JP2002039306A - トラクションドライブ用転動体およびその製造方法 - Google Patents

トラクションドライブ用転動体およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな動力の伝達が可能であるトラクション
特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供す
る。 【解決手段】 転動面間でトラクションオイルを介在し
て動力を伝達するトラクションドライブ用転動体(入力
ディスク3,出力ディスク5,パワーローラ6)におい
て、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動
力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、油溜り量
Voを7×10−6(mm/mm)〜3×10−4
(mm/mm)の範囲とし、油溜り深さ率Kを0.
9〜2.0の範囲とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や産業機械
などの動力伝達装置において、入力側からの回転をトラ
クションドライブにより無段で変速して出力側に伝達す
るのに利用されるトラクションドライブ型無段変速機に
関するものであり、さらに詳しくは、トラクションオイ
ルを介在させて用いられるトラクションドライブ用転動
体に関し、トラクション特性に優れた転動面の表面性状
を有するトラクションドライブ用転動体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は、動力伝達性に優れ、ま
た、変速ショックがないことから、多方面で研究されて
いる。この中で、大きな動力を伝達する目的で、トラク
ションオイルを介して転動面同士で動力を伝達する方式
(トラクションドライブ方式:転がり方式)のものが研
究されている。
【0003】このトラクションオイルを介して転動面同
士で動力を伝達するトラクションドライブ方式は、高出
力エンジンに対応できる機構を有している。トラクショ
ンドライブ無段変速機1の基本構成は、例えば図1に示
すように、トラクションオイルを介して接触する金属製
転動体、すなわち、2枚のディスク(入力軸2に固定し
た入力ディスク3および出力軸4に固定した出力ディス
ク5)に挟まれたパワーローラ6のローラ軸の傾きを変
化させ、パワーローラ6を介してディスク3,5の接触
半径を変えて変速させることにより動力を無段変速で伝
達する仕組みになっている。
【0004】このトラクションドライブ方式の無段変速
機の一例として、ハーフトロイダル型無段変速機やフル
トロイダル型無段変速機がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなトラクショ
ンドライブ方式に用いられる転動体(入力ディスク3,
出力ディスク5,パワーローラ6)は、高温高面圧下に
おいて優れたトラクション特性と高い転動疲労寿命特性
を有していることが要求される。また、将来の環境への
負荷を考え、さらなる燃費向上のため、車両重量を軽く
する必要があり、このためには、ユニットサイズを小型
化し、かつまた、同じサイズのユニットでは伝達できる
動力を大きくする必要があるという課題があった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記従来の課題に鑑みて成さ
れたものであって、大きな動力の伝達が可能であるトラ
クション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるトラクシ
ョンドライブ用転動体は、請求項1に記載しているよう
に、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝
達するトラクションドライブ用転動体において、転動体
の転動面に油膜厚さよりも深い凹凸を有することを特徴
としている。
【0008】そして、請求項2に記載しているように、
転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達す
るトラクションドライブ用転動体において、駆動側およ
び従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転
動面の表面微細形状に関して、油溜り量が7×10−6
(mm/mm)〜3×10−4(mm/mm)、
油溜り深さ率が0.9〜2.0であることを特徴として
いる。
【0009】同じく、請求項3に記載しているように、
駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を
伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の
組合わせとし、ディンプルの中で、直径が5μm〜30
μm、深さが0.1μm〜1.0μmのものが占める面
積率を5%〜40%としたことを特徴としている。
【0010】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項4に記載し
ているように、直径が5μm〜30μm、深さが0.1
μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100μm四
方あたりに10個〜30個であることを特徴としてい
る。
【0011】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項5に記載し
ているように、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで
0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さ
で0.4μm〜1.0μmであることを特徴としてい
る。
【0012】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項6に記載し
ているように、転動面の表面硬さが、850Hv以上で
あることを特徴としている。
【0013】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項7に記載し
ているように、転動面が、ショットピーニングにより形
成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加工、切
削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を取るこ
とにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせ
としたことを特徴としている。
【0014】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項8に記載し
ているように、駆動側および従動側の少なくとも一方の
転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を連続溝
と平坦部の組合わせとし、より望ましくは転がり方向と
平行に存在する連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝
の溝幅が2μm〜10μm、溝間隔が10μm〜30μ
m、溝深さが0.1μm〜1.0μmであることを特徴
としている。
【0015】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項9に記載し
ているように、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで
0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最大高さ
で0.2μm〜0.9μmであることを特徴としてい
る。
【0016】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、転動面の凹凸の平均間隔と接触楕円長
径の半分との比が0.08以下であることを特徴として
いる。
【0017】また、本発明に係わるトラクションドライ
ブ用転動体は、請求項11に記載しているように、転動
面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するト
ラクションドライブ用転動体において、駆動側および従
動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面
の表面微細形状に関して、表面粗さ計により測定される
断面曲線が凹部と凸部を交互に配列した形状であると共
に、断面曲線の中心線よりも上側の凸部の形状が、台形
状、角が丸みを帯びた台形状、角に面取りを施した台形
状、クラウニング形状、楕円弧状、正弦波状、頂点が丸
みを帯びた三角形状のいずれかであることを特徴として
いる。
【0018】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項12に記載
しているように、凹部と凸部の高低差が0.5〜2.5
μmであることを特徴としている。
【0019】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項13に記載
しているように、凹部と凸部の高低差が2.5〜2.5
μmであることを特徴としている。
【0020】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項14に記載
しているように、凹部と凸部の高低差が0.8〜1.2
μmであることを特徴としている。
【0021】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項15に記載
しているように、断面曲線の中心線において、全体に対
する凹部の割合が15〜60%であることを特徴として
いる。
【0022】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項16に記載
しているように、断面曲線の中心線において、全体に対
する凹部の割合が25〜40%であることを特徴として
いる。
【0023】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項17に記載
しているように、断面曲線の中心線において、全体に対
する凹部の割合が27〜35%であることを特徴として
いる。
【0024】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項18に記載
しているように、断面曲線の中心線において、全体に対
する凹部の割合が30〜57%であることを特徴として
いる。
【0025】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項19に記載
しているように、凹部のピッチが10〜150μmであ
ることを特徴としている。
【0026】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項20に記載
しているように、凹部のピッチが40〜120μmであ
ることを特徴としている。
【0027】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項21に記載
しているように、凸部の頂上部の表面粗さがRz100
nm以下であることを特徴としている。
【0028】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項22に記載
しているように、凸部の頂上部の表面粗さがRz40n
m以下であることを特徴としている。
【0029】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項23に記載
しているように、断面曲線の中心線において、凹部の長
さが10〜40μmであることを特徴としている。
【0030】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項24に記載
しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
動方向に直交する直径に対し、凹部のピッチが1.2〜
9%であることを特徴としている。
【0031】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項25に記載
しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
動方向に直交する直径に対し、凹部のピッチが2.4〜
6%であることを特徴としている。
【0032】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項26に記載
しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
動方向に直交する直径に対し、凹部の長さが0.6〜2
%であることを特徴としている。
【0033】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項27に記載
しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
動方向と平行な直径に対し、凹部の長さが0.8〜3.
2%であることを特徴としている。
【0034】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項28に記載
しているように、凹部が当該転動体の転動方向とほぼ平
行に形成した溝であることを特徴としている。
【0035】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項29に記載
しているように、凹部が当該転動体の転動方向に沿って
螺旋状に形成してあることを特徴としている。
【0036】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項30に記載
しているように、凹部が少なくともヘルツ接触楕円の短
径の長さよりも長く連続していることを特徴としてい
る。
【0037】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項31に記載
しているように、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しく
して計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径
が0.1mm以上であることを特徴としている。
【0038】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項32に記載
しているように、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しく
して計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径
が0.8〜170mmであることを特徴としている。
【0039】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項33に記載
しているように、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しく
して計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径
が0.8〜10mmであることを特徴としている。
【0040】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項34に記載
しているように、駆動側および従動側の一方の転動体の
転動面が、請求項11〜25のいずれかに記載の凹部と
凸部から成る表面形状を有し、他方の転動体の転動面
が、中心線平均粗さでRa0.06μm以下であること
を特徴としている。
【0041】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項35に記載
しているように、材料および熱処理が、肌焼き鋼の浸炭
焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻し、軸受
け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼戻し、軸
受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択されるこ
とを特徴としている。
【0042】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の実施態様においては、請求項36に記載
しているように、転動体は、円環凹面形状を成す転動面
をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディスクと、
対向して配置した入力ディスクおよび出力ディスクの円
環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転動面と
相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え且つロ
ーラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わせから
成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフルトロ
イダル型無段変速機の構成要素となることを特徴として
いる。
【0043】さらに、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項37に記載している
ように、請求項11〜36のいずれかに記載のトラクシ
ョンドライブ用転動体を製造するに際し、転動面に深さ
10μm以下の凹部を等間隔で形成して凹部と凸部を交
互に形成したのち、凹凸の高低差が0.5〜2.5μm
になるまで凸部を除去加工することを特徴としている。
【0044】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項38に記載している
ように、請求項11〜37のいずれかに記載のトラクシ
ョンドライブ用転動体を製造するに際し、転動面を表面
粗さRz100nm以下となる状態に形成したのち、深
さ0.5〜2.5μmの凹部を等間隔で形成して凹部お
よび凸部を交互に形成することを特徴としている。
【0045】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項39に記載している
ように、切削加工、研削加工、ブラスト加工、レーザ加
工およびエッチング加工の少なくとも1つの加工により
凹部を形成し、超仕上げ加工、ラッピング加工、切削加
工、研削加工および電解研磨加工の少なくとも1つの加
工により凸部を形成することを特徴としている。
【0046】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項40に記載している
ように、ショットピーニング、研削加工および切削加工
の少なくとも1つの加工により転動面に凹凸を形成し、
ローラバーニッシュにより凸部を滑らかな平面に形成す
ることを特徴としている。
【0047】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項41に記載している
ように、先端が単一R、台形、V字および複合Rの少な
くとも1つを有する形状であり且つ先端から0.5〜
2.5μmの位置の幅が4〜150μmとなる初期工具
形状を有する工具を用いて凹部を形成することを特徴と
している。
【0048】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項42に記載している
ように、先端形状がR0.2mm以下の形状を有する工
具を用いた旋削加工により凹部を形成することを特徴と
している。なお、工具としては、切削用あるいは研削用
の工具が用いられ、CBN工具、ダイヤモンド工具、T
iN等の被覆を施したコーティング工具などを用いるこ
とができる。
【0049】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項43に記載している
ように、請求項11〜36のいずれかに記載のトラクシ
ョンドライブ用転動体を製造するに際し、凹部と凸部に
各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が0.5
〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を同時に形
成することを特徴としている。
【0050】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項44に記載している
ように、平均砥粒径が9μm以下の固定砥粒工具を用い
て凸部を加工することを特徴としている。なお、固定砥
粒工具としては、砥石やラッピングフィルムなどを用い
ることができる。
【0051】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項45に記載している
ように、平均砥粒径が30μm以下の弾性砥石を用いて
凸部を加工することを特徴としている。なお、弾性砥石
としては、ゴムと砥粒とを結合したものや、エポキシ、
フェノールおよびPVA等の樹脂と砥粒とを結合したも
のなどが用いられる。
【0052】同じく、本発明に係わるトラクションドラ
イブ用転動体の製造方法は、請求項46に記載している
ように、転動体を中心軸回りに回転させると共に、転動
体と工具とを転動体の中心軸方向、中心軸に直交する方
向、中心軸方向とこれに直交する方向とで構成される面
における円弧方向の少なくとも1つの方向に相対的に移
動させて転動体の転動面に凹部を螺旋状に形成すること
を特徴としている。
【0053】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、転動面間でトラクションオイル
を介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動
体において、駆動側および従動側の少なくとも一方の転
動体における動力伝達用の転動面に、駆動側と従動側の
転動体の回転により形成される弾性流体潤滑(EHL;
Elasto−Hydrodynamic Lubri
cation)状態の油膜厚さに比べて有意な大きさの
凹凸を形成し、これにより、駆動側の転動体と従動側の
転動体の間で発生するトラクション係数の向上を図った
ものである。この凹凸を転動面に形成したことによりト
ラクション係数が向上するメカニズムは以下の2つと考
えられる。
【0054】(1)凹凸の凸部において局部的に油膜が
薄くなり、剪断率γが増加する。この剪断率γは、駆動
側の転動体の周速(m/s)をU1、従動側の転動体の
周速(m/s)をU2、弾性流体潤滑における中央油膜
厚さ(μm)をhcとしたとき、γ=(U1−U2)/
hcで表される。
【0055】つまり、剪断率γは、油膜厚さの逆数に比
例するため、転動面に凹凸を形成することにより、平均
的な剪断率が増加する。この剪断率の増加に伴ってトラ
クションオイルの粘性摩擦力が増加することによりトラ
クション係数が向上する。
【0056】(2)転動面に凹凸を形成することによ
り、弾性流体潤滑油膜の内部で圧力の不均一が生じる
(凸部の圧力が高くなる)。オイルの粘性ηは、αを圧
力粘度指数、ηoを大気圧下の粘度、Pを接触部の圧力
として、η=ηo・exp(α・P)のように表され
る。つまり、圧力Pの指数関数に比例することになるた
め、凹凸を形成することにより、平均的なオイルの粘度
が増加することによりトラクション係数が向上する。
【0057】本発明の請求項2に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、上記した構成を有するものであ
り、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝
達するトラクションドライブ用転動体において、駆動側
および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達す
る転動面の表面微細形状に関して、油溜り量が7×10
−6(mm/mm)〜3×10−4(mm/mm
)、油溜り深さ率が0.9〜2.0であるものとした
ので、金属接触を小さく留めながら、大きなトラクショ
ン力を発生することが可能になり、大きな動力の伝達が
可能であるトラクション特性に優れたトラクションドラ
イブ用転動体が提供されることとなる。
【0058】なお、油溜り量Voおよび油溜り深さ率K
は、RVKを油溜り深さ(μm)、Mrを負荷長さ率
(油溜り負荷率:%)、Rを有効負荷粗さとして、以
下の式で定義される(DIN EN ISO 1365
−2による)。 Vo=(100−Mr)×RVK/200000(m
/mm) K=RVK/R
【0059】本発明の請求項3に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくとも
一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を
ディンプルと平坦部の組合わせとし、ディンプルの中
で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.
