JP2002038180A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JP2002038180A
JP2002038180A JP2000223355A JP2000223355A JP2002038180A JP 2002038180 A JP2002038180 A JP 2002038180A JP 2000223355 A JP2000223355 A JP 2000223355A JP 2000223355 A JP2000223355 A JP 2000223355A JP 2002038180 A JP2002038180 A JP 2002038180A
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friction
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Toshiyuki Wada
寿之 和田
Yasuhiro Moriya
康博 森屋
Naozumi Arimoto
直純 有本
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】初期シャダー防止性に優れ、シャダー防止性の
点で長寿命であり、併せて初期金属間摩擦係数が高く、
金属間摩擦特性の耐久性に優れた、自動車用自動変速機
や建設機械・農業機械、二輪車等の湿式クラッチ用、特
にスリップ制御機構を備えたロックアップクラッチ、及
び/又は無段変速機に兼用して使用可能な潤滑油組成物
を提供すること。 【解決手段】鉱油、合成油又はこれらの混合油を基油と
し、特定量以下のアルカリ土類金属フェネートと炭素数
5〜36の炭化水素基を有するコハク酸イミドを含有さ
せてなり、かつ、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有し
ない潤滑油組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油組成物に関
し、詳しくは自動車用自動変速機や、建設機械・農業機
械、二輪車等の湿式クラッチに使用される潤滑油組成物
に関し、さらに詳しくは、スリップ制御機構を備えたロ
ックアップクラッチ、及び/又は無段変速機に兼用して
使用可能な潤滑油組成物であり、初期シャダー防止性に
優れ、シャダー防止性の点で長寿命であり、併せて初期
金属間摩擦係数が高く、金属間摩擦特性の耐久性に優れ
た潤滑油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の省燃費性能向上のため、自動車用
自動変速機や、建設機械、農業機械、二輪車等の湿式ク
ラッチ用には動力伝達効率の向上や小型軽量化が求めら
れており、これらに使用される潤滑油には、湿式クラッ
チの摩擦特性の向上や、小型軽量化に伴う熱負荷の増大
への対応が求められている。これらの潤滑油の規格とし
ては、GM社のDEXRON規格やFORD社のMER
CON規格、日本のJASO規格(M349−98)が
あり、これらに適合する潤滑油としては、一般に、基油
(鉱油、合成油)に各種添加剤(酸化防止剤、清浄分散
剤、摩耗防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、摩擦調整
剤、消泡剤、着色剤、シール膨張剤、粘度指数向上剤)
が配合されてなり、特に、熱酸化安定性や摩耗防止性を
向上させる目的でジアルキルジチオリン酸亜鉛等の亜鉛
系の酸化防止剤兼摩耗防止剤やリン酸エステル、亜リン
酸エステル等のリン系の極圧添加剤兼摩耗防止剤が用い
られている。
【0003】自動車用自動変速機には一般にロックアッ
プクラッチと変速クラッチが併用されているが、ロック
アップクラッチ機構はトルクコンバーターによる動力伝
達の際に、エンジン出力回転数とトランスミッション入
力回転数との間に生じる動力伝達ロスを低減するもので
ある。従来のロックアップクラッチは高滑り速度領域に
おいてのみ作動されるため、低滑り速度領域、すなわち
発進時及び低速走行時においては、動力伝達ロスが生
じ、燃料消費率が悪化するという問題があった。近年で
は省燃費向上技術の一つとして、より低滑り速度領域に
おいてもロックアップクラッチ機構を作動させるスリッ
プ制御機構を備えたロックアップクラッチが数多く導入
されている。しかしながら、スリップ制御ロックアップ
クラッチ機構を作動させた場合、シャダーと呼ばれる車
体振動が発生する問題があった。スリップ制御機構を備
えたロックアップクラッチに使用される潤滑油には、新
車時の初期シャダー防止性及びシャダー防止性の長寿命
化を両立することが要求される。滑り速度の増加に伴っ
て摩擦係数が低下するような潤滑油を使用した場合にシ
ャダーが発生しやすくなるため、シャダー防止性の長寿
命化をはかるためには、滑り速度の増加に伴って摩擦係
数が高くなる潤滑油性能が必要となる。しかしながらそ
の場合、初期より良好な摩擦特性を得ることは困難なた
め、新車時にシャダー(初期シャダー)が多く発生する
という問題が生じる。また、潤滑油に初期シャダー防止
性を付与する手法の一つとして、例えばカルシウムスル
フォネート等のなじみ性に優れた金属系清浄剤を過剰に
含有させる方法が有効であるとされているが、分解した
金属系清浄剤(例えばカルシウム等の金属塩)が湿式ク
ラッチ摩擦材の空隙に堆積して摩擦係数を低下させてし
まい、その結果としてシャダー防止寿命が短くなるとい
う問題があった。以上のように初期シャダー防止性とシ
