JP6023485B2 - 光学特性測定システムおよび光学特性測定方法 - Google Patents

光学特性測定システムおよび光学特性測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板上に膜を形成するプロセスに向けられた光学特性測定システムおよび光学特性測定方法に関し、特に、基板上に膜が形成された試料の光学特性値を測定する技術に関する。
半導体基板や機能性樹脂フィルムといった基板上に、任意の成膜プロセスを用いて膜(多くの場合、薄膜)を形成する処理が一般的に行われている。このような成膜技術を用いて作製された試料の膜厚、透過率/反射率、消衰係数、屈折率といった光学特性値を測定する方法が提案されている。
例えば、特開2009−097857号公報(特許文献1)は、屈折率が未知の薄膜試料における膜厚や屈折率といった光学特性値をより高い精度で測定することが可能な光学特性測定装置などを開示する。また、特開2012−063333号公報(特許文献2)は、散乱係数および吸収係数を簡便に取得できる光学特性値計測装置を開示する。
特開2009−097857号公報 特開2012−063333号公報
これまでの一般的な成膜プロセスでは、鏡面仕上げなどによってその表面の平滑度が高められた基板の上に、膜が形成される場合が多かった。しかしながら、近年では、基板表面を意図的に加工した上で、膜を形成するような成膜プロセスが用いられることも多い。このような試料の特性値を光学的に測定しようとすると、上述のような先行技術では、十分な精度で測定することができない。本願発明者らは、この原因が基板表面と生成された膜との界面での散乱によるものであることを見出した。その上で、本願発明者らは、この知見に基づいて、界面での散乱を考慮した新たな発明を行った。
本発明は、基板表面と生成された膜との界面での散乱が無視できない試料について、高い精度で光学特性値を測定できる、新規な光学特性測定システムおよび光学特性測定方法を提供する。
本発明のある局面に従えば、基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料の光学特性を測定する光学特性測定システムが提供される。光学特性測定システムは、プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するための第1の光学定数取得手段と、基板の界面係数を取得するための第2の光学定数取得手段と、プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光または当該試料を透過した光に基づいて、反射率または透過率の波長分布特性を取得するための分光特性取得手段と、基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、波長分布特性に基づいて、モデル式を定義するパラメータを決定するためのパラメータ決定手段と、パラメータ決定手段によって決定されたパラメータから試料の光学特性値を算出するための特性値算出手段とを含む。
好ましくは、第2の光学定数取得手段は、界面係数が既知の標準基板および基板についての測定された反射率または透過率を比較することで、基板の界面係数を算出する。
好ましくは、第2の光学定数取得手段は、基板についての測定された反射率または透過率を予め定められた理論値と比較することで、基板の界面係数を算出する。
好ましくは、第1の光学定数取得手段は、基板から測定されたエリプソパラメータに基づいて、基板の屈折率および消衰係数を算出する。
好ましくは、光学特性測定システムは、分光測定装置を含み、分光測定装置は、第2の光学定数取得手段および分光特性取得手段の少なくとも一部として機能する。
本発明の別の局面に従えば、基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料の光学特性を測定する光学特性測定方法が提供される。光学特性測定方法は、プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するステップと、基板の界面係数を取得するステップと、プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光または当該試料を透過した光に基づいて、反射率または透過率の波長分布特性を取得するステップと、基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、波長分布特性に基づいて、モデル式を定義するパラメータを決定するステップと、決定されたパラメータから試料の光学特性値を算出するステップとを含む。
本発明によれば、基板表面と生成された膜との界面での散乱が無視できない試料について、高い精度で光学特性値を測定できる。
本実施の形態に従う光学特性測定システムが対象とする試料をモデル化して説明するための図である。 図1(b)に示す試料のモデル式を説明するための模式図である。 本実施の形態に従う光学特性測定方法の処理手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に従う光学特性測定システムの構成例を示す模式図である。 本実施の形態に従う光学特性測定システムに含まれる装置の配置例を示す模式図である。 本実施の形態に従う分光エリプソメータの構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う分光測定装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う成膜装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う成膜装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う解析装置の構成を示す模式図である。 本実施の形態に従う光学特性測定方法による測定結果の一例を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<A.試料>
