JP2002050345A - リチウム二次電池用正極材料、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池

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JP2002050345A
JP2002050345A JP2000237892A JP2000237892A JP2002050345A JP 2002050345 A JP2002050345 A JP 2002050345A JP 2000237892 A JP2000237892 A JP 2000237892A JP 2000237892 A JP2000237892 A JP 2000237892A JP 2002050345 A JP2002050345 A JP 2002050345A
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positive electrode
lithium secondary
lithium
secondary battery
electron
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JP2000237892A
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Kenji Shizuka
賢治 志塚
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Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リチウム遷移金属酸化物を活物質に用い
た場合の高温特性を向上させる。 【解決手段】 リチウムマンガン酸化物、及び電子求引
性の置換基を有するジアゾールを含有することを特徴と
するリチウム二次電池用正極材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウム二次電池用
正極材料に関し、更にはそれを使用した正極及びリチウ
ム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池の正極活物質として、
LiCoO2やLiNiO2、LiMn 24などのリチウ
ム遷移金属複合酸化物が実用段階に入った。特に、マン
ガン系正極活物質は、成分となるマンガンがコバルトや
ニッケルに比較して埋蔵量が多く安価であり、加えて過
充電での安全性も高いというメリットを有している。し
かし一方で、高温環境下になるとサイクル特性や保存特
性といった実用に際して重要な特性が、支障をきたすレ
ベルに低下してしまうという問題点がある。
【0003】上記問題を克服するため、高温環境下での
特性改良を目的とした検討が精力的に行われ、報告され
ている。例えば、J.Electrochem.soc.,Vol.145,No.8(19
98)2726-2732ではリチウムマンガン酸化物のMnの一部
をGaやCrのような他元素で置換したものが開示さ
れ、Electrochemical Society Proceedings Volume97-1
8.494 ではMnの一部をCoで置換したり、酸素の一部
をFで置換して結晶構造の安定性向上を図ったものが開
示されている。しかし、これらは負極として金属リチウ
ムを使用した時の結果であって、炭素材料のような実用
的な負極材料との組み合わせにおいては、さらなる性能
の向上が求められているのが実情である。
【0004】また、マンガン系リチウム二次電池におい
ては高温環境下でマンガンが溶出しやすいことが高温保
存劣化や高温サイクル劣化の問題点として指摘されてお
り、例えば正極活物質表面を処理したり、正極材中にM
n溶出抑制効果のある物質を添加するといった検討も鋭
意行われている。しかしながら、近年のリチウム二次電
池の高性能化の要求レベルは高く、高温環境下でのサイ
クル特性は更なる性能向上が求められている。
【0005】ところで、特許第3024636号ではリ
チウムマンガン複合酸化物と特定の比表面積又は粒径を
持つリチウムニッケル複合酸化物とを組み合わせて用い
ることにより高温特性向上を図ったとしている。しか
し、依然として比較的高価で資源的にも豊富とは言えな
いニッケルを主成分とするリチウムニッケル酸化物を使
用しなければならないことや、それに加え複数の活物質
を組み合わせて使用することによる工業的プロセスの煩
雑化及びコストアップの問題を抱えることになり、必ず
しも好ましい改善とは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】リチウムマンガン酸化
物を正極活物質として使用したリチウム二次電池は、高
温環境下において該活物質が活性な状態となり、それ自
体の変質のみならず、電解液の分解、負極表面に形成さ
れた被膜の破壊等々、様々な悪影響を複雑に及ぼすもの
と考えられる。
【0007】本発明は、正極活物質としてリチウムマン
ガン酸化物を単独で使用した場合でも、実用レベルまで
高温特性の改善されたリチウム二次電池を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
を解決するためには、高温環境下、電池内部で安定に存
在できるような添加剤を用いて、高温環境下において劣
化に最も寄与していると思われる正極活物質−電解液界
面の局所的反応を効果的に抑制することが重要と考え、
そのような添加剤を見出すべく鋭意検討を重ねた。その
結果、電子求引性の置換基を有するジアゾールを存在さ
せることによって、高温での特性が格段に改善されるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の
要旨は、下記(1)〜(12)に存する。
【0009】(1)リチウムマンガン酸化物、及び電子
求引性の置換基を有するジアゾールを含有することを特
徴とするリチウム二次電池用正極材料。 (2)電子求引性の置換基を有するジアゾールが、電子
求引性の置換基を有するイミダゾールであることを特徴
とする上記(1)に記載のリチウム二次電池用正極材
料。
【0010】(3)電子求引性の置換基が、−N+3
−N+(CH33、−NO2、−SO 2CH3、−SOCH
3、−CN、−CF3、−CCl3、−COCH3、−CO
OCH3、−COOC25、−CHOからなる群の中か
ら選ばれたものであることを特徴とする上記(1)又は
(2)に記載のリチウム二次電池用正極材料。 (4)電子求引性の置換基を有するジアゾールが、4−
ニトロイミダゾール、2−ニトロイミダゾール又は4,
5−ジシアノイミダゾールであることを特徴とする上記
(1)又は(2)に記載のリチウム二次電池用正極材
料。
【0011】(5)電子求引性の置換基を有するジアゾ
ールの、リチウムマンガン酸化物に対する割合が、0.
