JP2002047937A - ファンのステー構造およびファン - Google Patents
ファンのステー構造およびファンInfo
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Abstract
において、ファン駆動モータがシュラウドに支持される
ステーを有し、そのステーによって生じるファン効率の
低下と騒音増加を抑制する。 【解決手段】 ステー6は縦横比>1の断面形状を有
し、その断面の長手方向を車両の停止時から低速走行時
にかけての空気流a〜bの方向に向け、高速走行時にお
ける空気流cによって発生するステー6の負圧側の側面
6aにキャビティ10が設けられる。
Description
搭載される軸流型または斜流型のファンにシュラウドを
設け、ファンの下流側で前記シュラウドに翼のボスを支
持するようにしたステー構造およびその構造を備えたフ
ァンに関する。
タやクーラを空冷するために軸流型または斜流型のファ
ンが搭載される。図6は車両搭載用の軸流ファンの1例
を示す側面略図、図7はその翼部分を示す正面図であ
る。ファン1はモータによって回転するボス2と、その
ボス2に放射状に固定された複数の翼3とを有する。そ
のファン1の外周には小隙を介して樹脂製の筒状のシュ
ラウド5が被嵌され、そのシュラウド5の先端縁がラジ
エータ4の縁部に固定され、シュラウド5の後端側の中
心部にモータ取付け部が設けられ、そのモータ取付け部
とシュラウド5の内面との間が複数の放射状のステー6
により連結されている。そしてモータ取付け部に固定さ
れたモータの回転軸にファン1のボス2の中心が固定さ
れている。なお7はカークーラ用のコンデンサである。
ファン1の翼3が回転すると、車両の前方から矢印のよ
うに空気が吸入され、ラジエータ4やコンデンサ7が冷
却される。そしてファン1の翼3を通過した空気流は下
流側に配置される複数のステー6の間を抜けて排出され
る。
例を示す断面図である。図8を例としてステー6の作用
を説明すると、図8のステー6は略角型断面を有し、そ
の下流側に肉抜きの結果としての2つのスリット8が設
けられる。そしてスリット8の間は補強用のリブ9とさ
れる。この図8の下部に車速に対する空気流方向の変化
を示す。aは車両の停止時におけるファンの駆動に基づ
く空気流で、その方向は車両の進行方向に垂直な線Sに
対して比較的鋭角な角度α1になる。bは車両の低速走
行時(例えば10〜30Km/Hr)の空気流で、その
方向は車両の進行方向に垂直な線Sに対してより鈍角な
角度α2になる。cは車両が高速走行時(例えば50〜
100Km/Hr)の空気流で、その方向は車両の進行
方向に垂直な線Sに対して直角に近い角度α3になる。
角な角度α1(70度程度)になるのは、翼3の回転に
よる空気流の旋回(偏流)効果に強く影響されるためで
ある。その際の空気流aは翼3の後方に配置されるステ
ー6の周囲を矢印のように斜めに通過し、そのためステ
ー6の両側面の流速は不均衡になる。側面の流速が早く
なるとその近傍が負圧になる共に、層流または乱流の境
界層が発達して側面近傍での流速が限りなく遅くなり、
ついには逆流が発生して流れが側面から剥離する。この
ような流れの剥離はステー6の抗力係数を大きくしてフ
ァン効率を低下させ、回転騒音を増加させるので好まし
くない。
行風の動圧(ラム圧)のエネルギーによる影響が幾分大
きくなり、空気流bの角度α2は停止時の角度α1より
鈍角になり、流れの剥離程度およびステー6の抗力係数
はそれに応じて幾分低下する。高速走行時は走行風によ
る動圧のエネルギーの影響がかなり大きくなり、空気流
cの角度α3は直角に近い値になるので、流れの剥離、
及びそれによるステー6の抗力係数はかなり低くなる。
図9のステー6は断面が細長い矩形であるが、その車速
と抗力係数の関係は図8の場合とあまり差はない。
ステー6は車両停止時または低速走行時に抗力係数の増
加によるファン効率の低下と回転騒音の増加が大きくな
る傾向がある。しかし実用的にはこのような特性とは逆
に、車両停止時または低速走行時に高いファン効率と低
騒音性が求められている。そこで本発明は、このような
従来のステーにおける問題を解決することを課題とし、
そのための新しいファンのステー構造、およびそのステ
ー構造を備えたファンの提供を目的とするものである。
構造は、車両に搭載する軸流型または斜流型のファンに
シュラウドを設け、ファンの下流側で前記シュラウドに
翼のボスを支持するようにしたステー構造である。この
ステー構造におけるステーは、縦横比>1の断面形状を
有し、その断面長手方向が車両の停止時から低速時の範
囲におけるファンの空気流の方向に向けられ、車両の高
速走行時におけるファンの空気流によって発生するステ
ーの負圧側の側面にキャビティが設けられることを特徴
とする(請求項1)。
ィをステーの断面長手方向に間隔を置いて設けることが
できる(請求項2)。上記いずれかのステー構造におい
て、ステーの断面形状を流線形とすることができる(請
