JP2002056801A - イオン源およびそれを用いた質量分析計 - Google Patents
イオン源およびそれを用いた質量分析計Info
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Abstract
コロナ放電を用いたイオン源を提供する。 【解決手段】 高電圧を印加することにより針電極先端
に生成するコロナ放電において、該コロナ放電の領域か
ら試料ガス中の中性分子が移動する方向と、放電により
生じたイオンの引き出し方向が異なる構成とすることに
より、イオン生成効率を向上させると共に安定な放電を
長時間持続させる。
Description
れを用いた質量分析計,分析方法及びこれを用いた計測
システム、あるいはイオン源を用いたモニタに関するも
のである。
検出する方法として、大気圧下で測定対象の試料をコロ
ナ放電を用いてイオン化して(大気圧化学イオン化
法)、生成したイオンを質量分析計により高感度に検出
する方法がある。
うに、高電圧を印加することにより針電極先端に生成し
たコロナ放電領域に、試料を導入しイオン化する方法で
ある。このとき、試料はコロナ放電により直接イオン化
される反応(一次イオン化)に加えて、イオン分子反応
でイオン化される反応(二次イオン化)があるため、結
果的に試料分子が選択的に高効率にイオン化されること
になる。
に、試料ガスを直接コロナ放電領域に導入せずにイオン
化する方法が提案されている。すなわち、別に設けたコ
ロナ放電領域で生成した一次イオンを用いて、イオン分
子反応によりコロナ放電領域を通過しない試料分子を効
率的に二次イオン化するという方法である。これによ
り、シランガスのようにコロナ放電を用いて直接イオン
化すると、放電生成物によりイオン源が極度に汚染され
イオン化できなくなるような場合に非常に有効となる。
がある。この例では、試料を搬送するためのキャリアガ
スが真空下の質量分析部に導入されるのを防止するた
め、コロナ放電領域とイオンを真空中に取込むための細
孔間にカーテンガスを流す方法が開示されている。この
工夫により、クライオポンプのような真空排気系を用い
た場合に排気効率を向上させることができる。
る方向について記載がある。この方法では、液体試料が
中空針電極内を流れ、針先端でイオン化された微小液滴
が対向して流れる乾燥ガスにより、効率よく気化され、
またイオン化された試料の拡散が抑制され、補修効率を
向上させることが開示されている。しかし本願の特徴の
一つである放電の安定性については課題並び課題を解決
する手段については何ら示されていない。
適用例として、特開平11-304760号及び特開平11-304761
号に負のコロナ放電を用いて、ガス中のダイオキシン類
を測定する方法が、特開平12-28579号に、ガス中のニト
ロ化合物などの危険物を探知する方法が、それぞれ記載
されている。
9252号に記載されている従来例では、測定試料濃度が低
い場合(例えば、空気中の微量成分を測定する場合や、
液体中の微量成分を測定する場合等)、測定試料のイオ
ンに比較して多量に存在する成分のイオンあるいは多量
に存在する成分由来のイオン(例えば、イオン分子反応
により生成したイオン等)の強度が極端に強くなる。特
に、多量に存在する成分に相当する分子あるいは多量に
存在する成分由来のイオンに相当する分子が、目的とす
る試料の分子よりイオンになりやすい、あるいは同じ程
度にイオンになる場合、目的とする試料のイオンの生成
効率が悪化し、結果的に感度が低下するという問題があ
った。
る方法では、カーテンガスを用いることによりキャリア
ガスが真空中に導入されないようにする工夫はされてい
るが、得られる質量スペクトルは上記の従来例のものと
本質的に変わらず、上記の従来例と同様の問題を含んで
いた。
分析するためのイオン源に関するもので、ガスの分析に
ついては何ら記載が無い。
し、コロナ放電が不安定になり、長時間連続して測定で
きなくなるという問題があった。特開平6−310091号に
記載の方法では、1ヶ月程度の長期間に渡る連続運転に
ついて触れられていない。放電が不安定になった後、再
び測定を行うには針先の堆積物を取り除いたり、針を交
