JP2002037970A - アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

アクリル系樹脂組成物

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JP2002037970A
JP2002037970A JP2000228446A JP2000228446A JP2002037970A JP 2002037970 A JP2002037970 A JP 2002037970A JP 2000228446 A JP2000228446 A JP 2000228446A JP 2000228446 A JP2000228446 A JP 2000228446A JP 2002037970 A JP2002037970 A JP 2002037970A
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acrylic resin
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Shigeo Takiyama
成生 瀧山
Nariatsu Uto
成敦 宇都
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Maruo Calcium Co Ltd
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Maruo Calcium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い透明性を維持したまま、優れた耐衝撃性
を有する成形品を与えるアクリル系樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 少なくとも粒子表面が、花弁状多孔質構
造を有するリン酸カルシウム系化合物からなり、Ca/P
の原子比が33.3以下であり、且つ特定の粒度、粒度
分布及びBET比表面積を満足する粒子を配合してなる
アクリル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂組
成物に関し、更に詳しくは、特定の形態を有し、少なく
とも粒子表面が花弁状多孔質リン酸カルシウム系化合物
である粒子を配合してなる、高い透明性を維持したま
ま、優れた耐衝撃性を有する成形品を提供するアクリル
系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐衝撃性を有するアクリル系樹脂
組成物は、公共施設、運動施設などのグレージング材、
銀行カウンターなどの仕切り板、防犯ドアーなどのグレ
ージング材、各種車両のグレージング材など、耐衝撃性
樹脂板として用いられている。また、自動車のヘッドラ
イトカバー、ウインカーレンズ等にも広く用いられてい
る。耐衝撃性樹脂板としては、例えばポリカーボネート
系樹脂板と耐衝撃性を有するアクリル系樹脂板とを接着
性のフィルムを介して加熱・加圧して得られる積層透明
板等がある。しかし、このように異なった樹脂を積層さ
せることにより耐衝撃性は改良されるが、耐衝撃性をよ
り向上させるには、厚みを厚くする必要があり、そのた
め透明性が低下するとともに重量が増加し、実用性に欠
けるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題を解決し、高い透明性を維持したまま、優れた耐
衝撃性を有する成形品を与えるアクリル系樹脂組成物を
提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の形状、粒度内容
を有するリン酸カルシウム系化合物を主成分とする粒子
をアクリル系樹脂に配合することにより得られたアクリ
ル系樹脂組成物が、高い透明性を維持したまま、優れた
耐衝撃性を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、少なくとも粒子表面
が、花弁状多孔質構造を有するリン酸カルシウム系化合
物からなり、Ca/Pの原子比が33.3以下であり、且
つ下記の式(a)〜(d)を満足する粒子を配合してな
ることを特徴とするアクリル系樹脂組成物を内容とす
る。 (a)0.1≦dx1≦20(μm) (b)1≦α≦5 但し、α=d50/dx1 (c)0≦β≦2 但し、β=(d90−d10)/
d50 (d)10≦Sw1≦300 但し、 dx1:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子