求項3)。上記いずれかのステー構造において、樹脂の
一体成型によりシュラウドとステーを形成し、キャビテ
ィの深さ方向をその成型時の型抜き方向に形成すること
ができる(請求項4)。また本発明のファンは、上記い
ずれかのステー構造を備えた車両に搭載する軸流型また
は斜流型のファンである(請求項5)。
より説明する。図1は本発明のステー構造を備えたファ
ンの背面図、図2は図1におけるステー部分の拡大図、
図3は図2におけるA−A断面図およびその部分拡大説
明図である。この例ではファンがモータの回転軸を介し
て4本のステー6によって筒状のシュラウド5に支持さ
れている。なお説明を簡略化するため図1におけるファ
ンは翼を省略して示してある。シュラウド5とステー6
は樹脂で一体成型されるが、場合によってはアルミニュ
ムやその合金などの金属で一体的に鋳造することもでき
る。
形状は縦横比>1の細長い卵型のような流線形とされ
る。この縦横比は1以上であればよいが、望ましい縦横
比は1〜3程度の範囲である。図8において示した車速
に対する空気流方向の変化、すなわち、車両の停止時に
おけるファン駆動に基づく空気流a、車両の低速走行時
(例えば10〜30Km/Hr)の空気流b、車両が高
速走行時(例えば50〜100Km/Hr)の空気流c
が図3の下部にも示されている。そして空気流aの方向
は車両の進行方向に垂直な線Sに対して比較的鋭角な角
度α1、空気流bの方向はそれより鈍角な角度α2、空
気流cの方向は直角に近い角度α3になり、これらは実
験により決定される。
ァンの軸方向から傾斜するように向けられ、この例では
その断面長手方向が車両の停止時におけるファンの空気
流aの方向に向くように傾斜している。このようにステ
ー6の断面長手方向を空気流aの方向に向けると、車両
の停止時において、図3(a)のように空気流aはステ
ー6の2つの側面6a,6bの表面を等速で分流して下
流側に流れる。そのためそれらの表面を流れる速度が著
しく増加するということはないので、流れの剥離は発生
しにくく抗力係数の増加を防止でき、高いファン効率と
低騒音性を維持することができる。そしてステー6の断
面形状を図3(a)のように流線型とすると、流れがよ
り均一化されて無用な乱れの発生を抑制し、これらの効
果を一層向上させることができる。
が低速走行になったときは、角度α1の空気流aはそれ
より多少鈍角α2の空気流bに変わる。その際、空気流
bはステー6の2つの側面6a,6bの表面をやや不等
速で分流して下流側に流れる。空気流bがステー6の2
つの側面6a,6bの表面を不等速で分流すると、流れ
の早い側面6aは負圧傾向になって流れの剥離を発生し
やすくなるが、その不均衡の程度は比較的低いので実用
上はそれほど問題を生じない。ステー6の側面6aには
複数のキャビティ10(この例では2つのキャビティ1
0a、10b)が設けられている。このキャビティ10
は側面6aに発生する流れの剥離を抑制する作用がある
(その詳細な説明は後述する)。したがって空気流bに
おいても多少の抗力係数の増加はあるものの、実用的に
は満足できるファン効率と低騒音性を維持することがで
きる。
向を車両の停止時の空気流aから低速時の空気流bの方
向までの範囲内に配置することができる。上記のように
空気流aの方向に向けると車両の停止時に最適化され、
空気流bの方向に向けると低速走行時に最適化され、そ
の中間方向に向けるとそれに相当する空気流のときに最
適化される。したがって、停止時から低速走行時までの
範囲内で最適化を所望する領域における空気流の方向に
ステー6の断面長手方向を向ければよい。
その角度α3は前記のように略直角であるため、傾斜し
たステー6の2つの側面6a,6bを空気流cが不等速
で分流して流れ、側面6aの流速はかなり速くなる。そ
のため側面6aの近傍では負圧が発生して流れの剥離が
発生し易くなる。しかしこの剥離は側面6aに設けたキ
ャビティ10によって有効に抑制される。一般に、キャ
ビティは境界層制御に効果があると言われている。しか
しその厳密に詳細なメカニズムは今だはっきりとは解明
されていない。主流は側面6aに接して流れてキャビテ
ィ10の開口部を蓋する状態になっており、キャビティ
10内には渦流が形成されている。このとき、図3
(b)に示すようにキャビティ10の上流側壁面開口端
部付近から渦uが連続的に下流側へ放出され、しかもこ
の渦が又はキャビティ開口部の流体が、振動している。
このため、エネルギー密度の小さい発達した境界層に何
らかの作用をし(恐らくはエネルギーを与えて)、キャ
ビティ10の前後で境界層の厚みをt1 からt2 に小さ
くし抑制することができるものと推測される。
ー6の軸方向に沿って列状に多数設けられる。この例で
はキャビティ10a,10bの2列構成であるが、例え
ばキャビティ10aのみとした1列構成でもよく、ある
いは3列以上の構成にすることもできる。ステー6の断
面長手方向に複数列のキャビティ10を設けると、車両
の中速走行時から高速走行時にわたってキャビティ効果
を効率的に発揮させることができる。すなわち、流れの