換したりといったメンテナンスが必要になり、この間は
測定できないことに加えて、人手・手間がかかるという
問題がある。
を効率的に生成するためのコロナ放電を用いたイオン源
およびこれを用いた装置を提供すること、および長時間
安定な放電を持続するイオン源およびこれを用いた装置
を提供することを目的とする。
を印加することにより針電極先端に生成するコロナ放電
において、針電極と、生成したイオンを質量分析部に取
り込むための開口部を有する隔壁と、を結ぶ方向、つま
りイオンが放電領域から引き出される方向と、試料ガス
が流れる方向が異なる構成にすることによって、目的と
する試料のイオンの生成効率を大幅に向上させる。
うな効果が生じる。例えば、乾燥空気中のクロロフェノ
ール類(CP)を、負のコロナ放電を用いて観測する場
合の主なイオン分子反応は以下のようになる。
オンを表す。上式からわかるように、基本的に、負のコ
ロナ放電で生成したO2 -が介在した反応となる。N2は
O2との負のコロナ放電下での反応により中間体NOを
経てNO3 -に容易に変化し、強度の強いイオンとなって
観測される。NO3 -は酸性度が高いので、CPとは反応
しない。従って、CPに比較してN2の濃度が非常に高
い場合、観測されるのはNO3 -がほとんどで、(CP−
H)-はわずかにしか観測されない。
NO3 -の反応を抑制できれば、O2 -の減少を抑えること
ができる。これにより、O2 -+CP→(CP−H)-+H
O2の反応が進行する。大量に生成するNO3 -は大幅に
低減でき、従って、目的とする(CP−H)-の生成量を
増加することができる。NO3 -の生成反応を抑制するに
は、O2 -とNOとの存在領域が重複しないことが重要と
なる。そのひとつの方法は、電界によりイオンの進行す
る方向と流れにより中間体の進行する方向とが異なる構
成とし、コロナ放電領域における中間体の存在時間を極
力短くすれば良い。特に、前記の2方向がほぼ対向する
場合には大きな効果を発揮することになる。このとき、
前記の反応過程は、NOの中間体の存在を無視できるこ
とになる。従って、上記の反応は実質的に となる。この反応形態は、(CP−H)-を高感度に測定
する観点から非常に望ましいものとなる。
電極先端にコロナ放電を生じさせて試料のイオン化を行
うイオン源とを備えたイオン化質量分析計において、前
記イオン源は、針電極と、生成したイオンを質量分析部
に取り込むための開口部とを結ぶ方向、つまりイオンが
放電領域から引き出される方向と、試料ガスが流れる方
向が90度以上異なるように(別の見方をすると:針電
極先端と、イオンを質量分析部に送り込むための第1の
開口部を結ぶ方向とその中心と針電極先端とを結んだ方
向とのなす90度以下の位置に設けられた試料ガスを供
給する第2の開口部とで)構成される質量分析計および
方法を提供する。
べたような測定対象の物質のイオン生成効率の向上に加
えて、安定な放電を長時間持続することについても効果
がある。この理由の内の1つは、以下のように考えられ
る。
る。
な放電が長時間持続できないのは、針電極先端にガス中
の成分が次第に付着していき、先端曲率半径が大きくな
るためと考えられる。こうなると放電電流値が振れはじ
め、イオン化が不安定となり、質量分析計で測定される
イオン強度も振れてしまう。信頼性の高い分析をするに
は、頻繁に針電極を交換したり、針先を尖らせたりとい
ったメンテンナンスが必要になる。
が印加された針電極先端から電子が放出され、ガス中の
中性分子と衝突し、イオン化させる。イオン化領域は針
電極先端のごく近傍(1mm以内)で、そこに生じる負
イオンが針電極と対向電極の間に生じる電界により、対
向電極側に移動する。針電極先端曲率半径が大きくな
り、放電電流値が振れる現象は次のように考えられる。
オンが、針先先端領域の電界強度を弱める。
する。
が、電界の力により対向電極側に移動する。
り放電電流が元どおりになる。
流が振れることになる。針電極先端の曲率半径が十分小
さい場合は、1)で電界強度が弱まった場合にも放電電
流が低下せずに放電を続けることができるが、針電極先
端の曲率半径が大きくなると、負イオンの空間電荷作用
