JP2002031236A - メタルガスケット - Google Patents

メタルガスケット

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JP2002031236A
JP2002031236A JP2000215461A JP2000215461A JP2002031236A JP 2002031236 A JP2002031236 A JP 2002031236A JP 2000215461 A JP2000215461 A JP 2000215461A JP 2000215461 A JP2000215461 A JP 2000215461A JP 2002031236 A JP2002031236 A JP 2002031236A
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metal gasket
ring portion
axial direction
height
gasket
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JP2000215461A
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English (en)
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Miyuki Yamanaka
幸 山中
Kenji Horii
賢二 掘井
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Original Assignee
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的に小さな締付力を加えるだけで、良好
な密封機能を発揮することができ、締付作業時に片締め
を起こしにくく、かつ使用中における締付力の変動など
があっても常に良好な密封機能を発揮することができる
メタルガスケットを提供する。 【解決手段】 全体が金属からなり、軸方向の両端面が
平坦な環状体である。内周側に配置され、軸方向の両端
面に至る周壁状の周壁環部12と、外周側に配置され、
周壁環部12の軸方向の両端で外周端からそれぞれ外周
側に延び、互いの間に間隙16を有する一対の張出環部
14、14とを備える。張出環部14は、周壁環部12
に接続する根元側の軸方向の高さhと、外周の先端側の
軸方向の高さh0 とが、h0 ≧hである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタルガスケット
に関し、詳しくは、金属の環状体で構成されていて、各
種の流体機器における流体通路の継目部分に配置されて
密封機能を果たすメタルガスケットを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】流体通路の継目部分を密封するガスケッ
トには、ゴムや合成樹脂を用いるもののほか、アルミや
銅、ステンレス等の金属を用いることが知られている。
金属を用いたガスケットすなわちメタルガスケットは、
所定の締付力が負荷されれば、ゴムなどを用いるガスケ
ットに比べて密封機能が高く耐熱性にも優れていること
から、原子力分野、半導体分野などにおける各種配管、
機械設備など、高温、高圧、真空、低温などの過酷な条
件下で用いられるガスケット材料として広く利用されて
いる。なかでも、半導体製造装置などのように、流体通
路を流れる流体への異物の混入を防がなければならない
場合には、ガスケットからの粉塵発生や粒子脱落、成分
溶解などが起こり難いメタルガスケットが有利である。
【0003】半導体製造装置などの場合、装置のコンパ
クト化を図るために、それに適したメタルガスケットが
要求される。コンパクト化が要求される装置の一例とし
て、半導体製造装置に供給されるガスを供給するための
ガス集積装置がある。このガス集積装置に使用されるメ
タルガスケットとして、断面O形のメタル中空Oリン
グ、断面C形のメタルCリング、断面四角形状のソリッ
ドガスケットなどがある。さらに、特開平11−118
036号公報には、断面の全体形状が矩形で外周面にク