1〜10モル%である上記(1)〜(4)のいずれかに
記載のリチウム二次電池用正極材料。 (6)リチウムマンガン酸化物が、マンガンサイトの一
部が他元素で置換されたリチウムマンガン酸化物である
ことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載
のリチウム二次電池用正極材料。
【0012】(7)マンガンサイトの一部を置換する他
元素が、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Li、N
i、Cu、Zn、Mg、Ga及びZrからなる群から選
ばれる少なくとも一種の金属元素であることを特徴とす
る上記(6)に記載のリチウム二次電池用正極材料。 (8)リチウムマンガン酸化物が、スピネル構造を有す
ることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記
載のリチウム二次電池用正極材料。
【0013】(9)上記(1)〜(8)のいずれか1つ
に記載のリチウム二次電池用正極材料とバインダーとを
含有するリチウム二次電池用正極。 (10)上記(9)に記載の正極と、負極と、電解質層
とを有することを特徴とするリチウム二次電池。 (11)リチウムマンガン酸化物を含有する正極と、負
極と、電解質層とを有するリチウム二次電池において、
負極及び/又は電解質層に、電子求引性の置換基を有す
るジアゾールが含まれてなるリチウム二次電池。
【0014】(12)負極が炭素材料からなることを特
徴とする上記(10)又は(11)に記載のリチウム二
次電池。 前記化合物が改善効果を発揮した理由についての詳細は
現在解明中であるが、前記化合物によって高温環境下で
主として正極活物質−電解液界面で起こる劣化反応の進
行が効果的に抑制されたものと考えられ、更に副次的に
電解液自身や負極表面に対しても安定化剤として作用し
ているものと考えられる。また一般論として、ある特性
改善に効果を発揮する添加剤は、一方で副作用をもたら
し、他特性の低下を招いたり、他の電池構成材料に悪影
響を与える等、電池系全体として捉えた時には必ずしも
適当とは限らない。従来、特定の特性改善に効果がある
と言われている多くの公知の添加剤が実用に至っていな
いのも、副作用を軽視したためであると思われる。これ
に対し、本発明の化合物は悪影響を及ぼす作用が無いか
又は極めて少ないと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、電子求引性の
置換基を有するジアゾールがリチウム二次電池用正極材
料中に含有されていることを必須とする。本発明におい
て「ジアゾール」とは窒素原子を2個含む五員環芳香族
化合物を意味し、1,2−ジアゾールと1,3−ジアゾ
ールが挙げられる。無置換体の時、前者はピラゾール、
後者はイミダゾールと称する。
【0016】ジアゾールが好ましい理由として、以下の
性質があるためと考えている。 (i)2位又は3位の環内窒素原子の孤立電子対は6π
電子系(芳香族性)に関与しない。そのため塩基性を持
ち、酸に対する安定化をもたらす(アゾールのプロトン
化は、まず2位又は3位の環内窒素原子に起こるので、
その場合でも6π電子系(芳香族性)は保持される)。電
解質の分解等により生成する酸分(HF等)と反応して、こ
れを除去しながらも、安定に存在できる。
【0017】(ii)金属塩を形成することができる。そ
のため、リチウムマンガン酸化物表面のマンガン原子に
配位して被膜を形成し、電解液に対する触媒的酸化作用
等を抑制する働きをしうる。 (iii)融点や沸点が高く、他のアゾールに比べ高温安
定性に優れる。そのため、電池が高温下で使用された
り、放置されたりしても、熱分解によるガス発生や気化
が起こりにくい。
【0018】1,2−ジアゾールと1,3−ジアゾール
では、1,3−ジアゾールが好ましい。その理由とし
て、相対的に熱安定性が高いことや塩基性が高いことが
挙げられる。また、本発明において「電子求引性の置換
基」とは、水素原子と比べて、結合原子側から電子を引
きつけやすい置換基を言い、誘起効果や共鳴効果などの
置換基効果の総和として電子を引きつけることを意味し
ている。例えば、ハロゲン原子は共鳴効果の立場からは
電子供与基、誘起効果の立場からは電子求引基として働
