JP2002029143A - インク受像シート - Google Patents

インク受像シート

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JP2002029143A
JP2002029143A JP2000213112A JP2000213112A JP2002029143A JP 2002029143 A JP2002029143 A JP 2002029143A JP 2000213112 A JP2000213112 A JP 2000213112A JP 2000213112 A JP2000213112 A JP 2000213112A JP 2002029143 A JP2002029143 A JP 2002029143A
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JP
Japan
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ink
meth
sheet
monomer
printing
Prior art date
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Pending
Application number
JP2000213112A
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English (en)
Inventor
Hideo Nakanishi
秀生 中西
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク受容層の厚みが大きくても滲みが少な
く、製版用リスフィルムとして好適なインク受像シート
を製造する。 【解決手段】 基材シートの少なくとも一方の面に厚み
20〜100μm程度のインク受容層を形成してインク
受像シートを製造する。このインク受像シートにインク
ジェットプリンター又はプロッターにより画像を形成し
てリスフィルムを製造し、このリスフィルムを介して版
に原稿画像を焼き付け、印刷版を製造する。前記インク
受像シートは、水性インキを用い線幅100μmで印刷
し、温度40℃、湿度90%RHで1日放置する試験に
おいて、下記式で表される滲み率が10%以下である。 滲み率(%)=[(放置後の線幅−印刷直後の線幅)/印刷
直後の線幅]×100

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製版工程で用いら
れるリスフィルムとして有用であり、インクジェット記
録方式で印刷されるインク受像シート、及びそのシート
を用いた印刷版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷は、原稿に基づいて作製した“版”
を媒体として、文字や画像等の原稿を複製する技術であ
る。例えば、写真製版においては、印刷版として平版を
用いて、オフセット印刷が行われている。
【0003】従来から、平版の製版工程では、通常、リ
スフィルム(製版用の硬調フィルム)が使用されてい
る。すなわち、原稿を銀塩写真方式で撮影してリスフィ
ルムにポジ又はネガ画像を形成し、原稿フィルムを作製
した後、この原稿フィルムを版に焼き付けて印刷版を製
造している。しかし、この方法では、原稿フィルムの作
製において、露光、現像等の複雑な工程を必要とするた
め、より簡便な方法が求められていた。
【0004】そこで、リスフィルムを用いずに、インク
ジェット記録方式によって最終印刷用の刷版を製造する
方法が提案されている(特開平11−5288号公
報)。この方法では、刷版に光硬化性インクを直接印字
し、硬化させ画像を形成している。しかし、この方法
は、耐刷性に劣るとともに、画像が不鮮明性である。
【0005】なお、特開平9−226233号公報に
は、ポリエステル、ポリスチレン等で構成された支持体
の少なくとも片面にインク吸収層を形成したオーバーヘ
ッドプロジェクター(OHP)用シートが開示されてい
る。しかし、このようなインクジェット記録方式OHP
用シートでは、インキ吸収量(換言すれば画像濃度)が
インク吸収層の厚みに依存し、インク吸収層の厚みが大
きくなるにつれて、滲みが多くなる。そのため、画像濃
度が高く、鮮明なリスフィルムを製造できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、インク受容層の厚みが大きいにもかかわらず、水性
インキを用いるインクジェット記録方式で印刷しても、
滲みの少ないインク受像シート及び製版用リスフィル
ム、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、画像濃度を高
めても、長期間に亘り滲みの少ないインク受像シート及
び製版用リスフィルム、並びにそれらの製造方法を提供
することにある。
【0008】本発明の他の目的は、印刷版を高い精度で
簡便かつ安価に製造できる製版用リスフィルム及びそれ
を用いた印刷版の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基材シー
トの少なくとも一方の面にインク受容層を形成したシー
トがインクジェット記録方式で印刷しても滲みが少な
