JP2004138165A - トラクションドライブ用ディスク及びその製造方法 - Google Patents

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太田 稔
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Abstract

【課題】転動面に微細な凹凸を有するトラクションドライブ用ディスクでは、変速機の運転中に凹凸の凸部が次第に減少することから、充分なトラクション特性を得るうえでさらなる改善が要望されていた。
【解決手段】入力ディスクと出力ディスクの間に回転伝達用のパワーローラを傾動可能に介装したトラクションドライブ式変速機のディスクであって、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tの円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲において、転動面Tの最表面から深さ50〜100μmの位置における硬度がHv750以上であるディスクDとし、転動面Tの微細な凹凸の凸部の減少を抑制して、良好なトラクション特性を長期にわたって維持し得るものとした。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のトラクションドライブ式変速機を構成するディスク及びその製造方法に関し、より詳しくは、トラクションオイルを介して動力伝達を行うディスクにおける転動面の改善を実現したトラクションドライブ用ディスク及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来において、トラクションドライブ式変速機に用いられるディスクを製造するには、その工程を図6に示すように、工程S1において鍛造により素材を粗形状に成形し、工程S2において切削によりディスク形状に成形し、工程S3において熱処理を施し、工程S4において研削により転動面等を形成した後、工程S5において転動面に超仕上を施すようにしていた。そして、このようにして製造されたディスクにおける表面及び表層部の硬度は、ビッカース硬度計を用いた測定によると、図7に示す如く表層部付近でHv750以下であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような工程を経て転動面を形成した従来のディスクにあっては、トラクションドライブ式変速機を構成した場合、伝達するトルクに限界が生じ、伝達トルクを増大させるためには変速機の大型化が避けられないものであった。そこで、例えば特開2002−89644号公報に記載されているように、転動面に微細な凹凸を形成することにより、変速機を大型化することなくトラクション特性を向上させることを可能にしたが、変速機の運転中に凹凸の凸部が次第に減少することから、充分なトラクション特性を得るうえでさらなる改善が要望されていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、転動面に形成した微細な凹凸の凸部の減少を抑制することができ、良好なトラクション特性を長期にわたって維持することができるトラクションドライブ用ディスク及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のトラクションドライブ用ディスクは、入力ディスクと出力ディスクの間に回転伝達用のパワーローラを傾動可能に介装したトラクションドライブ式変速機のディスクであって、ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲において、転動面の最表面から深さ50〜100μmの範囲に硬度がHv750以上の部分が存在することを特徴としている。
【0006】
また、本発明のトラクションドライブ用ディスクの製造方法は、球体又は外周部をR成形したローラを回転自在に備えた押付け工具を用い、浸炭焼入れ焼戻ししたディスクの転動面に高低差3μm以下の規則的な凹凸を形成する前又は後に、回転軸を中心にしてディスクを回転させると共に、ディスクの転動面に押付け工具の球体又はローラを押付け、且つディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧に沿って押付け工具が移動するようにディスクと押付け工具を相対的に移動させることにより転動面の表層部を硬化することを特徴としている。
【0007】
【発明の効果】
本発明のトラクションドライブ用ディスクによれば、入力ディスクと出力ディスクの間に回転伝達用のパワーローラを傾動可能に介装したトラクションドライブ式変速機のディスクとして、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲において、転動面の最表面から深さ50〜100μmの範囲に硬度がHv750以上の部分が存在するものとしたことにより、転動面に形成した微細な凹凸の凸部の減少を抑制することができると共に、トラクション特性を向上させることができ、良好なトラクション特性を長期にわたって維持することができる。
【0008】
また、本発明のトラクションドライブ用ディスクの製造方法によれば、球体又はローラを回転自在に備えた押付け工具により転動面の表層部を硬化することから、微細な凹凸を有する転動面の形状精度が良好であると共に、凹凸の凸部の減少を抑制して良好なトラクション特性を長期にわたって維持し得るディスクを得ることができ、しかも、特別な加工装置を用いなくても、転動面を加工する既存の装置により、転動面及び表層部に所定の硬度や残留応力が得られると共に、短時間で加工を行うことができ、トラクション特性に優れた高精度のディスクを生産性良く且つ安価に提供することができる。
【0009】
【実施例】
