JP2002047342A - ポリエステルブロック共重合体組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステルブロック共重合体組成物及びその製造方法

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JP2002047342A
JP2002047342A JP2000233759A JP2000233759A JP2002047342A JP 2002047342 A JP2002047342 A JP 2002047342A JP 2000233759 A JP2000233759 A JP 2000233759A JP 2000233759 A JP2000233759 A JP 2000233759A JP 2002047342 A JP2002047342 A JP 2002047342A
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polyester
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JP2000233759A
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Masanori Sakane
正憲 坂根
Atsushi Watabe
淳 渡部
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブロー成形を始めとする様々の成形に支障な
く適用できる優れた成形性を有し、且つ耐熱性が良好で
ゴム弾性を有するポリエステルブロック共重合体組成
物。 【解決手段】 結晶性芳香族ポリエステルとラクトン類
を反応させてポリエステルブロック共重合体を得るに際
し、カルボキシル基、ヒドロキシル基および/またはそ
れらのエステル形成性基を分子中に3個以上有する多官
能化合物の少なくとも一種を、結晶性芳香族ポリエステ
ル100モル%に対して0.1〜200モル%添加し、
得られたポリエステルブロック共重合体100重量部に
対し、少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化
合物の1種を0.1〜5.0重量部の範囲で配合し、溶
融混合して得られたポリエステルブロック共重合体組成
物を固相状態で加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性芳香族ポリ
エステルとラクトン類からなるポリエステルブロック共
重合体組成物、及びその製造方法に関し、ブロー成形
性、耐熱性に優れる。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエステルとラクトン類とを反
応せしめたポリマーの製法としては、結晶性芳香族ポリ
エステルとラクトンを反応させる方法(特開昭48−4
116号公報)、結晶性芳香族ポリエステルとラクトン
を反応させ、得られる初期共重合体に多官能アシル化剤
を反応させて鎖延長させる方法(特開昭48−4115
号公報)、結晶性芳香族ポリエステルの存在下でラクト
ン類を固相重合させる方法(特公昭52−49037号
公報)等が知られている。
【0003】これらの方法によって得られるポリマー
は、優れたゴム状弾性を有し、且つ耐候性においても優
れたものであるが、耐熱性が不十分であり、高温に長時
間曝されると粘度、強度、伸度の低下が著しいという欠
点がある。また、ブロー成形において重要な因子となる
歪み硬化性という特性を持ち合せておらず、ブロー成形
において均一な厚みの成形物を得ることはできない。
【0004】そこで、上記の様なポリエステル型ブロッ
ク共重合体の耐熱性や成形性を改善するため、1官能以
上のエポキシ化合物を配合する方法(特開昭58−16
2654号公報)、1官能以上のエポキシ化合物および
脂肪族カルボン酸金属塩を配合する方法(特開昭59−
152947号公報)、1官能以上のエポキシ化合物お
よびエチレン−カルボン酸共重合体を配合する方法(特
開昭59−155458号公報)等が提案された。しか
しながら、これらの方法によって得られる組成物は溶融
粘度が比較的低い、歪み硬化性と脂肪族カルボン酸金属
塩配合量との相関が取り難く品質が安定しない、耐熱性
が十分上がらない等の問題点があった。
【0005】最近、これらの問題点を全て解決させる方
法として2官能基以上を有するエポキシ化合物およびイ
ミダゾール化合物を配合する方法(特開平07−331
046号公報)が提案されたが、歪み硬化性は未だ不十
分であり、ブロー成形において均一な厚みの成形物を得
ることはできず、また着色が著しいという問題点を有し
ていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したよう
な問題点に着目してなされたものであって、その目的は
ブロー成形を始めとする様々の成形に支障なく適用でき
る優れた成形性を有し、且つ耐熱性が良好でゴム弾性を
有するポリエステルブロック共重合体組成物を提供しよ
うとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、結晶性芳
香族ポリエステルとラクトン類を反応させてポリエステ
ルブロック共重合体を得る際に、特定官能基を有する脂
肪族又は芳香族多官能化合物の特定量を添加し、得られ
るポリエステルブロック共重合体にエポキシ化合物を添
加し、固相状態で加熱して得られたポリエステルブロッ
ク共重合体組成物は、歪み硬化性が向上し、かかる問題
点を解決し得ることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0008】本発明の第1は、結晶性芳香族ポリエステ
ル(A)とラクトン類(B)を反応させてポリエステル
ブロック共重合体を得るに際し、カルボキシル基
(i)、ヒドロキシル基(ii)および/またはそれらの
エステル形成性基(iii)を分子中に3個以上有する多
官能化合物(D)の少なくとも一種を、結晶性芳香族ポ
リエステル(A)100モル%に対して0.1〜200
モル%添加し、得られたポリエステルブロック共重合体
(P)100重量部に対し、少なくとも1個のエポキシ
基を有するエポキシ化合物(C)の少なくとも1種を
0.1〜5.0重量部の範囲で配合し、溶融混合して得
られたポリエステルブロック共重合体組成物(Q)を固
相状態で加熱してなるポリエステルブロック共重合体組
成物(R)を提供する。本発明の第2は、多官能化合物
