JP2002030102A - 豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法 - Google Patents

豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法

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JP2002030102A JP2000218684A JP2000218684A JP2002030102A JP 2002030102 A JP2002030102 A JP 2002030102A JP 2000218684 A JP2000218684 A JP 2000218684A JP 2000218684 A JP2000218684 A JP 2000218684A JP 2002030102 A JP2002030102 A JP 2002030102A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品工業や医薬品工業などにおいて有用なペ
クチン質を、特に大豆資源の有効活用という観点から大
豆種子から効率的かつ経済的に製造する新規な抽出製造
法を提供する。 【解決手段】 豆科植物から高純度ペクチン質を製造す
る方法が、(1).豆科種子及び/又は豆科種子の残渣物を
水とともに加熱処理し、種皮部と子葉部の間を離脱させ
る工程、(2).ペクチン質が不溶の溶媒中で種皮部を破壊
し、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を前記溶
媒中で不溶化させる工程、(3).ペクチン質を分離する工
程、から成ることを特徴とする豆科植物からの高純度ペ
クチン質の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品産業や医薬品
産業などにおいて用いられているペクチン質(ガラクツ
ロナンを主体とする一群の多糖類の総称で、以下、単に
ペクチンということがある。)の効率的かつ経済的な製
造方法に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、従来においては
経済的かつ工業的な抽出製造法が知られていない豆科植
物の種子及び/又はその利用残渣物から高純度のペクチ
ン質(pectic substances)を効率的
かつ経済的に抽出することができる新規な高純度ペクチ
ン質の製造方法を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】ペクチン質は、ジャムやマーマレードの
増粘剤として食品産業に古くから使用されている我々に
とって馴染みの深い天然高分子多糖類である。その用途
は拡大し、最近では、酸乳(酸性乳飲料)の安定剤や、
化粧品のクリームの乳化剤などに応用されている。
【0004】ペクチン質は陸上のあらゆる高等植物に含
有されている多糖類であり、含有率や組成は植物の種類
によって異なるが、いずれもD−ガラクツロン酸および
そのメチルエステルがα−1、4グリコシド結合によっ
て直鎖状に結合した高分子が主体であるとの基本的な点
では一致している。D−ガラクツロン酸以外にアラビノ
ース、ラムノース、キシロース、フコースなどの中性糖
も含まれている。
【0005】従来より植物体からペクチンを抽出、製造
する実験室的方法あるいは工業的方法としては、種々の
方式のものが知られている。
【0006】例えば、実験室的製法としては、植物体を
希塩酸、シュウ酸、ヘキサメタン酸、乳酸などの溶液で
加温抽出し、次いで抽出液にアルコールを加えて沈殿さ
せる。そして沈殿物(ペクチン質)の生成には透析、ア
ルコールによる再沈殿、またはカルシウムやアルミニウ
ムなどの塩にして沈殿させ、生成してから金属を除く方
法などが知られている。
【0007】次に、工業的製法についてみてみる。ペク
チンの工業的製法としては、大きく分けてHM(ハイメ
トキシル)ペクチン及びLM(ローメトキシル)ペクチ
ンが製造され、原料して柑橘類や林檎が用いられ、実際
にはレモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツや林
檎の果汁や精油生産の副産物である抽出残渣を原料とし
て製造されている。なお、果汁残渣中のペクチン質含有
量は柑橘類で20〜40%、林檎で10〜20%であ
