JP2002047291A - クマリン系化合物及びその製造方法 - Google Patents

クマリン系化合物及びその製造方法

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JP2002047291A JP2000228825A JP2000228825A JP2002047291A JP 2002047291 A JP2002047291 A JP 2002047291A JP 2000228825 A JP2000228825 A JP 2000228825A JP 2000228825 A JP2000228825 A JP 2000228825A JP 2002047291 A JP2002047291 A JP 2002047291A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光輝度が高く、堅牢性の良好な新規蛍光性
色素の提供を目的とするものである。 【解決手段】 下記一般式(I)で示されるクマリン系
化合物。 【化1】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原
子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は水素原
子またはシアノ基を表し、R6は置換基を有していても
良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表
し、R7〜R10は任意の置換基を表し、隣接する2つの
基で環を形成しても良い。Xは、−CO−又は−SO2
−基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子、−NH−また
は−NR11−であり、R11はアルキル基またはシクロア
ルキル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光性色素として
有用なクマリン系化合物及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光性色素は、樹脂、染料、イン
クなどの種々の材料の着色に利用されているが、近年そ
の蛍光効率を利用して、薄膜発光素子等の電子機器分野
への用途が開発されている。蛍光性色素については種々
の構造及び発光色の色素が知られているが、特に電子機
器分野等で要求される黄色〜赤色に高輝度で発光し、さ
らに堅牢性、溶解性等の優れた化合物は少ない。
【0003】例えば、Dyes and Pigment 1(1980)3-15に
は、下記の構造を有する2つのクマリン系化合物が報告
されている。
【0004】
【化7】
【0005】上記化合物の蛍光スペクトルのλmaxは、
化合物(VI−a)は520nm、化合物(VI−b)は6
35nmであるが、より長波長の蛍光を有する化合物
(VI−b)は溶媒への溶解性がよくないという欠点を有
する。また、これら化合物の蛍光発光の色純度が低く、
かつ発光強度も満足ゆくものでなかった。また、特開平
6−9952、特開平6−166160には下記構造を
有するクマリン系化合物が記載されている。
【0006】
【化8】
【0007】上記化合物(VII)は強い蛍光を有してい
るが、蛍光は緑色である。さらに、DE2234207
には下記構造を有するクマリン系化合物(VIII)が報告
されているが、蛍光性については報告されていない。。
【0008】
【化9】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情を鑑み、蛍
光性色素化合物においては、鮮明な黄色〜赤色を示し、
かつ優れた発光性能を有する新規な色素の開発が求めら
れている。本発明は、堅牢性、溶解性、発光効率などの
特性の優れた新規蛍光性色素の提供を目的とするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
を重ねた結果、上記構造式(VII)で示されるクマリン
系化合物の、カルボニル基をイミド基に変え、また上記
構造式(VIII)のクマリン系化合物にジュロリジン環を
導入することにより、優れた性能を有する蛍光性色素が
得られることを見出し、本発明を達成した。
【0011】即ち、本発明の要旨は、下記一般式(I)
で示されるクマリン系化合物に存する。
【0012】
【化10】
【0013】(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独
立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、
5は水素原子またはシアノ基を表し、R6は置換基を有
していても良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリー
ル基を表し、R7〜R10は任意の置換基を表し、隣接す
る2つの基で環を形成しても良い。Xは、−CO−又は
−SO2−基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子、−N
H−あるいは−NR11−であり、R11はアルキル基また
はシクロアルキル基を表す。)本発明はまた、一般式
(I)の化合物からなる色素及びその製造方法にも関す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は前記一般式(I)で示される構造を有
するものであって、クマリン骨格にイミドを有し、かつ
ジュロリジン環を有する化合物であり、ジュロリジン環
を有するイミド型のクマリン系蛍光性色素は未だ知られ
ておらず新規な色素である。
