JP6023485B2 - 光学特性測定システムおよび光学特性測定方法 - Google Patents
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Description
まず、本発明の実施の形態に従う光学特性測定システムが対象とする試料(サンプル)について説明する。
図1は、本実施の形態に従う光学特性測定システムが対象とする試料をモデル化して説明するための図である。図1(a)には、表面が理想状態にある試料(理想的な基板)のモデルを示し、図1(b)には、表面の平滑度が相対的に低い状態にある試料(荒れた基板)のモデルを示す。
図1(b)に示すような試料の光学特性値については、これに限られることはないが例えば、半導体、ディスプレイ、光学、電力、建材などの分野において、測定したいというニーズが存在する。
本実施の形態に関連する技術として、分光エリプソメータまたは分光測定器を用いて試料の反射スペクトルまたは透過スペクトルを測定し、その測定したスペクトルから非線形最小二乗法を用いた解析により、試料の膜厚dおよび光学特性値(屈折率nおよび消衰係数kなど)を算出する方法が知られている。この関連技術においては、反射/透過シミュレーションおよびカーブフィッティングを用いるが、このシミュレーションは、図1(a)に示す理想状態を前提としているため、基板表面と生成された膜との界面での散乱が無視できない試料については、その膜厚および光学特性値を正確に算出することが難しい。
後述するように、本実施の形態では、反射/透過シミュレーションおよびカーブフィッティングを用いて、試料の光学特性値を算出する。そこで、まず反射/透過シミュレーションについて説明する。以下の説明では、典型例として、反射シミュレーションについて説明するが、透過シミュレーションについても同様の考え方を適用できる。
次に、本実施の形態に従う測定方法に係る処理手順について説明する。本実施の形態に従う光学特性測定は、基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料(特に、膜部分)の光学特性(膜厚、屈折率、消衰係数など)を測定する。
次に、本実施の形態に従う光学特性測定システムの構成例について説明する。
図4は、本実施の形態に従う光学特性測定システムの構成例を示す模式図である。図5は、本実施の形態に従う光学特性測定システムに含まれる装置の配置例を示す模式図である。
(e2:分光エリプソメータ)
図6は、本実施の形態に従う分光エリプソメータ100の構成を示す模式図である。図6を参照して、分光エリプソメータ100は、光源102と、光ファイバ104,106と、検出器108と、投光部110と、受光部120とを含む。
図7は、本実施の形態に従う分光測定装置200の構成を示す模式図である。図7を参照して、分光測定装置200は、測定用光源202と、観測用光源204と、出射部206と、ハーフミラー208,212と、結像レンズ214と、観測用カメラ216と、モニター218と、検出器220とを含む。
本実施の形態に従う測定方法は、特定の成膜プロセスに向けられるものではなく、基本的には、いずれの成膜プロセスにも適用可能である。典型例として、スピンコート法およびCVD法に係る成膜装置について説明する。
図10は、本実施の形態に従う解析装置400の構成を示す模式図である。図10を参照して、図10を参照して、解析装置400は、代表的にコンピュータによって実現され、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)400と、CPU402でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するメモリ412と、CPU402で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)410とを含む。解析装置400を構成する各コンポーネントは、バス416を介して、互いにデータ通信可能に接続されている。
次に、上述の図3のステップS2における、成膜前の基板の屈折率n0および消衰係数k0の取得に係る手順の一例についてより詳細に説明する。
まず、図7に示す分光エリプソメータ100を用いて、成膜前の基板について、屈折率n0および消衰係数k0を算出する方法について説明する。分光エリプソメータ100を用いて、その表面で散乱が生じる基板23を測定した場合、上述の(5)式に示すように、界面係数αは互いにキャンセルされて、その影響を受けることがない。すなわち、成膜前の基板については、散乱の影響を受けることなく、エリプソパラメータを測定できる。
Si(シリコン)やAu(金)などの屈折率および消衰係数などが既知である基板の場合には、その既知の値をそのまま利用するようにしてもよい。この場合には、材質別に屈折率および消衰係数(理論値)を解析装置400内に予め用意しておき、ユーザなどからの指定に応じて、対応する屈折率および消衰係数を読み出すようにしてもよい。
次に、上述の図3のステップS4における、基板の界面係数αの取得に係る手順の一例についてより詳細に説明する。
本実施の形態においては、図7に示す分光測定装置200を用いて、成膜前の基板の反射率(反射スペクトル)を測定する。この測定された反射率(反射スペクトル)を基準となる反射率(反射スペクトル)と比較することで、基板の界面係数αが算出される。基準となる反射率(反射スペクトル)については、その表面で散乱を生じない理想的な基板から測定された値を採用することができる。
Si(シリコン)やAu(金)などの反射率、屈折率および消衰係数などが既知である基板の場合には、これらの値から理論上の反射率を算出できる。そこで、理論値から算出される理論上の反射率Rsimと、散乱による反射率が低下し得る基板から測定された反射率Rmesとから、上述した(8)式と同様の式に従って界面係数αを算出する。この場合には、解析装置400が理論上の反射率Rsimを算出するとともに、分光測定装置200から反射率を受取って、界面係数αを算出する。
界面係数αの算出の前段階として、分光エリプソメータ100を用いて、基板の屈折率n0および消衰係数k0を算出している場合には、この算出された屈折率n0および消衰係数k0を用いて、理論上の反射率を算出できる。そこで、分光エリプソメータ100により測定された値から算出される理論上の反射率Rsimと、散乱による反射率が低下し得る基板から測定された反射率Rmesとから、上述した(8)式と同様の式に従って界面係数αを算出する。この場合には、解析装置400が、分光エリプソメータ100から屈折率n0および消衰係数k0を受取って理論上の反射率Rsimを算出するとともに、分光測定装置200から反射率を受取って、界面係数αを算出する。