0μmのものが占める面積率を5%〜40%としたの
で、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に
優れたトラクションドライブ用転動体が提供されること
となる。この場合、直径が5μm〜30μm、深さが
0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率を
5%よりも大きくすることにより、トラクション特性が
飛躍的に向上する結果となり、同面積率を40%よりも
小さくすると金属接触の生じる確率が下がり、耐久性が
より向上する。
【0060】本発明の請求項4に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、直径が5μm〜30μm、深さが
0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100
μm四方あたりに10個〜30個であるものとすること
により、トラクション特性がより安定した優れたトラク
ションドライブ用転動体が提供されることとなる。この
場合、ディンプルの個数を100μm四方あたりで10
個よりも多くすると、トラクション特性が飛躍的に向上
する結果となり、同個数を100μm四方あたりで30
個よりも少なくすると金属接触の発生率が下がり、耐久
性が向上する。
【0061】本発明の請求項5に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、転動面の表面粗さが、中心線平均
粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最
大高さで0.4μm〜1.0μmであるものとすること
により、トラクション特性により安定的に優れ、また、
対摩耗性が良好になるため、長期にわたってトラクショ
ン特性に優れたものとなる。この場合、中心線平均粗さ
が0.07μmよりも大きい、あるいは最大高さが0.
4μmよりも大きいと、トラクション特性が飛躍的に向
上する結果となる。また、中心線平均粗さが0.15μ
mよりも小さい、あるいは最大高さが1.0μmよりも
小さい方が、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性も
飛躍的に向上する。
【0062】本発明の請求項6に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、転動面の表面硬さが、850Hv
以上であるものとすることにより、対摩耗性が良好にな
るため、長期にわたってトラクション特性に優れたもの
となる。
【0063】本発明の請求項7に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、転動面が、ショットピーニングに
より形成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加
工、切削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を
取ることにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組
合わせとしたものとすることにより、対摩耗性が良好で
かつまたトラクション特性に優れたトラクションドライ
ブ用転動体を容易に製造し得ることとなる。
【0064】本発明の請求項8に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくとも
一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を
連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅が2μm
〜10μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝深さが
0.1μm〜1.0μmであるものとしたので、大きな
動力の伝達が可能であり、トラクション特性に優れたト
ラクションドライブ用転動体が提供される。
【0065】本発明の請求項9に係わるトラクションド
ライブ用転動体では、転動面の表面粗さが、中心線平均
粗さで0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最
大高さで0.2μm〜0.9μmであるものとしたの
で、トラクション特性により安定的に優れ、また、対摩
耗性が良好になるため、長期にわたってトラクション特
性に優れたものとなる。この場合、中心線平均粗さが
0.03μmよりも大きい、あるいは最大高さが0.2
μmよりも大きいと、トラクション特性が飛躍的に向上
する結果となる。また、中心線平均粗さが0.13μm
よりも小さい、あるいは最大高さが0.9μmよりも小
さい方が、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛
躍的に向上する。
【0066】本発明の請求項10に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、転動面の凹凸の平均間隔と接触
楕円長径の半分との比が0.08以下であるものとした
ので、トラクション特性により一層優れるトラクション
ドライブ用転動体が提供されることとなる。
【0067】本発明の請求項11に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくと
も一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状
に関して、表面粗さ計により測定される断面曲線(フィ
ルターを通していないもの)が凹部と凸部を交互に配列
した形状であって、断面曲線の中心線すなわち断面曲線
を長さ方向に積分した平均的な高さに引かれる線よりも
上側の凸部の形状が、台形状、角が丸みを帯びた台形
状、角に面取りを施した台形状、クラウニング形状、楕
円弧状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角形状のいず
れかであるものとしたので、金属接触を小さく留めなが
ら、大きなトラクション力を発生することが可能にな
り、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に
優れたトラクションドライブ用転動体が提供されること
になる。
【0068】本発明の請求項12に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部と凸部の高低差が0.5〜
2.5μmであるものとしたので、大きな動力の伝達が
可能であるトラクション特性に優れたトラクションドラ
イブ用転動体が提供される。この場合、凹部と凸部の高
低差が0.5μmよりも大きいと、トラクション特性が
飛躍的に向上する結果となり、凹部と凸部の高低差が
2.5μmよりも小さい方が、金属接触が生じる確率が
下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0069】本発明の請求項13に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部と凸部の高低差が2.0〜
2.5μmであるものとしたので、高いトラクション特
性がより安定した状態で得られることとなる。
【0070】本発明の請求項14に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部と凸部の高低差が0.8〜
1.2μmであるものとしたので、金属接触が生じるこ
とによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低くし
て、トラクション特性により優れたトラクションドライ
ブ用転動体が提供されることになる。
【0071】本発明の請求項15に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全
体に対する凹部の割合が15〜60%であるもの、すな
わち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さ
を分子とした比が5.7から0.6であるものとしたの
で、大きなトラクション係数をより安定して発揮できる
トラクションドライブ用転動体が提供されることにな
る。この場合、凹部の割合を15%よりも大きくする
と、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、
凹部の割合を60%よりも小さくすると、金属接触が生
じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0072】本発明の請求項16に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全
体に対する凹部の割合が25〜40%であるもの、すな
わち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さ
を分子とした比が3.0から1.5であるものとしたの
で、高いトラクション特性がより安定した状態で得られ
ることとなる。
【0073】本発明の請求項17に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全
体に対する凹部の割合が27〜35%であるもの、すな
わち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さ
を分子とした比が2.7から1.8であるものとしたの
で、高いトラクション特性がより一層安定した状態で得
られることとなる。
【0074】本発明の請求項18に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全
体に対する凹部の割合が30〜57%であるもの、すな
わち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さ
を分子とした比が2.3から0.8であるものとしたの
で、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの
懸念をより一層低くして、トラクション特性により優れ
たトラクションドライブ用転動体が提供されることにな
る。
【0075】本発明の請求項19に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部のピッチが10〜150μ
mであるものとしたので、トラクション特性がより安定
的で優れたものとなる。この場合、凹部のピッチを15
0μmよりも小さくすると、トラクション特性が飛躍的
に向上する結果となり、凹部のピッチを10μmよりも
大きくすると、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性
が飛躍的に向上する。
【0076】本発明の請求項20に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部のピッチが40〜120μ
mであるものとしたので、高いトラクション特性がより
一層安定した状態に得られることとなる。
【0077】本発明の請求項21に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凸部の頂上部の表面粗さ(原子
力間顕微鏡で測定した表面粗さ)がRz100nm以下
であるものとしたので、大きなトラクション係数を発揮
できるトラクションドライブ用転動体が提供されること
になる。この場合、表面粗さがRz100nmよりも小
さいと、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍
的に向上する。
【0078】本発明の請求項22に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凸部の頂上部の表面粗さがRz
40nm以下であるものとしたので、金属接触が生じる
ことによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低くし
て、トラクション特性により優れたトラクションドライ
ブ用転動体が提供されることになる。
【0079】本発明の請求項23に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、凹
部の長さ(幅)が10〜40μmであるものとしたの
で、大きなトラクション係数を発揮できるトラクション
ドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、
凹部の長さを10μmよりも大きくすると、トラクショ
ン特性が飛躍的に向上する結果となり、凹部の長さを4
0μmよりも小さくすると、金属接触が生じる確率が下
がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0080】本発明の請求項24に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕
円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッ
チが1.2〜9%であるものとしたので、大きなトラク
ション係数が安定的に発揮され、且つ金属接触が生じる
ことによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクシ
ョンドライブ用転動体が提供されることになる。
【0081】本発明の請求項25に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕
円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッ
チが2.4〜6%であるものとしたので、高いトラクシ
ョン特性がより安定した状態で得られることとなる。
【0082】本発明の請求項26に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕
円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部の長さ
が0.6〜2%であるものとしたので、大きなトラクシ
ョン係数が安定的に発揮され、且つ金属接触が生じるこ
とによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクショ
ンドライブ用転動体が提供されることになる。
【0083】本発明の請求項27に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕
円の転動方向と平行な方向の直径に対し、凹部の長さが
0.8〜3.2%であるものとしたので、大きなトラク
ション係数が安定的に発揮され、且つ金属接触が生じる
ことによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクシ
ョンドライブ用転動体が提供されることになる。
【0084】本発明の請求項28に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部を当該転動体の転動方向と
ほぼ平行に形成した溝としたので、大きなトラクション
係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供
されることになる。この場合、凹部の方向を転動体の転
動方向とほぼ平行にすることにより、トラクション特性
が飛躍的に向上する結果となる。
【0085】本発明の請求項29に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部が当該転動体の転動方向に
沿って螺旋状に形成してあるものとしたので、大きなト
ラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転
動体が提供され、また、凹部を連続的に形成することが
できるので、短時間で効率良く製造することが可能にな
る。
【0086】本発明の請求項30に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、凹部が少なくともヘルツ接触楕
円の短径の長さよりも長く連続しているので、大きなト
ラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転
動体が提供されることになる。この場合、凹部がヘルツ
接触楕円の短径の長さよりも短いと、トラクション特性
がさほど向上しない結果となる。
【0087】本発明の請求項31に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を
等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲
率半径が0.1mm以上であるものとしたので、より大
きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライ
ブ用転動体が提供されることになる。この場合、凸部の
頂上部の曲率半径が0.1mmよりも小さいと、金属接
触が生じることによる耐久性への跳ね返りが懸念され
る。
【0088】本発明の請求項32に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を
等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲
率半径が0.8〜170mmであるものとしたので、金
属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念を
より一層低減して、より大きなトラクション係数を発揮
できるトラクションドライブ用転動体が提供されること
になる。この場合、凸部の頂上部の曲率半径が170m
mよりも大きいと、トラクション特性がさほど向上しな
い結果となる。
【0089】本発明の請求項33に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を
等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲
率半径が0.8〜10mmであるものとしたので、金属
接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念をよ
り一層低減して、より大きなトラクション係数を発揮で
きるトラクションドライブ用転動体が提供されることに
なる。この場合、凸部の頂上部の曲率半径を10mm以
下に限定することにより、トラクション特性が一層優れ
たトラクションドライブ転動体を提供することが可能と
なる。
【0090】本発明の請求項34に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、駆動側および従動側の一方の転
動体の転動面が、請求項11〜25のいずれかに記載の
凹部と凸部から成る表面形状を有し、他方の転動体の転
動面が、中心線平均粗さでRa0.06μm以下である
ものとしたので、大きなトラクション係数がより安定的
に発揮され、且つ金属接触が生じることによる耐久性へ
の跳ね返りの懸念が少ないトラクションドライブ用転動
体が提供されることになる。
【0091】本発明の請求項35に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、材料および熱処理が、肌焼き鋼
の浸炭焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻
し、軸受け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼
戻し、軸受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択
されるものとすることにより、対摩耗性が良好でかつま
たトラクション特性にも優れていて、大きな動力の伝達
が長期にわたって可能であるトラクションドライブ用転
動体が提供されることとなる。
【0092】本発明の請求項36に係わるトラクション
ドライブ用転動体では、転動体は、円環凹面形状を成す
転動面をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディス
クと、対向して配置した入力ディスクおよび出力ディス
クの円環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転
動面と相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え
且つローラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わ
せから成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフ
ルトロイダル型無段変速機の構成要素となるものとする
ことにより、大きな動力の伝達が可能であり、しかも、
ユニットサイズの小型化および軽量化ないしは単位容積
および単位重量あたりの高出力化が可能であるハーフト
ロイダル型無段変速機またはフルトロイダル型無段変速
機が提供されることとなる。
【0093】本発明の請求項37に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、転動面に深さ10μ
m以下の凹部を等間隔で形成したのち、凹凸の高低差が
0.5〜2.5μmになるまで凸部を除去加工すること
により、請求項10〜27のいずれかに記載のトラクシ
ョンドライブ用転動体となるように、凸部の形状、凹凸
の高低差、中心線上での凹部の割合、中心線上での凹部
のピッチおよび凸部の表面粗さ等が所定の値に形成され
る。
【0094】本発明の請求項38に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、転動面を表面粗さR
z100nm以下となる状態に形成したのち、深さ0.
