JP2002039004A - 内燃機関のフェールセーフ装置 - Google Patents

内燃機関のフェールセーフ装置

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JP2002039004A
JP2002039004A JP2000225184A JP2000225184A JP2002039004A JP 2002039004 A JP2002039004 A JP 2002039004A JP 2000225184 A JP2000225184 A JP 2000225184A JP 2000225184 A JP2000225184 A JP 2000225184A JP 2002039004 A JP2002039004 A JP 2002039004A
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Japan
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operating state
internal combustion
combustion engine
fuel
reference operating
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JP2000225184A
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Inventor
Akira Kotani
彰 小谷
Yoshiyasu Ito
嘉康 伊藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】2つの演算装置や2つのプログラムを用いるこ
となくフェールセーフを実現する内燃機関のフェールセ
ーフ装置の提供。 【解決手段】最終基本噴射量QFINに異常に大きい値
が設定された場合、運転者の減速操作によりアクセル開
度ACCPFは「0」となり、XACOF=「ON」と
なる(S340にて「YES」)。したがってQFIN
は「車両走行時においてアクセルが全閉」との基準運転
状態に対応して予め設定したガード噴射量QGUARD
以下の正常供給範囲に制限される(S400,S41
0)。このことによりQFINが異常に大きくなったと
しても、正常な値に引き戻すことができ、以後、直ちに
正常な運転状態に戻ることができる。しかも、これらの
処理は、1つのプログラムを用いた1つのECUにて対
応できるのでディーゼルエンジンの製造コストを悪化さ
せることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料供給量を直接
あるいは間接に調量することによって内燃機関の出力ト
ルクを調整する車両用内燃機関のフェールセーフ装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関、例えば、自動車用ディーゼル
エンジンでは、機関制御の電子化が進み、マイクロコン
ピュータによる複雑な燃料噴射量制御が行われている。
しかし、制御中に発生したエラーやマイクロコンピュー
タに設定されたプログラムのバグあるいはデータの設定
誤差等により、誤動作のおそれが存在する。
【0003】例えば、通常運転時にアクセル操作量とは
異なる噴射量が供給された場合には車両速度が安定しな
くなり、所望の速度での安定走行するために、アクセル
操作量を頻繁に修正しなくてはならず、運転性が悪化す
るおそれがある。また、必要以上の燃料量が噴射される
とスモークの排出量が増加するなどのエミッション上の
問題を生じるおそれがある。
【0004】この場合、フェールセーフの観点より、同
じ系列のマイクロコンピュータを並列に設けておき、一
方が異常となったときでも、正常な他方を用いることで
制御に支障がないようにする手法が存在する。しかし、
同じ系列のマイクロコンピュータを使用しかつプログラ
ムを同じにするのでは、同じバグとデータ設定ミスが同
時に両方のマイクロコンピュータに発生してしまうおそ
れがある。
【0005】これを防止するために、構成の違うプログ
ラムを用いた2つ以上の独立したマイクロコンピュータ
で制御指令値を演算する手法が提案されている(特開平
9−88701号公報)。この技術では、両者の演算結
果を比較して適切なほうの値を選択して用いることによ
り、いずれかのマイクロコンピュータに与えるプログラ
ムにバグやデータ設定ミスが生じることがあっても、適
切な制御を可能とするとしているものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように2
つの独立したマイクロコンピュータを用いて、かつ異な
るプログラムにて実現するフェールセーフ装置では、装
置上のコストおよびプログラム開発上のコストが2倍と
なり、全体として、内燃機関の製造コストを悪化させて
しまうことになる。
【0007】本発明は、マイクロコンピュータ等の2つ
の演算装置を用いたり、演算結果の妥当性を比較するた
めの2つのプログラムを用いることなく、フェールセー
フを実現する内燃機関のフェールセーフ装置の提供を目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段およびその作用効果について記載する。請
求項1記載の内燃機関のフェールセーフ装置は、燃料供
給量を直接あるいは間接に調量することによって内燃機
関の出力トルクを調整する車両用内燃機関において、内
燃機関の運転状態が予め定めた基準運転状態であるか否
か判定する基準運転状態判定手段と、前記基準運転状態
判定手段にて内燃機関の運転状態が前記基準運転状態で
あると判定された場合には、燃料供給量を、前記基準運
転状態に対応して予め設定した燃料量の正常供給範囲に
制限する制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】マイクロコンピュータなどの演算装置にお
いて燃料供給量に異常な演算結果が得られていた場合に
は、車速に過不足を生じる。このため、運転者は所望の
車速となるように、内燃機関の出力トルクを適切な出力
トルクに調整しようとして、燃料供給量を直接あるいは
間接に調量する。
【0010】この調量により、内燃機関の運転状態が予
め定めた基準運転状態となると、制限手段は、燃料供給
量を、基準運転状態に対応して予め設定した燃料量の正
常供給範囲に制限する。
【0011】このことにより、燃料供給量が異常になっ
ていたとしても、正常な値に引き戻される。このため以
後、異常な値による影響を受けることなく、直ちに正常
な運転状態に戻ることができる。しかも、これらの処理
は、1つのプログラムを用いた1つの演算装置にて対応
することが可能であり、内燃機関の製造コストを悪化さ
