JP2002045066A - 海苔の処理方法及び処理液 - Google Patents

海苔の処理方法及び処理液

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JP2002045066A
JP2002045066A JP2000272321A JP2000272321A JP2002045066A JP 2002045066 A JP2002045066 A JP 2002045066A JP 2000272321 A JP2000272321 A JP 2000272321A JP 2000272321 A JP2000272321 A JP 2000272321A JP 2002045066 A JP2002045066 A JP 2002045066A
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seaweed
laver
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washing
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JP2000272321A
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Yoshiki Kasai
芳樹 笠井
Hiroko Kasai
弘子 笠井
Kuninori Kasai
久仁記 笠井
Hideki Kasai
秀樹 笠井
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Koyo Tsusho KK
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Koyo Tsusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海苔の養殖において、自然環境に悪影響を及
ぼす有機酸や有機物を使用せず、短時間でかつ連続作業
で効率良く珪藻類等の雑藻類を除去し、病害の予防を行
う処理方法及び処理液を提供する。 【解決手段】 塩酸及び又は燐酸に塩化ナトリウムの並
塩又は岩塩を添加した溶液を、海水で希釈してpH=1
〜2.5に調整し、海苔及び海苔網に接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、養殖中の海苔及び
海苔網に付着する雑藻類、主として珪藻類を除去し、ま
た赤腐れ病、白腐れ病等の病害を予防する海苔の処理方
法及び処理液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】養殖中の海苔及び海苔網には、海水中に
生育する雑藻類、主として珪藻類が付着して海苔の品質
低下を招くのみならず海苔養殖時の操業管理面の障害と
なっている。そのため、このような珪藻類を除去するた
めに酸処理剤が使用されている。酸処理剤として現在多
用されているのは有機酸であって、リンゴ酸、クエン
酸、酢酸等の希釈液や肥料等を溶解した液を酸性の液に
混合したものが用いられる。これらの有機酸を用いる方
法としては例えば特公昭56−12601号公報、特公
昭60−31451号公報、特公昭60−31647号
公報等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような有機酸に
よる洗浄は、次のような問題点がある。すなわち、珪藻
類はその分析値よりみるとカルシウム分が非常に多く、
次いで鉄分、珪素分の含有量が非常に大である。有機酸
はカルシウム塩等、海苔表面の付着物除去が難しい。ま
た、浸透性は良いが浸透した有機酸の除去が困難であ
る。また、珪藻等の雑藻の除去や赤腐れ病等の病害の予
防を行うためには処理時間を5〜60分、短いものでも
3〜30分と比較的長時間を要する。これは船上に海苔
網を引き上げ処理液に浸漬した後、海苔網を再び海中に
戻すバッチ処理を行うものであるが、作業効率が悪く多
くの人手を要し1日に処理できる海苔の枚数も少なかっ
た。そのため、最近では海苔網の下に船を潜らせて処理
液を海苔網と接触させて処理するモグリ船と言われる専
用船が開発され使用されている。この場合、海苔網と処
理液との接触時間は20〜60秒という極めて短時間で
行われるのでpH領域を低く選択する必要がある。例え
ばpHを=1〜2.5に選択することが望ましい。
【0004】この方法において有機酸類を使用しpHを
下げて行うためには、通常、高いpH領域が特徴である
有機酸類を高濃度にする必要があるのでその使用量が多
くなり環境問題が発生する。すなわち無機酸に比べてC
OD、BODへの影響が大であり、海苔や海苔網の洗浄
を行った際、大量の有機酸が廃液として海中に流れ込
み、海水に混ざると微生物によって生分解が起こるが、
同時に海水中では富栄養化現象が発生するために赤潮発
生、或いは魚の住めないような海洋汚染の一因となって
いると判断される。因みに有機酸としてリンゴ酸、クエ
ン酸を用いた製品を使用し、無機酸として塩酸を使用
し、これらをそれぞれ100倍に希釈した場合のCOD
を比較すると、有機酸が約3000であるのに対し無機
酸は約40である。