くが、両効果を比べた時に誘起効果の方が共鳴効果より
わずかに勝っているので、電子求引性の置換基に含まれ
る。具体的には、置換基定数(自由エネルギーの比例式
において、置換基の種類と位置によってのみ定まる定
数)が正の値を持つものである。
【0019】電子吸引性の置換基を有することにより優
れた効果を発揮した理由として、置換基の電子吸引作用
により、ジアゾール五員環内のπ電子密度が低下し、酸
化に対する耐久性が高められた結果、正極材中でより安
定に存在できるようになったためではないかと推察して
いる。ここで「電子求引性の置換基」の具体例として
は、−N+3、−N+(CH3 3、−NO2、−SO2
3、−SOCH3、−SO3H、−CN、−CF3、−C
Cl3、−COCH3、−COOH、−COOCH3、−
COOC25、−CHO、−F、−Cl、−Br、−I
などが挙げられるが、電子求引性を有する基であれば
よく、これらに限定されない。好ましくは、−N+3
−N+(CH33、−NO2、−SO2CH3、−SOCH
3、−CN、−CF3、−CCl3、−COCH3、−CO
OCH3、−COOC25、−CHOが挙げられ、特に
好ましくは−NO2、−CNが挙げられる。
【0020】従来、電解液にある種の有機系添加剤を加
えることにより電池の特性を改良する試みが種々行われ
ており、同様に本発明の電子求引性の置換基を有するジ
アゾールを電解液に加えることにより高温特性の改善を
行うことが考えられなくはない。しかし、正極活物質と
電解液界面で起こる劣化反応の進行を効果的に抑制でき
ない可能性が高い。加えて前記化合物は電解液に難溶な
ものもあり、添加量を制御するのが困難と思われる。た
とえ可能だとしても、電解液の種類に拘束されてしまう
恐れがある。本発明は、前記化合物をリチウム二次電池
用正極材料中に含有させることにより、効果的かつ電解
液の種類に無関係に高温特性の改善を可能にしたもので
ある。
【0021】本発明において、ジアゾールは電子求引性
の置換基を有することを必須とするが、更に電子求引性
でない置換基を有していてもよい。電子吸引性でない置
換基としては、−NH2、−OH、−SH,−OCH3
−NHCOCH3、−C65、−CH3、−C25、−C
H(CH32、−C(CH33、−OCOCH3、−N
(CH32等が挙げられる。しかしながら、電子求引性
でない置換基を有さない方が好ましい。
【0022】本発明において用いられる電子求引性の置
換基を有するジアゾールは、互変異性等の異性体が存在
する場合、特定の異性体に限定されない。具体的な例示
化合物として、4−ニトロピラゾール、5−ニトロピラ
ゾール、2−ニトロイミダゾール、4−ニトロイミダゾ
ール、4−シアノピラゾール、4−シアノイミダゾー
ル、4,5−ジシアノイミダゾール、4−アセチルピラ
ゾール、4−アセチルイミダゾール、4−スルホピラゾ
ール、4−スルホイミダゾール、4−ピラゾールカルボ
キシアルデヒド、2−イミダゾールカルボキシアルデヒ
ド、4−イミダゾールカルボキシアルデヒド、1H−イ
ミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジメチルエステル、
4−ニトロ−3−ピラゾールカルボン酸、5−ニトロ−
3−ピラゾールカルボン酸、メチル 4−イミダゾール
カルボキシレート、エチル 4−ピラゾールカルボキシ
レート、3−(トリフルオロメチル)ピラゾール、3,
5−ビス(トリフルオロメチル)ピラゾール、4−イミ
ダゾールカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン
酸、4−イミダゾールジチオカルボン酸、4−ニトロ−
3−ピラゾールカルボン酸、5−ニトロ−3−ピラゾー
ルカルボン酸、4−フルオロピラゾール、4−フルオロ
イミダゾール、4−クロロピラゾール、4−クロロイミ
ダゾール、4,5−ジクロロイミダゾール、4−ブロモ
ピラゾール、4−ブロモイミダゾール、4−ヨードピラ
ゾール、4−ヨードイミダゾール、3−ニトロ−4−ブ
ロモピラゾール、4,5−ジブロモイミダゾール、2,
4,5−トリブロモイミダゾール、4,5−ジヨードイ
ミダゾール等が挙げられ、好ましくは、4−ニトロイミ
ダゾール、2−ニトロイミダゾール、4,5−シアノイ