以下、図面に基づいて、本発明のトラクションドライブ用ディスク及びその製造方法の一実施例を説明する。図1は、ディスクDにおける転動面Tの表層部を硬化させるのに用いる加工装置の一例を説明する図である。
【0010】
図中のディスクDは、入力ディスクと出力ディスクの間に回転伝達用のパワーローラを傾動可能に介装したトラクションドライブ式変速機を構成するものであり、回転軸Cに沿った中心断面上において、輪郭が円弧状を成す転動面Tを有している。転動面Tには微細な凹凸を形成する。これらの凹凸は、転動面Tの円弧状輪郭に沿う方向に交互に配列され、且つ転動面Tの周方向に螺旋状に連続する状態又は同心状に形成される。このような凹凸の形成前又は形成後において、転動面Tには表層部を硬化させる加工が施される。
【0011】
図示の加工装置は、図の左右方向をX方向、上下方向をY方向、及びこれらに直交する方向をZ方向とすると、X軸回りに回転駆動される主軸7と、主軸7をその軸線方向(X軸方向)に移動させる主軸テーブル8を備えると共に、主軸7に、ディスクDを同軸状に保持するチャッキング装置6を備えており、保持したディスクDを回転軸C回り(X軸回り)に回転させるものとなっている。
【0012】
また、図示の加工装置は、主軸テーブル7の近傍に直線テーブル5を備えると共に、直線テーブル5には、Z軸回りに回転可能な回転テーブル4をY軸方向に移動可能に備えている。回転テーブル4には、Z軸に直交する方向を案内方向とする工具移動テーブル2が備えてあり、工具移動テーブル2には、先端に球体1Aを回転自在に備えた押付け工具1が設けてある。このようにして、当該加工装置は、押付け工具1をXY方向に移動可能にすると共に、同押付け工具1をZ軸回りに回転可能にし、且つディスクDの転動面Tに対して押付け工具1の球体1Aを進退可能にしている。
【0013】
押付け工具1は、この実施例では、直径6mmの窒化珪素製の球体1Aを回転自在に備えると共に、図示しない油圧機構によって転動面Tへの押付け力が付与されるようにしてある。なお、押付け工具1は、球体1Aに代えて、外周部をR成形した円盤状のローラを備えたものであっても良い。このとき、球体1A又はローラの材質は、アルミナ、窒化珪素などのセラミックスのほか、超硬など硬度が高く且つ耐チッピング性に優れたもの採用することが可能であり、人工ダイヤモンドやコーティングを施した超硬などであっても良い。
【0014】
次に、上記加工装置を用いて転動面Tの表層部を硬化させる過程を説明する。まず、押付け工具1の高さ調整を行って、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面に押付け工具1の球体1Aを一致させる。また、主軸テーブル8や直線テーブル5を駆動して、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tの円弧中心Otと回転テーブル4の回転中心とを一致させ、さらに、工具移動テーブル2を駆動して、押付け工具1の回転中心から球体1Aの先端部までの長さと転動面Tの円弧半径とを一致させる。
【0015】
その後、油圧機構の働きにより、押付け工具1の球体1AをディスクDの転動面Tに押付け、主軸7によりディスクDを回転軸C回りに回転させると共に、転動面Tの円弧に沿って押付け工具1が移動するように、ディスクDと押付け工具1を相対的に移動させる。このとき、各テーブル2,4,5,8の協働によりディスクDと押付け工具1を相対移動させることが可能であるが、先述した如く押付け工具1の位置調整を行えば、回転テーブル4の回転により押付け工具1を移動(回動)させるだけで良い。
【0016】
ここで、ディスクDは、浸炭焼入れ焼戻しが施してあり、転動面Tには、上記加工の前又は後において、高低差が3μm以下の微細な凹凸を形成する。転動面Tの凹凸は、トラクション特性や加工性などを実現する望ましい形態として、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tの円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度(変速比1.2:1においてパワーローラとの接触位置に対応する角度)から±25度の範囲、又は変速比が1.2:1となる角度から±15度に加えて10度以内の範囲に形成され、さらには、変速比が1.2:1となる角度で高低差が最大となり、且つその両側に向けて高低差が漸次減少するように形成される。
【0017】
なお、当該ディスクDは、パワーローラとともにトラクションドライブ式変速機を構成するものであるから、入力側ディスクとして用いた場合と出力側ディスクとして用いた場合とでは、変速比が1.2:1となる角度を中心とする範囲が異なる位置になる。
【0018】
このようなディスクDに対して、当該製造方法は、図2に示すように、転動面Tの凹凸形成範囲すなわち変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲、又は変速比が1.2:1となる角度から±15度に加えて10度以内の範囲に押付け工具1による加工を行う。
【0019】
このとき、当該製造方法では、転動面Tに対する押付け工具1の押付け力を2000N以下とし、押付け工具1と転動面Tとの平均接触圧力を2.5〜5.5GPaとし、先述したように球体1Aの直径が6mmである場合、押付け工具1とディスクDとの接触点における転動面Tの回転方向の周速度を100〜350m/minとし、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tの円弧に沿って移動する押付け工具1のピッチをディスクDの1回転あたり0.3mm以下とする。この実施例では、押付け力を1000Nとし、転動面Tの周速度を250m/minとし、押付け工具1のピッチを0.25mmとした。
【0020】
