JP2002037890A - 脂環構造含有重合体樹脂の保存方法 - Google Patents

脂環構造含有重合体樹脂の保存方法

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JP2002037890A
JP2002037890A JP2000225106A JP2000225106A JP2002037890A JP 2002037890 A JP2002037890 A JP 2002037890A JP 2000225106 A JP2000225106 A JP 2000225106A JP 2000225106 A JP2000225106 A JP 2000225106A JP 2002037890 A JP2002037890 A JP 2002037890A
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Koji Minami
幸治 南
Takeshi Wada
健史 和田
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一定期間保存した後であっても、表面精度、
機械強度、及び光線透過性に優れる成形品を成形できる
脂環構造含有重合体樹脂の保存方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 粒径5〜25μmの微粒子異物の付着数
が、表面1m2あたり2,000個以下である脱酸素材
と、脂環構造含有重合体樹脂とを、密閉容器中に共存さ
せることにより、保存された脂環構造含有重合体樹脂に
対する容器内に存在する酸素の影響が少なくなり、表面
精度や機械強度などの特性に優れる成形品を得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂環構造含有重合
体樹脂の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン系樹脂などの脂環構造含有
重合体樹脂は、透明性、低複屈折性、耐熱性等に優れる
ことから広く使用されるようになってきている。ノルボ
ルネン系樹脂は溶融温度が高く、高温で成形加工しなけ
ればならないため、成形加工中の熱履歴等によって成形
品が着色することがある。こうした成形加工時における
成形品の着色を防止するために、窒素雰囲気下で成形す
ることが提案されている(特公平4-70318号公
報)。
【0003】しかし、樹脂は酸素を溶解するので、樹脂
を保存している間にペレット中の溶存酸素量が増大し、
窒素雰囲気下で成形しても成形品が着色する場合があっ
た。そこで、保存中の酸素量を制限するために、酸素透
過度が低い材料、すなわち酸素透過係数が200cc/
2・day・atm以下の材料でペレットを包装した
り、そのような材料でできた容器に入れて保存し、該容
器又は包装中に脱酸素材を共存させる方法が提案されて
いる(特開平7−206998号公報)。ところが、上
記のように容器中に脱酸素材などを共存させても、得ら
れる成形品の表面精度や光線透過性が低下したり、ミク
ロクラックなどが発生し、光ディスク、レンズなどの光
学部品や磁気記録媒体基板などに使用すると、強度低下
や情報記録エラーなどを生じさせることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一定
期間脂環構造含有重合体樹脂を保存した後であっても、
表面精度、機械強度、及び光線透過性に優れる成形品を
成形することが可能な、脂環構造含有重合体樹脂の保存
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく検討を重ねた結果、該脂環構造含有重合体
樹脂を密閉容器中で一定期間保存し、その容器に、表面
に付着した微粒子異物が特定量以下である脱酸素材を入
れることにより、その樹脂を成形して得られる成形品
が、着色がなく、光散乱も生じさせない光線透過性を有
し、ミクロクラック等の発生もなく、表面精度にも優れ
ることを見出した。そしてそのような樹脂を光学部品や
磁気記録媒体基板の成形に使用すると、強度低下や情報
記録エラー等がないことを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0006】即ち、本発明によれば、粒径5〜25μm
の微粒子異物の付着数が、表面1m 2あたり2,000
個以下である脱酸素材と、脂環構造含有重合体樹脂と
を、密閉容器中に共存させる脂環構造含有重合体樹脂の
保存方法が提供される。
【0007】
【発明の実施形態】本発明の方法は、表面に付着する粒
径5〜25μmの微粒子異物の数が1m2あたり2,0
00個以下の脱酸素材を、脂環構造含有重合体樹脂と伴
に密閉容器に共存させて保存することを特徴とする。
【0008】脂環構造含有重合体樹脂 本発明の方法により保存する脂環構造含有重合体樹脂
は、脂環構造含有重合体を主成分とし、必要に応じて各
種配合剤を配合したものである。脂環構造含有重合体
は、主鎖および/または側鎖に脂環式構造を有するもの
をいうが、成形品の透明性、機械強度などの観点から、
主鎖に脂環式構造を含有するものを好適に保存できる。
脂環式構造としては、シクロアルカン構造が好ましく、
環を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましく
は5〜20個の範囲である。脂環構造含有重合体樹脂中
における脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、成
形品の透明性および耐熱性の観点から、通常50重量%
以上、好ましくは70重量%以上である。
【0009】このような脂環構造含有重合体の具体例と
しては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)
単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン
系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこ
れらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、
ノルボルネン系重合体やビニル脂環式炭化水素重合体、
及びこれらの水素添加物などが好ましく、ノルボルネン
系重合体水素添加物を本発明の方法により保存すると、
表面精度、機械強度、および光線透過性の低下を防止す
る効果が高い。
【0010】(1)ノルボルネン系重合体 ノルボルネン系重合体は、例えば、特開平3−1488
2号公報や、特開平3−122137号公報などに開示
されている公知の重合体であり、具体的には、ノルボル
ネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノル
ボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノ
マーとビニル化合物の付加共重合体などが挙げられる。
【0011】重合に用いるノルボルネン系モノマーの具
体例としては、ビシクロ[2,2,1]−ヘプト−2−エ
ン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4,3,
0,1 2,5]−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペ
ンタジエン)、8,9−ベンゾトリシクロ[4,3,0,1
2 , 5]−デカ−3−エン(1,4−メタノ−1,4,4
a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラ
シクロ[4,4,0,12,5,17,10]−ドデカ−3−エ
ン(単にテトラシクロドデセンともいう)、及びこれら
に置換基を有するモノマーなどが挙げられる。上記のノ
ルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種
以上組み合わせて用いることができる。
【0012】本発明においては、上記ノルボルネン系モ
ノマー以外に、共重合可能なモノマーとして、例えば、
エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜2
0個を有するα−オレフィン;シクロブテン、シクロペ
ンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン;1,
4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役
ジエン;などを用いることができる。これらの共重合可
能なモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を
組み合わせて使用することができる。
【0013】上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体
は、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オス
ミウム、イリジウム、及び白金などの金属のハロゲン化
物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤
とからなる開環重合触媒;あるいは、チタン、バナジウ
ム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金
属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有
機アルミニウム化合物とからなる開環重合触媒を用いて
重合し、遷移金属化合物とアルキル金属化合物とからな
る均一系水素化触媒や、ニッケル、パラジウムなどの遷
移金属化合物をシリカ、カーボン、ケイソウ土などに担
持した不均一系水素化触媒を用いて、不活性溶媒中で不
飽和結合を水素化することにより得られる。
【0014】ノルボルネン系モノマーの付加重合体ある
いはノルボルネン系モノマーと、上記の共重合可能なモ
ノマーとの付加共重合は、例えば、チタン、ジルコニウ
ム、又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物と
からなる触媒を用いて重合することにより得られる。
【0015】(2)単環の環状オレフィン系重合体 単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開
昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキ
セン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環
状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができ
る。
【0016】(3)環状共役ジエン系重合体 環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−
136057号公報や特開平7−258318号公報に
開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエ
ンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,
4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用い
ることができる。
【0017】(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体 ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、特開
昭51−59989号公報に開示されているビニルシク
ロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式
炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、特開昭
63−43910号公報、特開昭64−1706号公報
などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンな
どのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素
添加物などを用いることができる。また、これらビニル
脂環式炭化水素系重合体の立体配置については、アタク
ティック、アイソタクティック、シンジオタクティック
の何れでもよく、例えば、ダイアッド表示によるシンジ
オタクティシティーで、0〜100%の何れのものも用
いることができる。
【0018】本発明で使用される脂環構造含有重合体の
分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロ
ヘキサン溶液(重合体が溶解しない場合はトルエン溶
液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測
定したポリイソプレン換算の重量平均分子量で、5,0
00〜500,000、好ましくは8,000〜20
0,000、より好ましくは10,000〜100,0
00の範囲であるときに、機械強度と成形加工性とに優
れる。
【0019】本発明で使用される脂環構造含有重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択
されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは60
〜200℃、より好ましくは70〜180℃である。上
記の脂環構造含有重合体は、必要に応じ、酸化防止剤そ
の他の各種配合剤が配合され、脂環構造含有重合体樹脂
としてペレットなどの形状に成形される。
【0020】脱酸素材 本発明において脂環構造含有重合体樹脂と共存させる脱
酸素材は、密封系内に存在する遊離酸素、樹脂中に含有
されている溶存酸素、保存容器の壁を透過して密閉系内
へ入ってくる浸透酸素を化学的に吸収し、酸素による内
容物の変化を目的とする品質保持剤(いわゆる脱酸素
剤)を含むものであり、脱酸素剤を固めたもの、脱酸素
剤を包装したもの、脱酸素剤を練り込んだものといった
形態をとり得る。
【0021】脱酸素剤は、還元性無機化合物または還元
性有機化合物などの、自らが酸化されることにより酸素
を吸収する化合物を主成分として含有する組成物からな
る。還元性無機化合物としては、還元性鉄、還元性亜
鉛、及び還元性錫粉などの還元性金属粉;酸化第一鉄、
四三酸化鉄、第一酸化銅などの金属低位酸化物などが挙
げられ、還元性有機化合物としては、アスコルビン酸、
糖などが挙げられる。
【0022】上記無機化合物同士、又は還元性有機化合
物同士は、組み合せて使用することもできる。また、脱
酸素材は、エージレス(三菱瓦斯化学社製)などの市販
品を使用してもよく、例えば、C1〜C3のアルカノー
ルアミン、第一酸化銅、水酸化カルシウムおよびC1〜
C3のアルキレングリコールを適宜混合して作製するこ
ともできる。上記脱酸素剤の形状としては、例えば、粉
末状、顆粒状、タブレット形状等が挙げられる。
【0023】本発明においては、上記脱酸素材は、表面
に付着する微粒子異物が少ないものを使用する。微粒子
異物とは、脱酸素材表面に付着する埃や塵の他、脱酸素
剤や脱酸素剤を包装する包装材自体から発生する微粉末
などのことをいう。脱酸素材は、表面に付着する、粒径
5〜25μmの微粒子異物の数が、1m2あたり2,0
00個以下、好ましくは200個以下、より好ましくは
100個以下である必要がある。微粒子異物の数が2,
000個を超えると、該微粒子異物が、保存中の脂環構
造含有重合体樹脂ペレット表面に付着し、該ペレットを
用いて成形した成形品の機械強度、光線透過性、表面精
度が低下する。
【0024】例えば、高温高湿の条件下での使用や薬品
や食品などと直接接触するような使用において、ミクロ
