JP2002052922A - 車両の温度制御装置 - Google Patents

車両の温度制御装置

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JP2002052922A
JP2002052922A JP2000241393A JP2000241393A JP2002052922A JP 2002052922 A JP2002052922 A JP 2002052922A JP 2000241393 A JP2000241393 A JP 2000241393A JP 2000241393 A JP2000241393 A JP 2000241393A JP 2002052922 A JP2002052922 A JP 2002052922A
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transmission
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vehicle
temperature control
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Atsushi Tabata
淳 田端
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の室内の暖房及び変速機や原動機の温度
制御を効率的に行い、車両全体のエネルギ効率の向上を
行うことのできる車両の温度制御装置に提供する。 【解決手段】 自動変速機18の内外を循環するATF
が流れるATF流路38を室内暖房の熱源となるヒータ
コア58に接続し、ATFの有する熱によりヒータコア
58の加熱を行い、室内暖房を行う。また、内燃機関1
2の内外を循環する冷却液が流れる冷却液流路34aも
ヒータコア58に接続し、ATFと冷却液に温度状態に
応じて、内燃機関12や自動変速機18の暖機を考慮し
つつ、ヒータコア58の加熱源であるATFと冷却液と
の選択を行い効率的な加熱を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の温度制御装
置、特に車両用駆動装置として変速機を搭載する車両に
おいて取得可能な熱量を有効に利用して車両の室内の暖
房を含む車両の温度制御を効率的に行うことのできる車
両の温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の温度管理を行うことは、快適な乗
り心地を得るためや、車両の駆動効率を改善する意味に
おいて重要な管理項目の一つである。
【0003】例えば、快適な乗り心地を得るために、車
両室内の暖房は重要である。この室内暖房は、原動機
(例えば内燃機関)の温度管理を行うために原動機の内
外を循環している温度管理流体(冷却液)を用いてい
る。具体的には、原動機の内外を循環する冷却液が原動
機で発生した熱により加熱され、その加熱された冷却液
が室内暖房の熱源となるヒータコアに供給される。ヒー
タコアの温度を上昇させることによって室内に供給され
る風を温風にして、室内暖房を行っている。
【0004】一方、車両の駆動効率を改善することは、
燃費の向上に直接繋がる。例えば、車両に搭載されてい
る車両用駆動装置の多くは、原動機の回転速度を適切な
回転速度に変換し、車両を駆動するのに適した回転速度
とする変速機を含んでいる。変速機は歯車などの動力伝
達機構を含み、これらの潤滑を行うための流体が変速機
内部に入っている。この潤滑用の流体は、低温時には、
その粘度が高いために、変速機内の運動部分の抵抗とな
り、車両用駆動装置の摩擦損失を増加させる。したがっ
て、早期に変速機の暖機を行うことにより駆動装置の効
率を改善することができる。
【0005】また、前記変速機の一つとして、トルクコ
ンバータと歯車変速機を組み合わせた自動変速機が知ら
れている。この自動変速機においては、トルクコンバー
タ内で動力伝達を行う作動流体、歯車変速機において変
速段を選択するためのクラッチやブレーキの動作の制御
を行う作動流体等が使用される。なお、これらの流体
は、前記潤滑用の流体と共用されている。そして、前記
クラッチ、ブレーキなどの動作の応答性、これらに用い
られる摩擦材などの特性なども流体が低温時において
は、所定の特性を得ることができないという問題があっ
た。
【0006】このように、変速機を早期に暖機を行うこ
とが効率上、望ましい。特に、自動変速機においては、
トルクコンバータの作動流体、クラッチ等の作動流体、
潤滑用流体が共用されており、この多量の流体を早期に
常用温度へと暖めることが望まれていた。このために、
例えば特開平8−246873号公報においては、前回
原動機を運転したときに、その暖まった冷却液を貯蓄し
ておき、始動時にこの冷却液によって、自動変速機の作
動流体を暖める装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、車両
の室内暖房や自動変速機の暖機を行うには、原動機の駆
動により加熱された冷却液を利用しているが、原動機が
長時間停止していた後では、冷却液の温度は低下し、そ
の利用はあまり期待することができない。特に室内暖房
においては、原動機の始動時には、冷却液の熱量が不足
しヒータコアの加熱を十分に行うことができないため、
室内への温風の供給が抑制されたり、あまり温度の高く
ない風が供給されたりして、室内暖房が遅れたり、快適
さが損なわれるという問題がある。同様に、原動機を停
止し、暖房のみの運転を継続しようとした場合、冷却液
が徐々に冷えてくるので、前述同様に所定の暖房能力を
維持することができなくなる。
【0008】また、前述したように、変速機の早期暖機
を行うことは、車両用駆動装置の効率改善に貢献する
が、やはり原動機が長時間停止していた後では、冷却液
の温度を利用した作動流体の加熱は期待することができ
ない。同様に、車両用駆動装置の効率改善には、原動機
の効率的かつ適切な早期暖機の制御を行う必要が、冷却
液の有する熱量による暖機促進は期待できないという問
題がある。
【0009】本発明は、前述の課題を解決するためにな
されたものであり、車両用駆動装置として変速機を搭載
する車両において取得可能な熱量を有効に利用して車両
の室内の暖房及び変速機や原動機の温度制御を効率的に
行い、車両全体のエネルギ効率の向上を行うことのでき