サビ状の切り欠きを設けた断面Σ形のメタルガスケット
が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来のメタル
ガスケットには何れも問題がある。メタル中空Oリング
は、パイプを溶接して製造するため、製造工程が煩雑
で、高コストになり、量産性にも欠けるという問題があ
る。メタルCリングは、一方に開口部を有するために気
密性能に劣り、10-2〜10-5Pa・m3 /s程度の性
能しか発揮できない。半導体や原子力分野では、10
-10 〜10-12 Pa・m3 /sといった極めて高い気密
性が要求される場合があり、このような用途にはメタル
Cリングは使用できない。
【0005】ソリッドガスケットで十分な密封機能を発
揮させるには、ガスケットを塑性変形させるような大き
な締付力が必要であり、締め付けを行うためのフランジ
厚みやボルト径を大きくしたりボルト本数を増やしたり
しなければならず、装置のコンパクト化が図れない。ソ
リッドガスケットの幅を小さくすれば、ガスケットを塑
性変形させるための締付力が確保し易いが、締付けの際
の変形量が非常に大きくなるので、ガスケットの内外側
面に大きな荒れや剥離が生じるという問題が生じる。特
に、接ガス部である内径面荒れはパーティクル発生原因
となるため嫌われる。
【0006】Σ形メタルガスケットでは、外周側の先細
形状の突出部が変形することで、平形メタルガスケット
の問題をある程度までは解消することができる。しか
し、内周側の断面矩形の部分には、平形メタルガスケッ
トと同様の問題がある。すなわち、当接面積が広いた
め、発生する応力が小さく、密封機能が低い。また、締
付作業時に、断面矩形部分の両端面のうち一部だけがフ
ランジ面と当接する片当たりを生じ易く、密封機能が損
なわれる。本発明の課題は、比較的に小さな締付力を加
えるだけで、良好な密封機能を発揮することができ、締
付作業時に片締めを起こしにくく、かつ使用中における
締付力の変動などがあっても常に良好な密封機能を発揮
することができるメタルガスケットを提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるメタルガ
スケットは、全体が金属からなり、軸方向の両端面が平
坦な環状体であって、内周側に配置され、軸方向の両端
面に至る周壁状の周壁環部と、外周側に配置され、前記
周壁環部の軸方向の両端で外周端からそれぞれ外周側に
延び、互いの間に間隙を有する一対の張出環部とを備
え、前記張出環部は、周壁環部に接続する根元側の軸方
向の高さhと、外周の先端側の軸方向の高さh0 とが、
0 ≧hである。メタルガスケットの材料や基本的な構
造は、通常のメタルガスケットと共通する技術が適用で
きる。
【0008】メタルガスケットの材料には、ステンレス
鋼やアルミニウム、ニッケルその他の金属および合金が
用いられる。メタルガスケットの基本形状は、軸方向の
両端面が平坦な環状体である。メタルガスケットの内径
は、メタルガスケットを装着する流体通路の内径に合わ
せて設定される。但し、流体通路の内径とメタルガスケ
ットの内径とが正確に一致している必要はない。メタル
ガスケットの外径は、前記した内径寸法に密封機能を果
たすためのメタルガスケットの構造部分を加えた寸法に
なる。通常は、メタルガスケットを装着する流路部材の
構造に合わせて、メタルガスケットの外径の許容範囲が
決められる。
【0009】メタルガスケットの軸方向の高さは、メタ
ルガスケットの機械的強度や形状維持性、加工性などを
考慮して設定される。具体的な寸法は、使用用途や要求
性能によっても異なり、適宜決定される。例えば、ガス
集積装置に利用されるメタルガスケットでは、内径3〜
30mm、外径5〜40mm、高さ10〜20mmの範囲に設
定することができる。 〔周壁環部〕周壁環部は、比較的に剛性が大きく変形し
難い寸法形状に設定しておく。メタルガスケットに締め
付け力を加えたときに、軸方向に十分な反発力を示し、
内周面における荒れや剥離を起こし難いとともに、後述
する張出環部から加わるモーメント力によって外周側に
傾く方向への変形が可能なように設計しておく。
【0010】具体的には、メタルガスケットの材料ある
いは内径や軸方向の高さなどによっても異なる。例え
ば、ガス集積装置に利用されるメタルガスケットの場