せることがない。
【0012】なお、ここで、「燃料供給量を直接あるい
は間接に調量する」とは、燃料供給量を直接操作して調
量したり、あるいは内燃機関の吸入空気量や目標回転数
を操作することなどにより、吸入空気量や目標回転数な
どに対応して間接的に燃料供給量を調量することを意味
する。
【0013】請求項2の内燃機関のフェールセーフ装置
は、請求項1記載の構成において、前記燃料量の正常供
給範囲は、内燃機関の回転数に応じて設定されることを
特徴とする。
【0014】燃料量の正常供給範囲は、内燃機関の回転
数に応じて設定することにより、より適切な範囲に燃料
供給量を引き戻すことができ、より安定した運転状態を
継続できる。しかも、これらの処理が、1つのプログラ
ムを用いた1つの演算装置にて対応することが可能であ
り、内燃機関の製造コストを悪化させることがない。
【0015】請求項3の内燃機関のフェールセーフ装置
は、請求項1または2記載の構成において、前記基準運
転状態判定手段は、車両走行時においてアクセル操作量
が全閉とされた状態を基準運転状態として判定し、前記
制限手段は、前記基準運転状態判定手段にて内燃機関の
運転状態が前記基準運転状態であると判定された場合に
は、燃料供給量を、前記基準運転状態に対応して予め設
定した限界燃料量以下を正常供給範囲として制限するこ
とを特徴とする。
【0016】より具体的な構成として、基準運転状態判
定手段は、車両走行時においてアクセル操作量が全閉と
された状態を基準運転状態として判定するものとでき
る。燃料供給量が異常に大きくなって車速が増した場合
には、運転者は所望の車速となるように、内燃機関の出
力トルクを適切な出力トルクに調整しようとする。この
ため、運転者が燃料供給量を直接あるいは間接に下げる
ことでアクセル操作量が全閉となる場合が生じる。
【0017】この全閉操作により、車両走行時において
アクセル操作量が全閉とされた基準運転状態となると、
制限手段は、燃料供給量を、基準運転状態に対応して予
め設定した燃料量の正常供給範囲に制限する。すなわ
ち、燃料供給量を、予め設定した限界燃料量以下に制限
することになる。
【0018】このことにより、燃料供給量が異常に大き
くなったとしても、正常な値に引き戻され、以後、異常
な値による影響を受けることなく、直ちに正常な運転状
態に戻ることができる。
【0019】しかも、これらの処理が、1つのプログラ
ムを用いた1つの演算装置にて対応することが可能であ
り、内燃機関の製造コストを悪化させることがない。請
求項4の内燃機関のフェールセーフ装置は、請求項1ま
たは2記載の構成に加えて、内燃機関の燃料供給量の変
化時に急峻な変化を抑制する燃料供給量変化抑制手段を
備えるとともに、前記制限手段は、前記基準運転状態判
定手段にて内燃機関の運転状態が前記基準運転状態であ
ると判定された場合には、待機時間経過した後に、燃料
供給量を、前記基準運転状態に対応して予め設定した燃
料量の正常供給範囲に制限することを特徴とする。
【0020】急峻な燃料供給量変化により車両に生じる
加減速ショックを防止するために、内燃機関の燃料供給
量の変化時に急峻な変化を抑制する燃料供給量変化抑制
手段が備えられている場合がある。このような場合、基
準運転状態判定手段にて内燃機関の運転状態が基準運転
状態であると判定された際に、制限手段が直ちに燃料供
給量を基準運転状態に対応して予め設定した燃料量の正
常供給範囲に制限すると、正常時に加減速ショックを防
止できなくなるおそれがある。
【0021】このため、本請求項では、制限手段は、基
準運転状態判定手段にて内燃機関の運転状態が基準運転
状態であると判定された場合には、待機時間経過した後
に、燃料供給量を、基準運転状態に対応して予め設定し
た燃料量の正常供給範囲に制限することとしている。
【0022】このことにより、正常に燃料供給量が算出
されている際には燃料供給量変化抑制手段による加減速
ショック防止を阻害することがないが、燃料供給量が異
常になっていた場合に正常な値に引き戻すことができ
る。
【0023】しかも、これらの処理が、1つのプログラ
ムを用いた1つの演算装置にて対応することが可能であ
り、内燃機関の製造コストを悪化させることがない。請
求項5の内燃機関のフェールセーフ装置は、請求項4記
載の構成において、前記待機時間は、内燃機関の回転数
に応じて設定されることを特徴とする。
【0024】待機時間は、内燃機関の回転数に応じて設
定することにより、燃料供給量変化抑制手段による加減
速ショック防止処理を、より適切に考慮した対応ができ
る。しかも、これらの処理が、1つのプログラムを用い
た1つの演算装置にて対応することが可能であり、内燃
機関の製造コストを悪化させることがない。
【0025】請求項6の内燃機関のフェールセーフ装置
は、請求項1記載の構成において、前記基準運転状態判
定手段は、アイドル状態を基準運転状態として判定し、
前記制限手段は、前記基準運転状態判定手段にて内燃機
関の運転状態が前記基準運転状態であると判定された場
合には、内燃機関の目標回転数を前記基準運転状態に対
応して予め設定した限界目標回転数以下とすることによ
り、燃料供給量を正常供給範囲に制限することを特徴と
する。
【0026】基準運転状態判定手段が、アイドル状態を
基準運転状態として判定する場合、制限手段は、燃料供
給量を直接調量するのではなく、内燃機関の目標回転数
を基準運転状態に対応して予め設定した限界目標回転数
以下とすることにより、燃料供給量を正常供給範囲に制
限するようにしても良い。
【0027】このようにすることにより、燃料供給量が
異常になっていたとしても、目標回転数により制限され
ることにより、正常な運転状態に維持され、この間に正
常な燃料供給量に戻ることが可能となる。
【0028】しかも、これらの処理が、1つのプログラ
ムを用いた1つの演算装置にて対応することが可能であ
り、内燃機関の製造コストを悪化させることがない。
【0029】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は、実施の
形態1としての蓄圧式ディーゼルエンジン(コモンレー
ル型ディーゼルエンジン)1とその制御系統を示す概略
構成図である。本蓄圧式ディーゼルエンジン1は自動車
用として車両に搭載されている内燃機関である。
【0030】ディーゼルエンジン1には、複数の気筒
(本実施の形態では4気筒であるが、1気筒のみ図示し
ている)♯1,#2,#3,♯4が設けられており、各
気筒♯1〜♯4の燃焼室に対してインジェクタ2がそれ
ぞれ配設されている。インジェクタ2からディーゼルエ
ンジン1の各気筒♯1〜♯4への燃料噴射は、噴射制御
用の電磁弁3のオン・オフにより制御される。
【0031】インジェクタ2は、各気筒共通の蓄圧配管
としてのコモンレール4に接続されており、前記噴射制
