JP2002048068A - 可変容量型圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容量制御弁の給電線の磨耗を防止することが
可能な可変容量型圧縮機を提供する。 【解決手段】基端部２８３の先端には内周面２８４から
外側方に傾斜して環状のテーパ面２８６が形成されてい
る。基端部２８３の一部には、溝部２９０が設けられて
いる。溝部２９０は、内周面２８４に対してほぼ直角方
向に施された面取り２８７とテーパ面２８６とをＲ面取
り２８８して形成されている。即ち溝部２９０は面取り
２８７、Ｒ面取り２８８及びテーパ面２８６が協働して
角を伴わない面を形成している。溝部２９０は、ハウジ
ング外周壁１３１からの突出量が、他の残りの個所の基
端部２８３より少なくなっている。このように形成され
た溝部２９０に図示しない給電線が当接している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両空調
装置に使用される可変容量型圧縮機に関し、詳しくは可
変容量型圧縮機の容量制御弁周辺のハウジングの改良に
関する。

【０００２】

【従来の技術】特開平８−３３８３６４号公報に開示さ
れる可変容量型圧縮機では、制御圧室の圧力と吸入圧領
域の吸入室との差圧に基づいて吐出容量を変えるように
なっている。即ち、制御圧室の圧力は、吐出圧領域であ
る吐出室から制御圧室へ冷媒を供給すると共に、制御圧
室から吸入圧領域である吸入室へ冷媒を抜き出して調整
される。吐出室から制御圧室へ冷媒を供給するための圧
力供給通路上には容量制御用の容量制御弁が介在されて
いる。容量制御弁の弁体は、ソレノイドの励磁によって
閉弁位置側へ付勢される。容量制御弁に対する供給電流
値は、予め設定された設定室室温と検出された検出室温
との比較に基づいて決定されるようになっている。設定
室温と検出室温との差が大きいほど供給電流値が大きく
され、容量制御弁における弁開度が小さくなる。弁開度
が小さいほど斜板傾斜が大きくなり、吐出容量が大きく
なる。

【０００３】図４は、従来の圧縮機の容量制御弁周りの
構造を示す。即ち、容量制御弁８０はリアハウジング９
０に形成された収容室８５に収容されており、収容室８
５はその基端部８６をリアハウジング９０の外周壁から
突出して形成している。基端部８６は円環形状をなし、
基端部８６の内周面８７には環状の凹部８８が設けられ
ている。凹部８８にはサークリップ８９が嵌合されてお
り、容量制御弁８０を抜け止めしている。容量制御弁８
０の上面をなすコネクタ８１の中央突出部には、結線部
８２が設けられており、ソレノイド（図示せず）を作動
するための給電線８３が結線されている。給電線８３に
は給電線８３を保護するためのカバー９１が被覆されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】容量制御用の容量制御
弁８０は多くの場合リアハウジング９０に取り付けられ
ているが、リアハウジング９０の外周壁から外方への容
量制御弁８０のはみ出しは、圧縮機の取り付け対象に対
する圧縮機の取り付けの妨げとなる。特に、車両の空調
装置の一部として車両に圧縮機を搭載する場合、圧縮機
の搭載スペースには制約があり、リアハウジング９０の
外周壁から外方への容量制御弁８０のはみ出し量を少な
くすることが要求される。

【０００５】ここで前記従来構成の圧縮機においては、
容量制御弁８０のはみ出し量を少なくために、コネクタ
８１の結線部８２が、基端部８６周縁よりも収容室８５
側へいくらかでも奥まって配置されている。このように
結線部８２が配置されたことで、外部駆動源から結線部
８２に繋がる給電線８３が基端部８６周縁に当接しがち
となった。しかし従来構成の圧縮機では、容量制御弁８
０を収容する目的だけのために収容室８５を形成してお
り、給電線８３が基端部８６に接触することを想定して
いないために、基端部８６周縁は角を残して形成されて
いた。

【０００６】一方、給電線８３にはカバー９１が被覆さ
れているが、カバー９１は給電線８３を結線部８２まで
被覆していない。これは給電線８３をコネクタ８１に結
線するためにはカバー９１に被覆されていない給電線８
３が一定長必要となるためである。即ち、給電線８３は
結線作業の作業性を確保するため、基端部８６付近にお
いてカバー９１で被覆することができない。

【０００７】このようにカバー９１に被覆されていない
給電線８３が基端部８６周縁の角に当接していると、圧
縮機自身の運転や、取り付け対象であるエンジンの運転
によるそれぞれの振動のために、長期間の間には給電線
８３の当接部が磨耗されやすいという問題があった。