合、周壁環部の幅Vを、0.3〜1.0mmの範囲に設定
しておくことができる。 〔張出環部〕一対の張出環部は、周壁環部とともにメタ
ルガスケットの断面構造を構成する。張出環部の軸方向
の外側端面は、周壁環部の軸方向の端面と同一面でつな
がり、メタルガスケットの端面を構成する。
【0011】張出環部は、軸方向の端面に締め付け力が
加わったときに、張出環部が根元側でつながる周壁環部
に対して、周壁環部を外側に傾けるようなモーメント力
が作用できる構造を有する。張出環部の間隙側の面は、
根元側の軸方向高さhと先端側の軸方向高さh0 とがh
0 ≧hの関係を満足すれば、具体的な形状や構造は限定
されない。根元側から先端側へと傾斜を有していてもよ
いし、平坦であってもよいし、段差がついていてもよ
い。一部または全体が湾曲面であってもよい。張出環部
の根元側の軸方向高さhは、メタルガスケット全体の軸
方向高さHに対して、h/H=1/2.2〜1/6の関
係に設定することができる。
【0012】メタルガスケットの装着にリテーナを使用
する場合、間隙の高さがリテーナの厚みよりも大きくな
るように、張出環部の根元側および先端側の高さh、h
0 を設定しておくことが好ましい。張出環部の径方向の
幅Wと周壁環部の径方向の幅Vとを、W/V=1/4〜
2/1の範囲に設定することができる。一対の張出環部
は、正確な対称形状であってもよいし、異なる形状であ
っても構わない。一対の張出環部で、根元高さhや先端
高さh0 が違っていてもよい。一対の張出環部が、メタ
ルガスケットの軸方向の何れか一方に偏って配置されて
いてもよい。
【0013】〔メタルガスケットの装着〕メタルガスケ
ットを装着する流体通路あるいは流体装置の基本的な構
造は、通常の流体通路および流体装置と同様でよい。流
体通路を構成する流路部材の継目にメタルガスケットが
装着される。継目で対向する両側の流路部材には、片方
あるいは両方に、メタルガスケットを装着するための凹
溝を設けることができる。流路部材同士は、メタルガス
ケットを中間に挟んだ状態で、流体通路の外周に配置さ
れた締付手段により締め付け固定される。締付手段とし
ては、通常はボルトが使用される。締付手段は、メタル
ガスケットの外周で複数個所に設けられる。
【0014】メタルガスケットは、金属薄板などからな
るリテーナに保持された状態で流体通路に装着すること
ができる。 〔メタルガスケットの用途〕本発明のメタルガスケット
は、通常の流体装置における各種の流体通路の密封構造
に適用できる。特に、大きな締め付け力を負荷すること
が困難であったり、高い密封性を要求されたり、小型化
が必要とされたりする用途に好適である。具体的には、
原子力分野、半導体分野における流体通路に適用でき
る。
【0015】
【発明の実施形態】〔メタルガスケットの構造〕図1、
2に示すメタルガスケット10は、ステンレス鋼からな
り、全体が円環状をなしている。図2に詳しく示すよう
に、メタルガスケット10の断面形状は、全体が矩形状
をなすとともに、内周側の周壁環部12と外周側の張出
環部14との2つの部分で構成されている。周壁環部1
2は、メタルガスケット10の内周側を構成しており、
断面矩形状をなしている。周壁環部12の上下端面はメ
タルガスケット10の上下面すなわち軸方向の両端面を
構成する。
【0016】張出環部14は、周壁環部12の外周側の
側端面から外側に向かって延びている。周壁環部12の
上下に一対の対象形状をなす張出環部14、14が配置
されている。上下の張出環部14の間には間隙16があ
いている。上側の張出環部14については、上面が周壁
環部12の上面と同一面で外側に延びメタルガスケット
10の軸方向端面を構成している。張出環部14の高さ
は、周壁環部12と隣接する根元側の高さhが、外周側
の先端側の高さh0 よりも小さくなっており、張出環部
14の下面が、根元側から先端側へと低くなる傾斜面に
なっている。張出環部14の先端面は垂直面である。
【0017】下側の張出環部14については、上側の張
出環部14と対象形状である。具体的には、下面が周壁
環部12の下面と同一面で外側に延びメタルガスケット
10の端面を構成している。周壁環部12と隣接する根
元側の高さhが、外周側の先端側の高さh0 よりも小さ
