JP2002039198A - 軸受装置 - Google Patents

軸受装置

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JP2002039198A
JP2002039198A JP2000389831A JP2000389831A JP2002039198A JP 2002039198 A JP2002039198 A JP 2002039198A JP 2000389831 A JP2000389831 A JP 2000389831A JP 2000389831 A JP2000389831 A JP 2000389831A JP 2002039198 A JP2002039198 A JP 2002039198A
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JP
Japan
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lubricating oil
peripheral surface
inner ring
lips
pressure
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JP2000389831A
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Sadayuki Tanaka
貞幸 田中
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期使用においても密封性を良好に維持するこ
とが出来る密封装置を備えた軸受装置を提供する。 【解決手段】リップ32,33内の潤滑油の圧力が低い
場合には、潤滑油の洩れはほとんどないか、あっても少
ないので、リップ32,33と間座18とを離隔した状
態に維持することにより、リップ32,33の摩耗や発
熱損傷を防止することが出来る。一方、リップ32,3
3内の潤滑油の圧力が高い場合には、リップ32,33
と間座18とを接触した状態に変形させることにより、
潤滑油の洩れを防止することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば鉄鋼設備や
圧延機等に用いられるロールネック軸受などの軸受装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延機や冷間圧延機のワークロー
ル、中間ロールに使用されるロールネック軸受として
は、大荷重を支持することができる複列や4列円錐ころ
軸受が用いられるのが一般的である。
【0003】ところで、圧延機のワークロールや中間ロ
ールなどは、製品板圧延によってロール胴部が摩耗する
と、リグラインドのため、支持している軸受はおおよそ
数時間〜数十時間周期で引き抜かれる。かかる引き抜き
を容易に行えるように、ロールネック軸を支持する軸受
の内輪とロールネック軸との嵌め合いを比較的緩く、す
なわちルーズフィットとしている。
【0004】ところが、軸受の内輪とロールネック軸と
の嵌め合いをルーズフィットとすると、動作時に内輪内
周面とロールネック軸との間で相対滑りが生ずるため、
クリープや摩耗、カジリなどの損傷が生ずる恐れがあ
る。そこで、内輪内周面とロールネック軸との間で相対
滑りが生じても、損傷が生じないように、外部から軸受
の内輪内周面にグリースなどの潤滑油を供給している。
かかる潤滑油は、ころ列の間において内輪内周面から外
輪外周面に半径方向に貫通する供給路を介して行われ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、供給路内に
送出される潤滑油は、内輪内周面とロールネック軸との
間に供給されるべきものであるので、これがころの間を
通って軸受の外部へと洩れ出さないように、供給路に
は、回転する内輪外周面に接触するオイルシール(以
下、中間シールともいう)が設けられている。しかる
に、かかるオイルシールは、内輪に対して常に接触した
状態に維持されるため、摩擦による発熱損傷や、長期間
の使用による摩耗などの問題がある。
【0006】近年においては、圧延機のロールなどを研
磨する際に、軸受をロールから分解せず、すなわちロー
ルから軸受を引き抜くことなく、ロールの研磨修正を行
うオンライングラインダー装置を備えた設備が多くな