【0005】また上記のモグリ船による方法、すなわち
船上に洗浄槽を設け、処理する網は持ち上げてその下に
船体を潜らせて移動させ、その際に洗浄槽内の洗浄液を
ポンプで循環させながら網面に吹き付けて散布すること
により連続的に洗浄を行い、その回収液は洗浄槽に回収
してpH約2に調整し循環使用されるが、使用後の回収
された廃液は中和してpH約7に調整し、排水として下
水に放流される。有機酸を使用する場合は中和してもC
OD、BODは高く活性汚泥処理等が必要である。無機
酸の場合は、例えば塩酸を使用する際、水酸化ナトリウ
ムを用いて中和すると食塩が生成するのでCOD、BO
Dに左右されず排水として放流できる。
【0006】本発明者等は上記の点に鑑み、海苔の養殖
において、人体及び自然環境に悪影響を及ぼすことな
く、低コストでpH領域も安定に使用でき、しかも環境
に悪影響を及ぼすCOD、BOD、濃度の高い有機酸或
いは有機物を含まない、安全で効率よく珪藻類の除去、
病害の予防処理を行うことを可能にした海苔の処理方法
及び処理液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、塩酸及
び/又は燐酸に塩化ナトリウムの並塩又は岩塩を添加し
た溶液を用いて、海苔及び海苔網に付着した海洋生物を
除去することを特徴とする海苔の処理方法が提供され
る。また塩酸及び/又は燐酸に塩化ナトリウムの並塩又
は岩塩を添加した溶液を、海水で希釈してpH=1〜
2.5に調整し、海苔及び海苔網に接触させてこれらに
付着した海洋生物を除去することを特徴とする海苔の処
理方法が提供される。さらに塩酸及び/又は燐酸と塩化
ナトリウムの並塩又は岩塩とを含み、比重が1.1〜
1.2の溶液よりなる海苔及び海苔網に付着した海洋生
物の処理液が提供される。
【0008】本発明に使用される塩化ナトリウムの並塩
とは、例えば海水をイオン交換膜法により電気透析で精
製した塩化ナトリウムに、塩化ナトリウムを除去した後
の少量の海水成分、すなわち臭素、カルシウム、マグネ
シウム、ストロンチウム、カリウム、燐、アルミニウ
ム、硫酸根等を配合したものであり、一般に漬物等に風
味を与えるために使用される。また岩塩には塩化ナトリ
ウム以外に上記のようなミネラル成分が含有されてい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を実施するには、塩酸及び
/又は燐酸の水溶液に並塩又は岩塩を添加し、比重1.
1〜1.2に調整した溶液を製造しキュウビテナー等の
容器に充填して海苔の処理液とする。塩酸を使用する場
合、好ましい含有量は5〜16重量%であり、燐酸を使
用する場合、好ましい含有量は0.5〜5重量%であ
る。また並塩又は岩塩の好ましい含有量は2〜10重量
%である。この処理液を船上の洗浄槽に導き海水で約1
00〜300倍に希釈し、希釈前の処理液によりpH=
1〜2.5に調整して洗浄液とする。
【0010】一方、珪藻類その他の雑藻類等の海洋生物
が付着した状態の海苔及び海苔網を持ち上げて、その下
に船体を潜らせ、その際に船上のカッターにより略一定
の長さまで海苔を刈り取った後、船体に設けられた洗浄
槽に導く。洗浄槽においては洗浄後の海苔網を動力によ
って巻き取ることにより、海苔及び海苔網が海水で希釈
された洗浄液に浸潰しながら進行する。他の方式によれ
ば、前記のように船上に設けられた洗浄槽上に海苔刈り
取り後の海苔網を通過させ、洗浄液をポンプで汲み上げ
て海苔網の上部に散布して洗浄し、洗浄後の液を洗浄槽
に戻して循環させる。ポンプの出口経路にはpH計が設
置され、このpH計によって希釈前の処理液を用いて自
動制御を行い、ポンプ出口のpH値を目的に合った範囲
すなわちpH=1〜2.5の範囲に任意に設定すること
ができる。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を説明す
る。 実施例1 水1mに並塩100kgを添加して溶解させ、この溶
液に9重量%塩酸2181を加えて比重1.13の処理
液とした。この処理液101を海水1mで希釈しpH
=1.5の洗浄液を作成した。洗浄液中の塩酸の含有量
は0.12重量%、食塩の含有量は3.2重量%であ
る。海苔の養殖は平成11年11月15日より開始し、
1枚の網寸法が1.5〜1.8m×22mの海苔網(以
下単に網という)10枚を海中に設置した。12月中旬
より海苔及び網に付着した珪藻類やスライムの除去を開
始した。この操作は船体の上部に洗浄液の入った洗浄槽
を設け、網を持ち上げて、その下に船体を潜らせて移動
させ、その際に洗浄槽内の洗浄液をポンプで循環させな
がら網上に吹きつけて散布することにより連続的に洗浄
を行った。なお洗浄前に海苔は船上に設けられたカッタ
ーにより一定長さまで刈り取られる。1枚の網の洗浄時
間は約1分以内で行い、網の洗浄により洗浄液のpHが
上昇するので上記の処理液を用いてpHの自動制御を行
いpH=1.5〜1.8の範囲に保った。このような洗
浄操作を10日間隔で5回行った。洗浄の終了日は平成
12年4月10日であり、以後養殖を継続して平成12
年4月20日に至るまで12回海苔の養殖を行った。最
終収穫日は平成12年4月30日であった。このように
して得られた海苔は、洗浄を行わない場合に比べて1.