まず、本発明の実施の形態に従う光学特性測定システムが対象とする試料(サンプル)について説明する。
(a1:モデル)
図1は、本実施の形態に従う光学特性測定システムが対象とする試料をモデル化して説明するための図である。図1(a)には、表面が理想状態にある試料(理想的な基板)のモデルを示し、図1(b)には、表面の平滑度が相対的に低い状態にある試料(荒れた基板)のモデルを示す。
図1(a)に示すように、基板21が理想状態にある場合には、基板21の表面に垂直な方向から照射した光(入射光)は、表面で鏡面反射され、入射経路と同一の経路に沿って入射方向と反対の方向に伝搬する。また、基板21上に膜22が形成された場合であっても、基本的には、基板21の表面に垂直な方向から照射した光(入射光)は、表面で鏡面反射され、入射経路と同一の経路に沿って入射方向と反対の方向に伝搬する。この場合、基板21と膜22との間には多重反射が生じるが、各層のモデル化を行うことで、光学特性値を測定(算出)できる。
一方、図1(b)に示すように、基板23が荒れた状態にある場合には、基板23の表面で散乱が生じる。この場合には、基板23の表面に垂直な方向からのみ光(入射光)を照射したとしても、その入射光が基板23の表面で反射して生じる反射光は、入射経路と同一の経路とは異なる複数の方向にも伝搬することになる。すなわち、基板23の表面状態に依存して光の散乱が生じ、これによって、基板23の見かけ上の反射率は低下することになる。
基板23上に膜24が形成された場合においても、基板23と膜24との境界面(界面)では、光の散乱が生じる。すなわち、基板23の表面に垂直な方向から照射した光(入射光)は、基板23と膜24との界面で複数の方向に反射される。このような散乱によって、入射光の照射位置で反射光を検出するとすれば、理想状態にある場合に比較して、その検出される光量は低下することになる。
(a2:適用例)
図1(b)に示すような試料の光学特性値については、これに限られることはないが例えば、半導体、ディスプレイ、光学、電力、建材などの分野において、測定したいというニーズが存在する。
第1番目の例として、Si(シリコン)系の太陽電池が挙げられる。Si系の太陽電池では、表面積(受光面積)を増加させるために、シリコン基板の表面を粗面化する処理が施されることがある。このシリコン基板上にSiO膜が形成されて太陽電池となる。太陽電池としての品質を管理するためには、SiO膜の膜厚を測定することが重要となる。このような場合に、図1(b)に示すような荒れた基板上の膜の光学特性値を測定する必要がある。
第2番目の例として、携帯ディスプレイ用などの機能性フィルム(グレアフィルム)が挙げられる。このグレアフィルムは、表面を粗面化してグレア性をもたせたフィルム上に樹脂膜を形成することで、視野や平滑性を向上させたものである。このグレアフィルムの品質を管理するためには、フィルム上に形成された薄膜の膜厚を測定することが重要となる。
第3番目の例として、電池用の電極が挙げられる。この電池用の電極についても、その接触面積を大きくするために、母材であるAl(アルミニウム)上にヘアライン加工した上で、樹脂膜を形成するようなプロセスが用いられる。電極の性能を評価および向上させるために、ヘアライン加工されたAl上に形成された樹脂膜の膜厚を測定することが重要となる。
第4番目の例として、その内壁に樹脂膜(防錆膜)が形成されたSUS(ステンレス鋼)製パイプが挙げられる。このSUS製パイプでは、内壁にある樹脂膜の平滑性を高めるために、SUSの内面を粗面化されることがある。このSUS製パイプの性能を向上させるために、膜厚を測定したいというニーズが存在する。
<B.概要>
本実施の形態に関連する技術として、分光エリプソメータまたは分光測定器を用いて試料の反射スペクトルまたは透過スペクトルを測定し、その測定したスペクトルから非線形最小二乗法を用いた解析により、試料の膜厚dおよび光学特性値(屈折率nおよび消衰係数kなど)を算出する方法が知られている。この関連技術においては、反射/透過シミュレーションおよびカーブフィッティングを用いるが、このシミュレーションは、図1(a)に示す理想状態を前提としているため、基板表面と生成された膜との界面での散乱が無視できない試料については、その膜厚および光学特性値を正確に算出することが難しい。
また、本実施の形態に関連する別の技術としては、試料の反射率および透過率を測定することで、その試料の吸収係数および散乱係数を測定する方法が知られている。但し、この方法では、試料の膜厚および光学特性値を測定することはできない。
本実施の形態に従う光学特性測定システムおよび光学特性測定方法は、図1(b)に示すような、基板表面と生成された膜との界面での散乱が無視できない場合であっても、高い精度で光学特性値を測定する。より具体的には、試料をモデル化したシミュレーションにおいて、界面係数の概念を導入することで、界面での光の散乱を考慮したパラメータ決定処理(フィッティング処理)を実現する。
<C.シミュレーションモデル>
後述するように、本実施の形態では、反射/透過シミュレーションおよびカーブフィッティングを用いて、試料の光学特性値を算出する。そこで、まず反射/透過シミュレーションについて説明する。以下の説明では、典型例として、反射シミュレーションについて説明するが、透過シミュレーションについても同様の考え方を適用できる。
まず、図1(b)に示すような試料(基板23および膜24)における反射率Rmesは、図1(a)に示す散乱が生じない理想的な基板21の反射率Rsim、および、界面係数αを用いて、(1)式のように示すことができる。
Figure 0006023485