何らかの理由で、界面係数αを上述したいずれの方法でも決定できない場合には、界面係数αの波長依存性を考慮せず、一定値としてもよい。
基板の反射率を測定する場合において、光の散乱を生じる荒れの周期(大きさ)と、測定エリアの大きさとの関係から、測定される反射率が一律ではなく、部分的に変化する可能性がある。一般的には、測定エリアが小さいほど、理想状態での反射率と比較した低下量は小さく、一方、測定エリアが大きいほど、理想状態での反射率と比較した低下量は大きく表れる。そのため、分光測定装置200では、測定エリアを比較的小さくすることで、このような反射率の本来の値からの乖離を抑制する。
次に、上述の図3のステップS10における、試料の光学特性を示すモデル式を定義するパラメータの決定に係る手順の一例についてより詳細に説明する。
次に、本実施の形態に従う光学特性測定方法による測定結果の一例を実測値と比較して示す。図11は、本実施の形態に従う光学特性測定方法による測定結果の一例を示す図である。図11には、ヘアライン加工されたAl(アルミニウム)基板に対して成膜した結果を示す。図11(a)は、膜厚が10.1[nm](実測値)の測定結果を示し、図11(b)は、膜厚が298.5[nm](実測値)の測定結果を示す。
本実施の形態に従う光学特性測定方法は、界面での散乱を反映した界面係数αを含むモデル式を用いることで、本来の反射率を考慮したシミュレーションを行うことができる。すなわち、従来の方法では、散乱のない理想状態にある基板を想定しており、界面での反射率の低下は考慮されていなかったが、本実施の形態においては、この界面での散乱を考慮しつつ、試料の状態を測定できる。また、界面係数は波長依存性を有するが、本実施の形態においては、この波長依存性を有する界面係数を適切に決定することもできる。
Claims (6)
- 基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料の光学特性を測定する光学特性測定システムであって、
前記プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するための第1の光学定数取得手段と、
前記基板の波長依存性を有する界面係数を取得するための第2の光学定数取得手段と、
前記プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光または当該試料を透過した光に基づいて、反射率または透過率の波長分布特性を取得するための分光特性取得手段と、
前記基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、前記試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、前記波長分布特性に基づいて、前記モデル式を定義するパラメータを決定するためのパラメータ決定手段と、
前記パラメータ決定手段によって決定されたパラメータから前記試料の光学特性値を算出するための特性値算出手段とを備え、
前記第2の光学定数取得手段は、
界面係数が既知の標準基板および前記基板についての測定された反射率または透過率を比較することで、前記基板の界面係数を算出し、または、
前記基板についての測定された反射率または透過率を予め定められた理論値と比較することで、前記基板の界面係数を算出する、光学特性測定システム。 - 前記第1の光学定数取得手段は、前記基板から測定されたエリプソパラメータに基づいて、前記基板の屈折率および消衰係数を算出する、請求項1に記載の光学特性測定システム。
- 前記モデル式を定義するパラメータは、前記基板上に形成される膜の厚み、屈折率、消衰係数を含み、
前記パラメータ決定手段は、フィッティング処理によって、前記基板上に形成される膜の厚み、屈折率、消衰係数の値を決定する、請求項1または2に記載の光学特性測定システム。 - 前記パラメータ決定手段は、前記基板および前記膜の少なくとも一方が複数の層からなる場合において、各層について前記モデル式を決定するとともに、層ごとにパラメータを決定する処理を繰り返す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学特性測定システム。
- 前記光学特性測定システムは、分光測定装置を含み、
前記分光測定装置は、前記第2の光学定数取得手段および前記分光特性取得手段の少なくとも一部として機能する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学特性測定システム。 - 基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料の光学特性を測定する光学特性測定方法であって、
前記プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するステップと、
前記基板の波長依存性を有する界面係数を取得するステップと、
前記プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光または当該試料を透過した光に基づいて、反射率または透過率の波長分布特性を取得するステップと、
前記基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、前記試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、前記波長分布特性に基づいて、前記モデル式を定義するパラメータを決定するステップと、
決定されたパラメータから前記試料の光学特性値を算出するステップとを含み、
前記界面係数を取得するステップは、
界面係数が既知の標準基板および前記基板についての測定された反射率または透過率を比較することで、前記基板の界面係数を算出するステップ、または、
前記基板についての測定された反射率または透過率を予め定められた理論値と比較することで、前記基板の界面係数を算出するステップ、を含む、光学特性測定方法。
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