JP2002043093A - プラズマ密度情報測定方法及びその装置並びにプラズマ密度情報測定用プローブ、プラズマ発生方法及びその装置、プラズマ処理方法及びその装置 - Google Patents

プラズマ密度情報測定方法及びその装置並びにプラズマ密度情報測定用プローブ、プラズマ発生方法及びその装置、プラズマ処理方法及びその装置

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JP2002043093A JP2000226867A JP2000226867A JP2002043093A JP 2002043093 A JP2002043093 A JP 2002043093A JP 2000226867 A JP2000226867 A JP 2000226867A JP 2000226867 A JP2000226867 A JP 2000226867A JP 2002043093 A JP2002043093 A JP 2002043093A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 10MHzから500MHzまでの低周波領
域で読み取れるようなプラズマ密度情報を測定して、測
定されたプラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を行
う。 【解決手段】 測定プローブ8のアンテナ及び平板は、
誘電体製外皮によって直接に被覆されているので、電子
密度が高密度でも、プラズマ吸収周波数を10MHzか
ら500MHzまでの低周波領域で測定することができ
る。また、プラズマ吸収周波数といったプラズマ密度情
報に基づいて、生成用電力操作部11や処理用電力操作
部13等を操作してプラズマ処理を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜素子の製造工
程や、粒子ビーム源あるいは分析装置等に用いられるプ
ラズマにおけるプラズマ密度情報測定方法及びその装置
並びにプラズマ密度情報測定用プローブ、プラズマ発生
方法及びその装置、プラズマ処理方法及びその装置に係
り、特にプラズマ密度情報を簡単に測定して、プラズマ
密度を適切かつ容易にコントロールするための技術に関
する。
【0002】
【従来の技術】プラズマを応用した技術として、プラズ
マCVD(化学気相成長)やプラズマエッチング等が知
られている。例えば10MHz程度のRF帯の周波数か
ら2.45GHzに代表されるマイクロ波帯の周波数の
高周波電力によって生成された高周波プラズマを利用し
て、上記CVD処理やエッチング処理等が行われてい
る。このようなプラズマ応用技術では、生成プラズマの
特性を良く示すプラズマ密度に関する情報、即ちプラズ
マ密度情報を十分に把握することが、適切な処理を行う
上で非常に重要となる。プラズマ密度情報に関する有用
な物理量として電子密度や、プラズマ吸収周波数や、プ
ラズマ表面波共鳴周波数等がある。即ち、上記電子密度
等を測定することによってプラズマ密度情報を十分に把
握することができる。
【0003】従来、プラズマ中の電子密度を測定する方
法として、ラングミュア (Langmuir) ・プローブ法や、
マイクロ波干渉計測法の他、比較的最近開発された電子
ビーム照射式のプラズマ振動プローブ法がある。
【0004】ラングミュア・プローブ法は、プラズマ中
に金属プローブを直に晒した状態で設置しておき、金属
プローブへ直流バイアス電圧、又は、高周波電圧を重畳
させた直流バイアス電圧を印加した時に金属プローブに
流れる電流値に基づいて電子密度を求める方法である。
【0005】マイクロ波干渉計測法は、プラズマを生成
するプラズマ生成用のチャンバーの壁にプラズマを間に
して向き合う窓を設けておき、一方の窓からマイクロ波
(例えば単色のレーザ光)をプラズマに入射するととも
にプラズマを通過して他方の窓から出射するマイクロ波
を検出し、入射・出射マイクロ波間の位相差に基づいて
電子密度を求める方法である。
【0006】また、電子ビーム照射式プラズマ振動法
は、熱フィラメントをチャンバーの内に設置しておき、
熱フィラメントからプラズマに電子ビームを照射した時
に生じるプラズマ振動の周波数に基づいて電子密度を求
める方法である。
【0007】上述の方法から電子密度を求めることによ
って、プラズマ密度情報を把握したうえで、上述のよう
なプラズマによるエッチング処理やCVD処理等が行わ
れることになる。実際にプラズマによる上記処理を行う
場合、プラズマ密度情報中の物理量を求めた後、プラズ
マ発生に係る物理量(以下、適宜「プラズマ発生物理
量」と略記する)、例えばプラズマ生成用電力や、プラ
ズマを生成するガスの圧力等を操作したり、またはプラ
ズマ中の被処理物に対して供給される処理用電力や、処
理用電圧等を操作したりすることによるフィードバック
(feedback)制御によって、プラズマ密度情報中の物理
量が制御されて、さらにはプラズマ密度が制御されてエ
ッチング処理やCVD処理等が適切に行われることにな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ラングミュア・プローブ法を反応性プラズマに適用した
場合には、測定を長時間にわたって続けられない(即ち
寿命が短い)という問題がある。測定中の金属プローブ
表面には短時間のうちに絶縁性皮膜からなる汚れが付着
し、金属プローブに流れる電流値が変動して、正確な測
定が直ぐにできなくなるからである。金属プローブ表面
に付着した汚れを除くために、金属プローブに負のバイ
アス電圧を印加しイオンでスパッタ除去する方法や、金
属プローブを赤熱させて汚れを蒸発除去する方法も試み
られてはいるが、効果が薄くて問題の解決には至らな
い。
【0009】また、マイクロ波干渉計測法の場合、大が
かりで高価な装置や難しいマイクロ波伝送路の調整が必
要な上、入射・出射マイクロ波間の位相差が僅かなこと
から、正確な測定が困難となる。それに、平均密度しか
求められず空間分解能が全くないという欠点もある。
【0010】さらに、電子ビーム照射式のプラズマ振動
プローブ法の場合、熱フィラメントから蒸発するタング
ステンによるプラズマ雰囲気汚染の心配に加えて、熱フ
ィラメントの断線による測定中断の心配という問題があ
る。特に酸素やフロン系ガスを用いるプラズマの場合に
は熱フィラメントが断線し易く、頻繁にフィラメント交
換を行う必要があるので、実用向きとは言いがたい。
【0011】そこで、本出願人は上記課題を解決するた
め、先に特願平11ー058635号及び特願平11ー
058636号を出願している。この特願平11ー05
8635号及び特願平11ー058636号(以下、適
宜『改良発明』と略記する)は、以下のような構成を採
り、作用をもたらす。
【0012】〔改良発明の原理〕図7は改良発明に係る
プラズマ密度情報測定用プローブ(以下、適宜「測定プ
ローブ」と略記する)の一例の構成を示す一部縦断面図
である。測定プローブ101は、図7に示すように、チ
ャンバー102内に、測定プローブ101の先端を挿入
した状態で設けられている。なお、チャンバー102
は、プラズマ生成用電源によって生成された反応性プラ
ズマ(以下、適宜「プラズマ」と略記する)PMを有す
る。
【0013】測定プローブ101は、先端が閉じている
とともに後端が大気(外気)に開いている。また、アン
テナ103と同軸ケーブル104はアンテナ103が先
となるようにして誘電体製のチューブ105の内に納め
られている。さらに、同軸ケーブル104をチューブ1
05の長手方向に対して引いたり押したりすることによ
って、測定プローブ101は、アンテナ103の根元か
らチューブ105の先端部までの長さLを簡単に変更す
ることができる。
【0014】プラズマ密度情報を測定するためのプラズ
マ密度情報測定用電源(以下、適宜「プラズマ測定用電
源」と略記する)から入射されたプラズマ密度情報測定
用電力(以下、適宜「プラズマ測定用電力」と略記す
る)は、測定プローブ101により伝送され、アンテナ
103から放出されてプラズマ負荷に吸収されるか、反
射されて戻ってくる。図8は、それぞれの先端部長さL
における、プラズマ測定用電力の反射率の対周波数変化
(100kHz〜3GHz)を測定したものである。
【0015】反射率が大きく下がるところは、プラズマ
密度に起因してプラズマ測定用電力の強い吸収が起こる
吸収ピーク(以下、適宜「吸収ポイント」と呼ぶ)であ
る。図8の曲線Ra〜Rfには、プラズマ負荷側でのプ
ラズマ測定用電力の強い吸収があることを示す吸収ポイ
ントPa〜Pdが幾つか現れている。吸収ポイントPa
〜Pdの位置の周波数が、プラズマ吸収周波数である。
プラズマ吸収周波数は電子密度と一定の相関関係がある
ので、有用なプラズマ密度情報が得られる。特に、最も
低い周波数の吸収ポイントPaだけは、図8に示すよう
に、先端部長さLが変化しても同一周波数の位置に出現
している。このように、先端部長さLに依存しないプラ
ズマ吸収周波数は、プラズマ表面波共鳴周波数である。
【0016】こうしてプラズマ表面波共鳴周波数が得ら
れたら、プラズマPMの電子密度が簡単に導出されるの
で、生成プラズマPMの特性を把握し易い。
【0017】上記の構成を備えることによって、アンテ
ナ103および同軸ケーブル104とプラズマPMとの
間にチューブ105が介在するので、アンテナ103や
同軸ケーブル104からプラズマPM中へ異物などが侵
入することがなく、プラズマの清浄性を確保することが
できる。また、チューブ105が介在することにより、
プラズマPMによるアンテナ103や同軸ケーブル10