いずれの反射率も波長依存性を有している。また、界面係数αは、全波長について一定値とみなしてよい場合もあるが、測定精度を高めるために、波長依存性を有するものとする。すなわち、界面係数αは、波長λについての関数(例えば、界面係数=α(λ))として表すことができる。
図2は、図1(b)に示す試料のモデル式を説明するための模式図である。図2を参照して、3種類の媒質0,1,2からなる3層モデルを考える。図2において、媒質0は雰囲気層に相当し、媒質1は図1(b)に示す膜24に相当し、媒質2は図1(b)に示す基板23に相当する。媒質1と媒質2との境界の界面係数をαとする。
媒質0から試料に入射した光(入射光)についての振幅反射係数r012は、(2)式のように示すことができる。すなわち、この振幅反射係数r012は、膜24による干渉を考慮した媒質0,1,2の振幅反射係数である。この振幅反射係数r012から、媒質0,1,2の反射率Rは、(3)式のように示すことができる。
なお、(2)式中のβは膜24の位相膜厚を意味し、(4)式のように示すことができる。
Figure 0006023485
(2)式に示すように、本実施の形態においては、界面係数αを考慮したモデル式を採用することにより、界面で光が散乱するような試料であっても、光学特性値を正確に算出することができる。
図1には、説明の便宜上、単層試料(単一基板に単一の膜が形成されたもの)について例示するが、多層試料(基板および膜の少なくとも一方が複数であるもの)についても、上述の(2)式および(4)式の繰り返し計算により、同様の方法で反射率を算出することができる。このとき、基板と膜との界面以外の界面において散乱が生じる場合には、散乱が生じる界面の各々について、対応する界面係数をそれぞれ適用することで、多層試料についての反射率を算出できる。
また、P偏光およびS偏光についての反射率の計算に、(2)〜(4)式を用いることで、分光エリプソメータにも応用できる。P偏光の振幅反射係数rおよびS偏光の振幅反射係数rを用いて、エリプソパラメータは(5)式に従って算出される。
Figure 0006023485
<D.処理手順>
次に、本実施の形態に従う測定方法に係る処理手順について説明する。本実施の形態に従う光学特性測定は、基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料(特に、膜部分)の光学特性(膜厚、屈折率、消衰係数など)を測定する。
図3は、本実施の形態に従う光学特性測定方法の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すステップは、1つまたは複数のコンピュータによって実行されてもよい。あるいは、図3に示すステップの全部または一部をユーザ自身が行ってもよい。
まず、成膜プロセスでの処理前(成膜前)の基板について、屈折率nおよび消衰係数kが取得される(ステップS2)。この成膜前の基板の屈折率nおよび消衰係数kの取得方法の一例として、後述するように、分光エリプソメータを用いて測定する方法がある。そして、成膜前の基板の屈折率nおよび消衰係数kが取得されると、処理は次のステップへ進む。
続いて、基板の界面係数が取得される(ステップS4)。基板の界面係数を取得する一例としては、成膜前の基板についての反射率などを測定することで算出する方法がある。そして、基板の界面係数が決定されると、処理は次のステップへ進む。
続いて、基板に対して膜が形成される(ステップS6)。このような成膜プロセスとしては、スピンコート法やCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相蒸着)法といった、各種の成膜方法を用いることができる。
そして、成膜プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光(反射光)または当該試料を透過した光(透過光)に基づいて、反射または透過の波長分布特性(スペクトル)が取得される(ステップS8)。この反射または透過の波長分布特性は、成膜プロセスの完了後に測定されるのが一般的であるが、成膜プロセスの実行中(インライン)に測定してもよい。このように、基板上に膜が形成されたサンプルについての、反射または透過の波長分布特性の測定が完了すると、処理は次のステップへ進む。
続いて、基板の屈折率n、消衰係数kおよび界面係数αに基づいて、試料の光学特性を示すモデル式が決定され、取得された波長分布特性に基づいて、当該モデル式を定義するパラメータが決定される(ステップS10)。典型的には、フィッティング処理により、モデル式が取得された波長分布特性と一致するように、収束計算が実行される。より具体的には、以下のような処理が実行される。
まず、基板と膜との界面で生じる散乱による反射率の低下を考慮した界面係数αを用いて、シミュレーションのためのモデル式が決定される(ステップS101)。続いて、屈折率n1および消衰係数k1を含む、基板上に形成された膜のモデル式が決定される(ステップS102)。さらに、各パラメータの初期値が設定される(ステップS103)。この状態で、収束計算(フィッティング処理)が開始される。
より具体的には、まず、決定したモデル式およびパラメータの現在値に基づいて算出された波長分布特性と、基板から取得(測定)された波長分布特性との間の誤差が算出され(ステップS104)、算出された誤差が所定のしきい値以下であるか否かが判断される(ステップS105)。算出された誤差が所定のしきい値を超えている場合(ステップS105においてNOの場合)には、1または複数のパラメータの値を更新し(ステップS106)、ステップS104以下の処理が再度実行される。
算出された誤差が所定のしきい値以下である場合(ステップS105においてYESの場合)には、当該時点のパラメータの値が収束値として出力される(ステップS107)。
