JP2002034588A - バクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方法 - Google Patents
バクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方法Info
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Abstract
で独創的なキチン・キトサン様物質の製造方法を実現す
る。 【解決手段】 本発明に係るバクテリアによるキチン・
キトサン様物質の製造方法は、培養装置2でキチン・キ
トサン様物質を産生するバクテリア、例えばシトロバク
ター属細菌TKF04株(FERM P-16722)
を培養し、このバクテリアによりキチン・キトサン様物
質を菌体外に産生させ、産生されたキチン・キトサン様
物質を培地中に蓄積し、この培地を分離精製装置4によ
り精製分離してキチン・キトサン様物質を抽出すること
を特徴としている。
Description
剤として利用されるだけでなく、医療分野では人口皮膚
・縫合糸・薬効調整剤・免疫強化剤として、農業分野で
は作物の病害防除・収量向上のために、日用品分野では
健康食品・食品添加剤・化粧品・整髪料・抗菌衣料・生
分解性プラスチックなどに、工業分野ではバイオリアク
ター・中高分子の分離精製技術など幅広い分野に利用さ
れるキチン・キトサン様物質の製造方法に関し、更に詳
細には、従来、主としてエビ・カニ等の甲殻から得てい
たキチン・キトサン様物質を、バクテリアにより製造す
る新規なキチン・キトサン様物質の製造方法に関する。
大量に廃棄されてきたが、これらの甲殻から抽出される
キチン・キトサンが、汚泥凝集作用において優れた効果
を発揮するだけでなく、生体との関係性を初めとして一
般産業分野においても優れた性質を有することが分かっ
てきたため、近年キチン・キトサンに対する需要が急激
に高まってきている。
キトサンは生体との適合性が極めて良好であり、医療分
野において人口皮膚・縫合糸・薬効調整剤・免疫強化剤
として利用が増大している。また、キチン・キトサン自
体やこれを分解して得られるキチンオリゴ糖やキトサン
オリゴ糖が生体の免疫増強作用を有することが分かり、
同時に感染微生物の増殖阻止作用も有することが分か
り、これらの作用を活用して新たな薬剤の開発が考えら
れている。
ず植物体との適合性もよく、農業分野おいて作物の病害
防除や収量向上のために利用されつつある。マッタケや
シイタケなどのキノコやチーズ全体を蔽うカビ等の菌類
の細胞壁がキチンを主成分として形成されていることか
らも理解できる。
剤として、また日用品分野では化粧品・整髪料・抗菌衣
料・生分解性プラスチックなどに多用されつつある。こ
れらもキチン・キトサンと生体との良好な関係を証明す
るものである。また、工業分野ではバイオリアクター・
中高分子の分離精製技術などにもその利用の道を広げて
いる。
水産加工場の廃棄物として集中的かつ大量に放出される
エビ・カニなどの甲殻を化学処理する方法が主流であ
る。しかし、甲殻のキチンは炭酸カルシウムのような無
機塩類、たんぱく質及び色素を含む脂質と共存し、相互
に強く結合している。
め、次のような化学処理が施される。まず、甲殻を水洗
・乾燥・粉砕して甲殻粉末を作る。次に、この甲殻粉末
から無機塩類を除去するため脱灰処理が施される。即
ち、甲殻粉末を希塩酸に二昼夜浸漬して、カルシウムな
どを塩化カルシウムとして溶解除去する。
く質を除去するためにアルカリ処理を施す。具体的に
は、甲殻粉末を薄い水酸化ナトリウム水溶液に入れ、36
時間煮沸し続ける。最後に得られるのが粗製キチンで、
これを更に精製して精製キチンが得られる。
る。一般的に、キチンはN−アセチルグルコサミンのポ
リマーであり、キトサンはグルコサミンのポリマーであ
る。従って、キトサンを製造するには、キチン分子を構
成するN−アセチルグルコサミンからアセチル基を除
去、即ちキチンを脱アセチル化することが必要になる。
処理により行う。つまり、キチンを30〜50%の濃い
水酸化ナトリウム水溶液中で加熱処理すると、キチン分
子中のアセチル基は水酸化ナトリウムのナトリウムイオ
ンと反応して酢酸ナトリウムになる。この酢酸ナトリウ
ムは水溶性であるから、アルカリ処理後の水洗によって
除去できる。
を脱アセチル化度と云う。キチンのアルカリ処理におい
て用いる水酸化ナトリウムの濃度、処理時間、処理温度
を変えることによって、各種の脱アセチル化度のキトサ
ンが得られる。脱アセチル化度を大きくするには、水酸
化ナトリウムの濃度を高くし、処理時間を長くし、処理
温度を高めることが必要である。
やカニの甲殻からキチンを抽出するには、強酸や強アル
カリ処理のような扱い難い工程が必要になる。また、た
んぱく質除去処理においてキチンの純度を高めるため
に、処理液の濃度や処理温度を高めたり、処理時間を長
くすると、必然的にキチンの低分子化が起こる。産業的
には高分子キチンが必要とされる分野も多く、従来製法
の改善が要求されていた。
め、化学的な加工が困難な物質である。一方、キトサン
はキチンより溶解性が優れているから、まずキチンを脱
アセチル化してキトサンを作り、 このキトサンを溶解処
理して化学的加工を施し、この中間物質をアセチル化し
てキチン誘導体を合成するというような煩雑なプロセス