御用の電磁弁3が開いている間、コモンレール4内の燃
料がインジェクタ2より各気筒♯1〜♯4に噴射される
ようになっている。前記コモンレール4には、連続的に
燃料噴射圧に相当する比較的高い圧力が蓄積されてい
る。この蓄圧を実現するために、コモンレール4は、供
給配管5を介してサプライポンプ6の吐出ポート6aに
接続されている。また、供給配管5の途中には、逆止弁
7が設けられている。この逆止弁7の存在により、サプ
ライポンプ6からコモンレール4への燃料の供給が許容
され、かつ、コモンレール4からサプライポンプ6への
燃料の逆流が規制されている。
【0032】サプライポンプ6は、吸入ポート6bを介
して燃料タンク8に接続されており、その途中にはフィ
ルタ9が設けられている。サプライポンプ6は、燃料タ
ンク8からフィルタ9を介して燃料を吸入する。また、
これとともに、サプライポンプ6は、ディーゼルエンジ
ン1の回転に同期する図示しないカムによってプランジ
ャを往復運動せしめて、燃料圧力を要求される所定圧に
まで高めて、高圧燃料をコモンレール4に供給してい
る。
【0033】さらに、サプライポンプ6の吐出ポート6
a近傍には、圧力制御弁10が設けられている。この圧
力制御弁10は、吐出ポート6aからコモンレール4の
方へ吐出される燃料圧力(ひいては吐出量)を制御する
ためのものである。この圧力制御弁10が開かれること
により、吐出ポート6aから吐出されない分の余剰燃料
が、サプライポンプ6に設けられたリターンポート6c
からリターン配管11を経て燃料タンク8へと戻される
ようになっている。
【0034】ディーゼルエンジン1の燃焼室には、吸気
通路13および排気通路14がそれぞれ接続されてい
る。吸気通路13には図示しないスロットルバルブが設
けられており、このスロットルバルブをディーゼルエン
ジン1の運転状態により開度調整することにより、燃焼
室内に導入される吸入空気の流量が調整されている。
【0035】また、ディーゼルエンジン1の燃焼室内に
は、グロープラグ16が配設されている。このグロープ
ラグ16は、ディーゼルエンジン1の始動直前にグロー
リレー16aに電流が流されることにより赤熱し、これ
に燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が
促進される始動補助装置である。
【0036】ディーゼルエンジン1には、以下の各種セ
ンサ等が設けられており、これらは、本実施の形態1に
おいて、ディーゼルエンジン1の運転状態を検出する。
すなわち、図1に示すように、アクセルペダル15の近
傍には、アクセル開度ACCPFを検出するためのアク
セルセンサ21が設けられ、更にアクセルセンサ21の
近傍には、アクセルペダル15の踏込量がゼロの場合に
全閉信号(オン)を出力する全閉スイッチ22が設けら
れている。
【0037】また、吸気通路13には、フィルタ17お
よびバキュームスイッチングバルブ(VSV)18を介
して、吸気圧センサ23が設けられている。この吸気圧
センサ23により、吸気通路13の内部における吸気の
圧力(吸気圧PM)が検出されている。
【0038】ディーゼルエンジン1のシリンダブロック
には、その冷却水の温度(冷却水温THW)を検出する
ための水温センサ24が設けられている。また、ディー
ゼルエンジン1には、同ディーゼルエンジン1を始動さ
せるためのスタータ19が設けられている。このスター
タ19には、その作動状態を検知するスタータスイッチ
25が設けられている。スタータスイッチ25は、ディ
ーゼルエンジン1の始動時において運転者により、イグ
ニッションスイッチ(図示略)オフ(OFF)位置の状
態からスタート位置まで操作され、スタータが作動して
いるとき(クランキング状態にあるとき)にスタータ信
号STAを「オン」として出力する。また、ディーゼル
エンジン1の始動が完了して(完爆状態となって)、イ
グニッションスイッチがスタート位置からオン(ON)
位置まで戻されると、スタータスイッチ25は、スター
タ信号STAを「オフ」とする。
【0039】また前記リターン配管11には、燃料温度
THFを検出するための燃温センサ26が設けられてい
る。また、前記コモンレール4には、コモンレール4内
の燃料の圧力(燃圧PC)を検出するために燃圧センサ
27が設けられている。
【0040】本実施の形態1においては、ディーゼルエ
ンジン1のクランクシャフト(図示略)に設けられたパ
ルサ(図示略)の近傍には、NEセンサ28が設けられ
ている。さらに、クランクシャフトの回転は、吸気弁3
1および排気弁32を開閉動作させるためのカムシャフ
ト(図示略)にタイミングベルト等を介して伝達され
る。このカムシャフトは、クランクシャフトの1/2回
転の回転速度で回転するよう設定されている。このカム
シャフトに設けられたパルサ(図示略)の近傍には、G
センサ29が設けられている。そして、本実施の形態1
では、これら両センサ28,29から出力されるパルス
信号により、エンジン回転数NE、クランク角CA、各
気筒♯1〜♯4の上死点(TDC)が算出されている。
【0041】トランスミッション34には、シフトポジ
ションセンサ36が設けられて、トランスミッション3
4のシフト状態を検出している。また、トランスミッシ
ョン34の出力軸側には、出力軸の回転数から車速SP
Dを検出する車速センサ38が設けられている。
【0042】本実施の形態1においては、ディーゼルエ
ンジン1の各種制御を司るための電子制御装置(EC
U)51が設けられており、このECU51により、燃
料噴射量制御等のディーゼルエンジン1を制御するため
の処理が行われる。
【0043】このECU51の電気的構成について、図
2のブロック図に従って説明する。ECU51は、中央
処理制御装置(CPU)52、各種プログラムやマップ
等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)53、CP
U52の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメ
モリ(RAM)54、演算結果や予め記憶されたデータ
等を保存するバックアップRAM55、タイマカウンタ
56等を備えているとともに、入力インターフェース5
7および出力インターフェース58等を備えている。ま
た、上記各部52〜56と入力インターフェース57お
よび出力インターフェース58とは、バス59によって
接続されている。
【0044】前述したアクセルセンサ21、吸気圧セン
サ23、水温センサ24、燃温センサ26、燃圧センサ
27等は、それぞれバッファ、マルチプレクサ、A/D
変換器(いずれも図示せず)を介して入力インターフェ
ース57に接続されている。
【0045】また、NEセンサ28、Gセンサ29、車
速センサ38は、波形整形回路(図示せず)を介して入