剥離点は高速走行に移るに従って、ステー6の下流側か
ら上流側に移動してくる傾向がある。そのため中速走行
時には下流側に設けたキャビティ10bが主に剥離の抑
制作用を受け持ち、高速走行時には上流側に設けたキャ
ビティ10aが主に剥離の抑制作用を受け持つ。
ィ10は、その深さ方向を樹脂成型に際しての型抜き方
向に一致させることができ、それによって複数のキャビ
ティ10を有するステー6と筒状のシュラウド5を容易
に樹脂で一体成型することができる。図4は、本発明の
ステー6(図3)を使用したファンと、従来のステー6
(図8)を使用したファンについて、それぞれの車速に
対する抗力係数の変化を示すものである。本発明のステ
ー6は従来のステー6より全般的に抗力係数が小さく、
特に高ファン効率と低騒音性を要求される車両停止時か
ら低速走行時にかけて、抗力係数の増加を抑制する効果
の大きいことがわかる。なお、自動車のファンにおいて
騒音が最も気になるのは、停車時および低速走行時であ
る。
た。効果はファンの空気流量に対する静圧およびファン
静圧効率の変化により判定した。参考までに図8に示す
ステー6に代えたファンについても同様に試験した。な
お試験ファンは一般の小型自動車に搭載される軸流型の
ものであり、ファンの回転数(rpm)は試験中一定に
維持した。図5にその結果を示す。本発明のステーを使
用したファンの静圧は従来のステーを使用したファンの
5%程度高く、ファン効率は3%程度高くなっている。
このファン効率3%という値は翼形状のみにより改善す
るにはかなり難易度の高い値であり、本来ファンのボス
を支持する役目を果たすステーによってそれを達成でき
ることは非常に意味の大きいことである。また自動車用
ラジエータと組み合わせた回転騒音試験によれば、従来
のステーを使用した場合より1.5dB程度の回転騒音
低下が認められた。
テーの断面長手方向を車両の停止時から低速時の範囲に
おけるファンの空気流の方向に向けるように傾斜させ、
さらに車両の高速走行時におけるファンの空気流によっ
て発生するステーの負圧側の側面にキャビティを設けた
ことを特徴とし、それによって車両の停止時や低速走行
時には主に前者の傾斜の効果によって流れの剥離を抑制
し、高速走行時には主に後者のキャビティの効果によっ
て流れの剥離を抑制することができる。そのため車両の
停止時から高速走行時までの広い領域において、ステー
近傍における流れの剥離を有効に抑制し、高いファン効
率と低騒音性を維持することができる。
ィをステーの断面長手方向に間隔を置いて設けることが
でき、それによって車両の中速走行から高速走行の領域
で移動する剥離を各キャビティで分担させて抑制するこ
とができる。上記いずれかのステー構造において、ステ
ーの断面形状を流線形とすることができ、それによって
流れを均一化し、剥離抑制効果を一層向上させることが
できる。上記いずれかのステー構造において、樹脂の一
体成型によりシュラウドとステーを形成し、キャビティ
の深さ方向をその成型時の型抜き方向に形成することが
でき、それによってシュラウドとステーを容易に成型す
ることが可能になる。
図。
説明図。
ンおよび車速に対する抗力係数の変化を示す図。
したファンの単体性能試験図。
Claims (5)
- 【請求項1】 車両に搭載する軸流型または斜流型のフ
ァン(1)にシュラウド(5)を設け、ファン(1)の
下流側で前記シュラウド(5)に翼(3)のボス(2)
を支持するようにしたステー構造において、 前記ステー(6)は縦横比>1の断面形状を有し、その
断面の長手方向が車両の停止時から低速時の範囲におけ
るファン(1)の駆動に伴う空気流の方向に向けられ、 且つ、車両の高速走行時における空気流によって発生す
るステー(6)の負圧側の側面(6a)にキャビティ
(10)が設けられることを特徴とするファンのステー
構造。 - 【請求項2】 複数のキャビティ(10)がステー
(6)の断面の幅方向に間隔を置いて設けられる請求項
1に記載のファンのステー構造。 - 【請求項3】 ステー(6)の断面外形状が流線形とさ
れる請求項1または請求項2に記載のファンのステー構
造。 - 【請求項4】 樹脂の一体成型によりシュラウド(5)
とステー(6)が形成され、キャビティ(10)の深さ
方向がその成型時の型抜き方向に形成された請求項1な
いし請求項3のいずれかに記載のファンのステー構造。 - 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
載のステー構造を備えた車両に搭載する軸流型または斜
流型のファン。
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- 2000-07-31 JP JP2000232355A patent/JP4369023B2/ja not_active Expired - Fee Related
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