なお、押付け工具1による加工を行う場合、押付け工具1を転動面Tの円弧に沿って適数回往復動させても良い。また、ディスクDの回転速度は一定であっても良いが、ディスクDの直径が連続的に変化しているので、加工位置に応じてディスクDの回転速度を変化させ、転動面Tと押付け工具1の相対速度を一定にすることもより良い。
【0021】
さらに、上記の如く回転テーブル4の回転により押付け工具1を移動させるほかに、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tに形成した凹凸が最大高低差となる部位、すなわち変速比が1.2:1となる角度において、押付け工具1を転動面Tと直交する角度で保持した状態にし、回転テーブル4を回転させずに、主軸テーブル8や直線テーブル5の協働によりディスクDと押付け工具1を相対的に移動させても良い。
【0022】
このようにして押付け工具1による加工が成されたディスクDにおいて、その転動面Tの表層部には、図3に示すように、最大でHv800以上の硬度が得られると共に、最表面(凸部の頂面を基準とする表面)から深さ50〜100μmの範囲に、Hv750以上の硬度を有し且つ転動面Tと平行な層が得られた。また、図4に示すように、最大で1000MPa以上の圧縮残留応力が得られると共に、最表面から深さ50〜100μmの範囲に、700MPa以上の圧縮残留応力を有し且つ転動面Tと平行な層が得られた。
【0023】
つまり、ディスクDは、回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tの円弧中心Otを基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲において、転動面Tの最表面から深さ50〜100μmの範囲に硬度がHv750以上の部分(層)が存在し、また、転動面Tの最表面から深さ50〜100μmの範囲に残留応力が圧縮残留応力値で700MPa以上の部分(層)が存在するものとなった。
【0024】
これにより、ディスクDは、トラクションドライブ運転中において、加工前又は加工後に形成した転動面Tの微細な凹凸の凸部の減少が抑制され、トラクション特性が向上すると共に、良好なトラクション特性を長期にわたって維持し得るものとなる。
【0025】
さらに、当該製造方法では、押付け工具1による転動面Tの加工範囲をほぼ50度の範囲に限定しているため、図5に示すように、全面にわたって押付け力を与えた場合に比べて、加工後の転動面Tの変形量が小さく抑えられており、加工精度に優れるという利点がある。
【0026】
図5(a)は、転動面Tの全面にわたって押付け工具1による加工を行った場合の加工前と加工後の転動面Tの輪郭を示し、図5(b)は、上記実施例により転動面Tの所定範囲(50度の範囲)に押付け工具1による加工を行った場合の加工前と加工後の転動面Tの輪郭を示している。各図中の斜線部分は、加工前の輪郭に対して変形した量を示しており、0.1mmはスケールである。
【0027】
図5から明らかなように、転動面Tの全面を加工した場合には、その変形量が50μmを超えている。この場合、転動面Tの曲率を後加工によって調整する必要があるだけでなく、曲率調整には転動面Tの表面を50μm以上除去する必要があることから、硬化した部位が取り除かれて所望の硬度が所望の深さで得られなくなる。
【0028】
これに対して、加工範囲を限定した当該製造方法によれば、転動面Tの変形量が最小限であって形状精度が高いので、転動面Tを曲率調整する必要が殆ど無く、表層部に充分な硬度を確保したうえで、加工時間の短縮、生産性の向上及び低コスト化などをもたらすものとなる。
【0029】
また、当該製造方法によれば、特別な加工装置を用意しなくても、転動面に凹凸を形成する装置などの既存の装置を利用して、転動面に所望の硬度や残留応力を得ることができ、このような面においても、トラクション特性に優れたディスクを安価に提供することができる。
【0030】
さらに、当該製造方法では、ディスクDの転動面Tに対する押付け工具1の押付け力を2000N以下としたことにより、表層部に充分な硬度を確保しつつ転動面Tに球体(又はローラ)1Aを押付けたときの力を最小限に抑えて、加工装置上でディスクDを固定するチャッキング装置6等の手段のたわみを防止すると共に、加工装置をコンパクトに構成することができる。
【0031】
さらに、当該製造方法では、転動面Tに押付け工具1を押付ける際の押付け工具1と転動面Tとの平均接触圧力を2.5〜5.5GPaとしたことにより、ディスクDに付与される硬度の過剰な上昇を防止する。
【0032】
さらに、当該製造方法では、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で押付け工具1を転動面Tの円弧中心Otを基準にして回転運動させることにより、押付け工具1と転動面Tの接触点において、押付け力が法線方向で常に最大となり、押付け工具1にねじれの力が発生しないことから、押付け工具1のスリップなどが生じ難く、安定した加工が可能となる。
【0033】
さらに、当該製造方法では、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tに形成した凹凸が最大高低差となる部位に対して、押付け工具1を転動面Tと直交する角度で保持した状態にし、ディスクDと押付け工具1を相対的に移動させることにより、押付け工具1と転動面Tの接触点において、微細な凹凸の高低差が最大となる部位で押付け力が最大となり、他の部位はこれよりも小さくなることから、硬度や残留応力の分布状態を変化させることができる。
【0034】
さらに、当該製造方法では、押付け工具1における球体(又はローラ)1Aの直径を6mm以下とし、押付け工具1とディスクDとの接触点における転動面Tの回転方向の周速度を100〜350m/minとし、ディスクDの回転軸Cに沿った中心断面上で転動面Tの円弧に沿って移動する押付け工具1のピッチをディスクDの1回転あたり0.3mm以下としたことにより、転動面Tに密に押付け力を付与して加工を行うことができると共に、均質な硬化層を効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトラクションドライブ用ディスクの製造方法に適用可能な加工装置の一例を説明する平面断面図である。