ミダゾールが挙げられる。加えて、電子求引性でない置
換基をも有する具体的な例示化合物として、2−アミノ
−4,5−ジシアノ−1H−イミダゾール、4−アミノ
−1H−イミダゾール−5−カルボニトリル、2−メチ
ル−4−ニトロイミダゾール、3−メチル−5−(トリ
フルオロメチル)ピラゾール、4−ニトロ−5−スチリ
ルイミダゾール、5−アミノ−4−ニトロイミダゾー
ル、3−アミノ−4−ピラゾールカルボニトリル、4−
ブロモ−3−メチルピラゾール、4−メチル−5−イミ
ダゾールカルボキシアルデヒド等が挙げられる。なお、
前記した化合物はあくまで例示であり、これらに限定さ
れるものではない。これらの化合物は粉体状のものが多
いため、正極活物質との混合に際してはとりわけ取り扱
い性が容易であり、製造コストも低いという利点があ
る。
【0023】上記化合物は、1種又は複数種組み合わせ
て使用しても良く、また相乗効果が期待されるような他
の添加剤と併用しても良い。上記化合物の使用量は、リ
チウムマンガン酸化物に対して通常0.01〜20モル
%、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは1
〜5モル%である。使用量が多くなると放電容量をはじ
め、他の特性が低下する可能性があり、逆に少なくなる
と高温特性向上効果を得難くなる可能性がある。
【0024】リチウムマンガン酸化物を含む正極材料中
に本発明で使用する電子吸引性の置換基を有するジアゾ
ールを存在させるには、例えば物理混合の外、表面処理
により活物質粒子表面に該化合物の被膜を形成させる方
法を採用することができる。中でも物理混合は簡便な添
加法であり、かつ変質の影響がなく、本来の効果を十分
に発揮しうる点で好ましい。本発明における物理混合と
は、複数の物質を単に混ぜ合わせることを意味し、混合
物が化学変化してしまうような程の高温での熱処理など
を伴わない混合を意味する。複数の物質をかき混ぜて正
極材料中に該化合物を分散させたものが好ましく、均一
に分散されていることが好ましい。物理混合は、乾式混
合でも湿式混合でもよい。物理混合には、乳鉢、ボール
ミル、ジェットミル、レディゲミキサー等を使用するこ
とができる。また正極材料中に有効に留まらせるため
に、電解液に溶解しにくいものが好ましい。
【0025】本発明において、リチウムマンガン酸化物
は活物質として用いられている。なお、本発明において
活物質とは該電池の起電反応のもとになる主要物質であ
り、Liイオンを吸蔵・放出できる物質を意味する。用
いられるリチウムマンガン酸化物は、活物質としてLi
を可逆的に吸蔵・放出できるものであればよい。具体的
な組成式としては、例えば一般式LiMn24、LiM
nO2で表されるような化合物等を挙げることができ
る。本発明の効果が顕著である点で、好ましくはスピネ
ル構造を有するリチウムマンガン酸化物である。なお、
上記の組成において、少量の酸素欠損、不定比性を持っ
ていてもよい。また、酸素サイトの一部が硫黄やハロゲ
ン元素で置換されていてもよい。さらに、リチウムマン
ガン酸化物のマンガンが占めるサイトの一部を他の元素
で置換してもよい。
【0026】本発明で使用するリチウムマンガン酸化物
としては、マンガンサイトの一部が他の元素で置換され
ているものが好ましい。その結果、結晶構造の安定性を
向上させることができ、これと前記化合物とを組み合わ
せることで相乗的に高温特性の向上を図ることができ
る。この際のマンガンサイトの一部を置換する他元素
(以下、置換元素と表記する)としては、Al、Ti、
V、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、M
g、Ga、Zr等が挙げられ、好ましくはAl、Cr、
Fe、Co、Li、Ni、Mg、Ga、更に好ましくは
Alである。なお、マンガンサイトは2種以上の他元素
で置換されていてもよい。
【0027】置換元素による置換割合は通常マンガンの
2.5モル%以上、好ましくは5モル%以上であり、通
常マンガンの30モル%以下、好ましくは20モル%以
下である。置換割合が少なすぎるとその高温サイクルの
改善効果が充分ではない場合があり、多すぎると電池に
した場合の容量が低下してしまう場合がある。本発明で
用いるリチウムマンガン酸化物の比表面積は、通常0.