による電界強度の低下が、放電電流を低下させてしまう
結果となる。放電電流の低下を防ぐために電圧を上げた
場合には、放電形態がコロナ放電から火花放電に移行し
てしまい、不安定な放電形態となるため、分析には不向
きである。
ると、空間電荷効果を及ぼす負イオンを拡散させること
により、針先先端領域の電界強度の低下を抑える効果が
ある。
させることにより、堆積物により針先曲率半径がある程
度大きくなっても安定な放電を持続することができる。
流すと、針先近傍のイオン化が活発に行われる領域は、
流れが針の陰になって乱れた状態となり、効果的に空間
電荷を拡散することが出来ない。
おき電流値の振幅がある値以上になったら針をメンテナ
ンスするようにアラームを出すようにしておけば、針の
メンテナンス時期を的確に知ることができる。
モニタの応用例について説明する。
焼却炉等に設置し、焼却炉煙道等からの排ガス成分を連
続してモニタリングすることができる。特に、焼却炉か
ら排出されるダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体
であるクロロベンゼン類、クロロフェノール類、炭化水
素類を計測し、その結果から焼却炉の燃焼状態を制御す
れば、焼却炉からのダイオキシン類の発生量を大幅に低
減することが可能となる。多種多様な成分を含みかつ汚
れの原因となる成分の多い排ガス中に存在する、こうし
た微量成分の分析に対し、またその他ガス中に存在する
汚れの原因となる成分が多い場合でも、本発明のイオン
源を用いた装置は有効である。
極先端に生成するコロナ放電において、コロナ放電領域
に対する試料の導入方向とコロナ放電によりイオンを引
き出す方向がほぼ対向していることを特徴とするイオン
源の構成を示したものである。コロナ放電領域に対する
試料の導入方向とコロナ放電によりイオンを引き出す方
向がほぼ対向していることが上記の三つの従来例と大き
く異なる点である。図2は、同じイオン源の一部の立体
構成を示した図である。
は、いったんイオンドリフト部2に導入される。このイ
オンドリフト部2はほぼ大気圧状態にある。イオンドリ
フト部2に導入された試料の一部は、コロナ放電部3に
導入され、残りは試料導出配管4を通してイオン源外に
排出される。あるいは、試料導出配管4を取り除き、第
1イオン取込細孔9を通って真空部に導入される一部を
除き、他の残り全てを針電極5の方へ流す構成にしても
よい。コロナ放電部3(3aはその構成本体、3b以下
についても同じ。)に導入された試料は、高電圧を印加
することにより針電極5の先端に生成するコロナ放電領
域6に導入され、イオン化される。このとき、針電極5
から対向電極7に向かってドリフトするイオンの流れに
ほぼ対向するような方向に試料が導入される。生成した
イオンは電界により対向電極7の開口部8を通して、イ
オンドリフト部2に導入される。このとき、対向電極7
と第1イオン取込細孔9の間に電圧を印加することによ
り、イオンをドリフトさせ効率良く第1イオン取込細孔
9に導入できる。第1イオン取込細孔9から導入された
イオンは、第2イオン取込細孔11及び第3イオン取込
細孔12を通して、真空下の質量分析部に導入される。
第1イオン取込細孔9、第2イオン取込細孔11及び第
3イオン取込細孔12が存在する領域は、ほぼ大気圧状
態にあるイオンドリフト部2と真空下にある質量分析部
を結合するための差動排気領域である。また、コロナ放
電領域6に導入される試料の流量を制御することはイオ
ンを安定に、かつ高感度に計測する上で重要となる。そ
のためにコロナ放電部3にはイオン源試料導出配管13
及びイオン源流量制御器14を設けてある。また、イオ
ンドリフト部2やコロナ放電部3における試料の吸着を
防ぐ観点から、これらの領域を加熱することは重要であ
る。イオン源試料導出配管13を通過する試料流量及び
試料導出配管4を通過する試料流量は、これらの後に設
けられた、ダイアフラムポンプのような吸引ポンプ70
の容量及び配管のコンダクタンスにより決定することが
できる。このように、本発明のイオン源の特徴のひとつ
は、試料をコロナ放電領域に導入するための吸引ポンプ