【0015】一般式(I)に於いて、R1、R2、R3
びR4は、それぞれ同じ又は異なっていてもよく、水素
原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、好ましく
は水素原子またはメチル基であり、より好ましくはR1
〜R4全てがメチル基である。R5は水素原子またはシア
ノ基を表し、水素原子、シアノ基ともに好ましい。一般
式(I)において、R6が置換していても良いアルキル
基を表す場合、アルキル基としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペン
チル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチ
ル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素
数1〜8、好ましくは1〜4の直鎖または分岐のアルキ
ル基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
置換基がハロゲン原子の場合、例えば塩素原子、臭素原
子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でもフッ素
原子が好ましい。置換基がアルコキシ基である場合、炭
素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が
挙げられ、アルコキシ置換アルキル基として総炭素数が
1〜8が好ましい。置換基がアルコキシカルボニル基で
ある場合、総炭素数等は上記アルコキシ基に準ずるもの
が好ましい。
【0016】R6が置換していても良いアリール基を表
す場合は、ベンゼン環あるいは、ナフタレン環を有する
基が好ましい。具体的には、置換基としてハロゲン原
子、置換していても良いアルキル基、アルコキシ基等を
有していても良いフェニル基、ナフチル基が挙げられ
る。置換基がハロゲン原子の場合、例えば塩素原子、臭
素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中でも塩
素原子、臭素原子、フッ素原子が好ましい。置換基がア
ルキル基の場合、アルキル基としては上述の如き炭素数
1〜8、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基
が挙げられる。置換基がアルコキシ基である場合、炭素
数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基が挙
げられ、アルコキシ置換アルキル基として総炭素数が1
〜8が好ましい。またナフタレン環のクマリン骨格への
置換位置は特に限定されない。
【0017】R6が置換していても良いヘテロアリール
基を表す場合、ヘテロアリール環としては5〜7員環の
複素環が挙げられるが、中でもチオフェン環、フラン
環、ピリジン環が好ましい。クマリン骨格への置換位置
は特に限定されないが、チオフェン環、フラン環は2−
位の位置が好ましい。置換基としては上記ベンゼン環に
準ずるものが挙げられるが、特に無置換又はハロゲン原
子で置換されたヘテロアリール基が好ましい。
【0018】R6として特に好ましくは、炭素数1〜4
のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシカルボ
ニル基、フェニル基である。一般式(I)に於いて、R
7〜R10は任意の置換基を表し、隣接する二つの基で環
を形成してもよい。任意の置換基としては、水素原子、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換してもよいア
ミノ基、水酸基、置換しても良いアルコキシ基、置換し
ても良いアリールオキシ基、置換してもよいチオール
基、置換してもよいシリル基、置換してもよいシロキシ
基、置換してもよいアルキル基、置換しても良いアリー
ル基または置換してもよいカルボニル基を表す。
【0019】具体的には、ハロゲン原子としては、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子な挙げられる。置換しても
良いアミノ基としては、アミノ基の他に、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の
ジ低級アルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジナフ
チルアミノ基等のジアリールアミノ基等が挙げられる。
置換してもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エ
トキシ基、イソプロポキシ基、t−ブチルオキシ基等の
直鎖もしくは分岐鎖を有するアルコキシ基の他に、クロ
ロメトキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、メトキシメ
トキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、ベンジロキ
シ基等のアリール置換アルコキシ基、ヒドロキシメトキ
シ基等の水酸基置換アルコキシ基等が挙げられる。置換
してもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、
ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基の他に、クロロ
フェニルオキシ基等のハロゲン化アリールオキシ基、メ
トキシフェニルオキシ基等のアルコキシ置換アリールオ
キシ基、メチルフェニルオキシ基等のアルキル置換アリ
ールオキシ基等が挙げられる。置換してもよいチオール