【０００８】本発明は、上記従来技術に存在する問題点
に着目してなされたものであって、その目的は、容量制
御弁の給電線の磨耗を防止することが可能な可変容量型
圧縮機を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１の発明では、吸入圧領域又は吐出圧領域と制
御圧室とを連通する通路を開閉して、該制御圧室内の圧
力を変更することにより、吐出容量を変更するようにし
た外部制御式の容量制御弁をハウジングの収容室に収容
した可変容量型圧縮機において、該収容室の基端部周縁
には角を伴わない面が形成されており、前記容量制御弁
へ繋がる給電線の該基端部への当接は前記角を伴わない
面によって受承されることを要旨とした。この発明によ
れば、給電線が基端部に当接する際は、該基端部に形成
された角を伴わない面によって受承され、給電線が磨耗
することがない。

【００１０】請求項２の発明では、請求項１に記載の可
変容量型圧縮機において、前記角を伴わない面は、前記
基端部周縁の一部分に形成されていることを要旨とし
た。

【００１１】請求項３の発明では、請求項２に記載の可
変容量型圧縮機において、前記基端部はハウジング外周
壁よりも突出して形成されており、前記角を伴わない面
は前記ハウジング外周壁からの突出量が他の残りの個所
よりも少なく構成されていることを要旨とした。この発
明によれば、収容室の基端部がリアハウジング外周壁か
ら突出した形状においても、給電線の基端部周縁への接
触力を和らげることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形
態について図１〜図３に基づいて説明する。

【００１３】図１に示すように、フロントハウジング１
２はシリンダブロック１１の前端に接合固定されてい
る。リアハウジング１３は、シリンダブロック１２の後
端に接合固定されている。フロントハウジング１２、シ
リンダブロック１１及びリアハウジング１３は、圧縮機
のハウジングを構成している。フロントハウジング１２
及びシリンダブロック１１には回転軸１６が回転可能に
支持されており、フロントハウジング１２内に区画され
た制御圧室１２１を貫通している。回転軸１６には制御
圧室１２１内において斜板１４が回転軸１６と一体回転
可能かつ傾動可能に支持されている。シリンダブロック
１１には複数のシリンダボア１１１が形成されている。
回転軸１６の周囲に等間隔で環状に配列されたシリンダ
ボア１１１内にはピストン１５が往復動可能に収容され
ている。駆動軸１６の回転運動は斜板１４及びシュー１
７を介してピストン１５の往復動に変換される。

【００１４】シリンダブロック１１とリアハウジング１
３との間にはバルブプレート１８、弁形成プレート１
９，２０及びリテーナ形成プレート２１が介在されてい
る。リアハウジング１３内は、吸入室２２と吐出室２３
とが区画形成されている。

【００１５】バルブプレート１８には吸入ポート１８１
が吸入室２２及び各シリンダボア１１１に対応して形成
されている。又バルブプレート１８及び弁形成プレート
１９には吐出ポート１８２が吐出室２３及び各シリンダ
ボア１１１に対応して形成されている。弁形成プレート
１９には吸入弁１９１が形成されており、弁形成プレー
ト２０には吐出弁２０１が形成されている。吸入弁１９
１は吸入ポート１８１を開閉し、吐出弁２０１は吐出ポ
ート１８２を開閉する。

【００１６】ここで、回転軸１６が図示しない外部駆動
源により回転駆動され、ピストン１５が上死点側から下
死点側へ移動されると、吸入室２２内の冷媒が吸入ポー
ト１８１から吸入弁１９１を押し退けてシリンダボア１
１１内へ流入する。シリンダボア１１１内に吸入された
冷媒は、ピストン１５の下死点側から上死点側への移動
により所定の圧力に達するまで圧縮され、吐出弁２０１
を押し退けて吐出ポート１８２から吐出室２３へ吐出さ
れる。吐出弁２０１はリテーナ形成プレート２１上に形
成されたリテーナ２１１に当接して開度規制される。吐
出室２３に吐出された冷媒は吐出通路５１を介して図示
しない外部冷媒回路に吐出される。同外部冷媒回路へ流
出した冷媒は、外部冷媒回路上の凝縮器、膨張弁、蒸発
器を経由して、吸入室２２へ還流する。

