2akに対応するアドレスadr
(k)を参照し、そのアドレスadr(k)に記憶され
たX電流値k、Y電流値kおよび線量値Rkを読み出
す。
【0076】今、k=v=1であるため、プロセッサ1
2は、照射面F1のテーブルTにおける第1番目の照射
スポット2a1に対応する第1番目(先頭)アドレスa
dr(1)に記憶されたX電流値1、Y電流値1および
線量値R1を読み出す(ステップS2)。
【0077】次いで、プロセッサ12は、照射準備が整
っていることをチェックした後で信号出力部14を介し
て粒子線源1に対してビーム出力指令(荷電ビーム出力
許可信号)を送信するとともに、読み出したX電流値1
およびY電流値1に対応するX電流基準値信号およびY
電流基準値信号を信号出力部14を介して偏向電磁石電
源X5および偏向電磁石電源Y6にそれぞれ送信する
(ステップS3)。
【0078】この結果、偏向電磁石電源X5および偏向
電磁石電源Y6により、送信されたX電流基準値信号お
よびY電流基準値信号に対応するX電流値1およびY電
流値1が偏向電磁石コイル3および4にそれぞれ供給さ
れ、その結果、偏向電磁石コイル3および4から上記X
電流値1およびY電流値1に対応する磁界が発生する。
【0079】この状態において、出力許可指令に応じて
粒子線源1から出力された荷電ビームは、偏向電磁石コ
イル3および4から発生される磁界に応じて偏向され、
線量計7を介して照射対象2の照射面F1における照射
スポット2a1に照射される。
【0080】すなわち、メモリ13に予め用意しておい
たビーム照射制御用テーブルTに計画・設定しておいた
照射対象2の照射スポット2a1に対して荷電ビームを
正確に照射することができる。
【0081】このとき、線量計7では、照射スポット2
a1に照射される荷電ビームの線量値が計測され、計測
値は、線量信号として信号処理回路9に順次出力され
る。
【0082】信号処理回路9に対して順次出力された線
量信号は、信号処理回路9のアンプ9aを介して増幅さ
れた後、カウンタ9bによりカウント処理され、ディジ
タル出力回路9cを介して荷電ビームの線量比例ディジ
タル信号として出力される。
【0083】このとき、信号処理回路9のカウンタ9b
は、線量計7およびアンプ9aを介して送られた線量信
号を積算処理しているため、照射スポット2a1に対し
て照射された実際の線量値が正確に求められており、こ
の線量値に基づく線量比例ディジタル信号(線量比例デ
ータ)がディジタル出力回路9cおよび信号入力部11
を介してプロセッサ12に送信されている。
【0084】ステップS3の終了後、プロセッサ12
は、信号入力部11を介して線量比例データが送信され
るまで処理を待機しており、線量比例ディジタル信号に
対応する線量比例データが送信されてくると、送信され
てきた線量比例データを入力し(ステップS4)、入力
した線量比例データ、すなわち、照射スポット2a1に
実際に照射されている荷電ビームから計測された計測線
量値とメモリ13に記憶された照射スポット2a1に対
して計画・設定された線量値(計画線量値)R1とを表
示部15に対して表示する(ステップS5)。
【0085】次いで、プロセッサ12は、入力した照射
スポット2a1に対応する計測線量値が計画線量値R1
に到達したか否か判断し(ステップS6)、このステッ
プS6の判断の結果が“非到達(NO);図中N”の場
合には、ステップS4の処理に戻り、その処理で入力す
る線量比例データに基づいて上記判断処理を繰り返し行
なう。
【0086】一方、ステップS6の判断の結果、到達し
た場合には(ステップS6→YES;図中“Y”)、プ
ロセッサ12は、照射スポット2a1に対して、予め計
画した線量(線量値R1)が照射されたものと判断し、
信号処理回路9のリセット入力回路9dに対してリセッ
ト信号を送信する(ステップS7)。
【0087】この結果、カウンタ9bの積算値は、リセ
ット信号に応じたリセット入力回路9dの処理によりリ
セット(積算値→初期値;0)される。
【0088】次いで、プロセッサ12は、ステップS2
で読み出した照射スポット2akに対応するアドレスa
dr(k)が最終アドレス{adr(n)}であるか否
か、すなわち、照射面Fvの全ての照射スポット2a1
〜2anに対する荷電ビーム照射が終了したか否か判断
する(ステップS8)。
【0089】今、アドレスadr(k)は、最初のアド
レスadr(1)であるため、ステップS7の判断はN
Oとなり、プロセッサ12は、変数k(現在1)を+1
インクリメントして(k=k+1;ステップS9)、ア
ドレスadr(k=1)をアドレスadr(k=2)に
進めてステップS2の処理に戻り、上述した処理を繰り
返し行なう。
【0090】すなわち、メモリ13のテーブルTにおけ
る残りのアドレスadr(k=2)〜adr(k=n)
に記憶されたX電流値2・Y電流値2〜X電流値n・Y
電流値nおよび計画線量値R2〜Rnに基づいて上記ス
テップS2〜ステップS9の処理が各アドレス毎に繰り
返し行なわれ、この結果、各照射スポット2a2〜2a
nに対して予め計画された計画線量値R2〜Rnに対応
する線量が正確に照射される。
【0091】そして、最終アドレスadr(n)に対応
する照射スポット2anに対する荷電ビーム照射が終了
した際には、ステップS8の判断はYESとなり、プロ
セッサ12は、荷電ビーム照射が終了した現在の照射面
Fvが最終照射面Fmであるか否か、すなわち、全ての
照射面F1〜Fmkに対する荷電ビーム照射が終了した
か否か判断する(ステップS10)。
【0092】今、照射面Fvは最初の照射面F1である
ため、ステップS10の判断はNOとなり、プロセッサ
12は、変数v(現在1)を+1インクリメント(v=
v+1)して照射面を切替え、照射面Fv(=2)用の
レンジシフタ要素設定信号を信号出力部14を介してレ
ンジシフタ8に送信して(ステップS11)、ステップ
S2の処理に戻る。この結果、レンジシフタ8の処理に
より、照射面F2用のレンジシフタ要素が設定される。
【0093】以下、プロセッサ12は、上述したステッ
プS2〜ステップS11の処理を繰り返し行なう。
【0094】すなわち、メモリ13の残りの照射面F2
〜FmそれぞれのテーブルTにおけるアドレスadr
(k=1)〜adr(k=n)に記憶されたX電流値1
・Y電流値1〜X電流値n・Y電流値nおよび計画線量
値R1〜Rnに基づいて上記ステップS2〜ステップS
11の処理がテーブルTの各アドレス毎および各照射面
毎に繰り返し行なわれ、この結果、全ての照射面F1〜
Fmの全ての照射スポット2a1〜2anに対して、予
め計画された計画線量値R1〜Rnに対応する線量が正
確に照射される。
【0095】一方、最終照射面Fmの全ての照射スポッ
ト2a1〜2anに対する荷電ビーム照射が終了した際
には、ステップS10の判断はYESとなり、プロセッ
サ12は、照射対象2に対する荷電ビーム照射処理を終
了する。
【0096】以上述べたように、本実施形態によれば、
照射対象2に対して予め定められた各照射面F1〜Fm
の各照射スポット2a1〜2anに対して荷電ビームを
正確に照射し、その各照射スポット2a1〜2anに実
際に照射される荷電ビームの線量値を計測し、さらに、
その計測線量値が計画線量値に到達するまで荷電ビーム
を各照射スポット2a1〜2anに継続して照射するこ
とができるため、ビーム強度の変動等に関係なく、予め
各照射面F1〜Fmの各照射スポット2a1〜2an毎
に計画された線量値を当該各照射スポット2a1〜2a
nに対して正確に照射することができ、荷電ビーム照射
効率を大幅に向上させることができる。
【0097】また、本実施形態によれば、照射対象2を
各照射面F1〜Fmおよび各照射スポット2a1〜2a
nにそれぞれ分割し、分割した各照射面F1〜Fmの各
照射スポット2a1〜2an毎に計画線量値を個別に設
定することができるため、照射対象2の形状・特徴に応
じて照射線量値をきめ細かく制御することができ、荷電
ビーム照射効率を大幅に向上させることができる。
【0098】さらに、本実施形態によれば、荷電ビーム
を照射面に一様に荷電ビームを照射するのではなく、荷
電ビームを各照射スポット2a1〜2anのみに集中さ
せて照射することができるため、荷電ビーム照射効率を
大幅に向上させることができる。
【0099】そして、本実施形態では、照射スポット2
akに対応する計測線量値および計画線量値を表示部1
5に表示することができるため、ビーム照射作業を行な
うオペレータは、照射スポット2akに対する荷電ビー
ム照射状態をリアルタイムで監視することができる。
【0100】(第2の実施の形態)図5は、本発明の第
2の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置におけるプロ
セッサ12Aの処理の一例を示す概略フローチャートで
ある。なお、その他の構成・動作については、第1の実
施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様であるた
め、その説明は省略する。
【0101】本実施形態において、プロセッサ12A
は、第1実施形態と同様に、照射面Fvの第k番目の照
射スポット2akに対応するアドレスadr(k)から
X電流値k、Y電流値kおよび線量値Rkを読み出し、
読み出したX電流値kおよびY電流値kに対応するX電
流基準値信号およびY電流基準値信号を信号出力部14
を介して偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6
にそれぞれ送信する(図5および図4のステップS1〜
S3参照)。
【0102】この結果、粒子線源1から出力された荷電
ビームは、偏向電磁石コイル3および4から発生される
X電流値kおよびY電流値kに対応する磁界に応じて偏
向され、線量計7を介して照射対象2の照射面Fvにお
ける照射スポット2akに照射される。
【0103】一方、線量計7では、照射スポット2ak
に対して照射される荷電ビームの線量値が計測されてお
り、その計測値は、信号処理回路9を介して線量比例デ
ィジタル信号に基づく線量比例データとしてプロセッサ
12に順次送信されている。
【0104】このとき、プロセッサ12Aは、送信され
た線量比例ディジタル信号に対応する線量比例データに
基づいて計測線量値の変化率(増大率)を求め(ステッ
プS13)、求めた計測線量値増大率およびアドレスa
dr(k)の計画線量値に基づいて、第k番目の照射ス
ポット2akに対する荷電ビームを次の第k+1番目の
照射スポット2ak+1に対して走査する速度、つま
り、各偏向電磁石3および4に対するX電流値k+1お
よびY電流値k+1供給タイミングを設定する(ステッ
プS14)。
【0105】具体的には、ステップS13の処理におい
て、プロセッサ12Aは、求めた計測線量値変化率(増
大率)が予め設定された閾値レベルよりも大きい時は、
荷電ビーム強度が強いと判断し、走査速度を速く設定す
る。ただし、照射スポット2akに対する計画線量値が
大きい時には、走査速度を遅く設定する。
【0106】すなわち、プロセッサ12Aは、走査速
度、つまり、各偏向電磁石3および4に供給されるX電
流値およびY電流値変化速度を、計測線量値変化率に比
例し、かつ計画線量値に反比例するように設定する。
【0107】そして、プロセッサ12Aは、設定した走
査速度に応じてX電流基準値信号およびY電流基準値信
号を変化させ、変化させたX電流基準値信号およびY電
流基準値信号を信号出力部14を介して偏向電磁石電源
X5および偏向電磁石電源Y6に対して供給する(ステ
ップS15)。
【0108】この結果、粒子線源1から出力された荷電
ビームは、偏向電磁石コイル3および4から発生される
X電流値k+1およびY電流値k+1に対応する磁界に
応じて偏向され、線量計7を介して照射対象2の照射面
Fvにおける照射スポット2ak+1に照射される。
【0109】以下、プロセッサ12Aは、ステップS8
以降の処理を行なう。
【0110】この結果、メモリ13の全ての照射面F1
〜FmそれぞれのテーブルTにおけるアドレスadr
(k;k=1〜n)に記憶されたX電流値1・Y電流値
1〜X電流値n・Y電流値nに基づいて図5に示す処理
が実行され、全ての照射面F1〜Fmにおける各照射ス
ポット2a1〜2an間の荷電ビーム走査速度を、計測
線量値変化率(ビーム強度増大率)および計画線量値に
応じた最適な値に設定することができる。
【0111】なお、他の構成・動作については、第1実
施形態の荷電ビーム照射装置の構成・動作と略同様であ
る。
【0112】以上述べたように、本実施形態によれば、
ビーム強度に応じて荷電ビーム走査速度を変化させるこ
とができるため、ビーム強度の変化に関係なくビーム照
射線量を各照射スポットに照射することができる。
【0113】さらに、本実施形態では、ビーム強度が高
い状態においては、荷電ビーム走査速度を高速に設定
し、ビーム強度が低い状態においては、荷電ビーム走査
速度を低速に設定することができるため、ビーム強度の
状態に対応して効率良く荷電ビーム照射処理を行なうこ
とができる。
【0114】(第3の実施の形態)図6は、本発明の第
3の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略構成を
示すブロック図である。
【0115】図6に示すように、本実施形態の荷電ビー
ム照射装置は、線量計の代りに、粒子線源1および照射
対象2間における荷電ビーム経路(パス)の途中に配置
され、その粒子線源1により生成された荷電ビーム位置
を計測するセンサであり、ワイヤグリッド・ビーム透過
電離箱電離箱タイプの位置計20を備えている。
【0116】この位置計20は、上記荷電ビーム進行方
向に直交する2次元平面{(x、y)平面}のxおよび
y方向それぞれに沿って密な間隔で張設された多数の金
属線(ワイヤ)から成るワイヤグリッドを有しており、
例えば、x方向に等間隔で張設されたm本のワイヤWx
1〜Wxmおよびy方向に等間隔で張設されたn本のワ
イヤWy1〜Wynが組み合わされてグリッドを構成し
ている。
【0117】粒子線源1から出力され位置計20に入射
された荷電ビームから位置計20の電離箱機能により電
離された電荷がワイヤグリッドの各ワイヤWx1〜Wx
mおよびワイヤWy1〜Wynに集められる。そして、
各ワイヤに集められた電荷に基づく信号が各ワイヤ毎
に、x、y方向のマルチチャンネルの位置計測信号とし
て出力され、信号処理回路21に入力される。
【0118】信号処理回路21は、図7に示すように、
ワイヤWx1〜WxmおよびワイヤWy1〜Wynに対
応するアンプ21x1〜xmおよびアンプ21y1〜y
nを主要構成要素として備えており、各ワイヤWx1〜
WxmおよびワイヤWy1〜Wynから出力されたx、
yの各チャンネルの位置計測信号を入力し、入力した位
置計測信号を対応する各アンプ21x1〜21xmおよ
びアンプ21y1〜21ynにより増幅して出力する
(図8参照)。
【0119】すなわち、図8に示すように、x方向側の
各アンプ21x1〜21xmの位置計測信号は、荷電ビ
ームのx方向(x軸)側のビームプロファイルを表し、
y方向側の各アンプ21y1〜21ynの位置計測信号
は、荷電ビームのy方向(y軸)側のビームプロファイ
ルを表している。
【0120】そして、信号処理回路21から出力された
位置計測信号は、信号入力部11に入力され、数値デー
タ(位置計測データ)に変換されてプロセッサ22に入
力される。
【0121】メモリ23は、各照射面F1〜Fm毎に、
その各照射面F1〜Fm上の複数の照射スポット2a1
〜2anに対応する偏向電磁石3・4それぞれへの供給
電流値(X電流値・Y電流値)、線量値および荷電ビー
ムの照射位置(X位置・Y位置)が各アドレス毎に互い
に対応付けられて記憶されたテーブルT1を有してい
る。
【0122】図9は、メモリ23に予め用意された照射
対象2における照射面Fv(1≦v≦m)に対するビー
