JP2002048735A - 薄膜積層体構造解析方法 - Google Patents
薄膜積層体構造解析方法Info
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Abstract
いて、積層数が増えても容易に積層構造を解析でき、か
つ、容易に入射角補正が可能な積層構造検査法と、最小
二乗法解析で得た解析値の信頼性を求める方法を提供す
ることにある。 【解決手段】着目する積層膜と他の積層膜の屈折率の差
を固定して最小二乗法解析することにより達成できる。
また、解析値から得られた反射率と、解析値から屈折率
の深さ分布を求め、屈折率の深さ分布から計算した反射
率から判定R因子を求め、解析結果の信頼性基準とこと
により達成できる。
Description
形成された薄膜積層体のX線反射率を測定し、積層体の
膜厚、屈折率、密度、界面幅を評価する積層構造検査
法。
体にX線をすれすれ入射させ、積層体からの反射X線強
度の入射角依存性を測定し、得られた反射率曲線をL.G.
Parratt〔Phys. Rev.95(1954)359〕やS.K.Sinhaら〔Phy
s. Rev.B 38(1988)2297〕の求めた反射率理論式を用い
て、積層体の膜厚、屈折率(密度)、界面幅を変数として
最小二乗法で解析することで、各積層体の膜厚、屈折
率、密度、界面幅を求める方法が知られている。
1つ増える毎に、変数が4つ(膜厚、屈折率の実数部と
虚数部、界面幅)増える。このため多数積層した積層体
の反射率曲線を最小二乗法で解析する場合、残差二乗和
の極小が多数あり、解析値が極小値(Local minimum)に
落ち込み、最小極小値(The least minimum)を与える解
析値に収束しにくいという問題がある。
平行に配置する必要がある。これまでも特開平07−2607
12号公報等で試料と入射X線の平行性を向上する方法が
提案されているが、試料の湾曲等の理由で適用できない
場合が多々ある。湾曲した試料からの反射率を入射角を
補正することなく従来技術で解析すると、積層体の表面
付近の層の屈折率(密度)が異常に大きくあるいは、小さ
くなる。この問題は入射角の原点を補正することで解決
可能であるが、補正量を最小二乗法で求めることは困難
である。また手入力で補正する場合は、基準となる層の
屈折率が理論値になるように補正するが、積層数が多く
なると基準とする層以外の膜の影響が大きくなり、入射
角原点の補正は困難になる。
ることが困難なため、得られた解析値が最小極小値なの
かどうか、判断できなかった。
上の薄膜を形成した積層体において、積層数が増えても
積層構造の解析が容易な積層構造検査法および入射角原
点補正が容易な積層構造検査法と、反射率曲線の最小二
乗法で得た解析値の検証方法を提供することにある。
積層膜と他の積層膜の屈折率の差を固定、若しくは最適
化して最小二乗法で解析することと、解析で得た層構造
の反射率計算結果と、解析で得た層構造を用いて計算し
た屈折率深さ分布から反射率を計算した結果との残差二
乗和を求めることにより達成できる。
Å)を用いて、基板上に成膜した各種遷移金属の薄膜積
層体の反射率を測定し、積層構造を解析した結果につい
て記載する。
iFeを約35Å、CoFeを約5Å、Cuを約20Å、Taを約30Å成
膜した積層体である。
す。X線光源1には、Cuの回転体陰極のX線発生装置を
用いた。スリット2で成形したX線はSi(111)の2結晶分
光器3により、波長選択し、分光X線をスリット4で0.