く、このシートを製版用リスフィルムとして用いると、
印刷版を安価で簡便に製造できることを見出し、本発明
を完成した。
【0010】すなわち、本発明のインク受像シートは、
基材シートの少なくとも一方の面に厚み20〜100μ
m程度のインク受容層が形成されたシートであって、水
性インキを用い線幅100μmで印刷し、温度40℃、
湿度90%RHで1日放置する試験において、下記式で
表される滲み率が10%以下である。
【0011】滲み率(%)=[(放置後の線幅−印刷直後
の線幅)/印刷直後の線幅]×100
【0012】前記インク受像シートは、透明性が高く、
波長400〜700nmの光線透過率が85%以上であ
ってもよい。前記インク受像シートにおいて、基材シー
トの熱収縮率は3%以下であってもよく、インク受容層
は、親水性高分子、架橋性基を含有する重合性不飽和単
量体及び粒子状の滑剤を含有してもよい。
【0013】本発明は、基材シートの少なくとも一方の
面にインク受容層が形成された製版用リスフィルムも含
む。また、本発明は、基材シートの少なくとも一方の面
に、厚み20〜100μmで前記滲み率10%以下のイ
ンク受容層を形成する製版用リスフィルムの製造方法も
含む。さらに、本発明は、前記インク受像シートにイン
クジェットプリンター又はプロッターにより画像を形成
したリスフィルムを用いて焼き付ける印刷版の製造方法
も含む。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のインク受像シートは、基
材シートの少なくとも一方の面に厚み20〜100μm
のインク受容層が形成されており、滲みが少ないという
特色がある。
【0015】[基材シート]基材シートは、不透明、半
透明や透明であってもよいが、製版用リスフィルムに用
いる場合、透明であるのが好ましい。基材シートとして
は、例えば、プラスチックフィルム、特に、透明性の高
いプラスチックフィルムが好ましい。
【0016】プラスチックフィルムを構成するポリマー
としては、例えば、ポリエステル系重合体(ポリエチレ
ンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポ
リアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
トやポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフ
タレート等)、ポリオレフィン系重合体(ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体等のC2-3オレフィ
ン重合体など)、ビニル系重合体(ポリ酢酸ビニル、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体等)、アクリル系重合体[ポ
リ(メタ)アクリル酸エステルなど]、ポリスチレン系
重合体、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコ
ールやエチレン−ビニルアルコール共重合体等)、セル
ロース誘導体(セルロースアセテートやセルロースブチ
レート等のセルロースエステルなど)、ポリカーボネー
ト系重合体(ビスフェノールA型ポリカーボネートな
ど)、ポリアミド系重合体(ポリアミド6,ポリアミド
6/6,ポリアミド6/10,ポリアミド6/12等)
等が挙げられ、さらに、これらの共重合体、ブレンド
物、架橋物を用いてもよい。
【0017】これらのフィルムのうち、通常、ポリエス
テル系重合体(例えば、ポリC2-4アルキレンテレフタ
レートなど)、ポリオレフィン系重合体(例えば、ポリ
プロピレンなど)、ポリアミド系重合体等が使用され、
特に、機械的強度及び透明性等の点からポリエステル系
重合体(特にポリエチレンテレフタレート)が好まし
い。
【0018】基材シートは、単層フィルムであってもよ
く、複数のフィルムが積層された複合フィルムであって
もよい。さらに、基材シートは、未延伸シートであって
も、一軸又は二軸延伸シートであってもよい。好ましい
基材シートは、強度及び低収縮性を付与するため、二軸
延伸され、熱処理されている。
【0019】基材シートには、必要に応じて、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、顔料などの慣用の
添加剤を添加してもよい。また、インク吸収層との接着
性を向上させるため、コロナ放電処理やアンダーコート
処理等の表面処理を行ってもよい。
【0020】基材シートの熱収縮率は、通常、3%以
下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下で
ある。基材シートの厚みは、5〜500μm、好ましく
は10〜300μm、さらに好ましくは50〜200μ
m程度である。
【0021】[インク受容層]インク受容層は、通常、
有機質材料で形成でき、少なくとも親水性高分子を含有
しているのが好ましい。前記親水性高分子には、水に対
して親和性を有する種々の高分子、例えば、水溶性高分
子、水分散性高分子、水不溶性であって吸水性を有する
高分子が含まれる。親水性高分子は、単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。
【0022】(親水性高分子)親水性高分子としては、