り、それにより軸受の使用時間も長期化する傾向にあ
る。従って、オイルシールが損傷・摩耗した場合でも、
かかるオイルシールを交換をするためだけに圧延機を止
めることは、生産性の低下を招く。一方、損傷・摩耗し
たオイルシールでは、安定した潤滑油の供給を行うこと
が困難である。
【0007】更に、シールが損傷すると、グリースなど
の粘度の高い潤滑油は、流動性が悪いため、ある程度の
圧力を付与した状態で供給路内を圧送されることがある
が、かかる圧力にオイルシールが負けて、潤滑油がころ
側に洩れ出す恐れがある。特に、50〜100Mpa近
い圧力を潤滑油供給装置から与えて圧送する場合には、
オイルシールは圧力に耐える剛性の高いものを備える必
要がある。そのため、従来技術においては、剛性の高い
オイルシールを採用する必要性から設計断面を大きくし
た耐圧型シールが採用されることもある。
【0008】ところが、近年においては、圧延機に使用
されるワークロール軸受、中間ロール用軸受などは設備
のコンパクト化が進み、かつ使用条件は過酷になる一途
であり、軸受はそのような中で最大限の耐久性・寿命向
上を得るために高負荷容量設計が図られるようになって
きた。それに伴い特開平11−257361号公報に示
すような幅狭のシールが採用されるようになっている。
これに対し、はめあい面に潤滑油を供給する経路に備わ
る中間シールは、上述した幅狭のシールでは圧力に対す
る剛性が不足し、変形などの問題を起こすため採用が出
来ない場合があるという問題が生じている。一方、シー
ル剛性が高い、断面の大きい耐圧型シールを配置するに
しても、従来構造の耐圧型シールではシールコストが大
きくなってしまうという問題も生じている。
【0009】また中間シールは、軸受の中央に配置され
るためリップの発熱に加え軸受の熱影響を受け易く、高
温となったことに起因するシールリップの硬化・摩耗に
よる消耗も著しく、メンテナンス時のシール補修費用も
大きいという問題もある。
【0010】更に、密封軸受内の温度変化に基づく内部
空気の膨張・収縮により空気の移動(呼吸)が、密封軸
受の圧延水の侵入原因のひとつとされており、かかる呼
吸による水分の吸い込みの対策については、特開200
0−104747号公報に示すように、直接圧延水にさ
らされない軸受の中央側内径面からこの軸受内部と外部
を呼吸させる構造が有効である。しかるに、はめあい面
に潤滑油を供給するため軸受中央部にオイルシール空間
を備えたそのような従来の軸受構造では、給脂時は、潤
滑油圧力を中間シール空間に高め、確実にはめあい面に
圧送する必要があることから、かかる公報に記載された
ごとき呼吸構造を採用しがたいといった問題がある。
【0011】本発明は、かかる問題点に鑑み、長期使用
においても密封性を良好に維持することが出来る密封装
置を備えた軸受装置を提供することを目的とする。
【0012】又、本発明は、はめあい面にグリースなど
の潤滑油を供給するための経路を備えた密封軸受構造に
おいて、軸受装置の耐久性を最大限に向上させるため両
端のオイルシールは幅狭のシールを採用して高負荷容量
設計を図り、中間シールも幅狭の非耐圧シールを採用し
つつ、圧力作用に耐え得る構造を実現することができる
軸受装置を提供することを目的とする。
【0013】さらに本発明は、軸受内部への水侵入を抑
制するため、中間シール側から外部との呼吸可能とする
機構を設けた軸受装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明による軸受装置は、内輪と、外輪と、前記内
輪と前記外輪との間に、回転自在に配置された転動体
と、前記内輪の内周面側に潤滑油を供給する供給路に配
置された密封装置と、を有し、前記密封装置は、前記供
給路内の潤滑油の圧力上昇に応じて、前記内輪の外周面
に接触しない非接触状態から、前記外周面に密封可能に
接触する接触状態になるように、少なくとも一部が変形
するリップを有するものである。
【0015】本発明の軸受装置は、内輪と、外輪と、前
記内輪と前記外輪との間に、回転自在に配置された転動
体と、前記内輪の内周面側に潤滑油を供給する供給路に
配置された密封装置と、を有し、前記密封装置は、前記
供給路内の潤滑油の圧力上昇に応じて、前記内輪の外周
面に接触しない非接触状態から、前記外周面に密封可能
に接触する接触状態になるように、少なくとも一部が変
形するリップを有するので、前記供給路内の潤滑油の圧
力が低い場合には、潤滑油の洩れはほとんどないか、あ
