JP2002050806A - 圧電体薄膜素子、これを用いたインクジェット式記録ヘッド及びこれらの製造方法 - Google Patents

圧電体薄膜素子、これを用いたインクジェット式記録ヘッド及びこれらの製造方法

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JP2002050806A
JP2002050806A JP2000234240A JP2000234240A JP2002050806A JP 2002050806 A JP2002050806 A JP 2002050806A JP 2000234240 A JP2000234240 A JP 2000234240A JP 2000234240 A JP2000234240 A JP 2000234240A JP 2002050806 A JP2002050806 A JP 2002050806A
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piezoelectric
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Takeshi Yasojima
健 八十島
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒径の大きな圧電体を備えた圧電体薄膜
素子およびその製造方法を提供する。また、このような
圧電体薄膜素子を備えたインクジェット式記録ヘッドお
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】 基板上に下部電極をスパッタ法により成
膜し、更に圧電体膜と上部電極とを順次積層する圧電体
薄膜素子の製造方法であって、前記スパッタ法による下
部電極の成膜における温度条件は、室温または基板を冷
却してスパッタリングを行う。また、その際の出力は2
00W以下で行う。この結果、圧縮方向の内部応力を有
する下部電極が形成され、圧電体薄膜層の粒径は1μm
以上となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電体薄膜素子及び
インクジェット式記録ヘッドに関し、特に、粒径の大き
な圧電体膜を備えた圧電体薄膜素子及びこれを用いたイ
ンクジェット式記録ヘッドに関する。また、この圧電体
薄膜素子を備えたインクジェット式記録ヘッド、及びこ
れら圧電体薄膜素子及びインクジェット式記録ヘッドの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電性や強誘電性を示す複合酸化物の結
晶性材料、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バ
リウム、ニオブ酸リチウム 等には、自発分極、高誘電
率、電気光学効果、圧電効果、及び焦電効果等の多くの
機能をもつので、広範なデバイス開発に応用されてい
る。例えば、その圧電性を利用して圧電体薄膜素子とし
て、高誘電性を利用してFRAM(Ferroelectric Rand
om Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Acces
s Memory)等のキャパシタに、焦電性を利用して赤外線
リニアアレイセンサに、また、その電気光学効果を利用
して導波路型光変調器にと、様々な方面で用いられてい
る。このように多様な機能を有する強誘電体薄膜素子や
圧電体薄膜素子を機能素子ともいう。
【0003】かかる圧電体薄膜素子の製造にあたって
は、基板上にPtやIr等をスパッタ法により蒸着して
下部電極を形成し、その上に圧電体薄膜層を形成する。
圧電体薄膜層は結晶性の優れたものが好ましく、より大
きな結晶粒からなる圧電体膜を生成するために、圧電体
膜の成膜工程における工夫が種々なされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、圧電体膜の粒径は2μm程度が限界であり、
圧電体の粒径の大きな圧電体薄膜素子を製造することは
できなかった。エピタキシャル成長によって単結晶の圧
電体を製造する場合には時間及びコストがかかり、成膜
可能な面積も1mm四方程度が限界であったので、圧電
