JP2002046411A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
空気入りラジアルタイヤInfo
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Abstract
品不良率も大幅に改善することが可能な空気入りラジア
ルタイヤを提供すること。 【解決手段】 少なくとも一種のラジアルコード層より
なるカーカスと、該カーカスのクラウン部半径方向外側
に配置され、並列したコードを被覆ゴム中に埋設してな
る少なくとも二層のコード層よりなるベルトと、該ベル
トの半径方向外側に配置された少なくとも一層のキャッ
ププライ及び/又はキャップレイヤーからなるベルト補
強層と、該ベルト補強層の外側に配置されたトレッドと
を備えた空気入りタイヤにおいて、該ベルト補強層のコ
ードは、マトリックスポリマー中にクレーを0.5〜5.0
重量%含有する繊維からなることを特徴とする空気入り
ラジアルタイヤである。
Description
ードとして、マトリックスポリマー中にクレーを含有す
る特定の繊維コードを用いた空気入りラジアルタイヤに
関し、特に、高速耐久性が良好で、かつ不良品の発生が
抑制された空気入りラジアルタイヤに関する。
のラジアルタイヤの高速耐久性を向上させることの要求
が増々高くなっている。このため、乗用車用ラジアルタ
イヤのベルト層の端部を覆って、キャップレイヤー及び
/又はキャッププライからなるベルト補強層を配設した
タイヤが一般化してきている。ここで、キャップレイヤ
ーとは、ベルトの半径方向外側に実質上タイヤ周方向に
平行に配列された有機繊維コードをゴムに埋設してなる
ベルト補強層をベルト両端区域に配置したものである。
また、キャッププライとは、ベルトの半径方向外側に実
質上タイヤ周方向に平行に配列された有機繊維コードを
ゴムに埋設してなるベルト補強層をベルトの全幅以上に
わたり配置したものである。
は、タイヤ周方向にスパイラル状に巻き付けられてお
り、ベルトのタガ効果を増すことにより、タイヤの高速
耐久性の改善が図られる。そして、このベルト補強層に
用いられるコードには、通常ナイロン66繊維やポリエ
チレンナフタレート繊維が用いられている。しかし、こ
れらの有機繊維コードを所定の高弾性率化コードとする
には、タイヤ製造時に、コードを接着剤液ディップ後の
熱処理工程で一定の温度とテンションの条件下で処理す
ることが必要である。しかし、このように熱処理加工に
より高弾性率化したコードは、一方では熱収縮率が高く
なってしまうので、タイヤを加硫後に釜から取り出す際
には、コードの熱収縮による締め付けによりタイヤの変
形不良が発生することがあるという欠点があった。
発明は、前記の課題を解決するためなされたもので、ベ
ルト補強層に特定材質の繊維からなるコードを用いるこ
とにより、高速耐久性に優れ、同時にタイヤ製造時の製
品不良率も大幅に改善することが可能な空気入りラジア
ルタイヤを提供することを目的とするものである。
リックスポリマー中に一定量のクレー(粘土鉱物)をミ
クロ分散させて紡糸した有機繊維を用いたコードは、繊
維の弾性率が上がると同時に熱収縮率を小さくすること
ができることを知見し、このコードをベルト補強層に用
いることにより本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、少なくとも一種のラジアルコード層よりなる
カーカスと、該カーカスのクラウン部半径方向外側に配
置され、並列したコードを被覆ゴム中に埋設してなる少
なくとも二層のコード層よりなるベルトと、該ベルトの
半径方向外側に配置された少なくとも一層のキャッププ
ライ及び/又はキャップレイヤーからなるベルト補強層
と、該ベルト補強層の外側に配置されたトレッドとを備
えた空気入りタイヤにおいて、該ベルト補強層のコード
は、マトリックスポリマー中にクレーを0.5〜5.0重量
%含有する繊維からなることを特徴とする空気入りラジ
アルタイヤを提供するものである。
て説明する。本発明において用いられるベルト補強層の
有機繊維は、予めポリマー中にクレーをミクロン以下の
オーダーの超微粒子として分散させて紡糸して得られ
る。すなわち、従来は、クレーのような無機材料を有機
高分子中に分子レベルで分散させることは困難であった
が、本発明における繊維は、クレーのインターカレーシ
ョン(クレーの表面処理による表面の有機化に伴うマト
リックスポリマーでの分散)により、クレーがポリマー
中にミクロンないしナノオーダーで分散することにより
初めて得られたものである。インターカレーションによ
り、ポリマーマトリックス中に分散されたクレーは、有
機繊維材としてのポリマー高分子とイオン結合し、結晶
ラメラと同等サイズのものとなる。そして、これが高分
子絡合点の働きをするため非結晶部分の強化材になる。