5〜2.5μmの凹部を等間隔で形成するので、先に転
動面形成した段階で未形成の凸部の頂部の表面粗さがR
z100nm以下に形成されたことになり、その後の凹
部の形成により、請求項10〜27のいずれかに記載の
トラクションドライブ用転動体となるように、凸部の形
状、凹凸の高低差、中心線上での凹部の割合、および中
心線上での凹部のピッチ等が所定の値に形成される。
【0095】本発明の請求項39に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、切削加工、研削加
工、ブラスト加工、レーザ加工およびエッチング加工の
少なくとも1つの加工により凹部を形成し、超仕上げ加
工、ラッピング加工、切削加工、研削加工および電解研
磨加工の少なくとも1つの加工により凸部を形成するこ
とにより、凸部の形状、凹凸の高低差、中心線上での凹
部の割合、中心線上での凹部のピッチおよび凸部の表面
粗さ等が所定の値に形成され、凹凸の微細断面形状を高
精度に形成し得ることとなる。
【0096】本発明の請求項40に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、ショットピーニン
グ、研削加工および切削加工の少なくとも1つの加工に
より転動面に凹凸を形成し、ローラバーニッシュにより
凸部を滑らかな平面に形成することにより、凸部の形
状、凹凸の高低差、中心線上での凹部の割合、中心線上
での凹部のピッチおよび凸部の表面粗さ等が所定の値に
形成され、凹凸の微細断面形状を高精度に且つ短時間で
形成し得ることとなる。
【0097】本発明の請求項41に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、先端が単一R、台
形、V字および複合Rの少なくとも1つを有する形状で
あり且つ先端から0.5〜2.5μmの位置の幅が4〜
150μmとなる初期工具形状を有する工具を用いて凹
部を形成することにより、とくに凹部が所定の値で高精
度に形成される。
【0098】本発明の請求項42に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、先端形状がR0.2
mm以下の形状を有する工具を用いた旋削加工で凹部を
形成することにより、とくに凹部が所定の値で高精度に
形成される。
【0099】本発明の請求項43に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、凹部と凸部に各々対
応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が0.5〜2.
5μmである工具を用いて凹部と凸部を同時に形成する
ので、1つの工具を使用して高低差が0.5〜2.5μ
mの凹部と凸部を短時間に形成し得ることとなる。
【0100】本発明の請求項44に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、平均砥粒径が9μm
以下の固定砥粒工具を用いて凸部を加工することによ
り、凸部の頂部の表面粗さがRz100nm以下、ある
いはRz40nm以下に形成される。
【0101】本発明の請求項45に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、平均砥粒径が30μ
m以下の弾性砥石を用いて凸部を加工することにより、
凸部の頂部の表面粗さがRz100nm以下、あるいは
Rz40nm以下に形成される。
【0102】本発明の請求項46に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法では、転動体を中心軸回り
に回転させると共に、転動体と工具とを転動体の中心軸
方向、中心軸に直交する方向、中心軸方向とこれに直交
する方向とで構成される面における円弧方向の少なくと
も1つの方向に相対的に移動させて転動体の転動面に凹
部を螺旋状に形成することにより、凹部が転動方向に沿
って連続的に且つ短時間で形成されることとなり、ま
た、凹部形成後に研削を行う場合には、螺旋状の凹部に
より、砥粒や切り屑等の排出がスムーズに行われる。
【0103】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、転動面間でトラクションオ
イルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用
転動体において、転動面に油膜厚さよりも深い凹凸を設
けたことにより、大きなトラクション力を発生すること
が可能になり、大きな動力の伝達が可能であるトラクシ
ョン特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供
することができる。
【0104】本発明の請求項2に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1と同様の効果を得る
ことができるうえに、とくに、転動面間でトラクション
オイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ
用転動体において、駆動側および従動側の少なくとも一
方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関
して、油溜り量が7×10−6(mm/mm)〜3
×10−4(mm/mm)、油溜り深さ率が0.9
〜2.0であるものとしたから、金属接触を小さく留め
ながら、大きなトラクション力を発生することが可能に
なり、転動疲労寿命を悪化させることなく、大きな動力
の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクシ
ョンドライブ用転動体を提供することができるという優
れた効果がもたらされる。
【0105】本発明の請求項3に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1および2と同様の効
果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の少
なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微
細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、ディンプ
ルの中で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm
〜1.0μmのものが占める面積率を5%〜40%とす
るものとしたから、大きな動力の伝達が可能であるトラ
クション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を
提供することができるという優れた効果がもたらされ
る。
【0106】本発明の請求項4に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1〜3と同様の効果を
得ることができ、とくに、直径が5μm〜30μm、深
さが0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が、1
00μm四方あたりに10個〜30個であるものとする
ことによって、トラクション特性がより一層優れたトラ
クションドライブ用転動体を提供することができるとい
う優れた効果がもたらされる。
【0107】本発明の請求項5に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1〜4と同様の効果を
得ることができ、とくに、転動面の表面粗さが、中心線
平均粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるい
は最大高さで0.4μm〜1.0μmであるものとする
ことにより、トラクション特性がより一層優れ、また、
長期にわたってトラクション特性に優れるトラクション
ドライブ用転動体を提供することができるという優れた
効果がもたらされる。
【0108】本発明の請求項6に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1〜5と同様の効果を
得ることができ、とくに、転動面の表面硬さが、850
Hv以上であるものとすることにより、対摩耗性が良好
なものとなり、長期にわたってトラクション特性に優れ
るトラクションドライブ用転動体を提供することができ
るという優れた効果がもたらされる。
【0109】本発明の請求項7に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1〜6と同様の効果を
得ることができ、とくに、転動面が、ショットピーニン
グにより形成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕
上加工、切削加工および研削加工のいずれかを行って凸
部を取ることにより表面微細形状をディンプルと平坦部
の組合わせとしたものとすることにより、対摩耗性が良
好でかつまたトラクション特性に優れたトラクションド
ライブ用転動体を容易に大量生産することができるとい
う優れた効果がもたらされる。
【0110】本発明の請求項8に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項1および2と同様の効
果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の少
なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微
細形状を連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅
が2μm〜10μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝
深さが0.1μm〜1.0μmであるものとしたから、
大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れ
たトラクションドライブ用転動体を提供することができ
るという優れた効果がもたらされる。
【0111】本発明の請求項9に係わるトラクションド
ライブ用転動体によれば、請求項8と同様の効果を得る
ことができ、とくに、転動面の表面粗さが、中心線平均
粗さで0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最
大高さで0.2μm〜0.9μmであるものとしたか
ら、トラクション特性がより一層優れ、また、長期にわ
たってトラクション特性に優れるトラクションドライブ
用転動体を提供することができるという優れた効果がも
たらされる。
【0112】本発明の請求項10に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項1,2〜9と同様の
効果を得ることができ、とくに、転動面の凹凸の平均間
隔と接触楕円長径の半分との比が0.08以下であるも
のとしたので、トラクション特性により一層優れるトラ
クションドライブ用転動体を提供することができるとい
う優れた効果がもたらされる。
【0113】本発明の請求項11に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項1と同様の効果をえ
ることができるうえに、とくに、駆動側および従動側の
少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面
微細形状に関して、表面粗さ計により測定される断面曲
線を凹部と凸部を交互に配列した形状にし、断面曲線の
中心線よりも上側の凸部の形状を、台形状、角が丸みを
帯びた台形状、角に面取りを施した台形状、クラウニン
グ形状、楕円弧状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角
形状のいずれかとしたことにより、大きな動力の伝達が
可能であるトラクション特性に優れたトラクションドラ
イブ用転動体を提供することができる。
【0114】本発明の請求項12に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11と同様の効果を
得ることができ、とくに、凹部と凸部の高低差を0.5
〜2.5μmとしたことにより、大きな動力の伝達が可
能であるトラクション特性に優れたトラクションドライ
ブ用転動体を提供することができる。
【0115】本発明の請求項13に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11と同様の効果を
得ることができ、とくに、凹部と凸部の高低差を2.0
〜2.5μmとしたことにより、トラクション特性の低
下をより確実に防止して、大きな動力の伝達が可能であ
るトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転
動体を提供することができる。
【0116】本発明の請求項14に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11と同様の効果を
得ることができ、とくに、凹部と凸部の高低差を0.8
〜1.2μmとしたことにより、金属接触が生じること
による耐久性の低下をより確実に防止して、トラクショ
ン特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提
供することができる。
【0117】本発明の請求項15に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項12〜14と同様の
効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線にお
いて全体に対する凹部の割合を15〜60%としたこと
により、大きなトラクション係数をより安定して発揮で
きるトラクションドライブ用転動体を提供することがで
きる。
【0118】本発明の請求項16に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項12〜15と同様の
効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線にお
いて全体に対する凹部の割合を25〜40%としたこと
により、高いトラクション特性をより安定した状態で得
ることができる。
【0119】本発明の請求項17に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項16と同様の効果を
得ることができ、とくに、断面曲線の中心線において全
体に対する凹部の割合を27〜35%としたことによ
り、高いトラクション特性をより一層安定した状態で得
ることができる。
【0120】本発明の請求項18に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜15と同様の
効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線にお
いて全体に対する凹部の割合が30〜57%としたこと
により、金属接触が生じることによる耐久性の低下をよ
り確実に防止して、トラクション特性により優れたトラ
クションドライブ用転動体を提供することができる。
【0121】本発明の請求項19に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜17と同様の
効果を得ることができ、とくに、凹部のピッチを10〜
150μmとしたことにより、トラクション特性がより
安定的で優れたトラクションドライブ用転動体を提供す
ることができる。
【0122】本発明の請求項20に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項19と同様の効果を
得ることができ、とくに、凹部のピッチを40〜120
μmとしたことにより、高いトラクション特性をより一
層安定した状態で得ることができる。
【0123】本発明の請求項21に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜20と同様の
効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の表面粗
さをRz100nm以下としたことにより、大きなトラ
クション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動
体を提供することができる。
【0124】本発明の請求項22に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜21と同様の
効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の表面粗
さをRz40nm以下としたことにより、金属接触が生
じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、ト
ラクション特性により優れたトラクションドライブ用転
動体を提供することができる。
【0125】本発明の請求項23に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜22と同様の
効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線にお
いて凹部の長さを10〜40μmとしたことにより、大
きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライ
ブ用転動体を提供することができる。
【0126】本発明の請求項24に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜23と同様の
効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘル
ツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹
部のピッチを1.2〜9%としたことにより、金属接触
が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止し
て、トラクション特性により優れたトラクションドライ
ブ用転動体を提供することができる。
【0127】本発明の請求項25に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜23と同様の
効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘル
ツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹
部のピッチを2.4〜6%としたことにより、高いトラ
クション特性をより一層安定した状態で得ることができ
る。
【0128】本発明の請求項26に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜25と同様の
効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘル
ツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹
部の長さを0.6〜2%としたことにより、金属接触が
生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、
トラクション特性により優れたトラクションドライブ用
転動体を提供することができる。
【0129】本発明の請求項27に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜26と同様の
効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘル
ツ接触楕円の転動方向と平行な方向の直径に対し、凹部
の長さを0.8〜3.2%としたことにより、金属接触
が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止し
て、トラクション特性により優れたトラクションドライ
ブ用転動体を提供することができる。
【0130】本発明の請求項28に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜19と同様の
効果を得ることができ、とくに、凹部を当該転動体の転
動方向とほぼ平行な溝に形成したことにより、大きなト
ラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転
動体を提供することができる。
【0131】本発明の請求項29に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項20と同様の効果を
得ることができ、とくに、凹部を当該転動体の転動方向
に沿って螺旋状に形成したことにより、大きなトラクシ
ョン係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を
提供することができると共に、凹部および凸部を短時間
で効率良く製造することができる。
【0132】本発明の請求項30に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜21と同様の
効果を得ることができ、とくに、凹部を少なくともヘル
ツ接触楕円の短径の長さよりも長く連続させたことによ
り、大きなトラクション係数を発揮できるトラクション
ドライブ用転動体を提供することができる。
【0133】本発明の請求項31に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜22と同様の
効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の曲率半
径を0.1mm以上としたことにより、より大きなトラ
クション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動
体を提供することができる。
【0134】本発明の請求項32に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜22と同様の
効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の曲率半
径を0.8〜170mmとしたことにより、金属接触が
生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、