体薄膜素子に応用することはできなかった。
【0005】本発明は、上記の課題に鑑み、粒径の大き
な圧電体を備えた圧電体薄膜素子およびその製造方法を
提供することを目的とする。また、このような圧電体薄
膜素子を備えたインクジェット式記録ヘッドおよびその
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、結晶性の
優れた圧電体膜を成膜するためには下部電極の成膜工程
における工夫が必要であるとの知見をもとに、本発明に
至った。
【0007】本発明の圧電体薄膜素子の製造方法は、基
板上に下部電極をスパッタ法により成膜し、更に圧電体
膜と上部電極とを順次積層する圧電体薄膜素子の製造方
法であって、前記スパッタ法による下部電極の成膜にお
ける温度条件は、0℃以上100℃以下であることを特
徴とする。
【0008】上記圧電体薄膜素子の製造方法において、
前記スパッタ法による下部電極の成膜は、出力100W
以上400W以下で行うことが望ましい。
【0009】本発明のインクジェット式記録ヘッドの製
造方法は、上記製造方法により製造した圧電体薄膜素子
に備えられた前記基板にインク室を形成し、前記基板の
前記圧電体膜の形成面と反対側の面にノズル板を形成す
ることを特徴とする。
【0010】本発明の圧電体薄膜素子は、基板上に下部
電極と圧電体膜と上部電極とを順次積層してなる圧電体
薄膜素子において、前記下部電極は、圧縮方向の内部応
力を有することを特徴とする。
【0011】また、本発明の圧電体薄膜素子は、基板上
に下部電極と圧電体膜と上部電極とを順次積層してなる
圧電体薄膜素子において、前記圧電体膜の粒径が、1μ
m以上50μm以下であることを特徴とする。
【0012】また、本発明の圧電体薄膜素子は、基板上
に下部電極と圧電体膜と上部電極とを順次積層してなる
圧電体薄膜素子において、前記下部電極の粒径(d1)
に対する前記圧電体膜の粒径(d2)の比(d2/d
1)が、30以上20000以下であることを特徴とす
る。
【0013】また、本発明のインクジェット式記録ヘッ
ドは、上記の圧電体薄膜素子を備えたことを特徴とす
る。
【0014】また、本発明のインクジェットプリンタ
は、上記のインクジェット式記録ヘッドを備えたことを
特徴する。
【0015】
【発明の実施の形態】(インクジェットプリンタの全体
構成)図1は、本発明の1実施形態に係る製造方法によ
って製造される圧電体薄膜素子である電気機械変換素子
を備えたインクジェットプリンタの構成図である。イン
クジェットプリンタは、主にインクジェット式記録ヘッ
ド1、本体2、トレイ3、ヘッド駆動機構7を備えて構
成されている。
【0016】インクジェット式記録ヘッド1は、イエロ
ー、マゼンダ、シアン、ブラックの計4色のインクカー
トリッジを備えており、フルカラー印刷が可能なように
構成されている。また、このインクジェットプリンタ
は、内部に専用のコントローラボード等を備えており、
インクジェット式記録ヘッド1のインク吐出タイミング
及びヘッド駆動機構7の走査を制御する。
【0017】また、本体2は背面にトレイ3を備えると
ともに、その内部にオートシードフィーダ(自動連続給
紙機構)6を備え、記録用紙5を自動的に送り出し、正
面の排出口4から記録用紙5を排紙する。
【0018】(インクジェット式記録ヘッドの全体構
成)図2に、上記インクジェット式記録ヘッドの分解斜
視図を示す。インクジェット式記録ヘッド1は、インク
室基板20と、その一方の面に固定された振動板30
と、他方の面に固定されたノズル板10とを備えて構成
されている。このヘッド1は、オンデマンド形のピエゾ
ジェット式ヘッドを構成している。
【0019】インク室基板20は、キャビティ(インク
室)21、側壁(隔壁)22、リザーバ23および供給
口24を備えている。キャビティ21は、インクなどを
吐出するために貯蔵する空間となっている。側壁22は
複数のキャビティ21間を仕切るよう形成されている。
リザーバ23は、インクを共通して各キャビティ21に
充たすための流路となっている。供給口24は、リザー
バ23から各キャビティ21にインクを導入可能に形成
されている。
【0020】ノズル板10は、インク室基板20に設け
られたキャビティ21の各々に対応する位置にそのノズ