このように、フィッティング処理では、シミュレーションにより算出された反射波長分布特性/透過波長分布特性と、測定された反射波長分布特性/透過波長分布特性との誤差を算出し、その誤差が最小値に収束するように、繰り返し計算が実行される。このようなフィッティング誤差の最小化には、典型的には、ニュートン法、パターン法、ガウス−ニュートン法といった非線形最小二乗法を用いることができる。
フィッティング処理が完了すると、決定されたパラメータから試料の光学特性値が算出される(ステップS12)。より具体的には、基板上に形成された膜の膜厚d1、屈折率n1および消衰係数k1が決定される。そして、決定された光学特性値が出力される(ステップS14)。
このとき、出力前に決定された試料の光学特性値に対して、妥当性を評価してもよい。妥当性ではないと評価された場合には、ステップS103の初期値を異ならせた上で、ステップS104以下の処理が再度実行される。
なお、大量生産に向けられた成膜プロセスでは、実質的に同一の物理的/化学的特性を有する基板が複数用意される。そのため、成膜プロセスが連続的に実行される場合には、各ロットの最初でステップS2およびS4の処理を実行すれば、同一ロット内の他の基板については、ステップS2およびS4の処理を省略してもよい。上述の妥当性の評価ステップは、このようなステップS2およびS4の処理を省略したような場合に有効である。例えば、妥当性が不適合と判断された場合には、測定対象の基板の界面係数が変化して、先に測定された値とは異なる界面係数を有するようになったものと推定される。この場合には、ステップS2およびS4の処理を再度実行することで、基板の界面係数を更新すればよい。
また、ステップS10(S101〜S107)〜S14の処理は、成膜プロセスの実行完了直後に行われる必要はなく、最終的な品質管理工程において実行されてもよい。
<E.構成例>
次に、本実施の形態に従う光学特性測定システムの構成例について説明する。
(e1:全体構成)
図4は、本実施の形態に従う光学特性測定システムの構成例を示す模式図である。図5は、本実施の形態に従う光学特性測定システムに含まれる装置の配置例を示す模式図である。
本実施の形態に従う光学特性測定システム1は、基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料(特に、膜部分)の光学特性(膜厚、屈折率、消衰係数など)を測定する。図4を参照して、光学特性測定システム1は、典型的には、分光エリプソメータ100と、分光測定装置200と、成膜装置300(または、350)とを含む。
分光エリプソメータ100は、成膜前の基板のエリプソパラメータを測定する。より具体的には、分光エリプソメータ100は、成膜前の基板を測定し、当該基板の屈折率および消衰係数を決定する。すなわち、分光エリプソメータ100は、成膜プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するための構成に相当する。後述するように、分光エリプソメータ100を用いることなく、基板の屈折率および消衰係数を決定してもよい。
分光測定装置200は、成膜前の基板および/または成膜後の試料について、反射または透過の波長分布特性を取得する。一例として、分光測定装置200は、収束レンズを用いて測定対象を拡大して観測可能な顕微分光測定装置であるとする。
より具体的には、分光測定装置200は、成膜前の基板の反射率(反射スペクトル)を測定し、その測定した反射率から基板の界面係数αを決定する。すなわち、分光測定装置200は、基板の界面係数を取得するための構成に相当する。後述するように、分光測定装置200を用いることなく、基板の界面係数αを決定してもよい。
屈折率、消衰係数および界面係数の測定後、基板は、成膜装置300(または、350)へ搬送され、その中で成膜プロセスが実行される。成膜プロセスの実行後、あるいは、実行中において、分光測定装置200は試料の反射率(反射スペクトル)を測定する。すなわち、分光測定装置200は、成膜プロセスによって膜が生成された試料について、当該試料で反射された光(または、当該試料を透過した光)に基づいて、反射率(または、透過率)の波長分布特性を取得するための構成に相当する。
本実施の形態においては、分光測定装置200は、界面係数αを決定する構成、および、試料の反射率(反射スペクトル)を測定する構成の一部として機能する。
解析装置400(図5)は、界面係数αを用いたモデル式を測定された反射率(反射スペクトル)にフィッティングさせる処理を行い、試料の膜厚などを解析する。すなわち、解析装置400は、基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、波長分布特性に基づいて、モデル式を定義するパラメータを決定するための構成に相当する。さらに、解析装置400は、決定されたパラメータから試料の光学特性値(膜厚、消衰係数、屈折率)を算出するための構成にも相当する。
図4に示す各装置は、適用先のアプリケーションに応じて適宜配置される。一例として、図5(a)〜(c)に示すようなレイアウトが考えられる。
図5(a)に示すレイアウトでは、成膜装置300(または、350)の前段に、分光エリプソメータ100および分光測定装置200が配置される。搬入されたワーク(基板)は、分光エリプソメータ100および分光測定装置200でそれぞれ必要な測定が行われた後、成膜装置300(または、350)へ搬送されて、成膜プロセスが実行される。成膜プロセスの実行後、ワーク(試料)は、分光測定装置200へ再度搬送されて必要な測定が行われた後、次工程へ送られる。解析装置400は、分光エリプソメータ100および分光測定装置200から測定値を取得するとともに、試料の光学特性値を算出する。このレイアウトでは、1つの分光測定装置200を用いて、成膜前後の試料を測定できるので、コストを抑制することができる。