ム照射制御用テーブルT1の記憶内容を概念的に示す図
であり、テーブルT1の各アドレスには、各照射スポッ
ト2a1〜2anに対応する供給電流値(X電流値1〜
X電流値n、Y電流値1〜Y電流値n)、線量値R1〜
Rnおよびビーム照射位置(X位置1〜X位置n、Y位
置1〜Y位置n)が記憶されている。
【0123】図9に示すテーブルT1におけるX電流値
1〜X電流値n、Y電流値1〜Y電流値nおよび線量値
R1〜Rnは第1実施形態と同様に設定されており、ビ
ーム位置{(X位置1、Y位置1)〜(X位置n、Y位
置n)}は、各照射スポット2a1〜2anに照射され
る荷電ビームの重心位置(各照射スポット2a1〜2a
nの中心位置)である。
【0124】プロセッサ22は、信号入力部11により
変換された位置計測データに基づいて図10に示す処理
を行なう。
【0125】すなわち、プロセッサ22は、第1実施形
態と同様に、照射面Fvの第k番目の照射面Fvにおけ
るビーム照射制御用テーブルT1の第k番目の照射スポ
ット2akに対応するアドレスadr(k)からX電流
値k、Y電流値kおよび線量値Rkを読み出し、読み出
したX電流値kおよびY電流値kに対応するX電流基準
値信号およびY電流基準値信号を信号出力部14を介し
て偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6にそれ
ぞれ送信する(図10;ステップS1〜S3参照)。
【0126】この結果、粒子線源1から出力された荷電
ビームは、偏向電磁石コイル3および4から発生される
X電流値kおよびY電流値kに対応する磁界に応じて偏
向され、位置計20を介して照射対象2の照射面Fvに
おける照射スポット2akに照射される。
【0127】一方、位置計20では、照射スポット2a
kに対して照射される荷電ビームの重心位置に対応する
x、y方向のマルチチャンネルの信号が計測され、計測
されたマルチチャンネルの位置計測信号は、信号処理回
路21を介して位置計測データとしてプロセッサ22に
順次送信されている。
【0128】このとき、プロセッサ22は、信号処理回
路21から位置計測データが送信されると、照射面Fv
におけるビーム照射制御用テーブルT1の第k番目の照
射スポット2akに対応するビーム位置(X位置k、Y
位置k)を読み出し(ステップS20)、送信された位
置計測データに基づいて各x方向(x軸)、y方向(y
軸)毎に重心位置(Xc、Yc)を計算する(ステップ
S21)。
【0129】次いで、プロセッサ22は、計算した重心
(Xc、Yc)とテーブルT1から読み出したビーム位
置(X位置k、Y位置k)とを比較し、その重心位置
(Xc、Yc)とビーム位置(X位置k、Y位置k)と
の差が所定の誤差範囲内であるか否か判断する(ステッ
プS22)。
【0130】このとき、所定の誤差範囲内であれば(ス
テップS22→YES)、荷電ビームの照射位置制御は
正常であると判断し、プロセッサ22は、ステップS8
に移行し、ステップS8以降の処理を行なう。
【0131】この結果、メモリ13の全ての照射面F1
〜FmそれぞれのテーブルTにおけるアドレスadr
(k;k=1〜n)に記憶されたX電流値1・Y電流値
1〜X電流値n・Y電流値n、線量値R1〜Rnおよび
ビーム照射位置X1.Y1〜XnYnに基づいて図10
に示す処理が実行され、全ての照射面F1〜Fmにおけ
る各照射スポット2a1〜2anに対する荷電ビーム照
射が所定の誤差範囲内で正確に行なわれる。
【0132】一方、ステップS22の判断の結果、所定
の誤差範囲を超えていれば(ステップS22→NO)、
プロセッサ22は、荷電ビームの照射位置制御は異常で
あると判断し、プロセッサ22は、信号出力部14を介
して粒子線源1、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石
電源Y6に対して動作停止指令を出力して(ステップS
23)、処理を終了する。
【0133】この結果、粒子線源1の荷電ビーム出力動
作、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6の電
源供給動作がそれぞれ停止して装置全体の動作が停止す
る。
【0134】なお、他の構成・動作については、第1実
施形態の荷電ビーム照射装置の構成・動作と略同様であ
る。
【0135】以上述べたように、本実施形態によれば、
全ての照射面F1〜Fmにおける各照射スポット2a1
〜2anに対して実際に照射される荷電ビームの重心位
置を計測し、計測重心位置と予めメモリ23に記憶した
重心位置との差が所定誤差範囲内であるか否かを常時判
断しながら荷電ビーム照射を行なうことができるため、
荷電ビームを各照射スポット2a1〜2anに正確に照
射することができ、荷電ビーム照射効率を大幅に向上さ
せることができる。
【0136】また、計測重心位置と予めメモリ23に記
憶された重心位置との差が所定誤差範囲内を超えている
場合には、荷電ビーム照射装置の動作を停止して荷電ビ
ーム照射を停止することができるため、荷電ビームを非
照射領域に対して照射する危険性を防止して、荷電ビー
ム照射装置の信頼性を向上させることができる。
【0137】(第4の実施の形態)図11は、本発明の
第4の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略構成
を示すブロック図である。
【0138】図11に示す荷電ビーム照射装置の信号処
理回路21Aは積分回路として構成されており、また、
荷電ビーム照射装置は、プロセッサ22のX電流基準値
信号およびY電流基準値信号送信タイミングに応じてプ
ロセッサ22から送信される照射スポット切換信号に基
づいて、信号処理回路21Aに対してその信号処理回路
21Aの積分動作タイミング制御信号を送信するタイミ
ング回路25を備えている。
【0139】すなわち、本実施形態においては、信号処
理回路21Aは、照射スポットが例えばスポット2ak
−1からスポット2akに切換えられた際にタイミング
回路25から送信される積分動作タイミング制御信号に
応じて現在の各チャンネルの積分値をクリアし、照射ス
ポット2akに対する荷電ビーム照射に応じて各ワイヤ
Wx1〜WxmおよびワイヤWy1〜Wynから出力さ
れたx、yの各チャンネルの位置計測信号を各チャンネ
ル毎に積分して信号入力部11に送信するようになって
いる。なお、本実施形態のその他の構成・動作について
は、第3実施形態の荷電ビーム照射装置の構成・動作と
略同様であるため、その説明は省略する。
【0140】本実施形態によれば、各ワイヤWx1〜W
xmおよびワイヤWy1〜Wynから出力されるx、y
の各チャンネルの信号の強度が弱い場合においても、各
チャンネルの位置計測信号は、積分回路である信号処理
回路21Aにより各チャンネル毎に積分され、少なくと
も重心位置計算が可能なレベルまで強められた状態で信
号入力部11に送信される。
【0141】この結果、各ワイヤWx1〜Wxmおよび
ワイヤWy1〜Wynから出力されるx、yの各チャン
ネルの位置計測信号の強度が弱い場合においても、正確
に重心位置計算をすることができ、計算した重心位置を
用いて、図10に示す荷電ビーム位置制御を行なうこと
ができるため、第3実施形態の効果に加えて、荷電ビー
ム照射装置のビーム照射効率および信頼性をさらに向上
させることができる。
【0142】(第5の実施の形態)図12は、本発明の
第5の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置におけるメ
モリ23Aに記憶されたテーブルT2を示す図である。
【0143】図12に示すように、照射面Fv(1≦v
≦m)に対するビーム照射制御用テーブルT2の各アド
レスには、各照射スポット2a1〜2anに対応する供
給電流値(X電流値1〜X電流値n、Y電流値1〜Y電
流値n)、線量値R1〜Rnおよび予め計画されたビー
ム計画幅(BX1〜BXn、BY1〜BYn)が記憶さ
れている。
【0144】図12に示すテーブルT2におけるX電流
値1〜X電流値n、Y電流値1〜Y電流値nおよび線量
値R1〜Rnは第1実施形態と同様に設定されており、
x方向計画ビーム幅XB1〜XBnは、各照射スポット
2a1〜2anに照射される荷電ビームのx方向プロフ
ァイルにおける最大値の50%の値を有する範囲であ
り、y方向計画ビーム幅YB1〜YBnは、各照射スポ
ット2a1〜2anに照射される荷電ビームのx方向プ
ロファイルにおける最大値の50%の値を有する範囲で
ある。
【0145】本実施形態において、プロセッサ22A
は、信号入力部11により変換された数値データに基づ
いて図13に示す処理を行なう。
【0146】すなわち、プロセッサ22Aは、第1およ
び第3実施形態と同様のステップS1〜ステップS3の
処理を実行し、信号処理回路21から位置計測データが
送信されると、照射面Fvにおけるビーム照射制御用テ
ーブルT2の第k番目の照射スポット2akに対応する
x方向計画ビーム幅XBkおよびy方向計画ビーム幅Y
Bkを読み出し(ステップS30)、信号入力部11か
ら送信されたx方向(x軸)の位置計測データおよびy
方向(y軸)の位置計測データの中から最大値データを
各方向毎にそれぞれ抽出し、抽出した最大値データの5
0%以上の値を有するデータ範囲を、x方向およびy方
向毎にx方向ビーム幅およびy方向ビーム幅としてそれ
ぞれ求める(ステップS31)。
【0147】次いで、プロセッサ22Aは、求めたx方
向ビーム幅およびy方向ビーム幅がx方向計画ビーム幅
XBkおよびy方向計画ビーム幅YBkの範囲内である
か否か判断する(ステップS32)。
【0148】すなわち、プロセッサ22Aは、このと
き、求めたx方向ビーム幅およびy方向ビーム幅がx方
向計画ビーム幅XBkおよびy方向計画ビーム幅YBk
の範囲内であれば(ステップS32→YES)、荷電ビ
ームの照射位置制御は正常であると判断し、プロセッサ
22Aは、ステップS8に移行し、ステップS8移行の
処理を行なう。
【0149】この結果、メモリ13の全ての照射面F1
〜FmそれぞれのテーブルT2におけるアドレスadr
(k;k=1〜n)に記憶されたX電流値1・Y電流値
1〜X電流値n・Y電流値n、線量値R1〜Rnおよび
ビーム照射位置X1.Y1〜XnYnに基づいて図13
に示す処理が実行され、全ての照射面F1〜Fmにおけ
る各照射スポット2a1〜2anに対する荷電ビーム照
射が正確に行なわれる。
【0150】一方、ステップS32の判断の結果、求め
たx方向ビーム幅およびy方向ビーム幅がx方向計画ビ
ーム幅XBkおよびy方向計画ビーム幅YBkの範囲を
超えていれば(ステップS32→NO)、プロセッサ2
2Aは、荷電ビームの照射位置制御は異常であると判断
し、信号出力部14を介して粒子線源1、偏向電磁石電
源X5および偏向電磁石電源Y6に対して動作停止指令
を出力して(ステップS33)、処理を終了する。
【0151】この結果、粒子線源1の荷電ビーム生成動
作、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6の電
源供給動作がそれぞれ停止して装置全体の動作が停止す
る。
【0152】以上述べたように、本実施形態によれば、
全ての照射面F1〜Fmにおける各照射スポット2a1
〜2anに対して実際に照射される荷電ビームのビーム
幅を計測し、計測ビーム幅が予めメモリ23Aに記憶し
た計画ビーム幅内であるか否かを常時判断しながら荷電
ビーム照射を行なうことができるため、荷電ビームを各
照射スポット2a1〜2anに正確に照射することがで
き、荷電ビーム照射効率を大幅に向上させることができ
る。
【0153】また、計測ビーム幅が予めメモリ23Aに
記憶した計画ビーム幅を超えている場合には、粒子線源
1あるいは荷電ビーム経路等に何らかの異常があるもの
と判断して荷電ビーム照射装置の動作を停止して荷電ビ
ーム照射を停止することができるため、異常状態での荷
電ビーム照射を回避して荷電ビーム照射装置の信頼性を
向上させることができる。
【0154】(第6の実施の形態)図14は、本発明の
第6の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置における信
号処理回路21Bの構成を示す図である。
【0155】図14によれば、信号処理回路21Bは、
各アンプ21x1〜xmおよびアンプ21y1〜ynの
ゲインを個別に設定可能なゲイン設定回路27を備えて
おり、プロセッサ22Bは、図10に示す処理と並列的
に、図15に示す処理を行なっている。
【0156】すなわち、プロセッサ22Bは、例えば、
図10に示すステップS21の処理と並列的かつ周期的
に、信号入力部11から送信されたx方向の位置計測デ
ータおよびy方向の位置計測データの中から最大値デー
タを各方向毎にそれぞれ抽出し(ステップS40)、抽
出した最大値データレベルが予め設定された所定の閾値
レベルよりも高いか否か判断する(ステップS41)。
【0157】このステップS41の判断の結果、抽出最
大値データが閾値レベルよりも高い場合には、プロセッ
サ22Bは、各アンプ21x1〜21xmおよび21y
1〜21ynのゲインダウン指令をゲイン設定回路27
に送信(ステップS42)して、ステップS40の処理
に戻る。
【0158】この結果、信号処理回路21Bは、送信さ
れたゲインダウン指令に応じて各アンプ21x1〜xm
およびアンプ21y1〜ynのゲインをそれぞれダウン
させる。
【0159】一方、ステップS41の判断の結果、抽出
最大値データが閾値レベルよりも低い場合には、プロセ
ッサ22Bは、各アンプ21x1〜21xmおよび21
y1〜21ynのゲインアップ指令をゲイン設定回路2
7に送信(ステップS43)して、ステップS40の処
理に戻る。
【0160】この結果、信号処理回路21Bは、送信さ
れたゲインダウン指令に応じて各アンプ21x1〜xm
およびアンプ21y1〜ynのゲインをそれぞれアップ
させる。
【0161】なお、その他の構成・動作は、第3実施形
態の荷電ビーム照射装置の構成・動作と同様であるた
め、その説明は省略する。
【0162】すなわち、本実施形態によれば、位置計2
0により計測され信号入力部11に送信される荷電ビー
ムの照射位置に対応するx、y方向のマルチチャンネル
の位置計測信号のゲインが、信号処理回路21Bのゲイ
ン設定回路27により常に適切な一定レベルのゲインに
調整されるため、プロセッサ22Bは、重心位置計算を
常に適切なゲインレベルの位置計測データを用いて行な
うことができ、第3実施形態の効果に加えて、荷電ビー
ム照射位置制御をさらに高精度で行なうことができる。
【0163】(第7の実施の形態)図16は、本発明の
第7の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置における信
号処理回路30の構成を示す図である。
【0164】図16によれば、信号処理回路30は、図
7に示す構成に加えて、各アンプ21x1〜21xmお
よびアンプ21y1〜21ynから増幅出力された位置
計測信号を入力し、入力した位置計測信号を、信号入力
タイミングに応じて順次加算演算して荷電ビーム線量に
比例する信号を生成する線量演算回路31と、線量演算
回路31により生成されたビーム線量比例信号値のレベ
ルが所定レベル(計画線量値レベル)に到達したか否か
を判定する線量判定回路32とを備えている。
【0165】線量判定回路32は、予めプロセッサ22
Cから信号出力部14を介して各照射スポット2a1〜
2anに対応する当該各照射スポット2a1〜2anの
特徴に応じて予め設定された線量値レベルをそれぞれ保
持している。
【0166】また、線量演算回路31は、プロセッサ2
2Cから送信されるリセット用ブレード駆動データに応
じて加算値をリセット(加算値→初期値;0)するよう
になっている。
【0167】なお、その他の構成については、第3実施