4の損傷を阻止する。また、測定中、チューブ105の
表面に絶縁性皮膜からなる汚れが薄く付着しても、絶縁
性皮膜が誘電体であるので、実質的に測定系が変化せ
ず、絶縁性皮膜の汚れによる測定結果の変動は生じな
い。さらに、チューブ105が介在することにより、ア
ンテナ103をプラズマに直接触れ難くして、直流の過
電圧が加わったり、過電流が流れて装置が壊れるのを、
未然に防止することができる。従って、上述のラングミ
ュア・プローブ法と比較して、長期間にわたってプラズ
マ密度情報を測定することができる。
【0018】また、プラズマPM中の電子密度は不均一
なので、場所によって電子密度は変化する。従って、測
定プローブ101をチャンバー102内に挿入した状態
のまま移動させることによって、変化した電子密度を測
定することができる。従って、マイクロ波干渉計測法と
比較して、上記の密度の空間分解能が高くなる。
【0019】さらに、チューブ105を介してプラズマ
測定用電力をアンテナ103から供給して測り易い共鳴
的なプラズマ測定用電力の吸収現象を捉える程度のこと
であるので、プラズマ密度情報が至極簡単に測定でき
る。さらに、熱フィラメントレス方式でないので、電子
ビーム照射式プラズマ振動法のように、蒸発タングステ
ンによる雰囲気汚染を心配する必要も、熱フィラメント
交換を行う必要もない。
【0020】〔本発明が解決しようとする改良発明の課
題〕しかしながら、上述の改良発明でも、以下の様な問
題点がある。即ち、プラズマ測定用電源の周波数が5G
Hz以上になると測定が困難になる点である。
【0021】通常、電子密度は108 〜1012cm-3
範囲で、プラズマ密度情報の測定を行う。また、上述し
たようにプラズマ吸収周波数、特にプラズマ表面波共鳴
周波数と電子密度とは一定の相関関係にあり、電子密度
はプラズマ表面波共鳴周波数の2乗に比例する。従っ
て、電子密度が低密度の108 cm-3から109 cm-3
までの範囲では、プラズマ表面波共鳴周波数は数十MH
zから数百MHz程度のオーダであるが、電子密度が中
密度の1010cm-3から1011cm-3までの範囲では、
プラズマ表面波共鳴周波数は1GHzから2GHz程度
になる。さらに、電子密度が高密度の1012cm-3の状
態では、プラズマ表面波共鳴周波数は5GHzを超える
ようになる。
【0022】通常のプラズマ測定用電源は5GHz以下
の周波数なので、電子密度が高密度の場合においてプラ
ズマ密度情報の測定が困難になる。また、プラズマ表面
波共鳴周波数以外のプラズマ吸収周波数は、プラズマ表
面波共鳴周波数よりも高い周波数なので、プラズマ表面
波共鳴周波数以外のプラズマ吸収周波数から電子密度を
導出しようとしても、プラズマ密度情報の測定がより困
難になる。従って、5GHz以上のプラズマ表面波共鳴
周波数を測定しようとすると、周波数が5GHz以上で
ある高周波電源を特別に使用しなければならず、測定装
置が複雑になり装置本体が高価になってしまう。
【0023】以上の理由から、たとえ電子密度が高密度
でも周波数が10MHzから500MHzまでの領域で
読み取れるようなプラズマ密度情報を測定することが望
まれる。そこで、本発明は、上記の事情に鑑みなされた
ものであって、周波数が10MHzから500MHzま
での低周波領域で読み取れるようなプラズマ密度情報を
測定することができるプラズマ密度情報測定方法及びそ
の装置並びにプラズマ密度情報測定用プローブ、プラズ
マ発生方法及びその装置、プラズマ処理方法及びその装
置を提供することを課題とする。なお、本明細書中では
500MHz以下の周波数領域を低周波と定義付け、5
00MHzを超える周波数領域を高周波と定義付けて、
以下の説明を行う。
【0024】
【課題を解決するための手段】図9に示すような測定プ
ローブ51を具備すると、従来の高周波領域で現れてい
た吸収ポイントとは別の吸収ポイントが低周波領域で現
れて、かつその低周波領域での周波数が高周波領域での
周波数の1/10から1/100程度であるという現象
が知られている。この測定プローブ51は、図9に示す
ように、電力を放射する金属製のアンテナ52と、プラ
ズマ測定用電力を伝送するための同軸ケーブル53とが
接続されている。なお、改良発明のように誘電体製のチ
ューブ内に上記アンテナ52を収容しておらず、アンテ
ナ52は剥き出しのままである。
【0025】上述の現象が起こる原因については、これ
まで解明されていなかった。そこで、本発明者はこの現
象について着眼して、この現象が起こる原因について解
明することによって、上記課題を解決するに至った。
【0026】測定プローブ51をプラズマPM中に挿入
させると、アンテナ52の周りに『シース(Sheath)』
と呼ばれる層が発生する。このときアンテナ52に加え
るプラズマ測定用電力の周波数を変えると、通常の1/
10から1/100程度の低周波領域で共鳴が起こるよ
うな強い電界がシースにかかり、そこで吸収が起こるこ
とになる。
【0027】一方、改良発明の場合、測定プローブ10
1内のアンテナ103はプラズマに直接触れることな
く、誘電体製のチューブ105を介して、プラズマと接
する。この測定プローブ101のような形状を有するプ
ローブでは、シースよりもプラズマと結合しやすく、チ
ューブ105の表面にプラズマ表面波が励起される。そ
の結果、高周波領域で吸収が起こることになる。
【0028】このようにプローブの形状により、一方で
シースと結合しやすいプローブであったり、他方でプラ
ズマと結合しやすいプローブであったりする。また今
回、プラズマとシースとの両方と結合するプローブを発
明するに至らなかったが、理論的には可能である。
【0029】以上の理由から、本発明者は測定プローブ
の形状を変えることによって、周波数が10MHzから
500MHzまでの低周波領域で読み取れるようなプラ
ズマ密度情報を測定することに想到した。
【0030】以上のような知見に基づいて創作された本
発明は、以下のような構成を取る。即ち、請求項1に記
載の発明に係るプラズマ密度情報測定方法は、プラズマ
の特性を示すプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度
情報測定方法であって、プラズマ密度情報を測定するた
めのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報
測定用電力をプラズマに供給するとともに、プラズマ密
度情報測定用電源の周波数が10MHzから500MH
zまでの周波数領域において、プラズマ負荷による前記
プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づい
てプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定過
程を備えることを特徴とする。
【0031】請求項2に記載の発明に係るプラズマ密度
情報測定装置は、プラズマの特性を示すプラズマ密度情
報を測定するプラズマ密度情報測定装置であって、プラ
ズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用
電源と、プラズマ密度情報測定用電源の周波数が10M
Hzから500MHzまでの周波数領域において、前記
プラズマ密度情報測定用電源から供給されるプラズマ密
度情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収
に基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情
報測定用プローブを具備したプラズマ密度情報測定手段
とを備えることを特徴とする。
【0032】請求項3に記載の発明に係るプラズマ密度
情報測定用プローブは、プラズマ密度情報を測定するた
めのプラズマ密度情報測定用電源の周波数が10MHz
から500MHzまでの周波数領域において、前記プラ
ズマ密度情報測定用電源から供給されるプラズマ密度情
報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収に基
づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測
定用プローブであって、電力を放射するアンテナと、前
記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルとを
備えているとともに、前記アンテナとケーブルとがアン
テナの一端側で接続されており、少なくともアンテナが
誘電体物質によって直接に被覆されていることを特徴と
する。
【0033】請求項4に記載の発明に係るプラズマ密度
情報測定用プローブは、請求項3に記載のプラズマ密度
情報測定用プローブにおいて、前記アンテナが平板状の
金属板であることを特徴とする。
【0034】請求項5に記載の発明に係るプラズマ発生
方法は、プラズマ発生に係る物理量を操作することによ
りプラズマ密度を制御するプラズマ発生方法であって、
プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測
定用電源からプラズマ密度情報測定用電力と、プラズマ
生成用電力とをプラズマに供給するとともに、プラズマ
密度情報測定用電源の周波数が10MHzから500M
Hzまでの周波数領域において、プラズマ負荷による前
記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づ
いてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定
過程と、測定された前記プラズマ密度情報に基づいて前