図5(b)に示すレイアウトでは、成膜装置300(または、350)の前段に、分光エリプソメータ100および分光測定装置200−1が配置されるとともに、分光測定装置200−2が配置される。搬入されたワーク(基板)は、分光エリプソメータ100および分光測定装置200−1でそれぞれ必要な測定が行われた後、成膜装置300(または、350)へ搬送されて、成膜プロセスが実行される。成膜プロセスの実行後、ワーク(試料)は、分光測定装置200−2へ搬送されて必要な測定が行われた後、次工程へ送られる。このレイアウトでは、上流側から下流側へ測定装置および成膜装置が連続的に配置されるので、成膜処理の効率を高めることができる。
図5(c)に示すレイアウトは、図5(b)に示すレイアウトにおいて、分光エリプソメータ100を除いた構成に対応する。後述するように、成膜前の基板の屈折率nおよび消衰係数kが既知である場合などに適している。
本実施の形態に従う光学特性測定システム1のレイアウトとしては、図5(a)〜(c)に示すものに限られず、本実施の形態に従うシミュレーション解析に必要な情報を取得できるものであれば、どのようなレイアウトを採用してもよい。
以下、各装置のより詳細な構成について説明する。
(e2:分光エリプソメータ)
図6は、本実施の形態に従う分光エリプソメータ100の構成を示す模式図である。図6を参照して、分光エリプソメータ100は、光源102と、光ファイバ104,106と、検出器108と、投光部110と、受光部120とを含む。
光源102が発生する光(入射光)は、光ファイバ104を介して投光部110へ送られる。投光部110は、偏光子112を有しており、光源102からの光は偏光子112で円偏光の光に変えられた後、試料2へ照射される。光源102が発生する光の種類(波長)は、基板および基板上に形成される膜の材質に応じて、適宜選択される。例えば、可視光(360nm−830nm)、近紫外(200nm−360nm)、および近赤外(830nm−2000nm)のうちいずれかの波長領域の光が用いられる。
投光部110から照射された光は、試料2で反射して、受光部120へ入射する。受光部120へ入射する光の偏光は、試料2の表面の状態に依存することになる。受光部120は、検光子122および検光子122を駆動するモータ124を含む。検光子122は、入射した試料2からの反射光を直線偏光の光へ変える。モータ124が回転駆動することにより、試料2からの反射光の偏光成分が抽出されることになる。
受光部120で抽出された偏光成分は、検出器108へ送られる。検出器108は、受光部120からの光に含まれる各波長成分(スペクトル)を検出する。すなわち、検出器108は、分光検出器である。一例として、検出器108は、回折格子およびマルチチャンネルフォトディテクタを含む。マルチチャンネルフォトディテクタは、典型的には、CCD(Charge Couple Device)やPDA(Photo Detector Array)といった、多波長の光検出器からなる。検出器108の検出結果は、解析装置400(図5)へ出力される。
(e3:分光測定装置)
図7は、本実施の形態に従う分光測定装置200の構成を示す模式図である。図7を参照して、分光測定装置200は、測定用光源202と、観測用光源204と、出射部206と、ハーフミラー208,212と、結像レンズ214と、観測用カメラ216と、モニター218と、検出器220とを含む。
測定用光源202が発生する測定光(入射光)は、ハーフミラー208および212を通じて、試料2へ照射される。試料2への照射経路には、結像レンズ214が配置されている。結像レンズ214は、測定光のビーム径を調整するために、測定用光源202からの測定光を収束光線に変換した上で、測定光を試料2へ照射する。測定用光源202が発生する光の種類(波長)は、基板および基板上に形成される膜の材質に応じて、適宜選択される。例えば、可視光(360nm−830nm)、近紫外(200nm−360nm)、および近赤外(830nm−2000nm)といった波長領域の光が用いられる。
試料2へ照射された測定光は、試料2で反射して、入射経路を反対方向に伝搬する。反射光は、結像レンズ214およびハーフミラー212を通じて、検出器220へ入射する。検出器220は、受光部120からの光に含まれる各波長成分(スペクトル)を検出する。すなわち、検出器220は、分光検出器である。検出器220は、図6に示す検出器108と同様に、回折格子およびマルチチャンネルフォトディテクタを含む。
分光測定装置200は、測定光が照射されている位置を容易にユーザが確認できるように、観測用光源204が設けられている。観測用光源204が発生する観測光(入射光)についても、測定用光源202が発生する測定光と同様に、ハーフミラー208および212を通じて、試料2へ照射される。観測用光源204とハーフミラー208との間には、出射部206が設けられている。出射部206は、照射位置を示すレチクル像が投影されるように、観測光の断面の一部を遮へいして陰を生じさせた状態で、観測光を試料2へ照射する。
この観測光についても、試料2で反射して、入射経路を反対方向に伝搬する。観測用カメラ216は、この反射した観測光を撮像し、その撮像した内容をモニター218へ表示する。ユーザは、モニター218に映し出されるレチクル像に基づいて、測定光の照射位置などを知る。
観測光は、測定光の照射位置を観測するためのものであるので、測定用光源202が発生する光と観測用光源204が発生する光とは、その波長範囲は重複しないように設定されることが好ましい。
なお、透過率の波長分布特性(透過スペクトル)を測定する場合には、測定光を入射する側とは反対の側に検出器220が配置される。これにより、試料2の一方面から測定光が入射され、試料2を透過した後に、その他方面から放射される光を測定することができる。
(e4:成膜装置)
本実施の形態に従う測定方法は、特定の成膜プロセスに向けられるものではなく、基本的には、いずれの成膜プロセスにも適用可能である。典型例として、スピンコート法およびCVD法に係る成膜装置について説明する。