また、繊維結晶間の架橋物質としての作用もあるため、
応力伝達物質としても機能する。その結果、繊維の引っ
張り強度や弾性率は増加し、有機繊維の熱運動が抑制さ
れているため、熱収縮率が小さくなるものと考えられ
る。
は、有機繊維材としてのポリマーに対して0.5〜5.0重
量%であることが必要である。クレー量が0.5重量%未
満では、弾性率の向上効果が十分でなく、5.0重量%を
超えれば紡糸時に繊維が切断することがある。この点か
ら、さらに1.0〜4.0重量%が好ましい。前記有機繊維
材としてのポリマー成分は、通常タイヤ用繊維材として
用いられるものであれば特に制限されず、例えばポリエ
ステル繊維,ポリアミド繊維などが挙げられる。特に,
ポリエステル繊維としてはアルキレン基の炭素原子数が
2〜4のポリアルキレンテレフタレート繊維、又はアル
キレン基の炭素原子数が2〜4のポリアルキレンナフタ
レート繊維が好ましく、中でもボリエチレンテレフタレ
ート繊維又はポリエチレンナフタレート繊維が好まし
い。また、ポリアミド繊維としては,ナイロン66又は
ナイロン46が好ましい。
溶融紡糸して得られる。上記の如くして得られた有機繊
維コードの原糸は所望の撚り係数に調整してベルト補強
層に用いられるコードが得られる。そして、タイヤ製造
時には、コードを接着剤液に浸漬(ディップ)した後
に、コードの緊張熱処理として、第1の加熱延伸部(ホ
ットストレッチゾーン),第2の加熱物性調整部(ノル
マライジングゾーン)において所定条件下で熱処理され
る。このようにして得られた本発明における有機繊維コ
ードの熱処理後の物性として、JIS L1017−1
983により定義される一定荷重(W)時の伸び率、例
えば1670dtex/2のポリエチレンテレフタレー
ト繊維の場合は、66N(ニュートン)荷重時の伸び率
が、1.5〜3.5%であることが好ましく、ポリエチレン
ナフタレート繊維の場合は、66N(ニュートン)荷重
時の伸び率が、1.0〜2.0%であることが好ましい。ま
た,1400dtex/2のナイロン66繊維の場合
は、66N(ニュートン)荷重時の伸び率が、5.0〜
6.0%であることが好ましく、ナイロン46繊維の場合
は、66N(ニュートン)荷重時の伸び率が、4.0〜
5.5%であることが好ましい。
づき説明する。第1図は、本発明の空気入りラジアルタ
イヤの構造を示す右半分の一部破断斜視図で、1はトレ
ッド部、2,3はベルト層、4はカーカス、5はベルト
補強層(キャッププライ)を示す。図示するタイヤでは
ベルト層は、コード配列がタイヤ周方向に対して10〜
40°で交差する2枚のベルトを有し、ベルト層2とト
レッド部との間に1枚のベルト補強層5を有し、このベ
ルト補強層5はベルトコード層2,3よりも幅を大きく
し、ベルトコード層2,3の全体を被覆するキャッププ
ライとして配置されている。第2図は、本発明の空気入
りラジアルタイヤの他の例を示したもので、ベルト補強
層5’は第1図に示すタイヤのコード層の中心部を除去
したセパレ─ト状のもので、ベルト層2,3の各端部を
被覆するキャップレイヤーとして配置されている。上記
のキャップレイヤー又はキャッププライからなるベルト
補強層の幅,枚数は必要に応じて変化させて使用するこ
とができ、更にはキャップレイヤーとキャッププライと
組み合わせて使用することができる。
いて具体的に説明するが、本発明は、これらによって制
約されるものではない。 <各種試験の測定方法>キャップレイヤーコード(ディ
ップ熱処理コード)の物性及び供試タイヤについての評
価は、下記の方法により行なった。 (1)コード強力 JIS L1017−1983に準じて行なった。 (2)コード中間伸度 サンプルのキャップレイヤーコードについて、JIS
1017−1983に準じて66N時の中間伸度(%)
を測定した。値が小さい方が弾性率は高いことを示して
いる。 (3)コード熱収縮率 長さ50cmのサンプルのキャップレイヤーコードの一
端を金枠に吊し、他端に50gの重りを吊し、177℃
のオーブン中に30分間放置して収縮率(%)を測定し
た。
良品の本数を数えた。 (5)ドラム高速耐久性 米国規格FMVSS No.109のテスト方法に準じ
てステップスピード方式で、30分ごとにスピードを増
して、タイヤが故障するまで走行し、故障したときの速
度(km/時)とそれまでの経過時間(分)を測定し
た。
製造するために、ナイロン66,ナイロン46,PET
又はPENの各ポリマー中に、ポリマーの融点より20
℃〜50℃高い温度で、クレーを分散させた後、通常の
方法で溶融紡糸することにより製糸することにより原糸
を得た。この原糸を用いて、ポリエチレンテレフタレー
ト及びポリエチレンナフタレートについては、コード構
造1670dtex/2,撚り数39×39回/10c
mのコードを得た。また、同様にして、ナイロン66及