を辿ることも多い。
ル化して得られるが、脱アセチル化は過酷な強アルカリ
処理によって行われるため、キトサンの低分子化を必然
的に伴う。キトサンは脱アセチル化度や分子量の違いに
よって物理的・化学的性質が微妙に異なるため、応用分
野毎にその目的に添ったグレードが求められる。従っ
て、キトサンの製造には、従来よりも脱アセチル化度や分
子量の精細な制御が要求されている。
は、カニやエビ等の甲殻を原料とする従来の製造方法に
束縛されることなく、全く独創的なキチン・キトサンの
製造方法が要求される。従って、本発明の目的は、カニ
やエビ等の甲殻を原料としない全く新規で独創的なキチ
ン・キトサンの製造方法を実現することである。
ン・キトサン様物質を産生するバクテリアを培地で培養
し、このバクテリアによりキチン・キトサン様物質を菌
体外に産生させ、産生されたキチン・キトサン様物質を
培地中に蓄積し、この培地を精製分離してキチン・キト
サン様物質を抽出することを特徴とするバクテリアによ
るキチン・キトサン様物質の製造方法である。
素源としている請求項1記載のバクテリアによるキチン
・キトサン様物質の製造方法である。
り、この培養液からキチン・キトサン様物質をエタノー
ル沈殿法又は膜ろ過法により濃縮回収する請求項1記載
のバクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方法
である。
ロバクター属細菌である請求項2記載のバクテリアによ
るキチン・キトサン様物質の製造方法である。
細菌がTKF04株(FERM P-16722)であ
る請求項4記載のバクテリアによるキチン・キトサン様
物質の製造方法である。
で培養pHが7〜10である請求項5記載のバクテリア
によるキチン・キトサン様物質の製造方法である。
様物質のゲルろ過クロマトグラフィによる分子量の分析
の結果が0.2万〜350万に分布する請求項1、2、
3、4又は5記載のバクテリアによるキチン・キトサン
様物質の製造方法である。
様物質の赤外吸収スペクトルが、少なくともOH伸縮振
動、CH伸縮振動、NH伸縮振動による吸収帯に加え
て、アミド基に由来するアミド■吸収帯、アミド■吸収
帯にキチン・キトサン特有のスペクトルパターンを有す
る請求項1、2、3、4又は5記載のバクテリアによる
キチン・キトサン様物質の製造方法である。
様物質の加水分解物のLC−MS分析によるマススペク
トルがグルコサミンと同様のマススペクトルを有する請
求項1、2、3、4又は5記載のバクテリアによるキチ
ン・キトサン様物質の製造方法である。
ン様物質の加水分解物の1H-NMR分析によるスペクト
ルが、グルコサミンと同様のスペクトルを有する請求項
1、2、3、4又は5記載のバクテリアによるキチン・
キトサン様物質の製造方法である。
ン様物質の加水分解物のGC−MS分析のマススペクト
ルが、グルコサミンと同様のマススペクトルを有する請
求項1、2、3、4又は5記載のバクテリアによるキチ
ン・キトサン様物質の製造方法である。
276160号公報において、シトロバクタ−属細菌T
KF04株(FERM P−16722)が新規な凝集
剤産生微生物であり、このバクテリアが従来とは異なる
全く新規な微生物凝集剤を産生することを見出した。ま
た、この微生物凝集剤が従来から用いられている無機凝
集剤や合成高分子凝集剤と同程度の凝集効果を発揮する
ことを発見し、しかもこの微生物凝集剤は環境を汚染し
ない安全な凝集剤であることを開示した。
シトロバクタ−・フロインジイとの高い相同性が認めら
れたが、生理特性やDNA塩基配列において若干の相違
が認められたので、新規なバクテリアであると考え、工
業技術院微生物工業技術研究所にFERM P−167
22として寄託した。従って、工業技術院微生物工業技
術研究所から所定の手続に基づき、TKF04株を入手
することができる。
明者等は、このシトロバクター属細菌TKF04株が産
生する微生物凝集剤の具体的化学物質を特定する研究を
続行した。以後、このTKF04株が産生する物質、即
ち微生物凝集剤をBF04と称し、このBF04の化学
物質の同定プロセスを説明する。
ィにかけて、凝集活性を有する画分の分子量を推定し
た。分子量分布は製造条件を変えるとかなり変動するこ
とが分かった。得られたサンプルの分子量分布の最大幅
は0.2万〜350万であった。図1はBF04のサン
プル群から選ばれた比較的低い方の分子量分布曲線の一
例である。BF04は実線で表され、主ピークが約32
0kDaに位置し、その左右の裾野が200kDa〜5
00kDaに分布している。
た各種の標準たんぱく質の分子量分布で、669kDa
はチログロブリン、440kDaはフェリチン、232
kDaはカタラーゼ、140kDaは乳酸デヒドロゲナ
ーゼ、67kDaは牛血清アルブミンである。
分にはたんぱく質や脂質はほとんど含まれておらず、主
要成分は、エルソン・モルガン反応で定量されるヘキソ
サミンであることが分かった。フェノール硫酸法により
多量の糖が含まれていることも確認され、BF04がア
ミノ基を有した糖類であることが分かった。
析によるFT−IR吸収スペクトルである。(a)はB
F04、(b)はキチン、(c)はキトサンを示してい
る。BF04には約3500(cm-1)及び1000〜
2000(cm-1)に特徴的な吸収スペクトルが見られ