形態の荷電ビーム照射装置の構成と同様であるため、そ
の説明を省略する。
【0168】本実施形態によれば、プロセッサ22Cの
図17に示すステップS1〜S3の処理により、粒子線
源1から出力された荷電ビームは、偏向電磁石コイル3
および4から発生されるX電流値kおよびY電流値kに
対応する磁界に応じて偏向され、位置計20を介して照
射対象2の照射面Fvにおける照射スポット2akに照
射される。
【0169】一方、位置計20では、照射スポット2a
kに対して照射される荷電ビームの照射位置に対応する
x、y方向のマルチチャンネルの信号が計測され、計測
されたマルチチャンネルの位置計測信号は、信号処理回
路21の対応するアンプ21x1〜21xmおよびアン
プ21y1〜21ynに順次送信される。
【0170】位置計測信号は、対応するアンプ21x1
〜21xmおよびアンプ21y1〜21ynにより積分
され、各x、yチャンネルに対応する線量値を表す信号
が生成される。これらの信号の内一方は、直接信号入力
部11を介して位置計測データとしてプロセッサ22C
に送信され、他方は、線量演算回路31に順次送信され
る。
【0171】プロセッサ22Cは、図17に示すよう
に、第3実施形態で詳細に説明したステップS20〜S
22のビーム照射位置制御処理を行なう。
【0172】一方、線量演算回路11に送信された信号
は、その線量演算回路31の加算処理により照射スポッ
ト2akに照射されている荷電ビームの線量値に比例す
る信号が求められる。
【0173】このとき、線量判定回路32では、求めら
れた線量値比例信号が上記照射スポット2akに対応す
る線量値レベルに到達したか否かが比較判定されてお
り、この判定処理の結果、求められた線量値比例信号が
上記照射スポット2akに対応する線量値レベルに到達
した場合には、線量判定回路32の出力処理により線量
設定値到達信号(照射スポット切換指令信号)が信号入
力部11を介してプロセッサ22Cに送信される。
【0174】本実施形態においては、プロセッサ22C
は、ステップS22の判断がYESの際に直接ステップ
S6の処理を行なわず、線量設定値到達信号が送信され
てきたか否か繰り返し判断しており(図17;ステップ
S50)、このステップS50の判断の結果、線量設定
値到達信号が送信されてきた場合には(ステップS50
→YES)、プロセッサ22Cは、照射スポット2ak
に対して予め設定された線量値レベルに基づく線量値が
照射されたと判断し、送信されてきた線量設定値到達信
号に応じて線量演算回路31にリセット信号を送信し
(ステップS51)、ステップS8の処理に移行する。
【0175】線量演算回路31は、送信されたリセット
信号に応じて現在の積算値を初期値“0”にリセットす
る。
【0176】すなわち、本実施形態によれば、第3実施
形態で説明したプロセッサ22Cのビーム照射位置制御
処理により、荷電ビームを照射スポット2akに正確に
照射しながら、線量演算回路31および線量判定回路3
2の処理により、計画された線量値を照射スポット2a
kに対して正確に照射することができ、荷電ビーム照射
効率を大幅に向上させることができる。
【0177】また、本実施形態においては、線量値計測
用の計測器(線量計等)およびビーム位置計測用の計測
器(位置計等)を共に用いることなく、ビーム位置計測
および線量値計測を併せて行なうことができるため、上
記2種類の計測器を用いる場合と比して計測器数を削減
することができる。
【0178】(第8の実施の形態)図18は、本発明の
第8の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略構成
を示すブロック図である。
【0179】図18に示すように、本実施形態の荷電ビ
ーム照射装置は、第1実施形態で説明した荷電ビーム照
射装置の構成(図1参照)に加えて、荷電ビームの各照
射面F1〜Fmの形状を定めるための多葉(マルチブレ
ード)コリメータ40を備えている。
【0180】図19は、多葉コリメータ40の概略構成
を示す図である。
【0181】図19に示すように、多葉コリメータ40
は、粒子線源1および照射対象2間に対して、荷電ビー
ム進行方向に直交する2次元平面に沿うように配設され
たコリメータ本体41を有しているコリメータ本体41
は複数枚のブレードで構成されるマルチブレード型であ
る。すなわち、図19に示すように、一対のブレード群
42a、42bが荷電ビーム通過経路を挟んで例えばx
方向に沿って対向して配置されている。
【0182】各ブレード群42a、42bは、複数枚の
板状のブレード42から構成されており、これら複数枚
のブレード42はy方向に沿って互いに接するように配
置されている。
【0183】また、コリメータ本体41は、各ブレード
42毎に設けられ、各ブレード42を個別に駆動させる
ための駆動機構43、ブレード位置検出用エンコーダ付
きのサーボモータ44およびサーボモータ駆動用の駆動
回路45を含むブレード駆動部46と、各駆動回路45
に接続され各駆動回路45に個別に駆動用制御信号を送
信して各駆動回路45を駆動させる多葉コリメータ制御
部47とを備えており、各駆動回路45は、多葉コリメ
ータ制御部47から送信された駆動用制御信号に応じて
駆動してサーボモータ44を回動させて各駆動機構45
を介して各ブレード42をx方向に沿って独立に移動さ
せることにより、2つのブレード群42で形成される照
射開口の大きさ・形状により、照射対象に対するビーム
の照射面を切替えるようになっている。
【0184】そして、本実施形態における荷電ビーム照
射装置のメモリ13Aは、第1実施形態で説明したテー
ブルTに加えて、各照射面F1〜Fm毎に予め定められ
た当該各照射面F1〜Fmの形状を表すデータを記憶す
るテーブルT3を有している。
【0185】図20は、メモリ13Aに記憶されたテー
ブルT3の記憶内容を概念的に示す図であり、テーブル
T3の各アドレスには、ビーム照射計画に従って予め定
められた各照射面F1〜Fmの形状をベクトルで表現し
た際の各ベクトルのX、Y座標{(X1、Y1)〜(X
n、Yn);但し、各ブレード群42a、42bが互い
に接触して照射開口が閉鎖された状態における各ブレー
ド42の位置(全閉位置)を初期位置とし、初期位置か
らの座標として各ベクトルを表すものとする}が各照射
面F1〜Fmの形状データとしてそれぞれ記憶されてい
る。
【0186】さらに、荷電ビーム照射装置は、プロセッ
サ12Bおよび多葉コリメータ制御部41間のデータ通
信を行なう通信部48を備えており、荷電ビーム照射装
置のプロセッサ12Bは、メモリ13AのテーブルT3
に記憶された各照射面F1〜Fmの照射面形状データに
基づいて、通信部48を介して多葉コリメータ41に対
して各ブレード42駆動用のデータを送信するようにな
っている。この照射面形状データはプロセッサ12Bに
おいて多葉コリメータ15の各ブレードの駆動データに
変換され、多葉コリメータ制御装置16に送られるよう
になっている。
【0187】また、プロセッサ12Bには、各ブレード
42駆動用のサーボモータ44に取り付けられたエンコ
ーダからそれぞれ送られた各ブレード42の位置データ
が入力されるようになっている。
【0188】次に、本実施形態の荷電ビーム照射装置の
全体動作について説明する。
【0189】荷電ビーム照射装置を起動させて照射対象
2に対して荷電ビームの照射を開始する時、プロセッサ
12は、変数k、vを初期値1に設定してレンジシフタ
8に対し照射面Fv=1用のレンジシフタ要素設定信号
を信号出力部14を介してレンジシフタ8に送信する
(図21;ステップS1)。この結果、レンジシフタ8
の処理により、照射面F1用のレンジシフタ要素が設定
される。
【0190】ステップS21と同時に、プロセッサ12
Bは、メモリ13からテーブルT3を参照して照射面形
状データ、すなわち、各ベクトルの座標データ{(X
1、Y1)〜(Xn、Yn)}をそれぞれ読み出し(ス
テップS1A)、読み出した照射面Fvの照射面形状ベ
クトルの座標データ{(X1、Y1)〜(Xn、Y
n)}および各ブレード42の機械的な構造・寸法デー
タに基づいて例えば最小二乗法等のカーブフィッティン
グ(曲線近似)手法を用いることにより、各ブレード4
2間(ブレード群42aおよび42b間)の形状を、上
記照射面Fvの照射面形状データ(ベクトルの座標デー
タ{(X1、Y1)〜(Xn、Yn)})に対応する形
状に一致させるための各ブレード42の駆動量を表す駆
動データを算出し(ステップS1B)、算出した各ブレ
ード42の駆動データを通信部48を介して多葉コリメ
ータ制御部41に送信する(ステップS1C)。
【0191】そして、プロセッサ12Bは、多葉コリメ
ータ制御部41を介して多葉コリメータ40が動作し、
その結果多葉コリメータ41を介して各ブレード42の
位置データが送信されてくるまで処理を待機(例えば、
数十msである)する(ステップS1Dの判断→N
O)。
【0192】このとき、送信されてきた各ブレード42
の駆動データに応じた多葉コリメータ制御部41の処理
により各駆動回路45に対して駆動用制御信号が送信さ
れ、送信された駆動用制御信号に応じてサーボモータ4
4が回動することにより、初期位置に位置していた各ブ
レード42は、各駆動機構45を介してX方向に沿って
所定位置まで独立して移動する。
【0193】一方、各サーボモータ44に設けられたエ
ンコーダは、その各サーボモータ44の回動量に応じて
各ブレード42の位置データを検出し、検出した位置デ
ータは多葉コリメータ制御部41および通信部48を介
してプロセッサ12Bに送信される。
【0194】このとき、プロセッサ12BのステップS
1Dの判断はYESとなり、プロセッサ12Bは、送信
されてきた各ブレード42の実際の位置データと多葉コ
リメータ制御部41に対して送信した駆動データに対応
する各ブレード42の位置データとを比較してその差が
所定の誤差範囲内であるか否かを判断する(ステップS
1E)。
【0195】ステップS1Eの判断の結果、所定の誤差
範囲内であれば(ステップS1E→YES)、荷電ビー
ムの照射位置制御は正常であると判断し、プロセッサ1
2Bは、ステップS2に移行して、メモリ13Aの照射
面Fvにおけるビーム照射制御用テーブルTの第k番目
の照射スポット2akに対応するアドレスadr(k)
からX電流値k、Y電流値kおよび線量値Rkを読み出
し、読み出したアドレスadr(k)からX電流値k、
Y電流値kおよび線量値Rkに基づいて上述したステッ
プS3〜S9のビーム照射制御処理を実行することによ
り、照射面Fv(現在、F1)の全照射スポット2a1
〜2anに対する荷電ビーム照射を行なう。
【0196】次いで、照射面Fv(現在、F1)に対す
る最終照射スポット2anへのビーム照射が終了し、ス
テップS6の判断がYESになると、プロセッサ12B
は、荷電ビーム照射が終了した現在の照射面Fvが最終
照射面Fmであるか否かを判断し(ステップS10)、
この判断の結果NO(現在の照射面→F1)、プロセッ
サ12Bは、変数v(現在1)を+1インクリメント
(v=v+1)して照射面を照射面Fv(=2)に切替
え、照射面Fv(=2)用のレンジシフタ要素設定信号
を信号出力部14を介してレンジシフタ8に送信して
(ステップS11)、ステップS1Aの処理に戻り、上
述したステップS1A〜ステップS11の処理を繰り返
し行なう。
【0197】すなわち、メモリ13の残りの照射面F2
〜FmそれぞれのテーブルT3における照射面形状デー
タに基づいて上記ステップS1A〜1Eの処理が各照射
面毎に行なわれるため、荷電ビームの照射面形状を予め
計画された照射面形状に切替えながら、全ての照射面F
1〜Fmの全ての照射スポット2a1〜2anに対し
て、予め計画された計画線量値R1〜Rnに対応する線
量を正確に照射することができる。
【0198】そして、上記何れか1つの照射面Fk(1
≦k≦n)に対する実際の各ブレード42の位置データ
とメモリ13Aに記憶された計画照射面形状に基づく駆
動データに対応する各ブレード42の位置データとを比
較した結果、その差が所定の誤差範囲を超えている場合
には(ステップS1E→NO)、プロセッサ12Bは、
荷電ビーム照射装置(例えば、多葉コリメータ40)に
故障が発生したものと判断し、信号出力部14を介して
粒子線源1、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源
Y6に対して動作停止指令を出力して(ステップS1
F)、処理を終了する。
【0199】この結果、粒子線源1の荷電ビーム出力動
作、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6の電
源供給動作がそれぞれ停止して装置全体の動作が停止す
る。
【0200】以上述べたように、本実施形態によれば、
予め計画・規定された各照射面F1〜Fmの形状と実際
に照射対象2に照射される荷電ビームの照射面形状との
差が所定誤差範囲内であるか否かを常時判断しながら荷
電ビーム照射を各照射面F1〜Fm毎に行なうことがで
きるため、荷電ビームを、常に照射対象2の構造および
形状に基づいて計画・設定された照射面上に正確に照射
することができ、荷電ビーム照射効率を大幅に向上させ
ることができる。
【0201】また、計測照射面形状と予め計画・規定さ
れた照射面形状との差が所定誤差範囲を超えている場合
には、荷電ビーム照射装置の動作を停止して荷電ビーム
照射を停止することができるため、荷電ビームを非照射
領域に対して照射する危険性を防止して、荷電ビーム照
射装置の信頼性を向上させることができる。
【0202】(第9の実施の形態)図22は、本発明の
第9の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置におけるプ
ロセッサ12Bの処理の一例を示す概略フローチャート
である。なお、その他の構成・動作については、第8の
実施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様である
ため、その説明は省略する。
【0203】本実施形態において、プロセッサ12B
は、ステップS11の照射面切替処理(変数vのインク
リメント処理)後において、通信部48を介して多葉コ
リメータ制御部41にリセット用ブレード駆動データを
送信し(図22;ステップS11A)、多葉コリメータ
41を介して各ブレード42の位置データが送信されて
くるまで処理を待機する(ステップS11Bの判断→N
O)。
【0204】このとき、プロセッサ12Bから送信され
てきたリセット用ブレード駆動データに応じて、多葉コ
リメータ制御部41は、各駆動回路45に対してリセッ
ト駆動用制御信号を送信し、この結果、リセット駆動用
制御信号に応じてサーボモータ44が回動することによ
り、前の照射面の形状データに対応する場所に位置して
いた各ブレード42は、初期位置まで独立して移動す
る。
【0205】各サーボモータ44に設けられたエンコー
ダは、その各サーボモータ44の回動量に応じて各ブレ
ード42の初期位置データを検出し、検出した初期位置
データは多葉コリメータ制御部41および通信部48を
介してプロセッサ12Bに送信される。
【0206】初期位置データが多葉コリメータ制御部4
1から送信されてくると、プロセッサ12Bのステップ
S9Bの判断はYESとなり、プロセッサ12Bは、ス
テップS1Aの処理に戻り、上述したステップS1A〜
ステップS11Bの処理を繰り返し行なう。
【0207】このとき、各ブレード42は、各照射面の
形状データに対応する駆動データに応じて、常に初期位
置から上記形状データに対応する位置まで移動する。
【0208】すなわち、本実施形態によれば、各ブレー
ド42を常に初期位置から移動させることができるた
め、前回の各ブレード42の移動により生じた誤差範囲
内の誤差を次の各ブレード42の動作に引き継ぐことを
回避し、また、バックラッシュの影響も回避することが