基としては、チオール基の他に、メチルチオ基、エチル
チオ基、イソプロピルチオ基、t−ブチルチオ基等のア
ルキルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のア
リールチオ基等が挙げられる。置換してもよいシリル基
としては、トリメチルシリル基、トリメトキシシリル
基、tーブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニ
ルシリル基等の低級アルキル基、アルコキシ基又はアリ
ール基で置換されたシリル基が挙げられる。置換しても
良いシロキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、
トリメトキシシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリ
ルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ等の低
級アルキル基又はアリール基で置換されたシロキシ基が
挙げられる。置換してもよいアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t
−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等の炭素
数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基の他に、トリフル
オロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ベンジル基等
のアリール置換アルキル基、メトキシメチル基等のアル
コキシアルキル基等が挙げられる。置換しても良いカル
ボニル基としては、カルボン酸基のように水酸基置換の
カルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基等のアルコキシ置換カルボニル基、ベンゾイル基
等のアリール置換カルボニル基等が挙げられる。
【0020】R7〜R10のうち、好ましくは水素原子、
置換基してもよいアルキル基、または置換してもよいア
ルコキシ基であるのが望ましく、最も好ましいのはR9
〜R1 0全てが水素原子である場合である。Xは、−CO
−又は−SO2−を表わし、中でも−CO−が好まし
い。Yは、酸素原子、イオウ原子、−NH−あるいは−
NHR11(ただし、R11はアルキル基またはシクロアル
キル基である)を表わし、好ましくは、酸素原子または
イオウ原子である場合である。
【0021】これら説明した中でも、一般式(I)で示
されるクマリン系化合物で最も好ましいものは、R1
4が全てメチル基であり、R7〜R10が全て水素原子で
あり、Yは酸素原子またはイオウ原子であり、かつXが
−CO−である化合物である。一般式(I)で示される
本発明化合物の具体例を下記の表−1に示すが、本発明
化合物はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】
【0030】
【表9】
【0031】
【表10】
【0032】
【表11】
【0033】
【表12】
【0034】
【表13】
【0035】
【表14】
【0036】
【表15】
【0037】
【表16】
【0038】
【表17】 (注)表−1中、Meはメチル基、Etはエチル基、t
−Buはターシャリーブチル基を、Phはフェニル基を
表わす。
【0039】一般式(I)で示される本発明の化合物
は、例えば下式に従って製造することができる。
【0040】
【化11】
【0041】(式中、R1〜R4、R6〜R10、Yは前記
一般式(I)と同じ定義であり、Zはハロゲン原子を示
す。)すなわち、式(II)におていてR5が水素原子で
あるクマリン誘導体を、式(III)で示される酸ハロゲ
ン化物または式(IV)で示される酸無水物と反応させて
一般式(I−a)の化合物を得る。
【0042】反応は通常、不活性溶媒中で実施される。
使用される不活性溶媒としては、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ
ド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベ
ンゼン、ニトロベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、テトラヒドロフラン、トルエンまたはキシレ
ンなどが挙げられる。反応は塩基の存在下で実施される
が、溶媒が塩基を兼ねても良い。塩基性溶媒としては、
ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン
等が挙げられ、ピリジンが好適である。溶媒の使用量
は、上記の化合物(II)に対して通常5〜50重量倍、
好ましくは5〜20重量倍程度が良い。
【0043】無溶媒あるいは塩基以外の溶媒を用いる場
合、反応は適当な無機あるいは有機塩基の存在下で実施
される。無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
の水酸化物などが挙げられる。有機塩基としては、ピリ
ジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、イ
ミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、ピロール、
ピロリジン等が挙げられる。また、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラート等のアルコラート等も使用で
きる。前述のように液体有機塩基のうち、ピリジンを溶