図8は、本実施の形態に従う成膜装置300の構成を示す模式図である。図9は、本実施の形態に従う成膜装置350の構成を示す模式図である。
図8を参照して、成膜装置300は、スピンコート法を採用したものである。成膜装置300は、スピンコーターとも称される。成膜装置300では、試料2がモータ304によって高速回転されるとともに、重力上方に設けられたターゲット302からレジストなどが滴下される。滴下されたレジストは、高速回転により生じる遠心力で一律の厚さで拡散する。このようなプロセスによって、基板上に膜が形成される。
次に、図9を参照して、成膜装置350は、CVD法を採用したものである。成膜装置350は、真空状態に保たれた処理槽360の内部に試料2が配置されるとともに、供給配管362を介して処理槽360の内部に原料ガスが供給される。処理槽360内の空気は、排出配管364を介して排出されることで、所定の真空度が保たれる。この供給された原料ガスが試料2の表面で化学反応を生じ、その生成物として膜が形成される。
(e5:解析装置)
図10は、本実施の形態に従う解析装置400の構成を示す模式図である。図10を参照して、図10を参照して、解析装置400は、代表的にコンピュータによって実現され、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)400と、CPU402でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するメモリ412と、CPU402で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)410とを含む。解析装置400を構成する各コンポーネントは、バス416を介して、互いにデータ通信可能に接続されている。
ハードディスク410は、本実施の形態に従う光学特性測定方法を実現するためのシミュレーションプログラム420が予め記憶されている。シミュレーションプログラム420などのプログラムは、典型的には、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)414aなどの記録媒体に格納されて流通する。CD−ROM414aに格納されたシミュレーションプログラム420は、CD−ROMドライブ414によって読み取られ、ハードディスク410へインストールされる。
CPU402は、キーボードやマウスなどからなる入力部408を介してユーザなどからの指示を受取るとともに、シミュレーションプログラム420の実行などによって算出される結果などをディスプレイ404へ出力する。
<F.屈折率/消衰係数の取得>
次に、上述の図3のステップS2における、成膜前の基板の屈折率nおよび消衰係数kの取得に係る手順の一例についてより詳細に説明する。
(f1:分光エリプソメータの利用)
まず、図7に示す分光エリプソメータ100を用いて、成膜前の基板について、屈折率nおよび消衰係数kを算出する方法について説明する。分光エリプソメータ100を用いて、その表面で散乱が生じる基板23を測定した場合、上述の(5)式に示すように、界面係数αは互いにキャンセルされて、その影響を受けることがない。すなわち、成膜前の基板については、散乱の影響を受けることなく、エリプソパラメータを測定できる。
光学特性測定システム1は、処理前の基板から測定されたエリプソパラメータに基づいて、基板の屈折率nおよび消衰係数kを算出する。より具体的には、投光部110から試料2へ照射される入射光の入射角φおよび測定されるエリプソパラメータ(振幅比Ψおよび位相差Δ)を用いて、(6)式および(7)式を連立させることで、屈折率nおよび消衰係数kを算出できる。
Figure 0006023485
分光エリプソメータ100を使用する場合には、解析装置400が、分光エリプソメータ100から出力されるエリプソパラメータなどを用いて、上述(6)式および(7)式を解くことで、屈折率nおよび消衰係数kを決定する。
(f2:理論値の利用)
Si(シリコン)やAu(金)などの屈折率および消衰係数などが既知である基板の場合には、その既知の値をそのまま利用するようにしてもよい。この場合には、材質別に屈折率および消衰係数(理論値)を解析装置400内に予め用意しておき、ユーザなどからの指定に応じて、対応する屈折率および消衰係数を読み出すようにしてもよい。
<G.界面係数の決定処理>
次に、上述の図3のステップS4における、基板の界面係数αの取得に係る手順の一例についてより詳細に説明する。
(g1:理想状態の基板との比較による方法)
本実施の形態においては、図7に示す分光測定装置200を用いて、成膜前の基板の反射率(反射スペクトル)を測定する。この測定された反射率(反射スペクトル)を基準となる反射率(反射スペクトル)と比較することで、基板の界面係数αが算出される。基準となる反射率(反射スペクトル)については、その表面で散乱を生じない理想的な基板から測定された値を採用することができる。
光学特性測定システム1は、界面係数αが既知の標準基板(理想状態の基板)および成膜前の基板についての測定された反射率(または、透過率)同士を比較することで、成膜前の基板の界面係数αを算出する。言い換えれば、光学特性測定システム1は、基板の界面係数αを取得するために、その表面で散乱を生じない理想的な基板、および、散乱による反射率が低下し得る基板(成膜プロセスの対象となる基板)の2つを用意し、それぞれの基板から測定される反射率(反射スペクトル)を比較することで、界面係数αを決定する。
より具体的には、その表面で散乱を生じない理想的な基板から測定された反射率Rsimと、散乱による反射率が低下し得る基板から測定された反射率Rmesとから、(8)式に従って界面係数αを算出する。この場合には、分光測定装置200によってそれぞれ測定される反射率を用いて、解析装置400が界面係数αを算出する。