力インターフェース57に接続されている。さらに、全
閉スイッチ22、スタータスイッチ25、シフトポジシ
ョンセンサ36は入力インターフェース57に直接接続
されている。CPU52は、上記各センサ等21〜2
9,36、38の信号を入力インターフェース57を介
して読み込む。
【0046】また、電磁弁3、圧力制御弁10、グロー
リレー16aおよびVSV18は、それぞれ駆動回路
(図示せず)を介して出力インターフェース58に接続
されている。CPU52は、入力インターフェース57
を介して読み込んだ入力値に基づき制御演算を行い、出
力インターフェース58を介して前記電磁弁3、圧力制
御弁10、グローリレー16aおよびVSV18等を好
適に制御する。
【0047】次に、本実施の形態1において、ECU5
1により実行される制御のうち、燃料噴射量制御処理に
ついて説明する。図3〜図6は、ECU51により実行
される燃料噴射量制御処理を示すフローチャートであ
る。このルーチンは、180゜クランク角毎(爆発行程
毎)の割り込みで実行される。なお個々の処理内容に対
応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0048】燃料噴射量制御処理が開始されると、ま
ず、NEセンサ28の信号により検出されているエンジ
ン回転数NE、アクセルセンサ21の信号により検出さ
れているアクセル開度ACCPFおよびシフトポジショ
ンセンサ36の信号により検出されているシフトポジシ
ョンSFT、車速センサ38の信号により検出されてい
る車速SPD、水温センサ24の信号により検出されて
いる冷却水温THW等の制御に必要なデータがRAM5
4の作業領域に読み込まれる(S110)。
【0049】次に、エンジン回転数NEおよびアクセル
開度ACCPFに基づいて、図7(A)に示すエンジン
回転数NEおよびアクセル開度ACCPFをパラメータ
とするアイドル時ガバナ噴射量マップからアイドル時ガ
バナ噴射量QGOV1を算出する(S120)。このマ
ップは、予めアイドル時用に実験的に定められてROM
53に記憶されているものである。なお、このマップで
は、実際には離散的に数値が配置されているので、パラ
メータとして一致する値が存在しない場合には、補間計
算により求めることになる。このようなマップの設定お
よび補間による算出は、他のマップにおいても同様であ
る。
【0050】次に、エンジン回転数NEおよびアクセル
開度ACCPFに基づいて、図7(B)に示すエンジン
回転数NEおよびアクセル開度ACCPFをパラメータ
とする非アイドル時ガバナ噴射量マップから非アイドル
時ガバナ噴射量QGOV2を算出する(S130)。更
に非アイドル時ガバナ噴射量QGOV2に対する補助的
な特性を与える補助ガバナ噴射量QGOV3を、エンジ
ン回転数NEおよびアクセル開度ACCPFに基づい
て、図7(C)に示すエンジン回転数NEおよびアクセ
ル開度ACCPFをパラメータとする補助ガバナ噴射量
マップから算出する(S140)。
【0051】次に、アイドル時以外か否かが判定される
(S150)。例えば、暖機完了後において、車速SP
Dが3km/h未満であり、かつ全閉スイッチ22が
「ON」である場合には、アイドル時にあるものと判定
されるので、これ以外の状態がアイドル時以外として判
定される。アイドル時であれば(S150で「N
O」)、次に、次式1に示すごとく、アイドル時の目標
回転数NTRGと実際の回転数NEとの回転数偏差NE
DLが算出される(S160)。
【0052】
【数1】 NEDL ← NTRG − NE … [式1] なお、この目標回転数NTRGは、アイドル時のディー
ゼルエンジン1の負荷状態に応じて設定されている値で
ある。
【0053】次に、回転数偏差NEDLに応じた噴射量
補正値QIIDLを、回転数偏差NEDLをパラメータ
とするマップから求める(S170)。このマップの代
わりに、回転数偏差NEDLをパラメータとする関数か
ら噴射量補正値QIIDLを求めても良い。
【0054】次に、次式2のごとく、噴射量補正値QI
IDLの値に基づいて、アイドル噴射量補正値QIIを
算出する(S180)。
【0055】
【数2】 QII ← QII ± QIIDL … [式2] ここで、「± QIIDL」は、NTRG≧NEの場合
は「+ QIIDL」を意味し、NTRG<NEの場合
は「− QIIDL」を意味する。
【0056】ステップS180の次に次式3により、ガ
バナ噴射量QGOVが算出される(S190)。
【0057】
【数3】 QGOV ← QGOV1+QII+QIP … [式3] ここで、QIPはアイドル時にエアコンなどの負荷が生
じている場合のオフセット値である。
【0058】また、ステップS150にてアイドル時以
外(非アイドル時)であると判定された場合(S150
で「YES」)は、次式4によりガバナ噴射量QGOV
が算出される(S200)。
【0059】
【数4】 QGOV ← MAX(QGOV2,QGOV3)+QIPB … [式4] ここで、QIPBはアイドル時以外の場合にエアコンな
どの負荷が生じている場合のオフセット値である。ま
た、MAX()は、括弧内の値の内の最大値を抽出する
演算子である。
【0060】ステップS190またはS200の次に、
加速中か否かが判定される(S210)。この判定は、
例えば、ガバナ噴射量QGOVが、前回の制御周期にて
算出されている基本噴射量QBASEOLより大きくな
っているか否かにより判定される。
【0061】加速中でなければ(S210で「N
O」)、次に、減速中か否かが判定される(S22
0)。この判定は、例えば、ガバナ噴射量QGOVが、
前回の制御周期で算出されている基本噴射量QBASE
OLより小さくなっているか否かにより判定される。
【0062】減速中でなければ(S220で「N
O」)、次に基本噴射量QBASEとしてガバナ噴射量
QGOVの値が設定される(S230)。ステップS2
10にて加速中であると判定された場合(S210で
「YES」)には、噴射量増量値dQSMAが、シフト
ポジションSFTおよびエンジン回転数NEに基づい
て、シフトポジションSFTおよびエンジン回転数NE
をパラメータとするマップから算出される(S24
0)。
【0063】次に、次式5に示すごとく、加速時噴射量
QSMAを算出する(S250)。
【0064】
【数5】 QSMA ← QBASEOL + dQSMA … [式5] この噴射量増量値dQSMAは、燃料増量による加速時
に加速ショックを生じないレベルの燃料増量分である。
【0065】次に、次式6に示すごとく、ガバナ噴射量
QGOVと加速時噴射量QSMAとの小さい方が、基本
噴射量QBASEに設定される(S260)。
【0066】
【数6】 QBASE ← MIN(QGOV,QSMA) … [式6] ここで、MIN()は、括弧内の値の内の最小値を抽出