媒としても使用することが好適である。溶媒として使用
しない場合は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、イ
ミダゾール等が好適である。この塩基の使用量は、式
(II)の化合物に対して、0.9〜10倍モルの範囲で
良いが、好ましくは、0.9〜3倍モル程度が適当であ
る。
【0044】反応温度は0℃から200℃の範囲、好ま
しくは0℃〜100℃であり、反応時間は0.5〜48
時間程度である。反応終了後、反応液を冷却し、析出し
た結晶を濾過し、メタノールまたは水で洗浄し乾燥すれ
ば目的物である(I−a)が得られる。また、冷却して
も晶出しない場合には、反応液をメタノールか水に放出
し、析出した結晶を濾過し、メタノールまたは水で洗浄
し乾燥すれば目的物が得られる。メタノールか水に放出
しても析出しない場合には、酢酸エチル、ジクロロメタ
ン等で抽出し、洗浄、乾燥、濃縮すれば良い。生成物は
懸洗、再結晶、カラムクロマトグラフィーまたは昇華精
製により精製すれば良い。
【0045】得られた上記一般式(I−a)で示される
化合物を、不活性溶媒中で一般式(V)で示されるシア
ン化合物と反応させ、さらに酸化剤で処理することによ
り、一般式(I−b)を製造することができる。使用さ
れる不活性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼ
ン、ニトロベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、テトラヒドロフラン、トルエンまたはキシレンな
どが挙げられるが、これらのうち、N,N−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)が好適である。溶媒の使用量は、
一般式(I−a)のクマリン系化合物に対して通常2〜
100重量倍、好ましくは5〜50重量倍程度が良い。
【0046】一般式(V)のシアン化合物としては、具
体的にはシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シア
ン化銅、シアン化水素が挙げられるが、これらのうち、
シアン化ナトリウム、シアン化カリウムが好適である。
これらのシアン化合物の使用量は、一般式(I−a)の
化合物に対して1〜10倍モルの範囲、好ましくは1〜
4倍モル程度が良い。
【0047】反応温度は、−78〜300℃の範囲、好
ましくは0〜50℃の範囲であり、反応時間は5分から
10時間程度である。シアン化合物との反応物は、酸化
剤で処理されるが、用いられる酸化剤としては、塩素、
臭素、ヨウ素等のハロゲン単体、四酢酸鉛、アルカリ−
ペルオキソ二硫酸塩等の過酸化物が挙げられる。これら
のうち、臭素あるいはペルオキソ二硫酸塩が好適であ
る。これら酸化剤の使用量は、一般式(I−a)のクマ
リン系化合物に対して、0.9〜10倍モル、好ましく
は0.95〜1.2倍モル程度である。
【0048】酸化剤処理の温度は、−78〜300℃の
範囲、好ましくは0〜50℃の範囲であり、処理時間は
5分から10時間程度である。反応終了後、反応液を冷
却し、析出した結晶を濾過し、メタノールまたは水で洗
浄し乾燥すれば目的物である(I−b)が得られる。ま
た、冷却しても晶出しない場合には、反応液をメタノー
ルか水に放出し、析出した結晶を濾過し、メタノールま
たは水で洗浄し乾燥すれば目的物が得られる。メタノー
ルか水に放出しても析出しない場合には、酢酸エチル、
ジクロロメタン等で抽出し、洗浄、乾燥、濃縮すれば良
い。生成物は懸洗、再結晶、カラムクロマトグラフィー
または昇華精製により精製すれば良い。
【0049】一般式(I)で示される本発明のクマリン
系化合物は、水不溶性の色素として用いるのが好まし
く、各種樹脂、塗料、インクなどの着色、繊維の染色の
他に、色素レーザ、有機EL(有機電界発光)素子、蛍
光標識試薬、蛍光コレクタ、蛍光センサ、シンチレー
タ、光ファイバ用増幅器などの色素に好適で、特に樹脂
の着色用又は有機EL素子用などに使用される蛍光性色
素として工業的に極めて有用である。
【0050】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定
されるものではない。なお、以下の実施例における化合
物のNo.は表−1の化合物のNo.に対応する。(実
施例1) 表−1 化合物No.28の合成下記式(II
−a)の化合物0.5g(1.2mmol)
【0051】
【化12】
【0052】のピリジン7.5ml溶液にヘプタフルオ
ロ−n−ブチルクロライド0.41g(1.7mmol)を加
え、室温で1時間反応させた。反応液に水を加え、析出
した結晶を濾過し、0.61gの粗生成物を得た。得ら
れた粗生成物をカラムクロマトグラフィーによる精製と
昇華精製を行い、0.08gの固体を得た。この化合物
は鮮明な黄色の蛍光を示した。
【0053】得られた固体の分析結果は次の通りであ
り、表−1のNo.28の構造の化合物であることが確
認された。
【0054】
【表18】MS:m/z 6251H−NMR(CDC
l3 (δ=ppm)):1.33(s,6H),1.59(s,6H),1.80(dt,
4H),3.40(dt,4H),7.36(t,1H),7.39(s,1H),7.96(d,1H),
8.02(d,1H),9.10(s,1H)吸収スペクトル:λmax 5
26nm(溶媒:塩化メチレン)蛍光スペクトル:λm
ax 556nm(溶媒:塩化メチレン)
【0055】(実施例2) 表−1 化合物No.13
の合成前記式(II−a)の化合物0.4g(0.9mmol)
のピリジン5.6ml溶液にピバロイルクロライド0.