っても少ないので、前記リップを非接触状態として前記
内輪の外周面と離隔した状態に維持することにより、前
記リップの摩耗や発熱損傷を防止することが出来る。一
方、前記供給路内の潤滑油の圧力が高まった場合には、
前記リップの少なくとも一部を接触状態になるように変
形させ、前記内輪と密封可能に接触させることにより、
潤滑油の洩れを防止することが出来る。
【0016】更に、前記リップの所定量以上の変形を制
限する制限部材を有すれば、前記供給路内の潤滑油の圧
力が極度に高くなっても、前記リップの変形を制限し
て、その損傷を抑制することが出来る。
【0017】又、前記リップが、前記内輪の外周面に接
触しない非接触状態にあるときに、前記軸受装置の内部
が前記内輪内径面を介して外気に対して連通するように
なっているので、非接触状態時に外部に対して軸受装置
の呼吸を可能とすることで、軸受内部への水分侵入を抑
制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について詳細に説明する。図1は、第1の実施
の形態にかかる軸受装置を用いて支持する圧延機のロー
ルネック軸端部周辺を示す断面図である。図1におい
て、4列円錐ころ軸受10は、圧延機のロールネック1
を支持する一対の内輪12と、ハウジング2に取り付け
られた外輪13と、内輪12と外輪13との間にそれぞ
れ複数個配置された4列の転動体である円錐ころ14
と、円錐ころ14を保持する保持器15とからなる。軸
受10の両側には、オイルシール装置20が配置されて
いる。
【0019】両内輪12の間には、貫通孔18aが形成
された間座18が配置されている。ハウジング2に形成
された貫通孔2aと、外輪13に形成された貫通孔13
aとを貫くようにして、内孔16a(図2)を有する中
間シールホルダ16が設けられている。中間シールホル
ダ16の外方端は、潤滑油の供給源Pに接続され、中間
シールホルダ16の内方端には、密封装置30が取り付
けられている。尚、軸受10と密封装置30とで軸受装
置を構成する。
【0020】図2は、図1のII部を拡大して示す図であ
る。図2において、中間シールホルダ16の内方端に
は、円管状の取り付け部16bが形成され、その内周面
には、バックアップリング31が取り付けられている。
バックアップリング31は、取り付け部16bに固定さ
れた周壁31aと、その軸線方向両端面から内方に延在
するフランジ部31b、31cとを有している。フラン
ジ部31b、31cの内方縁には、断面が三角形状のバ
ックアップ部31d、31eが互いに対向するように形
成されている。尚、周壁31aには、中間シールホルダ
16の内孔16aに対向して開口31fが形成されてい
る。
【0021】バックアップリング31の内面にはリップ
32、33が取り付けられている。ゴム製(ニトリル、
アクリル、フッ素系)のリップ32、33は、対向し合
う略コ字状の断面を有し、上壁32a、33aと、側壁
32b、33bは、バックアップリング31の周壁31
aと、フランジ部31b、31cにそれぞれ接着されて
いる。一方、リップ32,33の下壁32c、33c
は、バックアップ部31d、31eに対して接着されて
おらず、自由状態では内部弾性力に基づいて、バックア
ップ部31d、31e及び間座18の外周面から離隔し
た状態(非接触状態)に維持されている。
【0022】次に、本実施の形態の動作について説明す
ると、図1において、圧延機のロールネック軸1が回転
すると、内輪12と外輪13との間を円錐ころ14が転
動し、それによりハウジング2に対してロールネック軸
1を回転自在に支持することができる。
【0023】ここで、軸受10の内輪12とロールネッ
ク軸1との嵌め合いはルーズフィットであるので、内輪
12の内周面とロールネック軸1との間で相対滑りによ
るクリープが生じ、クリープによる摩耗、カジリなどの
損傷が生ずる恐れがある。そこで、内輪12の内周面と
ロールネック軸1との間で相対滑りが生じても、損傷が
生じないように、外部の潤滑油供給源Pから軸受10の
内輪12の内周面にグリースなどの潤滑油を供給してい
る。
【0024】かかる潤滑油は、中間シールホルダ16の
内孔16aを通過して、バックアップリング31の開口
31fを通過し、潤滑油の供給路の一部を構成するリッ
プ32,33の内側空間に至る。潤滑油は、潤滑油供給
源Pから圧送されるため、ある程度の圧力を有してお