記プラズマ発生に係る物理量を操作する操作過程とを備
えることを特徴とする。
【0035】請求項6に記載の発明に係るプラズマ発生
装置は、プラズマ発生に係る物理量を操作することによ
りプラズマ密度を制御するプラズマ発生装置であって、
プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測
定用電源と、プラズマ生成用電源と、プラズマ密度情報
測定用電源の周波数が10MHzから500MHzまで
の周波数領域において、前記プラズマ密度情報測定用電
源から供給されるプラズマ密度情報測定用電力のプラズ
マ負荷による反射または吸収に基づいてプラズマ密度情
報を測定するプラズマ密度情報測定用プローブを具備し
たプラズマ密度情報測定手段と、測定された前記プラズ
マ密度情報に基づいて前記プラズマ発生に係る物理量を
操作する操作手段とを備えることを特徴とする。
【0036】請求項7に記載の発明に係るプラズマ処理
方法は、プラズマ発生に係る物理量を操作することによ
りプラズマ密度が制御されたプラズマ中に被処理物を置
いてプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、プ
ラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定
用電源からプラズマ密度情報測定用電力と、プラズマ生
成用電力とをプラズマに供給するとともに、プラズマ密
度情報測定用電源の周波数が10MHzから500MH
zまでの周波数領域において、プラズマ負荷による前記
プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づい
てプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定過
程と、測定された前記プラズマ密度情報に基づいて前記
プラズマ発生に係る物理量を操作する操作過程とを備え
ることを特徴とする。
【0037】請求項8に記載の発明に係るプラズマ処理
装置は、プラズマ発生に係る物理量を操作することによ
りプラズマ密度が制御されたプラズマ中にプラズマ処理
を行うための被処理物を置いてプラズマ処理を行うプラ
ズマ処理装置であって、プラズマ密度情報を測定するた
めのプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ生成用電
源と、プラズマ密度情報測定用電源の周波数が10MH
zから500MHzまでの周波数領域において、前記プ
ラズマ密度情報測定用電源から供給されるプラズマ密度
情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収に
基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報
測定用プローブを具備したプラズマ密度情報測定手段
と、測定された前記プラズマ密度情報に基づいて前記プ
ラズマ発生に係る物理量を操作する操作手段とを備える
ことを特徴とする。
【0038】請求項9に記載の発明に係るプラズマ処理
装置は、請求項8に記載のプラズマ処理装置において、
前記操作手段は前記プラズマ生成用電源から供給される
プラズマ生成用電力を操作することを特徴とする。
【0039】請求項10に記載の発明に係るプラズマ処
理装置は、請求項8または請求項9に記載のプラズマ処
理装置において、前記操作手段はプラズマ処理用電源か
ら前記被処理物の周辺部に供給されるプラズマ処理用電
力を操作することを特徴とする。
【0040】
【作用】請求項1に記載の発明の作用について説明す
る。プラズマ密度情報測定用電源(以下、適宜「プラズ
マ測定用電源」と略記する)から入射されたプラズマ密
度情報測定用電力(以下、適宜「プラズマ測定用電力」
と略記する)は、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷
に吸収されるか、反射されて戻ってくる。そのプラズマ
測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ測定
用電源の周波数が10MHzから500MHzまでの低
周波領域で、プラズマ密度情報が測定される。プラズマ
密度情報はプラズマの特性を示すので、プラズマ密度情
報を測定することによりプラズマ測定用電源の周波数が
10MHzから500MHzまでの低周波領域でも、プ
ラズマの特性を把握することになる。
【0041】請求項2に記載の発明によれば、プラズマ
密度情報測定用プローブを具備したプラズマ密度情報導
出手段によって、プラズマ測定用電源の周波数が10M
Hzから500MHzまでの低周波領域でも、プラズマ
測定用電源から入射されたプラズマ測定用電力の反射ま
たは吸収に基づくプラズマ密度情報が測定されて、プラ
ズマの特性を把握することになる。
【0042】請求項3に記載の発明によれば、プラズマ
測定用電源から供給されたプラズマ測定用電力はプラズ
マ密度情報測定用プローブのケーブルを介してアンテナ
まで伝送されて、アンテナから放出されてプラズマ負荷
に吸収されるか、反射されてケーブルを介して戻ってく
る。
【0043】また、誘電体物質によって直接に被覆され
ずに、収容されているようなプラズマ密度情報測定用プ
ローブの場合は、前記誘電体物質を介して、プラズマと
接するので、シースよりもプラズマと結合しやすく、前
記誘電体物質の表面にプラズマ表面波が励起される。従
って、上述のプラズマ密度情報測定用プローブの場合、
高周波領域で吸収(または反射)が起こることになる。
【0044】一方、本発明に係るプラズマ密度情報測定
用プローブの場合は、少なくともアンテナが誘電体物質
によって直接に被覆されているので、アンテナの周りの
シース部分にプラズマ表面波が励起することになる。従
って、プラズマ密度によるプラズマ負荷の吸収(または
反射)はシースと結合して、その結果、低周波領域で吸
収(または反射)が起こることになる。
【0045】また誘電体によって被覆することによっ
て、測定中に絶縁性皮膜からなる汚れが薄く付着して
も、絶縁性皮膜が誘電体であるので、実質的に測定系が
変化せず、絶縁性皮膜の汚れによる測定結果の変動は生
じない。また、誘電体によって被覆することによって、
アンテナをプラズマに直接触れ難くして、直流の過電圧
が加わったり、過電流が流れて装置が壊れるのを、未然
に防止する。
【0046】請求項4に記載の発明によれば、アンテナ
が平板状の金属板で形成されていることにより、プラズ
マ負荷によるプラズマ測定用電力の吸収がより大きくな
る。従って、プラズマ密度情報が測定され易くなり、プ
ラズマ密度情報がより容易に測定されることになる。
【0047】請求項5に記載の発明によれば、プラズマ
密度に起因したプラズマ測定用電力の反射または吸収に
基づいて、プラズマ測定用電源の周波数が10MHzか
ら500MHzまでの低周波領域で、プラズマ密度情報
が測定される。測定されたプラズマ密度情報に基づくプ
ラズマ発生に係る物理量(以下、適宜「プラズマ発生物
理量」と略記する)を操作することによりプラズマ密度
が制御されて、さらにプラズマ密度が制御された状態で
もってプラズマを発生させることになる。
【0048】請求項6に記載の発明によれば、プラズマ
密度情報測定用プローブを具備したプラズマ密度情報導
出手段によって、プラズマ測定用電源の周波数が10M
Hzから500MHzまでの低周波領域で、プラズマ密
度情報が測定される。そして操作手段によって、測定さ
れたプラズマ密度情報に基づくプラズマ発生物理量を操
作する。さらにプラズマ発生物理量の操作によってプラ
ズマ密度が制御されて、プラズマ密度が制御された状態
でもってプラズマを発生させることになる。
【0049】請求項7に記載の発明によれば、プラズマ
密度に起因したプラズマ測定用電力の反射または吸収に
基づいて、プラズマ測定用電源の周波数が10MHzか
ら500MHzまでの低周波領域で、プラズマ密度情報
が測定される。測定されたプラズマ密度情報に基づくプ
ラズマ発生物理量を操作することによりプラズマ密度が
制御されて、さらにプラズマ密度が制御された状態でも
ってプラズマ中の被処理物に対するプラズマ処理が適切
に行われることになる。
【0050】請求項8に記載の発明によれば、プラズマ
密度情報測定用プローブを具備したプラズマ密度情報導
出手段によって、プラズマ測定用電源の周波数が10M
Hzから500MHzまでの低周波領域で、プラズマ密
度情報が測定される。そして操作手段によって、測定さ
れたプラズマ密度情報に基づくプラズマ発生物理量を操
作する。さらにプラズマ発生物理量の操作によってプラ
ズマ密度が制御されて、プラズマ密度が制御された状態
でもってプラズマ中の被処理物に対するプラズマ処理が
適切に行われることになる。
【0051】請求項9に記載の発明によれば、操作手段
はプラズマ生成用電源から供給されるプラズマ生成用電
力を操作することを特徴としているので、請求項9の装
置の発明の場合には、プラズマ発生物理量はプラズマ生
成用電力となる。従って、プラズマ生成用電力を操作す
ることによって、プラズマ密度が制御されて、プラズマ
密度が制御された状態でもってプラズマ中の被処理物に
対するプラズマ処理が適切に行われることになる。
【0052】請求項10に記載の発明によれば、操作手
段はプラズマ処理用電源から前記被処理物の周辺部に供
給されるプラズマ処理用電力を操作することを特徴とし
ている。従って、請求項10の装置の発明の場合には、
操作手段によるプラズマ処理用電力の操作によって被処
理物に対するプラズマ処理が適切に行われることにな