クラックが発生して、機械強度が低下したり、白化によ
り光線透過性が低下したりする。また、光散乱などが生
じ光線透過率を低下させる。そのために食器や医療用途
などへの使用に支障を起こすことがあり、また、光ディ
スクなどの情報記録媒体などへの適用は、信号の記録エ
ラーや再生エラーを引き起こすことがある。
【0025】脱酸素材表面に付着する微粒子異物を低減
させるためには、保存容器に入れる前にその表面を洗浄
する。洗浄法としては、微粒子異物やオイルミストなど
が除去された不活性ガス(例えば、ガラスフィルターを
通してこれらを除去したクリーン窒素)を脱酸素材表面
に吹き付けて、微粒子異物を飛散させて除去する方法
や、クリーンな布や紙などで異物を拭き取る方法などが
挙げられる。以上のようにして脱酸素材表面の微粒子異
物を除去した後、イオンシャワーなどの方法を用いて、
脱酸素材表面の電荷(静電気)を取り除いておくと、洗
浄処理後に微粒子異物が付着しにくくなる。
【0026】さらに、本発明で用いる脱酸素材は、保存
中にそれ自体から発生する微粒子異物量が少ないものを
用いるのが好ましい。具体的には、保存中に発生する5
〜25μmの微粒子異物の数が、1m2あたり5,00
0個以下、好ましくは2,000個以下、より好ましく
は500個以下である。保存中に発生する微粒子異物
も、保存前から表面に付着していた微粒子異物と同様
に、成形品の光線透過性、表面精度、機械強度を低下さ
せるためである。
【0027】保存中に発生する微粒子異物は、脱酸素剤
や包装材自体が微粉末化したものである。よってその発
生を低減させるためには、タブレット形状の脱酸素剤を
用いるのが好ましく、さらに包装材で包装されているも
のを用いるのがより好ましい。包装材としては、布、
紙、樹脂フィルム、および樹脂シートなどが挙げられる
が、保存中の微粒子異物の発生をなくすためには樹脂フ
ィルムや樹脂シートなどを用いるのが好ましい。
【0028】樹脂フィルムや樹脂シートなどを用いる
と、内包された脱酸素剤から発生する微粉末が外部に漏
れず、また、樹脂ペレットとの摩擦や破砕などによりそ
れ自身から微粉末が発生するのを防止できる。なお、包
装材として布や紙を用いる場合でも、不織布などを用い
たり、ポリマーを布や紙に含浸したり、布や紙をポリマ
ーフィルムなどと積層して使用するのが好ましい。例え
ば、ろ紙にアクリレート系ラテックスを10〜30重量
%含浸させたものなどを使用することができる。さら
に、上記脱酸素剤を、樹脂フィルムや樹脂シートに練り
込んでもよい。
【0029】樹脂フィルム及び樹脂シートには、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン、及びニトロ
セルロース(セロファン)など、包装材として通常使用
されている樹脂を用いることができる。樹脂フィルム及
び樹脂シートは、上記の樹脂を用い、押出成形法やイン
フレーション成形法などの加熱溶融成形法、溶液キャス
ト成形法などにより得ることができる。樹脂フィルム及
び樹脂シートに脱酸素剤を練り込む場合は、上記の樹脂
と、脱酸素剤とを任意の割合で配合し、Tダイ押出機を
用いて加熱溶融成形によりフィルム状またはシート状に
することができる。
【0030】包装材により包装された脱酸素材を用いる
場合、包装材の酸素透過度は、200〜20,000c
3/m2・day・atmの範囲にあるのが好ましい。
200cm3/m2・day・atm以下であると保存容
器中の酸素が効率よく包装材料を透過することができな
いため、酸素が還元性化合物に吸収されずに成形品が加
工時に着色する。また、20,000cm3/m2・da
y・atm以上であると、細孔を有するため、包装材の
強度が低下し、保存中に破砕したり、内包された脱酸素
剤から発生した微粒子異物が包装材の外にもれ出てく
る。
【0031】本発明の保存方法において、脱酸素材と脂
環構造含有重合体樹脂ペレットとを共存させる方法は格
別な限定はないが、脱酸素材を樹脂ペレットの中に直接
入れる(混在させる)と、摩擦などにより新たな微粒子
異物が発生することがある。したがって、脱酸素材が樹
脂ペレットと混在しないようにすることがさらに好まし
い。例えば、密閉容器の内壁などに脱酸素材を固定し、
動かないようにする。固定は、脱酸素材を粘着テープで
留めつけるような方法であってもよいが、容器内部の適
当な箇所に、脱酸素材を収納し得る適当なサイズのポケ
ットを形成し、包装された脱酸素材をここに収納するよ
うにすると、脱酸素材の交換が簡便に行えるという利点
がある。
【0032】保存に使用する密閉容器にも格別な制限は
ないが、容器に使用する材料の酸素透過度は、通常、1
0,000cm3/m2・day・atm以下、好ましく
は、1,000cm3/m2・day・atm以下、さら
に好ましくは200cm3/m2・day・atm以下で
ある。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体、ポリエチレンやポリプロピレンにアルミニ
ウムや酸化ケイ素などの金属を積層した材料、金属など
が挙げられる。酸素透過度が10,000cm3/m2
day・atmを超える包装材料を使用すると、脱酸素
材の酸素吸収速度を上回る酸素が、外部から保存容器中
に入ってしまうことから、10,000cm3/m2・d
ay・atm以下のものを使用することが好ましい。