びナイロン46については、コード構造1400dte
x/2,撚り数39×39回/10cmのコードを得
た。
すだれ織りとして、ゴムとの接着性をよくするため、デ
ッピング装置により、コードをレゾルシン−ホルマリン
−ラテックス溶液に浸漬し、乾燥ゾーンを通した後、下
記条件で緊張熱処理を行なった。 (A)繊維素材がポリエチレンテレフタレート及びポリ
エチレンナフタレートの場合: ホットストレッチングゾーン 250℃×60秒 ノルマライジングソーン 250℃×60秒 (B)繊維素材がナイロン66及びナイロン46の場
合: ホットストレッチングゾーン 230℃×40秒 ノルマライジングソーン 230℃×40秒
物性を有するコードを得た。このようにして得られたコ
ードをキャップレイヤー (図2参照)に用い、下記のカ
ーカス層及びベルト層を有するチューブレスタイヤ(タ
イヤサイズ205/60VR15)を作製した。 (1)カーカス層;ポリエチレンテレフタレートコード
(コード構造2100dtex/2)を用い,コード打
ち込み数が50本/5cmのゴムコーティングプライ1
枚からなる構成とした。 (2)ベルト層;スチールコード(コード構造1×5×
0.3mm)を用い,コード打ち込み数が36本/5cm
のベルト2枚からなる構成とした。 (3)ベルト補強層;キャップレイヤーコードとして、
タイヤ径方向に対して90度でスパイラル状に、コード
打ち込み数を50本/5cmとして巻き付けた。
は、第1表に示す量のクレーを含有するナイロン66コ
ード又はナイロン46コードを用い、比較例1,2のタ
イヤにはクレーを含まない通常のナイロン66コードを
用いて、上記の方法により乗用車用ラジアルタイヤ各2
0本を試作した。各試作タイヤについて、その製造時の
不良本数とドラム高速耐久性とを上記の方法に従って測
定した。結果を第1表に示す。
含有するポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン
ナフタレートを用い、比較例3,4のタイヤにはクレー
を含まない通常のポリエチレンテレフタレートを用い
て、実施例1と同様にしてタイヤを試作し、製造時の不
良本数とドラム高速耐久性とを上記の方法に従って測定
した。結果を第2表に示す。
ードは、比較例で用いたクレーを含有しない通常コード
に比べて、コードの弾性率が大きくなる一方で、コード
の熱収縮率は小さく抑えられている。そして、本発明に
おけるコードをキャップレイヤー材に用いた実施例のタ
イヤは、クレーを含有しない通常コードを用いた比較例
のタイヤに比べて、高速耐久性が改善されると同時に、
タイヤ製造時の製品不良率も大幅に改善されていること
がわかる。
を含有した特定性状の繊維コードを、空気入りラジアル
タイヤのベルト補強層に用いることにより、高速耐久性
を著しく改良することができ、同時にタイヤ製造時の製
品不良率も大幅に改善することができる。
一部破断斜視図である。
示す一部破断斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも一種のラジアルコード層より
なるカーカスと、該カーカスのクラウン部半径方向外側
に配置され、並列したコードを被覆ゴム中に埋設してな
る少なくとも二層のコード層よりなるベルトと、該ベル
トの半径方向外側に配置された少なくとも一層のキャッ
ププライ及び/又はキャップレイヤーからなるベルト補
強層と、該ベルト補強層の外側に配置されたトレッドと
を備えた空気入りタイヤにおいて、該ベルト補強層のコ
ードは、マトリックスポリマー中にクレーを0.5〜5.0
重量%含有する繊維からなることを特徴とする空気入り
ラジアルタイヤ。 - 【請求項2】 前記ベルト補強層のコードは、マトリッ
クスポリマー中にクレーを1.0〜4.0重量%含有する繊
維からなることを特徴とする請求項1に記載の空気入り
ラジアルタイヤ。 - 【請求項3】 ベルト補強層コード繊維のポリマー材質
は、アルキレン基の炭素原子数が2〜4のポリアルキレ
ンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記
載の空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項4】 ベルト補強層コード繊維のポリマー材質
は、アルキレン基の炭素原子数が2〜4のポリアルキレ
ンナフタレートであることを特徴とする請求項1に記載
の空気入りラジアルタイヤ。 - 【請求項5】 ベルト補強層コード繊維のポリマー材質
は、ナイロン66又はナイロン46であることを特徴と
する請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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