る。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施例を説明する。図1は、実施例に係るプラズマ密度
情報測定用プローブおよび測定装置の一例を装備したプ
ラズマ処理装置のブロック図である。
【0054】実施例に係るプラズマ処理装置は、図1に
示すように、プラズマPMが生成される室内空間Sを有
する直径数10cmのステンレス鋼製チャンバー1と、
チャンバー1の内に配設されたプラズマ生成用の放電電
極(放電アンテナ)2と、排気用パイプ3を介してチャ
ンバー1の室内空間Sと連通している真空排気ポンプ4
と、流量調節弁5が介設されたガス供給用パイプ6を介
してチャンバー1の室内空間Sに連通しているガス源7
とを備えている。そして、チャンバー1の壁部にはプラ
ズマ密度情報中の物理量を、実施例ではプラズマ吸収周
波数を測定するための測定プローブ8が先端部だけチャ
ンバー1内に挿入された状態で取り付けられている。ま
た、チャンバー1には、プラズマ処理を行うワーク(被
処理物)WとワークWを載せるステージ(載置台)ST
とが設置されているとともに、前記ステージSTには処
理用電極9が配設されている。その他、チャンバー1に
は、図示を省略するワークWの搬入・搬出機構なども配
設されている。なお、測定プローブ8は、本発明におけ
るプラズマ密度情報測定用プローブに相当する。
【0055】チャンバー1の室内空間Sは真空排気ポン
プ4によって排気されて適当な室内圧力が保たれる。ま
たガス源7からガスが適当な流量で供給される。供給ガ
スの種類としては、アルゴン、ヘリウム、チッ素、酸素
ガス、フッ素系ガス、塩素系ガス等が例示される。
【0056】また、チャンバー1の外にはプラズマを生
成するためのプラズマ生成用電力を供給するプラズマ生
成用電源10と、放電電極2に供給されるプラズマ生成
用電力を操作するための生成用電力操作部11とが設け
られている。
【0057】同様に、チャンバー1の外にはワークWの
プラズマ処理を行うためのプラズマ処理用電力を供給す
るプラズマ処理用電源12と、処理用電極9に供給され
るプラズマ処理用電力を操作するための処理用電力操作
部13とが設けられている。
【0058】さらに、チャンバー1の外にはプラズマ密
度情報を測定するためのプラズマ測定用電力を供給する
周波数掃引式のプラズマ測定用電源14と、測定プロー
ブ8にプラズマ測定用電力を伝送する同軸ケーブル15
と、測定プローブ8を制御するプローブ制御部16とが
設けられているとともに、測定プローブ8とプローブ制
御部16とは同軸ケーブル15を介して接続されてい
る。また、プローブ制御部16は前記プラズマ測定用電
源14や、後述するフィルタ、減衰器等を備えていると
ともに、測定プローブ8とプローブ制御部16とによっ
て、プラズマ密度情報測定部17を構成している。
【0059】なお、生成用電力操作部11と処理用電力
操作部13とは、本発明における操作手段に相当して、
プラズマ密度情報測定部17(即ち、測定プローブ8と
プローブ制御部16と)は本発明におけるプラズマ密度
情報測定手段に相当する。
【0060】生成用電力操作部11は、プラズマ生成用
電源10側・プラズマ側間のインピーダンス整合状態を
調節するインピーダンス整合器11aと、チャンバー1
に生成させるプラズマについての目標電子密度を設定す
るための電子密度設定部11bと、設定された目標電子
密度と実測された実測電子密度との差に基づいてインピ
ーダンス整合器11aを操作する整合器操作部11cと
からなる。
【0061】同様に処理用電力操作部13は、プラズマ
処理用電源12側・プラズマ側間のインピーダンス整合
状態を調節するインピーダンス整合器13aと、プラズ
マ処理を行うべく処理用電極9に最適なプラズマ処理用
電力、即ち目標プラズマ処理用電力を設定するための電
力設定部13bと、設定された目標プラズマ処理用電力
と実測された実測プラズマ処理用電力との差に基づいて
インピーダンス整合器13aを操作する整合器操作部1
3cと、電子密度とプラズマ処理用電力の相関関係を予
め記憶して、その相関関係に基づいて実測電子密度から
実測プラズマ処理用電力に変換させる電力変換部13d
とからなる。
【0062】インピーダンス整合器11aまたは13a
としては、プラズマ生成用電源10またはプラズマ処理
用電源12の周波数がMHzオーダの周波数の場合、イ
ンダクタンスとキャパシタンスとを組み合わせた整合回
路が用いられる。上記これらの電源の周波数が1GHz
以上の周波数の場合、EHチューナやスタブチューナが
用いられる。
【0063】実施例装置の場合、処理用電力操作部13
は、プラズマを利用して気体原料を加熱分解させて生成
物をワークW(基板)上に堆積させるプラズマCVD法
の操作部として使用されている。即ち、処理用電極9が
配設されているステージST上にワークWを載せて、チ
ャンバー1の室内空間S内に挿入する。プラズマ処理用
電源12からおよそ1kWのプラズマ処理用電力を処理
用電極9に供給することによって、プラズマPM雰囲気
中の電子やイオン等がワークW上に向かって吸引され
て、さらにワークW上に堆積される。
【0064】プラズマ処理用電源12の電圧またはプラ
ズマ処理用電力等と、ワークW上に吸引されるプラズマ
密度情報中の物理量が予め図示を省略する記憶部に記憶
されている。例えば上記記憶部には、プラズマ処理用電
力と電子密度との相関関係が予め記憶されており、それ
らの相関関係に基づいて測定によって求められた電子密
度からプラズマ処理用電力等に変換させる。本実施例装
置の場合には、処理用電力操作部13内に上記変換機能
を備えたものとして電力変換部13dがある。そして、
目標値と実測値が違う場合において、整合器操作部13
cはインピーダンス整合器13aを操作して、インピー
ダンス整合器13aの操作によってプラズマ処理用電力
等を操作する。さらにプラズマ処理用電力の操作によっ
て、ワークW上に向かって吸引されるプラズマPM雰囲
気中の電子やイオン等を制御して、ワークWのプラズマ
CVD処理を行う。
【0065】なお、プラズマ処理用電源12が直流(D
C)電源の場合には、ワークW上に堆積される生成物に
よって電荷がチャージアップして、ワークWそのものが
コンデンサになる可能性があるので、プラズマ処理用電
源12は直流(DC)電源よりも交流(AC)電源の方
が好ましい。またプラズマ処理用電源12だけでなく、
プラズマ生成用電源10等の周波数については、多くの
実用ケースでは13.56MHzの周波数の電源を実際
に用いている例もあり、特に限定されない。
【0066】また、プラズマ処理方法は、上記プラズマ
CVD法以外にも、プラズマ密度情報を制御してプラズ
マ処理を行う方法ならば、エッチング処理や粒子ビーム
源あるいは分析装置などに用いられるプラズマ処理等に
例示されるように、特に限定されない。
【0067】次に、プラズマ密度情報測定部17の具体
的構成、即ち、測定プローブ8とプローブ制御部16と
の具体的構成についてそれぞれ説明する。先ず、測定プ
ローブ8の具体的構成について説明する。
【0068】測定プローブ8は、図2の(a)の一部縦
断面図及び(b)の平面図に示すように、プラズマ測定
用電源14から供給されたプラズマ測定用電力を伝送す
る同軸ケーブル15と、電力を放射するアンテナとして
中心導体18と金属製の平板19とを備えているととも
に、同軸ケーブル15は中心導体18の一端側に接続さ
れており前記金属製の平板19は中心導体18の他端側
に接続されている。また、前記中心導体18と平板19
とは、図2の(a)に示すように誘電体製外皮20によ
って被覆されている。なお、中心導体18と平板19と
は、本発明におけるアンテナに相当して、誘電体製外皮
20は本発明における誘電体物質に相当する。
【0069】また、同軸ケーブル15の波断図のうち、
左斜線のハッチング部分は中心及び外部絶縁体(誘電
体)の部分を示し、黒塗りの部分は中心及び外部導体を
示している。なお、本実施例では、誘電体製外皮20は
中心導体18と平板19とを被覆しているが、同軸ケー
ブル15をも被覆するように構成されていても構わな
い。
【0070】また、中心導体18をわざわざ単独に形成
して同軸ケーブル15に接続する必要はなく、同軸ケー
ブル15の先端部(プローブ制御部16の接続部とは逆
の方向)に対して同軸ケーブル15の外部絶縁体、外部
導体及び中心絶縁体に切り込みを入れて、前記中心導体
を除くこれら外部絶縁体、外部導体及び中心絶縁体を除
去することにより、同軸ケーブル15の中心導体は本実
施例での中心導体18の機能を果たすことになる。従っ
て、上述のような切り込みを同軸ケーブル15に施すこ
とにより、中心導体18と同軸ケーブル15とを備えた
測定プローブ8を容易に作成することができる。
【0071】上記構成を有することにより、測定プロー
ブ8は以下の作用・効果をもたらす。即ち、アンテナと
して中心導体18に金属製の平板19を取り付けること
によって、後述するプラズマ負荷によるプラズマ測定用
電力の吸収が中心導体18のみのアンテナのときと比較
して大きくなる。従って、プラズマ測定用電源の周波数
が10MHzから500MHzまでの低周波領域で吸収
ポイントが中心導体18のみのときと比較してより容易
に測定することができる。
【0072】さらに、中心導体18と平板19とを誘電
体製外皮20によって被覆することによって、測定中に
絶縁性皮膜からなる汚れが薄く付着しても、絶縁性皮膜
が誘電体であるので、実質的に測定系が変化せず、絶縁
性皮膜の汚れによる測定結果の変動は生じないし、中心
導体18と平板19とをプラズマに直接触れ難くして、
直流の過電圧が加わったり、過電流が流れて装置が壊れ