する演算子である。
【0067】一方、ステップS220にて減速中である
と判定された場合(S220で「YES」)には、噴射
量減量値dQSMDが、シフトポジションSFTおよび
エンジン回転数NEに基づいて、シフトポジションSF
Tおよびエンジン回転数NEをパラメータとするマップ
から算出される(S270)。
【0068】次に、次式7に示すごとく、減速時噴射量
QSMDを算出する(S280)。
【0069】
【数7】 QSMD ← QBASEOL − dQSMD … [式7] この噴射量減量値dQSMDは、燃料減量による減速時
に減速ショックを生じないレベルの燃料減量分である。
【0070】次に、次式8に示すごとく、ガバナ噴射量
QGOVと減速時噴射量QSMDとの大きい方が、基本
噴射量QBASEに設定される(S290)。
【0071】
【数8】 QBASE ← MAX(QGOV,QSMD) … [式8] 前記ステップS230、S260あるいはS290の次
には、始動時か否かが判定される(S300)。始動時
であれば(S300で「YES」)、エンジン回転数N
Eおよび冷却水温THWに基づいて、始動時噴射量QS
Tがエンジン回転数NEおよび冷却水温THWをパラメ
ータとするマップから算出される(S310)。始動時
でなければ(S300で「NO」)、始動時噴射量QS
Tには「0」が設定される(S320)。
【0072】ステップS310またはS320の次に
は、各種補正後噴射量QBASE2が次式9のごとく算
出される(S330)。
【0073】
【数9】 QBASE2 ← MIN(QFULL,MAX(QST,QBASE))+KQ … [式9] ここで、最大噴射量QFULLは、図7(A)あるいは
(B)に示したごとく、燃料噴射量の上限を示し、常に
これ以上の噴射量がなされないようにガードするための
値である。また、補正燃料量KQは、気筒間バランス、
ドライバビリティ、あるいは大気圧等による補正分を表
している。
【0074】次に、アクセル全閉判定フラグXACOF
が「ON」か否かが判定される(S340)。このアク
セル全閉判定フラグXACOFは、後述する図9のアク
セル全閉判定フラグXACOF設定処理により設定され
るフラグである。XACOF=「OFF」であれば(S
340で「NO」)、次に、最終基本噴射量QFINが
次式10のごとく算出される(S350)。
【0075】
【数10】 QFIN ← MIN(QFULL,QBASE2) … [式10] 次に、次式11に示すごとく、最終基本噴射量QFIN
からパイロット噴射量QPLが減算されて、メイン噴射
量QFPLが算出される(S360)。
【0076】
【数11】 QFPL ← QFIN − QPL … [式11] 次に、メイン噴射量QFPLの値に基づいて、マップあ
るいは関数fqによりメイン噴射期間TQFPLが算出
される(S370)。
【0077】更に、パイロット噴射量QPLの値に基づ
いて、マップあるいは関数fpによりパイロット噴射期
間TQPLが算出される(S380)。そして、前回の
制御周期で算出されている基本噴射量QBASEOL
に、今回の制御周期にて算出された基本噴射量QBAS
Eを設定する(S390)。こうして、燃料噴射量制御
処理を一旦終了する。
【0078】一方、ステップS340にて、XACOF
=「ON」であると判定される(S340で「YE
S」)と、次に、エンジン回転数NEに基づいて、図8
に示すエンジン回転数NEをパラメータとするマップか
らガード噴射量QGUARDを算出する(S400)。
このガード噴射量QGUARDは、走行時にアクセル開
度ACCPFを「0」(全閉スイッチ22=オン)とし
た場合において、ディーゼルエンジン1が安定な運転を
行うための燃料噴射量の上限を表している。
【0079】次に、最終基本噴射量QFINが次式12
のごとく算出される(S410)。
【0080】
【数12】 QFIN ← MIN(QGUARD,QBASE2) … [式12] 以下、前述したステップS360〜S390の処理が実
行されて、一旦本処理を終了する。
【0081】次に、図9のアクセル全閉判定フラグXA
COF設定処理について説明する。本処理は短時間周期
で繰り返し実行される処理である。本処理が開始される
と、まず、走行時においてアクセルペダル15を全閉状
態(アクセル開度ACCPF=0:全閉スイッチ22=
オン)に戻しているか否かが判定される(S510)。
【0082】走行時でない場合、あるいはアクセル開度
ACCPF>0(全閉スイッチ22=オフ)である場合
は(S510で「NO」)、カウンタCACOFの値を
クリアする(S520)。このカウンタCACOFは、
走行時においてアクセルペダル15が全閉状態となって
からの継続時間を測定するためのカウンタである。
【0083】そして、次にアクセル全閉判定フラグXA
COFに「OFF」を設定して(S530)、一旦本処
理を終了する。一方、走行時においてアクセル全閉状態
(アクセル開度ACCPF=0:全閉スイッチ22=オ
ン)になった場合には(S510で「YES」)、次
に、図10に示すエンジン回転数NEをパラメータとす
るマップから、現在のエンジン回転数NEに基づいて待
機時間Aを算出する(S540)。この待機時間Aは、
前述したごとく、加速時噴射量QSMAあるいは減速時
噴射量QSMDの設定がなされるような状況では、燃料
噴射量の急峻な変化を抑制しているため、正常に燃料噴
射量が計算されている際に、燃料噴射量の抑制が前述し
たステップS410の処理によって阻害されるのを防止
するために設けられている時間である。
【0084】次に、カウンタCACOFのカウントアッ
プが実行される(S550)。そして、カウンタCAC
OFの値が待機時間Aを越えたか否かが判定される(S
560)。CACOF≦Aである内は(S560で「N
O」)、アクセル全閉判定フラグXACOFに「OF
F」を設定して(S530)、一旦本処理を終了する。
この状態では、前述した燃料噴射量制御処理(図3〜図
6)のステップS340にては「NO」と判定される。
このことにより、ステップS350において、最大噴射
量QFULLにて一律にガードされた最終基本噴射量Q
FINが前記式10のごとく算出されることになる。
【0085】これ以後、走行時においてアクセル全閉で
ある状態(S510で「YES」)が継続して、カウン
タCACOFが次第に増加して、CACOF>Aとなる
と(S560「YES」)、燃料噴射量の抑制に対する
阻害は問題なくなるので、アクセル全閉判定フラグXA
COFに「ON」を設定して(S570)、一旦本処理
を終了する。
【0086】このことにより、前述した燃料噴射量制御
処理(図3〜図6)のステップS340にては「YE
S」と判定される。したがって、最大噴射量QFULL