る。
【0008】より具体的に従来のペクチン質の工業的製
法を説明すると、従来法ではペクチン質を含む果汁抽出
残渣などから、ペクチン質のみを抽出するため、適当量
の酸溶液(pH1.5〜4.0)を加え、60〜100
℃で数時間加熱し、濾過後、得られた粗製ペクチン溶液
(柑橘類、林檎などの果汁抽出残渣を原料としているた
め、遊離の糖等の不純物が多量に混入している。)を濃
縮する。ペクチン質はエタノールに不溶性の性質を示す
ため、エタノールを加え沈殿させる。さらに不純物を除
去するために沈殿物を酸性エタノール等を用いて洗浄す
る。その後、乾燥、粉砕、混合、標準化といった多くの
工程を経て、HM(ハイメトキシル)ペクチンおよび、
LM(ロウメトキシル)ペクチンを製造している。
【0009】しかしながら、従来のペクチン質抽出法
は、抽出時に酸性環境下で過熱処理などハードな条件
(pH1.5〜4.0、温度60℃〜100℃で数時
間)での処理を行うため、ペクチン質が加水分解を受
け、脱エステル化、低分子化してしまうという問題があ
る。そのため、例えば食品のゲル化剤として使用する場
合、分子量が大きければゲル強度が強いため、ペクチン
質の添加量を低く設定することが可能であるが、分子量
が低いため希望のゲル強度を得るために、添加量を多く
設定せざるをえなく、その結果、本来もつ嗜好性が低下
するという問題と多量にペクチン質を添加するため、原
料コストが高くなるという問題も合わせて生じる。
【0010】更に、現在、ペクチン質は酸乳飲料などの
カゼイン沈降防止剤(安定化剤)として広く使用され、
今後も広く各分野において利用されると予想される。こ
のためHMペクチンを従来法に従って製造すると、酸性
環境化での過熱抽出工程において、ペクチン質の骨格で
あるガラクツロン酸のカルボキシル基(COO-)が影
響をうけ、メチル化されているもの(COOCH3)に
関しては、容易にメチル基(CH3)が離脱してしま
い、メチル基の多いHMペクチンが得られにくいという
問題がある。そのため、酸乳飲料の安定剤として使用す
る場合においても、メチル基含量が低いため、カゼイン
を分散させるために必要な安定化力が得られにくいとい
う問題がある。更にまた、従来法によるペクチン質の製
造は、工程が複雑であることから高価であるという問題
がある。
【0011】前記したように、従来のペクチン質抽出法
は、基本的には原料を酸性溶液中に入れ、過熱しペクチ
ン質を抽出するといった方法であるが、この方法では、
前記のように脱メチル化と低分子化が回避できない。最
近、脱メチル化を防止するため、原料を予め浸漬する方
法などが試みられているが、完全な防止策にはなってい
ないのが現状である。このような点で、原料中には高分
子、高メチル基ペクチン質が含有されているにもかかわ
らず、抽出工程によって低分子、低メチル基ペクチン質
になってしまうのが従来の方法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、従
来、ペクチン質は、柑橘類や林檎の果汁や精油生産の副
産物である抽出残渣を原料として製造され、抽出工程も
複雑である。そして、従来のペクチン質の製造技術は前
記したように種々の欠点を有するものである。
【0013】本発明者は、従来のペクチン質の抽出製造
法の限界に鑑み、ペクチン質の新たな製造技術について
鋭意検討を加えた。もとより、本発明者は、原料中に含
まれているペクチン質をクルードの状態で、簡便な方法
で高純度で、かつ経済的に抽出が可能となれば、簡単に
高分子、高メチル基ペクチンが得られ、ペクチン質の用
途も従来とは比べものにならない程広がるという確信を
もって研究開発を進めた。
【0014】その結果、豆科植物がペクチン質を多く含
有することに注目し、豆科種子及び豆科種子から得られ
る残渣物(脱皮粕、搾油残渣物など)からペクチン質を
抽出する方法が極めて有効であることを見い出した。即
ち、本発明者は、これら出発原料においては、抽出溶媒
を基本的には水とすることができるため、抽出時にほと
んど加水分解が起らず、従って、従来から問題となって
いた抽出操作時に生じる脱メチル化や低分子量化が起ら
ず、豆科植物体に含まれているクルードの状態(ネイテ
ィブの状態、自然な状態)のペクチン質が得られるこ
と、また、原料の選択によりLMペクチンやHMペクチ
ンの製造が容易になる、という有用な知見を見い出し
た。