(D)が、少なくとも1個のカルボキシル基またはその
エステル形成基を有することを特徴とする本発明の第1
に記載のポリエステルブロック共重合体組成物(R)を
提供する。本発明の第3は、エポキシ化合物(C)が、
少なくとも一種の2官能エポキシ化合物を含むことを特
徴とする本発明の第1又は2に記載のポリエステルブロ
ック共重合体組成物(R)を提供する。本発明の第4
は、ポリエステルブロック共重合体組成物(R)が、酸
価が0.5mgKOH/g以下であり、融点Tm(R)が、エ
ポキシ化合物添加前のポリエステルブロック共重合体
(P)の融点Tm(P)よりも5℃低い温度以上 Tm(R)≧Tm(P)−5℃ であることを特徴とする本発明の第1〜3のいずれかに
記載のポリエステルブロック共重合体組成物(R)を提
供する。本発明の第5は、ポリエステルブロック共重合
体組成物(R)のMI値(MI−A)と、Tm(R)よ
り5℃以上高い温度であってJIS K 7210に記
載された温度の内、より低い温度であるよう選択された
温度にて10分加熱後のMI値(MI−B)とから求め
られる溶融粘度安定性((MI−B)/(MI−A))が
0.5〜2.0であるあることを特徴とする本発明の第
1〜4のいずれかに記載のポリエステルブロック共重合
体組成物を提供する。本発明の第6は、ブロー成形用で
ある本発明の第1〜5のいずれかに記載のポリエステル
ブロック共重合体組成物を提供する。本発明の第7は、
結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類(B)を
反応させてポリエステルブロック共重合体を得るに際
し、カルボキシル基(i)、ヒドロキシル基(ii)およ
び/またはそれらのエステル形成性基(iii)を分子中
に3個以上有する多官能化合物(D)の少なくとも一種
を、結晶性芳香族ポリエステル(A)100モル%に対
して0.1〜200モル%添加し、得られたポリエステ
ルブロック共重合体(P)100重量部に対し、少なく
とも1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(C)の
少なくとも1種を0.1〜5.0重量部の範囲で配合
し、溶融混合して得られたポリエステルブロック共重合
体組成物(Q)を固相状態で加熱することを特徴とする
ポリエステルブロック共重合体組成物(R)の製造方法
を提供する。本発明の第8は、固相状態で加熱する条件
が、不活性ガス雰囲気下にて、ポリエステルブロック共
重合体組成物(R)の固相における融点より低い温度か
らガラス転移点より高い温度迄の温度範囲内であり、且
つ120℃より高い温度(Ta)にて加熱することを特徴と
する本発明の第7に記載のポリエステルブロック共重合
体の製造方法を提供する。 Tg<Ta<Tm(R)、及び 120℃<Ta 本発明の第9は、固相状態で加熱する温度が、ポリエス
テルブロック共重合体組成物(R)の固相における融点
より100乃至5℃以上低く、且つ150℃以上高い温度(T
a)にて加熱することを特徴とする本発明の第7に記載
のポリエステルブロック共重合体の製造方法を提供す
る。 Tm(R)−100℃≦Ta≦Tm(R)−5℃、及び 150℃≦Ta 本発明の第10は、固相状態で加熱する条件が、(1)
ポリマーの固相における融点より低い温度からガラス転
移点より高い温度迄の温度範囲内であり、且つ150℃よ
り低い温度であり、且つTaよりも低い温度(Tb)にて予
備加熱した後、(2)ポリマーの固相における融点より
低い温度からガラス転移点より高い温度迄の温度範囲内
であり、且つ120℃より高い温度(Ta)にて加熱するこ
とを特徴とする本発明の第7〜9のいずれかに記載のポ
リエステルブロック共重合体の製造方法を提供する。 予備加熱温度Tb Tg<Tb<Tm(R)、 Tb<150℃、及び Tb≦Ta 加熱温度Ta Tg<Ta<Tm(R)、及び 120℃<Ta
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明に係るポリエステルブロック共重合体(P)
は、結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクトン類
(B)の反応により得られる。 結晶性芳香族ポリエステル(A) 本発明に用いられる結晶性芳香族ポリエステル(A)と
は、主としてエステル結合をもつポリマーであって、分
子末端の少なくとも一部に水酸基を有するものである。
結晶性芳香族ポリエステル(A)は高重合度を形成した
場合の融点が160℃以上のポリエステルであることが
好ましい。また、成形用材料としては、数平均分子量
5,000以上のものが好ましい。
【0010】結晶性芳香族ポリエステル(A)の具体的
な酸成分を挙げると、必須成分である芳香族ジカルボン
酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,
6−ナルタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸
等およびこれらのエステルが挙げられる。また、必要に
応じて添加される脂肪族ジカルボン酸として、炭素数2
〜20のジカルボン酸が好ましく、例えば、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ドデカンジ酸、ダイマー酸等およびこれらのエステルが
挙げられる。更に、脂環式ジカルボン酸としては、例え
ば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等およびこれ
らのエステルが挙げられる。
【0011】次に、結晶性芳香族ポリエステル(A)の
具体的なグリコール成分を挙げると、脂肪族ジオールと
して、例えば、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタ
ンジオール、1,2−ブタンジオール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオー
ル、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9
−ノナンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、ポリメチレングリコール等が挙げら
れる。また芳香族ジオールとしては、例えば、レゾルシ
ノール、ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAとエチレ
ンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオ
キサイドとの付加物、例えば、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシトリエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシポリエトキシフェニ
ル)プロパン等が挙げられる。更に、脂環族ジオールと
しては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパンや
水素化ビスフェノールAとエチレンオキサイドやプロピ
レンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物等
が挙げられる。以上の例示した結晶性芳香族ポリエステ
ル(A)の構成成分の内、結晶性、耐熱性あるいは原料
コスト面を考慮した場合、ブチレンテレフタレートおよ
びエチレンテレフタレート単位を60モル%以上含むも
のが好ましく用いられる。
【0012】ラクトン類(B) ラクトン類(B)としては、ε−カプロラクトン、2−
メチルおよび4−メチル、4,4’−ジメチル等のメチ
ル化(ε−カプロラクトン)、δ−バレロラクトン、メ
チル化(δ−バレロラクトン)、β−プロピオラクトン
等が挙げられるが、コスト面を考慮した場合、ε−カプ
ロラクトンが好ましい。更に、上記記載のラクトン成分
を1種以上有するポリマーを本発明に用いるポリエステ
ルブロック共重合体(P)の構成成分として用いること
もできる。上記結晶性芳香族ポリエステル(A)とラク
トン類(B)との共重合割合は、重量比で97/3〜5
0/50、更には90/10〜55/45が好適であ
る。更に上記結晶性芳香族ポリエステル(A)とラクト
ン類(B)とは、必要に応じて触媒を加え、加熱混合す
ることによって反応させることができる。ラクトン類
(B)の比率が上記範囲より少なすぎるとポリエステル
ブロック共重合体(P)の柔軟性が発現できず、上記範
囲より多すぎるとポリエステルブロック共重合体(P)
や得られたポリエステルブロック共重合体組成物(R)
の耐熱性が低下する。
【0013】多官能化合物(D) 本発明に使用される多官能化合物(D)は、脂肪族又は
芳香族の多官能化合物であり、カルボキシル基(i)、ヒ
ドロキシル基(ii)および/またはそれらのエステル形成
性基(iii)を分子中に3個以上有する化合物であれば特
に制限されない。上記において、エステル形成性基(ii
i)とはカルボキシル基(i)のエステル化合物、酸塩化
物、酸無水物、及びヒドロキシル基(ii)のエステル化合
物のように結晶性芳香族ポリエステル(A)及び/又は
ラクトン類(B)とエステル交換反応、縮合反応、付加
反応などにより反応できるカルボキシル基、ヒドロキシ
ル基の誘導体であり、そのうち少なくとも1個がカルボ
キシル基またはそのエステル形成基である化合物であ
る。多官能化合物(D)の好ましい例としては、ブタン
テトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;グリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン
(以下、「TMP」と略称する。)、ペンタエリスリト
ール等の脂肪族ポリオール;トリメシン酸、トリメリッ
ト酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、ピロメリ
ット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸
等の芳香族ポリカルボン酸;1,3,5−トリヒドロキ
シベンゼン等の芳香族ポリアルコール;ジメチロールプ
ロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の脂肪族ヒドロキ
シカルボン酸;4−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒド
ロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、
2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ
安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、プロトカテ
ク酸、2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸等の芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体な
どから誘導される構造単位を有する化合物を挙げること
ができる。
【0014】多官能化合物(D)の添加量は、結晶性芳
香族ポリエステル(A)100モル%に対して0.1〜
200モル%、好ましくは0.1〜150モル%であ
る。多官能化合物(D)がカルボキシル基またはそのエ
ステル形成基を有しない場合、添加量は、結晶性芳香族
ポリエステル(A)100モル%に対して好ましくは
0.1〜150モル%、更に好ましくは50〜120モ
ル%の範囲で添加する。多官能化合物の添加量が0.1
モル%よりも少ないと歪み硬化性が不十分で、ブロー成
形において均一な厚みの成形物が得られず、150モル
%よりも多くなるとエステル交換反応による融点低下が
著しくポリエステルブロック共重合体が本来有している
耐熱性に対して同等かそれ以下のものしか得られない。
また、多官能化合物(D)が少なくとも1つのカルボン
酸基またはそのエステル形成基を有する場合、結晶性芳
香族ポリエステル(A)100モル%に対して好ましく
は0.1〜200モル%、更に好ましくは50〜150
モル%の範囲で添加する。多官能化合物の添加量が0.
1モル%よりも少ないと歪み硬化性が不十分で、ブロー
成形において均一な厚みの成形物が得られず、200モ
ル%よりも多くなるとエステル交換反応による融点低下
が著しくポリエステルブロック共重合体が本来有してい
る耐熱性に対して同等かそれ以下のものしか得られな
い。
【0015】次に、本発明に係るポリエステルブロック
共重合体(P)について説明する。 ポリエステルブロック共重合体(P) 本発明に係るポリエステルブロック共重合体(P)は、
上記末端水酸基を有する結晶性芳香族ポリエステル
(A)、多官能化合物(D)及びラクトン類(B)を反
応させて得られる。反応温度は、180〜270℃、好
ましくは230〜250℃である。反応圧力は、特に制
限はなく、常圧で行うことができる。反応時間は、0.