径(μm)。 α :分散係数 d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計
により測定した粒子の50%平均粒子径(μm)。 β :シャープネス。 d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計
により測定した粒子のふるい通過側累計90%粒子径
(μm)。 d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計
により測定した粒子のふるい通過側累計10%粒子径
(μm)。 Sw1:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル系樹脂組成物の
最も重要な特徴は配合される粒子にあり、少なくとも粒
子表面が花弁状構造を有する多孔質リン酸カルシウム系
化合物粒子である。該多孔質リン酸カルシウム系化合物
粒子は、その花弁状構造が自己崩壊性、即ち、外部から
応力が粒子に作用した場合、粒子の一部が破壊又は崩壊
変形することにより、外部からの応力を粒子自身が自己
吸収又は自己分散し、その結果粒子外部に対する粒子か
らの反発力が低下する性質を有している。その結果、良
好な耐衝撃性を有するアクリル系樹脂組成物を得ること
ができる。
【0007】また、本発明のアクリル系樹脂組成物に配
合される粒子は、その比表面積が非常に大きい花弁状構
造の多孔質リン酸カルシウム系化合物粒子であり、アク
リル樹脂と良好な親和性を有するため、アクリル系樹脂
の持つ高い透明性を損なうことなく、優れたアクリル系
樹脂を調製することが可能である。
【0008】本発明に用いられる粒子を構成する花弁状
多孔質リン酸カルシウム系化合物としては特に制限はな
いが、非晶質リン酸カルシウム(略号ACP、化学式C
3(PO4 2 ・nH2 O)、フッ素アパタイト(略
号FAP、化学式Ca10(PO4 6 2 )、塩素アパ
タイト(略号CAP、化学式Ca10(PO4 6
2 )、ヒドロキシアパタイト(略号HAP、化学式C
10(PO4 6 (OH) 2 )、リン酸八カルシウム
(略号OCP、化学式Ca8 2 (PO4 6 ・5H 2
O)、リン酸三カルシウム(略号TCP、化学式Ca3
(PO4 2 )、リン酸水素カルシウム(略号DCP、
化学式CaHPO4 )、リン酸水素カルシウム二水和物
(略号DCPD、化学式CaHPO4 ・2H2 O)等が
例示でき、これらは1種又は2種以上組み合わせて用い
れらる。中でも組成の安定性が高いという観点から、ヒ
ドロキシアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸三カ
ルシウム、リン酸水素カルシウムが好ましく、ヒドロキ
シアパタイトが特に好ましい。また、安定性が最も高い
ヒドロキシアパタイトの含有率は、全リン酸カルシウム
系化合物に対して50重量%以上が好ましく、90重量
%以上がより好ましい。
【0009】花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒子
に占めるCa/Pの原子比は、33.3以下であり、充分
な自己崩壊性を有し且つ充分な耐スクラッチ性を有する
アクリル系樹脂組成物を得るという観点からは5.56
以下が好ましく、3.33以下が更に好ましく、1.8
5以下が最も好ましい。Ca/Pの原子比が33.3を超
えると十分な自己崩壊性が得られなくなる傾向にあり、
また下限は、粒子の安定性を維持するという観点から
1.60程度が好ましい。また、基体として用いた粒子
がすべてリン酸カルシウム系化合物に変化して、基体と
しての粒子が本発明のアクリル系樹脂組成物に添加され
る粒子中に存在せず、粒子重量の100%(Ca/Pの原
子比は1〜1.67)が花弁状多孔質リン酸カルシウム
系化合物に変化しても何ら問題はない。
【0010】花弁状多孔質リン酸カルシウム粒子のdx
1は、0.1≦dx1≦20(μm)であり、好ましく
は0.2≦dx1≦10(μm)、より好ましくは0.
5≦dx1≦5(μm)である。dx1が0.1μm未
満の場合、アクリル系樹脂中での分散が容易でなく、凝
集体として存在し、優れた透明性と耐衝撃性を有するア
クリル系樹脂組成物が得られない。またdx1が20μ
mを超える場合、粒子が大きすぎるため自己崩壊性が低
下し、優れた耐衝撃性を有するアクリル系樹脂組成物が
得られない。
【0011】花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒子
のα及びβは、1≦α≦5,0≦β≦2であり、好まし
くは1≦α≦2,0≦β≦1である。αが5を超える場
合、粗大粒子が多く存在するため、良好な透明性と耐衝
撃性が得られず、またαが1未満の場合、粒子の凝集が