01m2/g以上、好ましくは0.3m2/g以上、より
好ましくは0.5m2/g以上であり、また通常10m2
/g以下、好ましくは1.5m2/g以下、より好まし
くは1.0m2/g以下である。比表面積が小さすぎる
とレート特性の低下、容量の低下を招き、大きすぎると
電解液等と好ましくない反応を引き起こし、サイクル特
性を低下させることがある。比表面積の測定はBET法
に従う。
【0028】本願発明で用いるリチウムマンガン酸化物
の平均粒径は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2
μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上、最も好ま
しくは0.5μm以上であり、通常300μm以下、好
ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以
下、最も好ましくは20μm以下である。平均粒径が小
さすぎると電池のサイクル劣化が大きくなったり、安全
性に問題が生じたりする場合があり、大きすぎると電池
の内部抵抗が大きくなり、出力が出にくくなる場合があ
る。
【0029】リチウムマンガン酸化物の代わりに他のリ
チウム遷移金属酸化物を使用することも可能である。本
発明に用いられる電子求引性の置換基を有するジアゾー
ルの、前記したような機能を鑑みれば、過充電防止効果
や高温保存時におけるガス発生防止効果の発現も十分に
期待される。従って、従来より使用されているリチウム
コバルト酸化物やリチウムニッケル酸化物を活物質とし
て用いた場合においても何らかの特性改善効果を発揮す
ることが類推される。
【0030】リチウム遷移金属酸化物としては、リチウ
ムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウム
鉄酸化物、リチウムクロム酸化物、リチウムバナジウム
酸化物、リチウムチタン酸化物、リチウム銅酸化物、リ
チウムモリブデン酸化物、リチウムルテニウム酸化物、
リチウムイリジウム酸化物、リチウムプラチナ酸化物等
を挙げることができる。具体的な組成式としては,例え
ば一般式LiNiO2、LiCoO2、LiFeO2、L
iCrO2、Li1+x38、LiV24、LiTi
24、Li2CuO2、LiCuO2、Li2MoO3、L
2RuO3、Li2IrO3、Li2PtO3で表されるよ
うな化合物を挙げることができる。なお上記の組成にお
いて、少量の酸素欠損、不定比性を持っていてもよい。
また、酸素サイトの一部が硫黄やハロゲン元素で置換さ
れていてもよい。さらに、リチウム遷移金属酸化物の遷
移金属が占めるサイトの一部を遷移金属以外の元素で置
換してもよい。
【0031】本発明の正極材料は、リチウム二次電池の
正極に使用することができる。本発明の正極は、上記正
極材料とバインダーとを有する。好ましくは、正極は、
正極集電体と、正極材料とバインダーとを含有する正極
層とからなる。正極層中のリチウムマンガン酸化物と電
子求引性の置換基を有するジアゾールとは、分散して存
在させるのが、本発明の効果を十分に発揮しうる点で好
ましい。このような正極層は、リチウムマンガン酸化
物、前記化合物、後述の結着剤( バインダー) 及び必要
に応じて導電剤を溶媒でスラリー化したものを正極集電
体に塗布し、乾燥することにより製造することができ
る。スラリー調製前に、事前にリチウムマンガン酸化物
と前記化合物とを物理混合しておくこともできる。
【0032】正極中には、リチウムマンガン酸化物以外
のリチウムイオンを吸蔵・放出しうる活物質をさらに含
有していてもよい。正極中の活物質の割合は、通常10
重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好まし
くは50重量%以上であり、通常99.9重量%以下、
好ましくは99重量%以下である。多すぎると電極の機
械的強度が劣る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性
能が劣る傾向にある。
【0033】また、正極に使用されるバインダーとして
は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオ
ロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、EPDM
(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SB
R(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロ
セルロース等が挙げられる。正極層中のバインダーの割
合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以
上、さらに好ましくは5重量%以上であり、通常80重
量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましく
は40重量%以下、最も好ましくは10重量%以下であ
る。バインダーの割合が低すぎると、活物質を十分に保
持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等
の電池性能を悪化させることがあり、一方高すぎると電
池容量や導電性を下げることがある。
【0034】正極層は、通常導電性を高めるため導電剤
を含有する。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の
黒鉛や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニ
ードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料を挙げるこ
とができる。正極中の導電剤の割合は、通常0.01重
量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好まし
くは1重量%以上であり、通常50重量%以下、好まし
くは30重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下
である。導電剤の割合が低すぎると導電性が不十分にな
ることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下すること
がある。
【0035】また、スラリー溶媒としては、通常はバイ
ンダーを溶解あるいは分散する有機溶剤が使用される。
例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチ
ルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミ
ン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を挙げる
ことができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてS
BR等のラテックスで活物質をスラリー化することもで
きる。
【0036】正極層の厚さは、通常1〜1000μm、
好ましくは10〜200μm程度である。厚すぎると導
電性が低下する傾向にあり、薄すぎると容量が低下する
傾向にある。正極に使用する集電体の材質としては、ア
ルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が用い
られ、好ましくはアルミニウムである。集電体の厚さ
は、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm
程度である。厚すぎるとリチウム二次電池全体としての
容量が低下し、薄すぎると機械的強度が不足することが
ある。
【0037】なお、塗布・乾燥によって得られた正極層
は、活物質の充填密度を上げるためローラープレス等に
より圧密されるのが好ましい。本発明のリチウム二次電
池は、リチウムマンガン酸化物を活物質として用いた正
極と、負極と、電解質層とを有する。そして、正極、負
極及び電解質層の少なくとも1つに前記化合物が含まれ
てなる。その結果、高温環境下でも優れた特性を有する
リチウム二次電池とすることができる。使用する電子求
引性の置換基を有するジアゾールや正極活物質、正極に
ついては前記同様である。
【0038】前記電子求引性の置換基を有するジアゾー
ルは、正極活物質−電解液界面における劣化反応の効果
的抑制と共に、電解液自身や負極表面に対する安定化剤
としても作用すると考えられるため、正極、負極及び電
解質層のどこに存在していてもよいが、正極に含まれる
のが本発明の効果を十分に発揮する上で好ましい。この
好ましい態様は、前記本発明の正極材料を含む正極を使
用したリチウム二次電池と捉えることができる。従っ
て、該好ましい態様における前記化合物とリチウムマン
ガン酸化物との量比等は前記同様である。
【0039】本発明の二次電池の負極に使用される負極
の活物質としては、リチウムやリチウムアルミニウム合
金合金などのリチウム合金であっても良いが、より安全
性の高いリチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が好まし
い。前記炭素材料は特に限定されないが、黒鉛及び、石
炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化
物、石油系ピッチの炭化物、あるいはこれらピッチを酸
化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコ
ークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等
及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラッ
ク、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が挙げら
れる。
【0040】更に、SnO、SnO2、Sn1-xx
(M=Hg、P、B、Si、GeまたはSb、ただし0
≦x<1)、Sn32(OH)2 、Sn3-xx2(O
H)2(M=Mg、P、B、Si、Ge、Sb又はM
n、ただし0≦x<3)、LiSiO2、SiO2又はL
iSnO2等を挙げることができる。なお、これらの中
から選ばれる2種以上の混合物として用いてもよい。
【0041】負極は通常、正極の場合と同様、負極層を
集電体上に形成されてなる。この際使用するバインダー
や、必要に応じて使用される導電剤やスラリー溶媒とし
ては、正極で使用するものと同様のものを使用すること
ができる。また、負極の集電体としては、銅、ニッケ
ル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用され、好
ましくは銅が用いられる。
【0042】正極と負極との間にセパレーターを使用す
る場合は、微多孔性の高分子フィルムが用いられ、ナイ
ロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリ
スルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポ
リオレフィン高分子よりなるものが用いられる。セパレ
ータの化学的及び電気化学的安定性は重要な因子であ
る。この点からポリオレフィン系高分子が好ましく、電
池セパレータの目的の一つである自己閉塞温度の点から
ポリエチレン製であることが望ましい。
【0043】ポリエチレンセパレーターの場合、高温形
状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが
好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、さら
に好ましくは100万、最も好ましくは150万であ
る。他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好
ましくは400万、最も好ましくは300万である。分
子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱された時セ
パレーターの孔が閉塞しない場合があるからである。
【0044】また、本発明のリチウム二次電池における
電解質層を構成する電解質には、例えば公知の有機電解
液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質
等を用いることができるが、中でも有機電解液が好まし
い。有機電解液は、有機溶媒と溶質から構成される。有
機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えば
カーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系
化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、
エーテル類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸
エステル化合物等を使用することができる。これらの代
表的なものを列挙すると、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフ
ラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキ
シエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラク
トン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジ
オキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルス
ルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾ
ニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−
ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の単
独もしくは二種類以上の混合溶媒が使用できる。
【0045】上述の有機溶媒には、電解質を解離させる
ために高誘電率溶媒が含まれることが好ましい。ここ
で、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20
以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中で、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの
水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置
換した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。高
誘電率化合物の、電解液に占める割合は、好ましくは2
0重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好
ましくは40重量%以上である。該化合物の含有量が少
ないと、所望の電池特性が得られない場合があるからで