例えば、アクリル系重合体[ポリ(メタ)アクリル酸又
はその塩、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共
重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体
等]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエー
テル,ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルア
ルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン
酸共重合体などのC1-6アルキルビニルエーテル−無水
マレイン酸共重合体等)、スチレン系重合体[スチレン
−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩
等]、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、エチレン系重
合体[エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体など]、
酢酸ビニル系重合体(酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸
共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体
等)、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコー
ル、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアル
コール共重合体等)、セルロース誘導体(メチルセルロ
ース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテ
ル、セルロースアセテート等のセルロースエステル
等)、親水性天然高分子又はその誘導体(澱粉、コーン
スターチ、アルギン酸又はその塩、アラビアゴム、ゼラ
チン、カゼイン、デキストリン等)、ポリアルキレンオ
キサイド(ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド−
プロピレンオキシドブロック共重合体等)、窒素含有重
合体(又はカチオン性ポリマー)又はその塩[ポリビニ
ルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジ
アリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アン
モニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート塩酸塩、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミ
ン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等]等
が挙げられる。親水性高分子の塩(特にカルボキシル基
又はスルホン酸基の塩)としては、アンモニウム塩、ア
ミン塩、ナトリウムなどのアルカリ金属塩等が含まれ
る。これらの親水性高分子は、単独で又は二種以上組み
合わせて使用できる。
【0023】これらの親水性高分子のうち、ヒドロキシ
ル基含有親水性高分子[ビニルアルコール系重合体(ポ
リビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)、セ
ルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースなど)
等]、カルボキシル基含有親水性高分子(アクリル系重
合体など)、窒素含有重合体(カチオン性ポリマー、ポ
リビニルピロリドン等)、特に、ビニルアルコール系重
合体及びアクリル系重合体が好ましい。
【0024】ビニルアルコール系重合体において、ポリ
ビニルアルコールのケン化度は特に制限されず、例え
ば、10〜100%程度の範囲から選択でき、通常、7
0〜95%程度である。変性ポリビニルアルコールとし
ては、例えば、酢酸ビニルと共重合性モノマーとの共重
合体(酢酸ビニル系共重合体)の完全又は部分ケン化物
(例えば、ケン化度10〜98%、特に60〜95%程
度の部分ケン化物)、アセトアセチル変性ポリビニルア
ルコール(アセト酢酸エステルとの反応物)、エポキシ
変性ポリビニルアルコール等が含まれる。
【0025】前記酢酸ビニル系共重合体を構成する共重
合性モノマーとしては、例えば、オレフィン類又はジエ
ン類(エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、マレ
イン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル系単量体
[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート等のC1-4アルキ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート等のヒドロキシ含有アルキル(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ
基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル等]、アリル系単量体、スルホ
ン酸基又はその塩を含有するモノマー、カルボキシル基
又はその塩を含有するモノマー[(メタ)アクリル酸、
クロトン酸、マレイン酸モノアルキルエステル等のカル
ボン酸又はその塩等]、酸無水物基を含有するモノマー
(無水マレイン酸など)、ビニル系単量体(スチレンな
どの芳香族ビニル単量体、ビニルピロリドン等の複素環
式ビニルアミン類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルC
1-4アルキルエーテル類、塩化ビニルなど等のハロゲン
含有ビニル単量体等)等が挙げられる。これらの共重合
性モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用で
きる。
【0026】好ましい酢酸ビニル系共重合体は、親水性
基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基又はこれら
の塩、ヒドロキシル基、エーテル基等)、エポキシ基等
を有している。特に、カルボキシル基、エーテル基(特
に、オキシアルキレン単位を有するビニルモノマー)、
エポキシ基が好ましい。オキシアルキレン単位を有する
ビニルモノマーとしては、オキシアルキレン単位(平均
付加モル)数1〜100、好ましくは2〜80、さらに
好ましくは5〜70程度の(メタ)アクリル酸エステル
やアリルエーテル[例えば、ジ乃至ポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、ジ乃至ポリプロピレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ジ乃至ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジ乃至ポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル
等]が例示できる。
【0027】共重合性モノマーの割合は、画像の鮮明
性、耐水性等を損なわない範囲で選択でき、例えば、モ
ノマー全体の0.1〜50モル%、好ましくは1〜30
モル%、さらに好ましくは2.5〜25モル%(例え
ば、3〜20モル%)程度である。
【0028】アセトアセチル変性アルコールは、ポリビ
ニルアルコールとアセト酢酸エステルとの反応により生
成するアセトアセチル基含有ポリビニルアルコールであ
り、ケン化度は、通常、60〜95%程度である。アセ
ト酢酸エステルの導入量は、ポリビニルアルコールに対
して、0.01〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル
%(例えば、0.2〜2.5モル%)、特に0.2〜2
モル%程度である。
【0029】エポキシ変性ポリビニルアルコールは、
(1)酢酸ビニルとエポキシ基を有する単量体(アリル
グリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート
等)との共重合体のケン化、(2)エピクロルヒドリン
などのエポキシ化剤によってポリビニルアルコールをエ
ポキシ化する方法などにより得ることができ、ケン化度
は、通常、60〜95%程度である。エポキシ基の導入
量は、ポリビニルアルコールに対して、0.01〜5モ
ル%、好ましくは0.1〜3モル%(例えば、0.2〜
2.5モル%)、特に0.2〜2モル%程度である。
【0030】変性ポリビニルアルコールのうち、アセト
アセチル変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとポリ
オキシアルキレン単位を有するビニル単量体との共重合
体のケン化物、酢酸ビニルとカルボキシル基を有するビ
ニル単量体との共重合体のケン化物、酢酸ビニルとエポ
キシ基を有するビニル単量体との共重合体のケン化物
(エポキシ変性ポリビニルアルコール)等が好ましい。
【0031】アクリル系重合体は、通常、少なくともカ
ルボキシル基を含有しており、ヒドロキシル基とカルボ
キシル基を含有していてもよい。このようなアクリル系
重合体には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、メタク
リル酸メチル−アクリル酸C 1-12アルキルエステル−
(メタ)アクリル酸共重合体,メタクリル酸メチル−
(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アク
リル酸C1-12アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共
重合体、ヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレー
ト−(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル−(メ
タ)アクリル酸共重合体、又はこれらの塩(アンモニウ
ム塩、アミン塩、ナトリウムなどのアルカリ金属塩)等
が含まれる。ヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリ
レートとしては、通常、ヒドロキシC2-3アルキル(メ
タ)アクリレートが使用される。アクリル系重合体は、
必要であれば、前記酢酸ビニル系共重合体の項で例示の
共重合性モノマー[エポキシ基含有(メタ)アクリレー
ト、シアン化ビニル、アリル系単量体、スルホン酸基又
はその塩を含有するモノマー、(メタ)アクリル酸以外
のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー、酸無
水物基を含有するモノマー、ビニル系単量体等]のほ
か、アミノ基含有(メタ)アクリレート、アミド基含有
モノマーなどを共重合させた共重合体であってもよい。
【0032】アクリル系重合体におけるカルボキシル基
の含有量は、通常、(メタ)アクリル酸換算で、5〜1
00重量%、好ましくは10〜100重量%、さらに好
ましくは15〜100重量%程度であり、水溶性アクリ
ル系重合体では、通常、10〜30重量%程度である。
アクリル系重合体におけるヒドロキシル基の含有量は、
通常、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート換算で、
0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%程度の範囲
から選択できる。
【0033】親水性高分子の割合は、固形分換算で、イ
ンク受容層中5〜99重量%、好ましくは10〜95重
量%、さらに好ましくは30〜90重量%程度である。
【0034】(架橋性基含有重合体)好ましいインク受
容層は、前記親水性高分子と架橋性基含有重合体(架橋
性基を含有する重合性不飽和単量体の重合体)とで構成
できる。
【0035】架橋性基含有重合体を構成する架橋性単量
体には、自己架橋性又は反応性官能基を有する種々の単
量体、例えば、エポキシ基含有単量体[(メタ)アクリ
ル酸グリシジルなど]、メチロール基含有単量体又はそ
の誘導体[N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N
−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−C
1-4アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブ
チロール(メタ)アクリルアミド等]、シリル基などの
加水分解縮合性基含有単量体[ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メ
トキシエトキシ)シラン等のビニルトリC1-4アルコキ
シシラン;ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルエト
キシジメチルシラン等のビニルC1-4アルコキシジC1-4
アルキルシラン;ビニルジメトキシメチルシラン、ビニ
ルジエトキシメチルシラン等のビニルジC1-4アルコキ
シC1-4アルキルシラン;ジビニルジメトキシシラン、
ジビニルジエトキシシラン等のジビニルジC1-4アルコ
キシシラン;ビニルメチルジクロロシランなどのビニル
1-4アルキルジクロロシラン;ビニルトリクロロシラ
ン;アリルトリエトキシシランなどのアリルトリC1-4
アルコキシシラン;3−アリルアミノプロピルトリメト
キシシランなどの3−アリルアミノプロピルトリC1-4
アルコキシシラン;アリルメチルジクロロシランなどの
アリルC1-4アルキルジクロロシラン;アリルトリクロ
ロシラン;2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキ
シシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキ
シシラン等の2−(メタ)アクリロキシC1-4アルキル
トリC1-4アルコキシシラン;3−(メタ)アクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリエトキシシラン等の3−(メタ)アク
リロキシC1-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン;3
−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンなどの3−(メタ)アクリロキシジC1-4アルキルジ
1-4アルコキシシラン等]、アジリジニル基含有単量
体[(メタ)アクリル酸2−(1−アジリジニル)エチ
ル、(メタ)アクリル酸2−(1−アジリジニル)プロ
ピル、(メタ)アクリル酸3−(1−アジリジニル)プ
ロピル等]などが例示できる。これらの架橋性単量体
は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0036】好ましい架橋性単量体は、加水分解縮合性
基、特にアルコキシシリル基(メトキシシリル基、エト
キシシリル基等のC1-4アルコキシシリル基など)を有
している。
【0037】架橋性基含有重合体は、架橋性基含有単量
体単独で構成してもよいが、通常、架橋性基含有単量体
と共重合性不飽和単量体(共重合成分)とで構成され
る。共重合成分には、親水性単量体、カチオン性単量
体、非イオン性単量体等が含まれる。好ましい架橋性基
含有重合体は、少なくとも架橋性単量体と親水性単量体
とを含む単量体の重合体、特に、架橋性単量体と親水性