1 x 10mmに成形した後、入射角〜0.15度で試料5に照射
した。試料5で反射されたX線を0.2x10mmの2枚の受光
スリット6と、その間に配置した紙面に垂直方向のX線
の角度広がりを1.0度に制限するソーラスリット7を通
して検出器8により測定した。
横軸は散乱ベクトルq =(4πsinθ)/λで表示してあ
る。点線が測定結果9である。
1−(δ+iβ)で表され、δは屈折率の実数部、βは
虚数部である。0.1nm程度のX線の波長ではδは〜10^−
5、βは〜10^−6である。δとβはX線の波長(λ)の2乗
に比例するので、ξ=δ・(4π/λ)^2、η=β・
(4π/λ)^2とすることで、波長に依らない屈折率
を定義できる。この場合ξ〜10^−3、η〜10^−4程度の
大きさである。
るCoFe、Ta層と反応しにくい金属層なので、屈折率差の
基準とし、CoFe、NiFe、Ta、下地膜#2とCuの屈折率差を
理論値の差に固定した。表1に最小二乗法解析に用いた
変数表を示す。ξの欄にはフィッテングする屈折率が表
記されている。〔Cu〕と表記してある層の屈折率はCu層
と同じ値が入ることを示している。( )で括ってある屈
折率は固定して解析した。実際の計算に用いる屈折率は
ξ欄の値+Δξで求めた値を用いるため、CoFe,NiFe,Ta
はCu層との屈折率差を一定にして変動する。また、η/
ξは理論値に固定した。膜厚と界面幅は最小二乗法解析
の変数とした。
変数になるため、フィッテング変数が34個+スケールフ
ァクターとなり35個あった。しかもTa、CoFe、NiFe層の
屈折率を最適化すると、得られた屈折率が屈折率の理論
値から大きく外れる場合があり、解析の信頼性が高く無
いという問題があった。また、Ta、CoFe、NiFe層の屈折
率を理論値に固定すると、ほとんど場合で最小極小値を
与える解析値を得れることは無かった。本発明を用いれ
ば、フィッテング変数は5個減り30個となる。これによ
り計算時間を75%に短縮できた。また屈折率差が理論値
なので、各層の屈折率が理論値から大きく外れることも
無い。
定データを用いて最小二乗法解析した結果10とq=0.52ま
での測定データを用いて最小二乗法解析した結果11を示
してある。解析の初期値は表1である。解析結果はフィ
ッテングの範囲より広い、q=0.7まで計算してある。従
来技術を用いて、同じ初期値、同じフィッテング範囲で
解析した結果(q=0.4までの測定データを用いて最小二乗
法解析した結果12とq=0.52までの測定データを用いて最
小二乗法解析した結果13)を比較のため図3に示す。本
発明の解析結果は従来技術の解析結果と比較して、フィ
ッテング範囲より広い領域反射率曲線を比較的良く推定
できていることが分かる。このことから、本発明が従来
技術より、最小極小値に近い解析値が得られ易い。
補正(本実施例では横軸を散乱ベクトルで表示している
ので、散乱ベクトルの原点の補正と以後記述する)を行
ってある。q=0.7までの範囲で最小二乗解析すると、Cu
膜の屈折率(ξ)が理論値の16.17より大きな16.8となっ
た。これまでの経験から、単元素膜の屈折率は理論値の
100〜90%の範囲に入いるので、Cu膜のξが理論値より大
きくなる原因は散乱ベクトル原点のずれと考えられる
の。そこで入射角補正量を少し変えながら、最小二乗法
解析を行い、Cu膜のξが理論値が理論値の100〜90%範囲
に入るように入射角を補正した。このときの最小二乗法
解析の変数は30個のままとした。本発明はフィッテング
変数に含まれる屈折率が6個と少ないため、容易にCu膜
のξを理論値の100〜90%の範囲に入れることが可能であ
った。またフィッテングに必要な時間も前述のように25
%短縮しているため、速やかに散乱ベクトル原点の補正
量−0.0008を求めることができた。
ついて説明する。初めにq=0.03〜0.6程度の範囲を最小
二乗解析して層構造の解析値を得る。Sinhaの理論式に
従い、層構造の解析値を用いて、q=0.03〜1.03の範囲の
反射率曲線を計算する。この結果は図5に本発明で得た
解析値を用いたSinha法の計算結果15として示した。従
来技術による別の解析値を用いて、計算した結果は従来
技術で得た解析値を用いたSinha法の計算結果17として
図5に合わせて示した。計算結果15と計算結果17はq=0.