ある。
【0046】またこの溶媒に溶解させる溶質として特に
限定されるものではないが、従来公知のいずれもが使用
でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiB
4、LiB(C654 、LiCl、LiBr、CH3
SO3Li、CF3SO3Li、LiN(SO2CF32
LiN(SO2252、LiC(SO2CF33、L
iN(SO3CF32等が挙げられ、これらのうち少な
くとも1種以上のものを用いることができる。また、C
2 、 N2O、CO、SO2 等のガスやポリサルファイ
ドSx 2-など負極表面にリチウムイオンの効率よい充放
電を可能にする良好な皮膜を生成する添加剤を任意の割
合で上記単独又は混合溶媒に添加してもよい。
【0047】高分子固体電解質を使用する場合にも、こ
の高分子に公知のものを用いることができ、特にリチウ
ムイオンに対するイオン導電性の高い高分子を使用する
ことが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポ
リプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン等が好ま
しく使用され、またこの高分子に対して上記の溶質と共
に、上記の溶媒を加えてゲル状電解質として使用するこ
とも可能である。
【0048】無機固体電解質を使用する場合にも、この
無機物に公知の結晶質、非晶質固体電解質を用いること
ができる。結晶質の固体電解質としては例えば、Li
I、Li3N、Li1+xxTi2-x(PO43(M=A
l,Sc,Y,La)、Li0.5- 3xRE0.5+xTiO
3(RE=La,Pr,Nd,Sm)等が挙げられ、非
晶質の固体電解質としては例えば、4.9 LiI−34.1L
2O−61B25,33.3Li2O−66.7SiO2 等の酸
化物ガラスや0.45LiI−0.37Li2S−0.26B23
0.30LiI−0.42Li2S−0.28SiS2等の硫化物ガラ
ス等が挙げられる。これらのうち少なくとも1種以上の
ものを用いることができる。
【0049】
【実施例】以下実施例によって本発明の方法をさらに具
体的に説明する。 [リチウムマンガン複合酸化物の調製]スピネル型のリ
チウムマンガン複合酸化物Li[Mn1.85Al0.11Li0.04]O4
以下のように作製した。
【0050】三酸化二マンガン( Mn23)、 炭酸リ
チウム(Li2CO3)、及びベーマイト(AlOOH)
を出発原料とし、それぞれの化合物のモル比が0.9
4:0.52:0.10[Li:Mn:Alのモル比
が、1.04:1.88:0.10]となるように配合
した。この配合物をジェットミルを用いて均一な混合物
とした。得られた混合物を大気中で500℃(昇温速
度:5℃/min)、600℃(昇温速度:5℃/mi
n)、700℃(昇温速度:5℃/min)、800℃
(昇温速度:5℃/min)にて順次各々6時間仮焼
し、次に大気中で900℃(昇温速度:5℃/min)
にて24時間本焼し、次いで300℃まで冷却速度:
0.2℃/minで冷却し、その後自然冷却で室温まで
充分徐冷し取り出した。元素分析したところ、Li[Mn
1.85Al0.11Li0.04]O4が得られていた。得られたLi[Mn
1.85Al0.11Li0.04]O4は相対湿度25%に保ったデシケ
ータ内に保存した。
【0051】実施例1 Li1.04Mn1.85Al0.114なる、Mnサイトの一部
がLiとAlで置換された立方晶スピネル構造を有する
リチウムマンガン酸化物を使用し、これに4−ニトロイ
ミダゾールをリチウムマンガン酸化物に対して1モル%
の割合で添加混合したものを正極材料として用いた。な
お、ここで用いたリチウムマンガン酸化物のBET比表
面積は0.9m2/g、5分間の超音波分散後、レーザ
ー回折式粒度分布測定から求めたメジアン径は7.4μ
mであった。
【0052】実施例2 実施例1と同様のリチウムマンガン酸化物を使用し、こ
れに4−ニトロイミダゾールをリチウムマンガン酸化物
に対して2モル%の割合で添加混合したものを正極材料
として用いた。 比較例1 実施例1と同様のリチウムマンガン酸化物を、そのまま
正極材料としたこと、即ち、電子求引性の置換基を有す
るジアゾールを使用しなかったこと以外実施例1と同様
にして正極材料を得た。
【0053】比較例2 実施例1と同様のリチウムマンガン酸化物を使用し、こ
れに電子供与性の置換基を有する4−メチルイミダゾー
ルをリチウムマンガン酸化物に対して1モル%の割合で
添加混合したものを正極材料として用いた。 試験例(電池評価) 以下の方法で本発明の実施例、比較例の電池評価を行っ
た。
【0054】1. 正極の作成と容量確認 正極材料を75重量% 、アセチレンブラックを20重
量%、ポリテトラフロロエチレンパウダーを5重量%の
割合で秤量したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状
にし、9mmφ、12mmφのポンチで打ち抜いた。こ
の際全体重量は各々約8mmg、約18mgになるよう
に調整した。これをAlのエキスパンドメタルに圧着し
て正極とした。
【0055】次に、正極の容量を確認した。即ち、9m
mφに打ち抜いた前記正極を試験極、Li金属を対極と
して電池セルを組んだ。この電池セルに0.5mA/c
2の定電流充電すなわち、正極からリチウムイオンを
放出させる反応を上限4.35Vで行い、ついで0.5
mA/cm2の定電流放電すなわち正極にリチウムイオ
ンを吸蔵させる試験を下限3.2Vで行った。この際の
正極活物質単位重量当たりの初期充電容量をQs(C)(m
Ah/g) 、初期放電容量をQs(D)(mAh/g)と
した。
【0056】2. 負極の作成と容量確認 負極活物質としての平均粒径約8〜10μm の黒鉛粉
末(d002=3.35Å)と、バインダーとしてのポリ
フッ化ビニリデンとを重量比で92.5:7.5の割合
で秤量し、これをN−メチルピロリドン溶液中で混合
し、負極合剤スラリーとした。このスラリーを20μm
厚さの銅箔の片面に塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させた
後、12mmφに打ち抜き、0.5ton/cm2でプ
レス処理をしたものを負極とした。
【0057】なお、この負極を試験極、Li金属を対極
として電池セルを組み、0.2mA/cm2の定電流で
負極にLiイオンを吸蔵させる試験を下限0Vで行った
際の負極活物質単位重量当たりの初期吸蔵容量をQf
(mAh/g)とした。 3. 電池セルの組立 コイン型セルを使用して、電池性能を評価した。即ち、
正極缶の上に12mmφに打ち抜いた前記正極を置き、
その上にセパレータとして25μmの多孔性ポリエチレ
ンフィルムを置き、ポリプロピレン製ガスケットで押さ
えた後、前記負極を置き、厚み調整用のスペーサーを置
いた後、非水電解液溶液として、1モル/リットルの六
フッ化リン酸リチウム( LiPF6)を溶解させたエチレ
ンカーボネート( EC) とジエチルカーボネート( DE
C) との体積分率3:7の混合溶媒を用い、これを電池
内に加えて充分しみ込ませた後、負極缶を載せ電池を封
口した。
【0058】なお、この時、正極活物質の重量と負極活
物質重量のバランスは、ほぼ
【0059】
【数1】正極活物質量〔g〕/負極活物質量〔g〕=
(Qf/1.2)/Qs(C) となるよう設定した。 4. 試験方法 この様に得られた電池の高温特性を比較するため、電池
の1時間率電流値、即ち1Cを
【0060】
【数2】 1C[mA]=Qs(D)×正極活物質量〔g〕/〔h〕 と設定し、以下の試験を行った。まず室温で定電流0.