5〜600分、好ましくは5〜120分である。原料の
装入順序及び反応の順序は、特に制限はない。本発明に
係るポリエステルブロック共重合体(P)は、数平均分
子量20,000〜100,000、融点160〜25
0℃、MFR0.1〜50g/10min(230℃,
2.16kgf)である。
【0016】次に、ポリエステルブロック共重合体
(P)と反応させるエポキシ化合物(C)について説明
する。 エポキシ化合物(C) 本発明に使用されるエポキシ化合物(C)とは、同一分
子内に1個以上のエポキシ基を有するものであれば、そ
の構造は特に制限されない。しかしながら、配合時、あ
るいは本組成物の成形加工時の熱履歴を考慮すると、グ
リシジルエーテルタイプのエポキシ化合物よりも、脂環
式エポキシあるいはグリシジルエステルタイプのエポキ
シ化合物が好適である。具体的には、下記一般式(I)
〜(V)で示される化合物を例示することができるが、
これらの化合物に限定されるものではない。
【0017】
【化1】
【0018】上記式(II)および(III)〜(V)以外
のグリシジルエステルタイプとしては、フタル酸のモノ
およびジグリシジルエステル、メチルテトラヒドロフタ
ル酸のモノおよびジグリシジルエステル、テレフタル酸
のモノおよびジグリシジルエステル、トリメリット酸の
モノ、ジ、及びトリグリシジルエステル、ダイマー酸モ
ノおよびジグリシジルエステル等が挙げられる。また、
脂環式エポキシタイプとしては、上記式(I)以外に、
ダイセル化学工業(株)社製のセロキサイド2081
(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’
−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプ
ロラクトンラクトンの2量体の付加物)、セロキサイド
2083(同3量体の付加物)、セロキサイド2085
(同4量体の付加物)、エポリードGT300、エポリ
ードGT400(何れも商品名であり、テトラヒドロ無
水フタル酸にテトラヒドロベンジルアルコールをエステ
ル化して得られる化合物もしくはこれのラクトン変性物
をエポキシ化することにより得られる。)、ビス(3,
4−エポキシシクロヘキシル)アジぺート等が挙げられ
る。グリシジルエーテルタイプとしては、メチルグリシ
ジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチ
レングリコールモノフェニルモノグリシジルエーテル、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレン
グリコールジグリシジルエーテル等である。本発明で
は、上記のエポキシ化合物を一種又は二種以上使用する
ことができる。
【0019】これらのエポキシ化合物(C)の配合量
は、該ポリエステルブロック共重合体(P)100重量
部に対して0.1〜5.0重量部、好ましくは0.25
〜3.0重量部である。配合量が0.1重量部より少な
いと、得られたポリエステルブロック共重合体組成物
(R)の一般的な耐熱性や耐水性への効果が小さくなり
耐熱老化性が著しく低下する。配合量が5.0重量部を
超えると未反応エポキシ化合物の影響により成形加工性
が悪くなったり、成形品の表面状態が粗雑になる傾向が
ある。
【0020】ポリエステルブロック共重合体組成物
(Q) ポリエステルブロック共重合体組成物(Q)は、ポリエ
ステルブロック共重合体(P)とエポキシ化合物(C)
の混合物を加熱、混練して得られる。エポキシ化合物
(C)と該ポリエステルブロック共重合体(P)との混
合は、通常溶融混合によって行われるが、それらの混合
方法には一切制限がなく、均一に混合できる方法であれ
ばどのような方法を採用してもかまわない。エポキシ化
合物の溶融混合温度は、ポリエステルブロック共重合体
の軟化温度よりも3℃程度高い温度から60℃高い温度
までの温度範囲で行うことが好ましく、さらに5℃程度
高い温度から40℃程度高い温度範囲で行うことがより
好ましい。混合温度が高い場合には熱による分解反応が
促進され、これにより耐熱性、耐加水分解性および色相
が悪化する。混合温度が低い場合には、エポキシ化合物
の分散状態が悪くなる。溶融混合時間は10秒〜10分
程度であり、好適には30秒〜5分で設定される。従来
の方法、即ち溶融混合のみによる方法に比べて、より低
温での処理が可能であり、揮発成分を低減することがで
きるため、作業環境を改善することが可能である。
【0021】ポリエステルブロック共重合体組成物
(R) ポリエステルブロック共重合体組成物(R)を得るため
に、上記で得られたポリエステルブロック共重合体組成
物(Q)を、固相状態で加熱処理する条件は、次のよう
である。固相状態で加熱する条件は、不活性ガス雰囲気
下にて、加熱温度(Ta)がポリエステルブロック共重合
体組成物(R)の固相における融点より低い温度からガ
ラス転移点より高い温度迄の温度範囲内であり、且つ12
0℃より高い温度である。 Tg<Ta<Tm(R)、及び 120℃<Ta エポキシ化合物(C)が、少なくとも一種の2官能エポ
キシ化合物を含む場合には、固相状態で加熱する温度
(Ta)が、ポリマーの固相における融点より100乃至
5℃低く且つ150℃より高い温度で加熱する。 Tm(R)−100℃≦Ta≦Tm(R)−5℃、及び 150℃≦Ta 固相状態での加熱は、下記のように二段で行うこともで
きる。 (1)ポリマーの固相における融点より低い温度からガ
ラス転移点より高い温度迄の温度範囲内であり、且つ1
50℃より低い温度であり、且つTaよりも低い温度(T
b)にて予備加熱した後、(2)ポリマーの固相におけ
る融点より低い温度からガラス転移点より高い温度迄の
温度範囲内であり、且つ120℃より高い温度(Ta)にて
加熱する。 予備加熱温度Tb Tg<Tb<Tm(R)、 Tb<150℃、及び Tb≦Ta 加熱温度Ta Tg<Ta<Tm(R)、及び 120℃<Ta
【0022】この際、無触媒でも差支えないが、触媒を
使用してもよい。触媒としては、一般にエポキシ化合物
の反応に使用されるものはすべて使用することができ、
アミン類、リン化合物、炭素原子数10以上のモノカル
ボン酸又はジカルボン酸の元素周期律表のIa又はIIa