り、図2の矢印で示すようにリップ32,33に対して
圧力を付与する。このとき、リップ32,33の下壁3
2c、33cは、潤滑油の圧力に抗しきれず、図2に示
す状態から下方へと押されて変形する。このとき、下壁
32c、33cの下端は、間座18の外周面に接した状
態(接触状態)に維持され、潤滑油がころ14側に洩れ
出ないように密封機能を発揮することとなる。尚、本実
施の形態では、間座18は内輪12の一部を構成するも
のとする。
【0025】下壁32c、33cの下端と間座18の外
周面との接触により、圧送される潤滑油の出口は、間座
18の貫通孔18aのみとなり、従って貫通孔18aを
通過した潤滑油が、内輪12の内周面とロールネック軸
1との間を潤滑することとなる。このとき、図2に示す
ように、ロールネック軸1の外周面にスパイラル溝1a
が形成されていれば、かかるスパイラル溝1aを介し
て、潤滑油がロールネック軸1の軸線方向にわたって、
その外周面に供給されることとなる。
【0026】尚、リップ32,33内の空間における潤
滑油の圧力が過大となった場合には、バックアップリン
グ31における、制限部材としてのバックアップ部31
d、31eが、リップ32,33の下壁32c、33c
の裏面に当接して、それ以上の変形を制限するので、下
壁32c、33cの過剰な変形を抑制できるようになっ
ている。
【0027】内輪12の内周面とロールネック軸1との
間のグリース供給は、例えば、10分程度供給したら、
5〜10時間はグリース供給停止状態を維持するといっ
たようなインターバルで行われ、このように給脂を繰り
返しながら運転される。グリース供給停止状態では、リ
ップ32,33の下壁32c、33cは、潤滑油が供給
されなくなるため、自身の弾性力に基づき図2に示す状
態へと復帰する。それにより、下壁32c、33cの下
端は、間座18の外周面から離隔するので、摩擦による
発熱や摩耗が生ずることがなく、また停止時間が供給時
間よりも占める比率が大きいため、その寿命を延長させ
ることが出来る。更に、密封装置30にかかるメンテナ
ンス費用を低く抑えることが出来る。
【0028】図3は、本発明の第2の実施の形態を示す
図2と同様な図である。図3に示す第2の実施の形態
が、図2の実施の形態と異なる点は、内輪112,外輪
113,転動体である円筒ころ114,保持器115か
らなる2列もしくは4列円筒ころ軸受に対して、密封装
置30を適用している点である。密封装置30自体は、
第1の実施の形態と同一の構成を有するため、説明を省
略する。
【0029】尚、本実施の形態においては、内輪112
間に間座を設けておらず、潤滑油供給時に、リップ3
2,33の下壁32c、33cは、内輪112の外周面
に接触するようになっている。すなわち、リップ32,
33の接触頻度が減少すれば、それに対向する部分の摩
耗量も減少するため交換の必要性が低下し、それ故内輪
112で間座の代用が出来るのである。潤滑油は、内輪
112の端面に形成された切り欠き112aを介して、
その内周面側へと侵入する。
【0030】図4は、本発明の第3の実施の形態を示す
図2と同様な図である。図4に示す第3の実施の形態
が、図2の実施の形態と主として異なる点は、密封装置
230の構成である。その他の点については、上述した
実施の形態と同様であるので、説明を省略する。ただ
し、本実施の形態においても、間座は設けられていな
い。
【0031】バックアップリング231は、中間シール
ホルダ16の取り付け部16bに固定された周壁231
aと、その軸線方向両端面から内方に延在するフランジ
部231b、231cとを有している。図2の実施の形
態と異なり、フランジ部231b、231cの内方縁に
は、断面が三角形状のバックアップ部は形成されていな
い。周壁231aには、中間シールホルダ16の内孔1
6aに対向して開口231fを形成している。
【0032】バックアップリング231の内面にはリッ
プ232、233が取り付けられている。ゴム製のリッ
プ232、233は、対向し合う逆L字状の断面を有
し、上壁232a、233aと、側壁232b、233
bは、バックアップリング231の周壁231aと、フ
ランジ部231b、231cにそれぞれ接着されてい
る。一方、フランジ部231b、231cの内方から突
出した位置において、側壁232b、233bの内方縁
には、可動壁232c、233cが形成されている。可
動壁232c、233cは、自由状態では内部弾性力に