くなっている。張出環部14の上面は、根元側から先端
側へと高くなる傾斜面である。先端面は垂直面である。
上下の張出環部14の中間に構成される間隙16は、奥
側が広く先端側が狭くなった、あり溝形状をなしてい
る。 <メタルガスケットの具体例> 材質=SUS316L 内径D=4.7mm 高さH=1.7mm 周壁環部の幅V=0.6mm 張出環部の幅W=0.4mm 張出環部の根元高さh=0.65mm 張出環部の先端高さh0 =0.65mm h/H=1/2.6 W/V=1/1.5 〔メタルガスケットの取付構造〕図3、4は、メタルガ
スケット10の取付状態を示している。
【0018】図3に示すように、一対の流路部材20、
30の継目部分にメタルガスケット10を装着して密封
を図る。流路部材20、30には流路22、32を有し
ている。流路部材20、30の合わせ面には、メタルガ
スケット10を収容する凹溝24、34が設けられてい
る。流路部材20、30を合わせてボルトで締め付け固
定する際に、凹溝24、34にメタルガスケット10を
装着しておく。メタルガスケット10の上下面を流路部
材20、30で上下から圧接することで、メタルガスケ
ット10と流路部材20、30との当接面が密接して封
鎖された状態になり、流路22、32を通過する流体
が、流路部材20、30の継目から外部に漏れることを
防ぐ。したがって、メタルガスケット10の軸方向の両
端面は凹溝24、34の溝底面に当接する必要がある
が、メタルガスケット10の外周端面については凹溝2
4、34の溝側面との間に隙間があいていてもよい。
【0019】〔リテーナ〕メタルガスケット10は、リ
テーナ40に保持された状態で、流路部材20、30に
取り付けることができる。図4に示すように、リテーナ
40は、流路部材20、30の対向面に挟み込まれる程
度の薄い金属板からなり、中央にはメタルガスケット1
0が装着される装着孔42が加工されている。装着孔4
2は、メタルガスケット10の外径よりも狭い幅の矩形
状をなすとともに、矩形の長辺に、メタルガスケット1
0の周壁環部12の外径に対応して凹んだ円弧凹部44
を有している。リテーナ40の四隅には、取付孔46が
加工されている。
【0020】メタルガスケット10を、リテーナ40の
装着孔42に差し込み、メタルガスケット10の周壁環
部12よりも外側の張出環部14が、装着孔42の円弧
凹部44に沿って係止されるように配置することで、リ
テーナ40に対してメタルガスケット10が保持され
る。図3に示すように、リテーナ40に保持された状態
のメタルガスケット10を、流路部材20、30の間に
配置し、リテーナ40の取付孔46を流路部材20、3
0の同じ位置に設けられた取付孔(図示省略)に位置合
わせすれば、メタルガスケット10と流路部材20、3
0との芯合わせが簡単かつ確実に行える。リテーナ40
の取付孔46にボルトを挿入して流路部材20、30を
締め付ければ、メタルガスケット10を正確に位置決め
した状態で、流路部材20、30に対して装着し固定す
ることができる。
【0021】また、流路部材20、30に装着するまで
のメタルガスケット10の取扱いを、リテーナ40に取
り付けた状態で行えば、メタルガスケット10の表面を
汚したり変形させたり損傷したりすることが防止でき
る。 〔メタルガスケットの密封作用〕図5は、メタルガスケ
ット10を流路部材20、30に取り付けたときの密封
作用を模式的に示している。図では、流路部材20、3
0については、凹溝24、34の形状を省略して平坦形
状で示している。図5(a) に示すように、メタルガスケ
ット10を流路部材20、30の間に配置して、流路部
材20、30の一方のボルトを締め付ける。図中で、白
矢印で示されている側のボルトを締め付ける。ボルトで
締め付けられた側では、流路部材20、30の間隔が狭
くなり、流路部材20、30の間に挟まれたメタルガス
ケット10が上下から押圧される。但し、流路部材2
0、30のうち、ボルトで締め付けていない側では相対
的に間隔が広い状態である。流路部材20、30は互い
に平行ではなく傾斜したテーパー状態になる。
【0022】メタルガスケット10のうち、締め付け側
では、外周側に配置される上下の張出環部14が間隙1
6を狭くするように変形する。内周側の周壁環部12は
張出環部14のようには容易に変形しない。その結果、