【図2】押付け工具による加工範囲を説明する平面断面図である。
【図3】本発明の製造方法により製造した転動面の表層部の硬度分布を示すグラフである。
【図4】本発明の製造方法により製造した転動面の表層部の圧縮残留応力分布を示すグラフである。
【図5】転動面全面に押付け力を与えたときの加工前と加工後の変形量を示す説明図(a)及び転動面の加工範囲を50度に限定して押付け力を与えたときの加工前と加工後の変形量を示す説明図(b)である。
【図6】従来のディスクの製造工程を示すブロック図である。
【図7】従来の製造方法により製造された転動面の表層部の硬度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
D   ディスク
T   転動面
1   押付け工具
1A  球体

Claims (13)

  1. 入力ディスクと出力ディスクの間に回転伝達用のパワーローラを傾動可能に介装したトラクションドライブ式変速機のディスクであって、ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲において、転動面の最表面から深さ50〜100μmの範囲に硬度がHv750以上の部分が存在することを特徴とするトラクションドライブ用ディスク。
  2. 転動面に高低差3μm以下の凹凸が規則的に形成してあることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ用ディスク。
  3. 入力ディスクと出力ディスクの間に回転伝達用のパワーローラを傾動可能に介装したトラクションドライブ式変速機のディスクであって、ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲において、転動面の最表面から深さ50〜100μmの範囲に残留応力が圧縮残留応力値で700MPa以上の部分が存在することを特徴とするトラクションドライブ用ディスク。
  4. 転動面に高低差3μm以下の凹凸が規則的に形成してあることを特徴とする請求項3に記載のトラクションドライブ用ディスク。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクを製造するに際し、球体又は外周部をR成形したローラを回転自在に備えた押付け工具を用い、浸炭焼入れ焼戻ししたディスクの転動面に高低差3μm以下の規則的な凹凸を形成する前又は後に、回転軸を中心にしてディスクを回転させると共に、ディスクの転動面に押付け工具の球体又はローラを押付け、且つディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧に沿って押付け工具が移動するようにディスクと押付け工具を相対的に移動させることにより転動面の表層部を硬化することを特徴とするトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  6. 転動面に対する押付け工具の押付け力を2000N以下とすることを特徴とする請求項5に記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  7. 転動面に押付け工具を押付ける際の押付け工具と転動面との平均接触圧力を2.5〜5.5GPaとすることを特徴とする請求項5又は6に記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  8. 押付け工具による加工範囲が、ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±25度の範囲であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  9. 押付け工具による加工範囲が、ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧中心を基準にした場合に、変速比が1.2:1となる角度から±15度に加えて10度以内の範囲であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  10. 押付け工具による加工範囲が、転動面の凹凸を形成する範囲であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  11. ディスクの回転軸に沿った中心断面上で押付け工具を転動面の円弧中心を基準にして回転運動させることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  12. ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面に形成した凹凸が最大高低差となる部位に対して、押付け工具を転動面と直交する角度で保持した状態にし、ディスクと押付け工具を相対的に移動させることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
  13. 押付け工具の球体又はローラの直径を6mm以下とし、押付け工具とディスクとの接触点における転動面の回転方向の周速度を100〜350m/minとし、ディスクの回転軸に沿った中心断面上で転動面の円弧に沿って移動する押付け工具のピッチをディスクD回転あたり0.3mm以下とすることを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載のトラクションドライブ用ディスクの製造方法。
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