る車両の温度制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに本発明にかかる車両の室内暖房温度を制御する温度
制御装置は、前記車両の車両用駆動装置に含まれる変速
機の内外を循環して変速機の駆動制御を行う変速機用流
体が流れる変速機側循環流路と、前記変速機側循環流路
中を流れる変速機用流体の有する熱量を用いて車両の室
内暖房制御を行う室内温度制御手段と、を含むことを特
徴とする。
【0011】この構成によれば、変速機用流体の有する
熱量を室内暖房の熱源として有効に使用することが可能
で、暖房促進を行うことができる。
【0012】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記変速
機側循環流路は、循環流路中に変速機用流体の循環時
に、その熱量の蓄熱及び蓄熱した熱量の放熱が可能で、
前記変速機用流体が冷えているときに蓄えられた熱量を
放出して変速機用流体の昇温を行う蓄熱手段を含み、前
記室内温度制御手段は、前記蓄熱手段の熱量を用いて室
内暖房制御を行うことを特徴とする。
【0013】この構成によれば、変速機流体の温度が高
い状態の時に、その熱量を蓄熱手段で溜めておき、室内
暖房が必要になった場合に、蓄熱手段に溜めておいた熱
を利用して暖房を行うことができるので、車両の始動時
や車両の停止後等でも、蓄熱手段の熱を利用することに
より迅速かつ十分に室内の暖房を行うことができる。ま
た、車両走行時等でも必要に応じて、熱量の追加を行い
暖房促進を行うことができる。
【0014】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記変速
機側循環流路は、循環流路中にヒータコアを有すること
を特徴とする。
【0015】この構成によれば、変速機流体の有する熱
量を効率的に利用し、室内暖房の熱源となるヒータコア
の加熱を行うことができる。
【0016】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記変速
機側循環流路は、前記変速機用流体に対して熱交換を行
い当該変速機用流体の温度調節を行う熱交換器をバイパ
スする熱交換器バイパス流路を含むことを特徴とする。
【0017】変速機用流体は、通常、変速機の動作中は
変速機の加熱を防止するために熱交換器を通過すること
により冷却しているが、変速機用流体の温度があまり高
くない場合、つまり、変速機の温度があまり高くない場
合には、変速機の暖機の促進や、室内暖房の促進を行う
ためには、変速機用流体の熱交換による冷却は好ましく
ない。上記構成によれば、変速機用流体は冷却されるこ
となく変速機内外やヒータコアを通過するので、変速機
の暖機効率や室内暖房効率を向上することができる。
【0018】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記熱交
換器バイパス流路はその下流側に前記ヒータコアを配置
していることを特徴とする。
【0019】この構成によれば、冷却が抑制された温度
の高い変速機用流体を用いてヒータコアに対する熱供給
を効率よく行うことができる。
【0020】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記ヒー
タコアには、車両の原動機の内外を循環して原動機の温
度管理を行う温度管理流体が流れる原動機側循環流路が
接続されていることを特徴とする。
【0021】この構成によれば、室内暖房のためヒータ
コアの加熱を変速機用流体及び温度管理流体の有する熱
量を利用することが可能になり、より効率的かつ迅速な
室内暖房を行うことができる。
【0022】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記室内
温度制御手段は、前記変速機用流体の温度に応じて前記
ヒータコアへ熱供給を行う変速機側循環流路と原動機側
循環流路との接続選択を行うことを特徴とする。
【0023】この構成によれば、変速機の暖機状態を考
慮して、室内暖房を行うことができる。つまり、変速機
の暖機を優先させながら室内暖房の制御を行うことがで
きる。
【0024】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記室内
温度制御手段は、前記温度管理流体の温度に応じて前記
ヒータコアへ熱供給を行う変速機側循環流路と原動機側
循環流路との接続選択を行うことを特徴とする。
【0025】この構成によれば、原動機の暖機状態を考
慮して、室内暖房を行うことができる。つまり、原動機
の暖機を優先させながら室内暖房の制御を行うことがで
きる。
【0026】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記室内
温度制御手段は、前記室内暖房の要求熱量が大きい場合
と急速暖房要求があった場合の少なくとも一方の場合
に、前記変速機側循環流路と前記原動機側循環流路の両
方を前記ヒータコアに接続することを特徴とする。
【0027】この構成によれば、運転者による室内暖房
の優先の要求があった場合に、変速機用流体及び温度管
理流体の有する両方の熱量を利用することが可能にな
り、より効率的かつ迅速な室内暖房を行うことができ
る。
【0028】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の室内暖房温度を制御する温度制御装置は、前記
車両の原動機の停止を検出する検出手段と、前記車両の
車両用駆動装置に含まれる変速機の内外を循環して変速
機の駆動制御を行う変速機用流体が流れる変速機側循環
流路と、前記原動機の停止検出時、前記変速機用流体を
前記変速機側循環流路中で循環させ、流れる変速機用流
体の有する熱量を用いて室内暖房制御を行う停止時室内
温度制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0029】この構成によれば、原動機の停止時におい
ても、変速機用流体の有する熱量を室内暖房の熱源とし
て有効に使用することが可能で、良好な室内暖房状態の
維持を行うことができる。
【0030】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記停止
時室内温度制御手段は、車両停止暖房時、前記変速機用
流体に対する冷却動作を禁止することを特徴とする。
【0031】この構成によれば、変速機用流体の有する