基づいて、内輪212の段部212a、212bの放射
面から離隔した状態(非接触状態)に維持されている。
【0033】次に、本実施の形態の動作について説明す
ると、潤滑油供給源P(図1)から供給された潤滑油
は、中間シールホルダ16の内孔16aを通過して、バ
ックアップリング231の開口231fを通過し、潤滑
油供給路の一部を構成するリップ232,233の内側
空間に至る。潤滑油は、図4の矢印で示すようにリップ
232,233に対して軸線方向に圧力を付与する。こ
のとき、リップ232,233の可動壁232c、23
3cは、潤滑油の圧力に抗しきれず、図4に示す状態か
ら互いに離隔する方向に押される。このとき、可動壁2
32c、233cの下端は、内輪212の段部212
a、212bの放射状面に接した状態(接触状態)に維
持され、潤滑油がころ14側に洩れ出ないように密封機
能を発揮することとなる。
【0034】可動壁232c、233cの下端と段部2
12a、212bの放射状面との接触により、圧送され
る潤滑油は、内輪212の切り欠き212cを通過し
て、内輪12の内周面とロールネック軸1(図1)との
間を潤滑することとなる。
【0035】潤滑油供給源Pからの潤滑油の供給が停止
された状態では、リップ232,233の可動壁232
c、233cは、自身の弾性力に基づき図4に示す状態
へと復帰する。それにより、可動壁232c、233c
の下端は、段部212a、212bの放射状面から離隔
するので、摩擦による発熱や摩耗が生ずることがなく、
リップ232,233の寿命を大きく延長させることが
出来る。又、密封装置230にかかるメンテナンス費用
を低く抑えることが出来る。
【0036】図5は、第4の実施の形態にかかる軸受装
置の断面図である。図6、7は、図5の右方のリップ周
辺を拡大して示す図である。本実施の形態においては、
図1に示す実施の形態に対し、中間シールホルダ、リッ
プ及びその周辺の形状が主として異なるため、他の要素
については、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】図5において、中間シールホルダ416
は、軸線方向の両端に、半径方向内方に延在するフラン
ジ部416a、416bを形成している。フランジ部4
16a、416bの内縁から、互いに対向して延在する
制限部材としての突起部416c、416dが形成され
ている。フランジ部416aの内側(図5では右側)
に、断面が略L字状のバックアップリング431Aが取
り付けられ、バックアップリング431Aの内側(図5
で右側)に、リップ432が取り付けられている。一
方、フランジ部416bの内側(図5では左側)に、断
面が略L字状のバックアップリング431Bが取り付け
られ、バックアップリング431Bの内側(図5で左
側)に、リップ433が取り付けられている。リップ4
32,433は、上述した実施の形態のごとく、それぞ
れ下端に可動壁432a、433aを有している。
【0038】次に、本実施の形態の動作について、図5
〜7を参照して説明すると、潤滑油供給源P(図1)か
ら供給された潤滑油は、図5に示す中間シールホルダ4
16の内孔416eを通過して、リップ432、433
で囲われる空間にいたる。このとき、潤滑油は、図7の
矢印で示すようにリップ432,433に対して軸線方
向及び半径方向に圧力を付与する。すると、リップ43
2,433の可動壁432a、433aは、潤滑油の圧
力に抗しきれず、図6に示す状態から時計回りに枢動す
る方向に押されることとなる。それにより可動壁432
a、433aの下端は、図7に示すように、内輪12の
段部外周面に接した状態(接触状態)に維持され、潤滑
油がころ14(図5)側に洩れ出ないように密封機能を
発揮することとなる。
【0039】可動壁432a、433aの下端と内輪1
2の外周面との接触により、圧送される潤滑油は、内輪
12の間に配置された中間間座440の開口440a
(図5)を通過して、内輪12の内周面とロールネック
軸1(図1)との間を潤滑することとなる。
【0040】はめあい面の摩耗、かじり損傷を防止する
ためにグリースを定期的に供給しながら使用される本実
施の形態においては、グリースである潤滑油の供給は、
軸受装置が回転(運転)されている時間のうち、軸受サ
イズにもよるが数十cc〜数百cc程度がはめあい面に
到達した時点で給脂を停止するようにして間欠的に行わ
れる。この給脂時間は、5〜10時間程度の補給インタ