族金属塩類等の化合物が単独で、もしくは2種類以上併
用して使用することができる。このような触媒は、エポ
キシ化合物と同時に添加してもよいし、エポキシ化合物
をあらかじめ溶融状態でポリエステルブロック共重合体
に分散させた後添加しても、逆にあらかじめ触媒を分散
させてもよい。
【0023】本発明のポリエステルブロック共重合体組
成物(R)は、酸価が0.5mgKOH/g以下であり、融
点Tm(R)が、エポキシ化合物添加前のポリエステル
ブロック共重合体(P)の融点Tm(P)よりも5℃低
い温度以上である。 Tm(R)≧Tm(P)−5℃
【0024】ポリエステルブロック共重合体組成物は、
MI値試験温度が該組成物の融点より5℃以上高い温度
であり、JIS K7210の表1に記載されている試
験温度の内、最も低い温度であり、且つ、試験荷重がM
I値の範囲が1〜30g/10分になるように選ばれた
試験条件で測定したMI値(MI−A)と、該MI−A
値測定と同一試験温度で、該MI−A値測定開始時より
も更に10分間加熱後の(MI−A)測定時と同一試験
温度、及び試験荷重によるMI値(MI−B)から求め
られる溶融粘度安定性{(MI−B)/(MI−A)}
が0.5〜2.0である。
【0025】ポリエステルブロック共重合体組成物
(R)は、数平均分子量が40,000〜200,00
0、融点が150〜280℃、MIが0.01〜5、歪
み硬化性が0.1〜2.4である。ここに歪み硬化性
は、伸張粘度測定により得た値をη E、このときの歪み
をε、また剪断粘度測定により得た値をη*としたとき
εとln(ηE/3η*)をプロットして得られる直線の
傾きを示す。
【0026】上記ポリエステルブロック共重合体組成物
(R)には、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステ
ル系あるいは有機複合亜リン酸塩、カルボジイミド化合
物などの安定剤を添加することも可能である。これらの
安定剤はポリエステルブロック共重合体組成物の酸化防
止あるいは熱安定性への効果があるため、通常ポリエス
テル系の樹脂に添加されているのが一般的である。更
に、使用される用途に応じ、適宜、顔料や耐候安定剤等
の添加剤を添加しても差し支えない。本発明において配
合される上記安定剤、添加剤の混合は、前記エポキシ化
合物の混合と同時に行ってもよいし、別々に行ってもよ
い。
【0027】本発明で得られるポリエステルブロック共
重合体組成物(R)は、歪み硬化性が大きく、ブロー成
形において均一な厚みの成形物を与える他、溶融粘度の
熱履歴による変化率が小さく、樹脂の再利用が可能であ
る。更に、固相状態での加熱でエポキシ化合物(C)と
の反応を行うという特徴から、溶融状態で反応を進めた
場合よりも色相が改善される他、溶融粘度の大きいもの
が得られ、大型成形物をブロー成形で得ることも可能で
ある。また、成形時のバリ発生が極めて少ないといった
特徴も備えている。しかも、該組成物(R)を用いて得
られる成形品は、ポリエステルブロック共重合体が本来
有している特性に加えて耐熱性においても非常に優れた
ものであり、高温に長時間曝される様な用途に用いた場
合でも熱劣化を起こすことがなく、非常に優れた物理的
特性の成形体を与える。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。また
実施例中、単に部とあるのは重量部を示す。なお、実施
例において、MI値、引張強伸度、融点、色相、酸価、
耐加水分解性、耐熱安定性、溶融粘度安定性、歪み硬化
性、ドローダウン性は以下の要領に従って測定した。 (1)MI値 流れ特性は、JIS K7210に基づき、230℃に
保持した、シリンダー状の容器内に十分に乾燥した樹脂
組成物をペレットの形態で入れ、2.160kgの荷重
を使用して測定した。樹脂組成物のMIはMI−Aであ
る。 (2)溶融粘度安定性 JIS K7210に基づき、230℃に保持した、シ
リンダー状の容器内に十分に乾燥した樹脂組成物をペレ
ットの形態で入れ、2.160kgの荷重を使用して、
上記MI−A測定開始時間より更に10分間加熱保持後
のMI値を測定した(MI−B)。得られたMI−B値
のMI−A値に対する割合(MI−B/MI−A)を溶
融粘度安定性として表現した。 (3)引張強伸度 ヒートプレスにてチップを2mm厚の平版に成形し、ダ
ンベル3号形試験片を打ち抜き、毎分200mmの速さ
で伸長し、破断したときの荷重(kg)を初期断面積
(cm2)で除した値を強度(kg/cm2)とし、破断
するまでの試料の伸びの原試料長に対する割合を伸度
(%)とする。 (4)融点 示差捜査熱量測定装置(DSC)により、JIS K
7121に従って、融解ピーク温度を融点とする。 (5)色相 日本電色工業製色差計Σ−90を用い、イエローインデ
ックス(YI)値を求めた。 (6)酸価 試料を100℃、20時間減圧乾燥後、1.0g秤量
し、ベンジルアルコール50gに160℃にて加熱溶解
する。水冷後、クロロホルム50gを加え混合、フェノ
ールフタレインを指示薬とし、1/10規定KOHエタ
ノール溶液で滴定を行った。溶解時間を10〜30分の
適当な3点を取り、0分を外挿した時の値から、さらに
別途測定したベンジルアルコール、クロロホルム混合液
の酸価を差し引いた値を酸価(mgKOH/g)として
求めた。 (7)耐加水分解性 ヒートプレスにてチップを2mm厚の平版に成形したも
のを、95℃熱水中に7日間浸漬し加水分解処理したも
のからダンベル3号形試験片を打ち抜き、毎分200mm
の速さで伸長し、破断したときの荷重(kg)を初期断
面積(cm2)で除した値を強度(kg/cm2)とし、
破断するまでの試料の伸びの原試料長に対する割合を伸
度(%)とする。破断したときの伸度を加水分解処理し
ない場合の伸度を100%として表現した。 (8)耐熱安定性 ヒートプレスにてチップを2mm厚の平版に成形したも
のを、160℃に調整したギヤオーブン中に14日間静
置し加熱処理したものからダンベル3号形試験片を打ち
抜き、毎分200mmの速さで伸長し、破断したときの
荷重(kg)を初期断面積(cm2)で除した値を強度
(kg/cm2)とし、破断するまでの試料の伸びの原
試料長に対する割合を伸度(%)とする。破断したとき
の伸度を加熱処理しない場合の伸度を100%として表