熱量の有効利用を行うことができる。
【0032】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記変速
機側循環流路は、循環流路中に変速機用流体の循環時
に、その熱量の蓄熱及び蓄熱した熱量の放熱が可能で、
前記変速機用流体が冷えているときに蓄えられた熱量を
放出して変速機用流体の昇温を行う蓄熱手段を含んでい
ることを特徴とする。
【0033】前述の課題を解決するために本発明にかか
る車両の温度制御装置は、上記構成において、前記蓄熱
手段は、変速機用流体の温度が低い場合、予め蓄熱した
熱を放出し変速機用流体の温度を昇温させて室内暖房状
態の維持を行うことを特徴とする。
【0034】この構成によれば、車両停止後に暖房等の
ために熱量追加が必要になる場合でも迅速に十分な熱量
を供給することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0036】図1には、本実施形態に係る車両の室内暖
房温度の制御を行う温度制御装置を有する車両用駆動装
置10の概略構成が示されている。本車両用駆動装置1
0は、原動機として液冷の内燃機関12と回転電機14
とを有している。内燃機関12と回転電機14の動力軸
は、クラッチ16により接続、切断可能となっている。
回転電機14は、運転者の要求する出力が低い時、すな
わちアクセルの操作量が少ないときや、内燃機関12の
効率が悪い低速走行時など、不図示のバッテリから電力
が供給されて、電動機として機能し、車両を駆動する。
また、回転電機14は、車両制動時やバッテリの蓄電量
が低下した時には、車両の慣性または内燃機関12によ
って駆動され、発電機として機能し、バッテリへの充電
を行う。クラッチ16は、例えば、回転電機14のみで
車両を駆動している際に切断状態とされ、内燃機関12
のポンプ損失、摩擦損失などの発生を抑える。
【0037】内燃機関12または回転電機14の出力
は、自動変速機18に送られる。自動変速機18は、流
体伝動機構、変速機構、制御機構を含む。本実施形態に
おいて、流体伝動機構はトルクコンバータ20であり、
好適には直結機能を有するものである。また、変速機構
は、複数の遊星歯車機構を含む歯車変速機部22であ
り、この歯車変速機部22は、また各遊星歯車機構の各
要素の動きを拘束するクラッチ、ブレーキを含む。これ
らのクラッチおよびブレーキは、制御機構としての流体
圧制御部24からの作動流体の選択的供給によって制御
される。歯車変速機部22の出力は、推進軸26により
駆動輪に向けて伝達される。前述のトルクコンバータ2
0の直結機能は、トルクコンバータ20の入出力を、流
体を介さずに機械的に結合する直結クラッチを設けるこ
とにより達成される。
【0038】内燃機関12の動力軸には、さらに伝動機
構28を介して補機回転電機30が結合されている。伝
動機構28は、ベルト、チェーンなどの無端可撓部材ま
たは歯車列などとすることができる。補機回転電機30
は、内燃機関12の運転時は発電機と機能し、内燃機関
補機や車両の電装品などに電力を供給する補機バッテリ
(不図示)に充電を行い、また前記電装品などに直接電
力を供給する。また、補機回転電機30は、内燃機関1
2の始動の際には、補機バッテリからの電力を受け電動
機として機能する。
【0039】前記内燃機関12の内外を循環して内燃機
関12の温度管理を行う温度管理流体(冷却液)は、内
燃機関12とラジエータ32およびこれらを結ぶ冷却液
流路(原動機側循環流路)34により形成され冷却回路
内を流れる。内燃機関12で発生する熱は、冷却液によ
りラジエータ32へ運ばれ、ここから大気中に放散され
る。
【0040】一方、前記自動変速機18においては、こ
の自動変速機18全体の潤滑流体、トルクコンバータ2
0の動力伝達を媒介する作動流体および歯車変速機部2
2内のクラッチ、ブレーキを動作させる作動流体は、共
通の流体が用いられている。以下、この流体をATF
(Automatic Transmission Fluid)と記す。ATFは、
歯車変速機部22に内蔵された油圧ポンプ36により、
流体圧制御部24を介して自動変速機18の各部に供給
される。また、ATFの一部は、ATF流路38によ
り、内燃機関12とラジエータ32を結ぶ冷却液流路3
4上で内燃機関12の下流側かつラジエータ32の上流
側に配置され、外部(特に外気)との間で熱交換を積極
的に行わない熱交換器(以下、内部熱交換器という)4
0に送られ、ここで冷却液との間で熱交換が行われる。
そして、再び自動変速機18のオイルパン内に戻ってく
る。この回路を、以下主回路と記す。前記冷却液はほぼ
90℃に管理されており、ATFが先に加熱されている
場合は、内部熱交換器40内でATFが冷却される。ま
た、内燃機関12が先に暖機された場合には、冷却液に
より内部熱交換器40内でATFの加熱が行われる。
【0041】油圧ポンプ36は、トルクコンバータ20
のポンプ側、すなわち内燃機関12または回転電機14
により駆動されている。したがって、車両用駆動装置1
0が停止しているとき、または回転電機14のみで走行
中であって車両が極低速または停止しているときなど、
油圧ポンプ36の吐出量が十分確保できない場合があ
る。このような場合のために、本車両用駆動装置10に
おいては、電動式の補助ポンプ42を備えている。補助
ポンプ42の動作は、後述する制御部が車両の走行(駆
動)状態に応じて制御を行う。油圧ポンプ36と補助ポ
ンプ42の供給源の切り換えは、切り換え用チェックボ
ール機構にて達成される。油圧ポンプ36と補助ポンプ
42の吐出側は、切り換え用チェックボール機構に接続
されている。その結果、一方のポンプからATFの供給
があると、その圧力によりチェックボールが他方の供給
孔をふさぐように動作し、これによって供給源が切り換
わる。切り換え用チェックボール機構を通過したATF
は、前述の流体圧制御部24に送られる。
【0042】本車両用駆動装置10において、ATF流
路38の途中で、内部熱交換器40の上流側に蓄熱手段
としての蓄熱タンク44が設けられている。この蓄熱タ
ンク44には、車両用駆動装置10が運転している際
に、高温になったATFの有する熱が蓄えられ、次回の
車両用駆動装置10の始動時等、自動変速機18の暖機
を早めることが好ましい場合や車両室内の暖房に熱量が
必要な場合にATFに熱を供給する。
【0043】蓄熱タンク44は、図2に示すように、内
部にATFが通過または滞留可能な複数本のパイプ44