より大きなトラクション係数を発揮できるトラクション
ドライブ用転動体を提供することができる。
【0135】本発明の請求項33に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜22と同様の
効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の曲率半
径を0.8〜10mmとしたことにより、金属接触が生
じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、よ
り大きなトラクション係数を発揮できるトラクションド
ライブ用転動体を提供することができる。
【0136】本発明の請求項34に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項11〜25と同様の
効果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の
一方の転動体の転動面を請求項11〜25のいずれかに
記載の凹部と凸部から成る表面形状とし、他方の転動体
の転動面を、中心線平均粗さでRa0.06μm以下と
したことにより、大きなトラクション係数をより安定的
に発揮することができ、且つ金属接触が生じることによ
る耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクションドラ
イブ用転動体を提供することができる。
【0137】本発明の請求項35に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項1〜34と同様の効
果を得ることができ、とくに、材料および熱処理が、肌
焼き鋼の浸炭焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ
焼戻し、軸受け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入
れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから
選択されるものとすることにより、対摩耗性が良好でか
つまたトラクション特性にも優れていて、大きな動力の
伝達が長期にわたって可能であるトラクションドライブ
用転動体を提供することができるという優れた効果がも
たらされる。
【0138】本発明の請求項36に係わるトラクション
ドライブ用転動体によれば、請求項1〜35と同様の効
果を得ることができ、とくに、転動体は、円環凹面形状
を成す転動面をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力
ディスクと、対向して配置した入力ディスクおよび出力
ディスクの円環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形
状の転動面と相互に転動する円環凸面形状をなす転動面
を備え且つローラ軸を傾動可能としたパワーローラとの
組合わせから成り、ハーフトロイダル型無段変速機もし
くはフルトロイダル型無段変速機の構成要素となるもの
とすることにより、大きな動力の伝達が可能であり、し
かも、ユニットサイズの小型化および軽量化ないしは単
位容積および単位重量あたりの高出力化が可能であるハ
ーフトロイダル型無段変速機またはフルトロイダル型無
段変速機を提供することができるという優れた効果がも
たらされる。
【0139】本発明の請求項37に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項11〜3
6のいずれかに記載の転動体を製造するに際し、表面の
凹凸の微細断面形状を高精度に且つ簡単に形成すること
ができる。
【0140】本発明の請求項38に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項11〜3
7のいずれかに記載の転動体を製造するに際し、表面の
凹凸の微細断面形状を高精度に且つ簡単に形成すること
ができる。
【0141】本発明の請求項39に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37およ
び38と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部の
加工手段および凸部の加工手段を各々選択することによ
り、表面の凹凸の様々な設定に応じて高精度な微細断面
形状を形成することができる。
【0142】本発明の請求項40に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37およ
び38と同様の効果を得ることができ、とくに、ショッ
トピーニング、研削加工および切削加工の少なくとも1
つの加工により転動面に凹凸を形成し、ローラバーニッ
シュにより凸部を滑らかな平面に形成することにより、
ラッピングや鏡面研磨を行う場合に比べて加工時間の短
縮が可能になり、低コスト化等を実現することができる
と共に、加工時の表面に生じた圧縮残留応力と加工硬化
により耐久性の向上を図ることができ、さらに、例えば
ラッピングによる平坦部の加工に比べて平坦部の角が丸
く形成されるので、エッジによる相手面への攻撃性が大
幅に緩和され、耐久性のさらなる向上を実現することが
できる。
【0143】本発明の請求項41に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37〜3
9と同様の効果を得ることができ、とくに、先端が単一
R、台形、V字および複合Rの少なくとも1つを有する
形状であり且つ先端から0.5〜2.5μmの位置の幅
が4〜150μmとなる初期工具形状を有する工具を用
いて凹部を形成することにより、とくに凹部を所定の値
で高精度に形成することができる。
【0144】本発明の請求項42に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37〜4
1と同様の効果を得ることができ、とくに、先端形状が
R0.2mm以下の形状を有する工具を用いた旋削加工
で凹部を形成することにより、とくに凹部を所定の値で
高精度に形成することができる。
【0145】本発明の請求項43に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項11〜3
6のいずれかに記載の転動体を製造するに際し、凹部と
凸部に各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が
0.5〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を同
時に形成することから、1つの工具を使用して高低差が
0.5〜2.5μmの凹部と凸部を高精度に且つ短時間
で効率良く形成することができる。
【0146】本発明の請求項44に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37〜4
3と同様の効果を得ることができ、とくに、平均砥粒径
が9μm以下の固定砥粒工具を用いて凸部を加工するこ
とから、凸部の頂部の表面粗さをRz100nm以下あ
るいはRz40nm以下とする高精度な加工を行うこと
ができる。
【0147】本発明の請求項45に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37〜4
3と同様の効果を得ることができ、とくに、平均砥粒径
が30μm以下の弾性砥石を用いて凸部を加工すること
から、凸部の頂部の表面粗さをRz100nm以下ある
いはRz40nm以下とする高精度な加工を行うことが
できる。
【0148】本発明の請求項46に係わるトラクション
ドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項37〜4
5と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部および
凸部を転動方向に沿って連続的に且つ短時間で効率良く
形成することができると共に、凹部の形成後に研削を行
う場合には、砥粒や切り屑等の排出をスムーズにして、
常に切れ味の良い状態での研削を可能にし、仕上げ加工
を効率良く行うことができる。
【0149】
【実施例】以下、本発明に係わるトラクションドライブ
用転動体について、実施例および比較例により、さらに
詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定さ
れないことはいうまでもない。
【0150】この実施例では、図2に示す2円筒転がり
試験機を用いて転動体(試験片)の転がりすべり試験を
実施した。図2に示す2円筒転がり試験機21は、一方
の転動体(試験片)24を支える従軸25と、他方の転
動体(試験片)22を支える主軸23を備え、主軸23
にはトルクセンサ26が設けられていると共に、サーボ
モータ27のモータ軸27aとの間に主軸タイミングベ
ルト28を掛け渡したものとなっている。
【0151】また、従軸25は軸受29を介して軸方向
と直交する方向に移動するスライドベース34に固定さ
れていると共に、サーボモータ30のモータ軸30aと
の間に従軸タイミングベルト31を掛け渡し、これらも
スライドベース34に固定されていて、このスライドベ
ース34をエアシリンダ32で加圧することにより両転
動体(試験片)24,22が接触して転動するようにな
っている。
【0152】そして、他方の転動体(試験片)22側の
動力伝達系(主軸23)に設けたトルクセンサ26によ
って、主軸23に発生するトルクを測定することにより
トラクション係数を算出することができるものとしてい
る。
【0153】また、この実施例での試験は、スリップ
率:0〜5%、平均回転速度:5.2m/s、平均軸回
転数:500rpm(主軸23と従軸25の回転数の和
が1000rpm)とし、主軸23と従軸25に均等に
差動を与えて回転速度を一定にした。
【0154】さらに、一方の転動体(試験片)24およ
び他方の転動体(試験片)22の転動は、100℃に設
定したトラクションオイル(日産純正エクストロイドC
VTオイルKTF−1)のオイルバス(油浴)33中で
行い、エアシリンダ32の加圧により発生する垂直荷重
を147Nとした。この実施例では、スリップ率:5%
でのトラクション係数を算出した。
【0155】以下、実施例1〜10および比較例1につ
いて説明する。
【0156】(実施例1)一方の転動体(試験片)24
については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼
戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、外周
の転動面がフラットな円筒形状とした。この転動体(試
験片)24には、転動面に研削および超仕上げを行って
から、空気圧ショットピーニング機において、硬さ75
0Hv、平均粒径0.05mmの鋼球を投射材とし、エ
ア圧0.5MPaにて転動面にショットピーニングを施
した。この際、転動面全体に対してほぼ均一の投射量と
なるように、転動体(試験片)24を回転させながら、
投射ノズルを転動体(試験片)24の回転軸の方向に揺
動させた。なお、投射時間は20secとした。このシ
ョットピーニングによって転動面にランダムな凹凸形状
を形成した。このショットピーニング処理の後、転動面
にテープラップを施すことにより、凹凸の凸部を削り落
とし、表面微細形状を『ディンプルと平坦部の組合わ
せ』とした。そして、転動面の表面を測定した結果、直
径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μm
のディンプルが占める面積率は38%であり、ディンプ
ルの100μm四方あたりの個数は28個であった。ま
た、転動面の中心線平均粗さRaは0.121μmであ
り、最大高さRyは0.780μmであった。
【0157】他方の転動体(試験片)22については、
JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用
し、直径40mm、厚さ20mmで、転動面がR=70
0mmのクラウニング形状を成すようにし、転動面に研
削および超仕上げを行って、転動面の中心線平均粗さR
aを0.021μm、最大高さRyを0.155μmに
仕上げた。
【0158】上記の一方の転動体(試験片)24と他方
の転動体(試験片)22を図2に示す2円筒転がり試験
機21に取付けて転がりすべり試験を行い、スリップ率
5%での実施例1のトラクション係数を算出した。この
ときのヘルツ接触楕円の大きさは、転動方向と平行な長
さ(短径)が0.18mm、転動方向と垂直な方向の長
さ(長径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53
GPaである。
【0159】(実施例2)両転動体(試験片)24,2
2は、製造方法は実施例1と同じであるが、製造条件を
変更した結果、実施例1とは次の点が異なるものとなっ
た。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直
径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μm
のディンプルが占める面積率は27%であり、ディンプ
ルの100μm四方あたりの個数は22個である。ま
た、中心線平均粗さRaは0.087μmであり、最大
高さRyは0.507μmである。他方の転動体(試験
片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.0
12μmであり、最大高さRyは0.093μmであ
る。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例
2のトラクション係数を算出した。
【0160】(実施例3)両転動体(試験片)24,2
2は、製造方法は実施例1と同じであるが、製造条件を
変更した結果、実施例1とは次の点が異なるものとなっ
た。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直
径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μm
のディンプルが占める面積率は18%であり、ディンプ
ルの100μm四方あたりの個数は16個である。ま
た、中心線平均粗さRaは0.093μmであり、最大
高さRyは0.502μmである。他方の転動体(試験
片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.0
15μmであり、最大高さRyは0.100μmであ
る。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例
3のトラクション係数を算出した。
【0161】(実施例4)両転動体(試験片)24,2
2は、製造方法は実施例1と同じであるが、製造条件を
変更した結果、実施例1とは次の点が異なるものとなっ
た。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直
径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μm
のディンプルが占める面積率は6%であり、ディンプル
の100μm四方あたりの個数は11個である。また、
中心線平均粗さRaは0.076μmであり、最大高さ
Ryは0.406μmである。他方の転動体(試験片)
22における転動面の中心線平均粗さRaは0.016
μmであり、最大高さRyは0.118μmである。そ
の他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例4のト
ラクション係数を算出した。
【0162】(実施例5)一方の転動体(試験片)24
については、実施例2におけるテープラップ工程をラッ
ピングに変更した。狙い値は実施例2と同じである。ま
た、他方の転動体(試験片)22の製造方法は実施例2
と同じである。そして、実施例2とは次の点が異なるも
のとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面にお
いて、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜
1.0μmのディンプルが占める面積率は22%であ
り、ディンプルの100μm四方あたりの個数は19個
である。また、中心線平均粗さRaは0.095μmで
あり、最大高さRyは0.552μmである。他方の転
動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さR
aは0.014μmであり、最大高さRyは0.110
μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行
い、実施例5のトラクション係数を算出した。
【0163】(実施例6)一方の転動体(試験片)24
については、実施例2におけるテープラップ工程を鏡面
研磨に変更した。狙い値は実施例2と同じである。ま
た、他方の転動体(試験片)22の製造方法は実施例2
と同じである。そして、実施例2とは次の点が異なるも
のとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面にお
いて、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜
1.0μmのディンプルが占める面積率は25%であ
り、ディンプルの100μm四方あたりの個数は20個
である。また、中心線平均粗さRaは0.081μmで
あり、最大高さRyは0.473μmである。他方の転
動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さR
aは0.013μmであり、最大高さRyは0.095
μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行
い、実施例6のトラクション係数を算出した。
【0164】(実施例7)一方の転動体(試験片)24
については、実施例2における浸炭焼入れ焼戻しの熱処
理を浸炭窒化焼入れ焼戻しに変更した他は実施例2と同
じ狙い値である。また、他方の転動体(試験片)22の
材料および製造方法は実施例2と同じである。そして、
実施例2とは次の点が異なるものとなった。一方の転動
体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜3
0μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが
占める面積率は20%であり、ディンプルの100μm
四方あたりの個数は17個である。また、中心線平均粗
さRaは0.088μmであり、最大高さRyは0.5
22μmである。他方の転動体(試験片)22における
転動面の中心線平均粗さRaは0.018μmであり、
最大高さRyは0.099μmである。その他は実施例
1と同様にして試験を行い、実施例7のトラクション係
数を算出した。
【0165】(実施例8)一方の転動体(試験片)24
については、実施例2におけるJIS SCM420H
鋼の浸炭焼入れ焼戻し材および熱処理の組合わせをJI
S SUJ2焼入れ焼戻しに変更した他は実施例2と同
じ狙い値である。また、他方の転動体(試験片)22の
材料および製造方法は実施例2と同じである。そして、
実施例2とは次の点が異なるものとなった。一方の転動
体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜3
0μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが
占める面積率は23%であり、ディンプルの100μm
四方あたりの個数は22個である。また、中心線平均粗
さRaは0.073μmであり、最大高さRyは0.4
72μmである。他方の転動体(試験片)22における
転動面の中心線平均粗さRaは0.017μmであり、
最大高さRyは0.104μmである。その他は実施例
1と同様にして試験を行い、実施例8のトラクション係
数を算出した。
【0166】(実施例9)一方の転動体(試験片)24
については、実施例8における熱処理を浸炭窒化焼入れ
焼戻しに変更した他は実施例8と同じ狙い値である。ま
た、他方の転動体(試験片)22の製造方法は実施例1
と同じである。そして、実施例8とは次の点が異なるも
のとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面にお
いて、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜
1.0μmのディンプルが占める面積率は27%であ
り、ディンプルの100μm四方あたりの個数は27個
である。また、中心線平均粗さRaは0.095μmで
あり、最大高さRyは0.634μmである。他方の転
動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さR
aは0.018μmであり、最大高さRyは0.110
μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行
い、実施例9のトラクション係数を算出した。
【0167】(実施例10)一方の転動体(試験片)2
4については、材料、製造方法および狙い値は実施例2
と同じである。他方の転動体(試験片)22について
も、一方の転動体(試験片)24と同様の材料、製造方
法および狙い値とし、転動面をディンプルと平坦部の組
合わせとした。そして、実施例1とは次の点が異なるも
のとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面にお
いて、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜
1.0μmのディンプルが占める面積率は21%であ
り、ディンプルの100μm四方あたりの個数は22個
である。また、中心線平均粗さRaは0.095μmで
あり、最大高さRyは0.487μmである。他方の転
動体(試験片)22の転動面において、直径が5μm〜
30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプル
が占める面積率は22%であり、ディンプルの100μ
m四方あたりの個数は20個である。また、中心線平均
粗さRaは0.087μmであり、最大高さRyは0.