る。これらの吸収スペクトル成分の基本構造は、(b)
及び(c)から分かるように、キチン或いはキトサンに
特有のOH伸縮振動(3440〜3480cm-1)、C
H伸縮振動(2878〜2960cm-1)、NH伸縮振
動(3260〜3270cm-1)、アミド基に由来する
アミド■吸収帯(1650〜1560cm-1)及びアミ
ド■吸収帯(1550〜1560cm-1)の存在を示唆
している。
関連する物質であると推定できる。このことを実証する
ために、キチン・キトサン様物質を構成分子にまで分解
する分解酵素をBF04に処理した。分解酵素として、
セルラーゼ、キチナーゼ及びキトサナーゼが選ばれた。
キチナーゼ、キトサナーゼはキチン、キトサンを分解す
る酵素である。その結果、BF04に見られた凝集活性
が、これらの分解物には見られなくなった。つまり、酵
素分解による低分子化が凝集活性を消失させたと理解で
きる。キチン・キトサンが凝集活性を有することは以前
から知られているから、この結果よりBF04がキチン
・キトサン様物質であることが強く支持された。
F04を酸で加水分解し、この加水分解物に対し薄層ク
ロマトグラフィ(TLC分析)、ガスクロマトグラフィ
質量分析(GC−MS分析)、液体クロマトグラフィ質
量分析(LC−MS分析)及びNMR分析を行った。一
方、市販のキチン、キトサンの酸加水分解物及びそれら
の構成成分であるグルコサミン、N−アセチルグルコサ
ミンの標準品に対しも、TLC分析、GC−MS分析、L
C−MS分析、NMR分析を行い、BF04加水分解物
に対する上記の分析結果と比較した。
G plate/Analtec Inc., USA, 展開溶液:n−ブタノ
ール:ギ酸:水=2:3:1)では、Rf=0.48〜
0.49に明確なスポットが見られたが、D-グルコサミ
ン標準品ではRf=0.49に同様のスポットが見られ、
両者が誤差範囲内で同一物質であることを示した。真正
のキチン及びキトサンの加水分解物のRfは夫々0.4
7〜0.48及び0.48〜0.49であった。従っ
て、 BF04の加水分解物がグルコサミンであり、キチ
ン及びキトサンの加水分解物とほぼ同等であることが強
く支持された。
はN−アセチルグルコサミンであるが、キチンを酸加水
分解すると、キチンは加水分解されると同時に脱アセチ
ル化も受け、その結果キチンの加水分解物はN−アセチ
ルグルコサミンでなくグルコサミンとなる。つまり、キ
チンとキトサンの加水分解物はグルコサミンという同一
物質になることを付記しておく。
析により得られたマススペクトルである。分子量が18
0に第1ピーク、162に第2ピークが特徴的に観察さ
れた。他方、 図4はグルコサミン標準品のLC−MSマ
ススペクトルである。分子量が180に第1ピーク及び
162に第2ピークを有することが同様に観察された。
この結果から、BF04を構成する単糖類がグルコサミ
ンであることが分かった。
サミン(b)を夫々アルジトールアセチル化しそれらの
誘導体をGC−MS分析することによって得られたマス
スペクトルである。両者ともスペクトルの分布が酷似し
ており、特にm/z値が114に第1ピークがあり、9
6に第2ピークがあり、84に第3ピーク及び139に第
4ピーク、241に分子イオンピークがある点で一致し
ている。
サミン(b)の1H−NMR分析図である。横軸は化学
シフトのδ値(ppm)で、縦軸は信号強度を示す。両
者を比較すると、スペクトルの全体像が一致しているこ
とが分かる。
フィ分析、FT−IR分析、分解酵素分析、TLC分
析、GC−MS分析、LC−MS分析及び1H−NMR
分析の全ての結果は、BF04がキチン・キトサン様物
質であることを支持している。
BF04はグルコサミンのポリマー物質であるキトサン
を主成分とし、またそれらの誘導体を含むキチン・キト
サン様物質であることが明らかとなった。この研究を通
して、本発明者等はバクテリアによりキチン・キトサン
様物質を生成する事実を初めて発見し、 この発見に基づ
いてキチン・キトサン様物質をバクテリアにより製造す
る本発明方法を完成したものである。
160号公報において開示されているように、TKF0
4株が培地中に産生するBF04は汚泥凝集性が極めて
高く、その凝集性能はカオリン凝集性によって代表され
ることが分かっている。この前段階の研究では、BF0
4がキチン・キトサン様物質であるとは断定出来なかっ
たが、本発明の研究において、BF04がキチン・キト
サン様物質であることが確定された。
は一般に知られているので、BF04がキチン・キトサ
ン様物質であることは、そのカオリン凝集性能によって
判定することが可能である。また、カオリン凝集性能が
低下するとBF04自体の低分子化が生起していると判
断できる。従って、以後の実施例においては、カオリン
凝集性能が極めて高いことによりキチン・キトサン様物
質が生成されていることの証左と考える。
質を生成するTKF04株の採集・選別方法、TKF0
4株の培養方法及びBF04の抽出精製方法につき実施
例により詳細に説明する。
同定]TKF04株は、既に本発明者等により自然界か
ら採集・選別され、工業技術院微生物工業技術研究所に
FERM P−16722として寄託されており、所定
の手続に従って入手することができる。しかし、このよ
うな株分けの方法によらず一般的に自然界から入手する
方法につき以下に説明しておく。