aを有し、パイプ44aの周囲は、熱の保持が可能な潜
熱材や熱容量材等の蓄熱材46で満たされ、さらに、熱
が外部に伝わらないように断熱材44bで覆われてい
る。蓄熱材46として使用される潜熱材としては、例え
ば、炭化水素、包接化合物、無機塩水和物、無機塩共融
混合物等が好適である。また、蓄熱タンク44の入口
側、出口側には、それぞれ開閉弁44c,44dが設け
られ、車両用駆動装置10が長期間停止する場合、具体
的には、イグニッションスイッチオフや長期停車等の時
には、開閉弁44c,44dが閉動作し、蓄熱タンク4
4をあたかも魔法瓶のように密閉状態にして、内部に蓄
えた熱の保温維持を行う。なお、この時、蓄熱タンク4
4内部に、ATF自体を滞留させてもよいし、蓄熱材4
6に熱を移しATF自体は外部に放出してしまってもよ
い。そして、蓄熱タンク44からの放熱が行われる場
合、ATFが滞留していれば、直接暖かいATFをAT
F流路38に放出し、ATFが既に放出され蓄熱材46
に熱が蓄えられている場合には、新たに蓄熱タンク44
に流入するATFを蓄熱材46で暖めて、ATF流路3
8に放出する。なお、蓄熱タンク44には、ヒータの併
設が可能で、必要に応じて、バッテリからの電力によっ
て蓄熱タンク44の加熱で内部に熱をため込むこともで
きる。
【0044】さらに、本車両用駆動装置10において、
ATF流路38には、蓄熱タンク44から放出されたA
TFが内部熱交換器40を迂回できるように、熱交換器
バイパス流路48が設けられている。なお、自動変速機
18、蓄熱タンク44、熱交換器バイパス流路48を含
むATFの回路を、以下変速機側バイパス回路と記す。
ATFの主回路と変速機側バイパス回路の切換は、切換
弁50,52により行われる。
【0045】一方、冷却液が流れる回路には、内燃機関
12の始動時等に、当該内燃機関12の早期暖機を行う
ために、内燃機関12の内外を循環する温度管理流体で
ある冷却液が冷却されるラジエータ32を迂回するため
のラジエータバイパス流路54が形成されている。すな
わち、このラジエータバイパス流路54は、内燃機関1
2から排出された冷却液を内部熱交換器40を介して、
直接内燃機関12に戻している。なお、内部熱交換器4
0は、車両用駆動装置10の制御と共に、室内温度制御
手段としても機能する制御部56からの信号で動作する
図示しない切換弁に基づいて、冷却液をラジエータ32
を通過させる冷却液流路34とラジエータバイパス流路
54とを適宜選択することができるようになっている。
【0046】また、熱交換器バイパス流路48の下流側
のATF流路38には、ATF流路38と平行に車両の
室内暖房用のヒータコア58が配置されている。このヒ
ータコア58は、例えば、アルミニウムのチューブ、フ
ィン、キャプセル等で構成され、切換弁60,62の開
閉により、ATFがヒータコア58の内部を通過できる
ようになっている。高温のATFがヒータコア58を通
過することによりヒータコア58が加熱され、室内暖房
の熱源となることができる。なお、ヒータコア58に
は、内燃機関12から延びる冷却液流路34a(ラジエ
ータ32や内部熱交換器40を通過する冷却液流路34
とは別系統の流路で、冷却液が内燃機関12とヒータコ
ア58を循環する流路を形成する)が接続され、必要に
応じて、内燃機関12で加熱された冷却液もヒータコア
58に対する熱供給源になることができるようになって
いる。また、ヒータコア58に接続されるATF流路3
8は、蓄熱タンク44を備えているので、例えば、室内
温度が低く暖房が必要な時で、かつ内燃機関12及び自
動変速機18の暖機ができていないとき、すなわちAT
Fや冷却液の温度が低いとき、蓄熱タンク44に蓄えた
熱を放出することにより、内燃機関12、自動変速機1
8の早期暖機を行うと同時に、ヒータコア58の加熱も
同時に行うことができるので、早期室内暖房を行うこと
ができる。つまり、蓄熱タンク44により内燃機関1
2、自動変速機18、ヒータコア58を早期に暖房可能
状態に移行させることができる。なお、図示を省略して
いるが、冷却液流路34aには、ヒータコア58を挟ん
で前後に切換弁が形成され、ヒータコア58に対する冷
却液の流入もATFと同様に制御することができる。
【0047】車両用駆動装置10の運転状態を含む車両
の走行状態は、車両各部に設けられた各種センサの出力
信号および制御部56の演算により検出される。車両の
走行速度は、推進軸26や車輪などに設けられた車速セ
ンサ64の出力信号に基づき制御部56により算出され
る。自動変速機18内温度を代表するATFの温度は、
例えば流体圧制御部24に設けられた変速機温度センサ
66の出力信号に基づき制御部56により算出される。
また、蓄熱タンク44内のATFの温度は、ここに設け
られたタンク温度センサ68の出力信号に基づき制御部
56により算出される。また、内燃機関12内温度を代
表する冷却液の温度は、例えば冷却液流路34に設けら
れた冷却液温度センサ70の出力信号に基づき制御部5
6により算出される。また、ヒータコア58内の温度
は、コア温度センサ72の出力信号に基づき制御部56
により算出される。
【0048】さらに、シフトレバーなどにより選択され
た自動変速機18の制御ポジションおよび制御モードを
検出するシフト位置センサ74からの出力信号も制御部
56に入力する。自動変速機18の制御ポジションは、
例えば、前進の各変速段から適切な段が自動的に選択さ
れるDポジション、限定された変速段から適切なものが
選択される2ポジション、Lポジションなどがある。ま
た、歯車変速機部22の動力を伝達しない中立状態とす
るNポジション、後退を選択するRポジション、歯車変
速機部22の出力側を機械的にロックし、車両が動かな
いようにするPポジションがある。さらに、本装置にお
いては、運転者が変速段を選択できる手動変速モードを
備えている。このモードは、例えばステアリングに設け
られたシフトアップスイッチ、シフトダウンスイッチを
運転者が操作することにより、変速段を各々高い側、低
い側に1段変えて、シフト操作を行うものである。
【0049】また、車両が置かれた環境の温度、いわゆ
る外気温度を測定する外気温センサ76が車両の所定部
位に設けられている。この外気温センサ76の出力信号
に基づき制御部56が外気温度を算出する。
【0050】また、車両用駆動装置10が運転を停止し
た後、所定時間経過した時の自動変速機18内の温度が
記憶部78に記憶される。この記憶された温度は、次回