514μmである。その他は実施例1と同様にして試験
を行い、実施例10のトラクション係数を算出した。
【0168】(比較例1)各実施例とは異なり、両転動
体(試験片)24,22の転動面を共に平滑な超仕上げ
とし、ディンプルは形成しなかった。一方の転動体(試
験片)24の転動面における中心線平均粗さRaは0.
018μmであり、最大高さRyは0.102μmであ
る。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心
線平均粗さRaは0.021μmであり、最大高さRy
は0.120μmである。その他は実施例1と同様にし
て試験を行い、比較例1のトラクション係数を算出し
た。
【0169】(評価例)上記の実施例1〜10および比
較例1のフラット試験片の仕様を表1に、クラウニング
試験片の仕様を表2にまとめて示すと共に、これらの実
施例および比較例で得られたスリップ率5%におけるト
ラクション係数より、それぞれの実施例のトラクション
係数の比較例に対する比を表3に示す。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
【表3】
【0173】表3に示した結果から明らかなように、実
施例1〜10においては、転動体24,22の両方もし
くは一方について、転動面の表面微細形状を『ディンプ
ルと平坦部の組合わせ』とし、そのディンプルの中で、
直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μ
mのものが占める面積率を5%〜40%とし、ディンプ
ルを転動面全体にわたってほぼ均一となるように分布さ
せ、且つ転動面のディンプルは互いに独立し且つ平坦部
は連続しているようにし、また、転動面において、直径
が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmの
ディンプルの個数が100μm四方あたりに10個〜3
0個の範囲にあるようにし、さらに、転動面の表面粗さ
が、中心線平均粗さで0.07μm〜0.15μmであ
り、あるいは最大高さで0.4μm〜1.0μmである
ようにしたため、良好なトラクション係数を示した。
【0174】これに対して比較例1では、両方の転動体
の転動面が平坦な面となるように超仕上げを施していた
ため、実施例1〜10のいずれよりも低いトラクション
係数を示した。
【0175】次に、実施例11〜17および比較例2〜
6について説明する。
【0176】(実施例11)一方の転動体(試験片)2
4については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ
焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、外
周の転動面がフラットな円筒形状とした。この転動体
(試験片)24には、転動面に研削および超仕上げを行
ってから、空気圧ショットピーニング機において、硬さ
750Hv、平均粒径0.05mmの鋼球を投射材と
し、エア圧5kg/cmにて転動面にショットピーニ
ングを施した。この際、転動面全体に対してほぼ均一の
投射量となるように、転動体(試験片)24を回転させ
ながら、投射ノズルを転動体(試験片)24の回転軸の
方向に揺動させた。なお、投射時間は20secとし
た。このショットピーニングによって転動面にランダム
な凹凸形状を形成した。このショットピーニング処理の
後、転動面にテープラップを施すことにより、凹凸の凸
部を削り落とし、表面微細形状を『ディンプルと平坦部
の組合わせ』とした。そして、転動面の表面を触針式の
粗さ計を用いて、カットオフ0.08、測定長さ0.4
mmで測定した。また、ディンプルの面積率は画像解析
により求めた。その結果、直径が5μm〜30μm、深
さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積
率は38%であり、中心線平均粗さRaは0.121μ
mであり、最大高さRyは0.780μmであった。
【0177】他方の転動体(試験片)22については、
JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用
し、直径40mm、厚さ20mmで、転動面がR=70
0mmのクラウニング形状を成すようにし、転動面に研
削および超仕上げを行って、転動面の中心線平均粗さR
aを0.021μm、最大高さRyを0.155μmに
仕上げた。
【0178】上記の一方の転動体(試験片)24と他方
の転動体(試験片)22を図2に示す2円筒転がり試験
機21に取付けて、実施例1のときと同じ試験条件で転
がりすべり試験を行い、オイルはKFT−1を100℃
であり、スリップ率5%での実施例11のトラクション
係数および油膜形成率を算出した。このときのヘルツ楕
円の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が0.1
8mm、転動方向に垂直な長さ(長径)が2.8mm、
ヘルツの最大面圧が0.53GPaである。
【0179】(実施例12)両転動体(試験片)24,
22は、製造方法は実施例11と同じであるが、製造条
件を変更した結果、実施例11とは次の点が異なるもの
となった。一方の転動体(試験片)24の転動面におい
て、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.
0μmのディンプルが占める面積率は30%であり、中
心線平均粗さRaは0.087μmであり、最大高さR
yは0.507μmである。他方の転動体(試験片)2
2は、実施例11と同様のものを用いた。その他は実施
例11と同様にして試験を行い、実施例12のトラクシ
ョン係数および油膜形成率を算出した。
【0180】(実施例13)一方の転動体(試験片)2
4については、研削仕上げ工程までは実施例11と同様
であり、その後、先端Rが200μmの焼結体立方晶窒
化ホウ素(c−BN)工具を用いて、切削速度250m
/min、送り0.05mm/rev、片肉切込み量
0.003mmの条件で超精密切削を行った。その後、
テープラップを施すことにより表面粗さの凸部を削り落
とし、表面微細形状を『連続溝と平坦部の組合わせ』と
した。このように作製した転動体(試験片)24の転動
面において、連続溝の面積率は25%であり、中心線平
均粗さRaは0.034μmであり、最大高さRyは
0.241μmである。他方の転動体(試験片)22
は、実施例11と同様のものを用いた。その他は実施例
11と同様にして試験を行い、実施例13のトラクショ
ン係数および油膜形成率を算出した。
【0181】(実施例14)両転動体(試験片)24,
22は、製造方法は実施例13と同じであるが、テープ
ラップ条件を変更した結果、実施例11とは次の点が異
なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動
面において、連続溝の面積率は10%であり、中心線平
均粗さRaは0.084μmであり、最大高さRyは
0.880μmである。他方の転動体(試験片)22
は、実施例11と同様のものを用いた。その他は実施例
11と同様にして試験を行い、実施例14のトラクショ
ン係数および油膜形成率を算出した。
【0182】(実施例15〜17および比較例2,4〜
6)一方の転動体(試験片)24は、実施例11におけ
る超仕上げで加工を終了した。なお、研削工程における
研削傷を超仕上げ加工により取り除くが、その超仕上げ
加工条件(主に時間)を制御することにより実施例12
と同じになる。そして、実施例12と異なる点は、実施
例15において、一方の転動体(試験片)24の転動面
の中心線平均粗さRaは0.026μmであり、最大高
さRyは0.180μmである。実施例16において、
一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さ
Raは0.020μmであり、最大高さRyは0.13
4μmである。実施例17において、一方の転動体(試
験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.033
μmであり、最大高さRyは0.313μmである。ま
た、比較例2において、一方の転動体(試験片)24の
転動面の中心線平均粗さRaは0.017μmであり、
最大高さRyは0.102μmである。比較例4におい
て、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均
粗さRaは0.033μmであり、最大高さRyは0.