るのを、未然に防止することができる。
【0073】続いて、プローブ制御部16の具体的構成
について説明する。プローブ制御部16は、上述した周
波数掃引式のプラズマ測定用電源14と、方向性結合器
21と、減衰器22と、フィルタ23と、プラズマ吸収
周波数導出部24と、電子密度変換部25とを備えてい
る。また、上述したように測定プローブ8には、同軸ケ
ーブル15を介してプローブ制御部16が接続されてい
る。詳述すると測定プローブ8には、図1に示すよう
に、プローブ制御部16内のプラズマ測定用電源14の
側から順に、方向性結合器21、減衰器22、及びフィ
ルタ23が接続されている。
【0074】プラズマ測定用電源14は10MHzから
500MHzまでの周波数でプラズマ測定用電力を自動
掃引しながら出力する。プラズマ測定用電源14から出
力されたプラズマ測定用電力は、同軸ケーブル15中を
伝送しながら方向性結合器21−減衰器22−フィルタ
23へと経由して、測定プローブ8へ伝送される。な
お、10MHzから500MHzまでの低周波領域で吸
収ポイントが測定できれば、500MHz以上の高周波
数領域まで掃引しても構わない。従って、プラズマ測定
用電源14の周波数は、必ずしも10MHzから500
MHzまでの低周波領域のみでなくてもよく、500M
Hz以上の高周波数領域をも出力するようなプラズマ測
定用電源14であってもよい。
【0075】一方、プラズマ測定用電力はアンテナであ
る中心導体18と平板19とから放出されてプラズマ負
荷に全て吸収されるとは限らず、プラズマ負荷に吸収さ
れずに反射して戻ってくる分もある。プラズマ負荷に吸
収されずに戻ってくるプラズマ測定用電力の反射量は、
方向性結合器21で検出されて、プラズマ吸収周波数導
出部24へ送り込まれる。プラズマ吸収周波数導出部2
4にはプラズマ測定用電源14から出力されるプラズマ
測定用電力の周波数も逐次送り込まれる。
【0076】なお、フィルタ23は中心導体18を経由
してプローブ制御部16へ混入してくるプラズマ生成用
のプラズマ測定用電力を除去する働きをする。また、減
衰器22は測定プローブ8へ送り込むプラズマ測定用電
力の量を調整する働きをする。
【0077】プラズマ吸収周波数導出部24は、プラズ
マ測定用電力の周波数と、プラズマ測定用電力の検出反
射量とに基づいて、プラズマ測定用電力の反射率の対周
波数変化を求める。そして、得られた結果に基づいて、
プラズマ密度に起因してプラズマ測定用電力の強い吸収
が起こるプラズマ吸収周波数を導出する構成となってい
る。即ち、プラズマ吸収周波数導出部24では、〔プラ
ズマ測定用電力の検出反射量〕÷〔プラズマ測定用電力
の全出力量(実施例では一定量)〕なる演算が行われて
プラズマ測定用電力の反射率が求められ、掃引する周波
数と対応付けてプロットされることにより、プラズマ測
定用電力の反射率の対周波数変化が求められる処理が行
われる。反射率が大きく下がるところは、電子密度に起
因してプラズマ測定用電力の強い吸収が起こる吸収ピー
ク、即ち吸収ポイントであり、吸収ポイントの周波数が
プラズマ吸収周波数ということになる。さらにプラズマ
吸収周波数導出部24では、吸収ポイントを自動検出し
て対応する周波数をプラズマ吸収周波数として認定導出
する処理が行われる。
【0078】また、ここではプラズマ測定用電力の反射
率を、〔プラズマ測定用電力の検出反射量〕÷〔プラズ
マ測定用電力の全出力量〕としているが、同軸伝送線路
等に起因する線路形状特有の吸収スペクトルが存在する
ので、〔プラズマ点灯時、即ちプラズマ生成時(プラズ
マ測定用電源10がオン(ON)時)のプラズマ測定用
電力の検出反射量〕÷〔プラズマ非点灯時、即ちプラズ
マを生成してない時(プラズマ測定用電源10がオフ
(OFF)時)のプラズマ測定用電力の検出反射量〕
で、プラズマ測定用電力の反射率を導出する方が望まし
い。また、上記『プラズマを生成してない時(以下、適
宜「プラズマ非点灯時」とする)のプラズマ測定用電力
の検出反射量』は、ネットワークアナライザの測定対象
物、本実施例では減衰器22やフィルタ23等の測定に
基づく校正(キャリブレーション)手段によって校正さ
れた検出反射量を示す。即ちプラズマ非点灯時におい
て、測定プローブ8は理論上では全反射して戻ってく
る。従って、反射率は100%である。しかし、上記測
定対象物の影響で、実際には全反射して戻ってこない。
測定対象物の影響による反射率を(100−α)%とす
ると、あたかも、α%の分だけ吸収が起こっているよう
にみえる。そこで、測定対象物の影響を考慮して、プラ
ズマ非点灯時に反射率が(100−α)%でも、全反射
である反射率100%に校正する手段が、頻繁に行われ
ている。
【0079】一方、プラズマ吸収周波数導出部24から
導出されたプラズマ吸収周波数に基づいて、電子密度変
換部25は電子密度に変換して導出する。導出された電
子密度を生成用電力操作部11の整合器操作部11c
と、処理用電力操作部13の電力変換部13dとにそれ
ぞれ送出するように本実施例装置は構成されている。
【0080】次に、吸収ポイントの測定例について説明
する。図2の(a)及び(b)に示すように、本実施例
では2cm×2cmの正方形で厚さ0.5mmのステン
レス鋼製の平板19を中心導体18に接続して、平板1
9を被覆する誘電体製外皮20として、厚さ0.3mm
のフッ素樹脂または雲母(マイカ〔Mica〕)を使用して
いる。なお、平板19を使用する金属材料は、上記のス
テンレス鋼だけでなく、銅、アルミニウム等が例示され
るように、特に限定されない。また、上記金属材料だけ
でなく、例えばカーボン等の金属以外の導電体材料でも
構わない。また、上記平板19だけでなく、プラズマ測
定用電力の吸収が大きくなって吸収ポイントを容易に読
み取ることができるのならば、例えばリング状の金属片
を中心導体18の他端側に接続させてもよく、形状につ
いては特に限定されない。一方、誘電体製外皮20を使
用する材料は、上記のフッ素樹脂またはマイカだけでな
く、石英、セラミックス、絶縁テープ(カプトン〔Kapt
on〕)等が例示されるように、特に限定されない。
【0081】また、ガス源7から供給するガスとしてア
ルゴンガスを使用しており、アルゴンプラズマPM雰囲
気中の下、プラズマ測定用電力の反射率を測定して吸収
ポイントが起こるプラズマ吸収周波数を測定している。
ガスの圧力は10mTorrから300mTorrまで
の範囲で、本実施例では14mTorrとしている。ま
た、プラズマ生成用電源10の周波数は13.56MH
zで、プラズマ生成用電源10から30W、40W、5
0W、80W、150W、200Wのプラズマ生成用電
力をチャンバー1の室内空間S内に供給したときのそれ
ぞれのプラズマ測定用電力の反射率の対周波数変化を観
測している。その実験結果は、図3(誘電体製外皮20
はフッ素樹脂を使用)に示す通りである。
【0082】電子密度に起因した吸収ポイントは、図3
の実験結果に示すように、現段階では少なくとも3つの
スペクトルとして観測される。本明細書ではこの3つの
各プラズマ吸収周波数を、周波数の高い順に、第1吸収
周波数f1、第2吸収周波数f2、及び第3吸収周波数f3
それぞれ定義付ける。
【0083】プラズマ生成用電力が変化すると、図3の
実験結果に示すように、上記各プラズマ吸収周波数もシ
フトするのがわかる。また、プラズマ生成用電力が変化
すると、プラズマPM中の電子密度が変化することか
ら、プラズマPM中の電子密度が変化すると、上記各プ
ラズマ吸収周波数もシフトすることが、図3の実験結果
からわかる。
【0084】続いて、電子密度の導出方法について図4
及び図5を参照しながら説明する。図4はプラズマ吸収
周波数の対電子密度変化であり、図5は電子密度を導出
するための実験装置に関するブロック図である。上述し
たように、プラズマ吸収周波数導出部24で導出された
それぞれのプラズマ吸収周波数、第1吸収周波数f1、第
2吸収周波数f2、及び第3吸収周波数f3は、プラズマ密
度、特に電子密度と一定の相関関係がある有用なプラズ
マ密度情報である。
【0085】これらの低周波領域で起こるプラズマ吸収
周波数と電子密度との関係式については、理論的にはま
だ説明されていないが、図4に示すような実測値を予め
実験から求める。即ち、低周波領域でのプラズマ吸収周
波数の対電子密度変化を求める。
【0086】しかしながら、図4に示すような低周波領
域でのプラズマ吸収周波数の対電子密度変化を実際に求
めるのには、以下の問題点がある。即ち、測定プローブ
8が、図2に示すような構成を有している場合には、上
述したようにシース部分と強く結合して吸収が起こるの
で、低周波領域での吸収ポイントを容易に観測すること
ができる。しかし、プラズマ部分との結合が弱く、高周
波領域での吸収ポイントは判定しにくい。逆に、改良発
明のような形状の測定プローブの場合には、上述したよ
うにプラズマ部分と強く結合して吸収が起こるので、高
周波領域での吸収ポイントを容易に観測することができ
るが、シース部分との結合が弱く、低周波領域での吸収
ポイントは判定しにくい。従って、プラズマとシースと
の両方と強く結合するプローブ、即ち低周波領域と高周
波領域との両方の領域での吸収ポイントを容易に測定で
きるようなプローブは、現段階では発明するに至ってい
ないので、1つのプローブだけでは低周波領域でのプラ
ズマ吸収周波数の対電子密度変化を求めることは困難で
ある。
【0087】そこで、図5に示すような実験装置によっ
て低周波領域でのプラズマ吸収周波数の対電子密度変化
を求めることができる。即ち、図2に示すような構成を
有している測定プローブ8、即ち低周波領域専用の測定