現した。 (9)歪み硬化性 伸長粘度(ηE)測定、せん断粘度測定(η+)をおこ
ない、非線型性パラメーターをln(ηE/3η+)/εと定
義し計算した。ここでεは歪みを表す。 (10)ドローダウン性 東洋精機製キャピログラフを用い、直径3mm、長さ10mm
のキャピラリーを取付け、240℃、押出速度20mm/minで
樹脂を押出し、ストランドが300mm伸びる時間が60mm伸
びる時間の何倍であったかを計算した。ブロー成形には
この値が3以上であることが好ましい。
【0029】また、本実施例中で言うポリマーのモルと
は、溶離液にヘキサフルオロイソプロパノールを用いた
GPC測定により、標準PMMA換算から求めた分子量から
換算したものである。GPCは、カラムに昭和電工株式
会社製Shodex GPC HFIP-800P、HFIP-805P、HFIP-804P、
HFIP-803Pを用い、検出器は島津製作所製RID-6Aにてお
こなった。溶離液はヘキサフルオロイソプロパノールを
使用し、カラム温度50℃、流速1.0ml/minにて測定をお
こなった。製造例1〜7で共通に使用した結晶性芳香族
ポリエステルは、酸成分としてテレフタル酸及びイソフ
タル酸とグリコール成分として1,4−ブタンジオール
からなる融点約230℃の市販のポリブチレンフタレー
トであり、数平均分子量:39,000である。多官能
化合物の添加量は上記芳香族ポリエステルの数平均分子
量を使用して計算した。ポリエステルブロック共重合体
を製造するための反応容器としては、攪拌機、温度計、
コンデンサー、溜出用ラインを具備したものを使用し
た。
【0030】[製造例1]反応容器にポリブチレンフタ
レート60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロ
ールプロパン150モル%を投入し、反応温度235℃
で1時間混合、反応させた。次いでこの温度を保ったま
ま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、こ
の減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプ
ロラクトンを除去した。得られたポリエステルブロック
共重合体の融点は190℃であり、数平均分子量は56
000であった。この共重合体をポリエステルブロック
共重合体(A)とする。
【0031】[製造例2]反応容器にポリブチレンフタ
レート60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロ
ールプロパン50モル%を投入し、反応温度235℃で
1時間混合、反応させた。次いでこの温度を保ったまま
1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、この
減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプロ
ラクトンを除去した。得られたポリエステルブロック共
重合体の融点は199℃で、数平均分子量は61000
であった。この共重合体をポリエステルブロック共重合
体(B)とする。
【0032】[製造例3]反応容器にポリブチレンフタ
レート60部、ε−カプロラクトン40部、トリメチロ
ールプロパン0.1モル%を投入し、反応温度235℃
で1時間混合、反応させた。次いでこの温度を保ったま
ま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧し、こ
の減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε−カプ
ロラクトンを除去した。得られたポリエステルブロック
共重合体の融点は205℃で、数平均分子量は7120
0であった。この共重合体をポリエステルブロック共重
合体(C)とする。
【0033】[製造例4]反応容器にポリブチレンフタ
レート60部、ε−カプロラクトン40部、2,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸150モル%を投入し、反応温度2
35℃で1時間混合、反応させた。次いでこの温度を保
ったまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧
し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε
−カプロラクトンを除去した。得られたポリエステルブ
ロック共重合体の融点は190℃で、数平均分子量は5
1000であった。この共重合体をポリエステルブロッ
ク共重合体(D)とする。
【0034】[製造例5]反応容器にポリブチレンフタ
レート60部、ε−カプロラクトン40部、2,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸80モル%を投入し、反応温度23
5℃で1時間混合、反応させた。次いでこの温度を保っ
たまま1時間かけて常圧から1torr以下まで減圧
し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にある残存ε
−カプロラクトンを除去した。得られたポリエステルブ
ロック共重合体の融点は200℃で、数平均分子量は6
3800であった。この共重合体をポリエステルブロッ
ク共重合体(E)とする。
【0035】[製造例6]反応容器に融点230℃の上
記ポリブチレンフタレート60部、ε−カプロラクトン
40部、2,4−ジヒドロキシ安息香酸0.5モル%を
投入し、反応温度235℃で1時間混合、反応させた。
次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から1t
orr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の
間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去した。得
られたポリエステルブロック共重合体の融点は204℃
で、数平均分子量は69100であった。この共重合体
をポリエステルブロック共重合体(F)とする。
【0036】[製造例7]反応容器にポリブチレンフタ