17g(1.4mmol)を加え、室温で2時間反応させた。
反応液に水を加え、析出した結晶を濾過し、0.54g
の粗生成物を得た。得られた粗生成物を2回カラムクロ
マトグラフィーによる精製を行い、0.23gの固体を
得た。この化合物は鮮明な黄緑色の蛍光を示した。
【0056】得られた固体の分析結果は次の通りであ
り、表−1のNo.13の構造の化合物であることが確
認された。
【0057】
【表19】MS:m/z 5131H−NMR(CDC
l3 (δ=ppm)):1.30(s,6H),1.37(s,9H),1.49(s,6
H),1.80(dt,4H),3.28(dt,4H),7.24(s,1H),7.34(t,1H),
7.46(t,1H),7.94(d,1H),8.02(d,1H),8.71(s,1H)吸収ス
ペクトル:λmax 488nm(溶媒:塩化メチレ
ン)蛍光スペクトル:λmax 529nm(溶媒:塩
化メチレン)
【0058】(実施例3) 表−1 化合物No.10
9の合成実施例2で得られた化合物0.05g(0.1mmo
l)のDMF1ml溶液にシアン化ナトリウム0.00
5g(0.1mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。アル
オキソ二硫酸カリウム0.028g(0.1mmol)を加
え、さらに室温で3時間反応させた。反応液に水を加
え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗、乾燥し、濃縮
して粗生成物として0.06gを得た。得られた粗生成
物をカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、0.
02gの固体を得た。この化合物は赤色の鮮明な蛍光を
示した。
【0059】得られた固体の分析結果は次の通りであ
り、表−1のNo.109の構造の化合物であることが
確認された。
【0060】
【表20】MS:m/z 5381H−NMR(CDC
l3 (δ=ppm)):1.34(s,6H),1,35(s,9H),1.75(s,6
H),1.80(dt,4H),3.34(dt,4H),7.41(t1H),7.51(t,1H),
7.65(s,1H),7.94(d,1H),8.08(d,1H)吸収スペクトル:λ
max 565nm(溶媒:塩化メチレン)蛍光スペク
トル:λmax 630nm(溶媒:塩化メチレン)
【0061】(実施例4) 表−1 化合物No.28
による樹脂の着色実施例1で製造された化合物0.05
gをポリメチルメタクリレート(「アクリペットMD」
三菱レーヨン株式会社製品)100gに混合し、押し出
し機を用いて200℃で処理し、着色ペレットを作成し
た。このペレットを射出成形機で200℃×5分間で成
形し、着色成形板を作成した。
【0062】得られた着色板は強い蛍光性の黄色を示
し、耐光性、耐移行性が優れていた。また射出成型の
際、250℃で10分間滞留させたこと以外は上記と同
様に成形した着色板の色調は、200℃×5分間で成形
した着色板と同じ色調を示し、色素の熱分解による変化
はなかった。(実施例5) 表−1 化合物No.13
による樹脂の着色実施例2で製造された化合物0.05
gをポリメチルメタクリレート(「アクリペットMD」
三菱レーヨン株式会社製品)100gに混合し、押し出
し機を用いて200℃で処理し、着色ペレットを作成し
た。このペレットを射出成形機で200℃×5分間で成
形し、着色成形板を作成した。
【0063】得られた着色板は強い蛍光性の黄色を示
し、耐光性、耐移行性が優れていた。また射出成型の
際、250℃で10分間滞留させたこと以外は上記と同
様に成形した着色板の色調は、200℃×5分間で成形
した着色板と同じ色調を示し、色素の熱分解による変化
はなかった。(実施例6) 表−1 化合物No.10
9による樹脂の着色実施例3で製造された化合物0.0
5gをポリメチルメタクリレート(「アクリペットM
D」三菱レーヨン株式会社製品)100gに混合し、押
し出し機を用いて200℃で処理し、着色ペレットを作
成した。このペレットを射出成形機で200℃×5分間
で成形し、着色成形板を作成した。
【0064】得られた着色板は強い蛍光性の赤色を示
し、耐光性、耐移行性が優れていた。また射出成型の
際、250℃で10分間滞留させたこと以外は上記と同
様に成形した着色板の色調は、200℃×5分間で成形
した着色板と同じ色調を示し、色素の熱分解による変化
はなかった。
【0065】
【発明の効果】本発明のクマリン系化合物は、発光輝度
が高く、堅牢性の良好な新規な蛍光性色素化合物であ
り、蛍光性色素の種々の用途に利用でき、極めて有用で
ある。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるクマリン系
    化合物。 【化1】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原
    子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は水素原
    子またはシアノ基を表し、R6は置換基を有していても