275μmである。比較例5において、一方の転動体
(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.0
68μmであり、最大高さRyは0.203μmであ
る。比較例6において、一方の転動体(試験片)24の
転動面の中心線平均粗さRaは0.054μmであり、
最大高さRyは0.313μmである。
【0183】他方の転動体(試験片)22は、実施例1
1と同じものを用いた。その他は実施例11と同様にし
て試験を行い、実施例15〜17および比較例2,4〜
6のそれぞれのトラクション係数および油膜形成率を算
出した。
【0184】(比較例3)一方の転動体(試験片)24
は、実施例11におけるショットピーニング工程で終了
したものを使用した。このように作製した転動体(試験
片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.125μ
mであり、最大高さRyは0.686μmである。他方
の転動体(試験片)22は、実施例11と同じものを用
いた。その他は実施例11と同様にして試験を行い、比
較例3のトラクション係数および油膜形成率を算出し
た。
【0185】(評価例)上記の実施例11〜17および
比較例2〜6のフラット試験片の仕様を表4に、クラウ
ニング試験片の仕様を表5にまとめて示す。
【0186】
【表4】
【0187】
【表5】
【0188】表4から明らかなように、実施例11〜1
7は、転動面の表面微細形状における表面形状パラメー
タ(DIN4776特殊負荷曲線パラメータ)記載の油
溜り量Voが7×10−6(mm/mm)〜3×1
−4(mm/mm)の範囲であり、油溜り深さ率
Kが0.9〜2.0の範囲であって、良好なトラクショ
ン係数を示した。
【0189】また、実施例11〜14から明らかなよう
に、転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合
わせあるいは連続溝と平坦部の組合わせとしたことによ
り、金属接触を小さく留めながらトラクション係数を向
上できることが判明した。さらに、実施例13および1
4から明らかなように、DIN4776特殊負荷曲線パ
ラメータ記載の凹凸の平均間隔Smと接触楕円長径の半
分aとの比Sm/aを0.08以下とすることにより、
さらにトラクション係数が向上することが判明した。
【0190】これらに対して、比較例2〜6は、油溜り
量Voが7×10−6(mm/mm)未満であり、
油溜り深さ率Kが0.9未満であって、実施例11〜1
7よりも低いトラクション係数を示した。
【0191】次に、実施例18〜24および比較例7に
ついて説明する。
【0192】(実施例18〜24)一方の転動体(試験
片)24については、JIS SCM420H鋼の浸炭
焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mm
で、外周の転動面がフラットな円筒形状とした。この転
動体(試験片)24には、転動面に研削および超仕上げ
を行った後、先端Rが200μmの焼結体立方晶窒化ホ
ウ素(c−BN)工具を用いて、切削速度250m/m
in、送り0,01〜0.03mm/rev、半径切込
み量0.003mmの条件で超精密切削を行った。その
後、テープラップを施すことにより表面粗さの凸部を削
り落とし、表面微細形状を『転がり方向と平行な連続溝
と平坦部の組合わせ』とした。このように作製した転動
体(試験片)24の転動面において、連続溝の面積率、
中心線平均粗さRaおよび最大高さRyは表6に示す通
りである。
【0193】他方の転動体(試験片)22については、
JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用
し、直径40mm、厚さ20mmで、転動面がR=70
0mmのクラウニング形状を成すようにし、転動面に研
削および超仕上げを行って、転動面の中心線平均粗さR
aを0.021μm、最大高さRyを0.155μmに
仕上げた。
【0194】上記の一方の転動体(試験片)24と他方
の転動体(試験片)22を図2に示す2円筒転がり試験
機21に取付けて、実施例1と同じ試験条件にて転がり
すべり試験を行い、スリップ率5%での実施例18〜2
4のトラクション係数および油膜形成率を算出した。こ
のときのヘルツ楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ
(短径)が0.18mm、転動方向に垂直な長さ(長
径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53GPa
である。
【0195】(比較例7)一方の転動体(試験片)24
は、実施例18における超仕上げ加工で加工を終了し
た。この転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗
さRaおよび最大高さRyは表7に示す通りである。他
方の転動体(試験片)22は、実施例18と同一のもの
を用いた。その他は実施例18〜24と同様にして試験
を行い、比較例7のトラクション係数および油膜形成率
を算出した。
【0196】
【表6】
【0197】
【表7】
【0198】表6に示した結果から明らかなように、実
施例18〜24は、転動面の表面微細形状を転がり方向
と平行に存在する連続溝と平坦部の組合わせとし、連続
溝の溝幅を2μm〜10μm、溝間隔を10μm〜30
μm、溝深さを0.1μm〜1.0μmとしたことによ
り、油溜り量Voが7×10−6(mm/mm)〜
3×10−4(mm/mm)の範囲であり、油溜り
深さ率Kが0.9〜2.0の範囲であって、良好なトラ
クション係数を示した。
【0199】また、転動面の表面粗さをJIS B06
01−1994記載の中心線平均粗さRaで0.03μ
m〜0.13μmとし、あるいは最大高さRyで0.2
μm〜0.9μmとしたことにより、さらにトラクショ
ン係数が向上すると共に、効果が時持続するということ
が明らかになった。
【0200】これに対して、比較例7は、転動面の表面
微細形状が不連続な溝であり、且つ表7に示すように油
溜り量Voが7×10−6(mm3/mm2)未満であ
ると共に、油溜り深さ率Kが0.9未満であって、実施
例18〜24よりも低いトラクション係数を示した。
【0201】(実施例25〜35,比較例8〜11)こ
の実施例では、図2に示す2円筒転がり試験機を用いて
転動体(試験片)の転がりすべり試験を実施した。な
お、2円筒転がり試験機21の構造は、先述の通りであ
り、詳細な説明は省略する。また、この実施例での試験
は、スリップ率:0〜5%、平均回転速度:1.1,
5.2m/s、平均軸回転数:500rpm,2500
rpm(主軸23と従軸25の回転数の和が1000r
pm,5000rpm)とし、主軸23と従軸25に均
等に差動を与えて回転速度を一定にした。
【0202】さらに、両転動体(試験片)22,24の
転動は、100℃に設定したトラクションオイルのオイ
ルバス(油浴)33中で行い、エアシリンダ32の加圧
により発生する垂直荷重を150Nとした。そして、こ
の実施例では、スリップ率:5%でのトラクション係数
を算出した。
【0203】一方の転動体(試験片)24は、直径40
mm、厚さ20mmであり、転動面がフラットな円筒形
状とした。素材として、SCr420鋼、SCM420
鋼を浸炭焼入れ焼戻ししたもの、浸炭窒化焼入れ焼戻し
したもの、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたもの、浸炭窒
化焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削したの
ち、多結晶CBN工具を用いて凹部を切削加工し、この
際、凹部を等間隔で且つ転動方向に沿って形成し、その
後、テープラップにて凸部を削り落として所望の形状を
得た。
【0204】他方の転動体(試験片)22は、直径40
mm、厚さ20mmであると共に、転動面がR700m
mのクラウニング形状を成すようにした。素材として、
JIS−SUJ2鋼の焼入れ焼戻ししたものを用い、転
動面を研削したのち、テープラップによって転動面の中
心線平均粗さを0.01μm、最大高さをRy0.1μ
mに仕上げた。
【0205】一方の転動体24について、実施例25〜
35の粗さ断面曲線を図3〜図13に示し、比較例8〜
11の粗さ断面曲線を図14〜図17に示す。また、実
施例25〜35および比較例8〜11に用いた他方の転
動体22の粗さ断面曲線を図18に示す。
【0206】(比較例12)一方の転動体24は、直径
40mm、厚さ20mmであり、転動面がフラットな円
筒形状とした。素材として、SUJ2鋼を焼入れ焼戻し
したものを用い、転動面を研削したのち、超仕上げを施
した。この粗さ断面曲線を図19に示す。他方の転動体
22は、直径40mm、厚さ20mmであると共に、転
動面がR700mmのクラウニング形状を成すようにし
た。素材として、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを
用い、転動面を研削したのち、超仕上げを施した。この
粗さ断面曲線を図20に示す。
【0207】(評価例)表8〜表10に、実施例25〜
35および比較例8〜12の仕様、ならびに各例で得ら
れたスリップ率5%におけるトラクション係数を示す。
なお、ヘルツ楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ
(短径)が0.18mm、転動方向に垂直な長さ(長
径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53GPa
である。
【0208】
【表8】
【0209】
【表9】
【0210】
【表10】
【0211】表10から明らかなように、実施例25〜
35では、良好なトラクション係数が得られた。これに
対して、比較例8〜12では、実施例25〜35よりも
低いトラクション係数であることが判明した。
【0212】(実施例36〜39)この実施例では、図
32に示す4円筒転がり試験機を用いて転動体の転がり
すべり試験を実施した。図示の4円筒転がり試験機は、
回転軸51に支持された従動側転動体52の外周面に、
互いに平行な3本の回転軸53a〜53cで個別に支持
された3個の駆動側転動体54a〜54cを接触させ、
3本の回転軸53a〜53cのうちの1本(53a)に
加圧機構により負荷を加えることで、従動側転動体52
の外周面に各駆動側転動体54a〜54cを圧接させる
構造になっている。加圧機構は、3本の加圧用アーム5
5a〜55cをT型に配置して、各アーム55a〜55
cを上下方向に揺動自在に保持し、直線状に配置した横
2本のアーム55a,55bの外側の端部にウエイト5
6を吊り下げると共に、両アーム55a,55bの内側
の端部同士を上下に重合させている。また、残る縦1本
のアーム55cは、一端部を横のアーム55a,55b
の重合部分の上側に重合すると共に、他端部を先の駆動
側転動体54aの回転軸53aに設けた加圧部57に当
接させている。
【0213】4円筒転がり試験機は、加圧機構におい
て、左右のウエイト56の重量を各アーム55a〜55
cを介して加圧部57に作用させ、従動側転動体52の
外周面に各駆動側転動体54a〜54cを圧接させるも
のとなっており、従動側転動体54の回転軸51に発生
するトルクを測定することにより、トラクション係数を
算出することができる。この実施例の試験では、回転速
度:30m/s、軸回転数:10000rpm、スリッ
プ率:0〜3%とし、従動側に作動を与えた。ヘルツ接
触の最大面圧は2.82GPaであり、ヘルツ接触楕円
の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が1.3m
m、転動方向と垂直な長さ(長径)が2.1mmであ
り、供給油温度150℃にて試験を行った。オイルは日
産純正エクストロイドCVT用オイルKTF−1を用い
た。
【0214】従動側転動体52については、直径60m
m、厚さ10mmで、外周の転動面がフラットな円筒形
状とした。先の実施例25〜35と同様に、素材とし
て、SCr420鋼、SCM鋼を浸炭焼入れ焼戻しした
もの、SCr420鋼、SCM鋼浸炭窒化焼入れ焼戻し
したもの、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたもの、SUJ
2鋼を浸炭窒化焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を
研削した後、多結晶C−BN工具を用いて凹部を切削加
工し、テープラップにて凸部を削り落として所望の形状
を得た。これらの実施例における転動面の粗さ断面曲線
を図33〜図36に示す。
【0215】駆動側転動体54a〜54cについては、
直径60mm、厚さ10mmであると共に、転動面がR
30mmのクラウニング形状を成すようにした。素材
は、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面
を研削した後、テープラップによって転動面の中心線平
均粗さRaを0.01μmに仕上げた。その粗さ断面曲
線の一例を図37に示す。
【0216】(実施例40および41)従動側転動体5
2については、実施例39と同一の工程にて同一の形状
を狙い、多結晶C−BN工具を用いて凹部を切削加工
し、テープラップにて凸部を削り落した。その転動面の
粗さ断面曲線の一例を図40に示す。また、駆動側転動
体54a〜54cは、転動面を研削した後、超仕上げを
施した。その転動面の粗さ断面曲線の一例を図41に示
す。
【0217】(比較例13)従動側転動体52について
は、直径60mm、厚さ10mmで、外周の転動面がフ
ラット円筒形状とした。素材は、SUJ2鋼を焼入れ焼
戻ししたものを用い、転動面を研削した後、超仕上げを
施した。その粗さ断面曲線の一例を図38に示す。ま
た、駆動側転動体54a〜54cについては、直径60
mm、厚さ10mmであると共に、転動面がR30mm
のクラウニング形状を成すようにした。素材は、SUJ
2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削した
後、超仕上げを施した。その粗さ断面曲線の一例を図3
9に示す。
【0218】(評価例)表11〜表13に実施例36〜
41および比較例13の仕様ならびに各例で得られたす
べり率1%および3%におけるトラクション係数を示
す。
【0219】
【表11】
【0220】
【表12】
【0221】
【表13】
【0222】表11〜表13から明らかなように、実施
例36〜41では良好なトラクション係数が得られた。
これに対して比較例13では、実施例36〜41よりも
低いトラクション係数であることが判明した。
【0223】(実施例42)従動側転動体52について
は、転動面をスーパーフィニッシュで中心線平均粗さR
aが0.8となるように加工し、転動面がフラットであ
るものとした。駆動側転動体54a〜54cについて
は、転動面をスーパーフィニッシュで中心線平均粗さR
aが0.1〜0.12の範囲となるように加工した後、
転動面にローラバーニッシュを施し、途中で何度か粗さ
を調べながらローラバーニッシュを繰り返して中心線平
均粗さRaが0.02となるまで加工することにより、
転動面がR5のクラウニング形状を成すものとした。
【0224】そして、図32に示す4円筒転がり試験機
を用いて上記転動体52,54a〜54cの転がりすべ
り試験を実施した。なお、試験条件として、平均面圧を
0.71GPaとし、油温を150℃とし、周速を30
m/sとし、すべり率を3%とした。その結果、従動側
転動体52のトラクション係数は0.059であるのに
対して、ローラバーニッシュを施した駆動側転動体54
a〜54cのトラクション係数は0.08であり、ロー
ラバーニッシュを施して転動面を滑らかに形成すること
でトラクション係数が向上することを確認した。
【0225】また、上記転動体52,54a〜54cに
ついて、図32に示す4円筒転がり試験機を用いて耐久
試験を実施した。耐久状態として、平均面圧を3.51
GPaとし、油温を120℃とし、周速を30m/sと
し、すべり率を3%とした。その結果、スーパーフィニ
ッシュのみとした従動側転動体の寿命に対して、ローラ
バーニッシュを施した駆動側転動体54a〜54cの寿
命は1.4倍であることを確認した。
【0226】図21〜図23は、本発明に係わるトラク
ションドライブ用転動体およびその製造方法の一実施例
を説明する図である。
【0227】図示の転動体11は、外周面を転動面とす
る円柱体である。この実施例では、図23(a)に示す
ように、転動体11の転動面に、深さDが10μm以下
の凹部12を等間隔で形成することで、凹部12と凸部
13を交互に形成する。すなわち、図21に示すよう
に、転動体11の一端部を主軸台21のチャック21A
で回転可能に保持すると共に、転動体11の他端部を心
押し台22のセンタ22で回転自在に保持する。そし
て、転動体11を中心軸回りに回転させると共に、切削
用あるいは研削用の工具23を中心軸方向に一定速度で
送ることにより、転動体11の外周面に凹部12を螺旋
状に形成し、これにより凹部12と凸部13を等間隔で
交互に形成する。この際、工具23には、鋭利な刃先先
端(例えばR50μm)を有する多結晶CBN工具、ダ
イヤモンド工具あるいはTiN等の被覆を施したコーテ
ィング工具が用いられる。なお、図21では、凹部12
および凸部13を大きく示しているが、実際には微細な
凹凸形状である。また、図23中の破線は前加工面を示
す。
【0228】その後、転動体11には、図23(b)に
示すように、凹凸の高低差Hが0.5〜2.5μm、よ
り望ましくは0.8〜1.2μmもしくは2.0〜2.