レート60部、ε−カプロラクトン40部を投入し、反
応温度235℃で1時間混合、反応させた。次いでこの
温度を保ったまま1時間かけて常圧から1torr以下
まで減圧し、この減圧状態で更に1時間の間、系内にあ
る残存ε−カプロラクトンを除去した。得られたポリエ
ステルブロック共重合体の融点は204℃で、数平均分
子量は76500であった。この共重合体をポリエステ
ルブロック共重合体(G)とする。
【0037】[製造例8]反応容器に融点230℃の上
記ポリブチレンフタレート60部、ε−カプロラクトン
40部、2,4−ジヒドロキシ安息香酸300モル%を
投入し、反応温度235℃で1時間混合、反応を実施し
た。次いでこの温度を保ったまま1時間かけて常圧から
1torr以下まで減圧し、この減圧状態で更に1時間
の間、系内にある残存ε−カプロラクトンを除去した。
得られたポリエステルブロック共重合体の融点はかなり
低下し179℃となった。このように、多官能化合物の
添加量を多くすると融点が大きく低下する。
【0038】[実施例1〜10]ポリエステルブロック
共重合体組成物は、製造例1〜6で調製したポリエステ
ルブロック共重合体100重量部に、シクロヘキサンジ
グリシジルエステル(CHDGE)、カージュラーE−
10(グリシジルタイプモノエポキシ化合物)、ステア
リン酸ナトリウム、イルガノックス1010から選択さ
れる化合物をそれぞれ表1に記載した重量部にて秤量
し、ドラムタンブラーにより室温にて30分間攪拌し
た。混合物は32mmφの2軸押出機を用いて、230℃
にて、さらに加熱時間2.5分にて押し出し、水冷後切
断し、ペレット化した。得られたペレットは加熱、攪拌
が可能で、且つ減圧、窒素パージが可能な槽型装置内に
て100℃、100torrの条件下3時間樹脂を予備加熱
する。さらに窒素パージして常圧に戻し、180℃に上
昇させ、加熱処理を行った。処理後窒素下にて冷却し、
ペレットを取り出し、MI値、引張強伸度、融点、色
相、酸価、数平均分子量、歪み硬化性、ドローダウン性
を測定した。測定条件、および結果を表2に記載する。
表1及び2より、本発明の方法により、酸価を低減する
ためのエポキシ化合物は少量でよく、ドローダウン性は
優れており、粘度低下が少なく、色相、物性的にも優れ
る樹脂が得られる。また下記比較例に比べて、溶融混合
時の揮発成分が何れも少なかった。
【0039】[比較例1〜7]ポリエステルブロック共
重合体組成物は、製造例1〜7で調製したポリエステル
ブロック共重合体100重量部に、シクロヘキサンジグ
リシジルエステル(CHDGE)、カージュラーE−1
0(グリシジルタイプモノエポキシ化合物)、ステアリ
ン酸ナトリウム、イルガノックス1010から選択され
る化合物をそれぞれ表1に記載した重量部にて秤量し、
ドラムタンブラーにより室温にて30分間攪拌した。混
合物は32mmφの2軸押出機を用いて、調整された温度
にて、さらにフィード量を調節しながら、表1に示す温
度、時間にて押し出し、水冷後切断チップ化した。得ら
れたチップはMI値、引張強伸度、融点、色相、酸価、
数平均分子量、歪み硬化性、ドローダウン性を測定し
た。条件、および測定結果を表2に記載する。表1及び
2より、一部歪み硬化性が認められるものの、その程度
は小さく、ブロー成形に必要な耐ドローダウン性も小さ
いことがわかる。また、酸価を十分に低下させるために
はより多くのエポキシ化合物を必要とし、色相、粘度等
の物性が悪化することが解る。
【0040】[比較例8]製造例7で得られたポリエス
テルブロック共重合体100重量部に、ダイセル化学工
業(株)社製のセロキサイド2021を30重量部、2
−フェニルイミダゾール化合物を1重量部配合し2軸押
出機でコンパウンドすることにより調製した。得られた
組成物のMI値、引張強伸度、融点、色相、酸価、数平
均分子量、歪み硬化性、ドローダウン性を測定した。条
件、および測定結果を表2に記載する。歪み硬化性は、
認められなかった。
【0041】[比較例9〜11]実施例1〜10と同
様、ポリエステルブロック共重合体組成物は、製造例7
で調製したポリエステルブロック共重合体100重量部
にCHDGE、カージュラーE−10(グリシジルタイ
プモノエポキシ化合物)、ステアリン酸ナトリウム、イ
ルガノックス1010から選択される化合物をそれぞれ
表に記載した重量部にて秤量し、ドラムタンブラーによ
り室温にて30分間攪拌した。混合物は32mmφ2軸押
出機を用いて、230℃にて、さらに加熱時間1分にて
押し出し、水冷後切断チップ化した。得られたチップは
さらにペレットの加熱、攪拌が可能で、且つ減圧、窒素
パージが可能な槽型装置内にて100℃、100torrの
条件下3時間樹脂を予備加熱した。さらに窒素パージし
て常圧に戻し、180℃に上昇させ、加熱処理を行っ
た。処理後窒素下にて冷却し、ペレットを取り出し、M
I値、引張強伸度、融点、色相、酸価、歪み硬化性、ド
ローダウン性を測定した。条件、および測定結果を表2
に記載する。いずれも歪み硬化性は、認められなかっ
た。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、ブロー成形をはじめ、
様々の成形に支障なく適用できる優れた成形性を有し、
且つ耐熱性が良好でゴム弾性を有するポリエステルブロ
ック共重合体組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F208 AA24F LA01 4J029 AA01 AE01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA08 BA09 BA10 BB04A BB13A BC05A BD04A BD07A BF17 BF23 BF26 CA02 CA04 CA05 CA06 CB05A CB06A CB10A CC06A CD03 EG02 EG07 EG09 FC03 FC04 FC05 FC08 FC14 FC16 FC33 FC35 FC36 FC38 HA01 HB01 HB02 JB302 JE152 KH01 KH03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性芳香族ポリエステル(A)とラク
    トン類(B)を反応させてポリエステルブロック共重合