【0015】本発明は前記知見をベースにして完成され
たものである。本発明により、食品工業や医薬品工業な
どにおいて有用な高純度ペクチンを効率よくかつ、経済
的に製造することができる新規な高純度ペクチン質の製
造方法が提供される。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、豆科植物から高純度ペクチン質を製造する方法
が、(1).豆科種子及び/又は豆科種子の残渣物を水とと
もに加熱処理し、種皮部と子葉部の間を離脱させる工
程、(2).ペクチン質が不溶の溶媒中で種皮部を破壊し、
種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を前記溶媒中
で不溶化させる工程、(3).ペクチン質を分離する工程、
から成ることを特徴とする豆科植物からの高純度ペクチ
ン質の製造方法に関するものである。
【0017】以下、本発明の技術的構成及び実施態様に
ついて詳しく説明する。
【0018】図1は、大豆種子の断片(断面)を示すも
のであり、かつ、本発明が立脚する重要な知見を図示し
たものである。即ち、図1は大豆種子(1)が、種皮部
(11)と子葉部(12)の間にペクチン質を多量に含
有するペクチン質含有層(13)が存在することを示し
ている。本発明は前記知見をベースにするものであり、
大豆種子からペクチン質を製造するための従来技術にお
いて、前記知見を利用したものは存在しない。前記した
ペクチン質含有層(13)の存在は、大豆切片をルテニ
ウムレッドにより処理するとペクチン性多糖類は赤く染
色するため、容易にその存在を確認することができる。
【0019】前記したことから明らかのように、本発明
の高純度ペクチン質の抽出製造法は、各種の豆科種子か
らペクチン質を抽出製造する際、種皮部と子葉部の間に
存在するペクチン質を高濃度に含有するペクチン質含有
層を利用するため、抽出操作後に残る子葉部は本来の応
用製品、例えば、大豆種子の場合は豆腐や大豆油などの
応用製品に有効活用することができるという特徴があ
る。即ち、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法は、
各種豆科種子の種皮部と子葉部の間に存在するペクチン
質含有層を利用するだけであり、抽出操作後に残る子葉
部は本来の応用製品に有効活用することができるため、
極めて経済的なものである。
【0020】本発明は、前記したように出発材料として
大豆種子を用いるものであるが、従来、大豆種子からペ
クチン性多糖類を抽出した報告はない。なお、大豆加工
食品の副産物であるオカラ(生オカラ)から温水、シュ
ウ酸アンモニウム、ヘキサメタン酸、塩酸などによる既
知の抽出法でペクチン性多糖類を抽出する場合、タンパ
ク質が主体でガラクツロン酸含有量が低いものが得られ
る。このような場合、タンパク質が多く含まれるため保
存性が問題となる。また、大豆種子にペクチン質が多く
含まれていることは知られているが、大豆種子から高純
度で化学的変質を受けないペクチン質を抽出製造する方
法は知られていない。
【0021】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法に
おいて、ペクチン質(pecticsubstance
s)は、ガラクツロン酸(ガラクチュロン酸)の重合体
の全ての誘導体を指すことから最広義に解釈されるべき
である。即ち、ペクチン質はガラクツロナンを主体とす
る一群の多糖類を総称するものであり、より具体的に
は、D−ガラクツロン酸及びそのメチルエステルがα−
1、4グリコシド結合によって直鎖状に結合した酸性多
糖類を主体とし、D−ガラクツロン酸以外にアラビノー
ス、ガラクトース、グルコース、キシロース、フコー
ス、ラムノースなどの中性糖を随伴するものである。従
って、本発明のペクチン質は、ペクチン質はもとより、
プロトペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸、ペクチン
を指すとともに、これらに含まれる中性糖などを意味す
るものである。
【0022】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法に
おいて、出発原料である豆科種子としては、ダイズ、ヤ
ブマメ、メタマメ、タヌキマメ、フジマメ、インゲンマ
メ、ツルマメ、エンドウ、ウマゴヤシ、クズ、トキリマ