Figure 0006023485
(g2:理論値との比較による方法)
Si(シリコン)やAu(金)などの反射率、屈折率および消衰係数などが既知である基板の場合には、これらの値から理論上の反射率を算出できる。そこで、理論値から算出される理論上の反射率Rsimと、散乱による反射率が低下し得る基板から測定された反射率Rmesとから、上述した(8)式と同様の式に従って界面係数αを算出する。この場合には、解析装置400が理論上の反射率Rsimを算出するとともに、分光測定装置200から反射率を受取って、界面係数αを算出する。
光学特性測定システム1は、成膜前の基板についての測定された反射率(または、透過率)を予め定められた理論値と比較することで、成膜前の基板の界面係数αを算出する。
(g3:分光エリプソメータの利用)
界面係数αの算出の前段階として、分光エリプソメータ100を用いて、基板の屈折率nおよび消衰係数kを算出している場合には、この算出された屈折率nおよび消衰係数kを用いて、理論上の反射率を算出できる。そこで、分光エリプソメータ100により測定された値から算出される理論上の反射率Rsimと、散乱による反射率が低下し得る基板から測定された反射率Rmesとから、上述した(8)式と同様の式に従って界面係数αを算出する。この場合には、解析装置400が、分光エリプソメータ100から屈折率nおよび消衰係数kを受取って理論上の反射率Rsimを算出するとともに、分光測定装置200から反射率を受取って、界面係数αを算出する。
(g4:規定値の利用)
何らかの理由で、界面係数αを上述したいずれの方法でも決定できない場合には、界面係数αの波長依存性を考慮せず、一定値としてもよい。
(g5:検出範囲)
基板の反射率を測定する場合において、光の散乱を生じる荒れの周期(大きさ)と、測定エリアの大きさとの関係から、測定される反射率が一律ではなく、部分的に変化する可能性がある。一般的には、測定エリアが小さいほど、理想状態での反射率と比較した低下量は小さく、一方、測定エリアが大きいほど、理想状態での反射率と比較した低下量は大きく表れる。そのため、分光測定装置200では、測定エリアを比較的小さくすることで、このような反射率の本来の値からの乖離を抑制する。
なお、分光測定装置200が測定する位置によって、測定される反射率が異なる場合には、以下のような処理を行うことで、反射率を測定し、界面係数αを安定的に決定してもよい。
(1)複数の箇所を測定して得られる反射率を平均化した上で、平均化後の反射率から界面係数αを算出する。
(2)分光測定装置200の測定エリアを大きくすることで、理想状態での反射率と比較した低下量が安定化することがあり、この場合には、この安定化して測定された反射率を用いて界面係数αを算出する。
<H.パラメータ決定処理(フィッティング処理)>
次に、上述の図3のステップS10における、試料の光学特性を示すモデル式を定義するパラメータの決定に係る手順の一例についてより詳細に説明する。
上述の図3のステップS8においては、試料についての反射率(反射スペクトル:波長分布特性)が取得される。この反射率は、上述の(2)式に示すモデル式(理論値)と一致すると考えることができる。(2)式に示すモデル式に含まれるパラメータのうち、図2に示す媒質0(雰囲気)に関するパラメータは既知であり、媒質2(基板)に関するパラメータについてはステップS2およびS4において取得済である。そのため、(2)式に示すモデル式が取得された反射率と一致するように、媒質1(膜)に関する物理定数(膜厚d、屈折率nおよび消衰係数kなど)を探索する。この探索方法としては、公知の方法を採用することができる。このとき、モデル式に含まれるパラメータを別のパラメータに置換した上で、フィッティング処理を行ってもよい。このようなパラメータの置換によって、フィッティング処理をより高速化できる。
このパラメータ決定処理(フィッティング処理)は、解析装置400がシミュレーションプログラム420を実行することで実現される。
<I.測定例>
次に、本実施の形態に従う光学特性測定方法による測定結果の一例を実測値と比較して示す。図11は、本実施の形態に従う光学特性測定方法による測定結果の一例を示す図である。図11には、ヘアライン加工されたAl(アルミニウム)基板に対して成膜した結果を示す。図11(a)は、膜厚が10.1[nm](実測値)の測定結果を示し、図11(b)は、膜厚が298.5[nm](実測値)の測定結果を示す。
図11(a)においては、比較のため、ヘアライン加工されていない、表面が理想的に理想状態にあるAl基板についての反射率シミュレーションの結果を示す。ヘアライン加工された基板の実測値と比較すると、ヘアライン加工によって、反射率が低下していることがわかる。この反射率の低下によって、ヘアライン加工された基板に成膜された試料についても、その反射率は低下する。また、基板が理想状態にあるとした場合(界面係数αを考慮しない場合)には、より高い反射率を示すことになり、実測値とのずれが生じる。
これに対して、本実施の形態に従う光学特性測定方法によれば、界面係数αを反映したモデル式を用いるので、実測値とほぼ一致した結果を得ることができる。すなわち、図11(a)において、界面係数αを考慮して算出された、成膜前の基板の反射率シミュレーション結果、および成膜後の基板の反射率シミュレーション結果は、いずれも実測値をよく反映していることがわかる。
<J.利点>
本実施の形態に従う光学特性測定方法は、界面での散乱を反映した界面係数αを含むモデル式を用いることで、本来の反射率を考慮したシミュレーションを行うことができる。すなわち、従来の方法では、散乱のない理想状態にある基板を想定しており、界面での反射率の低下は考慮されていなかったが、本実施の形態においては、この界面での散乱を考慮しつつ、試料の状態を測定できる。また、界面係数は波長依存性を有するが、本実施の形態においては、この波長依存性を有する界面係数を適切に決定することもできる。