ャダー防止性の長寿命化を両立した潤滑油はこれまでに
なく、また技術的に困難であったため、ロックアップク
ラッチを組立てる際に十分なすりあわせを施す等、装置
側の対応で初期シャダーが防止されてきた。
【0004】一方、最近では、エンジンの燃焼効率を最
大限に活用させることが可能なベルト式やトロイダル式
等の無段変速機も開発され、自動変速機においてはプラ
ネタリーギヤ式等の変速クラッチからこれらの無段変速
機におきかわる傾向にある。ベルト式無段変速機は、一
対のプーリー(入力側プーリーと出力側プーリー)にベ
ルトを巻きかけた構造となっており、ベルトとプーリー
間に発生する摩擦力により動力を伝達し、また油圧によ
り入力側プーリーと出力側プーリーのベルト巻きかけ径
を調節することにより、無段階に変速比を変化させるこ
とが可能な機構である。この機構の採用により、運転状
況に合わせた最適なエンジン回転数を維持できるため、
燃料消費率を最大限に向上することが可能である。しか
しながら、ベルト式無段変速機は、使用される潤滑油に
よって動力伝達性能が大きく左右され、例えば、ベルト
とプーリー間の摩擦係数が低いと、ベルトとプーリー間
でのスリップが発生し、動力伝達効率が低下して燃料消
費率は悪化してしまう。また初期に高い摩擦係数を有し
ていても、使用される間に摩擦係数が低下するような
(摩擦係数の耐久性が低い)潤滑油、例えば、ジアルキ
ルジチオリン酸亜鉛を含有させた従来のベルト式無段変
速機用潤滑油を用いると、新車時に良好な動力伝達効率
が達成できても、熱分解等によりジアルキルジチオリン
酸亜鉛が消耗しベルトとプーリー間の摩擦係数が著しく
低下してしまい、潤滑油の交換時期を短く設定しなくて
はならなかった。
【0005】また、自動変速機の更なる燃費向上を達成
させるため、スリップ制御機構を備えたトルクコンバー
ターロックアップクラッチにベルト式無段変速機を組み
合わせて使用される傾向があるが、ジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛は湿式クラッチ摩擦材の空隙に堆積して摩擦係
数を低下させ、動力伝達効率が低下してしまうという問
題がある。すなわち、従来の、ジアルキルジチオリン酸
亜鉛を含有するベルト式無段変速機用潤滑油を湿式クラ
ッチに兼用して使用することは問題があり、自動変速機
や建設機械・農業機械、二輪車等とベルト式無段変速機
との兼用油、特にスリップ制御機構を備えたロックアッ
プクラッチにベルト式無段変速機を組み合わせた自動変
速機用の潤滑油を開発することが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
のような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、
自動変速機や建設機械・農業機械、二輪車等の湿式クラ
ッチと無段変速機とに兼用することができる潤滑油組成
物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、鉱油、合成油又は
これらの混合油を基油とし、特定量以下のアルカリ土類
金属フェネートと炭素数5〜36の炭化水素基を有する
コハク酸イミドとを含有させてなり、かつ、ジアルキル
ジチオリン酸亜鉛を含有させないことにより、初期シャ
ダー防止性に優れ、シャダー防止性において長寿命であ
り、併せて初期金属間摩擦係数が高く、金属間摩擦係数
の耐久性に優れた潤滑油組成物を得ることができること
を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明の潤滑油組成物は、鉱油、合成油又はこれらの混合油
を基油とし、(A)アルカリ土類金属フェネートを組成
物全量基準でアルカリ土類金属換算量において0.07
質量%以下、(B)炭素数5〜36の炭化水素基を有す
るコハク酸イミドをそれぞれ含有してなり、かつ、ジア
ルキルジチオリン酸亜鉛を含有しないものである。この
潤滑油組成物が自動変速機及び/又は湿式クラッチ用で
あることが好ましく。また、自動変速機がスリップ制御
機構を備えたロックアップクラッチを搭載していること
が好ましい。以上の潤滑油組成物が、無段変速機の潤滑
油として用いられることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容をさらに詳細
に説明する。本発明の潤滑油組成物における潤滑油基油
としては、通常の潤滑油の基油として用いられる任意の
鉱油、合成油又はこれらの混合油が使用できる。鉱油と
しては、特に制限はないが、具体的には例えば、原油を
常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤
脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろ
う、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を
適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等
の油やノルマルパラフィン等が使用できる。特に溶剤精
製や水素化精製等の処理を行った後にワックス分を除去
して低温流動性を改善したものが望ましい。また合成油
としては、特に制限はないが、具体的には例えば、ポリ
−α−オレフィン(1−オクテンオリゴマー、1−デセ
ンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)及
びその水素化物、イソブテンオリゴマー及びその水素化