できるため、第8実施形態の効果に加えて、荷電ビーム
照射装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0209】(第10の実施の形態)図23は、本発明
の第10の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置におけ
るプロセッサ12Bの処理の一例を示す概略フローチャ
ートである。なお、その他の構成・動作については、第
8の実施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様で
あるため、その説明は省略する。
【0210】本実施形態において、プロセッサ12B
は、何れか1つの照射面Fk(1≦k≦n)に対する実
際の各ブレード42の位置データとメモリ13Aに記憶
された計画照射面形状に基づく駆動データに対応する各
ブレード42の位置データとを比較した結果、その差が
所定の誤差範囲を超えている場合には(ステップS1E
→NO)、上記誤差範囲を超えた回数をエラー回数(初
期値を“0”とする)+1カウントし(図23;ステッ
プS1E1)、カウントしたエラー回数1がi回に到達
したか否か判断する(ステップS1E2)。
【0211】例えば、iを2回と仮定すると、ステップ
S1E1の判断の結果はNOとなり、プロセッサ12B
は、通信部48を介して多葉コリメータ制御部41に対
して上記リセット用ブレード駆動データに対応する全閉
用ブレード駆動データを送信し(ステップS1E3)、
多葉コリメータ41を介して各ブレード42の位置デー
タが送信されてくるまで処理を待機する(ステップS1
E4の判断→NO)。
【0212】このとき、プロセッサ12Bから送信され
てきた全閉用ブレード駆動データに応じて、多葉コリメ
ータ制御部41は、各駆動回路45に対して全閉駆動用
制御信号を送信し、この結果、全閉駆動用制御信号に応
じてサーボモータ44が回動することにより、全てのブ
レード42は、初期位置まで独立して移動する。
【0213】各サーボモータ44に設けられたエンコー
ダは、その各サーボモータ44の回動量に応じて各ブレ
ード42の初期位置データを検出し、検出した初期位置
データは多葉コリメータ制御部41および通信部48を
介してプロセッサ12Bに送信される。
【0214】初期位置データが多葉コリメータ制御部4
1から送信されてくると、プロセッサ1E4の判断はY
ESとなり、次いで、プロセッサ12Bは、通信部48
を介して多葉コリメータ制御部41に対して全開用ブレ
ード駆動データを送信し(図23;ステップS1E
5)、多葉コリメータ41を介して各ブレード42の位
置データが送信されてくるまで処理を待機する(ステッ
プS1E6の判断→NO)。
【0215】このとき、プロセッサ12Bから送信され
てきた全開用ブレード駆動データに応じて、多葉コリメ
ータ制御部41は、各駆動回路45に対して全開駆動用
制御信号を送信し、この結果、全開駆動用制御信号に応
じてサーボモータ44が回動することにより、全てのブ
レード42は、そのx方向に沿った最大位置まで独立し
て移動する。
【0216】各サーボモータ44に設けられたエンコー
ダは、その各サーボモータ44の回動量に応じて各ブレ
ード42の最大位置データを検出し、検出した最大位置
データは多葉コリメータ制御部41および通信部48を
介してプロセッサ12Bに送信される。
【0217】全開位置データが多葉コリメータ制御部4
1から送信されてくると、プロセッサ12Bのステップ
S1E6の判断の結果はYESとなり、プロセッサ12
Bは、再度ステップS1Cの処理に戻り、多葉コリメー
タ制御部41に対する各ブレード42の駆動データ送信
処理を行なう。
【0218】すなわち、同一の照射面の照射面形状デー
タに対応する駆動データを再度多葉コリメータ制御部4
1に対して送信し(ステップS1C)、この多葉コリメ
ータ制御部41に対して送信した駆動データに対応する
各ブレード42の計画位置データと各ブレード42の実
際の位置データとを再度比較して所定の誤差範囲内であ
るか否かを判断する(ステップS1D、ステップS1
E)。
【0219】この判断の結果、再度誤差範囲外であった
場合には(ステップS1E→NO)、プロセッサ12B
は、上記誤差範囲を超えた回数をエラー回数を+1カウ
ントし(ステップS1E1参照)、カウントしたエラー
回数(1+1=2)がi回に到達したか否か判断する
(ステップS1E2)。
【0220】今、iを2回と仮定すると、ステップSS
1E2の判断はYESとなり、プロセッサ12Bは、本
装置においては、i=2回のブレード駆動動作を行なっ
ても、計画通りの照射面形状を作成することができない
ものと判断し、荷電ビーム照射装置(例えば、多葉コリ
メータ40)に故障が発生したものと確定して、信号出
力部14を介して粒子線源1、偏向電磁石電源X5およ
び偏向電磁石電源Y6に対して動作停止指令を出力して
(ステップS1F)、処理を終了する。
【0221】この結果、粒子線源1の荷電ビーム出力動
作、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6の電
源供給動作がそれぞれ停止して装置全体の動作が停止す
る。
【0222】以上述べたように、本実施形態によれば、
例えば荷電ビーム照射装置自体に故障が発生することな
く、他のブレード間の固着等により各ブレードの動作に
支障が生じた場合でも、上述したi回の繰り返しの全閉
・全開動作によりブレード間の固着を除去することがで
きるため、誤異常(故障)検出による荷電ビーム照射装
置動作停止の頻度を大幅に低減して荷電ビーム照射効率
を高く維持することができる。
【0223】(第11の実施の形態)図24は、本発明
の第11の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略
構成を概略構成を示すブロック図である。
【0224】図24{図1(第1実施形態)における偏
向電磁石3、4および偏向電磁石電源X5、偏向電磁石
電源Y5の図示を省略している}に示す荷電ビーム照射
装置は、図1の構成に加えて、インターロック回路50
を備えている。
【0225】このインターロック回路50は、制御装置
10のプロセッサ12から信号出力部14を介して送ら
れた許可信号および信号処理回路9Aから送られた許可
信号に応じて粒子線源1に対して荷電ビーム出力許可信
号を送信する処理と、信号処理回路9Aから送られた計
画線量値到達信号に応じて粒子線源1に対して上記荷電
ビーム出力許可信号の送信を停止する処理とを行なうよ
うになっている。
【0226】信号処理回路9Aは、図2の構成に加え
て、各照射面F1〜Fm上の各照射スポット2a1〜2
anに対応する線量値R1〜Rnが予め記憶されたテー
ブルを有しており、線量計7から出力された線量信号に
基づくカウンタ8bを介した積算値がテーブルに記憶さ
れた対応するスポットの線量値に到達した時に設定線量
完了信号をディジタル出力回路9cを介して信号入力部
11およびインターロック回路50に送るようになって
いる。
【0227】なお、その他の構成については、第1実施
形態(図1)の荷電ビーム照射装置と略同様であるた
め、その説明は省略する。
【0228】本実施形態によれば、ステップS1〜ステ
ップS2の処理により照射面FvのテーブルTにおける
第k番目の照射スポット2akに対応するアドレスad
r(k)に記憶されたX電流値k、Y電流値kおよび線
量値Rkを読み出した状態において、プロセッサ12
は、照射準備が整っていることをチェックした後で、図
25に示すタイムチャートにおけるtのタイミングで
信号出力部14を介して第1の荷電ビーム出力許可信号
S1を粒子線源1およびインターロック回路50に対し
て送信するとともに、ステップS2で読み出したX電流
値kおよびY電流値kに対応するX電流基準値信号およ
びY電流基準値信号を信号出力部14を介して偏向電磁
石電源X5および偏向電磁石電源Y6にそれぞれ送信す
る(ステップS3参照および図25参照)。
【0229】このとき、インターロック回路50は、タ
イミングtで送信されてきた出力許可信号S1に呼応
して第2の出力許可信号S2を粒子線源1に送信する
(図25参照)。
【0230】粒子線源1は、プロセッサ12からの出力
許可信号S1およびインターロック回路50からの第2
の出力許可信号S2の両者が送信されると、照射スポッ
ト2akに対して荷電ビームを出力する。
【0231】以下、第1実施形態で詳述したビーム照射
制御により照射スポット2akに対して荷電ビームが照
射され、信号処理回路9のカウンタ9bによりカウント
処理された線量値の積算値が予めテーブルに記憶された
照射スポット2akの線量値に到達すると(到達タイミ
ングtとする)、信号処理回路9のディジタル出力回
路9cは、照射スポット2akの線量値到達を表す設定
線量完了信号をタイミングでインターロック回路50お
よび信号入力部11に送信する。
【0232】インターロック回路50は、タイミングt
で送信されてきた設定線量完了信号に呼応して第2の
出力許可信号S2の送信を停止(OFF)する(図25
参照)。
【0233】一方、信号入力部11を介してタイミング
’で送信されてきた設定線量完了信号に応じて、プ
ロセッサ12は、信号出力部14を介して第1の出力許
可信号S1の送信を停止(OFF)する(図25参
照)。
【0234】このとき、粒子線源1は、送信されていた
第1および第2の出力許可信号S1およびS2の内の何
れか一方の送信がOFFされた際に、照射対象2への荷
電ビーム照射出力を停止する(図25参照)。
【0235】上述した粒子線源1における荷電ビーム照
射出力開始・停止制御が、各照射スポット2ak(1≦
k≦n)毎に行なわれる。
【0236】なお、その他の動作については、第1実施
形態の動作と略同様であるため、その説明は省略する。
【0237】すなわち、本実施形態によれば、荷電ビー
ム照射制御を、制御装置10のプロセッサ12から信号
出力部14を経由する系統およびインターロック回路5
0による系統の2系統により独立して実行することがで
きる。
【0238】したがって、例えば、プロセッサ12の故
障により第1の出力許可信号S1がOFFされない場合
でも、インターロック回路50の第2の出力許可信号S
2のOFFにより荷電ビーム照射出力が停止され、反対
に、インターロック回路50の故障により第2の出力許
可信号S2がOFFされない場合でも、プロセッサ12
の第1の出力許可信号S1のOFFにより荷電ビーム照
射出力が停止されるため、万が一の故障発生により荷電
ビーム照射出力を停止できずに非照射領域に対して荷電
ビーム照射を行なってしまうことを防止することがで
き、荷電ビーム照射装置の信頼性および安全性をさらに
向上させることができる。
【0239】(第12の実施の形態)図26は、本発明
の第12の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略
構成を概略構成を示すブロック図である。
【0240】図26に示す荷電ビーム照射装置は、図1
に示す線量計を2つ(第1の線量計7A、第2の線量計
7B)備えており、これら線量計は、それぞれ粒子線源
1および照射対象2間におけるビーム軌道(パス)の途
中に配置されている。
【0241】また、荷電ビーム照射装置は、第1および
第2の線量計7Aおよび7Bに対応する第1および第2
の信号処理回路51Aおよび51Bを備えており、各信
号処理回路51A、51Bは、図1および図2に示した
信号処理回路9と同等の構成を有しており、各線量計7
A、7Bから出力された線量信号を積算して荷電ビーム
の線量値に比例する線量比例信号を生成し、生成した線
量比例信号を線量比例ディジタル信号に変換して制御装
置10の信号入力部11Aに出力するようになってい
る。
【0242】信号入力部11Aは、第1および第2の信
号処理回路51Aおよび51Bからそれぞれ出力された
線量比例ディジタル信号を入力して数値データ(線量比
例データ)にそれぞれ変換するようになっており、プロ
セッサ12Cは、信号入力部11Aにより変換された線
量比例データに基づいて後述する図27に示す処理を行
なうようになっている。
【0243】なお、その他の構成要素については、第1
実施形態(図1)で説明した荷電ビーム照射装置の構成
要素と略同等であるため、その説明を省略する。
【0244】次に、本実施形態の全体動作について説明
する。
【0245】荷電ビーム照射装置を起動させて照射対象
2に対して荷電ビームの照射を開始する時、プロセッサ
12Cは、第1実施形態と同様に、ステップS1および
ステップS1およびステップS2の処理を行なって、メ
モリ13から照射面Fvの第k番目の照射スポット2a
kに対応するアドレスadr(k)からX電流値k、Y
電流値kおよび線量値Rkを読み出し、続いて粒子線源
1に対して荷電ビーム出力許可信号を送信し、かつ読み
出したX電流値kおよびY電流値kに対応するX電流基
準値信号およびY電流基準値信号を信号出力部14を介
して偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6にそ
れぞれ送信する(ステップS3参照)。
【0246】この結果、照射線源1から出力された荷電
ビームは、照射対象2の照射スポット2akに対して正
確に照射される。
【0247】このとき、第1および第2の線量計7Aお
よび7Bでは、照射スポット2akに照射される荷電ビ
ームの線量値がそれぞれ計測され、計測値は、線量信号
として第1および第2の信号処理回路51Aおよび51
Bにそれぞれ出力される。
【0248】そして、第1および第2の信号処理回路5
1Aおよび51Bに対して順次出力された線量信号は、
当該信号処理回路51Aおよび51Bにおける第1実施
形態と同様の増幅処理、積算処理等により線量比例デー
タディジタル信号としてそれぞれ出力され、信号入力部
11Aを介して第1および第2の線量比例データDAお
よびDBとしてプロセッサ12Cにそれぞれ送信され
る。
【0249】ステップS3の終了後、プロセッサ12C
は、信号入力部11Aを介して線量計7Aの計測線量値
に基づく第1の線量比例データDAおよび線量計7Bの
計測線量値に基づく第2の線量比例データDBが送信さ
れるまで処理を待機しており、第1および第2の線量比
例データ7Aおよび7Bが送信されてくると、送信され
てきた第1および第2の線量比例データDAおよびDB
をそれぞれ入力し(ステップS4A)、入力した第1の
線量比例データDAに対応する第1の計測線量値と第2
の線量比例データDBに対応する第2の計測線量値とが
一致しているか否か判断する(ステップS6A)。
【0250】今、ステップS6Aにより、第1の計測線
量値と第2の計測線量値とが一致していないと判断され
た場合(ステップS6A→NO)、プロセッサ12C
は、少なくとも一方の信号処理回路51Aおよび51B
に故障、すなわち装置故障が発生したものと判定し、信
号出力部14を介して粒子線源1、偏向電磁石電源X5
および偏向電磁石電源Y6に対して動作停止指令を出力
して(ステップS6B)、処理を終了する。
【0251】一方、第1の計測線量値と第2の計測線量
値とが一致していると判断された場合(ステップS6A
→YES)、プロセッサ12Cは、入力した第1の線量
比例データDAに対応する荷電ビームの第1の計測線量
値が、メモリ13に記憶された照射スポット2akに対
する計画線量値Rkに到達したか否か判断し(ステップ
S6C)、このステップS6Cの判断の結果が“非到達
(NO)”の場合には、プロセッサ12Cは、入力した
第2の線量比例データDBに対応する荷電ビームの第2
の計測線量値が、メモリ13に記憶された照射スポット
2akに対する計画線量値Rkに到達したか否か判断し
(ステップS6D)、このステップS6Dの判断の結果
が“非到達(NO)”の場合には、第1の計測線量値お