ーバルに対して数分〜十数分である。この潤滑油を供給
するわずかな時間に、リップ432,433で囲われる
空間に高い圧力(50〜100Mpa)が作用すること
となる。
【0041】本実施の形態によれば、そのような高い圧
力が作用した場合には、リップ432、433の可動壁
432a、433aが、所定量だけ変形したときに、片
方のみ図7に示すように、中間シールホルダ416のフ
ランジ416a、416bの突起416c、416dに
当接して背面から支持されるため、過度の変形が抑止さ
れることとなる。このように、比較的剛性が低いリップ
でも、大きな圧力を支持できることから、コストの比較
的高い断面の大きい耐圧シールを備える必要がなくな
り、小スペース化、シールの低コスト化を実現すること
が可能となる。
【0042】図5に示す本実施の形態を、従来技術のシ
ール構造を用いて構成した図11に示す比較例と比較し
た場合、リップ432,433の軸線方向長(幅)D2
を、比較例のリップ632,633の軸線方向長(幅)
D1より短縮できた結果、中間シールホルダ416の軸
線方向長A2は、比較例の中間シールホルダ616の軸
線方向長A1より短縮される。それにより、本実施の形
態の軸受装置の設計長(軸線方向長B2)は、比較例の
設計長(軸線方向長B1)より大きく確保できるように
なり、その差(B2−B1)分の寸法拡大効果は、軸受
装置の設計主要寸法により異なってくるため一概には定
まらないが、軸受の負荷容量設計値に置きかえて、約5
〜25%増加させることが可能となる。
【0043】またリップ432,433は、ゴム材質
(ニトリル、フッソ系ゴム、アクリル)などが用いられ
ると好ましく、心金を有した構造であってよいが、圧力
を利用して弾性変形を起こし、内輪12の外周面と接触
することが可能なものであれば特に限定されない。
【0044】また、上述したように潤滑油の圧力が、リ
ップ432,433で囲われる空間に作用する時間は、
運転時間のうち極わずかであり、大半の運転時間におい
てはリップ432,433は、内輸12の外周面に対し
て非接触の状態となっている。従って、リップ432、
433と、内輪12の外周面のすきまΔa(図6)か
ら、圧延水にさらされない内輸12の内径面側を経て外
部との呼吸が可能となっている。そのため、軸受空間内
の負圧発生が防止される。
【0045】よってリップ432,433が内輪12の
外周面と非接触状態に維持されている限り、軸受装置の
内部気圧は大気圧に等しく保持され、軸受装置内部の温
度変化に起因して呼吸時に引き起こされる負圧の発生を
抑制できる。それにより、軸受内部への水分の侵入を効
果的に抑制できる。
【0046】以上述べた本実施の形態においては、軸受
装置の両端に特開平11‐257361号公報に示すよ
うなシール構造21A、21B(図5)を配置しつつ、
リップ432,433は小断面、非耐圧のシールを採用
しながらも、圧力に耐える構造としたことから軸受装置
の設計スペースを大きく出来、高負荷容量設計が可能と
なる。また幅狭の非耐圧シールをリップ432,433
に採用することでシールコストを大幅に抑えることがで
きる。同時にグリースを供給する時以外は、リップ43
2,433側から軸受装置の外部との呼吸を可能とした
ことにより、水侵入を抑止することが可能となる。同時
にリップ432,433の可動壁432a、433aを
非接触としグリース供給時の圧力が作用したときのみ接
触するようにしたことから、シール発熱による熱損傷や
シールリップの摩耗進行は大幅に軽減される。よってユ
ーザーにおけるシール補修コストの低減、および最大限
の軸受耐久性を得ることが出来、ユーザーにおけるメン
テナンスコストを大幅に削減することが可能となる。
【0047】図8は、第5の実施の形態にかかる軸受装
置の断面図である。図9、10は、図8の右方のリップ
周辺を拡大して示す図である。本実施の形態において
は、図1に示す実施の形態に対し、リップの形状が主と
して異なるため、他の要素については、同一符号を付し
て説明を省略する。
【0048】本実施の形態においては、リップ532,
533に、より大きな潤滑油圧力に抗することで可動壁
532a、533aの変形を抑制する剛性リング532
b、533bを設けている点と、内輪12の内端同士を
突き合わせている点が異なっているのみであり、その他
の作用効果については、上述した実施の形態と同様であ
るので、説明を省略する。