物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフ
タレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ2
−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペー
ト、ジトリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセ
バケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプ
ロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴ
ネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエー
ト、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオ
キシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエー
テル、並びにポリフェニルエーテル等が使用できる。こ
れらの合成油は、添加剤の溶解性を考慮すると、単独で
使用するよりも、鉱油と混合するか、2種類以上の合成
油同士を混合して用いることが好ましい。なお、これら
潤滑油基油の動粘度は、特に限定されず任意であるが、
潤滑性や低温における流動性を考慮すると、100℃に
おける動粘度は、好ましくは2.5〜50.0mm2
s、より好ましくは2.5〜10.0mm2/sであ
る。
【0009】本発明の潤滑油組成物における(A)成分
のアルカリ土類金属フェネートは、特に限定されない
が、下記の一般式(1)〜(3)で表されるアルカリ土
類金属フェネートが好ましい。このアルカリ土類金属フ
ェネートとしては、具体的には例えば、アルキルフェノ
ール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェ
ノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩等が挙
げられる。ここでアルカリ土類金属としては、特に限定
されないが、マグネシウム、カルシウム等が挙げられ、
特にカルシウムが好ましい。
【化1】
【化2】
【化3】 一般式(1)〜(3)中、R1、R2、R3、R4、R5
びR6はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞ
れ炭素数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分
枝状のアルキル基を示し、M1、M2及びM3はマグネシ
ウム又はカルシウムを示し、xは1又は2の数を示す。
上式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6としては、具
体的には、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペン
タデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタ
デシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル
基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペン
タコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタ
コシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等が挙げら
れ、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。これらはまた
1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基で
もよい。上記アルカリ土類金属フェネートの全塩基価は
任意であるが、金属間摩擦特性の耐久性の点から、全塩
基価の上限値は、好ましくは450mgKOH/g、よ
り好ましくは400mgKOH/gであり、一方下限値
は、好ましくは30mgKOH/g、より好ましくは1
00mgKOH/g、特に好ましくは200mgKOH
/gである。なおここでいう全塩基価は、JIS K2
501(1992)の「石油製品及び潤滑油−中和価試
験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による
全塩基価を意味している。本発明の潤滑油組成物におけ
るアルカリ土類金属フェネートの配合量の上限値は、組
成物全量基準でアルカリ土類金属元素換算量において
0.07質量%、好ましくは0.06質量%、より好ま
しくは0.04質量%である。アルカリ土類金属フェネ
ートの配合量が、組成物全量基準でアルカリ土類金属元
素換算量において0.07質量%を越えると、分解によ
り生じる金属塩が自動変速機や建設機械・農業機械、二
輪車等の湿式クラッチ摩擦材の空隙に堆積し、摩擦係数
を低下させる恐れがあることや、シャダー防止寿命が短
くなること等により好ましくない。一方、アルカリ土類
金属フェネートの配合量の下限値は特に制限はないが、
好ましくは組成物全量基準でアルカリ土類金属元素換算
量において好ましくは0.001質量%、より好ましく
は0.008質量%である。該下限値が0.001質量