よび第2の計測線量値の何れも非到達であるため、荷電
ビーム照射途中であるものと判断し、ステップS4Aの
処理に戻り、その処理で入力する第1の線量比例データ
DAおよび第2の線量比例データDBに基づいて上記判
断処理を繰り返し行なう。
【0252】一方、ステップS6CあるいはステップS
6Dの判断の結果、到達した場合には(ステップS6
C、6D→YES)、プロセッサ12Cは、照射スポッ
ト2akに対して、予め計画した線量(線量値Rk)が
照射されたものと判断し、第1および第2の信号処理回
路51Aおよび51Bに対してリセット信号を送信して
積算値をリセットさせる(ステップS7)。
【0253】以下、ステップS8以降の処理を行なうこ
とにより、メモリ13の全ての照射面F1〜Fmそれぞ
れのテーブルTにおけるアドレスadr(k;k=1〜
n)に記憶されたX電流値1・Y電流値1〜X電流値n
・Y電流値nおよび計画線量値R1〜Rnに基づいて図
27に示す処理が実行され、全ての照射面F1〜Fmに
おける各照射スポット2a1〜2anに対して、予め計
画された計画線量値R1〜Rnに対応する線量を正確に
照射することができる。
【0254】そして、本実施形態によれば、万が一第1
および第2の線量計7Aおよび7Bの内の何れか一方
(例えば第1の線量計7A)に故障が発生して、第1の
線量計7Aに計測された第1の計測線量値が計画線量値
R1に常に到達しない場合でも(ステップS6C→N
O)、第2の線量計7Bに計測された第2の計測線量値
に基づいて、その第2の計測線量値が計画線量値R1に
到達するか否かの判断処理を行なうことができる。
【0255】したがって、第1および第2の線量計7A
および7Bの何れか一方に故障が発生した場合において
も、予め計画された計画線量値R1〜Rnに対応する線
量を正確に照射することができるため、荷電ビーム照射
装置の各照射スポットに対する荷電ビーム照射の正確性
を高めて、その信頼性をさらに向上させることができ
る。
【0256】さらに、本実施形態では、万が一第1およ
び第2の信号処理回路51Aおよび51Bの内の何れか
一方に故障が発生した場合でも、第1の計測線量値およ
び第2の計測線量値との比較により上記故障発生を検出
して荷電ビーム照射装置の動作(荷電ビーム照射動作
等)を停止させることができるため、荷電ビームを非照
射領域に対して照射する危険性を防止して、荷電ビーム
照射装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0257】なお、本実施形態では、線量計7Aおよび
7Bの内のどちらか一方に故障が発生した場合において
も荷電ビームの照射スポットに対する正確な照射を継続
して行なうことが可能な処理(ステップS6C〜6D)
とステップS5A・5Bの信号処理回路51A・51B
故障判別処理とを共に用いた場合について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、上記ステップ
S6C〜6Dの処理およびステップS6C〜6Dの信号
処理回路故障判別処理の内の何れか一方の処理のみを行
なうことも可能である。
【0258】(第13の実施の形態)図28は、本発明
の第13の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置におけ
るプロセッサ12Dの処理の一例を示す概略フローチャ
ートである。なお、その他の構成・動作については、第
12の実施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様
であるため、その説明は省略する。
【0259】本実施形態において、プロセッサ12D
は、前掲図27のステップS4Aの処理に続いて、入力
した照射スポット2akに対する第1の計測線量値が、
メモリ13に記憶された照射スポット2akに対する計
画線量値Rkに到達したか否か判断する(ステップS6
C)。
【0260】このステップS6Cの判断の結果、到達し
た場合には(ステップS6C→YES)、プロセッサ1
2Dは、続いて第2の計測線量値が、メモリ13に記憶
された照射スポット2akに対する計画線量値Rkに到
達したか否か判断する(ステップS6E)。
【0261】このステップS6Eの判断の結果、到達し
た場合には(ステップS6E→YES)、プロセッサ1
2Dは、第1・第2の線量計7A・7Bおよび第1・第
2の信号処理回路51A・51Bが正常に動作し、かつ
照射スポット2akに対して、予め計画した線量(線量
値Rk)が照射されたものと判断し、ステップS7のリ
セット信号送信処理に移行する。
【0262】一方、ステップS6Eの判断の結果、第2
の計測線量値が計画線量値に到達しない場合、すなわ
ち、第1の計測線量値のみが計画線量値に到達した場合
においては(ステップS6E→NO)、プロセッサ12
Dは、第2の線量計7Bあるいは第2の信号処理回路5
1Bに故障、すなわち装置故障が発生したものと判定
し、信号出力部14を介して粒子線源1、偏向電磁石電
源X5および偏向電磁石電源Y6に対して動作停止指令
を出力して(ステップS6F)、処理を終了する。
【0263】一方、上記ステップS6Cの判断の結果、
第1の計測線量値が計画線量値に到達しない場合には
(ステップS6C→NO)、プロセッサ12Dは、続い
て第2の計測線量値が、メモリ13に記憶された照射ス
ポット2akに対する計画線量値Rkに到達したか否か
判断する(ステップS6G)。
【0264】このステップS6Gの判断の結果が“非到
達(NO)”の場合には、第1の計測線量値および第2
の計測線量値の何れも非到達であるため、荷電ビーム照
射途中(第1・第2の線量計7A・7Bおよび第1・第
2の信号処理回路51A・51Bの何れも正常)である
ものと判断し、ステップS4Aの処理に移行する。
【0265】一方、ステップS6Gの判断の結果、第2
の計測線量値が計画線量値に到達する場合、すなわち、
第2の計測線量値のみが計画線量値に到達した場合にお
いては(ステップS6G→YES)、プロセッサ12D
は、第1の線量計7Aあるいは第1の信号処理回路51
Aに故障、すなわち装置故障が発生したものと判定し、
信号出力部14を介して粒子線源1、偏向電磁石電源X
5および偏向電磁石電源Y6に対して動作停止指令を出
力して(ステップS6F)、処理を終了する。
【0266】以上述べたように、本実施形態によれば、
第1の線量計7A・第1の信号処理回路51Aおよび第
2の線量計7B・第2の信号処理回路51Bの健全性を
確認しながら照射スポットに対する荷電ビームの照射を
行なうことができ、仮に、第1の線量計7Aあるいは第
1の信号処理回路51Aに故障が発生するか、第2の線
量計7Bあるいは第2の信号処理回路51Bに故障が発
生した場合でも、その故障発生を検出して荷電ビーム照
射装置の動作(荷電ビーム照射動作等)を停止させるこ
とができるため、荷電ビームを非照射領域に対して照射
する危険性を防止して、荷電ビーム照射装置の信頼性を
さらに向上させることができる。
【0267】なお、本実施形態では、第1の線量計7A
あるいは第1の信号処理回路51Aの故障検出処理(ス
テップS6G〜6F)と第2の線量計7Bあるいは第2
の信号処理回路51Bの故障検出処理(ステップS6E
〜6F)とを共に用いた場合について説明したが、本発
明はこれに限定されるものではなく、上記ステップS6
G〜6Fの故障検出処理およびステップS6E〜6Fの
故障検出処理の内の何れか一方の処理のみを行なうこと
も可能である。
【0268】(第14の実施の形態)図29は、本発明
の第14の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の信号
処理回路60の概略構成を示すブロック図である。な
お、その他の構成要素については、第1実施形態の荷電
ビーム照射装置の構成・動作と略同様であるため、その
説明は省略する。
【0269】図29に示すように、信号処理回路60
は、第1実施形態と同様に、線量計7により計測された
線量信号増幅用アンプ61と、線量信号カウント(積
算)処理用のカウンタ62aおよび62bと、アンプ6
1から出力された増幅線量信号をカウンタ62aおよび
62bのどちらか一方に切換出力する切換回路63と、
カウンタ62aおよび62bからそれぞれ出力された線
量比例信号をそれぞれ線量比例ディジタル信号に変換し
て出力するディジタル信号出力回路64aおよび64b
と、制御装置10の信号出力部14Aから送られるリセ
ット信号を入力し、そのリセット信号に応じてカウンタ
62aおよびカウンタ62bのカウント値(積算値)を
リセットするリセット入力回路65とを備えている。
【0270】さらに、信号処理回路60は、制御装置1
0の信号出力部14Aから送られる切換信号を切換回路
63に送信する切換入力回路66を備え、切換回路63
は、送信された切換信号に応じてアンプ61から送信さ
れた線量信号をカウンタ62aあるいは62bに切換出
力するようになっている(なお、初期状態においては、
アンプ61から送信された線量信号をカウンタ62aに
切換出力するようになっている)。
【0271】また、プロセッサ12Eは、信号入力部1
1により変換された線量比例データに基づいて後述する
図31に示す処理を行なうようになっている。
【0272】一方、メモリ13Bは、各照射面F1〜F
m毎に用意されたテーブルT4を記憶しており、このテ
ーブルT4の各アドレスには、図30に示すように、対
応する照射面Fv(1≦v≦m)の各照射スポット2a
1〜2anに対応する供給電流値(X電流値1〜X電流
値n、Y電流値1〜Y電流値n)および線量値R1〜R
nが記憶されている。
【0273】さらに、本実施形態のテーブルT4の最初
(先頭)の照射スポット2a1のアドレスには、図30
に示すように、非照射時の基準値を表す非照射時線量値
Qが格納されている。
【0274】なお、その他の構成要素については、第1
実施形態(図1)で説明した荷電ビーム照射装置の構成
要素と略同等であるため、その説明を省略する。
【0275】次に、本実施形態の全体動作について説明
する。
【0276】荷電ビーム照射装置を起動させて照射対象
2に対して荷電ビームの照射を開始する時、プロセッサ
12Eは、第1実施形態と同様に、ステップS1および
ステップS1およびステップS2の処理を行なって、メ
モリ13の先頭アドレスから照射面Fvの第k番目の照
射スポット2akに対応するアドレスadr(k)から
X電流値k、Y電流値kおよび線量値Rkを読み出し、
続いて粒子線源1に対して荷電ビーム出力許可信号を送
信し、かつ読み出したX電流値kおよびY電流値kに対
応するX電流基準値信号およびY電流基準値信号を信号
出力部14を介して偏向電磁石電源X5および偏向電磁
石電源Y6にそれぞれ送信する(ステップS3参照)。
【0277】この結果、照射線源1から出力された荷電
ビームは、照射対象2の照射スポット2a1に対して正
確に照射される。
【0278】一方、プロセッサ12Eは、ステップS3
の処理に続いて、現在、荷電ビーム照射中であるか否か
判断する(図31;ステップS50)。
【0279】このステップS50の判断の結果、ビーム
照射中でない場合には(ステップS50→NO)、プロ
セッサ12Eは、信号出力部14Aを介して、カウンタ
62bへの切換指令を切換入力回路66に送信する(ス
テップS51)。
【0280】このとき、切換入力回路66は、送信され
た切換指令に応じた切換信号を切換回路63に送信す
る。
【0281】この結果、ビーム非照射時において線量計
7により計測された荷電ビームの線量値は、非照射時線
量信号としてアンプ61を介してカウンタ62bへ出力
される。そして、カウンタ62bを介して積算された
後、ディジタル信号出力回路64bを介してディジタル
信号に変換され、信号入力部11を介して非照射時線量
比例データとしてプロセッサ12Eに送信される。
【0282】プロセッサ12Eは、送信されてきた非照
射時線量比例データを入力し(ステップS52)、入力
した非照射時線量比例データに対応する非照射時計測線
量値がメモリ13Bに記憶された非照射時線量値Qに到
達したか否か判断し(ステップS53)、このステップ
S53の判断の結果が“非到達(NO)”の場合には、
ステップS50の処理に戻る。
【0283】一方、ステップS50の判断の結果、ビー
ム非照射状態からビーム照射状態に変化した場合には
(ステップS50→YES)、プロセッサ12Eは、信
号出力部14Aを介して、カウンタ62aへの切換指令
を切換入力回路66に送信する(ステップS54)。
【0284】このとき、切換入力回路66は、送信され
た切換指令に応じた切換信号を切換回路63に送信す
る。
【0285】この結果、照射スポット2akに対するビ
ーム照射時において線量計7により計測された荷電ビー
ムの線量値は、照射時線量信号としてアンプ61を介し
てカウンタ62aへ出力される。そして、カウンタ62
aを介して積算された後、ディジタル信号出力回路64
aを介してディジタル信号に変換され、信号入力部11
を介して照射時線量比例データとしてプロセッサ12E
に送信される。
【0286】プロセッサ12Eは、送信されてきた照射
スポット2akに対する照射時線量比例データに基づい
て、上述したステップS50〜S54およびステップS
4〜ステップS11の処理を繰り返し行なう。
【0287】一方、上記ステップS50〜S54および
ステップS4〜ステップS11の処理を繰り返し行なう
ことにより、照射スポット2akに対する荷電ビーム照
射処理において、非照射時に漏れて計測された非照射時
計測線量値が非照射時線量値Qに到達した場合には(ス
テップS53→YES)、プロセッサ12Eは、照射ス
ポット2akに対して照射された漏れ線量値の許容範囲
に達したものと判断して信号処理回路60のリセット入
力回路65に対してリセット信号を送信する(ステップ
S55)。
【0288】この結果、カウンタ62bの非照射時線量
値の積算値は、リセット信号に応じたリセット入力回路
65の処理によりリセットされる。
【0289】次いで、プロセッサ12Eは、漏れビーム
過大処理として、信号出力部14を介して粒子線源1、
偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6に対して
動作停止指令を出力して(ステップS56)、処理を終
了する。
【0290】すなわち、本実施形態によれば、ビーム非
照射中時の漏れビームに対しても予め線量値を規定して
おき、その規定した線量値に非照射時の線量値が到達し
た時に以降の荷電ビーム照射を中止することができるた
め、荷電ビームを、予め設定した照射スポットに対して
予め計画した線量となるように正確に照射することがで
き、荷電ビーム照射装置の照射効率を向上させることが
できる。
【0291】(第15の実施の形態)図32は、本発明
の第15の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略
構成を示すブロック図である。
【0292】図32に示すように、荷電ビーム照射装置
の制御装置10は、第1実施形態の構成に加えて、オペ
レータ操作用の操作入力部を有し、オペレータが操作入
力部を操作して入力された照射中断要求あるいは照射再
開要求に応じてプロセッサ12Fに対して照射中断指令
あるいは照射再開指令を送信する中断・再開指令送信部
70と、プロセッサ12Fが読み書き可能な記憶媒体で
あり、ビーム照射中断(終了)時において、図33に示
すように、その中断時刻、次に照射開始される照射面識
別情報(照射面名等)およびその照射面識別情報に対応
するテーブルTにおける照射開始アドレスを互いに対応
付けて記憶するためのアドレス記憶部71とを備えてい
る。
【0293】なお、その他の構成については、第1の実
施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様であるた