得られた。具体的には、農業・森林・庭の分野から14
種の汚泥、台所排水溝から9種の生物膜、スカムを含む
9種の活性スラッジ、4種の河水サンプル、家庭配水管
から4種の汚泥として採集された。これらのサンプルは
次に述べるAP培地で培養された。
培地と呼ぶ)は、1.0gの(NH4)2SO4、1.0
gのK2HPO4,0.05gのNaCl,0.2gのM
gSO 4・7H2O,1.0gのCaCl2,0.01g
のFeCl3と0.1gのイーストエキスをイオン交換
水1Lに分散させて得られる。このBM培地1Lに炭素
源として7.0gの酢酸ナトリウムと3.0gのプロピ
オン酸ナトリウムを混入させたものが酢酸・プロピオン
酸培地(以後、AP培地と呼ぶ)である。
酸は市販品でもよいが、下廃水汚泥に含まれる有機性汚
泥の嫌気性消化により得られたものでもよい。つまり有
機性汚泥を嫌気性菌で消化すると、大量の有機酸が得ら
れる。埋立地が無くなりつつある現在、汚泥の減容処理
は極めて緊急の課題であり、有機汚泥を消化して有機酸
を製造する方法は、汚泥の容積減少に役立つばかりでな
く、低価格の有機酸を提供できる点で画期的である。
である通性嫌気性菌や偏性嫌気性菌が行う有機酸発酵で
あり、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の低級脂肪酸
が生成され、特に酢酸やプロピオン酸がその中心であ
る。従って、この嫌気性消化により得られる低級脂肪酸
は本発明におけるAP培地の炭素源(基質とも云う)と
して積極的に活用することが望まれる。
プロピオン酸の濃度比は、有機性汚泥の嫌気性消化液に
おけるそれらの濃度比に合致するように調整されること
が望ましい。つまり、製造原価を低くするためにTKF
04株の採集・選別や培養を嫌気性消化液を用いること
が望ましいので、実験に用いられる酢酸やプロピオン酸
の濃度条件を汚泥消化有機酸の濃度条件に合致させるこ
とが望まれるからである。
aOHまたはHClで7.2に調整された。試験管の中
に10mLのAP培地を作り、このAP培地中に前記サ
ンプルを植種した。この試験管を30℃に保持して、回
転数120rpmの回転振とう器や往復振とう器で培養
した。バクテリアの増殖は培養液の濁度で判定され、そ
のために波長660nmの光を用いたOD660による濁
度測定が行われた。
間行われ、所定濃度に達した培地はカオリン懸濁液に投
入され、カオリン凝集効果が測定された。カオリン凝集
活性試験は次のように行われた。カオリン粒子(300
mesh、Kishida Chemical, Osaka)をイオン交換水に濃
度5000mg/Lで懸濁させる。TKF04株の培養
液1mLをサンプルとしてカオリン懸濁液10mLとと
もに試験管に投入し、試験管ミキサーで30秒間攪拌し
た後、5分間静置する。この後、カオリン懸濁液のOD
550(Aとする)をスペクトロフォトメータで測定す
る。一方、サンプルの代わりに1mLのイオン交換水を
投入した試験管をコントロールとして同条件下でOD
550(Bとする)を測定する。凝集活性値GはG=(B
−A)/B*100(%)で与えられる。3回測定の平
均値を凝集活性値とする。
ンプルがBF04産生菌と判定された。1564個の菌
サンプルをAP培地で培養した結果、104個の菌コロ
ニーがカオリン凝集活性を示した。特に、台所排水溝の
生物膜から得られたTKF04株が最高のカオリン凝集
活性を示した。
物の分類と同定」、学会出版センター(東京)、198
5年)に基づいてTKF04株の形態学的かつ生理学的
試験がなされた。API20Eの菌同定キット(BioMer
ieux S.A., Marcy l'Etoile, France)が予備的同定の
ために用いられた。バージイマニュアル(Bergey'smanu
al of systematic bacteriology、第1巻、Williams an
d Wilkins Co., Baltimore(1986))に従って最終的な菌
の同定が行われた。
で、桿菌であり、運動性がある。また、カタラーゼ陽性
で、オキシダーゼ陰性で、嫌気性条件下でグルコースか
ら酸を生成する。前記菌同定キットでは94.7%の確
率でTKF04株はシトロバクタ・フロインジイと同定
できる。TKF04株の16S rRNAの600塩基
以上の遺伝子解析の結果を、BLASTを用いながらG
enBankにあるシトロバクタ・フロインジイと比較
した。しかし、近似はしているものの完全な一致はみら
れず、他の生理学的試験結果を踏まえて、種まで特定す
ることはせず、TKF04株はシトロバクタ属の菌種で
あると判断するに留めた。
発明に係るバクテリアによるキチン・キトサン様物質の
製造装置の概略構成図である。培養装置2に炭素源とし
て有機酸CSを投入し、また他の栄養塩類NSも投入す
る。培養装置2内にはTKF04株を混入した培養液が
充填されている。後述する所定条件でTKF04株を培
養すると、TKF04株は培養液中にBF04を産生
し、培養液中のBF04濃度が増加する。一定濃度に達
した培養液を分離精製装置4に移送する。分離精製装置
4ではBF04、即ちキチン・キトサン様物質CCを濃
縮精製して分離し、残留液SLを排出する。
ナトリウムを基質(炭素源)として振とうフラスコを用
いた回分培養でBF04生産の最適化を行った結果、植
種量5%、酢酸ナトリウム10g/L、酵母エキス0.