70を、試料導入配管1ではなく、イオン源試料導出配
管13あるいは試料導出配管4側に設けることができる
点にある。すなわち、吸引ポンプ70を試料導入配管1
側に配置した場合に問題となる吸引ポンプ70内部にお
ける試料の吸着等がなくなる。
る。
は、いったんイオンドリフト部2に導入され、イオンド
リフト部2に導入された試料の一部は、コロナ放電部3
(3aはその構成本体、3b以下についても同じ。)に
導入され、残りは試料導出配管4を通してイオン源外に
排出される。試料導入配管1を通して導入される試料に
対してイオン源試料導出配管13を通過する試料の流量
は10〜2000ml/min 程度である。なお、試料導
入配管1及び試料導出配管4には1/4インチステンレ
ス製電解研磨配管や内面を石英ガラスでコートしたステ
ンレス製配管などを用いる。コロナ放電部3に導入され
た試料は、高電圧を印加することにより針電極5の先端
に生成するコロナ放電領域6に導入され、イオン化され
る。正イオンを生成させる場合には1〜6kV程度、負
イオンを生成させる場合には−1〜−6kV程度を針電
極5に印加する。また、針電極5の先端と対向電極7a
の間でコロナ放電を起こさせることが重要である。針電
極5とコロナ放電部3aの間で放電すると、対向電極7
aの開口部8を通過するイオン量が極端に減少するため
である。従って、針電極5先端とまわりのコロナ放電部
3aの外壁間距離(5mm程度)よりも、針電極5先端
と対向電極7a間距離(3mm程度)が短くなってい
る。このとき、試料ガスは、針電極5から対向電極7
(距離は3mm程度)に向かってドリフトするイオンの
流れにほぼ対向するような方向に導入される。生成した
イオンは電界により対向電極7(直径30mm、厚さ2
mm程度)の開口部8(直径2mm程度)を通して、イ
オンドリフト部2に導入される。このとき、対向電極7
と第1イオン取込細孔9の間に電圧を印加することによ
り、イオンをドリフトさせ効率良く第1イオン取込細孔
9に導入するようにする。この場合、針電極5の先端
と、生成したイオンを質量分析部に取り込むための開口
部8の中心を結ぶ方向と試料ガスが開口部8から試料が
導入され、流れる向きは0度(対向している)になってい
る。また、試料ガスが排出される開口部(排出用配管1
3)が、針電極先端より根元側にある構成となってい
る。
印加する電圧差は、その距離にも依存するが、これらの
電極間距離が1−10mm程度のときで、絶対値で10
Vから2000V程度である。
は、短すぎると放電が不安定になり、長すぎると生成し
たイオンが隔壁にあたる確率が増え、開口部8を通る量
が減ってしまい、感度が低下するので3〜6mm程度が
適当である。
ら試料ガスが流れる方向とイオンを引き出す方向が異な
る構造であるが、針の向きを変更したい場合は、図3の
ように構成することができる。この場合も、針先と対向
電極7aの間でコロナ放電を起こすことにより、図1の
ときと同様な効果がある。
れる方向とイオンを引き出す方向が異なるものの、対向
ではない例を示したものである。図4の場合、針先と開
口部9を結ぶ線の方向に対し試料の流れる方向は90度
異なっており、試料が排出される開口部は針先と同じ位
置にある。 この場合、イオンと中性分子が互いにほぼ
垂直な方向に移動するようになっているが、試料ガスの
流速を上げることで、図1の場合と似たような効果が得
られる。また、イオンと中性分子の移動方向が、対向、
垂直以外にも進行方向が異なるような傾きを設ければ、
同じような効果が得られる。
で、ガスの流れを針先端に作ることにより、安定したコ
ロナ放電を長時間持続することが出来る構成にしたもの
である。この場合は、イオンの生成効率を加味してイオ
ンの進む方向と逆向きの方向にガスを流している。図5
のように、針先先端のガスの流れが、イオンの進む方向
と逆向きでなくても、ガスの流速を上げることで、針先
先端に生じた負イオンを十分に拡散して、安定したコロ
ナ放電を長時間持続することが可能である。
で覆ったものである。イオン源の外筒8を加工上の問題
から金属で作る場合、針電極の胴体の側面と外筒の間で
放電してしまう場合がある。対向電極7aとの間で放電