起こり、不均一になる。
【0012】また、花弁状多孔質リン酸カルシウム化合
物粒子の粒度構成に関する関数であるβが2を超える場
合、粒度分布幅がブロードになり、アクリル系樹脂組成
物にとって不必要な微小粒子及び透明性と耐衝撃性の低
下の原因となる粗大粒子の含有率が多くなるため、良好
な透明性と耐衝撃性を有するアクリル系樹脂組成物は得
られなくなる。
【0013】花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒子
のSw1は、10≦Sw1≦300であり、好ましくは
50≦Sw1≦250である。Sw1が10未満の場
合、アクリル系樹脂との親和性が充分でないため、アク
リル系樹脂の透明性を阻害するとともに、さらに添加剤
の自己崩壊性が充分でないため、耐衝撃性の良好なアク
リル系樹脂組成物が得られない。また、Sw1が300
を超える場合、添加剤の自己崩壊性が強すぎることにな
り、混練時での粒子崩壊が起こり、良好な耐衝撃性を有
するアクリル系樹脂組成物が得られない。
【0014】花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒子
の花弁状構造は、電子顕微鏡写真観察により表面にバラ
の花のような花弁状構造が確認されればよく、その他特
に制限はないが、該粒子が充分な自己崩壊性を有し且つ
充分な耐衝撃性を有するアクリル樹脂組成物を得るため
には、0.01≦dx2≦1(μm)であることが好ま
しい。但し、 dx2:水銀圧入法により測定した細孔分布により求め
た粒子の細孔の平均粒子径(μm)。花弁状多孔質リン
酸カルシウム化合物粒子を構成する花弁状多孔質リン酸
カルシウム系化合物には、特に制限はないが、十分な粒
子の安定性を保持するという観点から50重量%以上が
ヒドロキシアパタイトであることが好ましく、90重量
%以上がヒドロキシアパタイトであることがより好まし
い。50重量%未満の場合、ヒドロキシアパタイト以外
のリン酸カルシウム系化合物が多くなり粒子の安定性が
低くなり良好なアクリル系樹脂組成物が得られない。
【0015】花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒子
の基体を構成するものとして特に制限はないが、無機
物、有機物共に使用可能であり、好ましい基体として
は、タルク、カオリン、雲母、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、
珪酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、燐酸カ
ルシウム、ヒドロキシアパタイト等の白色顔料が挙げら
れ、中でも炭酸カルシウムが粒径コントロールと安定性
の点で最も好ましい。
【0016】花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒子
は、粒子の分散性,安定性等をさらに高めるために、シ
ランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカ
ップリング剤、有機酸、例えば脂肪酸,樹脂酸,アクリ
ル酸,シュウ酸,クエン酸,酒石酸等の有機酸,フッ酸
等の無機酸、それらのポリマー,それらの塩,又はそれ
らのエステル類等の表面処理剤、界面活性剤やヘキサメ
タリン酸ソーダ、ピロリン酸、ピロリン酸ソーダ、トリ
ポリリン酸、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸、
ハイポリリン酸等の縮合リン酸塩及びその塩を常法に従
い表面処理しても差し支えない。
【0017】本発明に用いられるアクリル系樹脂は、メ
チルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート
およびこれと共重合可能な他の単量体との共重合体など
が挙げられる。花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物粒
子のアクリル系樹脂中への配合量は、用途によって一様
ではないが、0.01〜50重量%が適当で、特に1〜
30重量%が好ましい。この理由は、下限値未満にあっ
ては、配合量が少ないため耐衝撃性が不十分であると共
に、アクリル系樹脂に配合して均一に分散させる精度が
低下するためであり、他方上限値を超えると、透明性を
損なうと共に配合量の割には耐衝撃性が向上しない傾向
にある。本発明のアクリル系樹脂組成物に花弁状多孔質
リン酸カルシウム化合物粒子を含有させる方法について
は特に制限はなく、例えば、溶解したメタクリル酸メチ
ル系樹脂に添加し均一に分散させた後硬化させる方法、
混練機を用いてアクリル系樹脂中に練り込む等の方法が