5g/L、硫酸アンモニウム1g/Lの条件で構成され
た培養液に最大の凝集活性が認められた。下記に示す凝
集力価Hで表すと約900になる。
a2)で活性測定を行い、得られた凝集活性値(G1、
G2)により次式で算出する。試料量(a1、a2)は
凝集試験で添加する1mL中の量を希釈を考慮して求め
る。H=(10/a1)−[10(G1-50)(a2-a1)}/[a1・a2(G1-G2)]
この凝集力価Hは、試料1mLが何mLのカオリン懸濁
液の凝集活性を50%とできるかを示す。この凝集力価
Hは、凝集活性値Gと同様に、培養液の凝集力の強さ、
換言すれば培養液中のキチン・キトサン様物質の濃度を
反映し、凝集力価が大である程キチン・キトサン様物質
濃度も大と判断できる。
種々に変更され、最適の培養条件が探索された。まず、
TKF04株の炭素源依存性が調べられた。結果は表1
に示されている。 <表1 BF04生産に関する炭素源の効果> <炭素源> <TKF04増殖> <凝集活性値G(%)> 酢酸 ++ 95.6 プロピオン酸 + 98.4 酪酸 + no activity 乳酸 + 13.6 オレイン酸 ++ 18.5 ヘキサデカン + no activity メタノール − no activity エタノール − no activity グルコース ++ 12.9 ラクトース ++ 37.0 (−:no growth、 +:OD660=0.1 〜0.5、 ++:OD660=0.5〜1.5)
ロピオン酸を基質とした場合にのみ高いカオリン凝集活
性を示したが、他に増殖に利用できた乳酸、酪酸、オレ
イン酸、ヘキサデカン、グルコース、ラクトース等では
凝集活性を示さなかった。つまり、TKF04株が凝集
活性を示すBF04、即ちキチン・キトサン様物質を産
生するには、酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸で培
養することが必要であることが分かる。
に、酢酸培地又はプロピオン酸培地に各種の窒素源を投
入して、TKF04株の菌体増殖と産生されたBF04
の凝集活性が調べられた。培地として酢酸培地とプロピ
オン酸培地の2種類が用いられ、それぞれの培地に対し
て結果を表2に示す。ここで、酢酸培地はBM培地に酢
酸を7.0g/L添加し、プロピオン酸培地はBM培地
にプロピオン酸を3.0g/L添加したものである。 <表2 BF04生産に関する窒素源の効果> <窒素源> <酢酸培地> <プロピオン酸培地> <菌体増殖> <凝集活性> <菌体増殖> <凝集活性> NaNO3 + 20.0 + 12.0 NH4Cl ++ 96.6 ++ 96.8 NH4NO3 + 96.8 ++ 96.9 ウレア + 89.4 + 95.2 ペプトン ++ 93.8 + 86.2 肉エキス + 50.6 + 44.4 (NH4)2SO4 ++ 95.0 ++ 97.6 (+:OD660=0.1 〜0.5、 ++:OD660=0.5〜1.5)
が小さく、また肉エキスの効果も他と比べると低い。し
かし、これら以外の窒素源は共通して効果がある。つま
り、窒素源に関しては各種の窒素化合物を幅広く利用す
ることが可能である。
の凝集活性に関して、AP培地の培養温度条件を調べ
た。図8はTKF04株の菌体増殖に関する培養温度の
効果を示している。培養温度は3段階に分けられ、▲は
20℃、■は30℃、●は37℃の場合を示す。100
時間の培養試験で、常に37℃のときに最大の菌体増殖
を示した。つまり、TKF04の繁殖率は37℃で最大
になる。
る培養温度の効果を示している。図6と同様に、培養温
度は3段階に分けられ、▲は20℃、■は30℃、●は
37℃の場合を示す。TKF04を30℃で培養したと
きに産生されるBF04が常に最大の凝集活性を示すこ
とが分かった。この結果は菌体増殖の場合と異なる。
り依存しており、最良温度は30℃である。一方、菌体
増殖に関する最良温度は37℃であり、両者間には7℃
の開きがあった。しかし、キチン・キトサン様物質の最
大生成量は凝集活性により決められるから、キチン・キ
トサン様物質の生成には30℃の温度条件が好適である
と結論できる。しかも、培養後20〜80時間の間に産
生されたBF04の凝集活性が極めて大きい。この間
に、大分子量のキチン・キトサン様物質を得ることがで
きることを示す。
分かる。TKF04の菌体増殖とBF04の凝集活性と
は並行して増加して行き、特に、AP培地中での対数成
長期に凝集活性が増加する。その後も菌体増殖が続いて
いる間は、凝集活性の大きいBF04の産出が行なわれ
ているが、一定時間後に菌体が減少するようになると、
それにともない凝集活性の大きいBF04の産出も減少
してゆく。
の凝集活性に関して、AP培地の培養pH条件を調べ
た。図10はTKF04株の菌体増殖に関する培地の初
期pHの効果を示している。初期pHは7段階に分けら
れ、●はpH5.0、▲はpH6.0、■はpH7.