プローブ8と、改良発明のような形状を有する測定プロ
ーブ8a、即ち高周波領域専用の測定プローブ8aと
を、チャンバー1内に挿入する。つまり、図5に示すよ
うに、それぞれの両測定プローブ8、8aが互いに近傍
かつ放電電極2と平行の面方向(図5のr方向)に対し
て同じ面内に位置するようにチャンバー1内に挿入す
る。両測定プローブ8、8aをチャンバー1内に挿入し
た状態のまま同時に移動させながら、または両測定プロ
ーブ8、8aを固定したままプラズマ生成用電力を変化
させながら、電子密度と低周波領域の吸収ポイント及び
高周波領域の吸収ポイントとをプロットする。なお、本
明細書中では、r方向については円筒座標系の面方向を
示し、後述するz方向については円筒座標系の縦方向を
示すものとする。
【0088】このとき、図5に示すような方向でチャン
バー1の室内空間S内に測定プローブ8を挿入する場合
には、図2の(a)に示すような方向で行う。上述した
ように、プラズマPM中の電子密度は場所によって不均
一である。しかし、面方向(r方向)に対して同じ面内
ならば、電子密度はほぼ同じである。また平板19の厚
さは0.5mmなので、縦方向(図5のz方向)による
電子密度の変化は無視できる。逆に、図2の(b)に示
すような方向で、チャンバー1の室内空間S内に測定プ
ローブ8を挿入すると、縦方向(z方向)は平板19の
対角の長さ2×√2cmとなるので、縦方向(z方向)
による電子密度の変化は無視できない。従って、図2の
(b)に示すような方向で挿入すると測定が正しく行わ
れなくなる。
【0089】また、両測定プローブ8、8aは近傍かつ
面方向(r方向)に対して同じ面内に位置するように配
設されているので、ほぼ電子密度が同じとみなすことが
できる。先に測定プローブ8aの吸収ポイントを測定す
ることによって高周波領域でのプラズマ吸収周波数を測
定して、さらにそのときの電子密度を導出する。ほぼ同
じ電子密度とみなされる位置で測定プローブ8の吸収ポ
イントを測定することによって低周波領域でのプラズマ
吸収周波数、即ち電子密度に起因したプラズマ吸収周波
数(第1吸収周波数f1、第2吸収周波数f2、及び第3吸
収周波数f3)を測定して、電子密度と対応付けて上記プ
ラズマ吸収周波数をプロットする。
【0090】同様に、両測定プローブ8、8aを同じ面
内で移動させるか、または両測定プローブ8、8aを固
定したままプラズマ生成用電力を変化させる等の方法
で、違う電子密度の下で測定を行う。電子密度と対応付
けて上記プラズマ吸収周波数をプロットしていくと、図
4に示すようなプラズマ吸収周波数の対電子密度変化を
求めることができる。
【0091】図4は、誘電体製外皮20としてフッ素樹
脂(比誘電率εは約2.1)及びマイカ(比誘電率εは
約5.0)を使用したときのそれぞれのプラズマ吸収周
波数の対電子密度変化である。図4中の黒丸のプロット
はフッ素樹脂を使用したときのプラズマ吸収周波数の対
電子密度変化であり、図4中の黒の方形はマイカを使用
したときのプラズマ吸収周波数の対電子密度変化であ
る。
【0092】本実施例装置では、図4に示すようなプラ
ズマ吸収周波数の対電子密度変化のデータを予め記憶し
て、プラズマ吸収周波数導出部24より導出された吸収
ポイントに基づいて、プラズマ吸収周波数から電子密度
に変換させる電子密度変換部25を備えるように構築さ
れている。さらに、前記変換部によって変換された各々
の電子密度は各操作部にそれぞれ送出される。
【0093】また、プラズマ吸収周波数(第1吸収周波
数f1、第2吸収周波数f2、及び第3吸収周波数f3)全て
についてプラズマ吸収周波数の対電子密度変化のデータ
を予め記憶する必要はなく、少なくとも1つのプラズマ
吸収周波数についてプラズマ吸収周波数の対電子密度変
化のデータを予め記憶するだけでよい。もちろん、電子
密度をより正確に導出して、プラズマ密度情報をより精
密に制御するために、プラズマ吸収周波数全てについて
上記データを記憶してもよい。
【0094】また将来、低周波領域で起こるプラズマ吸
収周波数と電子密度との関係式について理論的に解明さ
れて、かつ実測値でのプラズマ吸収周波数と電子密度と
が理論値と一致したときには、プラズマ吸収周波数から
電子密度に変換させる演算子を本実施例装置内に備える
機構であってもよい。
【0095】続いて、以上に説明した構成を有するプラ
ズマ処理装置において、プラズマ処理制御の流れを、図
6のフローチャートを参照して説明する。なお、図6の
フローチャートは、プラズマ生成用電力のみの操作に関
するものである。
【0096】〔ステップS1〕プラズマ生成用電源10
のスイッチをON状態にする。このとき、チャンバー1
の室内空間Sを真空排気ポンプ4によって排気されてい
るとともにガス源7から適当な流量のガスが室内空間S
に供給され、室内空間Sは適当な雰囲気に調整されてい
る。
【0097】〔ステップS2〕生成用電力操作部11内
のインピーダンス整合器11aを適当な初期状態にセッ
トする(例えばインピーダンス整合器11aのチューナ
ーの位置をT0 に設定する)。
【0098】〔ステップS3〕プラズマ生成用電源10
からインピーダンス整合器11aを介して放電電極2へ
プラズマ生成用電力を適当な初期値(出力量P0 )に設
定して、プラズマPMをチャンバー1の室内空間Sに生
成させる。
【0099】〔ステップS4〕プラズマ測定用電源14
からのプラズマ測定用電力の吸収に基づいて、プラズマ
吸収周波数導出部24はプラズマ吸収周波数を導出す
る。
【0100】〔ステップS5〕導出されたプラズマ吸収
周波数に基づいて、電子密度変換部25は電子密度に変
換する。そして、変換された電子密度は、整合器操作部
11cへ送られる。このステップS5までの手順が本発
明におけるプラズマ密度情報測定過程に相当する。
【0101】〔ステップS6〕整合器操作部11cは電
子密度設定部11bから設定された目標電子密度n
0 と、ステップS5で電子密度変換部25から変換され
た電子密度、即ち測定によって求められた実測電子密度
nとの電子密度差Δn(=n0 −n)を導出する。
【0102】〔ステップS7〕電子密度差Δnが一定値
以上であるか否かを判定する。もし電子密度差Δnが一
定値未満であれば、生成プラズマ密度に対応する電子密
度は目標の電子密度になっているものと判断して制御処
理を終了する。
【0103】〔ステップS8〕電子密度差Δnが一定値
以上である場合は、インピーダンス整合器11aの調整
可能範囲を全てチェックしたか否かを判断する。
【0104】〔ステップS9〕インピーダンス整合器1
1aの調整可能範囲を全てチェックしていない場合は、
インピーダンス整合器11aを再調整した後(例えばチ
ューナーの位置を別の位置に変化させた後)、ステップ
S4に戻る。
【0105】〔ステップS10〕インピーダンス整合器
11aの調整可能範囲を全てチェックしても、未だに電
子密度差Δnが一定値以上である場合は、プラズマ生成
用電源10からのプラズマ生成用電力の設定値を変えた
後、ステップS4に戻る。ステップS6からこのステッ
プS9、S10までの手順が本発明における操作過程に
相当する。
【0106】以上のように、本実施例ではプラズマ生成
用電力の設定やインピーダンス整合器11aの調整が行
われることによって、実測プラズマ密度(実測電子密
度)が目標プラズマ密度(目標電子密度)に収束するよ
うに、プラズマ密度情報中の物理量が制御される。
【0107】また、測定プローブ8(のアンテナである
中心導体18と平板19と)は、誘電体製外皮20によ
って被覆されているので、シース部分と強く結合して吸
収が起こり、プラズマ測定用電源14の周波数が10M
Hzから500MHzまでの低周波領域で吸収ポイント
が観測できる。従って、たとえ電子密度が1012cm -3
の高密度でも吸収ポイントが上記低周波領域で容易に測
定できるので、周波数が5GHz以上である高周波電源
を特別に使用する必要はなく、測定装置が簡易になり装
置本体の価格を低減させることができる。
【0108】本発明は、上記実施形態に限られることは
なく、下記のように変形実施することができる。
【0109】(1)上述した本実施例に係るプラズマ処
理は、プラズマ生成用電力のみの操作によって行われる
ものであったが、プラズマ処理用電力の操作によって行
われるものであってもよい。
【0110】即ち、以下の手順でプラズマ処理が行われ
る。上述した本実施例に係るプラズマ処理と同様に、室
内空間Sが適当な雰囲気に調整されると、処理用電力操
作部13内のインピーダンス整合器13aを適当な初期
状態にセットする(例えばインピーダンス整合器13a
のチューナーの位置をT1 に設定する)。
【0111】プラズマPMをチャンバー1の室内空間S
に生成させた後に、プラズマ処理に最適な目標プラズマ
処理用電力P0 を電力設定部13bから設定する。そし
て、プラズマ処理用電源12からインピーダンス整合器
13aを介して処理用電極9に前記目標プラズマ処理用
電力P0 を供給する。
【0112】プラズマ測定用電源14からのプラズマ測
定用電力の吸収に基づいて、プラズマ吸収周波数導出部
24はプラズマ吸収周波数を導出する。そして、導出さ
れたプラズマ吸収周波数に基づいて、電子密度変換部2
5は電子密度に変換する。そして、変換された電子密度
は、電力変換部13dへ送られる。
【0113】変換されて電力変換部13dへ送られてき
た電子密度、即ち実測電子密度nに基づいて、電力変換
部13dは実測プラズマ処理用電力Pに変換する。そし
て、変換された実測プラズマ処理用電力Pは、整合器操
作部13cへ送られる。上述した本実施例に係るプラズ
マ処理と同様に、整合器操作部13cは電力変換部13