【0033】また、本発明においては、上記の脱酸素材
に加えて、密閉容器中に、さらに酸素濃度指示薬を入れ
てもよい。酸素濃度指示薬としては、エージレスアイ
(三菱瓦斯化学(株)製)などを使用することができ
る。こうした酸素濃度指示薬を入れておくと、成形前に
容器を開けたときに、容器内部のおよその酸素濃度を即
座に知ることができるので、それによって成形品が着色
するか否かを予想し、必要に応じて成形前に樹脂内の酸
素量を低下させる手段を講じることもできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明について、製造例、実施例、及
び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の
範囲はこれらの例に限定されるものではない。これらの
例において、[部]及び[%]は、特に断りのない限
り、重量基準である。また、各種物性等の測定法は、次
のとおりである。 (1)脱酸素材表面に付着している微粒子異物数 孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾
過して精製したトルエンで脱酸素材表面を洗浄し、洗浄
後にトルエン中に存在する粒径5〜25μmの微粒子異
物の個数(Y)を光散乱式微粒子検出器を用いて測定し
た。一方、洗浄前のトルエン中に存在する粒径5〜25
μmの微粒子異物の個数(X)を同様の方法により測定
し、前記洗浄前の測定個数(X)から(Y)を差し引い
た。
【0035】(2)脱酸素材から新たに発生した微粒子
異物量 脱酸素材とともに、密閉容器中で30日間保存した脂環
構造含有重合体樹脂ペレットを、0.5μmのテフロン
フィルターで濾過して精製したトルエンに溶解し、粒子
径5〜25μmの微粒子異物の個数を光散乱式微粒子検
出器を用いて測定し、一方、保存前の脂環構造含有重合
体樹脂ペレットを同様の精製トルエンに溶解し、同様の
方法により微粒子異物の個数を測定し、前記保存前の測
定個数から差し引いた。
【0036】(3)光ディスクのビットエラーレート 脱酸素材とともにまたは脱酸素材を使用せずに、密閉容
器中で30日間保存した脂環構造含有重合体樹脂ペレッ
トを用い、樹脂温度330℃、金型温度110℃にて、
直径110mm、厚さ1.2mmの光ディスク基板を射
出成形により成形した。得られた基板に、日本真空技術
社製RFマグネトロンスパッタリング装置を用いて、S
34膜、Tb−Fe−Co合金膜及び、Si34
を、順次積層して3層の記録膜(膜厚は、各層とも50
0Å)を形成して光磁気ディスクを得た。
【0037】上記光磁気ディスクのビットエラーレート
を、下記の条件で測定した。 書き込みレーザーパワー 5.5 mW 再生レーザーパワー 1.0 mW ディスク回転数 1,800 rpm キャリア周波数 2 MHz 印加磁界 300 Oe レーザー波長 830 nm
【0038】(4)透明性 脱酸素材とともに、密閉容器中で30日間保存した脂環
構造含有重合体樹脂ペレットを用い、樹脂温度280
℃、金型温度110℃で、10cm×10cm×1cm
の平板を射出成形にて作成した。この平板を目視により
観察し、着色の有無を確認した。黄色味を全く帯びてい
ないものを○、黄色味を帯びているものを×として評価
した。
【0039】(製造例1)脂環構造含有重合体樹脂ペレ
ットの製造例 1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフ
ルオレン100部とテトラシクロ[4,4,0,
2,5,17,10]−ドデカ−3−エン100部とを、公
知のメタセシス開環重合により重合し、開環重合体を得
た。得られた開環重合体を公知の水素化反応により水素
化し、開環重合体水素添加物の反応溶液を得た。この反
応溶液から水素化触媒を濾別除去した後、大量のイソプ
ロピルアルコール中に注いで開環重合体水素添加物を析
出させ、ろ過して回収した後に乾燥した。
【0040】開環重合体水素添加物の主鎖及び芳香環の
水素添加率は99.9%であった。シクロヘキサンを移
動相に用いた高速液体クロマトグラフィー(ポリイソプ
レン換算)より測定した開環重合体水素添加物の数平均
分子量(Mn)は25,900、分子量分布(Mw/M
n)は2.06であった。また、ガラス転移温度(T
g)は160℃であった。上記開環重合体水素添加物1
00部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010
(チバ・ガイギー社製)を0.2部を配合し、2軸混練
機で混練し、押し出し、樹脂ペレットを得た。
【0041】(実施例1)クラス1,000のクリーン
ルーム内で、市販の脱酸素材(エージレス:三菱瓦斯化
学社製)の包装袋に、ガラスフィルターに通した窒素ガ
スを吹き付けて洗浄を行い、脱酸素材Aとした。洗浄後
の脱酸素材表面1m2あたりの、粒径5〜25μmの微
粒子異物の数は0個であった。
【0042】保存容器(内側の任意の4箇所に蓋付きポ
ケットを設けたポリエチレン袋:厚さ200μm、酸素
透過度300cm3/m2・day・atm)のポケット
に脱酸素材Aを4袋入れ、さらに製造例1で得られた樹
脂ペレット20kgを入れて30日間保存した。脱酸素
材表面1m2あたりから発生した、粒径5〜25μmの
微粒子異物の数は0個であった。保存されていた樹脂ペ