単量体とカチオン性単量体と非イオン性単量体との重合
体で構成できる。
【0038】親水性単量体には、例えば、カルボキシル
基含有単量体[(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等の遊
離のカルボキシル基又は酸無水物基を有する単量体又は
これらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ア
ンモニウム塩、アミン塩等)]、不飽和多価カルボン酸
又はその酸無水物と直鎖又は分岐鎖C1-20アルコールと
のハーフエステル[マレイン酸モノメチル、マレイン酸
モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオ
クチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル等]、ヒド
ロキシル基含有単量体[(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アク
リル酸ヒドロキシC2-6アルキルエステル等]、アミド
基含有単量体[(メタ)アクリルアミドなど]、スルホ
ン酸基含有単量体[スチレンスルホン酸など]、エーテ
ル基含有単量体[ビニルメチルエーテルなどのビニルC
1-4アルキルエーテル類]、ポリオキシアルキレン基含
有単量体[ジ乃至ポリエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート等]等の親水性基を有する共重合性モノマ
ーなどが例示できる。これらの親水性単量体は、単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0039】カチオン性単量体には、例えば、アクリル
系単量体又はその塩[ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル
アミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等
のジC1-4アルキルアミノ−C2-3アルキル(メタ)アク
リルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノプロピル(メタ)アクリレート等のジC1-4アルキ
ルアミノ−C2-3アルキル(メタ)アクリレート等]、
芳香族ビニル系単量体又はその塩[4−(2−ジメチル
アミノエチル)スチレン、4−(2−ジメチルアミノプ
ロピル)スチレン等のジC1-4アルキルアミノ−C2-3
ルキル基置換芳香族ビニルなど]、窒素含有複素環式単
量体又はその塩[ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ビニルピロリドン等]などが例示できる。塩として
は、ハロゲン化水素酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩な
ど)、硫酸塩、アルキル硫酸塩(メチル硫酸塩、エチル
硫酸塩等)、アルキルスルホン酸塩,アリールスルホン
酸塩、カルボン酸塩(酢酸塩など)等が例示できる。な
お、第3級アミノ基にアルキル化剤(エピクロルヒドリ
ンや塩化メチル,ベンジルクロライドなど)を反応させ
ることにより第4級アンモニウム塩基を生成させてもよ
い。これらのカチオン性単量体は、単独で又は二種以上
組み合わせて使用できる。
【0040】非イオン性単量体には、例えば、アルキル
エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)ア
クリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキ
シル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリ
ル酸C1-18アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メ
タ)アクリル酸ベンジル、芳香族ビニル類[スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン等]、ビニルエス
テル類(酢酸ビニルなど)、ハロゲン含有単量体[塩化
ビニリデン、塩化ビニル等]、(メタ)アクリロニトリ
ル、オレフィン類[エチレン、プロピレン等]等が挙げ
られる。これらの非イオン性単量体は、単独で又は二種
以上組み合わせて使用できる。
【0041】前記架橋性単量体、親水性単量体、カチオ
ン性単量体及び非イオン性単量体の使用量は、インク吸
収性、インク定着性などを損なわない範囲で選択でき、
例えば、架橋性単量体の量は、例えば、単量体全体の
0.1〜25モル%、好ましくは0.2〜20モル%、
さらに好ましくは0.5〜15モル%程度であり、通
常、0.3〜10モル%程度である。また、親水性単量
体の使用量は、例えば、単量体全体の0〜50モル%、
好ましくは0〜45モル%(0.5〜45モル%)、さ
らに好ましくは0〜40モル%(1〜35モル%)程度
であり、通常、1〜20モル%程度である。さらに、カ
チオン性単量体は、単量体全体の0.1〜50モル%
(例えば、1〜45モル%)、好ましくは0.5〜40
モル%(例えば、2〜35モル%)、さらに好ましくは
1〜30モル%(例えば、3〜25モル%)程度であ