にて一律にガードされるのではなく、ステップS40
0,S410において、図8で求めたガード噴射量QG
UARDにてガードされた最終基本噴射量QFINが前
記式12のごとく算出されることになる。
【0087】図11および図12のタイミングチャート
に、本実施の形態における制御の一例を示す。図11
は、時刻t1にてプログラムバグやエラー等の原因で、
最大噴射量QFULLよりは小さいが、アクセル開度A
CCPFに比較して最終基本噴射量QFINに異常に過
大な値が設定された状況を示している。
【0088】このような状況では、アクセルペダル15
の踏み込みを一定にしていてもディーゼルエンジン1の
出力トルクが増加し、車速SPDが増大する。このこと
から、運転者はアクセルペダル15を戻すように操作し
て(時刻t2)、最終的にアクセル開度ACCPF=0
(全閉スイッチ22=オン)、すなわち全閉までアクセ
ルペダル15を戻す(時刻t3)。このことにより最終
基本噴射量QFINは低下するが、異常に過大な値から
の低下であることにより、アクセル開度ACCPFの値
に比較して、過大な状態が継続している。この過大な状
態は、最大噴射量QFULLより小さいので、時刻t4
より前に通常行われるステップS350の処理では正常
な値に戻されることはない。
【0089】しかし、走行時にACCPF=0(全閉ス
イッチ22=オン)としたことにより(時刻t3:S5
10で「YES」)、待機時間Aを経過すると(時刻t
4:S560で「YES」)、XACOF=「ON」と
なる(S570)。このため、最終基本噴射量QFIN
にガード噴射量QGUARDが設定されることで、走行
時のアクセル全閉状態に適合した値まで、最終基本噴射
量QFINは引き下げられる(S400,S410)。
【0090】したがって、以後、車速SPDの低下に応
じて、運転者がアクセルペダル15を踏み込むことによ
り(時刻t5〜t6)、アクセル開度ACCPFを元に
戻せば、以後、正常な最終基本噴射量QFINの状態に
戻すことができる。
【0091】図12のタイミングチャートは、アクセル
開度ACCPFに対応して常に最終基本噴射量QFIN
が正常に計算されている状況を示している。このような
状況では、運転者がアクセルペダル15を操作して(時
刻t11)、最終的にアクセル開度ACCPF=0(全
閉スイッチ22=オン)、すなわちアクセル全閉までア
クセルペダル15を戻す(時刻t12)と、アクセルペ
ダル15の操作に対応して最終基本噴射量QFINも低
下する。
【0092】そして、走行時にACCPF=0(全閉ス
イッチ22=オン)としたことにより(時刻t12:S
510で「YES」)、待機時間Aを経過すると(時刻
t13:S560で「YES」)、XACOF=「O
N」となる(S570)。このため、ガード噴射量QG
UARDによるガード処理がなされる(S400,S4
10)。しかし、図示するごとく、正常に求められてい
る各種補正後噴射量QBASE2はガード噴射量QGU
ARD以下の値であることから、そのまま、最終基本噴
射量QFINにはディーゼルエンジン1の運転状態に適
合した各種補正後噴射量QBASE2が設定される。
【0093】したがって、これ以後も、運転者がアクセ
ルペダル15を踏み戻すことで(時刻t14〜t1
5)、アクセル開度ACCPFを元に戻すことにより、
正常な最終基本噴射量QFINの状態を継続することが
できる。
【0094】上述した実施の形態において、アクセル全
閉判定フラグXACOF設定処理(図9)のステップS
510が基準運転状態判定手段としての処理に、アクセ
ル全閉判定フラグXACOF設定処理(図9)のステッ
プS540〜S570および燃料噴射量制御処理(図
3)のステップS340,S400,S410が制限手
段としての処理に、燃料噴射量制御処理(図3)のステ
ップS240〜S290が燃料供給量変化抑制手段とし
ての処理に相当する。
【0095】以上説明した本実施の形態1によれば、以
下の効果が得られる。 (イ).ECU51において最終基本噴射量QFINに
異常に大きい演算結果が得られた場合には、アクセルペ
ダル15が一定でも車速SPDは過大となる。このた
め、運転者は所望の車速SPDとなるように、ディーゼ
ルエンジン1の出力トルクを適切な出力トルクに調整し
ようとして、アクセルペダル15を踏み戻す。この結
果、最終的には、アクセル開度ACCPFは「0」とな
り、全閉スイッチ22がオンとなる場合がある。
【0096】この場合には、本実施の形態1にて基準運
転状態として設定している「車両走行時においてアクセ
ルが全閉」との状況となる。したがって、ステップS4
00,S410が実行されることにより、最終基本噴射
量QFINは、「車両走行時においてアクセルが全閉」
との基準運転状態に対応して予め設定したガード噴射量
QGUARD以下の正常供給範囲に制限されることにな
る。
【0097】このように運転者がアクセルペダル15を
完全に戻すことにより、最終基本噴射量QFINが異常
に大きくなったとしても、正常な値に引き戻すことがで
きるようになり、以後、異常な値による影響を受けるこ
となく、直ちに正常な運転状態に戻ることができる。
【0098】しかも、これらの処理は、1つのプログラ
ムを用いた1つのECU51にて対応できるので、ディ
ーゼルエンジン1の製造コストを悪化させることがな
い。 (ロ).ガード噴射量QGUARDの値は、ディーゼル
エンジン1の回転数NEに応じて設定されている(S4
00:図8)。このことにより、より適切な範囲に最終
基本噴射量QFINを引き戻すことができ、より安定し
た運転状態を継続できる。
【0099】(ハ).ステップS240〜S290の処
理により、加減速ショックを防止するために、ディーゼ
ルエンジン1の基本噴射量QBASEの変化時に急峻な
変化を抑制している。
【0100】このため、ステップS510の「車両走行
時においてアクセルが全閉」との条件が成立した場合に
直ちに、ステップS410を実行すると、最終基本噴射
量QFINが正常に算出されている際には、最終基本噴
射量QFINの大きな変動を招いて加減速ショックを防
止できなくなるおそれがある。
【0101】しかし、本実施の形態1では、ステップS
510の条件が成立しても、待機時間Aの後に、ステッ
プS400,S410を実行している。このため、正常
時にはステップS240〜S290の処理による加減速
ショック防止を阻害することなく、最終基本噴射量QF
IN燃料供給量が異常になっていた場合において正常な
値に引き戻すことができるようになる。
【0102】(ニ).この待機時間Aは、ディーゼルエ
ンジン1の回転数NEに応じて設定されているので、ス
テップS240〜S290による加減速ショック防止処
理を、より適切に考慮した対応ができる。
【0103】[実施の形態2]本実施の形態2では、前