挙げられる。
【0018】本発明のアクリル系樹脂組成物は、必要に
応じ、アクリル系樹脂組成物に配合される他の添加剤を
含有することができる。他の添加剤としては、例えば顔
料、染料、紫外線吸収剤、各種安定剤、酸化防止剤、遮
光剤(例えばカーボンブラック、二酸化チタン等)、加
工助剤、帯電防止剤、抗菌剤、脱臭剤、農薬、香料等各
種添加剤の1種又は2種以上と併用できることはもちろ
ん、本発明に用いられる花弁状多孔質リン酸カルシウム
粒子は高い比表面積と空隙率を持ち、優れた吸着、担持
性能があることから、これら各種添加剤を吸着又は担持
させて使用することもできる。
【0019】例えば、抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛等
の無機系抗菌剤や、塩化ベンザルコニウム、塩化セチル
ピリジニウム等の第4アンモニウム系、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール系、ホルマリン、グリオ
キザール等のアルデヒド系、クレゾール、キシレノール
等のフェノール系、ソルビン酸、安息香酸等のカルボン
酸系、クロルヘキシジン、n−ドデシルグアニジンアセ
テート等のグアニジン系、2−メルカプトベンゾチアゾ
ール、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の
チアゾール系等、脱臭剤としては、タンニン酸、ショウ
脳油、テレピン油等、農薬としては、ジメチルフタレー
ト、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、インダロ
ン、ジメチルカーバイト、イルガビリン、PCP剤(ペ
ンタクロルフェノール)、MEP剤(ジメチルチオホス
フェート)、ECP剤(ジエチルジクロルフェニルチオ
ホスフェート)等、紫外線吸収剤としては、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、フェニルサリシレート、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)−ベ
ンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−
3,3−ジフェニルアクリレート等、染料としては、ア
ゾ染料、アントラキノン染料をはじめとし、インジゴイ
ド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料等、香料と
しては、じゃ香、アビエス油、ベルガモット油、ボロア
ーズ油、ローズウッド油、ローズマリー油、オレンジフ
ラワー油等の天然香料、アセト酢酸エチル、アネトー
ル、アミルシナミックアルデヒド、イソ吉草酸エチル、
イソアミルアセテート等の合成香料、ローズ系、ジャス
ミン系、リラ系等の調合香料等が挙げられる。これらの
添加量は特に制限はないが、本発明のアクリル系樹脂組
成物に配合される花弁状多孔質リン酸カルシウム化合物
粒子に対し、0.0001〜100重量%が好ましい。
【0020】また、必要に応じ他の組成のブロッキング
防止剤、例えば合成球状シリカ、β,γ−アルミナ、珪
酸アルミニウム、合成ゼオライト、酸化チタン、カオリ
ン、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等
の無機粒子、また、花弁状構造を有しない、非晶質リン
酸カルシウム(略号ACP、化学式Ca3 (PO4 2
・nH2 O)、フッ素アパタイト(略号FAP、化学式
Ca10(PO4 6 2 )、塩素アパタイト(略号CA
P、化学式Ca10(PO4 6 Cl2 )、ヒドロキシア
パタイト(略号HAP、化学式Ca10(PO4 6 (O
H)2 )、リン酸八カルシウム(略号OCP、化学式C
8 2 (PO4 6 ・5H2 O)、リン酸三カルシウ
ム(略号TCP、化学式Ca3 (PO4 2 )、リン酸
水素カルシウム(略号DCP、化学式CaHPO4 )、
リン酸水素カルシウム二水和物(略号DCPD、化学式
CaHPO4 ・2H2 O)等を目的に応じて1種又は2
種以上配合しても差し支えない。また、シリコーン樹脂
粒子、架橋アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート粒
子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、テ
フロン(登録商標)粒子、ポリイミド粒子等の有機高分
子粒子等を一部本発明の花弁状多孔質リン酸カルシウム
化合物粒子と併用しても差し支えない。これらを併用す
る場合の添加量については特に制限はないが、通常0.