03〜0.6のフィッテング範囲で一致している。q=0.6より
先の計算結果は異なっているが、従来技術で得た解析結
果と本発明で得た解析結果の違いを実験で判別するには
10^−7以下の反射率を測定する必要があり、困難であ
る。
り、その強度は界面幅が大きい程、反射強度が減衰する
というモデルで反射率を計算している。このモデルは膜
厚が界面幅より充分厚い場合は良い近似であるが、膜厚
と界面幅が同じか、界面幅の方が膜厚より大きくなると
近似が悪くなる。
が起きるため、X線反射率は試料の屈折率の深さ方向分
布に依存している。しかし、屈折率分布そのものを最小
二乗法解析で求める場合は計算量が膨大になる。そこ
で、Sinhaの理論式を用いて得た解析値から屈折率分布
を求め、得られた屈折率分布から反射率曲線を求めるこ
とにした。式(1)を用いて計算した、屈折率の深さ方向
分布14を図4に示す。
似的に、屈折率分布14を界面幅0Å、膜厚0.5Åの積層に
分割して計算した。その結果を図5に本発明で得た解析
値を用いたLamellar法の計算結果16として示した。Sinh
a法の計算結果15とLamellar法の計算結果16の反射率曲
線の一致の度合いは判定R因子として、式(2)を用いて
計算した。
たSinha法の計算結果15とLamellar法の計算結果16の場
合、判定R因子は1.52%となった。従来技術で得た解析
値を用いたLamellar法の計算結果18も図5に合わせて示
したが、Sinha法の計算結果17とLamellar法の計算結果1
8の一致が悪く、判定R因子は10.9%となった。この結果
より、従来技術で得た解析値の方が、本発明で得た解析
値と比較して、良くないことが分かる。経験的に判定R
因子が2%以下であれば、十分なので、本発明で得た解析
値が適当であると判断できる。注意すべき点としては、
判定R因子が小さいことが解析結果の判定の十分条件で
あって、必要十分条件でないことである。
の積層膜の屈折率差を固定することで、フィッテング変
数を減らすことが可能となり、残差二乗和の極小値に落
ち込む可能性を減らせる。また、本発明によれば、基準
とした積層膜の屈折率が理論値に近くなるように入射角
を補正することにより、入射角の補正量の決定を容易に
する効果がある。また解析で得られた層構造から屈折率
の深さ分布を求め、屈折率分布から計算した反射率曲線
と解析で求めた層構造から計算した反射率曲線の一致度
からフィッテングで求めた解析値の検証を容易に行える
効果がある。
光スリット、5…試料、6…受光スリット、7…ソーラ
ースリット、8…検出器、9…測定結果、10…本発明を
用いてq=0.40までの測定データを用いて最小二乗法解析
した結果、11…本発明を用いてq=0.52までの測定データ
を用いて最小二乗法解析した結果、12…従来技術を用い
てq=0.40までの測定データを用いて最小二乗法解析した
結果、13…従来技術を用いてq=0.52までの測定データを
用いて最小二乗法解析した結果、14…屈折率分布、15…
本発明で得た解析値を用いたSinha法の計算結果、16…
本発明で得た解析値を用いたLamellar法の計算結果、17
…従来技術で求めた解析値を用いたSinha法の計算結
果、18…従来技術で求めた解析値を用いたLamellar法の
計算結果。
Claims (2)
- 【請求項1】 基板上に2層以上の薄膜を形成した積層
体にX線を0〜0.15度の範囲で入射させ、積層体か
らの反射X線を測定し、反射率を最小二乗法を用いて解
析することで積層体の膜厚、屈折率、密度、界面幅を検
査する積層構造検査法において、 積層した薄膜の着目する積層膜と他の積層膜との屈折率
の差を固定、若しくは最適化して解析することを特徴と
する積層構造検査法。 - 【請求項2】 基板上に2層以上の薄膜を形成した積層
体にX線を0〜0.15度の範囲で入射させ、積層体か
らの反射X線を測定し、反射率を最小二乗法を用いて解
析することで積層体の膜厚、屈折率、密度、界面幅を検
査する積層構造検査法において、 解析で得た層構造の反射率計算結果と、解析結果を用い
て計算した屈折率の深さ分布から計算した反射率の計算
結果の2つの反射率曲線の残差二乗和を信頼性基準とす
る積層構造検査法。
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