始動時の温度の推定に用いられる。また、車両用駆動装
置10の始動、停止を制御するイグニッションスイッチ
80からの信号が制御部56に入力される。さらに、車
両の室内の所定位置に配置された室内温度センサ82か
らの信号が制御部56に入力され、室内温度が算出さ
れ、要求される室内温度を得るために必要な制御値の算
出も制御部56において行われる。
【0051】そして、制御部56における演算結果に基
づいて、内部熱交換器40やヒータコア58に備えられ
た切換弁や各流路上に設けられた切換弁50,52,6
0,62、補助ポンプ42等の制御が行われ、以下に説
明する車両の温度制御が実施される。
【0052】図3には、図1の構成に基づく、温度制御
装置を有する車両用駆動装置10を循環するATF及び
冷却液の温度に基づいて、車両を効率よく駆動するため
に内燃機関12及び自動変速機18を常用状態に早急に
移行させるための各流路の切り換え操作例が示されてい
る。なお、内燃機関12の内外を流れる冷却液の温度
は、冷却液温度センサ70により検出され、自動変速機
18の内外を流れるATFの温度は変速機温度センサ6
6または、タンク温度センサ68により検出され、それ
ぞれ制御部56に送られ、流路の選択判断が行われる。
なお、ATFの温度の場合、蓄熱タンク44下流のAT
F流路38に温度検出センサを配置し、当該温度検出セ
ンサにより検出されるATF温度(蓄熱タンク44の熱
放出が行われ暖まったATFの温度や蓄熱タンク44に
熱が無く単に循環するATFの温度)を用いてもよい。
【0053】まず、冷却液温度<Temp1かつATF
温度<Temp2の場合、車両を早急に定常駆動状態に
するために、冷却液及びATFの迅速な昇温が必要にな
るので、制御部56は冷却液及びATFのいずれも熱交
換による冷却を迂回させる。すなわち、制御部56は冷
却液の循環流路系に関して、内部熱交換器40に設けら
れた切換弁を制御してラジエータバイパス流路54を選
択する。したがって、内燃機関12の通過により昇温し
た冷却液は、ラジエータ32に流れ冷却されることな
く、内燃機関12に戻され、内燃機関12の暖機を行う
ので暖機効率を向上することができる。また、ATFに
関しても、制御部56は切換弁50,52,を制御し、
熱交換器バイパス流路48を選択し、ATFが内部熱交
換器40に流れることを禁止し、ATFが内部熱交換器
40で低温の冷却液と熱交換を行い冷却されることを回
避する。したがって、自動変速機18の駆動により昇温
したATFは、内部熱交換器40で冷却されることな
く、熱交換器バイパス流路48を通り自動変速機18に
戻り、自動変速機18の暖機を行うので、暖機効率を向
上することができる。
【0054】また、冷却液温度≧Temp1かつATF
温度<Temp2の場合、冷却液は、内燃機関12の駆
動に適した定常温度を維持するため内燃機関12の冷却
が必要になるので、制御部56は、内部熱交換器40に
設けられた切換弁を制御して内燃機関12から排出され
た冷却液を内部熱交換器40を通過させ、ラジエータ3
2に送り、そこで冷却し、さらに内燃機関12に戻し、
内燃機関12の温度管理、つまり、冷却を行う。一方、
低温状態のATFは、内部熱交換器40で高温の冷却液
と熱交換を行うことにより昇温可能になるので、制御部
56は切換弁50,52を制御し、ATFが高温の冷却
液との熱交換が可能な内部熱交換器40を含む熱交換器
流路を選択する。その結果、低温のATFは、高温の冷
却液により加熱され、自動変速機18に戻されるので、
自動変速機18の暖機効率向上に寄与することができ
る。もちろん、蓄熱タンク44に熱が蓄えられている場
合には、この熱を放出することにより、自動変速機18
の暖機効率を向上することができる。
【0055】一方、自動変速機18の暖機が内燃機関1
2の暖機より先に完了した場合、つまり、冷却液温度<
Temp1かつATF温度≧Temp2の場合、冷却液
の温度のみを上昇させる必要があるため、制御部56
は、内部熱交換器40に設けられた切換弁を制御してラ
ジエータバイパス流路54を選択し、冷却液の冷却を行
うことなく、当該冷却液を内燃機関12の内外で循環さ
せ、内燃機関12の暖機を促進する。更に、ATF温度
≧Temp2の場合、自動変速機18は、最適な駆動状
態を維持するために冷却による温度調節が必要になるた
め、制御部56は、切換弁50,52を制御し、ATF
を当該ATFより相対的に温度の低い冷却液との熱交換
を行わせることによりATFを冷却するために、内部熱
交換器40を含む熱交換器流路を選択する。その結果、
高温のATFは、冷却液により冷却(緩冷)され、自動
変速機18に戻され、自動変速機18の冷却を行うこと
ができる。この時、内部熱交換器40を通過する冷却液
は、高温のATFと熱交換を行うことにより加熱され、
内燃機関12に戻されるため、ATFを利用した冷却液
の昇温を行うことができるので内燃機関12の暖機効率
を向上することができる。
【0056】次に、内燃機関12及び自動変速機18の
暖機が完了した場合、つまり、冷却液温度≧Temp1
かつATF温度≧Temp2の場合、冷却液及びATF
の両方とも冷却の必要があるため、制御部56は、各切
換弁を制御しラジエータ流路及び熱交換流路を選択し、
ラジエータ32及び内部熱交換器40を用いた冷却液及
びATFの冷却を行う。
【0057】なお、図1に示す車両用駆動装置10の温
度制御装置の構成において、自動変速機18から延びる
ATF流路38は蓄熱タンク44を経由する一本である
ため、蓄熱タンク44を常に解放(ATFが自由に通過
できる状態)しておかなければならない。そのため、低
温のATFが蓄熱タンク44を通過する場合、蓄熱効率
を低下させてしまう場合がある。そこで、メインとなる
ATF流路38に対して蓄熱タンク44用のバイパスを
設け、必要に応じて(例えば、ATFが高温の場合)選
択的にATFをバイパスを介して蓄熱タンク44に流し
込み、その後、蓄熱タンク44の開閉弁44c,44d
を閉動作し蓄熱を行うようにしてもよい。また、蓄熱タ
ンク44内部に切換弁を設け、単にATFが通過する流
路と蓄熱や放熱動作を行う流路とを形成するようにして
もよい。
【0058】図3においては、温度設定をそれぞれ、2
区分に分けた合計4パターンで示したが、更に細かい温
度設定を行って、流路の切り換えを行うようにすれば、
より効率的な暖機及び冷却を行うことができる。
【0059】なお、冷却液やATFの循環流路の切り換