記実施の形態1の構成に加えて、更に、図13に示すア
イドル時目標回転数NTRG算出処理が実行されてい
る。このアイドル時目標回転数NTRG算出処理は短時
間周期で繰り返し実行される処理である。
【0104】アイドル時目標回転数NTRG算出処理に
ついて説明する。本処理が開始されると、まず、アイド
ルスピードコントロール(ISC)制御条件が成立して
いるか否かが判定される(S610)。例えば、車速S
PDが3km/h未満であり、かつアクセル開度ACC
PFが「0」(全閉スイッチ22=オン)である場合
に、ISC制御条件が成立したものとする。
【0105】ISC制御条件が成立していなければ(S
610で「NO」)、このまま、一旦本処理を終了す
る。ISC制御条件が成立していれば(S610で「Y
ES」)、次に、アイドルアップ制御条件が成立してい
るか否かを判定する(S620)。この判定は、ディー
ゼルエンジン1に対してアイドルアップが必要な負荷の
発生、例えば、冷間状態、エアコンのオン、その他の電
気負荷のオン等が発生しているか否かにより判定され
る。
【0106】アイドルアップが必要な負荷が発生してい
ないと判定されると(S620で「NO」)、変数NX
に、負荷が発生していない標準状態の目標回転数NTR
G1が設定される(S630)。
【0107】次に、このように設定された変数NXの値
が、通常時ガード回転数NTRGG1を越えているか否
かが判定される(S640)。この通常時ガード回転数
NTRGG1は、負荷がない場合に安定回転を実現でき
るアイドル時目標回転数の上限を表している。
【0108】ここで、NX≦NTRGG1であれば(S
640で「NO」)、変数NXには異常に高い値が設定
されていないことから、変数NXの値をそのままアイド
ル時目標回転数NTRGに設定する(S650)。
【0109】一方、NX>NTRGG1であれば(S6
40で「YES」)、プログラムバグやエラー等の何ら
かの原因で変数NXに設定された目標回転数NTRG1
の値が異常に大きい値に設定されていることから、変数
NXの値をそのままアイドル時目標回転数NTRGに設
定することはできない。このため、アイドル時目標回転
数NTRGには、通常時ガード回転数NTRGG1の値
を設定する(S660)。
【0110】ステップS650またはステップS660
にて、アイドル時目標回転数NTRGの設定が完了する
と、一旦、本処理を終了する。また、ステップS620
にて、アイドルアップが必要な負荷が発生していると判
定されると(S620で「YES」)、変数NXに、発
生している負荷に対応する目標回転数NTRG2が設定
される(S670)。
【0111】次に、このように設定された変数NXの値
が、アイドルアップ時ガード回転数NTRGG2を越え
ているか否かが判定される(S680)。このアイドル
アップ時ガード回転数NTRGG2は、負荷がある場合
に安定回転を実現できるアイドル時目標回転数の上限を
表している。なお、アイドルアップ時ガード回転数NT
RGG2の値は、負荷に関わらず一定でも良く、また負
荷に応じた設定としても良い。
【0112】ここで、NX≦NTRGG2であれば(S
680で「NO」)、変数NXには異常に高い値が設定
されていないことから、変数NXの値をそのままアイド
ル時目標回転数NTRGに設定する(S650)。
【0113】一方、NX>NTRGG2であれば(S6
80で「YES」)、プログラムバグやエラー等の何ら
かの原因で変数NXに設定された目標回転数NTRG2
の値が異常に大きい値に設定されていることから、変数
NXの値をそのままアイドル時目標回転数NTRGに設
定することはできない。このため、アイドル時目標回転
数NTRGには、アイドルアップ時ガード回転数NTR
GG2の値を設定する(S690)。
【0114】ステップS650またはステップS690
にて、アイドル時目標回転数NTRGの設定が完了する
と、一旦、本処理を終了する。このようにして、アイド
ル時目標回転数NTRGが異常に高い値にならないよう
にガードすることにより、燃料噴射量制御処理(図3)
のステップS160〜S190にて行われるアイドル時
でのガバナ噴射量QGOVの設定において、異常に大き
いガバナ噴射量QGOVが設定されることが防止され
る。
【0115】上述した実施の形態2の構成において、前
記実施の形態1の構成とは別個に、アイドル時目標回転
数NTRG算出処理(図13)のステップS610が基
準運転状態判定手段としての処理に、ステップS64
0,S660,S680,S690が制限手段としての
処理に相当する。
【0116】以上説明した本実施の形態2によれば、以
下の効果が得られる。 (イ).アイドル時目標回転数NTRG算出処理(図1
3)では、アイドル状態においては、ディーゼルエンジ
ン1の目標回転数NTRGを、アイドル時の運転状態に
対応して予め設定した限界目標回転数NTRGG1,N
TRGG2以下に制限することにより、ガバナ噴射量Q
GOVを正常供給範囲に制限するようにしている。
【0117】このようにすることにより、ガバナ噴射量
QGOVが異常になっていたとしても、目標回転数NT
RGにより制限されることにより、正常な運転状態に維
持され、この間に正常な燃料供給量に戻ることが可能と
なる。
【0118】(ロ).前記実施の形態1の(イ)〜
(ニ)の効果を生じる。 [その他の実施の形態] ・前記実施の形態2においては、前記実施の形態1の構
成による最終基本噴射量QFINをガードする処理も実
行したが、このようなガードを前記実施の形態2におい
て実行せずに、目標回転数NTRGのみガードすること
としても良い。すなわち、前記実施の形態2において、
燃料噴射量制御処理(図3)のステップS340,S4
00,S410およびアクセル全閉判定フラグXACO
F設定処理(図9)は実行せずに、ステップS350の
み行うこととしても良い。
【0119】・前記各実施の形態はディーゼルエンジン
を例に挙げたが、本発明はガソリンエンジンにも適用で
きる。 ・前記実施の形態1においては、「車両走行時において
アクセルが全閉」との条件を、燃料噴射量を正常に戻す
基準運転状態としたが、これ以外の運転状態を基準運転
状態としても良い。例えば、「車両走行時においてアク
セル開度ACCPFが「0」より大きい特定の値(例え
ば、アクセル開度10%)である状態」を基準運転状態
として、この状態に対応して安定したエンジン回転を実
現できる燃料噴射量範囲を正常供給範囲とする。そし
て、この範囲に最終基本噴射量QFINを制限するよう
に制御する。したがって、最終基本噴射量QFINが低
すぎる場合においても、運転者がアクセルペダル15に
対して加速操作をすることにより基準運転状態が一時的
に達成されれば、正常な最終基本噴射量QFINに戻す
ことができ、エンジンストールなどを防止することがで