ル穴11が配置されるよう、インク室基板20に貼り合
わせられている。ノズル板10を貼り合わせたインク室
基板20は、筐体25に納められている。
【0021】振動板30には圧電アクチュエータ(後
述)が設けられている。振動板30には、インクタンク
口(図示せず)が設けられて、図示しないインクタンク
に貯蔵されているインクをリザーバ23に供給可能にな
っている。
【0022】(層構造)図3に、本発明の製造方法によ
って製造されるインクジェット式記録ヘッドおよび各圧
電アクチュエータの層構造を説明する断面図を示す。図
に示すように、振動板30は、絶縁膜31、密着層32
を積層して構成され、圧電体薄膜素子40は下部電極4
2、圧電体薄膜層43および上部電極44を積層して構
成されている。
【0023】絶縁膜31は、導電性のない材料、例えば
二酸化珪素(SiO)により構成され、圧電体層の変
形により変形し、キャビティ21の内部の圧力を瞬間的
に高めることが可能に構成されている。
【0024】密着層32は、例えばチタン(Ti)によ
り構成される。この密着層32は、絶縁膜31と下部電
極42との密着性を向上させる。
【0025】下部電極42は、圧電体薄膜層43に電圧
を印加するための一方の電極であり、インク室基板20
上に形成される複数の圧電体薄膜素子に共通な電極とし
て機能するように絶縁膜31と同じ領域に形成される。
ただし、圧電体薄膜層43と同様の大きさに、すなわち
上部電極と同じ形状に形成することも可能である。下部
電極42は、導電性を有する材料、例えばイリジウムや
白金等により構成される。また、イリジウムと白金の積
層構造としても良く、イリジウムと白金の合金としても
よい。
【0026】圧電体薄膜層43は、例えばペロブスカイ
ト構造を持つ圧電性セラミックスの結晶であり、下部電
極42上に所定の形状で形成されて構成されている。圧
電体薄膜層43の組成は、例えばジルコニウム酸チタン
酸鉛(Pb(Zr、Ti)O :PZT)、チタン酸鉛
ランタン((Pb,La)TiO)、ジルコニウム酸
鉛ランタン((Pb,La)ZrO)またはマグネシ
ウムニオブ酸ジルコニウム酸チタン酸鉛(Pb(Mg、
Nb)(Zr、Ti)O:PMN−PZT)のうちい
ずれかの圧電性セラミックスなどである。ただし上記組
成に限定されるものではない。
【0027】上部電極44は、圧電体薄膜層43に電圧
を印加するための他方の電極となり、導電性を有する材
料、例えば白金(Pt)、RuO2、IrO2等で構成さ
れている。
【0028】(インクジェット式記録ヘッドの動作)上
記インクジェット式記録ヘッド1の動作を説明する。所
定の吐出信号が供給されず圧電体薄膜素子40の下部電
極42と上部電極44との間に電圧が印加されていない
場合、圧電体薄膜層43には変形を生じない。吐出信号
が供給されていない圧電体薄膜素子40が設けられてい
るキャビティ21には、圧力変化が生じず、そのノズル
穴11からインク滴は吐出されない。
【0029】一方、所定の吐出信号が供給され圧電体薄
膜素子40の下部電極42と上部電極44との間に一定
電圧が印加された場合、圧電体薄膜層43に変形を生じ
る。吐出信号が供給された圧電体薄膜素子40が設けら
れているキャビティ21ではその振動板30が大きくた
わむ。このためキャビティ21内の圧力が瞬間的に高ま
り、ノズル穴11からインク滴が吐出される。細長いヘ
ッド中で印刷させたい位置の圧電アクチュエータに吐出
信号を個別に供給することで、任意の文字や図形を印刷
させることができる。
【0030】(製造方法)図4を参照しながら本実施の
形態の圧電体薄膜素子の製造工程について、インクジェ
ット式記録ヘッドの製造工程と併せて説明する。
【0031】基板及び絶縁膜の形成(S1、S2) まず、図4(S1)に示すように、インク室基板20に
絶縁膜31を成膜する。インク室基板20として、例え
ば、直径100mm、厚さ200μmのシリコン単結晶
基板を用いる。絶縁膜31は、1100℃の炉の中で、
乾燥酸素を流して22時間程度熱酸化させ、約1μmの
膜厚の熱酸化膜を形成する。なお、この他に、CVD法
等の成膜法を適宜選択して成膜してもよい。また、絶縁
膜31として、二酸化珪素に限られず、酸化ジルコニウ
ム膜、酸化タンタル膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニ
ウム膜でもよい。
【0032】次に、図4(S2)に示すように、絶縁膜
31上にチタンからなる密着層32を、例えば直流スパ
ッタ法により形成する。本実施形態では基板側からチタ
ン(Ti)15nm、酸化チタン(TiO)15n
m、チタン15nmの積層構造とする。
【0033】下部電極の形成(S3) 図4(S3)に示すように、密着層32の上に、下部電
極42を成膜する。下部電極42として、例えば白金又
はイリジウムを厚さ500nmに成膜する。成膜方法と
してはスパッタ法を用いる。特に本発明では、温度条件
を0℃以上100℃以下の範囲に設定する。より好まし
くは10℃以上50℃以下とする。更に好ましくは、基
板を冷却し又は室温で(加熱しないで)スパッタリング
を行う。また、スパッタリングの出力は100W以上4
00W以下で行う。より好ましくは、150W以上20
0W以下で行う。
【0034】このようにして形成された下部電極42
は、平均結晶粒径が30nm以下の微細な結晶粒を備え
ている。また、この時、下部電極42内に存在する内部
応力は、圧縮方向となる。
【0035】圧電体薄膜の形成(S4,S5) 続いて図4(S4、S5)に示すように、下部電極42
上に、圧電体薄膜43を成膜する。本実施形態ではPb
(Zr0.56Ti0.440.9(Mg /3Nb
2/30.1の組成からなるPMN−PZT膜を
ゾル・ゲル法で成膜する。すなわち、金属アルコキシド
等の金属有機化合物を溶液系で加水分解、重縮合させて
非晶質膜である圧電体前駆体膜43’を成膜し、更に焼
成によって結晶化させる。
【0036】まず、基板上に金属有機化合物を含む溶液
を塗布し、乾燥させる。用いられる金属有機化合物とし
ては、無機酸化物を構成する金属のメトキシド、エトキ
シド、プロポキシド、ブトキシド等のアルコキシドやア
セテート化合物等が挙げられる。硝酸塩、しゅう酸塩、
過塩素酸塩等の無機塩でも良い。
【0037】例えば、2−n−ブトキシエタノールを主
溶媒とし、これにチタニウムテトライソプロポキシド、
ベンタエトキシニオブ、テトラ−n−プロポキシジルコ
ニウムを混合攪拌して溶解させる。次いでジエタノール
アミンを加え、更に室温で20分間攪拌する。この後、
酢酸鉛と酢酸マグネシウムとを加え、80℃に加熱した
まま20分間攪拌し、その後室温になるまで自然冷却す
る。
【0038】この混合溶液を1500rpmで0.1μ
mの厚さにスピンコーティングし、オーブンによって1
80℃の温度環境下で10分間乾燥させ、更にホットプ
レートによって400℃で30分間脱脂する。この工程
を4回繰り返し、膜厚0.5μmのPMN−PZTの前
駆体膜43’が得られる。
【0039】次に図4(S5)に示すように、上記の工
程によって得られた圧電体前駆体膜43’を加熱処理す
ることによって結晶化させ、圧電体薄膜層43を形成す
る。焼結温度は材料により異なるが、本実施形態では6
00℃で5分間、及び850℃で1分間加熱を行う。加
熱装置としては、RTA(Rapid Thermal Annealing)
装置等を使用することができる。
【0040】上記の前駆体膜43’を形成し結晶化させ
る工程を3回繰返し、圧電体薄膜43が形成される。こ
の結果、圧電体薄膜層の粒径は1μm以上、最大で50
μmもの粒径となる。また、下部電極の粒径(d1)に
対する前記圧電体膜の粒径(d2)の比(d2/d1)
が、30以上20000以下となる。
【0041】上部電極の形成(S6) 最後に図4(S6)に示すように、圧電体薄膜43上に
上部電極44を形成する。具体的には、上部電極44と
して白金(Pt)を100nmの膜厚に直流スパッタ法
で成膜する。
【0042】(圧電アクチュエータの形成)図5(S
7)に示すように、圧電体薄膜43及び上部電極44を
所定形状に加工して圧電アクチュエータを形成する。具
体的には、上部電極44上にレジストをスピンコートし
た後、インク室が形成されるべき位置に合わせて露光・
現像してパターニングする。残ったレジストをマスクと
して上部電極44、圧電体薄膜43をイオンミリング等
でエッチングする。以上の工程により、圧電体薄膜素子
40の一例である圧電アクチュエータが形成される。
【0043】(インクジェット式記録ヘッドの形成)図