め、その説明は省略する。
【0294】次に、本実施形態の全体動作について説明
する。
【0295】荷電ビーム照射装置を起動させて照射対象
2に対して荷電ビームの照射を開始する時、プロセッサ
12Fは、アドレス記憶部71に記憶された照射開始ア
ドレスを読み込む(図34;ステップS60)。
【0296】今、前回のビーム照射処理において、全て
の照射面F1〜Fmの全ての照射スポット2a1〜2a
nに対して荷電ビームの照射を終了している場合には、
アドレス記憶部71には、照射面F1および照射開始ア
ドレスadr(1)が記憶されているため、プロセッサ
12Fは、第1実施形態と同様に、メモリ14の照射面
F1に対応するテーブルTにおけるアドレスadr
(1)に記憶されたX電流値1、Y電流値1および線量
値R1に基づいて、上述したステップS2〜S7のビー
ム照射制御処理を実行することにより、照射スポット2
a1に対して荷電ビームを照射し、その計測線量値が計
画線量値に到達した際に信号処理回路9に対してリセッ
ト信号を送信する(ステップS7参照)。
【0297】このとき、プロセッサ12Fは、中断・再
開指令送信部70から照射中断指令が送信されてきたか
否か判断する(ステップS61)。
【0298】この判断の結果、照射中断指令が送信され
ていない場合、プロセッサ12Fは、荷電ビーム照射を
中断する必要がないものと判断して、ステップS8以降
の処理に進み、次照射スポット2a2およびそれ以降の
照射スポットに対する荷電ビーム照射を行なう。
【0299】以下、順次各照射スポットに荷電ビームに
対する照射処理が実行されている際に、例えば、照射面
Fv上の照射スポット2ak(≦2an)に対する荷電
ビーム照射中において、オペレータが操作入力部を操作
して照射中断要求を入力すると、中断・再開指令送信部
70は、入力された照射中断要求に応じて照射中断指令
をプロセッサ12Fに送信する。
【0300】プロセッサ12Fに対して照射中断指令が
送信されると、ステップS61の判断の結果はYESと
なり、プロセッサ12Fは、送信された照射中断指令に
応じて、次に照射を開始する際の照射面Fvを表す識別
情報(照射面名)、照射開始スポット2ak+1に対応
する照射開始アドレスadr(k+1)および現在時刻
(中断時刻)を対応付けてアドレス記憶部71に記憶す
る(ステップS62)。
【0301】続いて、プロセッサ12Fは、信号出力部
14を介して粒子線源1、偏向電磁石電源X5および偏
向電磁石電源Y6に対して動作停止指令を出力する(ス
テップS63)。
【0302】この結果、粒子線源1の荷電ビーム出力動
作、偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6の電
源供給動作がそれぞれ停止して装置全体の動作が中断す
る。
【0303】一方、装置動作中断時において、オペレー
タが操作入力部を操作して照射再開要求を入力するか、
あるいは装置を再起動させると、プロセッサ12Fは、
ステップS60の処理に進み、アドレス記憶部71に記
憶された最新の中断時刻における照射面識別情報(照射
面名:Fv)および照射開始アドレスadr(k+1)
を読込み(ステップS60参照)、メモリ14から、読
み込んだ照射面Fvに対応するテーブルTにおけるアド
レスadr(k+1)に記憶されたX電流値k+1、Y
電流値k+1および線量値Rk+1に基づいて、上述し
たステップS2〜S6のビーム照射制御処理を実行し、
以下ステップS61の処理に移行する。
【0304】この結果、荷電ビームは、照射開始アドレ
スadr(k+1)に対応する照射スポット2ak+1
に対して自動的に照射される。
【0305】すなわち、本実施形態によれば、所定の照
射スポット2akに対して荷電ビームを照射した後にビ
ーム照射処理を中断し、再度ビーム照射処理を再開した
場合でも、荷電ビームの照射位置を、照射済み照射スポ
ット2akの次の未照射の照射スポット2ak+1に自
動的に設定し、その照射スポット2ak+1に対応する
線量値Rk+1に到達するまで荷電ビームを照射するこ
とができる。
【0306】したがって、ビーム照射処理を自由に中断
させることができ、第1実施形態の効果に加えて、ビー
ム照射操作の自由度を大幅に向上させることができる。
【0307】(第16の実施の形態)図35は、本発明
の第16の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略
構成を示すブロック図である。
【0308】図35に示すように、荷電ビーム照射装置
の制御装置10は、第1実施形態の構成に加えて、プロ
セッサ12Gから送信された初期化指令に応じて偏向電
磁石コイル3および4の消磁(初期化)するための初期
化処理を行なう初期化処理部80を備えている。
【0309】また、本実施形態において、メモリ13C
は、図36に示すように、初期化指令受信時からの各経
過時間(t1〜tn)に対応する偏向電磁石コイル3・
4それぞれへの供給電流値(X電流値・Y電流値)が各
アドレス毎に互いに対応付けられて記憶されたテーブル
T5を備えている。
【0310】すなわち、図36に示すX電流値D(t
1)〜X電流値D(tn)、Y電流値D(t1)〜Y電
流値D(tn)は、初期化指令受信時から各経過時間
(t1〜tn)経過後において偏向電磁石コイル3およ
び4を消磁するために、偏向電磁石電源X5および偏向
電磁石電源Y6が偏向電磁石コイル3および4それぞれ
に対して供給する電流値であり、例えば経過時間の増加
に従ってその値が小になるように設定されている。
【0311】なお、その他の構成については、第1の実
施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様であるた
め、その説明は省略する。
【0312】次に、本実施形態の全体動作について説明
する。
【0313】本実施形態において、プロセッサ12G
は、メモリ14の照射面Ftに対応するテーブルTにお
けるアドレスadr(k)に記憶されたX電流値k、Y
電流値kおよび線量値Rkに基づいて、上述したステッ
プS1〜S7のビーム照射制御処理を実行することによ
り、照射スポット2akに対して荷電ビームを照射し、
その計測線量値が計画線量値に到達した際に信号処理回
路9に対してリセット信号を送信する(ステップS7参
照)。
【0314】このとき、プロセッサ12Gは、初期化指
令を初期化処理部80に送信し(図37;ステップS7
A)、粒子線源1に対して動作停止指令(荷電ビーム照
射停止指令)を送信する(ステップS7B)。
【0315】次いで、プロセッサ12Gは、初期化処理
部80から初期化処理の終了を表す信号(初期化処理終
了信号)が送信されてきたか否か判断し(ステップS7
C)、送信されてくるまで上述した処理を繰り返す(ス
テップS7C→NO)。
【0316】一方、初期化処理部80は、初期化指令を
受信したか否か常時判断しており(図38;ステップS
70)、初期化指令がプロセッサ12Gから送信されき
た際には、その初期化指令を受信し(ステップS70→
YES)、時間カウンタ用経過時間変数tを初期値t1
に設定して時間カウンタの計時を開始し(ステップS7
1)、メモリ13CからテーブルT5の経過時間変数t
に対応するアドレス(t)を参照し、そのアドレス
(t)に記憶されたX電流値D(t)およびY電流値D
(t)を読み出す。
【0317】今、t=t1であるため、初期化処理部8
0は、テーブルT5の第1番目(先頭)アドレス(t
1)に記憶されたX電流値D(t1)およびY電流値D
(t1)を読み出す(ステップS72)。
【0318】次いで、初期化処理部80は、読み出した
X電流値D(t1)およびY電流値D(t1)に対応す
るX電流基準値信号およびY電流基準値信号を信号出力
部14を介して偏向電磁石電源X5および偏向電磁石電
源Y6にそれぞれ送信する(ステップS73)。
【0319】この結果、偏向電磁石電源X5および偏向
電磁石電源Y6により、送信されたX電流基準値信号お
よびY電流基準値信号に対応するX電流値D(t1)お
よびY電流値D(t1)が偏向電磁石コイル3および4
にそれぞれ供給され、その結果、偏向電磁石コイル3お
よび4から上記X電流値D(t1)およびY電流値D
(t1)に対応する磁界が発生する。
【0320】次いで、初期化処理部80は、最終経過時
間変数tnに対応する電流値D(tn)およびY電流値
D(tn)の供給が終了したか否かを判断する(ステッ
プS74)。
【0321】今、最初の経過時間変数t1に対応するX
電流値D(t1)およびY電流値D(t1)の供給が終
了した状態であるため、ステップS74の判断はNOと
なり、初期化処理部80は、時間カウンタ用経過時間変
数tが次の経過時間t2に到達したか否かを判断し(ス
テップS75)、次経過時間t2に到達するまでステッ
プS75の判断処理を繰り返す(ステップS75→N
O)。
【0322】一方、経過時間変数tが次経過時間t2に
到達した場合には(ステップS75→YES)、初期化
処理部80は、ステップS72の処理に戻り、テーブル
T5の経過時間変数t(=t2)に対応するアドレス
(t2)に記憶されたX電流値D(t2)およびY電流
値D(t2)を読み出し(ステップS72参照)、読み
出したX電流値D(t2)およびY電流値D(t2)に
対応するX電流基準値信号およびY電流基準値信号を信
号出力部14を介して偏向電磁石電源X5および偏向電
磁石電源Y6にそれぞれ送信する(ステップS73参
照)。
【0323】以下、ステップS72〜S75の処理を繰
り返し行なうことにより、全ての経過時間変数t1〜t
nに対応するX電流値D(t1)〜D(tn)およびY
電流値D(t1)〜D(tn)が偏向電磁石コイル3お
よび4に供給され対応する磁界が発生する。
【0324】図39は、本実施形態における初期化運転
時の各偏向電磁石コイル3、4から発生される磁場の時
間変化を示すグラフ(縦軸:磁場、横軸:時間変化
(t))であり、各偏向電磁石コイル3、4から発生さ
れる磁場が“0(消磁)”される。
【0325】このようにして全ての電流値供給が終了す
ると、初期化処理部80のステップS74の処理はYE
Sとなり、初期化処理部80は、プロセッサ12Gに対
して初期化終了信号を送信して(ステップS76)、ス
テップS70の処理に戻る。
【0326】一方、プロセッサ12Gに対して初期化終
了信号が送信されてくると、プロセッサ12Gのステッ
プS7Cの判断の結果はYESとなり、プロセッサ12
Gは、ステップS8以降の処理に移行して全ての照射面
F1〜Fmの全ての照射スポット2a1〜2anに対す
る荷電ビーム照射処理を、メモリ13Cのアドレス遷移
時(ビーム照射スポット移動時)に偏向電磁石消磁処理
を行ないながら実行する。
【0327】以上述べたように、本実施形態によれば、
ビーム照射スポットを移動させる毎にX方向偏向電磁石
3およびY方向偏向電磁石4の消磁を行なうことができ
るため、各照射スポットに荷電ビーム位置を合わせるた
めの各X方向偏向電磁石3およびY方向偏向電磁石4か
ら発生する磁場に対する残留磁場の影響をなくすことが
でき、第1実施形態の効果に加えて、ビーム照射位置精
度をさらに向上させることができる。
【0328】(第17の実施の形態)図40は、本発明
の第17の実施の形態に係る荷電ビーム照射装置の概略
構成を示すブロック図である。
【0329】図40に示すように、荷電ビーム照射装置
の制御装置10は、第1実施形態の構成に加えて、プロ
セッサ12Hが読取り可能な記憶媒体であり、計測線量
値が計画線量値に到達した時に偏向電磁石コイル3およ
び4に実際に供給した実電流値(電流基準値)を履歴情
報として記憶するための履歴記憶部90を備えている。
【0330】本実施形態において、信号入力部11B
は、偏向電磁石電源X5およびY6が偏向電磁石コイル
3および4に供給している電流値を入力してプロセッサ
12Hに送信するようになっている。
【0331】なお、その他の構成については、第1の実
施形態で説明した荷電ビーム照射装置と略同様であるた
め、その説明は省略する。
【0332】次に、本実施形態の全体動作について説明
する。
【0333】本実施形態において、プロセッサ12H
は、メモリ14の照射面Ftに対応するテーブルTにお
けるアドレスadr(k)に記憶されたX電流値k、Y
電流値kおよび線量値Rkに基づいて、上述したステッ
プS1〜S7のビーム照射制御処理を実行することによ
り、照射スポット2akに対して荷電ビームを照射し、
その計測線量値が計画線量値Rkに到達した際に信号処
理回路9に対してリセット信号を送信し、アドレスad
r(k)が最終アドレスでない場合に、プロセッサ12
Hは、変数kを+1インクリメントして(k=k+
1)、アドレスadr(k)をアドレスadr(k+
1)に進める(ステップS8、S9参照)。
【0334】次いで、プロセッサ12Hは、信号入力部
11Bを介して、現在、すなわち、計測線量値が計画線
量値R1に到達した際に偏向電磁石コイル3および4に
それぞれ供給しているX電流値kおよびY電流値kを偏
向電磁石電源X5および偏向電磁石電源Y6からそれぞ
れ取りこみ(図41;ステップS9A)、ステップS4
で入力した計測線量値と取りこんだX電流値kおよびY
電流値kとを互いに対応付けて、対応する照射面Ft毎
に履歴記憶部90に記憶して(ステップS9B)、ステ
ップS2の処理に戻り、上述した処理を繰り返し行な
う。
【0335】すなわち、プロセッサ12Hは、全ての照
射面F1〜Fmの全ての照射スポット2a1〜2anに
対する荷電ビーム照射処理を実行しながら、併せて、全
ての照射面F1〜Fmの全ての照射スポット2a1〜2
anのする線量値、その線量値計測時における偏向電磁
石コイル3および4に供給されたX電流値およびY電流
値を履歴情報として履歴記憶部90に記憶する。
【0336】図42は、履歴記憶部90の記憶領域を示
す図である。図42によれば、各照射面F1〜Fm毎
に、その照射面F1〜Fmへの荷電ビーム照射履歴情
報、すなわち、各照射スポット2a1〜2anに対する
線量値、その線量値計測時における偏向電磁石コイル3
および4に供給されたX電流値およびY電流値が互いに
対応付けられて記憶される。
【0337】すなわち、本実施形態によれば、照射対象
2に対して荷電ビーム照射を実行下際に、各照射面F1
〜Fm毎に、その照射面F1〜Fmの荷電ビーム照射履
歴情報(各照射スポット2a1〜2anに対する線量
値、その線量値計測時における偏向電磁石コイル3およ
び4に供給されたX電流値およびY電流値)を互いに対
応付けて履歴記憶部90に記憶することができるため、
オペレータは、履歴記憶部90に記憶された荷電ビーム
照射履歴情報を何時でも参照して照射スポット2a1〜
2anに対する線量値や、X電流値およびY電流値(す
なわち、ビーム照射位置)を確認することができる。
【0338】したがって、荷電ビーム照射装置における
オペレータの使い勝手を向上させることができる。
【0339】なお、上述した各実施形態においては、照
射対象を、複数の照射面から構成された立体物として説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単
一の照射面を有する平面状の照射対象に対しても本発明
の荷電ビーム照射装置を適用可能である。この場合、平
面状照射対象の複数の照射スポットに対して荷電ビーム
を照射するように構成される。
【0340】また、上述した各実施形態においては、全
ての照射面上の全ての照射スポットに対して荷電ビーム
を照射したが、本発明はこれに限定されるものでなく、
予め定めておいた特定の照射面上の特定の照射スポット
にのみ荷電ビームを照射することも可能である。この場
合、メモリのテーブルに対して、ビーム照射したいスポ
ットに対応するアドレスのみを記憶しておけばよい。
【0341】さらに、本発明の第1〜第17実施形態に
おいて、計測線量値および計画線量値を表示するための