dから設定された目標プラズマ処理用電力P0 と、電力
変換部13dから変換された実測プラズマ処理用電力P
とのプラズマ処理用電力差ΔP(=P0 −P)を導出す
る。
【0114】上述した本実施例に係るプラズマ処理と同
様に、プラズマ処理用電力差ΔPが一定値以上であるか
否かを判定する。もしプラズマ処理用電力差ΔPが一定
値未満であれば制御処理を終了して、プラズマ処理用電
力差ΔPが一定値以上であればインピーダンス整合器1
3a等を再調整する。
【0115】以上のように、本変形例ではインピーダン
ス整合器13aの調整が行われることによって、実測プ
ラズマ処理用電力が目標プラズマ処理用電力に収束する
ように、プラズマ密度情報中の物理量が制御される。
【0116】(2)上述した本実施例に係るプラズマ処
理や上記変形例に係るプラズマ処理、即ちプラズマ生成
用・処理用電力の操作によって行われるプラズマ処理以
外にも、プラズマ発生物理量やプラズマ中の被処理物に
対して供給する処理用電圧(本実施例ではプラズマ処理
用電源12の電圧)や処理用電流を操作することによっ
てプラズマ処理が行われるのならば、プラズマ処理方法
については特に限定されない。例えば、本明細書中での
「従来の技術」でも既に述べたように、有用なプラズマ
発生物理量としてプラズマを生成するガスの圧力があ
る。従って、ガスの圧力を操作することによってプラズ
マ処理が行われるように、本発明に係るプラズマ処理装
置が構成されていてもよい。即ち、電子密度変換部25
から変換された電子密度から前記電子密度に対応するガ
スの圧力に変換させる図示を省略するガス圧変換部と、
流量調節弁5を操作する図示を省略する流量操作部とを
備えるように構成されていてもよい。
【0117】上記構成を有する場合、電子密度変換部2
5から変換された電子密度に基づいて、ガス圧変換部は
ガスの実測圧力を求める。ガスの実測圧力は流量操作部
に送出されて、流量操作部は流量調節弁5に対してフィ
ードバック制御を行う。流量調節弁5から目標圧力に調
節することによって、電子密度といったプラズマ密度情
報も目標値に収束される。
【0118】またプラズマ処理を行う前に、プラズマ生
成用電力を操作するか、プラズマ処理用電力を操作する
か、それともガスの圧力を操作するかといった各プラズ
マ発生物理量やプラズマ処理を行う諸量を適宜選択し
て、選択された上記物理量や諸量について操作を行える
ような会話形式のステップを設けてもよい。
【0119】(3)上述した実施例装置では、電子密度
変換部25から変換された電子密度を各操作部(生成用
電力操作部11と処理用電力操作部13)にそれぞれ送
出していたが、電子密度以外のプラズマ密度情報中の物
理量を上記各操作部に送出してもよい。例えば、プラズ
マ密度情報がプラズマ吸収周波数であれば、本変形例装
置では、電子密度設定部11bの代わりに図示を省略す
るプラズマ吸収周波数設定部を設ける。そして、プラズ
マ吸収周波数導出部24から導出された実測プラズマ吸
収周波数を、例えば生成用電力操作部11に送出する。
このとき目標値と実測値とは同一のデータ形式になるよ
うに構成されている方が望ましい。即ち、実測プラズマ
吸収周波数が生成用電力操作部11内の整合器操作部1
1cに送出されると、前記プラズマ吸収周波数設定部は
目標プラズマ密度に相当する目標プラズマ吸収周波数を
設定する。そして、目標プラズマ吸収周波数と実測プラ
ズマ吸収周波数との差分が一定値だと、プラズマ発生物
理量等を操作するようにしてもよい。
【0120】(4)上述した実施例装置では、プラズマ
生成用電力、及びインピーダンス整合器11aについて
自動的に調整する構成であったが、少なくとも1つのプ
ラズマ発生物理量やプラズマ処理を行う諸量について手
動で調整する構成であってもよい。
【0121】
【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1の発明
に係るプラズマ密度情報測定方法によれば、たとえプラ
ズマ測定用電源の周波数が10MHzから500MHz
までの低周波領域でもプラズマ密度情報を測定すること
ができる。従って、上記低周波領域でプラズマの特性を
容易に把握することができる。
【0122】請求項2の発明に係るプラズマ密度情報測
定装置によれば、プラズマ密度情報プラズマ測定用プロ
ーブを具備したプラズマ密度情報導出手段によって、た
とえプラズマ測定用電源の周波数が10MHzから50
0MHzまでの低周波領域でもプラズマ密度情報を測定
することができる。従って、上記低周波領域でプラズマ
の特性を容易に把握することができるとともに、高周波
用のプラズマ測定用電源を必要とせずに、測定装置が簡
易になる。
【0123】請求項3の発明に係るプラズマ密度情報測
定用プローブによれば、プラズマ測定用電源の周波数が
10MHzから500MHzまでの低周波領域でプラズ
マ測定用電力の反射または吸収が起こることから、たと
え上記低周波領域でもプラズマ密度情報を容易に測定す
ることができる。
【0124】また、上記プラズマ密度情報測定用プロー
ブは誘電体によって被覆されているので、プラズマ密度
情報測定用プローブにプラズマ中へ異物などが侵入する
ことがなく測定を円滑に行うことができる。また、アン
テナをプラズマに直接触れ難くして、直流の過電圧が加
わったり、過電流が流れて装置が壊れるのを、未然に防
止することができる。
【0125】請求項4の発明に係るプラズマ密度情報測
定用プローブによれば、アンテナが平板状の金属板で形
成されていることにより、プラズマ負荷によるプラズマ
測定用電力の吸収をより大きくすることができて、プラ
ズマ密度情報をより容易に測定することができる。
【0126】請求項5の発明に係るプラズマ発生方法に
よれば、たとえプラズマ測定用電源の周波数が10MH
zから500MHzまでの低周波領域でもプラズマ密度
情報を測定することができる。従って、上記低周波領域
でプラズマ密度情報に基づくプラズマ発生物理量を操作
することが可能となり、プラズマ発生物理量の操作によ
ってプラズマ密度が制御されて、プラズマ密度が制御さ
れた状態でもってプラズマを発生することができる。
【0127】請求項6の発明に係るプラズマ発生装置に
よれば、プラズマ密度情報測定用プローブを具備したプ
ラズマ密度情報導出手段によって、たとえプラズマ測定
用電源の周波数が10MHzから500MHzまでの低
周波領域でもプラズマ密度情報を測定することができ
る。従って、上記低周波領域でプラズマ密度情報に基づ
くプラズマ発生物理量を操作することが可能となり、プ
ラズマ発生物理量の操作によってプラズマ密度が制御さ
れて、プラズマ密度が制御された状態でもってプラズマ
を発生することができるとともに、高周波用のプラズマ
測定用電源を必要とせずに、測定装置が簡易になる。
【0128】請求項7の発明に係るプラズマ処理方法に
よれば、たとえプラズマ測定用電源の周波数が10MH
zから500MHzまでの低周波領域でもプラズマ密度
情報を測定することができる。従って、上記低周波領域
でプラズマ密度情報に基づくプラズマ発生物理量を操作
することが可能となり、プラズマ発生物理量の操作によ
ってプラズマ密度が制御されて、プラズマ密度が制御さ
れた状態でもってプラズマ中の被処理物に対してプラズ
マ処理を適切に行うことができる。
【0129】請求項8の発明に係るプラズマ処理装置に
よれば、プラズマ密度情報測定用プローブを具備したプ
ラズマ密度情報導出手段によって、たとえプラズマ測定
用電源の周波数が10MHzから500MHzまでの低
周波領域でもプラズマ密度情報を測定することができ
る。従って、上記低周波領域でプラズマ密度情報に基づ
くプラズマ発生物理量を操作することが可能となり、プ
ラズマ発生物理量の操作によってプラズマ密度が制御さ
れて、プラズマ密度が制御された状態でもってプラズマ
中の被処理物に対してプラズマ処理を適切に行うことが
できるとともに、高周波用のプラズマ測定用電源を必要
とせずに、測定装置が簡易になる。
【0130】請求項9の発明に係るプラズマ処理装置に
よれば、操作手段はプラズマ生成用電源から供給される
プラズマ生成用電力を操作することを特徴としているの
で、プラズマ生成用電力を操作することによって、プラ
ズマ密度が制御されて、プラズマ密度が制御された状態
でもってプラズマ中の被処理物に対してプラズマ処理を
適切に行うことができる。
【0131】請求項10の発明に係るプラズマ処理装置
によれば、操作手段はプラズマ処理用電源から前記被処
理物の周辺部に供給されるプラズマ処理用電力を操作す
ることを特徴としている。従って、請求項10の装置の
発明の場合には、プラズマ処理用電力の操作によって被
処理物に対してプラズマ処理を適切に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るプラズマ密度情報測定用プローブ
および測定装置の一例を装備したプラズマ処理装置のブ
ロック図である。
【図2】実施例に係るプラズマ密度情報測定用プローブ
(測定プローブ)を示す一部縦断面図及び平面図であ
る。
【図3】実施例に係るプラズマ測定用電力の反射率の対
周波数変化の測定結果を示す図である。
【図4】フッ素樹脂及びマイカを使用したときのそれぞ
れのプラズマ吸収周波数の対電子密度変化の測定結果を
示す図である。
【図5】電子密度を導出するための実験装置に関するブ
ロック図である。
【図6】プラズマ生成用電力の操作の流れを示すフロー
チャート図である。
【図7】改良発明に係る測定プローブの一例の構成を示
す一部縦断面図である。
【図8】改良発明に係るプラズマ測定用電力の反射率の
対周波数変化の測定結果を示す図である。
【図9】低周波領域での吸収ポイントを観測するための