レットを用いて、上記方法により光磁気ディスクと平板
とを製造して評価した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】(実施例2)ジエタノールアミン10部、
酸化銅1部、消石灰40部、及びエチレングリコール5
部を混合し、錠剤成形機を用いて直径30mm、厚さ1
0mmのタブレットにした。その後、該タブレットを、
洗浄処理したポリエチレン樹脂シート(厚さ50μmの
ポリエチレンシートに厚さ200μmの穴あきポリエチ
レンシートを積層したもの:酸素透過係数2,000c
3/m2・day・atm)で包装して脱酸素材Bとし
た。脱酸素材表面1m2あたりの、粒径5〜25μmの
微粒子異物の数は0個であった。
【0045】脱酸素材Aを脱酸素材Bに変えた以外は実
施例1と同様に樹脂ペレットを保存した。脱酸素材表面
1m2あたりから発生した、粒径5〜25μmの微粒子
異物の数は0個であった。このペレットを用い、実施例
1と同様に光磁気ディスクと平板とを成形して評価し
た。結果を表1に示す。
【0046】(実施例3)実施例2で使用した脱酸素材
Bを保存容器のポケットに入れないで、樹脂ペレット中
に混在させた以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを保
存した。脱酸素材表面1m2あたりから発生した、粒径
5〜25μmの微粒子異物の数は1,100個であっ
た。このペレットを用い、実施例1と同様に光磁気ディ
スクと平板とを成形して評価した。結果を表1に示す。
【0047】(実施例4)脱酸素材Bの包装材を、ポリ
エチレンシートから、樹脂エマルジョンを15重量%含
浸した濾紙(濾紙は、東洋濾紙製のものを用い、樹脂エ
マルジョンはラテックス〔Nipol Latex L
X854E;日本ゼオン社製〕を用いた。)に変更し、
ガラスフィルターに通した窒素ガスを吹き付けて洗浄処
理を行い、脱酸素材Cとした。
【0048】洗浄後の脱酸素材表面1m2あたりの、粒
径5〜25μmの微粒子異物の数は0個であった。脱酸
素材Bを脱酸素材Cに変えた以外は実施例3と同様に樹
脂ペレットを保存した。脱酸素材表面1m2あたりから
発生した、粒径5〜25μmの微粒子異物の数は3,5
00個であった。このペレットを用い、実施例1と同様
に光磁気ディスクと平板とを成形して評価した。結果を
表1に示す。
【0049】(比較例1)実施例1で使用した、洗浄前
の脱酸素材(エージレス)を脱酸素材Dとして使用し
た。洗浄前の脱酸素材表面1m2あたりの、粒径5〜2
5μmの微粒子異物の数は9,800個であった。脱酸
素材Aを脱酸素材Dに変えた以外は実施例3と同様に樹
脂ペレットを保存した。脱酸素材表面1m2あたりから
発生した、粒径5〜25μmの微粒子異物の数は900
個であった。このペレットを用い、実施例1と同様に光
磁気ディスクと平板とを成形して評価した。結果を表1
に示す。
【0050】(比較例2)脱酸素材を使用しなかった以
外は実施例1と同様に樹脂ペレットを保存し、そのペレ
ットを用い、実施例1と同様に光磁気ディスクと平板と
を成形して評価した。結果を表1に示す。
【0051】表1に示したように、洗浄した脱酸素材を
使用した実施例1〜4では、容器内における異物の発生
量が少なく、ビットエラーレートも3〜6×10-5と低
い値を示した。脱酸素材を容器中に樹脂と混在させるの
ではなく、容器内に設けられたポケットに収納すると、
一層、ビットエラーレートの低い成形品が得られる。一
方、脱酸素材を使用しなかった場合には、洗浄した場合
に比べてビットエラーレートが3〜7倍高くなった。ま
た、脱酸素材を使用しなかった場合には、着色が見られ
た上に、ビットエラーレートも約30〜70倍高い値を
示した。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、保存中にペレットの溶
存酸素量が増大せず、かつ、保存中に微粒子異物に汚染
されることのない、脂環構造含有重合体樹脂の保存方法
が提供され、成形時の着色が少なく、光学的特性に優れ
た欠陥の少ない成形品を最終製品として得ることができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径5〜25μmの微粒子異物の付着数
    が、表面1m2あたり2,000個以下である脱酸素材
    と、脂環構造含有重合体樹脂とを、密閉容器中に共存さ
    せる脂環構造含有重合体樹脂の保存方法。
  2. 【請求項2】 前記脱酸素材が、還元性化合物を含有す
    る組成物を樹脂フィルム又は樹脂シートで包装したもの
    である請求項1記載の脂環構造含有重合体樹脂の保存方
    法。
  3. 【請求項3】 前記脱酸素材を、密閉容器内に固定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の脂環構造含
    有重合体樹脂の保存方法。
  4. 【請求項4】 脂環構造含有重合体樹脂と共存させる前
    に、脱酸素材表面を洗浄することを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の脂環構造含有重合体樹脂の保存
    方法。
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