【００１７】吸入室２２と制御圧室１２１とは抽気通路
２９により連通されている。吐出室２３と制御圧室１２
１とは給気通路２６により連通されており、給気通路２
６上には外部制御式の電磁式容量制御弁２７が介在され
ている。容量制御弁２７はリアハウジング１３の後端部
に穿設された収容室２８に収容されている。給気通路２
６は吐出室２３の冷媒を制御圧室１２１へ供給する。

【００１８】容量制御弁２７のソレノイド３９は駆動回
路４４からの供給電流値に応じて駆動される。駆動回路
４４はコントローラ（図示しない）の励消磁制御を受
け、該コントローラは車両の室内の温度を検出する室温
検出器（図示しない）によって得られる検出室温及び室
温設定器（図示しない）によって設定された目標室温に
基づいて容量制御弁２７の励消磁を制御する。

【００１９】容量制御弁２７内の感圧手段３６を構成す
るベローズ３６１には吸入室２２内の圧力（吸入圧）が
感圧室３６３を介して作用している。吸入室２２内の吸
入圧は熱負荷を反映している。ベローズ３６１には弁体
３７が接続されており、弁体３７は弁孔３８を開閉す
る。ベローズ３６１内の大気圧及び感圧手段３６を構成
する感圧ばね３６２のばね力は、弁孔３８を開く方向へ
弁体３７に作用する。容量制御弁２７のソレノイド３９
を構成する固定鉄心３９１は、コイル３９２への電流供
給による励磁に基づいて可動鉄心３９３を引き付ける。
即ち、ソレノイド３９の電磁駆動力は、開放付勢ばね４
０のばね力に抗して弁孔３８を閉じる方向へ弁体３７を
付勢する。追従ばね４１は可動鉄心３９３を固定鉄心３
９１側へ付勢する。弁孔３８における開閉具合、即ち弁
開度は、ソレノイド３９で生じる電磁駆動力、追従ばね
４１のばね力、開放付勢ばね４０のばね力、感圧手段３
６の付勢力のバランスによって決まり、容量制御弁２７
は、ソレノイド３９に供給される電流値に応じた吸入圧
をもたらす制御を行う。

【００２０】供給電流値が決められると弁開度が減少
し、吐出室２３から制御圧室１２１への冷媒供給量が減
る。制御圧室１２１内の冷媒は、抽気通路２９を介して
吸入室２２へ流出しているため、制御圧室１２１内の圧
力が下がる。従って斜板１４の傾角が増大して吐出容量
が増える。供給電流値が下げられると弁開度が増大し、
吐出室２３から制御圧室１２１への冷媒供給量が増え
る。従って制御圧室１２１内の圧力が上がり、斜板１４
の傾角が減少して吐出容量が減る。

【００２１】ソレノイド３９に対する電流供給値が零に
なると弁開度が最大となり、図１に鎖線で示すように斜
板１４の傾角が最小となる。ソレノイド３９に対する電
流供給を再開すると弁開度が小さくなり、制御圧室１２
１内の圧力が下がる。従って、斜板１４の傾角が最小傾
角から増大してゆく。

【００２２】以上は従来構成の可変容量圧縮機と同様の
構成である。次に本実施形態の要部構成を説明する。

【００２３】図１に示すように、リアハウジング１３に
形成された収容室２８は容量制御弁２７の感圧手段３６
側を収容する小径部２８１と、容量制御弁２７のソレノ
イド３９側を収容する大径部２８２とから構成されてい
る。大径部２８２はその基端部２８３をリアハウジング
１３の外周壁１３１から外側方へ突出させている。図２
及び図３に示すように、基端部２８３の内周面２８４に
は環状の凹部２８５が形成されている。図３に示すよう
に、基端部２８３の周縁には内周面２８４から外側方に
傾斜して環状のテーパ面２８６が形成されている。この
テーパ面２８６は基端部２８３の全周にわたって形成さ
れている。

【００２４】その中で、基端部２８３の周縁の一部に
は、溝部２９０が設けられている。この溝部２９０は、
内周面２８４に対してほぼ直角方向に施された面取り２
８７とテーパ面２８６とをＲ面取り２８８して形成され
ている。即ち溝部２９０は面取り２８７、Ｒ面取り２８
８及びテーパ面２８６が協働して角を伴わない面を形成
している。溝部２９０は、ハウジング外周壁１３１から
の突出が、他の残りの個所の基端部２８３より少なくな
っている。尚、図３中では、面取り２８７を構成する面
を点線で延長して示している。