【0049】以上、本発明を実施の形態を参照して説明
してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈さ
れるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることは
もちろんである。例えばリップの材質は、圧力に対して
程良く変形できるものであれば、上述した実施の形態以
外のものも適宜用いることが出来る。
【0050】
【発明の効果】本発明の軸受装置は、内輪と、外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に、回転自在に配置された転
動体と、前記内輪の内周面側に潤滑油を供給する供給路
に配置された密封装置と、を有し、前記密封装置は、前
記供給路内の潤滑油の圧力上昇に応じて、前記内輪の外
周面に接触しない非接触状態から、前記外周面に密封可
能に接触する接触状態になるように、少なくとも一部が
変形するリップを有するので、前記供給路内の潤滑油の
圧力が低い場合には、潤滑油の洩れはほとんどないか、
あっても少ないので、前記リップを非接触状態として前
記内輪の外周面と離隔した状態に維持することにより、
前記リップの摩耗や発熱損傷を防止することが出来る。
一方、前記供給路内の潤滑油の圧力が高まった場合に
は、前記リップの少なくとも一部を接触状態になるよう
に変形させ、前記内輪と密封可能に接触させることによ
り、潤滑油の洩れを防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる軸受装置を用いて支
持する圧延機のロールネック軸端部周辺を示す断面図で
ある。
【図2】図1のII部を拡大して示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す図2と同様な
図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す図2と同様な
図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態にかかる軸受装置の
断面図である。
【図6】図5の右方のリップ周辺を拡大して示す図であ
る。
【図7】図5の右方のリップ周辺を拡大して示す図であ
る。
【図8】本発明の第5の実施の形態にかかる軸受装置の
断面図である。
【図9】図8の右方のリップ周辺を拡大して示す図であ
る。
【図10】図8の右方のリップ周辺を拡大して示す図で
ある。
【図11】従来技術のシール構造を用いて構成した軸受
装置の断面図である。
【符号の説明】 1 軸 2 ハウジング 12、112,212 内輪 13、113 外輪 14 円錐ころ 114 円筒ころ 30、230 密封装置 31、231 バックアップリング 232,233、432,433,532,533 リ
ップ 432a,433a,532a,533a 可動壁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と、外輪と、 前記内輪と前記外輪との間に、回転自在に配置された転
    動体と、 前記内輪の内周面側に潤滑油を供給する供給路に配置さ
    れた密封装置と、を有し、 前記密封装置は、前記供給路内の潤滑油の圧力上昇に応
    じて、前記内輪の外周面に接触しない非接触状態から、
    前記外周面に密封可能に接触する接触状態になるよう
    に、少なくとも一部が変形するリップを有する軸受装
    置。
  2. 【請求項2】 前記リップの所定量以上の変形を制限す
    る制限部材を有する請求項1に記載の軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記リップが、前記内輪の外周面に接触
    しない非接触状態にあるときに、前記軸受装置の内部が
    前記内輪内径面を介して外気に対して連通するようにな
    っている請求項1又は2に記載の軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009068594A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Jtekt Corp 転がり軸受用密封装置および転がり軸受

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