メ、ソラマメ、アズキ、スナジマメ、ヘウチマメ、エン
ジュササゲ、などが例示される。前記大豆種子の典型例
は、大豆種子である。
【0023】本発明において、豆科種子の残渣物は、前
記した豆科種子から得られる脱皮粕、脱胚軸粕、搾油残
渣物など豆科種子を他の主用途に利用するときに得られ
る副産物が対象となる。前記残渣物の一例としては、大
豆等から加工製品を製造する際、種皮中に含まれる成分
が苦味を呈することなどから、予め大豆から種皮部が除
去されるが、このようにして得られた脱皮粕を例示する
ことができる。
【0024】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法
は、例えば、大豆種子から別途の方法によりペクチン質
含有層を有する種皮部が得られる場合、あるいは、ペク
チン質含有層を有する子葉部が得られる場合、これらを
出発原料として利用することができるものであり、この
場合、前記(1)〜(2)工程は、これら出発原料を水
で処理してペクチン質を可溶化し、次いでペクチン質の
不溶化溶媒で処理する工程であると理解すべきである。
【0025】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法に
おいて、第一工程の豆科種子などの出発原料を水ととも
に加熱処理し、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン
質を膨潤、あるいは可溶化させることにより離脱させる
工程は、所望に行えばよい。即ち、豆科種子に対する水
の使用割合、及び、加温条件は所望に設定すればよい。
例えば豆科種子1容積に対し水を1〜10倍量、加熱温
度も20〜200℃にして行えばよい。
【0026】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法に
おいて、第二工程で用いるペクチン質が不溶の溶媒とし
ては、所望のものを用いればよい。例えば、アルコー
ル、含水アルコール、酸性溶液、アルカリ溶液、金属イ
オン含有溶液、炭化水素系、塩化炭化水素系、フッ化炭
化水素系などを用いればよい。なお、含水アルコールの
場合、アルコール濃度は例えば70%に設定すればよ
い。
【0027】本発明において、第二工程における種皮部
の破壊方法(種皮部の脱皮方法)としては、所望の方式
を採用すればよい。例えば、種皮部と子葉部を離脱させ
た大豆(膨潤大豆)に対し弱い剪断力を印加し種皮部を
脱皮させる方式、主として種皮部にキズをつけてペクチ
ン質溶液を取出す方式などを採用すればよい。また、種
皮部と子葉部を離脱させた大豆(膨潤大豆)から種皮部
を脱皮させる方法として、以下の方法を採用してもよ
い。膨潤大豆を完全排出型バケットエレベータなどのホ
ッパーにセットし、エレベータ内を移動するベルトコン
ベアーの針状の爪に膨潤大豆を引掛け、上方へ運搬する
と同時に種皮部のみを破壊し、内部のペクチン質溶液を
流出させる。流出させた溶液はバケットエレベーターの
下部に配設した回収受け皿に集め、ここでペクチン質を
不溶化させる溶液によりペクチン質を不溶化させる。な
お、前記した方法において、ベルトコンベアーにセット
する針状の爪は、種皮部のみを傷つける大きさのものが
好ましいことはいうまでもないことである。
【0028】本発明の高純度ペクチン質の抽出方法にお
いて、第三工程のペクチン質の分離は所望の方式で行え
ばよい。例えば、遠心分離法、沈殿法などを採用すれば
よく、特段に制約を受けるものではない。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。なお、いうまでもないことであるが、本発明は実
施態様のものに限定されない。
【0030】(実施例1)(出発原料:乾燥大豆) (1).乾燥大豆(品種:鶴の子大豆)400g(約100
0粒)に水を5l(リットル)加え、60℃で50分間
過熱処理し、大豆種子を膨潤させ、大豆種子の種皮部と
子葉部を離脱させた。 (2).次いで、種皮部と子葉部の間に存在する可溶化した
ペクチン質を回収するために、70%エタノール中に移
すとともに、ステンレス製の針により種皮部のみを破壊
し、ペクチン質をエタノール中に放出させた。可溶化ペ
クチン質はエタノールに接触した瞬間に不溶化した。 (3).不溶化したペクチン質を回収し乾燥した。これによ
りペクチン質が収率3%で得られた。 前記実験例において使用した大豆1粒の乾燥重量は0.