従来の方法では、Ra(表面粗さ)が測定波長の1/10程度以下であれば、EMA法(有効媒質近似法)を用いたシミュレーションが可能であったが、鏡面仕上げされない金属表面やヘアライン加工された基板表面のRaは0.1−10μmあり、この従来の方法を採用することができなかった。本実施の形態によれば、このような表面粗さが比較的大きい試料であっても、より正確にシミュレーションを行うことができる。
本実施の形態に従う光学特性測定システムは、生産ラインなどに配置されることで、光学特性値の非破壊測定を全ワークについて行うこともできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 光学特性測定システム、2 試料、21,23 基板、22,24 膜、100 分光エリプソメータ、102 光源、104,106 光ファイバ、108,220 検出器、110 投光部、112 偏光子、120 受光部、122 検光子、124,304 モータ、200 分光測定装置、202 測定用光源、204 観測用光源、206 出射部、208,212 ハーフミラー、214 結像レンズ、216 観測用カメラ、218 モニター、300,350 成膜装置、302 ターゲット、360 処理槽、362 供給配管、364 排出配管、400 解析装置、402 CPU、404 ディスプレイ、408 入力部、410 ハードディスク、412 メモリ、414 CD−ROMドライブ、414a CD−ROM、416 バス、420 シミュレーションプログラム。

Claims (6)

  1. 基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料の光学特性を測定する光学特性測定システムであって、
    前記プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するための第1の光学定数取得手段と、
    前記基板の波長依存性を有する界面係数を取得するための第2の光学定数取得手段と、
    前記プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光または当該試料を透過した光に基づいて、反射率または透過率の波長分布特性を取得するための分光特性取得手段と、
    前記基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、前記試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、前記波長分布特性に基づいて、前記モデル式を定義するパラメータを決定するためのパラメータ決定手段と、
    前記パラメータ決定手段によって決定されたパラメータから前記試料の光学特性値を算出するための特性値算出手段とを備え
    前記第2の光学定数取得手段は、
    界面係数が既知の標準基板および前記基板についての測定された反射率または透過率を比較することで、前記基板の界面係数を算出し、または、
    前記基板についての測定された反射率または透過率を予め定められた理論値と比較することで、前記基板の界面係数を算出する、光学特性測定システム。
  2. 前記第1の光学定数取得手段は、前記基板から測定されたエリプソパラメータに基づいて、前記基板の屈折率および消衰係数を算出する、請求項1に記載の光学特性測定システム。
  3. 前記モデル式を定義するパラメータは、前記基板上に形成される膜の厚み、屈折率、消衰係数を含み、
    前記パラメータ決定手段は、フィッティング処理によって、前記基板上に形成される膜の厚み、屈折率、消衰係数の値を決定する、請求項1または2に記載の光学特性測定システム。
  4. 前記パラメータ決定手段は、前記基板および前記膜の少なくとも一方が複数の層からなる場合において、各層について前記モデル式を決定するとともに、層ごとにパラメータを決定する処理を繰り返す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学特性測定システム。
  5. 前記光学特性測定システムは、分光測定装置を含み、
    前記分光測定装置は、前記第2の光学定数取得手段および前記分光特性取得手段の少なくとも一部として機能する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学特性測定システム。
  6. 基板上に膜を形成するプロセスにおいて、当該基板上に膜が形成された試料の光学特性を測定する光学特性測定方法であって、
    前記プロセスでの処理前の基板について、屈折率および消衰係数を取得するステップと、
    前記基板の波長依存性を有する界面係数を取得するステップと、
    前記プロセスでの処理によって生成された試料について、当該試料で反射された光または当該試料を透過した光に基づいて、反射率または透過率の波長分布特性を取得するステップと、
    前記基板の屈折率、消衰係数および界面係数に基づいて、前記試料の光学特性を示すモデル式を決定するとともに、前記波長分布特性に基づいて、前記モデル式を定義するパラメータを決定するステップと、
    決定されたパラメータから前記試料の光学特性値を算出するステップとを含み、
    前記界面係数を取得するステップは、
    界面係数が既知の標準基板および前記基板についての測定された反射率または透過率を比較することで、前記基板の界面係数を算出するステップ、または、
    前記基板についての測定された反射率または透過率を予め定められた理論値と比較することで、前記基板の界面係数を算出するステップ、を含む、光学特性測定方法。
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