%未満の場合、初期シャダー防止性に劣ることがあるた
め好ましくない。
【0010】本発明の潤滑油組成物における(B)成分
のコハク酸イミドは、炭素数5〜36の炭化水素基を有
するものであれば、特に限定されないが、下記一般式
(4)又は(5)で表される炭素数5〜36、好ましく
は炭素数7〜31、より好ましくは炭素数12〜24の
炭化水素基を有するコハク酸イミドが好ましい。
【化4】
【化5】 一般式(4)及び(5)中、nは1〜6の数を示し、R
7、R8及びR9は、それぞれ個別に炭素数5〜36の直
鎖状又は分枝状のアルキル基若しくはアルケニル基等の
炭化水素基を示し、ここでいう炭素数5〜36のアルキ
ル基若しくはアルケニル基としては、具体的には、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、
イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル
基、テトラコシル基等のアルキル基(これらアルキル基
は直鎖状でも分枝状でも良い)や、ペンテニル基、ヘキ
セニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、
デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセ
ニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサ
デセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノ
ナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコ
セニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアル
ケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも
良く、また二重結合の位置も任意である)が例示でき
る。なお、これらの炭化水素基には炭素数5〜36の低
重合度ポリオレフィン誘導体、例えば、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレンオリゴマー、ポリブテン等か
ら誘導される分枝アルケニル基やそれらの水素化物であ
る分枝アルキル基も含まれる。上記コハク酸イミドが有
する炭化水素基の炭素数が5未満の場合、潤滑油基油に
対する溶解性が低下し、一方、炭化水素基の炭素数が3
6を越える場合、初期シャダー防止性が悪化すると共に
金属間摩擦係数が低下するためそれぞれ好ましくない。
また、一般式(4)及び(5)中のnは清浄分散性に優
れる点から2〜5であることが好ましい。上記コハク酸
イミドの製法は特に制限はないが、例えば、上記の炭素
数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を無水マレイ
ン酸に付加させて得られるアルキル又はアルケニルコハ
ク酸に、さらにジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレン
ヘキサミン等のポリアミンと反応させることにより得る
ことができる。また、さらに必要に応じてホウ酸、ホウ
酸塩あるいは有機酸等により変性させたものも好ましく
使用することができる。本発明の潤滑油組成物における
(B)成分のコハク酸イミド又はその誘導体の配合量
は、特に限定されないが、配合量の上限値は、組成物全
量基準で、好ましくは10質量%、より好ましくは6質
量%、特に好ましくは1質量%であり、一方、その下限
値は、組成物全量基準で、好ましくは0.01質量%、
より好ましくは0.02質量%、特の好ましくは0.0
5質量%である。(B)成分の配合量が10質量%を超
える場合、シール材等の適合性が問題となるだけでな
く、初期金属間摩擦係数が低下したり、シャダー防止寿
命が短くなる。一方その配合量が0.01質量%未満の
場合、初期シャダー防止性及びシャダー防止寿命に対す
る効果が小さくなるため、それぞれ好ましくない。
【0011】本発明の潤滑油組成物にはジアルキルジチ
オリン酸亜鉛が含まれないことも要件である。ジアルキ
ルジチオリン酸亜鉛は、酸化防止剤及び摩耗防止剤とし
て潤滑油組成物に広く使用されており、ベルト式無段変
速機用としても、酸化防止剤、摩耗防止剤としてだけで
なく、金属間摩擦係数を高くする効果があることが知ら
れているが、一旦熱分解されてしまうと摩擦係数は大幅
に低下し、本発明の効果を長期間持続させることが困難
となるためである。
【0012】本発明の潤滑油組成物には、各種潤滑油、
特に自動車用自動変速機油や建設機械・農業機械、二輪
車等の湿式クラッチ用潤滑油としての基本的な性能を維
持するため、あるいはさらにその性能を高めるために、
公知の潤滑油用添加剤を配合することができる。例え
ば、本発明の(A)成分以外の金属系清浄剤、(B)成
分以外の無灰系分散剤、極圧添加剤及び摩耗防止剤、摩
擦調整剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、錆止め剤、腐
食防止剤、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤、着色剤
等を単独で、あるいは数種類組み合わせた形で、本発明
の潤滑油組成物に添加することができる。
【0013】本発明の(A)成分以外の金属系清浄剤と
しては、例えば、アルカリ土類金属スルフォネート、ア
ルカリ土類金属サリシレート等が初期金属間摩擦係数を