    体を得るに際し、カルボキシル基(i)、ヒドロキシル
    基(ii)および/またはそれらのエステル形成性基(ii
    i)を分子中に3個以上有する多官能化合物(D)の少
    なくとも一種を、結晶性芳香族ポリエステル(A)10
    0モル%に対して0.1〜200モル%添加し、得られ
    たポリエステルブロック共重合体(P)100重量部に
    対し、少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化
    合物(C)の少なくとも1種を0.1〜5.0重量部の
    範囲で配合し、溶融混合して得られたポリエステルブロ
    ック共重合体組成物(Q)を固相状態で加熱してなるポ
    リエステルブロック共重合体組成物(R)。
  2. 【請求項2】 多官能化合物(D)が、少なくとも1個
    のカルボキシル基またはそのエステル形成基を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のポリエステルブロック
    共重合体組成物(R)。
  3. 【請求項3】 エポキシ化合物(C)が、少なくとも一
    種の2官能エポキシ化合物を含むことを特徴とする請求
    項1又は2に記載のポリエステルブロック共重合体組成
    物(R)。
  4. 【請求項4】 ポリエステルブロック共重合体組成物
    (R)が、酸価が0.5mgKOH/g以下であり、融点Tm
    (R)が、エポキシ化合物添加前のポリエステルブロッ
    ク共重合体(P)の融点Tm(P)よりも5℃低い温度
    以上Tm(R)≧Tm(P)−5℃であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルブロッ
    ク共重合体組成物(R)。
  5. 【請求項5】 ポリエステルブロック共重合体組成物
    (R)のMI値(MI−A)と、Tm(R)より5℃以
    上高い温度であってJIS K 7210に記載された
    温度の内、より低い温度であるよう選択された温度にて
    10分加熱後のMI値(MI−B)とから求められる溶
    融粘度安定性((MI−B)/(MI−A))が0.5〜
    2.0であるあることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載のポリエステルブロック共重合体組成物。
  6. 【請求項6】 ブロー成形用である請求項1〜5のいず
    れかに記載のポリエステルブロック共重合体組成物。
  7. 【請求項7】 結晶性芳香族ポリエステル(A)とラク
    トン類(B)を反応させてポリエステルブロック共重合
    体を得るに際し、カルボキシル基(i)、ヒドロキシル
    基(ii)および/またはそれらのエステル形成性基(ii
    i)を分子中に3個以上有する多官能化合物(D)の少
    なくとも一種を、結晶性芳香族ポリエステル(A)10
    0モル%に対して0.1〜200モル%添加し、得られ
    たポリエステルブロック共重合体(P)100重量部に
    対し、少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ化
    合物(C)の少なくとも1種を0.1〜5.0重量部の
    範囲で配合し、溶融混合して得られたポリエステルブロ
    ック共重合体組成物(Q)を固相状態で加熱することを
    特徴とするポリエステルブロック共重合体組成物(R)
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 固相状態で加熱する条件が、不活性ガス
    雰囲気下にて、ポリエステルブロック共重合体組成物
    (R)の固相における融点より低い温度からガラス転移
    点より高い温度迄の温度範囲内であり、且つ120℃より
    高い温度(Ta)にて加熱することを特徴とする請求項7
    に記載のポリエステルブロック共重合体の製造方法。 Tg<Ta<Tm(R)、及び 120℃<Ta
  9. 【請求項9】 固相状態で加熱する温度が、ポリエステ
    ルブロック共重合体組成物(R)の固相における融点よ
    り100乃至5℃以上低く、且つ150℃以上高い温度(Ta)
    にて加熱することを特徴とする請求項7に記載のポリエ
    ステルブロック共重合体の製造方法。 Tm(R)−100℃≦Ta≦Tm(R)−5℃、及び 150℃≦Ta
  10. 【請求項10】 固相状態で加熱する条件が、(1)ポ
    リマーの固相における融点より低い温度からガラス転移
    点より高い温度迄の温度範囲内であり、且つ150℃より
    低い温度であり、且つTaよりも低い温度(Tb)にて予備
    加熱した後、(2)ポリマーの固相における融点より低
    い温度からガラス転移点より高い温度迄の温度範囲内で
    あり、且つ120℃より高い温度(Ta)にて加熱すること
    を特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリエス
    テルブロック共重合体の製造方法。 予備加熱温度Tb Tg<Tb<Tm(R)、 Tb<150℃、及び Tb≦Ta 加熱温度Ta Tg<Ta<Tm(R)、及び 120℃<Ta
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022168866A1 (ja) * 2021-02-05 2022-08-11 東洋紡株式会社 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及びそれからなる押出成形品

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WO2022168866A1 (ja) * 2021-02-05 2022-08-11 東洋紡株式会社 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、及びそれからなる押出成形品

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