5倍の収穫量になっていた。また1シーズン当たりの収
穫量は100,000枚〜140,000枚であり、品
質は特上品と評価された。海苔及び網に付着した珪藻類
その他の雑藻類は略完全に洗浄液中に溶解した。
【0012】比較例1 実施例1と並行して、処理液に添加する酸をクエン酸に
変えた以外は実施例1と全く同様な方法で海苔の養殖、
海苔及び海苔網の洗浄操作を行った。このようにして得
られた海苔は洗浄を行わない場合に比べて1.2倍の収
穫量となっていた。またその品質は特品と評価された。
なお洗浄を行わない場合、この期間の収穫回数は4回で
あり、収穫された海苔の品質は並品と評価された。
【0013】実施例2〜4、比較例2〜4 表1に示されるような実施例及び比較例の海苔洗浄液を
作成し、海苔を洗浄液に浸漬して赤グサレ病の防除効果
の実験を行った。表1に示すように並塩又は岩塩と塩酸
又は燐酸とを併用した実施例2〜4と、塩酸単独又は並
塩単独で用いた比較例2〜4に関して実験を行った。赤
グサレ病の効果については、−〜100%の間で示し、
−が全く効果なしとし、その%が高い程効果があるもの
とした。
【0014】
【表1】 表1に示すように、実施例2〜4においては赤グサレ病
の防除効果は短時間で優れたものとなり、ほぼ完全に病
気を防ぐことができるが、比較例2〜4の防除効果は完
全なものではなかった。
【0015】実施例5、比較例5〜8 実施例1で作成した洗浄液を使用し、また比較のため従
来品(いずれも有機酸を使用)を使用して生分解性試験
を行った。試験方法は修正MITI法に準じて行い、活
性汚泥は大阪市の下水処理場の返送汚泥を用いた。17
日間試験後のBOD(ppm)を表2に示す。
【0016】
【表2】 以上の結果より本発明品は、BOD値がブランクと同等
で海洋の富栄養化を招くものではない。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば海苔の養殖において、安
全性と海洋汚染の原因となる有機酸、或いはこれらに代
わる有機物を含まない処理剤を使用することにより、人
体及び地球環境に配慮した処理を行うことができる。ま
た短時間で、しかも連続作業で人手をかけずに効率良く
珪藻類や雑藻類の除去及び病害の予防処理を可能にする
ものである。また処理剤中の並塩又は岩塩はミネラル分
を含み海苔の成長を促進する作用がある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月10日(2000.11.
10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を説明す
る。 実施例1 水1mに並塩100kgを添加して溶解させ、この溶
液に塩酸2181を加えて塩酸濃度約9重量%、比重
1.13の処理液とした。この処理液101を海水1m
で希釈しpH=1.5の洗浄液を作成した。洗浄液中
の塩酸の含有量は0.12重量%、食塩の含有量は3.
2重量%である。海苔の養殖は平成11年11月15日
より開始し、1枚の網寸法が1.5〜1.8m×22m
の海苔網(以下単に網という)10枚を海中に設置し
た。12月中旬より海苔及び網に付着した珪藻類やスラ
イムの除去を開始した。この操作は船体の上部に洗浄液
の入った洗浄槽を設け、網を持ち上げて、その下に船体
を潜らせて移動させ、その際に洗浄槽内の洗浄液をポン
プで循環させながら網上に吹きつけて散布することによ
り連続的に洗浄を行った。なお洗浄前に海苔は洗浄に設
けられたカッターにより一定長さまで刈り取られる。1
枚の網の洗浄時間は約1分以内で行い、網の洗浄により
洗浄液のpHが上昇するので上記の処理液を用いてpH
の自動制御を行いpH=1.5〜1.8の範囲に保っ
た。このような洗浄操作を10日間隔で5回行った。洗
浄の終了日は平成12年4月10日であり、以後養殖を
継続して平成12年4月20日至るまで12回海苔の養
殖を行った。最終収穫日は平成12年4月30日であっ
た。このようにして得られた海苔は、洗浄を行わない場
合に比べて1.5倍の収穫量になっていた。また1シー
ズン当たりの収穫量は、100,000枚〜140,0
00枚であり、品質は特上品と評価された。海苔及び網
に付着した珪藻類その他の雑藻類は略完全に洗浄液中に
溶解した。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩酸及び/又は燐酸に塩化ナトリウムの
    並塩又は岩塩を添加した溶液を用いて、海苔及び海苔網
    に付着した海洋生物を除去することを特徴とする海苔の
    処理方法。
  2. 【請求項2】 塩酸及び/又は燐酸に塩化ナトリウムの
    並塩又は岩塩を添加した溶液を、海水で希釈してpH=
    1〜2.5に調整し、海苔及び海苔網に接触させてこれ
    らに付着した海洋生物を除去することを特徴とする海苔
    の処理方法。
  3. 【請求項3】 塩酸及び/又は燐酸と塩化ナトリウムの
    並塩又は岩塩とを含み、比重が1.1〜1.2の溶液よ
    りなる海苔及び海苔網に付着した海洋生物の処理液。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021093970A (ja) * 2019-12-18 2021-06-24 光洋通商株式会社 塩分調整装置及び箱型船

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Effective date: 20031007