5(S8)に示すように、インク室基板20にインク室
21を形成し、ノズル板10を形成する。
【0044】具体的には、インク室基板20に、インク
室が形成されるべき位置に合わせてエッチングマスクを
施し、例えば平行平板型反応性イオンエッチング等の活
性気体を用いたドライエッチングにより、予め定められ
た深さまでインク室基板20をエッチングし、インク室
21を形成する。エッチングされずに残った部分は側壁
22となる。
【0045】最後に、図5(S9)に示すように、樹脂
等を用いてノズル板10をインク室基板20に接合す
る。ノズル板10をインク室基板20に接合する際に
は、ノズル11がインク室21の各々の空間に対応して
配置されるよう位置合せする。以上の工程により、イン
クジェット式記録ヘッドが形成される。
【0046】(実施例)上記製造方法の実施例として、
PMN−PZTを圧電体薄膜層とする圧電体素子を製造
した。特に、下部電極を直流スパッタ法により成膜する
際のスパッタ条件は、基板を室温とし、出力200Wと
した。
【0047】一方、比較例として、下部電極を直流スパ
ッタ法により成膜する際に、基板を250℃とし、出力
を1000Wとして製造した。
【0048】圧電体薄膜層の比較 図6は、上記実施例による製造工程において成膜された
圧電体薄膜層の表面のSEM写真であり、図7はその模
写図である。また、図8は、上記比較例による製造工程
において成膜された圧電体薄膜層の表面のSEM写真で
あり、図9はその模写図である。各図の符号(a)は1
000倍、符号(b)は10000倍で撮影したもので
ある。
【0049】これら実施例と比較例とを比較して分かる
ように、実施例では粒径が大きく、最大で8μmほど、
平均粒径で4〜5μmほどであるのに対し、比較例では
粒径が最大でも2μmであった。
【0050】これら実施例及び比較例により製造した圧
電体素子の誘電率を測定した結果、実施例では159
0、比較例では1271であった。これは、上記図6乃
至図9に示された粒径の違いによってもたらされたもの
と推測される。
【0051】また、本実施形態による圧電体膜の粒径が
大きいことにより、圧電体薄膜素子を圧電体素子として
用いた場合に、従来よりも高い圧電特性を実現できる。
【0052】下部電極の比較 図10は、上記実施例及び比較例による製造工程におい
て、下部電極を成膜した際の基板の反り量およびその測
定方法を図示したものである。図に示されるように、反
り量(S)は基板30mmあたりの突出量又は凹み量で
測定した。その結果、実施例では反り量が−16.5μ
m(基板側に反っている)、比較例では13.7μm
(下部電極側に反っている)となった。このように、実
施例では下部電極内に圧縮応力が存在するのに対し、比
較例では引張り応力が存在することが分かった。
【0053】図11は、上記実施例による下部電極の表
面のSEM写真であり、図12はその模写図である。図
13は上記比較例による下部電極の表面のSEM写真で
あり、図14はその模写図である。各図に示されるよう
に、下部電極の粒径は実施例では粒径30nm程度の微
細な結晶粒であるのに対し、比較例では粒径100nm
程度であった。
【0054】このように実施例と比較例の下部電極に
は、内部応力及び粒径に違いがある。特に下部電極の内
部応力の相違が、圧電体薄膜層の粒径および特性に影響
を与えていると推測される。
【0055】(他の圧電体薄膜素子の例)本発明の製造
方法によって製造される圧電体薄膜素子は、上記のよう
な電気機械変換素子ないし圧電体素子に限らず、種々の
用途が存在する。例えば、キャパシタの絶縁膜に用いれ
ば大規模集積回路に好適な小面積、大容量のキャパシタ
が得られる。圧電体のうち強誘電体薄膜は自発分極を持
ち、外部電場の作用により分極方向を反転させることが
できるため、この特性を用いて不揮発性メモリを製造す
ることができる。
【0056】特に、本発明の圧電体薄膜素子の製造方法
によれば、結晶性の良好な圧電体薄膜を形成することが
できるので、高誘電率、低消費電力等、特性良好なキャ
パシタを得ることができる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、粒径の大きな圧電体を
備えた圧電体薄膜素子およびその製造方法を提供するこ
とができる。また、このような圧電体薄膜素子を備えた