5μmとなるまで凸部13の除去加工が行われる。すな
わち、図22に示すように、一対の送りローラ24,2
5の間に、粒径3μmの酸化アルミニウム粒子を有する
ラッピングフィルム26を張り渡し、このラッピングフ
ィルム26に転動体11の外周面を接触させると共に、
バックシュー27によりラッピングフィルム26を転動
体11に押し付ける状態にする。そして、図中の矢印で
示す如く、送りローラ24,25でラッピングフィルム
26を一方向に送ると共に、転動体11を中心軸回りに
回転させることにより、転動体11の表面における凸部
13を研削する。
【0229】このラッピングフィルム26による研削で
は、凸部13の頂上部を平坦に形成したり、凸部13の
片側にクラウニング形状を形成したりすることができ、
必要に応じてラッピングフィルム26の送り方向あるい
は転動体11の回転方向を逆にすれば、凸部13のクラ
ウニング形状などを適宜調整することができる。
【0230】このようにして得られた転動体11は、凹
部12および凸部13が当該転動体の転動方向、つまり
円周方向に沿って連続的に形成されていて、表面に、高
低差0.5〜2.5μmの凹部12と凸部13が等間隔
で交互に形成されると共に、断面曲線の中心線すなわち
断面曲線を長さ方向に積分した平均的な高さに引かれる
線において、凹部12の割合が15〜60%の範囲とな
るように形成されている。さらに、凹部12のピッチP
が10〜150μmとなるように形成され、中心線上で
の凹部12の長さ(幅)Wが10〜40μmとなるよう
に形成され、凸部13の頂部の表面粗さがRz100n
m以下、より望ましくはRz40nm以下となるように
形成されている。これにより、転動体11は、従来の転
動体つまり超仕上げ等により表面に加工痕をランダムに
有する状態に形成された転動体に比べて、大きな動力の
伝達が可能であるトラクション特性に優れたものとなっ
ている。
【0231】また、この実施例の場合には、先に凹部1
2が螺旋状に形成してあるので、後の研削の際に、砥粒
の破砕や脱落、切り屑の排出がスムーズに行われ、常に
切れ味の良い状態が確保されて効率良く加工を行うこと
ができ、さらに、凹部の間隔の大小に左右されることな
く、角に面取りを有する台形状の凸部13やクラウニン
グ形状の凸部13などを精度良く形成することができ
る。
【0232】図24および図25は、本発明に係わるト
ラクションドライブ用転動体およびその製造方法の他の
実施例を説明する図である。
【0233】この実施例では、図24に示すように、電
解研磨加工により、転動体11の表面をその粗さがRz
100nm以下、より望ましくはRz40nm以下とな
るように形成する。すなわち、主軸台21のチャック2
1Aと心押し台22のセンタ22Aにより回転可能に保
持した転動体11を陽極側とし、砥石28を備えた陰極
側の電解液供給部29から転動体11の外周面に電解液
30を供給して、転動体11の外周面を鏡面加工する。
この場合、転動体11の表面粗さは原子力間顕微鏡によ
り測定される。このように、転動体11の外周面を形成
することにより、この時点では未形成の凸部13の頂部
が表面粗さRz100μm以下あるいはRz40nm以
下に形成されることになる。
【0234】その後、転動体11には、図25に示すよ
うに凹部12が形成される。すなわち、主軸台21のチ
ャック21Aと心押し台22のセンタ22Aにより転動
体11を回転軸回りに回転させながら、例えば刃先断面
の両側に中心が異なる円弧形状を有する薄刃砥石31を
用いて、凹部12と凸部13が所定の寸法関係となるよ
うに凹部12を等間隔に形成する。なお、図25におい
ては、転動体11の周方向に連続する凹部12を中心軸
方向に等間隔で形成する場合を示したが、凹部12を螺
旋状に形成しても良い。このようにして、この実施例の
場合も先の実施例と同様に、トラクション特性に優れた
トラクションドライブ用転動体11が得られることにな
る。
【0235】図26は、本発明に係わるトラクションド
ライブ用転動体およびその製造方法のさらに他の実施例
を説明する図である。
【0236】この実施例では、凹部12と凸部13に各
々対応する切刃32A,32Bを有し且つ双方の切刃3
2A,32Bの段差Sが0.5〜2.5μmである工具
32を用い、主軸台21のチャック21Aと心押し台2
2のセンタ22Aにより転動体11を回転軸回りに回転
させながら、転動体11の外周面に凹部12と凸部13
を同時に螺旋状に形成する。すなわち、この実施例の場
合には、先の実施例と同様に、トラクション特性に優れ
たトラクションドライブ用転動体11が得られるうえ
に、所定の寸法関係を有する凹部12と凸部13を短時
間で効率良く形成し得ることとなる。
【0237】図27および図28は、本発明に係わるト
ラクションドライブ用転動体およびその製造方法のさら
に他の実施例を説明する図である。
【0238】この実施例における転動体11は、周方向
にわたって断面凹状の転動面を有するものであって、図
27に示すように、一対の保持手段33,34により両
側を回転可能に保持し、転動体11を回転軸回りに回転
させながら、切削用あるいは研削用の工具35を用いて
転動体11の転動面に凹部12を螺旋状に形成する。こ
ののち、図28に示すように、同じく一対の保持手段3
3,34で転動体11を回転軸回りに回転させながら、
平均砥粒径が12μmのフェノール系結合材を含む弾性
砥石36で凸部13を超仕上げ加工する。この実施例に
あっても先の各実施例と同様に、トラクション特性に優
れたトラクションドライブ用転動体11が得られること
となる。
【0239】なお、上記実施例以外に、凹部12は、ブ
ラスト加工、レーザ加工およびエッチング加工によって
も形成することができると共に、凸部13は、切削加工
や研削加工によっても形成することかでき、とくに、凸
部13にあっては、平均砥粒径が9μm以下の砥石もし
くはラッピングフィルムなどの固定砥粒工具を用いて加
工することが可能であると共に、平均砥粒径が30μm
以下で且つゴムで結合した弾性砥石あるいはエポキシや
PVA等の樹脂で結合した弾性砥石を用いて加工するこ
とも可能である。
【0240】さらに、図29〜図31は、転動体11の
転動面に形成した凹部12および凸部13の形状例を示
す図である。すなわち、各図において断面曲線の中心線
Cよりも上側の凸部13の形状としては、図29(a)
に示す台形状、図29(b)に示す角に丸みを帯びた台
形状、図29(c)に示す楕円弧状または正弦波状、図
30(a)に示す頂上部が丸みを帯びた三角形状にする
ことができる。なお、凹部12の底部の形状がとくに限
定されることはなく、図30(b)に示すように微細な
凹凸を有するものであっても何ら問題は無い。また、凸
部13の形状としては、図31(a)に示す角に面取り
を施した台形状、図31(b)に示すクラウニング形状
にすることができ、図31(c)に示すように、ラッピ
ングによって片側がクラウニング形状を成すものにする
こともできる。
【0241】そして、上記の凹凸形状において、凹12
と凸部13の高低差Hを0.5〜2.5μmとし、望ま
しくは0.8〜1.2μmもしくは2.0〜2.5μm
とし、中心線Cにおける凹部12の割合を15〜60%
とし、望ましくは27〜35%とし、凹部12のピッチ
Pを10〜150μmとし、凸部13の頂上部の表面粗
さをRz100nm以下とし、望ましくは40nm以下
とし、中心線Cでの凹部の長さ(幅)Wを10〜40μ
mとすることにより、大きな動力の伝達が可能であるト
ラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体
11が得られることとなる。
【0242】図42はトロイダル型無段変速機の全体構
成を概略的に示す説明図である。図中の符号101は変
速機入力軸、102はこれに同軸相対回転可能に設けた
変速機出力軸を夫々示す。入力軸101に流体継手10
3を介して矢印a方向のエンジン動力を供給し、入力軸
101上にこれと一体回転するよう前進入力ギア104
および後進入力ギア105を設ける。
【0243】入力軸101に対し平行な共通軸線上に配
して2個の隣接する入力ディスク106,107と、出
力ディスク108,109と、入力ディスク106,1
07間に介在させたドライブプレート110とを設け
る。両出力ディスク108,109を軸111により一
体結合し、この軸111上に回転自在に嵌合した中空軸
112により両入力ディスク106,107を駆動結合
する。ドライブプレート110は中空軸112上に回転
自在に支持し、前進入力ギア104を噛み合うギア11
3を一体に有するものとする。ドライブプレート110
と入力ディスク106,107との間を夫々周知にロー
ディングカム114,115により駆動結合し、これら
ローディングカム114,115はギア104,113
からドライブプレート110に達したエンジン動力を入
力ディスク106,107に伝達し、これらディスクを
中空軸112と共に矢印b方向に回転させる他、伝達ト
ルクに応じたスラストを入力ディスク106,107に
反する方向へ付与するものとする。
【0244】対向するディスク106,108間および
107,109間に夫々2個のパワーローラ116,1
17を介在させ、一方のパワーローラ116は入力ディ
スク106に付与された上記スラストによりディスク1
06,108間に狭圧して夫々の対向転動面106a,
108aに摩擦係合させ、他方のパワーローラ117は
入力ディスク107に付与された上記スラストによりデ
ィスク107,109間に狭圧して夫々の対向転動面1
07a,109aに摩擦係合させる。これにより、一方
のパワーローラ116は軸線116aの周りに回転して
入力ディスク106から出力ディスク108へ矢印cの
如くに動力を伝達することができ、他方のパワーローラ
117は軸線117aの周りに回転して入力ディスク1
07から出力ディスク109へ矢印cの如くに動力を伝
達することができる。
【0245】変速にあたっては、パワーローラ116,
117を同期させて夫々の回転軸線116a,117a
と直交する軸線116b,117bの周りに矢印で示す
如く首振りさせるが、この首振りは特開昭58−160
663号公報に示された如き変速装置により各パワーロ
ーラ116,117を首振り軸線116b,117bの
方向へオフセットして行わせるものとする。
【0246】出力ディスク108の軸111から遠い側
に逆転防止機構としてのワンウェイクラッチ118を設
け、これにより出力ディスク108、したがって出力デ
ィスク109および軸111の矢印cで示す方向とは逆
方向の回転を禁止する。また、出力ディスク109の軸
111から遠い側にファイナルドライブシャフト119
を同軸に配設し、このシャフトに後進入力ギア105と
噛み合うギア120を回転自在に支持する。そして、フ
ァイナルドライブシャフト119を出力ディスク109
に直結する前進クラッチ121を設けると共に、ファイ
ナルドライブシャフト119をギア120に駆動結合す
る後進クラッチ122を設け、これらクラッチで前後進
切換機構123を構成する。さらに、ファイナルドライ
ブシャフト119はチェーン伝動機構124を介して出
力軸102に駆動連結する。
【0247】上記の構成を備えたトロイダル方無段変速
機において、入力ディスク106,107,出力ディス
ク108,109、およびパワーローラ116,117
がトラクションドライブ用転動体に該当し、これらの転
動体106〜109,116,117に本発明に係わる
トラクションドライブ用転動体およびその製造方法を適
用することにより、転動面におけるトラクション係数や
耐久性が向上し、トロイダル方無段変速機の性能が飛躍
的に高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクションドライブ型無段変速機の基本構成
を示す断面説明図である。
【図2】転動体の転動面の表面性状を調査するために用
いた2円筒転がり試験機の概要を示す説明図である。
【図3】実施例25の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図4】実施例26の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図5】実施例27の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図6】実施例28の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図7】実施例29の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図8】実施例30の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図9】実施例31の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図10】実施例32の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図11】実施例33の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図12】実施例34の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図13】実施例35の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図14】比較例8の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図15】比較例9の一方の転動体の転動面の粗さ断面
曲線を示すグラフである。
【図16】比較例10の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図17】比較例11の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図18】実施例25〜35および比較例8〜11の他
方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフであ
る。
【図19】比較例12の一方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図20】比較例12の他方の転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図21】本発明に係わるトラクションドライブ用転動
体およびその製造方法の一実施例において、転動体に凹
部を形成する装置を説明する側面図である。
【図22】転動体の凸部を除去加工する装置を説明する
側面図(b)である。
【図23】図21に示す装置で形成した凹凸形状を示す
断面説明図(a)、図22に示す装置で形成した凹凸形
状を示す断面説明図(b)である。
【図24】本発明に係わるトラクションドライブ用転動
体およびその製造方法の他の実施例において、転動体に
電解研磨加工を行う装置を説明する側面図である。
【図25】図24に続いて転動体に凹部を形成する装置
を説明する側面図である。
【図26】本発明に係わるトラクションドライブ用転動
体およびその製造方法のさらに他の実施例において、転
動体に凹部と凸部を同時に形成する装置を説明する側面
図(a)、および工具の刃先部分を拡大した側面図
(b)である。
【図27】本発明に係わるトラクションドライブ用転動
体およびその製造方法のさらに他の実施例において、転
動体に凹部を形成する装置を説明する側面図である。
【図28】図27に続いて凸部を除去加工する装置を説
明する側面図である。
【図29】転動体の転動面の異なる表面形状を示す断面
説明図(a)〜(c)である。
【図30】転動体の転動面の異なる表面形状を示す断面
説明図(a),(c)である。
【図31】転動体の転動面の異なる表面形状を示す断面
説明図(a)〜(c)である。
【図32】転動体の転動面の表面性状を調査するために
用いた4円筒転がり試験機の概要を示す説明図である。
【図33】実施例36の従動側転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図34】実施例37の従動側転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図35】実施例38の従動側転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図36】実施例39の従動側転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図37】実施例36〜39の駆動側転動体の転動面の
粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図38】比較例13の従動側転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図39】比較例13の駆動側転動体の転動面の粗さ断
面曲線を示すグラフである。
【図40】実施例40および41の従動側転動体の転動
面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図41】実施例40および41の駆動側転動体の転動
面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図42】トロイダル型無段変速機の全体構成を概略的
に示す説明図である。
【符号の説明】
1 トラクションドライブ型無段変
速機 3 106 107 入力ディスク(転動体) 5 108 109 出力ディスク(転動体) 6 116 117 パワーローラ(転動体) 11 転動体 12 凹部 13 凸部 21 2円筒転がり試験機 22 他方の転動体(クラウニング形
状の試験片) 24 一方の転動体(フラット形状の
試験片) 52 従動側転動体 54a〜54c 駆動側転動体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加 納 眞 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 渡 辺 純 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 牛 嶋 研 史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 小 又 正 博 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 太 田 稔 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 上 田 啓 雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 和久田 学 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA03 BA03 BE09 CA05 CB07 EC02 EC03 EC07 EC08 ED08 FA02 FA07 FA10