しなくなると、対向電極の細孔を通過するイオン量が著
しく減少してしまい、分析計の感度が低下する。これを
防ぐには、図6のように側面で放電しないように針を絶
縁体で覆うか、図7のように外筒を絶縁物で作るのがよ
い。あるいは、外筒3と針電極5の間の距離を十分離す
のも効果がある。目安としては、針電極5と対向電極7
aの間の距離が3mm程度なら、針電極側面と外筒の間
の距離は5mm以上離すのが好ましい。
電極の側面を金メッキやハードクロムメッキでコーティ
ングすると、針電極の胴体で放電しづらくなり、対向電
極7aとの間で正規の放電を起こしやすくなるので、長
時間の安定した放電を持続するのに好ましい形態とな
る。また、塩化水素などの腐食性のガスを使用する場合
には、耐腐食性の点から有効である。
と基本的に同一であり、同一構成には同一番号を付し、
説明を繰り返さない。
とつの場合であるが、これを複数設けることも可能であ
る。図9は、第1のイオンドリフト部2に加えて、これ
に隣接して第2イオンドリフト部38を設けた場合であ
る。動作の一例は以下のようになる。試料ガスは試料導
入配管1から導入され、試料導入配管4から排出され
る。このとき、空気のような反応ガスを反応ガス導入配
管39から導入し、その一部をコロナ放電部側に導入す
ると、実施例(1)で述べたような原理に基づき、主に
O2 -が対向電極7a、イオンドリフト部2を通過してく
る。試料導入配管1から導入された試料ガス、例えば、
クロロフェノール等を含む空気に、第2対向電極66を
通してO2 -が打ち込まれると、クロロフェノールのイオ
ンが生成する。対向電極7と第2対向電極66、第2対
向電極66と第1イオン取込細孔9間にはイオンを加速
するための電界を設ける。対向電極7と第2対向電極6
6の電極間距離、第2対向電極66と第1イオン取込細
孔9間距離はともに1から10mm程度である。負イオ
ン測定では、イオン取込細孔9に−10V程度が印加さ
れる場合、対向電極7と第2対向電極66には、それぞ
れ−1kV、−2kV程度が印加される。これらの電圧
は、イオンドリフト部2におけるO2 -の滞在時間、すな
わち反応時間を制御することになり、イオンドリフト部
2でのO2 -の反応が問題となる場合には、電圧を高めに
して滞在時間を短くする工夫をしてもよい。イオンは第
1イオン取込細孔9から質量分析部に取り込む。この構
成の大きな利点は、試料ガスが焼却炉排ガスのような場
合、コロナ放電領域に直接排ガスを導入しないで済む点
にある。これによって針電極の汚染を防ぎ、さらに長い
使用が可能になる。
1と基本的に同一であり、同一構成には同一番号を付
し、説明を繰り返さない。
取込細孔9間でイオンをドリフトさせているが、図9で
は、これに加えて、第1イオン取込細孔9の前にカウン
ターガス出口電極72を設ける。第1イオン取込細孔9
とカウンターガス出口電極72間の距離は、0.1から
5mmである。カウンターガス出口電極72の中心には
2mm程度の開口部があり、カウンターガス導入口71か
ら導入された空気が対向電極7aに向かって流れる。第
1イオン取込細孔9の口径(0.25mm程度)に比較
すると、カウンターガス出口電極72の中心は大きくな
っている。このとき、カウンターガス出口電極72と第
1イオン取込細孔9間では、電界によりイオンが第1イ
オン取込細孔の方向にドリフトされる。第1イオン取込
細孔9とカウンターガス出口電極72間の距離が0.5
mmのとき、両電極間の電圧差は10−500V程度で
ある。このような構造にすることによって、第1イオン
取込細孔9には液滴、ダストを含む粒子が入りにくく、
イオンのみが効率よく導入される構造となる。
なパラメータのひとつは、試料導入配管1からコロナ放
電部3に導入する試料の流量である。この流量をある値
以上にし、かつ制御することにより、試料のイオンを高
感度に、かつ長時間安定に測定することができる。
する試料の流れる方向とコロナ放電によりイオン引き出
す方向が異なるので、コロナ放電領域における中間体の
存在時間を短くすることができるため、目的とする試料
のイオンを効率的に生成することができる。また、本発
明によれば目的とする試料のイオンを選択性の高い高感