4〜0.5gであり、大豆1粒からペクチン質が0.0
12〜0.015g採れたことになる。
【0031】このようにして抽出製造されたペクチン質
の一般成分分析の結果を、下記の表1に示す。なお、表
1の注釈は次の通りである。また、この注釈は他の表2
〜表4に共通するものである。 1): 分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定
した。 2): ガラクツロン酸含量(%)は、カルバゾール硫酸法
により測定した。 3): エステル化度は、アルコールオキシダーゼを用いた
klavonsの方法により測定した。 4): タンパク質含量(%)は、セミ・ミクロケルダール
法にて測定し、窒素係数5.71を乗じて算出した。 5): 中性糖含量(%)と成分は、高速液体クロマトグラ
フィーにより測定した。
【0032】
【表1】
【0033】表1のデータを踏まえて本発明の特徴点を
説明すると、次の通りである。 <1> 得られたペクチン質の平均分子量は約600,00
0という高分子量のものであり、ガラクツロン酸純度は
90%以上、エステル化度は80%で高いエステル化度
(高いメチル基残基)を示し、含有中性糖としてアラビ
ノース、ガラクトース、グルコース、キシロース、フコ
ース、ラムノースを含有していた。また、タンパク質含
量は1%以下という高純度ペクチン質であった。 <2> 大豆等の豆科種子からペクチン質を抽出した報告が
数例あるが、いずれの場合も原料中にタンパク質が多く
含まれているため(大豆の場合は30〜50%)、タン
パク質の混入が避けられず、かつ、過熱によるアミノカ
ルボニル反応による品質の劣化などの欠点があるが、本
発明の方法によりタンパク質の混入は回避可能となっ
た。 <3> 前記したタンパク質の混入回避は、本発明の方式に
おいては大豆種子で最もタンパク質含有量が多い子葉部
を破壊しないことに起因するものである。子葉部を破壊
すると、水溶性のタンパク質が流出してしまい、ペクチ
ン質の純度を低下させる原因となる。現在の技術レベル
においては、一度タンパク質が混入したペクチン質から
タンパク質のみを完全に分離除去することは極めて困難
である。
【0034】(実施例2)(出発原料:大豆の種皮部) 大豆等の加工品を製造する際、種皮中に含まれる成分が
苦味を呈することなどから、予め大豆から種皮部を除去
して使用する場合がある。そして、これらの脱皮粕は有
効に利用されることなく廃棄されている。
【0035】次の実施例として、前記した脱皮粕を出発
原料として本発明が有効かどうかを調べた。種皮部40
0gに水を5l(リットル)加え、60℃で50分間過
熱処理し、得られた煮汁をエタノール中で不溶化し、ペ
クチン質を得た。
【0036】前記方法により収率20〜30%で純度の
高いペクチン質が得られた。得られたペクチン質を前記
実施例1と同様に一般成分分析を行なった。結果を下記
の表2に示す。表2に示されるように、実施例1と同様
に高純度のペクチン質が得られたことがわかる。
【0037】
【表2】
【0038】(実施例3)(出発原料:豆腐製造工場か
ら廃棄された脱皮粕) 前記実施例2と同様にして出発原料として豆腐製造工場
から廃棄された脱皮粕を用いてペクチン質の抽出製造を
行なった。結果を下記の表3に示す。表3に示されるよ
うに、本実施例の場合、他の実施例のものと比較してエ
ステル化度が低いペクチン質が得られる。これは、原料
中に含まれていたペクチン質がもともとエステル化度の
低いペクチン質であったものと考えられる。
【0039】
【表3】
【0040】(比較例)(出発材料:種皮部) 次に、鶴の子大豆の種皮部を用いて従来法によりペクチ
ン質を抽出製造した。即ち、種皮部400gに酸性溶液
(pH2.0)を5l(リットル)加え、100℃で2
時間過熱し、濾過後、濾液にエタノールを3.5l(エ
タノール濃度:70%)を加え、ペクチン質を沈殿さ
せ、沈殿物を集めてペクチン質を得た。得られたペクチ
ン質の一般成分分析の結果を下記の表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4から次の点が判明する。 <1> 従来法においては、同じ原料であるにもかかわら
ず、分子量は100,000まで低分子量化される。 <2> エステル化度においても、本発明方法(実施例2)