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転動面間でトラクションオイルを介在し
    て動力を伝達するトラクションドライブ用転動体におい
    て、転動体の転動面に油膜厚さよりも深い凹凸を有する
    ことを特徴とするトラクションドライブ用転動体。
  2. 【請求項2】 転動面間でトラクションオイルを介在し
    て動力を伝達するトラクションドライブ用転動体におい
    て、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動
    力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、油溜り量
    が7×10−6(mm/mm)〜3×10−4(m
    m3/mm2)、油溜り深さ率が0.9〜2.0である
    ことを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライ
    ブ用転動体。
  3. 【請求項3】 駆動側および従動側の少なくとも一方の
    転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディン
    プルと平坦部の組合わせとし、ディンプルの中で、直径
    が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmの
    ものが占める面積率を5%〜40%としたことを特徴と
    する請求項1または2に記載のトラクションドライブ用
    転動体。
  4. 【請求項4】 直径が5μm〜30μm、深さが0.1
    μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100μm四
    方あたりに10個〜30個であることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載のトラクションドライブ用転
    動体。
  5. 【請求項5】 転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで
    0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さ
    で0.4μm〜1.0μmであることを特徴とする請求
    項1〜4に記載のトラクションドライブ用転動体。
  6. 【請求項6】 転動面の表面硬さが、850Hv以上で
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    トラクションドライブ用転動体。
  7. 【請求項7】 転動面が、ショットピーニングにより形
    成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加工、切
    削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を取るこ
    とにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせ
    としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    のトラクションドライブ用転動体。
  8. 【請求項8】 駆動側および従動側の少なくとも一方の
    転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を連続溝
    と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅が2μm〜10
    μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝深さが0.1μ
    m〜1.0μmであることを特徴とする請求項1または
    2に記載のトラクションドライブ用転動体。
  9. 【請求項9】 転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで
    0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最大高さ
    で0.2μm〜0.9μmであることを特徴とする請求
    項8に記載のトラクションドライブ用転動体。
  10. 【請求項10】 転動面の凹凸の平均間隔と接触楕円長
    径の半分との比が0.08以下であることを特徴とする
    1,2〜9のいずれかに記載のトラクションドライブ用
    転動体。
  11. 【請求項11】 転動面間でトラクションオイルを介在
    して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体にお
    いて、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の
    動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、表面粗
    さ計により測定される断面曲線が凹部と凸部を交互に配
    列した形状であると共に、断面曲線の中心線よりも上側
    の凸部の形状が、台形状、角が丸みを帯びた台形状、角
    に面取りを施した台形状、クラウニング形状、楕円弧
    状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角形状のいずれか
    であることを特徴とする請求項1に記載のトラクション
    ドライブ用転動体。
  12. 【請求項12】 凹部と凸部の高低差が0.5〜2.5
    μmであることを特徴とする請求項11に記載のトラク
    ションドライブ用転動体。
  13. 【請求項13】 凹部と凸部の高低差が2.0〜2.5
    μmであることを特徴とする請求項12に記載のトラク
    ションドライブ用転動体。
  14. 【請求項14】 凹部と凸部の高低差が0.8〜1.2
    μmであることを特徴とする請求項11に記載のトラク
    ションドライブ用転動体。
  15. 【請求項15】 断面曲線の中心線において、全体に対
    する凹部の割合が15〜60%であることを特徴とする
    請求項12〜14のいずれかに記載のトラクションドラ
    イブ用転動体。
  16. 【請求項16】 断面曲線の中心線において、全体に対
    する凹部の割合が25〜40%であることを特徴とする
    請求項12〜15のいずれかに記載のトラクションドラ
    イブ用転動体。
  17. 【請求項17】 断面曲線の中心線において、全体に対
    する凹部の割合が27〜35%であることを特徴とする
    請求項16に記載のトラクションドライブ用転動体。
  18. 【請求項18】 断面曲線の中心線において、全体に対
    する凹部の割合が30〜57%であることを特徴とする
    請求項11〜15のいずれかに記載のトラクションドラ
    イブ用転動体。
  19. 【請求項19】 凹部のピッチが10〜150μmであ
    ることを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載
    のトラクションドライブ用転動体。
  20. 【請求項20】 凹部のピッチが40〜120μmであ
    ることを特徴とする請求項19に記載のトラクションド
    ライブ用転動体。
  21. 【請求項21】 凸部の頂上部の表面粗さがRz100
    nm以下であることを特徴とする請求項11〜20のい
    ずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  22. 【請求項22】 凸部の頂上部の表面粗さがRz40n
    m以下であることを特徴とする請求項11〜21のいず
    れかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  23. 【請求項23】 断面曲線の中心線において、凹部の長
    さが10〜40μmであることを特徴とする請求項11
    〜22のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動
    体。
  24. 【請求項24】 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
    動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチが
    1.2〜9%であることを特徴とする請求項11〜23
    のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  25. 【請求項25】 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
    動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチが
    2.4〜6%であることを特徴とする請求項11〜23
    のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  26. 【請求項26】 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
    動方向に直交する方向の直径に対し、凹部の長さが0.
    6〜2%であることを特徴とする請求項11〜25のい
    ずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  27. 【請求項27】 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転
    動方向と平行な方向の直径に対し、凹部の長さが0.8
    〜3.2%であることを特徴とする請求項11〜26の
    いずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  28. 【請求項28】 凹部が当該転動体の転動方向とほぼ平
    行に形成した溝であることを特徴とする請求項11〜1
    9のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
  29. 【請求項29】 凹部が当該転動体の転動方向に沿って
    螺旋状に形成してあることを特徴とする請求項20に記
    載のトラクションドライブ用転動体。
  30. 【請求項30】 凹部が少なくともヘルツ接触楕円の短
    径の長さよりも長く連続していることを特徴とする請求
    項11〜21のいずれかに記載のトラクションドライブ
    用転動体。
  31. 【請求項31】 表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しく
    して計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径
    が0.1mm以上であることを特徴とする請求項11〜
    22のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動
    体。
  32. 【請求項32】 表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しく
    して計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径
    が0.8〜170mmであることを特徴とする請求項1
    1〜22のいずれかに記載のトラクションドライブ用転
    動体。
  33. 【請求項33】 表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しく
    して計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径
    が0.8〜10mmであることを特徴とする請求項11
    〜22のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動
    体。
  34. 【請求項34】 駆動側および従動側の一方の転動体の
    転動面が、請求項11〜25のいずれかに記載の凹部と
    凸部から成る表面形状を有し、他方の転動体の転動面
    が、中心線平均粗さでRa0.06μm以下であること
    を特徴とする請求項11〜25のいずれかに記載のトラ
    クションドライブ用転動体。
  35. 【請求項35】 材料および熱処理が、肌焼き鋼の浸炭
    焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻し、軸受
    け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼戻し、軸
    受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択されるこ
    とを特徴とする請求項1〜34のいずれかに記載のトラ
    クションドライブ用転動体。
  36. 【請求項36】 転動体は、円環凹面形状を成す転動面
    をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディスクと、
    対向して配置した入力ディスクおよび出力ディスクの円
    環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転動面と
    相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え且つロ
    ーラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わせから
    成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフルトロ
    イダル型無段変速機の構成要素となることを特徴とする
    請求項1〜35のいずれかに記載のトラクションドライ
    ブ用転動体。
  37. 【請求項37】 請求項11〜36のいずれかに記載の
    トラクションドライブ用転動体を製造するに際し、転動
    面に深さ10μm以下の凹部を等間隔で形成して凹部と
    凸部を交互に形成したのち、凹凸の高低差が0.5〜
    2.5μmになるまで凸部を除去加工することを特徴と
    するトラクションドライブ用転動体の製造方法。
  38. 【請求項38】 請求項11〜37のいずれかに記載の
    トラクションドライブ用転動体を製造するに際し、転動
    面を表面粗さRz100nm以下となる状態に形成した
    のち、深さ0.5〜2.5μmの凹部を等間隔で形成し
    て凹部および凸部を交互に形成することを特徴とするト
    ラクションドライブ用転動体の製造方法。
  39. 【請求項39】 切削加工、研削加工、ブラスト加工、
    レーザ加工およびエッチング加工の少なくとも1つの加
    工により凹部を形成し、超仕上げ加工、ラッピング加
    工、切削加工、研削加工および電解研磨加工の少なくと
    も1つの加工により凸部を形成することを特徴とする請
    求項37または38の記載のトラクションドライブ用転
    動体の製造方法。
  40. 【請求項40】 ショットピーニング、研削加工および
    切削加工の少なくとも1つの加工により転動面に凹凸を
    形成し、ローラバーニッシュにより凸部を滑らかな平面
    に形成することを特徴とする請求項37または38に記
    載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
  41. 【請求項41】 先端が単一R、台形、V字および複合
    Rの少なくとも1つを有する形状であり且つ先端から
    0.5〜2.5μmの位置の幅が4〜150μmとなる
    初期工具形状を有する工具を用いて凹部を形成すること
    を特徴とする請求項37〜39のいずれかに記載のトラ
    クションドライブ用転動体の製造方法。
  42. 【請求項42】 先端形状がR0.2mm以下の形状を
    有する工具を用いた旋削加工により凹部を形成すること
    を特徴とする請求項37〜41のいずれかに記載のトラ
    クションドライブ用転動体の製造方法。
  43. 【請求項43】 請求項11〜36のいずれかに記載の
    トラクションドライブ用転動体を製造するに際し、凹部
    と凸部に各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差
    が0.5〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を
    同時に形成することを特徴とするトラクションドライブ
    用転動体の製造方法。
  44. 【請求項44】 平均砥粒径が9μm以下の固定砥粒工
    具を用いて凸部を加工することを特徴とする請求項37
    〜43のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動
    体の製造方法。
  45. 【請求項45】 平均砥粒径が30μm以下の弾性砥石
    を用いて凸部を加工することを特徴とする請求項37〜
    43のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体
    の製造方法。
  46. 【請求項46】 転動体を中心軸回りに回転させると共
    に、転動体と工具とを転動体の中心軸方向、中心軸に直
    交する方向、中心軸方向とこれに直交する方向とで構成
    される面における円弧方向の少なくとも1つの方向に相
    対的に移動させて転動体の転動面に凹部を螺旋状に形成
    することを特徴とする請求項37〜45のいずれかに記
    載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
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