え状態を例えば、車室内に設けたインジケータやモニタ
ー等の表示装置に表示することにより、車両の暖機状態
や冷却液やATFの流れ状態を運転者が容易に把握する
ことが可能で、スムーズな車両の運転を行うことができ
る。
【0060】図4には、車両の室内暖房の制御に注目し
た場合のATF及び冷却液の流路切り換えの一例を示す
フローチャートが示されている。
【0061】車両用駆動装置10が始動許可状態となる
と、具体的には運転者がイグニッションスイッチ80を
オンにすると、制御部56は各種センサや切換弁等、車
両用駆動装置10の温度制御装置を構成するシステムが
正常か否かの確認を行う(S100)。システムに異常
が発見された場合には、各処理を停止し、アラーム等を
出力し、運転者に異常を通知する。システムが正常であ
ると判断された場合には、冷却液温度センサ70からの
入力信号に基づき、制御部56は現在の冷却液温度が所
定温度Temp1以上であるか否かの判断を行う(S1
01)。
【0062】もし、冷却液温度≧Temp1でない場
合、制御部56は、冷間時等における内燃機関12始動
直後で、冷却液の早期暖機が必要であると判断し、図3
で示したようにラジエータバイパス流路54の選択を行
うと共に、冷却液でヒータコア58の加熱はできないと
判断する。続いて、ATF温度が所定温度Temp2以
上であるかの判断を行う(S102)。つまり、ATF
によりヒータコア58の加熱が可能であるか否かの判断
を行う。この時、ATF温度≧Temp2でない場合、
つまり、ATFの温度が自動変速機18の暖機やヒータ
コア58の加熱に十分な温度に達していないと判断した
場合、制御部56は、切換弁50,52の切り換えによ
り熱交換器バイパス流路48の選択を行うと共に、蓄熱
タンク44内に蓄えた熱を放出し(S103)、循環す
るATFの温度を上昇させる。同時に、制御部56は切
換弁60,62を制御して、ATFをヒータコア58に
循環させ(S104)、ヒータコア58の加熱を行う。
この時、冷却液は、所定温度Temp1に達していない
ため、冷却液をヒータコア58に流入させると加熱効率
を低下させてしまう(せっかく加熱されたヒータコア5
8を冷やしてしまうおそれがある)ので、制御部56は
ヒータコア58に連通する冷却液流路34a用の切換弁
を閉制御し、冷却液がヒータコア58に流入することを
禁止する(S105)。
【0063】この結果、ヒータコア58は、蓄熱タンク
44に蓄えられた熱により温度上昇したATFにより加
熱され、車両の室内暖房を迅速に行うことが可能とな
る。なお、(S102)において、ATF温度≧Tem
p2であると判断された場合、つまり、ATFの温度が
十分に上昇している場合、蓄熱タンク44に蓄えられた
熱の放出を行うことなく(S104)に移行し、循環中
のATFのみでヒータコア58の加熱を行う。つまり、
上記の場合、ATFの有する熱量のみで自動変速機18
の暖機を行いつつ、ヒータコア58の加熱を行い室内暖
房を行うことになる。なお、この時、ATF流路38は
蓄熱タンク44をバイパスしたり、蓄熱タンク44を通
過しても放熱作用を受けない流路が選択されることにな
る。
【0064】一方、(S101)で、冷却液温度≧所定
温度Temp1であると判断された場合、つまり、冷却
液の温度が十分に上昇している場合、ここでも、ATF
温度が所定温度Temp2以上であるか否かの判断を行
う(S106)。つまり、ATFがヒータコア58の加
熱に利用できるか否かの判断を行う。ここで、ATF温
度≧所定温度Temp2でない場合、制御部56は、切
換弁50,52の切り換えにより熱交換器バイパス流路
48の選択を行うと共に、蓄熱タンク44内に蓄えた熱
を放出し(S107)、循環するATFの温度を上昇さ
せ、さらに制御部56は切換弁60,62を制御して、
ATFがヒータコア58に流入することを禁止する(S
108)。また、同時に、ヒータコア58に十分に温度
上昇した冷却液を冷却液流路34aを介して流入させる
ために、冷却液流路34a用の切換弁を開制御し(S1
09)、冷却液によりヒータコア58の加熱を行う。こ
れは、室内暖房は、冷却液の有する熱量で十分に行える
と判断した上で、蓄熱タンク44に蓄えられた熱を自動
変速機18の暖機に集中させ、自動変速機18を早期に
暖機させて、車両の駆動効率を向上しようとするもので
ある。
【0065】また、(S106)で、ATF温度≧所定
温度Temp2であると判断された場合、ATF及び冷
却液の温度は十分に上昇しているものと判断し、ATF
をヒータコア58に流入させ、ヒータコア58の加熱を
行うと共に(S110)、冷却液をヒータコア58に流
入させ、ヒータコア58の加熱を行う(S111)。つ
まり、ATF及び冷却液両方の有する熱量でヒータコア
58の加熱を行う。この場合、室内温度が特に低く、ヒ
ータコア58から室内に向けて大量の熱を放出する必要
がある場合や、運転者の操作等により急速暖房が要求さ
れた場合でも、十分に対応することができる。もちろ
ん、大量の熱の要求や急速暖房の要求が無い場合には、
(S110)か(S111)のいずれかを選択し、AT
Fまたは冷却液の片方でヒータコア58の加熱を行うよ
うにしてもよい。
【0066】このように、ATFの温度と冷却液の温度
に基づいて、ヒータコア58に対する熱供給源を選択す
ることにより、車両の温度制御をバランスよくしかも必
要な部分を優先させて加熱することが可能になり、車両
の室内暖房を良好かつ迅速に行うと共に車両用駆動装置
の暖機も迅速かつ効率的に行うことができる。
【0067】図5には、内燃機関が停止した後、室内暖
房が要求された場合のヒータコア58に対する熱供給方
法を説明するフローチャートが示されている。一般に内
燃機関12の定常駆動時は、冷却液の有する熱量のみで
ヒータコア58の加熱が可能であるが、駆動時における
冷却液温度はATFの温度に比べて低いため、内燃機関
12の停止後はその温度を短時間しか維持できない。そ
のため、内燃機関12が停止した後も継続して室内暖房
の要求が行われると、冷却液の温度で室内暖房の維持を
行うことができなくなる。そこで、本実施形態において
は、ATFの有する熱量を利用してより長く室内暖房を
所望状態に維持するようにしている。
【0068】まず、制御部56は、内燃機関12が停止
状態か否かの判断を行う(S200)。この判断は、図
示しない内燃機関制御部等からの情報に基づき判断す
る。ここで、内燃機関12の停止とは、例えば、エコラ