が80%であったのに対し、従来法では12%まで減少
し、脱メチル化の程度が非常に高くなる。 <3> 従来法ではガラクツロン酸含量が大きく低下する。
これは、酸性下での過熱処理というハードな処理条件に
より、種皮に含まれる酸性可溶性分が抽出してしまい、
結果としてガラクツロン酸純度が低下したものと考えら
れる。 <4> 本発明の方法により、原料中に存在するペクチン質
をクルードの状態で抽出可能となり、これによって従来
から問題となっていた抽出の際に起る低分子量化と脱メ
チル化を効果的に回避することが可能となった。
【0043】
【発明の効果】ペクチン質は、ジャム、マーマレード、
ゼリー、ペニクチン酸塩の食べられる包装材、カプセル
材、微生物培地、ゼラチンの代用、胃腸の調整剤、ラテ
ックスの濃化剤、紙のサイジング剤など食品工業や医薬
品工学などにおいて広く用いられている重要な素材であ
る。
【0044】本発明は、各種の豆科種子の種皮部と子葉
部の中間に豊富に存在するペクチン質含有層に注目し、
効率的かつ経済的な高純度ペクチン質の抽出製造法を提
供するものであり、その産業的工業的な意義は大きい。
【0045】また、本発明の高純度ペクチン質の抽出製
造法は、各種種子の種皮部と子葉部の間に存在するペク
チン質を高濃度に含有するペクチン質含有層を利用する
ため、抽出操作後に残る子葉部は本来の応用製品、例え
ば、大豆種子の場合は豆腐や大豆油などの応用製品に有
効活用されるという大きな特徴を有するものであり、そ
の産業的工業的な意義は大きい。
【0046】更にまた、本発明の高純度ペクチン質の抽
出製造法に適用する抽出装置を極めてコンパクトかつ経
済的に(安価に)構成することができるため、また、出
発原料として豆科種子そのものに限らずその残渣物(種
皮部、脱皮粕、脱胚軸粕、搾油残渣)を有効利用するこ
とができるため、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造
法は、豆科種子から所定の応用製品を製造する際の前処
理工程または後処理工程として容易に受け入れやすいも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ペクチン質含有層の存在を示す大豆切片の模
式図である。
【符号の説明】
1 …………… 大豆種子 11 …………… 種皮部 12 …………… 子葉部 13 …………… ペクチン質含有層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豆科植物から高純度ペクチン質を製造す
    る方法が、 (1).豆科種子及び/又は豆科種子の残渣物を水とともに
    加熱処理し、種皮部と子葉部の間を離脱させる工程、 (2).ペクチン質が不溶の溶媒中で種皮部を破壊し、種皮
    部と子葉部の間に存在するペクチン質を前記溶媒中で不
    溶化させる工程、 (3).ペクチン質を分離する工程、から成ることを特徴と
    する豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法。
  2. 【請求項2】 豆科種子が、大豆種子である請求項1に
    記載の高純度ペクチン質の製造方法。
  3. 【請求項3】 豆科種子の残渣物が、脱皮粕及び/又は
    搾油残渣物である請求項1に記載の高純度ペクチン質の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 ペクチン質が不溶の溶媒が、アルコー
    ル、または含水アルコールである請求項1に記載の高純
    度ペクチン質の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルコールが、エタノールである請求項
    3に記載の高純度ペクチン質の製造方1法。
JP2000218684A 2000-07-19 2000-07-19 豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法 Pending JP2002030102A (ja)

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