インクジェット式記録ヘッドおよびその製造方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態に係る製造方法によって製
造される圧電体薄膜素子を備えたインクジェットプリン
タの構成図である。
【図2】インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であ
る。
【図3】本発明の製造方法によって製造されるインクジ
ェット式記録ヘッドおよび圧電アクチュエータの層構造
を説明する断面図である。
【図4】本実施形態の圧電体薄膜素子の製造方法におけ
る製造工程断面図である。
【図5】本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製
造方法における製造工程断面図である。
【図6】本実施形態による製造工程において成膜された
圧電体薄膜層の表面のSEM写真である。
【図7】図6の模写図である。
【図8】比較例による製造工程において成膜された圧電
体薄膜層の表面のSEM写真である。
【図9】図8の模写図である。
【図10】下部電極を成膜した際の基板の反り量および
その測定方法を図示したものである。
【図11】上記実施形態による下部電極の表面のSEM
写真である。
【図12】図12の模写図である。
【図13】比較例による下部電極の表面のSEM写真で
ある。
【図14】図13の模写図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に下部電極をスパッタ法により成膜
    し、更に圧電体膜と上部電極とを順次積層する圧電体薄
    膜素子の製造方法であって、 前記スパッタ法による下部電極の成膜における温度条件
    は、0℃以上100℃以下であることを特徴とする圧電
    体薄膜素子の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記スパッタ法による下部電極の成膜は、出力100W
    以上400W以下で行うことを特徴とする圧電体薄膜素
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2に記載の方法により
    製造した圧電体薄膜素子に備えられた前記基板にインク
    室を形成し、前記基板の前記圧電体膜の形成面と反対側
    の面にノズル板を形成することを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】基板上に下部電極と圧電体膜と上部電極と
    を順次積層してなる圧電体薄膜素子において、 前記下部電極は、圧縮方向の内部応力を有することを特
    徴とする圧電体薄膜素子。
  5. 【請求項5】基板上に下部電極と圧電体膜と上部電極と
    を順次積層してなる圧電体薄膜素子において、 前記圧電体膜の粒径が、1μm以上50μm以下である
    ことを特徴とする圧電体薄膜素子。
  6. 【請求項6】基板上に下部電極と圧電体膜と上部電極と
    を順次積層してなる圧電体薄膜素子において、 前記下部電極の粒径(d1)に対する前記圧電体膜の粒
    径(d2)の比(d2/d1)が、30以上20000
    以下であることを特徴とする圧電体薄膜素子。
  7. 【請求項7】請求項4乃至請求項6の何れか一項に記載
    の圧電体薄膜素子を備えたことを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のインクジェット式記録ヘ
    ッドを備えたことを特徴するインクジェットプリンタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003243736A (ja) * 2002-02-19 2003-08-29 Seiko Epson Corp 圧電アクチュエータ、液滴噴射ヘッド、およびそれを用いた液滴噴射装置
JP2008066743A (ja) * 2002-03-18 2008-03-21 Seiko Epson Corp 画像記録装置、圧電アクチュエータ、及び、液体噴射ヘッド

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