メタルガスケット10の軸方向の両端面が、流路部材2
0、30のテーパーにしたがうテーパー状に変形するこ
とになる。メタルガスケット10の周壁環部12の軸方
向端面のうち、最も内周側の隅部13に応力集中が生
じ、この部分が局部的に塑性変形を起こすことで、メタ
ルガスケット10と流路部材20、30とが強く押圧さ
れた状態で隙間なく密接することになり、良好な密封状
態が得られる。
【0023】図5(b) に示すように、図5(a) とは反対
側のボルト(白矢印で示す)を締め付けると、メタルガ
スケット10のうち、図5(a) とは反対側の位置で図5
(a)と同様の現象が生じる。すなわち、外周側に配置さ
れた上下の張出環部14が間隙16を狭くするように変
形し、周壁環部12の内周側の隅部13に応力集中が生
じて塑性変形を起こし、良好な密封状態が得られる。図
5(b) で、上下の流路部材20、30は、メタルガスケ
ット10に対して、図5(a) でボルト締め付けが行われ
て塑性変形を起こした内周隅部13を支点にして、ボル
ト締め付け側(白矢印側)がより狭くなるように締め付
けられることになる。したがって、先に塑性変形を起こ
した内周隅部13でも流路部材20、30からの締め付
け力は十分に作用しているので、メタルガスケット10
と流路部材20、30との密封機能が低下する心配はな
い。
【0024】図5(c) に示すように、流路部材20、3
0の全ての方向でボルトを均等に締め付けた状態では、
メタルガスケット10の全周において、外周側の張出環
部14が間隙16を狭くするように変形し、周壁環部1
2の内周側の隅部13に応力集中が生じ塑性変形を起こ
す。この内周隅部13の局部的な塑性変形が、メタルガ
スケット10の全周において流路部材20、30と間に
高い密封状態を達成することになる。この場合の密封作
用は、常に、メタルガスケット10の周壁環部12の内
周隅部13に大きな応力集中あるいは塑性変形が生じる
ことで達成され、メタルガスケット10と両側の流路部
材20、30との間における良好な「なじみ」状態で常
に維持されることになる。
【0025】その結果、比較的に小さな締め付け力で締
め付けるだけでも、確実な密封機能を果たすことがで
き、使用中における密封機能の低下も起こり難い。ま
た、流路部材20、30に同じメタルガスケット10を
装着したままで、流路部材20、30の締め付けおよび
開放を繰り返しても、メタルガスケット10は同じ内周
隅部13が塑性変形を起こして密封機能を果たすことに
なる。したがって、メタルガスケット10の交換なし
で、流路部材20、30の繰り返し使用が可能になる。
従来、メタルガスケットは、一度塑性変形を生じさせて
密封機能を発揮させたあと、同じメタルガスケットを再
び締め付けても、塑性変形による密封機能は発揮できな
いため、メタルガスケットの再利用はできないとされて
いた。メタルガスケットを装着した密封継手では、密封
継手を開閉する都度、未使用品のメタルガスケットに交
換していた。
【0026】これに対し、前記した本発明のメタルガス
ケット10では、所定の個所に装着して締め付け密封機
能を発揮させて使用したあと、密封面を開放し、もう一
度締め付けた場合、再び十分な密封機能が発揮されるこ
とが確認された。複数回の締め付けおよび開放動作の繰
り返しを行っても、密封機能が発揮できた。メタルガス
ケット10の特定の試料では、17回目の締め付け作業
でも、それまでと同じトルクで十分な密封機能を発揮さ
せることができた。 〔メタルガスケットの挙動〕図6は、メタルガスケット
10の締め付け時における挙動をより詳しく示してい
る。但し、説明を分かり易くするために、メタルガスケ
ット10の上側半分における挙動のみを図示している。
実際には、下側半分についても同様の挙動を示す。
【0027】メタルガスケット10に、前記したボルト
の締め付けに伴う外力が作用すると、周壁環部12は剛
性が高く容易には変形し難い。これに対して、間隙16
が存在するために下方側には変形し易くなっている張出
環部14は、外周側が低く内周側が高くなる傾斜状態に
変形する。このとき、張出環部14には外周側を下側に
旋回させるようなモーメント力が働く。このモーメント
力は、張出環部14がつながっている周壁環部12に対