2C充放電2サイクルおよび定電流1C充放電1サイク
ルを行い、次に50℃の高温で定電流0.2C充放電1
サイクル、ついで定電流1C充放電100サイクルの試
験を行った。なお充電上限は4.2V下限電圧は3.0
Vとした。
【0061】この時50℃での1C充放電100サイク
ル試験における1サイクル目放電容量Qh(1)に対する、
100サイクル目の放電容量Qh(100)の割合を高温サイ
クル容量維持率P、即ち、
【0062】
【数3】P〔%〕={Qh(100)/Qh(1)}×100 とし、この値で電池の高温特性を比較した。実施例及び
比較例における、50℃での1C充放電100サイクル
試験での初期放電容量、及び高温サイクル容量維持率P
を表−1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】また、実施例1及び2、並びに比較例1及
び2における、50℃サイクル試験でのサイクル−放電
容量維持率の相関図を図1に示す。実施例と比較例とを
比較すると、本発明の規定する電子求引性の置換基を有
するジアゾールを添加することによって高温でのサイク
ル特性が向上することが分かる。
【0065】
【発明の効果】本発明により、高温特性に優れ、安全性
や生産性に優れた電池に使用できる正極材料を提供する
ことができる。特に、高温でのサイクル特性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 50℃での1C充放電100サイクル試験に
おけるサイクル−放電容量維持率相関図である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムマンガン酸化物、及び電子求引
    性の置換基を有するジアゾールを含有することを特徴と
    するリチウム二次電池用正極材料。
  2. 【請求項2】 電子求引性の置換基を有するジアゾール
    が、電子求引性の置換基を有するイミダゾールであるこ
    とを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用正極
    材料。
  3. 【請求項3】 電子求引性の置換基が、−N+3、−N
    +(CH33、−NO2、−SO2CH3、−SOCH3
    −CN、−CF3、−CCl3、−COCH3、−COO
    CH3、−COOC25、−CHOからなる群の中から
    選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のリチウム二次電池用正極材料。
  4. 【請求項4】 電子求引性の置換基を有するジアゾール
    が、4−ニトロイミダゾール、2−ニトロイミダゾール
    又は4,5−ジシアノイミダゾールであることを特徴と
    する請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極材
    料。
  5. 【請求項5】 電子求引性の置換基を有するジアゾール
    の、リチウムマンガン酸化物に対する割合が、0.1〜
    10モル%であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載のリチウム二次電池用正極材料。
  6. 【請求項6】 リチウムマンガン酸化物が、マンガンサ
    イトの一部が他元素で置換されたリチウムマンガン酸化
    物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載のリチウム二次電池用正極材料。
  7. 【請求項7】 マンガンサイトの一部を置換する他元素
    が、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Li、Ni、
    Cu、Zn、Mg、Ga及びZrからなる群から選ばれ
    る少なくとも一種の金属元素であることを特徴とする請
    求項6に記載のリチウム二次電池用正極材料。
  8. 【請求項8】 リチウムマンガン酸化物が、スピネル構
    造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載のリチウム二次電池用正極材料。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1つに記載のリ
    チウム二次電池用正極材料とバインダーとを含有するリ
    チウム二次電池用正極。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の正極と、負極と、電
    解質層とを有することを特徴とするリチウム二次電池。
  11. 【請求項11】 リチウムマンガン酸化物を含有する正
    極と、負極と、電解質層とを有するリチウム二次電池に
    おいて、負極及び/又は電解質層に、電子求引性の置換
    基を有するジアゾールが含まれてなるリチウム二次電
    池。
  12. 【請求項12】 負極が炭素材料からなることを特徴と
    する請求項10又は11に記載のリチウム二次電池。
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