度測定を行うことができる。さらに、針先先端に付着物
が堆積しても、長時間安定例えば2ヶ月以上は安定に放
電を持続することができる。
b,3c,3d…コロナ放電部、4…試料導出配管、5
…針電極、6…コロナ放電領域、7a,7b,7c,7
d…対向電極、8…対向電極開口部、9…第1イオン取
込細孔、10…フランジ型電極、11…第2イオン取込
細孔、12…第3イオン取込細孔、13…イオン源試料
導出配管、14…イオン源流量制御器、38…第2イオ
ンドリフト部、39…反応ガス導入配管、40…反応ガ
ス導出配管、66…第2対向電極、70…吸込ポンプ、
71…カウンターガス導入口、72…カウンターガス出
口電極、101…絶縁体、102…イオン源外筒、10
3…メッキ
Claims (9)
- 【請求項1】針電極を配置した第1の室と、前記第1の
室で生成したイオンを質量分析部に取り込むための第1
の開口部と、前記針電極先端と前記第1の開口部を結ぶ
方向とその中心と前記針電極先端とを結んだ方向とのな
す90度以下の位置に設けられた試料ガスを供給する第
2の開口部と、を具備したことを特徴とする質量分析
計。 - 【請求項2】前記針電極によるコロナ放電の領域でイオ
ン化することを特徴とする請求項1記載の質量分析計。 - 【請求項3】前記コロナ放電の領域に隣接して、電界に
よるイオンのドリフト領域を有することを特徴とする請
求項1および2に記載のイオン化質量分析計 - 【請求項4】針電極を配置した第1の室を有し、前記第
1の室で試料ガスを放電によりイオン化し、前記第1の
室から試料ガスが排出される開口部が、針電極先端の位
置から前記針電極の根元側にあることを特徴とする質量
分析計。 - 【請求項5】絶縁体で被覆した針電極と、前記針電極の
を配置した第1の室と、前記第1の室で生成したイオン
を質量分析部に取り込むための第1の開口部と、前記針
電極先端と前記第1の開口部を結ぶ方向とその中心と前
記針電極先端とを結んだ方向とのなす90度以下の位置
に設けられた試料ガスを供給する第2の開口部と、を具
備したことを特徴とする質量分析計。 - 【請求項6】メッキで被覆した針電極と、前記針電極の
を配置した第1の室と、前記第1の室で生成したイオン
を質量分析部に取り込むための第1の開口部と、前記針
電極先端と前記第1の開口部を結ぶ方向とその中心と前
記針電極先端とを結んだ方向とのなす90度以下の位置
に設けられた試料ガスを供給する第2の開口部と、を具
備したことを特徴とする質量分析計。 - 【請求項7】針電極を配置した第1の室と、前記第1の
室を構成している壁材と、前記第1の室で生成したイオ
ンを質量分析部に取り込むための第1の開口部と、前記
壁材と前記針電極との距離が、前記針電極先端と第1の
開口部の中心までの距離よりも長くて、前記針電極先端
と前記第1の開口部を結ぶ方向とその中心と前記針電極
先端とを結んだ方向とのなす90度以下の位置に設けら
れた試料ガスを供給する第2の開口部と、を具備したこ
とを特徴とする質量分析計。 - 【請求項8】針電極を配置した第1の室と、前記第1の
室を絶縁材で構成している壁材と、前記第1の室で生成
したイオンを質量分析部に取り込むための第1の開口部
と、前記針電極先端と前記第1の開口部を結ぶ方向とそ
の中心と前記針電極先端とを結んだ方向とのなす90度
以下の位置に設けられた試料ガスを供給する第2の開口
部と、を具備したことを特徴とする質量分析計。 - 【請求項9】針電極を配置した第1の室と、前記第1の
室で生成したイオンを質量分析部に取り込むための第1
の開口部と、前記針電極先端と前記第1の開口部を結ぶ
方向とその中心と前記針電極先端とを結んだ方向とのな
す90度以下の位置に設けられた試料ガスを供給する第
2の開口部と、前記針電極に流れる電流値を測定するモ
ニタと、を具備したことを特徴とする質量分析計。
Priority Applications (7)
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---|---|---|---|
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