【００２５】上記構成の収容室２８には、容量制御弁２
７が収容されている。図１及び図２に示すように、容量
制御弁２７はソレノイド３９側の端部にコネクタ４２が
形成されている。コネクタ４２は中央に突出部を備えて
おり、該突出部の結線部４７から、内周面２８４に対し
て直角方向に給電線４３が延出している。そして給電線
４３の延出方向の延長線上に前記溝部２９０が形成され
ている。給電線４３には給電線４３を保護するためのカ
バー４６が基端部２８３の手前まで被覆されている。給
電線４３はその一部を収容室２８に潜らせており、基端
部２８３に形成された溝部２９０に当接するようにして
基端部２８３を跨いでおり、駆動回路４４と繋がってい
る。容量制御弁２７は、凹部２８５に嵌合されたサーク
リップ４５にコネクタ４２の端面が当接することによっ
て収容室２８からの抜け止めがなされている。尚、図２
においては給電線４３が溝部２９０に当接していない
が、これは図面が煩雑にならないためであり、実際の実
施形態においては当接ないしは近接している。

【００２６】上記構成の本実施形態においては、以下の
ような効果を奏する。

【００２７】（１）給電線４３が当接するテーパ面２８
８には面取り２８７及びＲ面取り２８６が施されてい
る。従って、給電線４３はカバー４６に被覆されていな
くても、角を伴わない平面ないしは曲面で支承されてい
るため、圧縮機やエンジンの振動によって給電線４３が
磨耗することがない。

【００２８】（２）面取り２８７及びＲ面取り２８６が
施されたテーパ面２８８は溝部２９０を構成しており、
リアハウジング外周壁１３１からのはみ出しが他の残り
の個所の基端部２８３に比べて少なくなっている。従っ
て、給電線４３が基端部２８３を跨ぐための変形量を少
なくすることができ、一層給電線４３が磨耗し難い。

【００２９】本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、例え
ば、以下の様態でも実施できる。

【００３０】○ 面取り２８７を施さず、Ｒ面取り２８
８のみを施すこと。このような構成においても、角を伴
わない面を形成することができ、上記実施形態と同様の
効果が期待できる。

【００３１】○ 面取り２８７やＲ面取り２８８を基端
部２８３の一部に溝部２９０としてでなく、全周ないし
は広範囲に設けること。これにより、給電線４３の角度
的結線自由度が増す。

【００３２】○ 本実施形態の圧縮機では基端部２８３
をリアハウジング外周壁１３１から突出して形成されて
いるが、収容室２８が突出していない構成の圧縮機にお
いて具体化しても良い。

【００３３】

【発明の効果】上記構成の本発明によれば、容量制御弁
の給電線の磨耗を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施形態を示す可変容量圧縮機の縦断面図。

【図２】 図１の要部拡大一部破断側面図。

【図３】 図２の要部拡大断面図。

【図４】 従来の圧縮機を示す要部拡大一部破断側面
図。

【符号の説明】

１１…シリンダブロック、１１１…シリンダボア、１２
…フロントハウジング、１２１…制御圧室、１３…リア
ハウジング、１３１…リアハウジング外周壁、２２…吸
入圧領域である吸入室、２３…吐出圧領域である吐出
室、２６…給気通路、２７…容量制御弁、２８…収容
室、２８３…基端部、２８６…テーパ面、２８７…面取
り、２８８…Ｒ面取り、２９…抽気通路、４３…給電
線、４４…外部駆動回路、２９０…溝部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 雅樹 愛知県刈谷市豊田町２丁目１番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Ｆターム(参考） 3H003 AA03 AB07 AC03 CD01 CF03 3H076 AA06 BB26 BB28 CC05 CC20 CC46 CC83 CC84

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸入圧領域又は吐出圧領域と制御圧室と
   を連通する通路を開閉して、該制御圧室内の圧力を変更
   することにより、吐出容量を変更するようにした外部制
   御式の容量制御弁をハウジングの収容室に収容した可変
   容量型圧縮機において、 該収容室の基端部周縁には角を伴わない面が形成されて
   おり、前記容量制御弁へ繋がる給電線の該基端部への当
   接は前記角を伴わない面によって受承されることを特徴
   とする可変容量型圧縮機。
2. 【請求項２】 前記角を伴わない面は、前記基端部周縁
   の一部分に形成されていることを特徴とする請求項１に
   記載の可変容量型圧縮機。
3. 【請求項３】 前記基端部はハウジング外周壁よりも突
   出して形成されており、前記角を伴わない面は前記ハウ
   ジング外周壁からの突出量が他の残りの個所よりも少な
   く構成されていることを特徴とする請求項２に記載の可
   変容量型圧縮機。