しても作用する。周壁環部12は、外側に傾くように変
形する。言い換えると、張出環部14と周壁環部12と
が元の形状を保ったままで、外側に傾くように変形する
ことになる。
【0028】この変形によって、周壁環部12の内周側
の隅部13は、外周側に比べて相対的に持ち上げられる
ようになり、上方に当接する流路部材20(図示省略)
に対して大きな反発力を与え、内周隅部13に大きな応
力集中が発生する。内周隅部13よりも低くなった外周
側では、大きな応力が発生することはない。上記作用
は、張出環部14および周壁環部12が、全体として外
側に旋回するような変形を起こすことによって果たされ
る。張出環部14そのものが変形し易い構造であって
は、張出環部14の内部変形のみで外力が吸収されてし
まうので、張出環部14から周壁環部12を旋回させる
ような作用が生じない。
【0029】例えば、図7に示すΣ形メタルガスケット
10xの場合、本発明の実施形態に対応する構造とし
て、内周側には周壁環部12x、外周側には張出環部1
4xを備えている。但し、張出環部14xは、根元側か
ら先端側へと厚みが少なくなるテーパー形状になってい
る。図7のΣ形メタルガスケット10xに、図6の説明
と同様の締め付け力を加えると、張出環部14xは外周
側ほど薄くて変形し易いので、張出環部14xの外周側
が垂れ下がるように変形することで外力を吸収する。そ
のため、張出環部14xから内周側の周壁環部12xへ
とモーメント力が伝わらない。周壁環部12xは直立し
た状態を維持するだけである。流路部材20から加わる
締め付け力は、周壁環部12xの軸方向端面全体でほぼ
均等に負担される。したがって、密封機能に関与する面
積は増えるが、メタルガスケット10xに発生する応力
は小さくなってしまい、応力集中あるいは塑性変形に伴
う高い密封作用を発揮することができない。
【0030】図6の実施形態では、張出環部14の構造
が、根元側よりも先端側のほうが厚みがあって変形し難
い構造になっているので、張出環部14の先端側だけが
垂れ下がるように変形してしまうことはなく、張出環部
14の全体が元の形状を保ったままで周壁環部12を外
側に旋回させるようなモーメント力を十分な大きさで発
生させることができるのである。 〔気密性能〕本発明のメタルガスケットの気密性能を測
定し評価した結果を示す。 実施例1:図2に示す構造 具体的寸法は前記<メタルガスケットの具体例>参照。
【0031】比較例1:Σ形ガスケット(特開平11−
118036号公報記載品) 比較例2:C形ガスケット 比較例3:平形ガスケット 材質(SUS316L)および呼び寸法(外径7.1m
m、内径4.7mm、高さ1.7mm)は、全ての実施例お
よび比較例で同じである。実施例1の寸法Wと、比較例
1の切り込み深さは同じである。 <試験方法>図3に示す構造の流路部材に取り付けて、
段階的に締め付け荷重を増やし、そのときの締付力と歪
量とを計測した。
【0032】また、各段階において、流路にヘリウムガ
スを流したときの漏れ量を、ヘリウムリークディテクタ
ーで測定した。 <測定結果>図8は、各実施例および比較例の測定結果
をグラフにしている。グラフ中の各点は以下を意味す
る。 S0 :ヘリウムの漏れ量が、ヘリウムリークディテクタ
ーの検出感度(2×10-12 Pa・m3 /s)以下にな
る点。締め付け力を原点からS0 点まで増やしている間
では、密封機能は発揮できない。
【0033】S :所定の締め代を与えた点。最大締付
力が示される。 S1 :S点から徐荷していったときに、ヘリウムの漏れ
量が、前記したヘリウムリークディテクターの検出感度
以下を保持できる限界点。したがって、S1 点よりも締
付力が小さくなれば、密封機能は発揮できない。使用可
能な最小締付力を示す。ガスケットとして使用できる範
囲は、S0 点からS点を経てS1 点に至る経路の範囲と
なる。各実施例および比較例における各点の測定値を、
下表に示す。 ────────────────────────────────── 実施例 比較例1 比較例2 比較例3 ────────────────────────────────── S0 (密封機能発現点) 4700 5270 1830 − S (最大締付点) 10710 6520 3120 − S1 (最小締付点) 1130 2530 740 − S−S1 9580 3990 2380 − ────────────────────────────────── 単位:N <評 価>比較例1(Σ形ガスケット)は、S0 点とS