0、○はpH7.2、△はpH8.0、□はpH9.0
及び◇はpH10.0である。酸性側を示す●と▲では
菌体増殖はゼロであるが、塩基性では、つまりpHが
7.2〜10.0では高い菌体増殖を示している。
の初期pHの効果を示している。図10と同様の各種p
Hに関して凝集活性が調べられた。酸性側を示す●及び
▲では凝集活性は低いが、pHが7.2〜10.0では
培養時間にかかわらず高い凝集活性を示した。また、p
H7.0の中性では、高凝集活性を示す培養時期が塩基
性側よりもやや狭くなることが分かった。この傾向は図
10と同様である。
04株は培地の初期pHが7.2〜10.0の範囲で増
殖できることが分かった。しかも、このpH範囲内で
は、初期pHの違いはBF04の凝集活性にほとんど影
響を与えないことも分かった。従って、培養条件として
はかなり広いpHを利用することができる。
ールアップ試験を行ったが、回分培養では前述と同様の
培地を用いた場合にも凝集力価は100程度にとどまっ
た。しかし、培養系のpHを8に維持するために、酢酸
と酢酸アンモニウムを3.5:1〜5.5:1で混合し
た溶液を適宜流下するfed-batch 培養を行ったところ、
菌体濃度は約2日後に20g/Lに達し、凝集力価は2
000〜2500にも達した。
F04株の産生するBF04の活性は主に細胞外に認め
られたため、培養液から遠心分離により細胞を除去し、
その上清からBF04の回収を試みた。培養液からの生
産物回収の常法である硫安沈殿、ヘキサン等を用いた溶
媒抽出、酸性沈殿、アルカリ沈殿、エタノール等を用い
た溶媒沈殿などを検討した結果、培養上清のpHをNa
OHで12〜13に調整し、沸騰浴中に10分程度保つ
アルカリ沈殿法、及び培養上清の2倍容の冷エタノール
を添加し、―20℃で10〜20分静置するエタノール
沈殿法で、カオリン凝集活性を有するBF04の沈殿を
回収することができた。
集活性の多少のロスが認められたが、エタノール沈殿法
では安定してほぼ100%の凝集活性を有するBF04
の回収が可能であった。従って、このエタノール沈殿法
を本発明の標準法として採用することにした。
灰分を約50%含んでおり、水に対して難溶であった
が、pH2〜3の塩酸溶液に溶解し、透析することで脱
塩され、凍結乾燥後の有機成分が80%以上の若干水溶
性が高い白色粉末の粗精製物を得ることができた。この
粗精製法によれば、フラスコ回分培養及びジャーファー
メンター流下培養によって得られた培養液上清から、そ
れぞれ200mg/L及び500mg/L程度のBF0
4が得られた。このBF04が本発明が最終目的物とす
るキチン・キトサン様物質である。
は経済的とはいえないため、より効率的な方法として、
膜ろ過によるBF04の濃縮について検討した。分画分
子量50000の限外ろ過を培養液上清に施した濃縮で
は、ほぼ100%の凝集活性の回収が認められ、約10
倍程度にまで濃縮が可能となった。ただ、この濃縮品に
は分子量が50000以下の培地成分が濃縮されて混入
することがある。
適用して、不純物の混入が少ない濃縮法を行うことがで
きる。また、エタノール沈殿で培養液に加えるエタノー
ル量を2倍容から等容に減少させた場合でも、一晩保持
すればほぼ完全に凝集活性を有するBF04の沈殿物を
回収できることが明らかとなった。従って、エタノール
沈殿法を膜ろ過法と組み合わせればより効率的でコスト
削減できる濃縮法を提供できる。これはアルカリ沈殿法
と膜ろ過法の組み合わせでも同様である。
果]次に、培養・濃縮・分離されたBF04がキチン・
キトサン様物質であることが種々の科学的方法により決
定された。第1に、ゲルろ過クロマトグラフィにより、
多種類のBF04の分子量は10万〜350万に広く分
布することが分かった。これはBF04の製造条件によ
り分子量分布がかなり変動し、種々の分子量分布を有し
たBF04の製造が可能になることを示している。
の結果は表3に与えられている。グルコサミンが最大成
分であった。タンパク質は含まれず、有機窒素はグルコ
サミンとN−アセチルグルコサミンで説明できる。 <表3 BF04の成分分析の結果> 灰分 11.30% グルコサミン 71.81% N−アセチルグルコサミン 16.89% タンパク質 <0.01% <元素> 炭素 46.42% 窒素 8.44% リン 0.92%
チン・キトサンに類似した透過パターンであることを示
している。第4に、TLC分析は、BF04の加水分解
物の主要成分がグルコサミンであることを示し、しかも
このグルコサミンはキチン・キトサンの加水分解物と同
じ成分である。
理によって凝集活性を完全に消失し、また2時間のキト
サナーゼとセルラーゼ処理によって凝集活性がかなり減
少することが分かった。詳細は表4に掲載されている。
酵素処理の前後における凝集活性値に格段の変化が生じ
ていることが分かる。 <表4 分解酵素処理を受けたBF04の残留凝集活性> <酵素処理> <セルラーゼ> <キチナーゼ> <キトサナーゼ> 前 97.4% 94.5% 94.8% 後 53.7% 7.8% 38.1%
はキチン誘導体(例えば、キトサン)に類似した構造を
持つことを示している。
質であることが判明した。キチン・キトサンが凝集活性
を有することは従来から知られており、BF04が強い
凝集活性を有する事実もこのことから理解できる。次
に、BF04の凝集力について検討してみる。
添加によってどのように変化するかが検討された。カオ
リン懸濁液の中に0.1mLのカチオン溶液を添加し