01〜3重量%程度が好ましい。また、衝撃強度改良剤
としてアクリル系耐衝撃改良剤や、擦傷性改良剤として
シリコーンオイル等を添加しても問題ない。
【0021】
【実施例】以下、実施例、比較例を示し、本発明をさら
に具体的に説明するが、これらは何ら本発明を制限する
ものではない。
【0022】(実施例及び比較例に使用する粒子の調
製)下記の方法により、A〜Dの各粒子を調製した。炭
酸カルシウムの水懸濁液とリン酸の希釈水溶液をCa/Pの
原子比が1.75〜55.56となる割合で水中で下記
の混合条件で混合後、更に下記の熟成条件で熟成を行っ
た後、脱水し、700℃以下の乾燥雰囲気下で乾燥し、
解砕仕上げを行い、花弁状多孔質リン酸カルシウム化合
物粒子A〜Dを得た。得られたA〜Dの粒子、及び比較
例に使用する市販のヒドロキシアパタイト(商品名:リ
ン酸三カルシウム、米山化学工業株式会社製)の粉体物
性を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】また、粒子表面を比較するために、B粒子
と市販のヒドロキシアパタイトの電子顕微鏡写真をそれ
ぞれ図1、図2に示す。図1より、B粒子は花弁状多孔
質構造を有していることが確認できた。一方、市販のヒ
ドロキシアパタイトは微細な粒子の凝集物であり、花弁
状多孔質構造を有するものではないことが確認できた。
【0025】混合条件 炭酸カルシウムの水懸濁液固形分濃度 1〜15重量% 燐酸の希釈水溶液濃度 1〜50重量% 混合攪拌羽根の周速 0.5〜50m/秒 混合時間 0.1〜150時間 混合系水懸濁液温度 0〜80℃ 混合系の水懸濁液pH 5〜9
【0026】熟成条件 熟成系のCa濃度 0.4〜5重量% 熟成時間 0.1〜100時間 熟成系水懸濁液温度 20〜80℃ 熟成系水懸濁液pH 6〜9 攪拌羽根の周速 0.5〜50m/秒
【0027】実施例1〜3 比較例1,2 メタクリル酸メチル単量体100重量部に、懸濁重合法
により得られたメタクリル酸メチル系樹脂(メタクリル
酸メチル単位98重量%、アクリル酸メチル単位2重量
%)の粉末20重量部を撹拌しながら添加し、60℃で
2時間撹拌を継続してメタクリル酸メチル系樹脂を溶解
した。ここに、実施例1〜3として粒子A〜C、比較例
1として粒子D、比較例2として市販のヒドロキシアパ
タイト(商品名:リン酸三カルシウム、米山化学工業株
式会社製)を10重量部撹拌しながら添加し、1時間撹
拌後、室温まで冷却してシロップを得た。これらのシロ
ップ100重量部に、2.2'- アゾビスイソブチロニトリ
ル0.15重量部を添加溶解して脱気した後、2枚のガ
ラス板と塩化ビニル樹脂製ガスケットにより、ガラス板
同士の間隙が10mmとなるように構成されたセル(面積
300mm×300mm)に注入し、65℃の湯浴中にて4
時間重合を行った。さらに120℃の熱風乾燥炉にて2
時間熱処理を施し、室温付近まで冷却した後、ガラス板
を除去してアクリル樹脂板(厚み10mm、300mm×3
00mm)を得た。
【0028】上記のようにして作成されたアクリル樹脂
板に対し、まずその透明性(衝撃前)を下記の目視判定
基準に基づき評価した。 (透明性判定基準) ○・・・・アクリル樹脂板を介して反対側を容易に観察
できる。 △・・・・アクリル樹脂板を介して反対側を観察しがた
い。 ×・・・・アクリル樹脂板を介して反対側を観察できな
い。
【0029】次に、下記試験法により耐衝撃性(1撃)
および繰り返し耐衝撃性(2撃)の評価を行った。 〔衝撃試験方法〕図3に示す衝撃試験機を用い、試験片
支持台(円柱状、鉄製、直径100mm)(A)上に、1
00mm×100mmに切断したアクリル樹脂板からなる試
験片(S)を載置し、その上に、先端部が円錐形状の打
子(2mmの先端径)(B)の該先端(B−1)を押し当
てた。この打子(B)の長さ方向の中央部には、円盤状
の錘り受け支持盤(B−2)が突設されている。この支
持盤(B−2)に向けてステンレス製錘り(30kg)
(C)を高さ2.5m(支持盤に対する高さ)の位置か
ら自由落下により落下させた。この時、図4に示すよう
に、試験片(S)はその四辺が、試験片支持台(A)の
周辺と揃うように載置し、打子の先端(B−1)は試験
片(S)の中央に押し当て、衝撃箇所が試験片(S)の
中央となるように設定した。この錘り(C)の落下を同
一箇所に2回行い、それぞれの衝撃時における試験片の
飛散(破片の飛散)の有無、程度を目視により観察し、
下記の判定基準に基づき評価した。
【0030】(衝撃判定基準) ○・・・・破片の飛散は認められなかった。 △・・・・破片が僅かに飛散した。 ×・・・・破片が多数飛散した。
【0031】更に、衝撃箇所から試験片を通して見た反
対側の視認性を目視により下記の判定基準に基づき判定
した。 (視認性判定基準) ○・・・・白化は生じず、視認性は良好であった。 △・・・・僅かに白化が生じたが、視認性は殆ど低下し
なかった。 ×・・・・白化が生じ、視認性が低下した。 これらの結果を表2に示す。
【0032】表2の結果から明らかなとおり、本発明の
アクリル系樹脂組成物は、透明性に優れると共に、強い
衝撃に対する十分な耐衝撃性を有し、なおかつ繰り返し