ンモードや回転電機14によるEV走行中はもちろん、
PポジションやNポジションでの車両停止中(内燃機関
12停止でイグニッションスイッチONの時)等を含
む。もし内燃機関12が停止していない場合は、冷却液
の温度は所定温度に維持することができるので、内燃機
関12が停止か否かの監視判断を継続して行う。もし、
内燃機関12の停止が確認された場合、制御部56は、
まず、冷却液温度センサ70から信号に基づいて、冷却
液温度が所定温度Temp1以上であるか否かの判断を
行う(S201)。
【0069】もし、冷却液温度≧Temp1である場
合、すなわち、まだ冷却液がヒータコア58を加熱可能
で、室内暖房機能を維持できると判断した場合、制御部
56はヒータコア58に十分な熱量を有する冷却液を冷
却液流路34aを介して流入させるために、冷却液流路
34a用の切換弁を開制御し(S202)、冷却液によ
りヒータコア58の加熱を行う。この時、ヒータコア5
8の加熱は冷却液のみで可能であるので、ATF流路3
8上の蓄熱タンク44の放熱は行わず、蓄熱状態を維持
し、次回、自動変速機18または内燃機関12の始動時
等に自動変速機18または内燃機関12の早期暖機に備
え確保しておくと共に(S203)、制御部56は切換
弁60,62を制御して、ATFがヒータコア58に流
入することを禁止する(S204)。これは、ATFの
温度が低かった場合にヒータコア58の温度を下げてし
まうことを回避するためである。もちろん、この時、A
TFの温度が十分高い場合には、蓄熱タンク44におい
て、ATFの有する熱の蓄熱を行ってもよい。
【0070】一方、(S201)で冷却液温度≧Tem
p1でないと判断した場合、つまり、冷却液の有する温
度でヒータコア58の加熱ができないと判断された場
合、ATF温度が所定温度Temp2以上であるかの判
断を行う(S205)。つまり、ATFによりヒータコ
ア58の加熱が可能であるか否かの判断を行う。この
時、ATF温度≧Temp2でない場合、つまり、AT
Fの温度がヒータコア58の十分な加熱を行う熱量を有
していないと判断した場合、制御部56は、切換弁5
0,52の切り換えにより熱交換器バイパス流路48の
選択を行うと共に、蓄熱タンク44内に蓄えた熱を放出
し(S206)、循環するATFの温度を上昇させる。
さらに、制御部56は切換弁60,62を制御して、A
TFをヒータコア58に循環させ(S207)、ヒータ
コア58の加熱を行う。この時、冷却液は、所定温度T
emp1に達していないため、冷却液をヒータコア58
に流入させると加熱効率を低下させてしまうので(せっ
かく加熱されたヒータコア58を冷やしてしまうおそれ
がある)、制御部56はヒータコア58に連通する冷却
液流路34a用の切換弁を閉制御し、冷却液がヒータコ
ア58に流入することを禁止する(S208)。なお、
この時、内燃機関12は停止しているので、油圧ポンプ
36の出力は低下するので、必要に応じて、補助ポンプ
42を駆動し、ATFの所定の循環量を確保するように
することが望ましい。
【0071】この結果、ヒータコア58は、蓄熱タンク
44に蓄えられた熱により温度上昇したATFにより加
熱され、車両の室内暖房を維持することができる。な
お、(S205)において、ATF温度≧Temp2で
あると判断された場合、つまり、ATFがヒータコア5
8の加熱に十分な熱量を維持している場合、蓄熱タンク
44に蓄えられた熱の放出を行うことなく(S207)
に移行し、循環中のATFのみでヒータコア58の加熱
を行う。蓄熱タンク44の蓄熱状態を維持し、次回、自
動変速機18または内燃機関12の始動時等に自動変速
機18また内燃機関12の早期暖機に備え確保しておく
ためである。もちろん、この時、蓄熱タンク44は、A
TFの有する熱の蓄熱を行ってもよい。
【0072】上述した内燃機関12の停止時の制御にお
いて、ATFの有する熱を有効に維持活用するために、
ATFに対する冷却動作を禁止する。すなわち、制御部
56は内燃機関12の停止が確認されたら、切換弁5
0,52を制御を行い、熱交換器バイパス流路48の選
択を行い、ATFが内部熱交換器40で冷却されること
を防止することが好ましい。
【0073】このように、内燃機関12の停止後も冷却
液及びATFの温度状態に応じて、ヒータコア58に対
する熱供給源を選択することにより、内燃機関12停止
後の室内暖房を良好に行うことができると共に、次回、
自動変速機18や内燃機関12が始動する時の早期暖機
の準備も行うことができる。つまり、車両全体のエネル
ギ効率を向上することができる。
【0074】また、上述したように、冷却液やATFの
循環流路の切り換え状態を例えば、車室内に設けたイン
ジケータやモニター等の表示装置に表示することが好適
である旨の述べたが、冷却液やATFの温度は、車両の
走行状態により変化するので、冷却液やATFがヒータ
コア58に対する熱源として利用できるか否かを合わせ
て表示し、必要に応じて、冷却液やATFの使用切り換
えを行うようにしてもよい。
【0075】また、上述した各実施形態においては、冷
却液やATFの温度を変化させるために切換弁で流路を
変更する例を示したが、流路変更に加え、弁の開閉量制
御やオリフィスの利用により各流路の流量を変化させる
ようにしてもよい。この場合、更に詳細な温度制御を行
うことができる。
【0076】さらに、各実施形態で示した流路回路は、
一例であり、冷却液やATFの有する熱量を効率的に使
用し、室内暖房や内燃機関12、自動変速機18の温度
制御に利用できる構成であれば、任意に変更可能であ
る。
【0077】また、本実施形態においては、複数種類の
原動機を有するハイブリッド駆動装置に関して説明した
が、内燃機関のみが原動機となる駆動装置の変速機にも
適用できる。さらに、トルクコンバータと遊星歯車機構
を有する歯車変速機を組み合わせた変速機以外の変速
機、例えば、プーリと無端可撓部材を組み合わせた連続
的に変速比を変更することができる変速機に適用するこ
とも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両の温度制御装置
の構成概念を説明する説明図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る車両の温度制御装置
の蓄熱タンクの構成概念を説明する説明図である。
【図3】 本発明の実施形態に係る車両の温度制御装置
の流路切り換えパターンを説明する切り換えテーブル表
である。