た。Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Al3+、F
e3+のカチオン源としてNaCl、KCl、CaCl2
・2H2O、MgCl2・6H2O、FeCl2、AlCl
3・6H2O、FeCl3・6H2Oが選ばれた。
性の変化図である。●は無添加、▲はKCl添加、■は
NaCl添加を表す。BF04だけの無添加の場合
(●)が広範囲のカチオン濃度に対して凝集活性が一番
高いことが分かる。
性の変化図である。●は無添加、▲はCaCl2添加、
■はMgCl2添加、◆はFeCl2添加を表す。図10
と同様に、BF04だけの無添加の場合(●)がカチオ
ン濃度の全領域に対して凝集活性が一番高い。
性の変化図である。●は無添加、▲はAlCl3添加、
■はFeCl3添加を表す。無添加(●)とAlCl
3(▲)は同程度にカチオン濃度の全領域に対して凝集
活性が高い。FeCl3は高濃度側で凝集活性が低下す
る。
きに最も高い凝集活性を示すことが分かる。つまり、カ
チオンを一切添加する必要がないので、低価格で最高度
の凝集効果を発揮できることを意味する。本発明で用い
られるBF04はバクテリア産生のキチン・キトサン様
物質であり、従来の甲殻から得られるキチン・キトサン
よりも強力な凝集力を有するものと理解される。
凝集剤の典型はPAA(ポリアクリルアミド)であり、
無機系凝集剤の典型はPAC(ポリアルミニウムクロラ
イド)であった。BF04のカオリンに対する凝集力は
PAAより僅かに小さく、PACよりかなり大きいこと
が分かった。従って、従来の高分子系凝集剤や無機系凝
集剤に替えてBF04を使用できる。また、BF04は
pHが2〜11の範囲内でもカオリン凝集性能を有し、
しかも3〜95℃の範囲で有効に凝集効果を発揮できる
良好な特性を有している。
処理分野では凝集剤として、医療分野では人口皮膚・縫
合糸・薬効調整剤・免疫強化剤として、農業分野では作
物の病害防除・収量向上のために、日用品分野では健康
食品・食品添加剤・化粧品・整髪料・抗菌衣料・生分解
性プラスチックなどに、工業分野ではバイオリアクター
・中高分子の分離精製技術などの幅広い分野に利用され
る。従って、キチン・キトサン様物質であるBF04も
これらの分野に多角的に利用展開することができる。本
発明では主に凝集剤としての側面を取り上げて説明して
きた。しかし、凝集剤に限定されるものではなく、キチ
ン・キトサンが利用できる全分野に利用できることは当
然である。
種々に変更しながら、産生されるキチン・キトサン様物
質の分子量分布を測定したが、平均分子量や分布幅がか
なり変動することを見出した。キチン・キトサンの有す
る凝集活性などの性質はその分子量に依存する面があ
り、従って培養条件の変更によって性質の異なるキチン
・キトサン様物質を自在に製造することが可能となっ
た。
生するバクテリアとしてTKF04株に注目し、このT
KF04株の培養条件を各方面から検討して、本発明を
なすに到った。しかし、本発明の方法は、キチン・キト
サン様物質を産生するバクテリアであれば、基本的に適
用できるものであり、他のこの種バクテリアを用いたキ
チン・キトサン様物質の製造方法も本発明に包含される
ものである。
なく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種
々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含す
るものである。
培養してキチン・キトサン様物質を培地に産生・蓄積さ
せ、この培地を精製分離してキチン・キトサン様物質を
抽出分離できるから、全く新しいキチン・キトサン様物
質の製造方法を完成したものであり、培養条件を種々変
更することによって、各種の性状を有したキチン・キト
サン様物質を自在に製造することができる。
とする培地でバクテリアによりキチン・キトサン様物質
を製造できるから、市販の有機酸を利用するだけでな
く、家庭や産業から排出される下廃水中の有機汚泥を嫌
気性消化して酢酸・プロピオン酸などの有機酸を作れ
ば、原料コストを極めて低くでき、しかも汚泥の減容処
理に貢献することができる。
かつ大量に濃縮したキチン・キトサン様物質を回収する
ことができる。
く生息するシトロバクター属細菌を用いてキチン・キト
サン様物質を製造することができる。
属細菌の中のTKF04株(FERM P-1672
2)を用いてキチン・キトサン様物質を製造でき、この
菌株は工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されてい
るから、簡単に株分けを行うことができ、しかも直ちに
実施できる利点がある。
℃前後、培養pHを7〜10に設定してキチン・キトサ
ン様物質を製造でき、極めて制御しやすい温度条件・p
H条件であるため培養を効率よく行うことができる。
0.2万〜350万のキチン・キトサン様物質を製造で
き、平均分子量や分子量分布の異なる各種のキチン・キ
トサン様物質を製造できる。従って分子量に依存する各
種物性を有したキチン・キトサン様物質を製造すること
ができる。
トルが、少なくともOH伸縮振動、CH伸縮振動、NH
伸縮振動による吸収帯に加えて、アミド基に由来するア
ミド■吸収帯、アミド■吸収帯にキチン・キトサン特有
のスペクトルパターンを有するキチン・キトサン様物質
を製造することができる。
ン様物質の加水分解物のLC−MS分析によるマススペ