    良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表
    し、R7〜R10は任意の置換基を表し、隣接する2つの
    基で環を形成しても良い。Xは、−CO−又は−SO2
    −基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子、−NH−また
    は−NR11−であり、R11はアルキル基またはシクロア
    ルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、R6は、置換基
    としてハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシカルボ
    ニル基から選ばれる基を有しても良い炭素数1〜8のア
    ルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のクマ
    リン系化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、R6は、置換基
    としてハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アル
    コキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基から選ばれる
    基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、チエニル
    基、フリル基、又はピリジル基であることを特徴とする
    請求項1に記載のクマリン系化合物。
  4. 【請求項4】 一般式(I)において、R7〜R10は各
    々独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ
    基、置換しても良いアルキル基、置換しても良いアリー
    ル基、置換しても良いアミノ基、水酸基、置換しても良
    いアルコキシ基、置換しても良いアリールオキシ基、置
    換しても良いチオール基、置換しても良いシリル基、置
    換しても良いシロキシ基、または置換しても良いカルボ
    ニル基であることを特徴とする請求項1に記載のクマリ
    ン系化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のクマ
    リン系化合物からなる色素。
  6. 【請求項6】 下記一般式(II)で表されるクマリン系
    化合物 【化2】 (式中、R5は水素原子を表わし、R1、R2、R3及びR
    4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキ
    ル基を表し、R7〜R10は任意の置換基を表し、隣接す
    る2つの基で環を形成しても良い。Yは酸素原子、イオ
    ウ原子、−NH−または−NR11−であり、R11はアル
    キル基またはシクロアルキル基を表す。)を、塩基の存
    在下、下記一般式(III)で示されるハロゲン化物又は
    一般式(IV)で示される酸無水物 【化3】R6−X−Z (III)(R6
    −X)2O (IV)(式中、Xは−CO
    −又は−SO2−を有し、Zはハロゲン原子を表す)と
    反応させることを特徴とする下記一般式(I−a) 【化4】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原
    子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は水素原
    子またはシアノ基を表し、R6は置換基を有していても
    良いアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表
    し、R7〜R10は任意の置換基を表し、隣接する2つの
    基で環を形成しても良い。Xは、−CO−又は−SO2
    −基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子、−NH−また
    は−NR11−であり、R11はアルキル基またはシクロア
    ルキル基を表す。)で示されるクマリン系化合物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記一般式(I−a)で示されるクマリ
    ン系化合物を、不活性溶媒中で、下記一般式(V) 【化5】MCN (V)
    (式中、Mは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子
    あるいは銅原子を表す。)で示されるシアン化合物と反
    応させ、さらに酸化剤で処理することを特徴とする、下
    記一般式(I−b) 【化6】 (式中、R1〜R4、R6〜R10、X及びYは前記一般式
    (I)と同じ意味を有す。)で示されるクマリン系化合
    物の製造方法。
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