表示部を設けて、この表示部に対して計測線量値および
計画線量値を表示部に表示させるプロセッサの表示処理
(ステップS5)を行なう実施形態については、表示部
およびステップS5の表示処理を省略することも可能で
ある。
【0342】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、照
射対象の各照射位置に対して実際に照射している荷電ビ
ームの線量値と予め各照射位置に計画していた線量値と
を比較して、実際の線量値が計画線量値に到達した際に
次の照射位置に荷電ビームの照射を切替えることができ
るため、各照射位置に照射される線量値を予め計画して
いた線量値に正確かつ高精度で一致させることができ、
荷電ビーム照射効率を大幅に向上させることができる。
【0343】また、本発明によれば、荷電ビームを一定
周期で走査することなく、各照射位置毎に走査している
ため、実際のビーム照射対象の形状・特徴に応じて定め
られた照射位置のみに確実に荷電ビームを照射すること
ができ、荷電ビーム照射効率を向上させることができ
る。
【0344】さらに、本発明によれば、荷電ビームを一
定周期で走査することなく、ビーム強度の大小および各
照射位置に対する線量計画値に応じて荷電ビームを各照
射位置毎に走査しているため、照射線量にバラツキを生
じさせることなく、かつビーム強度の高い状態において
は高速に走査することができるため、荷電ビーム照射処
理を迅速に行なうことができる。
【0345】さらにまた、本発明によれば、多様コリメ
ータにより作成された照射面形状が計画形状データに一
致しているか否かを把握することができるため、ビーム
照射効率を高く維持することができる。
【0346】一方、本発明によれば、オペレータは、荷
電ビーム照射中において、ビーム照射状態を監視するこ
とができ、さらに、ビーム照射作業中断前にどの位置ま
でビーム照射が行なわれたかを明確に把握することがで
きるため、荷電ビーム照射装置の使い勝手を向上させる
とともに、ビーム照射操作の自由度を向上させることが
できる。
【0347】本発明によれば、ビーム照射完了時および
ビーム照射中断時において偏向電磁石の消磁を行なうこ
とにより、残留磁場の影響を受けることなく、偏向電磁
石電流値に基づいてビーム照射位置を正確に把握するこ
とができる。
【0348】そして、本発明によれば、偏向電磁石に実
際に通電される電流値およびビーム照射時の線量値の履
歴を把握することができるため、オペレータは、過去の
荷電ビーム照射時における電流値および線量値を参照す
ることができ、荷電ビーム照射装置の使い勝手を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る荷電ビーム照
射装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1における信号処理回路の概略構成を示すブ
ロック図。
【図3】第1実施形態におけるメモリに予め用意された
照射面に対するビーム照射制御用テーブルの記憶内容を
概念的に示す図。
【図4】第1実施形態のプロセッサの処理の一例を示す
概略フローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る荷電ビーム照
射装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る荷電ビーム照
射装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】図6における信号処理回路の概略構成を示すブ
ロック図。
【図8】第3実施形態におけるx方向側の各アンプの位
置計測信号に基づくビームプロファイルおよびy方向側
の各アンプの位置計測信号に基づくビームプロファイル
を示す図。
【図9】第3実施形態におけるメモリに予め用意された
照射面に対するビーム照射制御用テーブルの記憶内容を
概念的に示す図。
【図10】第3実施形態のプロセッサの処理の一例を示
す概略フローチャート。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る荷電ビーム
照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る荷電ビーム
照射装置におけるメモリに記憶されたテーブルの記憶内
容を概念的に示す図。
【図13】第5実施形態におけるメモリに予め用意され
た照射面に対するビーム照射制御用テーブルの記憶内容
を概念的に示す図。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係る荷電ビーム
照射装置における信号処理回路の概略構成を示すブロッ
ク図。
【図15】第6実施形態のプロセッサの処理の一例を示
す概略フローチャート。
【図16】本発明の第7の実施の形態に係る荷電ビーム
照射装置における信号処理回路の概略構成を示すブロッ
ク図。
【図17】第7実施形態のプロセッサの処理の一例を示
す概略フローチャート。
【図18】本発明の第8の実施の形態に係る荷電ビーム
照射装置における信号処理回路の概略構成を示すブロッ
ク図。
【図19】第8実施形態に係る多葉コリメータの概略構
成を示す図。
【図20】第8実施形態におけるメモリに記憶されたテ
ーブルの記憶内容を概念的に示す図。
【図21】第8実施形態のプロセッサの処理の一例を示
す概略フローチャート。
【図22】本発明の第9実施形態のプロセッサの処理の
一例を示す概略フローチャート。
【図23】第10実施形態のプロセッサの処理の一例を
示す概略フローチャート。
【図24】本発明の第11の実施の形態に係る荷電ビー
ム照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図25】第11の実施の形態におけるプロセッサおよ
びインターロック回路の信号送信タイミングを表すタイ
ムチャート。
【図26】本発明の第12の実施の形態に係る荷電ビー
ム照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図27】第12の実施形態に係るプロセッサの処理の
一例を示す概略フローチャート。
【図28】第13実施形態に係るプロセッサの処理の一
例を示す概略フローチャート。
【図29】本発明の第14の実施の形態に係る荷電ビー
ム照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図30】第14実施形態におけるメモリに記憶された
テーブルの記憶内容を概念的に示す図。
【図31】第14実施形態に係るプロセッサの処理の一
例を示す概略フローチャート。
【図32】本発明の第15の実施の形態に係る荷電ビー
ム照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図33】第15実施形態におけるアドレス記憶部の記
憶内容を概念的に示す図。
【図34】第15実施形態に係るプロセッサの処理の一
例を示す概略フローチャート。
【図35】本発明の第16の実施の形態に係る荷電ビー
ム照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図36】第16実施形態におけるメモリの記憶内容を
概念的に示す図。
【図37】第16実施形態に係るプロセッサの処理の一
例を示す概略フローチャート。
【図38】第16実施形態に係る初期化処理装置の処理
の一例を示す概略フローチャート。
【図39】第16実施形態における初期化運転時の各偏
向電磁石コイルから発生される磁場の時間変化を示すグ
ラフ。
【図40】本発明の第17の実施の形態に係る荷電ビー
ム照射装置の概略構成を示すブロック図。
【図41】第17実施形態に係るプロセッサの処理の一
例を示す概略フローチャート。
【図42】図40に示す履歴記憶部の記憶領域を概念的
に示す図。
【符号の説明】
1 粒子線源 2 照射対象 3 偏向電磁石コイル 4 偏向電磁石電源X 5 偏向電磁石コイル 6 偏向電磁石電源Y 7、7A、7B 線量計 8 レンジシフタ 9、9A、21、21A、21B、30、51A、51
B、60 信号処理回路 9a、61 アンプ 9b、62a、62b カウンタ 9c、64a、64b ディジタル出力回路 9d リセット回路 10 制御装置 11、11A、11B 信号入力部 12、12A〜12H、22A〜22C プロセッサ 13、13A〜13C、23、23A メモリ 14、14A 信号出力部 15 表示部 31 線量演算回路 32 線量判定回路 40 多葉コリメータ 41 コリメータ本体 42 ブレード 42a、42b ブレード群 43 駆動機構 44 サーボモータ 45 駆動回路 46 ブレード駆動部 47 多葉コリメータ制御部 50 インターロック回路 63 切換回路 65 リセット入力回路 70 中断・再開指令送信部 71 アドレス記憶部 80 初期化処理部 90 履歴記憶部 テーブル T、T1〜T5
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/04 H01J 37/04 A 37/30 37/30 A (72)発明者 武田 保 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 都築 直久 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 Fターム(参考) 4C082 AA01 AC05 AE01 AG02 AG12 5C030 AA01 5C034 AA02 AB03

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電ビームを照射面の複数の照射位置に
    対して照射する荷電ビーム照射装置であって、 前記各照射位置に対応する電流値に基づいて前記荷電ビ
    ームを異なる2方向に沿って走査することにより、その
    荷電ビームを前記各照射位置に照射する走査手段と、前
    記照射面の複数の照射位置それぞれに対して予め計画さ
    れた計画線量値および前記複数の照射位置に対応する電
    流値を当該複数の照射位置に対応付けて記憶する記憶手
    段と、前記各照射位置に照射される荷電ビームの線量値
    を計測する計測手段と、この計測手段により計測された
    各照射位置に照射される荷電ビームの線量値と前記記憶
    手段に記憶された各照射位置に対応する計画線量値とを
    各照射位置毎に比較し、前記計測線量値が計画線量値に
    到達した際に、他の照射位置に対応する電流値を前記記
    憶手段から読み出して前記走査手段に対して供給する供
    給制御手段とを備えたことを特徴とする荷電ビーム照射
    装置。
  2. 【請求項2】 前記記憶手段は、前記複数の照射位置そ
    れぞれの計画線量値および前記複数の照射位置に対応す
    る電流値を複数のアドレスにそれぞれ記憶しており、前
    記供給制御手段は、前記記憶手段における前記各照射位
    置に対応する各アドレスに記憶された計画線量値を読み
    出し、読み出した計画線量値と前記計測手段により計測
    された各照射位置に照射される荷電ビームの線量値とを
    各照射位置毎に比較する比較手段と、この比較手段の比
    較処理の結果、前記計測線量値が計画線量値に到達した
    際に、前記記憶手段における現在の照射位置に対応する
    アドレスの次のアドレスに記憶された電流値を読み出し
    て前記走査手段に対して供給する供給手段とを備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム照射装置。
  3. 【請求項3】 前記照射面は複数であり、前記記憶手段
    は、各照射面毎に、その各照射面上での複数の照射位置
    それぞれに対して予め計画された計画線量値および前記
    複数の照射位置に対応する電流値を当該複数の照射位置
    に対応付けて記憶するようになっている一方、 前記走査手段は、切替指令が送信された際に、その切替
    指令に対応する照射面における前記各照射位置に対応す
    る電流値に基づいて前記荷電ビームを異なる2方向に沿
    って走査して、当該荷電ビームを前記各照射位置に照射
    するようになっており、 前記供給制御手段は、現在の照射面上の全ての照射位置
    に対するビーム照射が終了した際に、その現在の照射面
    以外の他の照射面に対する切替指令を前記走査手段に出
    力するように構成される一方、 前記荷電ビームを出力する出力手段と、出力された荷電
    ビームの前記照射面に対する経路の途中に配置された複
    数のブレードおよび前記複数のブレードをそれぞれ独立
    に開閉移動可能な移動部を有し、前記複数のブレードの
    開口形状により前記荷電ビームをコリメートするコリメ
    ータと、前記複数の照射面の形状を前記複数のブレード
    それぞれの位置データとして記憶する照射面形状記憶手
    段と、前記切替指令に対応する他の照射面の形状に対応
    する複数のブレードの位置データを前記照射面形状記憶
    手段から読み出す読み出し手段と、読み出した複数のブ
    レードの位置データに従って前記移動部を制御すること
    により前記複数のブレードを移動させる移動制御手段
    と、前記移動部による移動後の前記複数のブレードの位
    置データと前記照射面形状記憶手段に記憶された複数の
    ブレードの位置データとを比較し、その差が所定の範囲
    内であるか否か判断する判断手段とを備えたことを特徴
    とする請求項1記載の荷電ビーム照射装置。
  4. 【請求項4】 前記コリメータの複数のブレードは前記
    荷電ビーム非照射時において予め定められた初期位置に
    配置されており、 前記移動制御手段は、前記供給制御手段からの切替指令
    に応じて複数のブレードの位置データを読み出した際
    に、前記移動部を制御することにより前記複数のブレー
    ドを前記初期位置まで移動させ、初期位置までの移動後
    に、読み出した複数のブレードの位置データに従って前
    記移動部を制御することにより前記複数のブレードを移
    動させるように構成されている一方、 前記判断手段により所定範囲外であると判断された場合
    に、前記出力手段からの前記荷電ビーム出力を停止させ
    る出力停止手段をさらに備えたことを特徴とする請求項
    3記載の荷電ビーム照射装置。
  5. 【請求項5】 前記判断手段により所定範囲外であると
    判断された場合に、前記移動部を制御して前記複数のブ
    レードを全開および全閉させる開閉制御手段と、前記複
    数のブレードの全開および全閉動作後に、前記読み出し
    手段により読み出された複数のブレードの位置データに
    従って前記移動部を制御することにより前記複数のブレ
    ードを再移動させる再移動制御手段と、前記移動部によ
    る再移動後の前記複数のブレードの位置データと前記照
    射面形状記憶手段に記憶された複数のブレードの位置デ
    ータとを比較し、その差が所定の範囲内であるか否か再
    判断する再判断手段と、この再判断手段により所定範囲
    外であると判断された場合に、前記出力手段からの前記
    荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段とを備えたこ
    とを特徴とする請求項3記載の荷電ビーム照射装置。
  6. 【請求項6】 前記荷電ビーム出力用の出力手段と、前
    記供給制御手段の前記走査手段に対する電流値供給タイ
    ミングに応じて第1の出力許可信号を前記出力手段に送
    信し、かつ前記計測線量値の前記計画線量値到達タイミ
    ングに応じて前記第1の出力許可信号の送信を停止する