クトルがグルコサミンと同様のマススペクトルを有する
キチン・キトサン様物質を製造できる。
サン様物質の加水分解物の1H−NMR分析によるスペ
クトルが、グルコサミンと同様のスペクトルを有するキ
チン・キトサン様物質を製造することができる。
アルジトールアセチル誘導体化後のGC−MS分析のマ
ススペクトルが、グルコサミンと同様のマススペクトル
を有するキチン・キトサン様物質を製造することができ
る。
の分子量分布図である。
外分光分析によるFT−IR吸収スペクトルである。
られたマススペクトルである。
ルである。
ンのアルジトールアセチル誘導体化後のGC−MSマス
スペクトルである。
ンの1H−NMRスペクトルである。
ン様物質の製造装置の概略構成図である。
果図である。
の効果図である。
pHの効果図である。
の効果図である。
である。
である。
である。
は栄養塩類、CCはキチン・キトサン様物質、SLは残
留液。
様物質の赤外吸収スペクトルが、少なくともOH伸縮振
動、CH伸縮振動、NH伸縮振動による吸収帯に加え
て、アミド基に由来するアミドI吸収帯、アミドII吸収
帯にキチン・キトサン特有のスペクトルパターンを有す
る請求項1、2、3、4又は5記載のバクテリアによる
キチン・キトサン様物質の製造方法である。
析によるFT−IR吸収スペクトルである。(a)はB
F04、(b)はキチン、(c)はキトサンを示してい
る。BF04には約3500(cm-1)及び1000〜
2000(cm-1)に特徴的な吸収スペクトルが見られ
る。これらの吸収スペクトル成分の基本構造は、(b)
及び(c)から分かるように、キチン或いはキトサンに
特有のOH伸縮振動(3440〜3480cm-1)、C
H伸縮振動(2878〜2960cm-1)、NH伸縮振
動(3260〜3270cm-1)、アミド基に由来する
アミドI吸収帯(1650〜1560cm-1)及びアミ
ドII吸収帯(1550〜1560cm-1)の存在を示唆
している。
トルが、少なくともOH伸縮振動、CH伸縮振動、NH
伸縮振動による吸収帯に加えて、アミド基に由来するア
ミドI吸収帯、アミドII吸収帯にキチン・キトサン特有
のスペクトルパターンを有するキチン・キトサン様物質
を製造することができる。
Claims (11)
- 【請求項1】 培地でキチン・キトサン様物質を産生す
るバクテリアを培養し、このバクテリアによりキチン・
キトサン様物質を菌体外に産生させ、産生されたキチン
・キトサン様物質を培地中に蓄積し、この培地を精製分
離してキチン・キトサン様物質を抽出することを特徴と
するバクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方
法。 - 【請求項2】 前記培地が有機酸を炭素源としている請
求項1記載のバクテリアによるキチン・キトサン様物質
の製造方法。 - 【請求項3】 前記培地が培養液であり、この培養液か
らキチン・キトサン様物質をエタノール沈殿法又は膜ろ
過法により濃縮回収する請求項1記載のバクテリアによ
るキチン・キトサン様物質の製造方法。 - 【請求項4】 前記バクテリアがシトロバクター属細菌
である請求項2記載のバクテリアによるキチン・キトサ
ン様物質の製造方法。 - 【請求項5】 前記シトロバクター属細菌がTKF04
株(FERM P-16722)である請求項4記載の
バクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方法。 - 【請求項6】 培養温度が30℃前後で培養pHが7〜
10である請求項5記載のバクテリアによるキチン・キ
トサン様物質の製造方法。 - 【請求項7】 前記キチン・キトサン様物質のゲルろ
過クロマトグラフィによる分子量分析の結果が0.2万
〜350万に分布する請求項1、2、3、4又は5記載
のバクテリアによるキチン・キトサン様物質の製造方
法。 - 【請求項8】 前記キチン・キトサン様物質の赤外吸収
スペクトルが、少なくともOH伸縮振動、CH伸縮振
動、NH伸縮振動による吸収帯に加えて、アミド基に由
来するアミド■吸収帯、アミド■吸収帯にキチン・キト
サン特有のスペクトルパターンを有する請求項1、2、
3、4又は5記載のバクテリアによるキチン・キトサン
様物質の製造方法。 - 【請求項9】 前記キチン・キトサン様物質の加水分解
物のLC−MS分析によるマススペクトルがグルコサミ
ンと同様のマススペクトルを有する請求項1、2、3、
4又は5記載のバクテリアによるキチン・キトサン様物
質の製造方法。 - 【請求項10】 前記キチン・キトサン様物質の加水分
解物の1H-NMR分析によるスペクトルが、グルコサミ
ンと同様のスペクトルを有する請求項1、2、3、4又
は5記載のバクテリアによるキチン・キトサン様物質の
製造方法。 - 【請求項11】 前記キチン・キトサン様物質の加水分
解物のGC−MS分析によるマススペクトルがグルコサ
ミンと同様のマススペクトルを有する請求項1、2、
3、4又は5記載のバクテリアによるキチン・キトサン
様物質の製造方法。
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CN111529762B (zh) * | 2020-06-12 | 2022-07-08 | 江汉大学 | 壳聚糖水凝胶及制备方法、抗病毒喷剂、抗病毒液体手套 |
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