【図4】 本発明の実施形態に係る車両の温度制御装置
のヒータコアへの流路切り換え手順を説明するフローチ
ャートである。
【図5】 本発明の実施形態に係る車両の温度制御装置
の内燃機関停止時のヒータコアへの流路切り換え手順を
説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 車両用駆動装置、12 内燃機関、14 回転電
機、18 自動変速機、20 トルクコンバータ、22
歯車変速機部、24 流体圧制御部、32ラジエー
タ、34,34a 冷却液流路、36 油圧ポンプ、3
8 ATF流路、40 内部熱交換器、42 補助ポン
プ、44 蓄熱タンク、48 熱交換器バイパス流路、
50,52,60,62 切換弁、54 ラジエータバ
イパス流路、56 制御部、58 ヒータコア、64
車速センサ、66 変速機温度センサ、68 タンク温
度センサ、70 冷却液温度センサ、72 コア温度セ
ンサ、82 室内温度センサ。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の室内暖房温度を制御する温度制御
    装置であって、 前記車両の車両用駆動装置に含まれる変速機の内外を循
    環して変速機の駆動制御を行う変速機用流体が流れる変
    速機側循環流路と、 前記変速機側循環流路中を流れる変速機用流体の有する
    熱量を用いて車両の室内暖房制御を行う室内温度制御手
    段と、 を含むことを特徴とする車両の温度制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の温度制御装置において、 前記変速機側循環流路は、循環流路中に変速機用流体の
    循環時に、その熱量の蓄熱及び蓄熱した熱量の放熱が可
    能で、前記変速機用流体が冷えているときに蓄えられた
    熱量を放出して変速機用流体の昇温を行う蓄熱手段を含
    み、 前記室内温度制御手段は、 前記蓄熱手段の熱量を用いて室内暖房制御を行うことを
    特徴とする車両の温度制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の温度制御
    装置において、 前記変速機側循環流路は、循環流路中にヒータコアを有
    することを特徴とする車両の温度制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の温度制御装置において、 前記変速機側循環流路は、前記変速機用流体に対して熱
    交換を行い当該変速機用流体の温度調節を行う熱交換器
    をバイパスする熱交換器バイパス流路を含むことを特徴
    とする車両の温度制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の温度制御装置において、 前記熱交換器バイパス流路はその下流側に前記ヒータコ
    アを配置していることを特徴とする車両の温度制御装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項3から請求項5のいずれかに記載
    の温度制御装置において、 前記ヒータコアには、車両の原動機の内外を循環して原
    動機の温度管理を行う温度管理流体が流れる原動機側循
    環流路が接続されていることを特徴とする車両の温度制
    御装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の温度制御装置において、 前記室内温度制御手段は、前記変速機用流体の温度に応
    じて前記ヒータコアへ熱供給を行う変速機側循環流路と
    原動機側循環流路との接続選択を行うことを特徴とする
    車両の温度制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の温度制御装置において、 前記室内温度制御手段は、前記温度管理流体の温度に応
    じて前記ヒータコアへ熱供給を行う変速機側循環流路と
    原動機側循環流路との接続選択を行うことを特徴とする
    車両の温度制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8記載の温度制御
    装置において、 前記室内温度制御手段は、前記室内暖房の要求熱量が大
    きい場合と急速暖房要求があった場合の少なくとも一方
    の場合に、前記変速機側循環流路と前記原動機側循環流
    路の両方を前記ヒータコアに接続することを特徴とする
    車両の温度制御装置。
  10. 【請求項10】 車両の室内暖房温度を制御する温度制
    御装置であって、 前記車両の原動機の停止を検出する検出手段と、 前記車両の車両用駆動装置に含まれる変速機の内外を循
    環して変速機の駆動制御を行う変速機用流体が流れる変
    速機側循環流路と、 前記原動機の停止検出時、前記変速機用流体を前記変速
    機側循環流路中で循環させ、流れる変速機用流体の有す
    る熱量を用いて室内暖房制御を行う停止時室内温度制御
    手段と、 を含むことを特徴とする車両の温度制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の温度制御装置におい
    て、 前記停止時室内温度制御手段は、車両停止暖房時、前記
    変速機用流体に対する冷却動作を禁止することを特徴と
    する車両の温度制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項10または請求項11記載の温
    度制御装置において、 前記変速機側循環流路は、循環流路中に変速機用流体の
    循環時に、その熱量の蓄熱及び蓄熱した熱量の放熱が可
    能で、前記変速機用流体が冷えているときに蓄えられた
    熱量を放出して変速機用流体の昇温を行う蓄熱手段を含
    んでいることを特徴とする車両の温度制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の温度制御装置におい
    て、 前記蓄熱手段は、変速機用流体の温度が低い場合、予め
    蓄熱した熱を放出し変速機用流体の温度を昇温させて室
    内暖房状態の維持を行うことを特徴とする車両の温度制
    御装置。
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