点とが非常に接近しており、S0−Sの区間が短い。ま
た、S点とS1 点との間も接近している。このことか
ら、比較例1では、適正な締付力を与えることが難し
い。ガスケット高さ、溝深さの寸法公差のバラツキによ
って、密封機能が達成できない可能性もある。
【0034】比較例2(C形ガスケット)は、S点とS
1 点との間の締付力の差が小さいので、運転時における
振動や熱サイクルなどの要因で、締付力の低下が生じた
場合に、密封機能が損なわれる可能性がある。比較例3
(平形メタルガスケット)では、所定の締め代になるま
で締め付け力を負荷しても、漏れはヘリウムリークディ
テクターの検出感度以下にならなかった。高い密封機能
が要求される個所では、平形メタルガスケットは使用で
きない。実施例1(本発明の実施品)は、S0 点とS点
とが離れており、S点とS1 点との差も他のガスケット
に比べて大きい。したがって、S0 −S−S1 に至る経
路のどの段階でも良好な密封機能が発揮できる。このこ
とは、ガスケット高さ、溝深さの寸法公差、使用中の振
動や熱サイクルなどの各種の変動要因が加わっても、安
定した密封機能を維持できることを意味している。
【0035】〔別の実施形態〕図9は、前記実施形態と
は形状の異なるメタルガスケットを表している。図9
(a) は、張出環部14の根元側高さhが先端側高さh0
と同じ場合である。図9(b) は、張出環部14が周壁環
部12につながる部分の形状が弧状をなしている。この
場合、張出環部14の幅Wと周壁環部12の幅Vは、弧
状部分の最奥部を基準にして決める。また、張出環部1
4の根元側の高さhは、弧状部分から張出環部14の傾
斜面に移行する位置で、張出環部14の高さが最も小さ
くなる位置で決める。
【0036】
【発明の効果】本発明にかかるメタルガスケットは、周
壁環部の外周に特定の寸法構造を有する一対の張出環部
を配置していることにより、締め付け力が負荷されたと
きに、周壁環部の内周側の隅部に大きな応力集中つまり
塑性変形を生じ、高い密封機能を発揮することができ
る。締め付け力の変動や使用環境の変化があっても、高
い密封機能を安定して長期にわたって発揮することが可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表すメタルガスケットの
平面図
【図2】 前図のA−A線拡大断面図
【図3】 使用状態の断面図
【図4】 使用状態の一部切欠平面図
【図5】 荷重の負荷状態を説明する模式図
【図6】 断面の変形状態を説明する模式図
【図7】 参考技術における断面の変形状態を説明する
模式図
【図8】 気密性能試験の結果を示すグラフ
【図9】 別の実施形態を表すメタルガスケットの断面
【符号の説明】
10 メタルガスケット 12 周壁環部 13 内周隅部 14 張出環部 16 間隙 20、30 流路部材 22、32 流路 24、34 凹溝 40 リテーナ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全体が金属からなり、軸方向の両端面が平
    坦な環状体であって、 内周側に配置され、軸方向の両端面に至る周壁状の周壁
    環部と、 外周側に配置され、前記周壁環部の軸方向の両端で外周
    端からそれぞれ外周側に延び、互いの間に間隙を有する
    一対の張出環部とを備え、 前記張出環部は、周壁環部に接続する根元側の軸方向の
    高さhと、外周の先端側の軸方向の高さh0 とが、h0
    ≧hであるメタルガスケット。
  2. 【請求項2】前記張出環部の根元の軸方向の高さhと前
    記メタルガスケット全体の軸方向の高さHとが、h/H
    =1/2.2〜1/6である請求項1に記載のメタルガ
    スケット。
  3. 【請求項3】前記張出環部の径方向の幅Wと前記周壁環
    部の径方向の幅Vとが、W/V=1/4〜2/1である
    請求項1または2に記載のメタルガスケット。
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