    第1の出力許可信号送信回路と、前記照射面の複数の照
    射位置それぞれに対して予め計画された計画線量値を保
    持しており、前記供給制御手段の前記走査手段に対する
    電流値供給タイミングに応じて第2の出力許可信号を前
    記出力手段に送信し、かつ前記計測手段により計測され
    た各照射位置に照射される荷電ビームの線量値と保持し
    た各照射位置に対応する計画線量値とを各照射位置毎に
    比較し、前記計測線量値が計画線量値に到達した際に、
    前記第2の出力許可信号の送信を停止する第2の出力許
    可信号送信回路とを備え、 前記出力手段は、前記第1の出力許可信号および第2の
    出力許可信号が送信された際に前記荷電ビームを出力
    し、かつ前記第1の出力許可信号および第2の出力許可
    信号の内の少なくとも一方の信号の送信が停止した際に
    前記荷電ビームの出力を停止するように構成されたこと
    を特徴とする請求項1記載の荷電ビーム照射装置。
  7. 【請求項7】 前記計測手段は、前記各照射位置に照射
    される荷電ビームの線量値を計測する複数の計測器を備
    え、前記供給制御手段は、前記複数の計測器の内の少な
    くとも1つの計測器により計測された各照射位置に照射
    される荷電ビームの線量値と前記記憶手段に記憶された
    各照射位置に対応する計画線量値とを各照射位置毎に比
    較するように構成されたことを特徴とする請求項1記載
    の荷電ビーム照射装置。
  8. 【請求項8】 前記計測手段は、前記各照射位置に照射
    される荷電ビームの線量値を計測する複数の計測器を備
    えるとともに、 前記荷電ビームを出力する出力手段と、前記複数の計測
    器によりそれぞれ計測された各照射位置に照射される荷
    電ビームの線量値が一致しない場合に、前記出力手段か
    らの前記荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム照射
    装置。
  9. 【請求項9】 前記計測手段は、前記各照射位置に照射
    される荷電ビームの線量値を計測する複数の計測器を備
    えるとともに、 前記荷電ビームを出力する出力手段を備え、前記供給制
    御手段は、前記複数の計測器の内の少なくとも1つの計
    測器により計測された各照射位置に照射される荷電ビー
    ムの線量値と前記記憶手段に記憶された各照射位置に対
    応する計画線量値とを各照射位置毎に比較するように構
    成されており、 前記複数の計測器の内の他の少なくとも1つの計測器に
    より計測された各照射位置に照射される荷電ビームの線
    量値に基づいて前記少なくとも1つの計測器の動作が正
    常であるか否かをチェックする手段をさらに備えたこと
    を特徴とする請求項1記載の荷電ビーム照射装置。
  10. 【請求項10】 前記計測手段は前記各照射位置に照射
    される荷電ビームの線量値を計測する複数の計測器を備
    えるとともに、 前記荷電ビームを出力する出力手段を備え、前記供給制
    御手段は、前記複数の計測器の内の少なくとも1つの計
    測器により計測された各照射位置に照射される荷電ビー
    ムの線量値と前記記憶手段に記憶された各照射位置に対
    応する計画線量値とを各照射位置毎に比較するように構
    成されており、 前記複数の計測器の内の他の少なくとも1つの計測器に
    より計測された各照射位置に照射される荷電ビームの線
    量値に基づいて前記少なくとも1つの計測器の動作が正
    常であるか否か、および当該他の少なくとも1つの計測
    器の動作が正常であるか否かをチェックする手段をさら
    に備えたことを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム照
    射装置。
  11. 【請求項11】 前記荷電ビームを出力する出力手段
    と、前記荷電ビーム非照射時の線量値を計測する非照射
    時計測手段と、予め設定された非照射時線量値を記憶し
    ており、この記憶した非照射時線量値に対して前記非照
    射時計測手段により計測された計測線量値が到達するか
    否か判断し、到達した際に前記出力手段からの前記荷電
    ビーム出力を停止させる出力停止手段とを備えたことを
    特徴とする請求項1記載の荷電ビーム照射装置。
  12. 【請求項12】 荷電ビーム照射中断指令を入力する入
    力手段と、入力された中断指令に応じて、現在の照射位
    置に対応するアドレスの次のアドレスおよび中断時刻を
    互いに対応付けて記憶するアドレス記憶手段とを備えた
    ことを特徴とする請求項2記載の荷電ビーム照射装置。
  13. 【請求項13】 前記走査手段は、前記各照射位置に対
    応する第1の電流値により前記荷電ビームを第1の方向
    へ偏向させる第1の偏向電磁石と、前記各照射位置に対
    応する第2の電流値により前記荷電ビームを第2の方向
    へ偏向させる第2の偏向電磁石とを備えており、 前記荷電ビームを出力する出力手段と、前記第1の偏向
    電磁石および第2の偏向電磁石をそれぞれ消磁して初期
    化するための初期化用電流値をそれぞれ記憶する初期化
    用電流値記憶手段とを備え、 前記供給制御手段は、前記計測線量値が計画線量値に到
    達した際に初期化指令を送信し、かつ前記出力手段から
    の前記荷電ビーム出力を停止させる出力停止手段と、送
    信されてきた初期化処理終了信号に応じて他の照射位置
    に対応する電流値を前記記憶手段から読み出して前記走
    査手段に対して供給し、かつ前記出力手段からの前記荷
    電ビーム出力を開始させる供給手段とを備えるととも
    に、 前記初期化指令に応じて前記初期化用電流値記憶手段に
    記憶された初期化用電流値を読み出して前記第1の偏向
    電磁石および第2の偏向電磁石にそれぞれ供給すること
    により当該第1の偏向電磁石および第2の偏向電磁石を
    消磁・初期化し、初期化終了時において前記初期化処理
    終了信号を前記供給手段に送信する消磁・初期化処理手
    段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の荷電
    ビーム照射装置。
  14. 【請求項14】 前記計測手段により計測された各照射
    位置に照射される荷電ビームの線量値と前記記憶手段に
    記憶された各照射位置に対応する計画線量値とを表示す
    る表示手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の荷
    電ビーム照射装置。
  15. 【請求項15】 前記計測線量値が計画線量値に到達し
    た際に、現在の計測線量値および前記走査手段に対する
    供給電流値を互いに対応付けて履歴情報として記憶する
    履歴情報記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1記
    載の荷電ビーム照射装置。
  16. 【請求項16】 荷電ビームを照射面の複数の照射位置
    に対して照射する荷電ビーム照射装置であって、 前記各照射位置に対応する電流値に基づいて前記荷電ビ
    ームを前記照射面に対応する異なる2方向に沿って走査
    することにより、その荷電ビームを前記各照射位置に照
    射する走査手段と、前記複数の照射位置それぞれに対し
    て予め計画された計画線量値および前記複数の照射位置
    に対応する電流値を当該複数の照射位置に対応付けて記
    憶する記憶手段と、前記各照射位置に照射される荷電ビ
    ームの線量値を計測する計測手段と、この計測手段によ
    り計測された各照射位置に照射される荷電ビームの線量
    値および前記記憶手段に記憶された各照射位置に対応す
    る計画線量値に基づいて前記荷電ビームの走査速度を設
    定する設定手段と、設定された走査速度に基づくタイミ
    ングで前記記憶手段から他の照射位置に対応する電流値
    を読み出し、読み出した電流値を前記走査手段に対して
    供給する供給制御手段とを備えたことを特徴とする荷電
    ビーム照射装置。
  17. 【請求項17】 前記走査速度は前記計測線量値の変化
    率に比例し、かつ計画線量値に反比例するように設定さ
    れたことを特徴とする請求項16記載の荷電ビーム照射
    装置。
  18. 【請求項18】 荷電ビームを照射面の複数の照射位置
    に対して照射する荷電ビーム照射装置であって、 前記荷電ビームを出力する出力手段と、前記各照射位置
    に対応する電流値を順次供給して前記荷電ビームを前記
    照射面に対応する異なる2方向に沿って走査することに
    より、その荷電ビームを前記各照射位置に照射する走査
    手段と、前記複数の照射位置それぞれに対して予め設定
    されたビーム内の基準位置をビーム位置として当該複数
    の照射位置に対応付けて記憶する記憶手段と、前記各照
    射位置に照射される荷電ビーム内の対応する基準位置を
    前記ビーム位置として計測する位置計測手段と、この位
    置計測手段により計測された計測ビーム位置と前記記憶
    手段に記憶された各照射位置に対応する設定ビーム位置
    とを各照射位置毎に比較し、前記計測ビーム位置と前記
    設定ビーム位置との差が所定の範囲内か否かを判断する
    判断手段と、この判断手段により所定範囲外であると判
    断された場合に、前記出力手段からの前記荷電ビーム出
    力を停止させる出力停止手段とを備えたことを特徴とす
    る荷電ビーム照射装置。
  19. 【請求項19】 前記位置計測手段は、前記各照射位置
    に照射される荷電ビームから前記ビーム位置を表す信号
    を計測する計測部と、計測されたビーム位置を表す信号
    を積分し、積分後のビーム位置信号を各照射位置に照射
    される荷電ビームの計測ビーム位置として前記判断手段
    に送信する積分部とを備え、この積分部は、前記各照射
    位置に対応する電流値の前記走査手段に対する供給タイ
    ミングに応じて積分動作の開始および停止動作を行なう
    ようにしたことを特徴とする請求項18記載の荷電ビー
    ム照射装置。
  20. 【請求項20】 前記位置計測手段は、前記各照射位置
    に照射される荷電ビームから前記ビーム位置を表す信号
    を計測する計測部と、この計測部により計測された信号
    を増幅し、増幅後のビーム位置信号を各照射位置に照射
    される荷電ビームの計測ビーム位置として前記判断手段
    に送信する増幅部と、前記計測部により計測されたビー
    ム位置を表す信号の最大値レベルと予め設定した閾値レ
    ベルとを比較し、この比較結果に応じて前記増幅部の増
    幅ゲインを変化させる増幅ゲイン変化手段とを備えたこ
    とを特徴とする請求項18記載の荷電ビーム照射装置。
  21. 【請求項21】 前記記憶手段は、前記複数の照射位置
    それぞれに対して予め計画された計画線量値および前記
    複数の照射位置に対応する電流値を当該複数の照射位置
    に対応付けて記憶しており、 前記位置計測手段は、前記各照射位置に照射される荷電
    ビームから当該ビーム位置を表す信号を計測する計測部
    と、この計測部により計測されたビーム位置を表す信号
    を増幅し、増幅されたビーム位置信号を前記各照射位置
    に照射される荷電ビームの計測ビーム位置として前記判
    断手段に送信する増幅部と、増幅されたビーム位置信号
    に基づいて前記各照射位置に照射される荷電ビームの線
    量値を演算する演算手段と、演算された各照射位置に照
    射される荷電ビームの線量値と前記記憶手段に記憶され
    た各照射位置に対応する計画線量値とを各照射位置毎に
    比較し、前記計測線量値が計画線量値に到達した際に、
    前記記憶手段から他の照射位置に対応する電流値を読み
    出して前記走査手段に対して供給する供給制御手段とを
    備えたことを特徴とする請求項18記載の荷電ビーム照
    射装置。
  22. 【請求項22】 荷電ビームを照射面の複数の照射位置
    に対して照射する荷電ビーム照射装置であって、 前記荷電ビームを出力する出力手段と、前記各照射位置
    に対応する電流値を順次供給して前記荷電ビームを前記
    照射面に対応する異なる2方向に沿って走査することに
    より、その荷電ビームを前記各照射位置に照射する走査
    手段と、前記複数の照射位置それぞれに対して予め設定
    されたビーム幅を当該複数の照射位置に対応付けて記憶
    する記憶手段と、前記各照射位置に照射される荷電ビー
    ムのビーム位置を計測し、計測したビーム位置に基づい
    てビーム幅を算出する手段と、算出されたビーム幅と前
    記記憶手段に記憶された各照射位置に対応する設定ビー
    ム幅とを各照射位置毎に比較し、前記算出ビーム幅と前
    記設定ビーム幅との差が所定の範囲内か否かを判断する
    判断手段と、この判断手段により所定範囲外であると判
    断された場合に、前記出力手段からの前記荷電ビーム出
    力を停止させる出力停止手段とを備えたことを特徴とす
    る荷電ビーム照射装置。
  23. 【請求項23】 荷電ビームを照射面の複数の照射位置
    に対して照射する荷電ビーム照射方法であって、 前記各照射位置に対応する電流値に基づいて走査手段に
    より前記荷電ビームを異なる2方向に沿って走査するこ
    とにより、その荷電ビームを前記各照射位置に照射する
    ステップと、前記照射面の複数の照射位置それぞれに対
    して予め計画された計画線量値および前記複数の照射位
    置に対応する電流値を当該複数の照射位置に対応付けて
    メモリに記憶するステップと、前記各照射位置に照射さ
    れる荷電ビームの線量値を計測するステップと、計測さ
    れた各照射位置に照射される荷電ビームの線量値と前記
    メモリに記憶された各照射位置に対応する計画線量値と
    を各照射位置毎に比較し、前記計測線量値が計画線量値
    に到達した際に、他の照射位置に対応する電流値を前記
    メモリから読み出して前記走査手段に対して供給するス
    テップとを備えたことを特徴とする荷電ビーム照射方
    法。
  24. 【請求項24】 各照射位置に対応する電流値に基づい
    て走査装置により荷電ビームを異なる2方向に沿って走
    査することにより、当該荷電ビームを前記各照射位置に
    照射する荷電ビーム照射装置に適用されるコンピュータ
    が読取り可能な記憶媒体であって、 前記照射面の複数の照射位置それぞれに対して予め計画
    された計画線量値および前記複数の照射位置に対応する
    電流値を当該複数の照射位置に対応付けて記憶されたテ
    ーブルと、計測装置により計測された前記各照射位置に
    照射される荷電ビームの線量値と前記テーブルに記憶さ
    れた各照射位置に対応する計画線量値とをコンピュータ
    により各照射位置毎に比較させる手段と、この比較処理
    の結果、前記計測線量値が計画線量値に到達した際に、
    コンピュータにより他の照射位置に対応する電流値を前
    記テーブルから読み出させて前記走査装置に対して供給
    させる手段とを備えたことを特徴とするコンピュータが
    読取り可能な記憶媒体。
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