きる。しかも、これらの処理は、1つのプログラムを用
いた1つの演算装置にて対応することが可能であり、内
燃機関の製造コストを悪化させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としての蓄圧式ディーゼルエンジ
ンおよびその制御系統の概略構成図。
【図2】実施の形態1のECUの電気的構成を表すブロ
ック図。
【図3】実施の形態1の燃料噴射量制御処理を表すフロ
ーチャート。
【図4】実施の形態1の燃料噴射量制御処理を表すフロ
ーチャート。
【図5】実施の形態1の燃料噴射量制御処理を表すフロ
ーチャート。
【図6】実施の形態1の燃料噴射量制御処理を表すフロ
ーチャート。
【図7】実施の形態1において用いられるエンジン回転
数NEおよびアクセル開度ACCPFをパラメータとす
るアイドル時ガバナ噴射量マップ、非アイドル時ガバナ
噴射量マップおよび補助ガバナ噴射量マップの構成説明
図。
【図8】実施の形態1において用いられるエンジン回転
数NEをパラメータとするガード噴射量QGUARDマ
ップの構成説明図。
【図9】実施の形態1のアクセル全閉判定フラグXAC
OF設定処理のフローチャート。
【図10】実施の形態1において用いられるエンジン回
転数NEをパラメータとする待機時間Aマップの構成説
明図。
【図11】実施の形態1の制御の一例を示すタイミング
チャート。
【図12】実施の形態1の制御の他の例を示すタイミン
グチャート。
【図13】実施の形態2の目標回転数NTRG算出処理
のフローチャート。
【符号の説明】
1…蓄圧式ディーゼルエンジン、2…インジェクタ、3
…電磁弁、4…コモンレール、5…供給配管、6…サプ
ライポンプ、6a…吐出ポート、6b…吸入ポート、6
c…リターンポート、7…逆止弁、8…燃料タンク、9
…フィルタ、10…圧力制御弁、11…リターン配管、
13…吸気通路、14…排気通路、15…アクセルペダ
ル、16…グロープラグ、16a…グローリレー、17
…フィルタ、18…VSV、19…スタータ、21…ア
クセルセンサ、22…全閉スイッチ、23…吸気圧セン
サ、24…水温センサ、25…スタータスイッチ、26
…燃温センサ、27…燃圧センサ、28…NEセンサ、
29…Gセンサ、31…吸気弁、32…排気弁、34…
トランスミッション、36…シフトポジションセンサ、
38…車速センサ、51…ECU、52… CPU、5
3…ROM、54…RAM、55…バックアップRA
M、56…タイマカウンタ、57…入力インターフェー
ス、58…出力インターフェース、59…バス。
フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 AA01 AA03 BA03 BA13 BA14 CA03 CA06 DA05 DA10 DA27 DA28 DA29 DA31 EB08 EB12 EB16 EB22 EC03 FA05 FA07 FA10 FA11 FA20 FA33 FA36 FA38 FA39 3G301 HA02 HA04 HA06 JA03 JA24 JB07 JB08 KA07 KA08 KA16 LB11 LC01 MA11 MA28 NA06 NA07 NC02 ND02 ND05 NE06 NE19 NE20 PA07Z PA11Z PA14Z PB01Z PB03A PB08Z PE01A PE01Z PE03Z PE04Z PE08Z PF01Z PF03Z PF07Z PF16Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料供給量を直接あるいは間接に調量する
    ことによって内燃機関の出力トルクを調整する車両用内
    燃機関において、 内燃機関の運転状態が予め定めた基準運転状態であるか
    否か判定する基準運転状態判定手段と、 前記基準運転状態判定手段にて内燃機関の運転状態が前
    記基準運転状態であると判定された場合には、燃料供給
    量を、前記基準運転状態に対応して予め設定した燃料量
    の正常供給範囲に制限する制限手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関のフェールセーフ装
    置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の構成において、前記燃料量
    の正常供給範囲は、内燃機関の回転数に応じて設定され
    ることを特徴とする内燃機関のフェールセーフ装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の構成において、 前記基準運転状態判定手段は、車両走行時においてアク
    セル操作量が全閉とされた状態を基準運転状態として判
    定し、 前記制限手段は、前記基準運転状態判定手段にて内燃機
    関の運転状態が前記基準運転状態であると判定された場
    合には、燃料供給量を、前記基準運転状態に対応して予
    め設定した限界燃料量以下を正常供給範囲として制限す
    ることを特徴とする内燃機関のフェールセーフ装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の構成に加えて、内
    燃機関の燃料供給量の変化時に急峻な変化を抑制する燃
    料供給量変化抑制手段を備えるとともに、 前記制限手段は、前記基準運転状態判定手段にて内燃機
    関の運転状態が前記基準運転状態であると判定された場
    合には、待機時間経過した後に、燃料供給量を、前記基
    準運転状態に対応して予め設定した燃料量の正常供給範
    囲に制限することを特徴とする内燃機関のフェールセー
    フ装置。
  5. 【請求項5】請求項4記載の構成において、前記待機時
    間は、内燃機関の回転数に応じて設定されることを特徴
    とする内燃機関のフェールセーフ装置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の構成において、 前記基準運転状態判定手段は、アイドル状態を基準運転
    状態として判定し、 前記制限手段は、前記基準運転状態判定手段にて内燃機
    関の運転状態が前記基準運転状態であると判定された場
    合には、内燃機関の目標回転数を前記基準運転状態に対
    応して予め設定した限界目標回転数以下とすることによ
    り、燃料供給量を正常供給範囲に制限することを特徴と
    する内燃機関のフェールセーフ装置。
JP2000225184A 2000-07-26 2000-07-26 内燃機関のフェールセーフ装置 Pending JP2002039004A (ja)

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