下げない範囲で使用可能であり、アルカリ土類金属とし
てはマグネシウム、カルシウムが好ましく、カルシウム
が特に好ましい。また、全塩基価としてはそれぞれ0〜
500mgKOH/g、好ましくは0〜400mgKO
H/gのものを適宜選択し、必要に応じて混合使用する
ことができる。本発明の(B)成分以外の無灰分散剤と
しては、例えば、ベンジルアミン、アルキルポリアミ
ン、又はこれらのホウ素化合物や硫黄化合物による変性
品、アルケニルコハク酸エステル等が使用可能であり、
また、特に、一般式(4)のR7、一般式(5)におけ
るR8、R9がそれぞれ独立して数平均分子量900〜
3,500のアルキル基又はアルケニル基等の長鎖炭化
水素基、好ましくは数平均分子量900〜2,000の
ポリブテニル基を含有するモノタイプあるいはビスタイ
プのコハク酸イミド及び/又はこれらのホウ素化合物や
有機酸による変性化合物を併用して使用することが望ま
しい。ここでポリブテニル基とは、ブテン混合物あるい
は高純度イソブテンを塩化アルミニウム系あるいはフッ
化ホウ素系の触媒にて重合させて製造される。また、こ
れらの無灰分散剤は混合して使用することが可能であ
り、本発明の潤滑油組成物に清浄分散性を付与するため
に有用である。
【0014】極圧添加剤及び摩耗防止剤としては、例え
ば、硫黄系化合物やリン系化合物が使用できる。硫黄系
化合物としては、例えば、ジスルフィド類、硫化オレフ
ィン類、硫化油脂類、硫化エステル類が、またリン系化
合物としては、例えば、リン酸モノエステル類、リン酸
ジエステル類、リン酸トリエステル類、亜リン酸モノエ
ステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸トリエステ
ル類、及びこれらのエステル類とアミン類、アルカノー
ルアミン類との塩等が使用できる。摩擦調整剤として
は、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、脂肪族アミン、脂肪族アミン塩、脂肪族アミド、ジ
チオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン
等の有機モリブデン化合物等が使用可能である。粘度指
数向上剤としては分散型あるいは非分散型の粘度指数向
上剤等が挙げられ、例えば分散型あるいは非分散型のポ
リメタクリレート類(PMA)や、分散型あるいは非分
散型のエチレン−プロピレン共重合体(EPC)等のオ
レフィン共重合体、ポリイソブチレン(PIB)、ポリ
スチレン、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−ジエ
ステル共重合体(SDC)等、及びこれらの水素化物が
使用可能であり、本発明の潤滑油組成物においては、組
成物の100℃の動粘度が5〜10mm2/sとなるよ
う配合される。
【0015】酸化防止剤としては、フェノール系化合物
やアミン系化合物等、潤滑油に一般的に使用されている
ものであれば、いずれも使用可能であって、例えば、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
等のアルキルフェノール類、メチレン−4,4−ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノー
ル)等のビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルア
ミン等のナフチルアミン類、エステル基含有フェノール
類、ジアルキルジフェニルアミン類、フェノチアジン
類、(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)脂肪酸(プロピオン酸等)と1価又は多価ア
ルコール、例えばメタノール、オクタデカノール、1、
6ヘキサジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエ
リスリトール等とのエステル等が使用可能である。錆止
め剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、アルケニ
ルコハク酸エステル、多価アルコールエステル、石油ス
ルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート等が
使用できる。腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリ
アゾール系、チアゾール、チアジアゾール系、イミダゾ
ール系の化合物等が使用可能である。流動点降下剤とし
ては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタ
クリレート系のポリマー等が使用できる。消泡剤として
は、例えば、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロ
キサン、環状オルガノシロキサン等のシリコーン系化合
物が使用可能である。これらの添加剤の添加量は任意で
あるが、通常潤滑油組成物全量基準で、消泡剤の含有量
は0.0005〜0.01質量%、粘度指数向上剤の含
有量は0.01〜20質量%、腐食防止剤の含有量は
0.005〜0.2質量%、その他の添加剤の含有量
は、それぞれ0.005〜10質量%程度である。
【0016】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例及び比較例によ
ってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら
限定されるものではない。
【0017】表1の実施例1〜8に示すような組成を有
する本発明に係る潤滑油組成物を調製した。これらの組
成物について、以下に示す初期シャダー防止性、シャダ
ー防止寿命及び金属間摩擦特性について試験を行い、そ
の結果を表1に示し、組成物の性能を評価した。比較の
ため、表1の比較例1〜5に示すような組成を有する潤
滑油組成物を調製し、これらの組成物についても前記と
同様の試験及び評価を行った。
【0018】(初期シャダー防止性)低速滑り摩擦試験
機を用いて、以下の条件下にて滑り速度360mm/s
における摩擦係数(μ360)及び滑り速度720mm
/sにおける摩擦係数(μ720)を測定し、μ360
/μ720の比をもって初期シャダー防止性能の判断基
準とし、μ360/μ720の比が1未満であれば初期
シャダー防止性に優れる。なお、初期とは摩擦材と相手
スチール材の間で全くすりあわせを行っていない状態を
いう。 ・摩擦材:D−0512 ・油温:80℃ ・油量:100ml ・面圧:1MPa すりあわせ:なし
【0019】(シャダー防止寿命)初期シャダー防止性
と同一の装置、条件にて、連続滑りによる耐久試験を実
施し、μ360/μ720の比が1を超えるまでの時間
をシャダー防止寿命とし、この時間が長いほどシャダー
防止寿命に優れる。
【0020】(金属間摩擦特性)ブロック/リング滑り
摩擦試験機を用い、以下の条件下にて30分後の金属間
摩擦係数(初期摩擦係数)を測定した。初期摩擦係数が
大きいほど動力伝達能力に優れる。 ・油温:110℃ ・荷重:1000N ・滑り速度:0.1m/s また、予め前述の低速滑り摩擦試験機により72時間の
連続滑りによる耐久試験を実施した試料について同様に
金属間摩擦係数(耐久後摩擦係数)を測定し、耐久試験
後摩擦係数/初期摩擦係数の比をもって金属間摩擦係数
の耐久性の判断基準とした。耐久試験後摩擦係数/初期
摩擦係数の比が大きいほど金属間摩擦特性の耐久性に優
れる。
【0021】
【表1】
【0022】表1に示す結果から明らかな通り、本発明
に係る実施例1〜7の潤滑油組成物は、いずれも初期シ
ャダー防止性、シャダー防止寿命に優れ、初期金属間摩
擦係数が高く、摩擦特性の耐久性が良好であった。これ
に対して、(A)成分の代わりにアルカリ土類金属スル
フォネートを使用した場合(比較例1)には初期金属間
摩擦係数が低く動力伝達効率に劣り、(A)成分の配合
量が規定値を超える場合(比較例2)にはシャダー防止
寿命に劣る。(A)成分を含有しない場合(比較例3)
及び(B)成分の炭化水素基の炭素数が規定値を超える
場合(比較例4)には初期シャダー防止性に劣り、
(B)成分を含有しない場合(比較例5)には初期シャ
ダー防止性及びシャダー防止寿命に劣る。ジアルキルジ
チオリン酸亜鉛を配合した場合(比較例6)には金属間
摩擦特性の耐久性が劣る。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明の潤滑油組成物は、
初期シャダー防止性及びシャダー防止寿命の両性能を両
立させるとともに、金属間摩擦特性に関して、初期摩擦
係数が高く、摩擦特性の耐久性においても優れている。
したがって、本発明の潤滑油組成物は、自動車用自動変
速機や建設機械・農業機械、二輪車等の湿式クラッチ用
に好適に使用されるだけでなく、スリップ制御機構を備
えたロックアップクラッチ用あるいはベルト式無段変速
機用潤滑油としても好適に使用することが可能であると
共に、スリップ制御機構を備えたロックアップクラッチ
とベルト式無段変速機を併用した省燃費型自動変速機用
として所要することも可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 10:04 C10N 10:04 30:00 30:00 Z 30:06 30:06 40:04 40:04 (72)発明者 有本 直純 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社潤滑油部潤滑油研究所内 Fターム(参考) 4H104 BE11C BF03C BH07C DA02A DB06C EB02 FA02 LA03 LA20 PA02 PA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱油、合成油又はこれらの混合油を基油
    とし、(A)アルカリ土類金属フェネートを組成物全量
    基準でアルカリ土類金属換算量において0.07質量%
    以下、(B)炭素数5〜36の炭化水素基を有するコハ
    ク酸イミドをそれぞれ含有してなり、かつ、ジアルキル
    ジチオリン酸亜鉛を含有しないことを特徴とする潤滑油
    組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の潤滑油組成物が、自動
    変速機及び/又は湿式クラッチ用であることを特徴とす
    る潤滑油組成物。
  3. 【請求項3】 自動変速機が、スリップ制御機構を備え
    たロックアップクラッチを搭載している請求項2記載の
    潤滑油組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の潤滑油組成物が、
    無段変速機の潤滑油として用いられることを特徴とする
    潤滑油組成物。
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