複数回の衝撃を受けた場合の耐衝撃性にも優れている。
また、衝撃箇所(2回衝撃後)の白化も全くなく、衝撃
後においても優れた透明性が確保されている。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明のアクリル系樹脂
組成物は高い透明性を有するとともに優れた耐衝撃性を
有し、各種グレージング材、耐衝撃樹脂板、ヘッドライ
トカバー、ウインカーレンズ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】B粒子の電子顕微鏡写真(10000倍)であ
る。
【図2】市販のヒドロキシアパタイトの電子顕微鏡写真
(10000倍)である。
【図3】衝撃試験機を示す概要図である。
【図4】衝撃試験機の試験片支持台に試験片を載置した
状態を示す概要図である。
【符号の説明】
A 試験片支持台 B 打子 B−1 打子の先端 B−2 支
持盤 C 錘り S 試験片

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも粒子表面が、花弁状多孔質構
    造を有するリン酸カルシウム系化合物からなり、Ca/P
    の原子比が33.3以下であり、且つ下記の式(a)〜
    (d)を満足する粒子を配合してなることを特徴とする
    アクリル系樹脂組成物。 (a)0.1≦dx1≦20(μm) (b)1≦α≦5 但し、α=d50/dx1 (c)0≦β≦2 但し、β=(d90−d10)/
    d50 (d)10≦Sw1≦300 但し、 dx1:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子
    径(μm)。 α :分散係数 d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計
    により測定した粒子の50%平均粒子径(μm)。 β :シャープネス。 d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計
    により測定した粒子のふるい通過側累計90%粒子径
    (μm)。 d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計
    により測定した粒子のふるい通過側累計10%粒子径
    (μm)。 Sw1:窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)。
  2. 【請求項2】 粒子の平均粒子径dx1が下記の式
    (e)を満足する請求項1記載のアクリル系樹脂組成
    物。 (e)0.2≦dx1≦10(μm)
  3. 【請求項3】 粒子の平均粒子径dx1が下記の式
    (f)を満足する請求項2記載のアクリル系樹脂組成
    物。 (f)0.5≦dx1≦5(μm)
  4. 【請求項4】 粒子の分散係数α及びシャープネスβが
    それぞれ下記の式(g)及び(h)を同時に満足する請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成
    物。 (g)1≦α≦2 (h)0≦β≦1
  5. 【請求項5】 粒子のBET比表面積Sw1が下記の式
    (i)を満足する請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    アクリル系樹脂組成物。 (i)50≦Sw1≦250
  6. 【請求項6】 粒子の平均粒子径dx2が下記の式
    (j)を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    アクリル系樹脂組成物。 (j)0.01≦dx2≦1(μm) 但し、 dx2:水銀圧入法により測定した細孔分布により求め
    た粒子の細孔の平均粒子径(μm)。
  7. 【請求項7】 Ca/Pの原子比が5.56以下である請
    求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 Ca/Pの原子比が3.33以下である請
    求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 Ca/Pの原子比が1.85以下である請
    求項1〜8のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂用組
    成物。
  10. 【請求項10】 粒子の配合量が0.01〜50重量%
    である請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクリル系
    樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 粒子の配合量が1〜30重量%である
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組
    成物。
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