本発明以前の測定プローブの一例の構成を示す一部縦断
面図である。
【符号の説明】
1 … チャンバー 2 … 放電電極 5 … 流量調節弁 8 … 測定プローブ 9 … 処理用電極 10 … プラズマ生成用電源 11 … 生成用電力操作部 12 … プラズマ処理用電源 13 … 処理用電力操作部 11a、13a … インピーダンス整合器 11b … 電子密度設定部 13b … 電力設定部 11c、13c … 整合器操作部 13d … 電力変換部 14 … プラズマ測定用電源 15 … 同軸ケーブル 16 … プローブ制御部 17 … プラズマ密度情報測定部 18 … 中心導体 19 … 平板 20 … 誘電体製外皮 24 … プラズマ吸収周波数導出部 25 … 電子密度変換部 S … 室内空間 W … ワーク PM … プラズマ ST … ステージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊田 直樹 兵庫県宝塚市亀井町10番7号 株式会社ニ ッシン内 (72)発明者 南光 正平 兵庫県宝塚市亀井町10番7号 株式会社ニ ッシン内 Fターム(参考) 4K030 FA01 FA03 HA16 HA17 JA16 JA18 KA30 KA39 KA41 5F045 AA08 DP03 EB02 EH02 EH12 EH20 GB08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマの特性を示すプラズマ密度情報
    を測定するプラズマ密度情報測定方法であって、プラズ
    マ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電
    源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給す
    るとともに、プラズマ密度情報測定用電源の周波数が1
    0MHzから500MHzまでの周波数領域において、
    プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の
    反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する
    プラズマ密度情報測定過程を備えることを特徴とするプ
    ラズマ密度情報測定方法。
  2. 【請求項2】 プラズマの特性を示すプラズマ密度情報
    を測定するプラズマ密度情報測定装置であって、プラズ
    マ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電
    源と、プラズマ密度情報測定用電源の周波数が10MH
    zから500MHzまでの周波数領域において、前記プ
    ラズマ密度情報測定用電源から供給されるプラズマ密度
    情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収に
    基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報
    測定用プローブを具備したプラズマ密度情報測定手段と
    を備えることを特徴とするプラズマ密度情報測定装置。
  3. 【請求項3】 プラズマ密度情報を測定するためのプラ
    ズマ密度情報測定用電源の周波数が10MHzから50
    0MHzまでの周波数領域において、前記プラズマ密度
    情報測定用電源から供給されるプラズマ密度情報測定用
    電力のプラズマ負荷による反射または吸収に基づいてプ
    ラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定用プロ
    ーブであって、電力を放射するアンテナと、前記プラズ
    マ密度情報測定用電力を伝送するケーブルとを備えてい
    るとともに、前記アンテナとケーブルとがアンテナの一
    端側で接続されており、少なくともアンテナが誘電体物
    質によって直接に被覆されていることを特徴とするプラ
    ズマ密度情報測定用プローブ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のプラズマ密度情報測定
    用プローブにおいて、前記アンテナが平板状の金属板で
    あることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プロー
    ブ。
  5. 【請求項5】 プラズマ発生に係る物理量を操作するこ
    とによりプラズマ密度を制御するプラズマ発生方法であ
    って、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度
    情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力と、プ
    ラズマ生成用電力とをプラズマに供給するとともに、プ
    ラズマ密度情報測定用電源の周波数が10MHzから5
    00MHzまでの周波数領域において、プラズマ負荷に
    よる前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収
    に基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情
    報測定過程と、測定された前記プラズマ密度情報に基づ
    いて前記プラズマ発生に係る物理量を操作する操作過程
    とを備えることを特徴とするプラズマ発生方法。
  6. 【請求項6】 プラズマ発生に係る物理量を操作するこ
    とによりプラズマ密度を制御するプラズマ発生装置であ
    って、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度
    情報測定用電源と、プラズマ生成用電源と、プラズマ密
    度情報測定用電源の周波数が10MHzから500MH
    zまでの周波数領域において、前記プラズマ密度情報測
    定用電源から供給されるプラズマ密度情報測定用電力の
    プラズマ負荷による反射または吸収に基づいてプラズマ
    密度情報を測定するプラズマ密度情報測定用プローブを
    具備したプラズマ密度情報測定手段と、測定された前記
    プラズマ密度情報に基づいて前記プラズマ発生に係る物
    理量を操作する操作手段とを備えることを特徴とするプ
    ラズマ発生装置。
  7. 【請求項7】 プラズマ発生に係る物理量を操作するこ
    とによりプラズマ密度が制御されたプラズマ中に被処理
    物を置いてプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であっ
    て、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情
    報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力と、プラ
    ズマ生成用電力とをプラズマに供給するとともに、プラ
    ズマ密度情報測定用電源の周波数が10MHzから50
    0MHzまでの周波数領域において、プラズマ負荷によ
    る前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に
    基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報
    測定過程と、測定された前記プラズマ密度情報に基づい
    て前記プラズマ発生に係る物理量を操作する操作過程と
    を備えることを特徴とするプラズマ処理方法。
  8. 【請求項8】 プラズマ発生に係る物理量を操作するこ
    とによりプラズマ密度が制御されたプラズマ中にプラズ
    マ処理を行うための被処理物を置いてプラズマ処理を行
    うプラズマ処理装置であって、プラズマ密度情報を測定
    するためのプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ生
    成用電源と、プラズマ密度情報測定用電源の周波数が1
    0MHzから500MHzまでの周波数領域において、
    前記プラズマ密度情報測定用電源から供給されるプラズ
    マ密度情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または
    吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密
    度情報測定用プローブを具備したプラズマ密度情報測定
    手段と、測定された前記プラズマ密度情報に基づいて前
    記プラズマ発生に係る物理量を操作する操作手段とを備
    えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のプラズマ処理装置にお
    いて、前記操作手段は前記プラズマ生成用電源から供給
    されるプラズマ生成用電力を操作することを特徴とする
    プラズマ処理装置。
  10. 【請求項10】 請求項8または請求項9に記載のプラ
    ズマ処理装置において、前記操作手段はプラズマ処理用
    電源から前記被処理物の周辺部に供給されるプラズマ処
    理用電力を操作することを特徴とするプラズマ処理装
    置。
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