り、通常、2〜25モル%程度である。なお、通常、単
量体の残余は前記非イオン性単量体で構成されている。
【0042】このような架橋性基含有重合体は、水溶液
又は水性エマルジョンの形態であってもよい。架橋性基
含有重合体を含むエマルジョンは、慣用の方法、例え
ば、界面活性剤(例えば、ノニオン系界面活性剤及び/
又はカチオン系界面活性剤)を含む乳化重合系で前記単
量体を乳化重合する方法、共重合成分として、カルボキ
シル基やアミノ基などのイオン性官能基を有する単量体
成分を用いて、乳化剤を用いることなく重合し、水性エ
マルジョンとする方法等により得ることができる。
【0043】架橋性基含有重合体の割合は、固形分換算
で、インク受容層中0.1〜60重量%、好ましくは1
〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度で
ある。
【0044】架橋性基含有重合体と親水性高分子との割
合(重量比)は、例えば、固形分換算で、前者/後者=
0.1/99.9〜99.9/0.1、好ましくは1/
99〜99/1、さらに好ましくは5/95〜95/5
程度の範囲から選択でき、通常、1/99〜50/5
0、特に5/95〜40/60程度である。
【0045】(複合重合体)他の態様において、好まし
いインク受容層は、親水性高分子と、架橋性基含有重合
体と、ウレタン単位とカチオン性単位とを有する複合重
合体とで構成できる。複合重合体は、ポリウレタン樹脂
(例えば、水溶性又は水分散性ポリウレタン樹脂)の存
在下、少なくとも前記カチオン性単量体(カチオン性単
量体、架橋性単量体、非イオン性単量体等)を前記割合
で重合(乳化重合など)することにより得てもよい。ウ
レタン単位を有する重合体(ポリウレタン樹脂)の含有
量は、固形分換算で、10〜90重量%、好ましくは2
0〜70重量%程度である。
【0046】(滑剤)前記インク受容層には、粒子状の
滑剤を添加してもよい。粒子状滑剤の添加により、ブロ
ッキングを防止できる。また、画像形成後に、筆記も可
能であり、さらにインク受像シートを重ねた場合にも、
シート同士の密着を防ぐことができる。
【0047】粒子状の滑剤としては、有機系滑剤[熱可
塑性樹脂粉粒体(例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェ
ニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂等の架橋又は非架
橋有機質粉粒体、ワックス微粒子等)、熱硬化性樹脂の
粉粒体(シリコーン系樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メ
ラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、ポリウレタン
系樹脂、エポキシ系樹脂等の粉粒体等)等]、無機系滑
剤[シリカ、ゼオライト、カオリン、タルク、アルミ
ナ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム等]等が挙げられる。
【0048】これらの滑剤のうち、透明性に優れる点か
ら、有機系滑剤[例えば、アクリル系樹脂(例えば、架
橋又は非架橋ポリメタクリル酸メチルなど)、スチレン
系樹脂(例えば、架橋又は非架橋ポリスチレン、架橋又
は非架橋ポリビニルトルエン、架橋又は非架橋スチレン
−メタクリル酸メチル共重合体等)等の粉粒体]、特
に、架橋アクリル系樹脂(例えば、架橋ポリメタクリル
酸メチル)の粉粒体が好ましい。これらの粉粒体は、単
独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0049】前記滑剤の形状は、特に制限されず、球
状、多角形状、不定形状のいずれであってもよい。前記
滑剤の平均粒径は、透明性の高いインク受像シートを得
る場合、0.1〜50μm程度、好ましくは0.2〜5
0μm(例えば、0.25〜40μm)程度であり、通
常、0.25〜30μm(例えば、0.25〜25μ
m)程度である。
【0050】粒子状滑剤の割合は、耐ブロッキング性と
インク受容層の強度とのバランスの点から、インク受容
層の構成成分の全量100重量部に対して、0.01〜
10重量部程度、好ましくは0.03〜5重量部、さら
に好ましくは0.05〜1重量部程度である。
【0051】インク受容層は、さらに特性を損なわない
範囲で慣用の添加剤、例えば、成膜性樹脂成分(ウレタ
ン系樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、架橋性樹脂
等)、硬化剤、架橋剤、染料、染料定着剤(カチオン性
化合物など)、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、安定剤
(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、帯電防止
剤等を添加してもよい。
【0052】インク受容層の厚みは、20〜100μ
m、好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは20
〜50μm(例えば、25〜40μm)程度である。イ
ンク受容層の厚みが20μm以上であることにより、イ
ンク吸収量が増大し、高濃度で画像を形成できる。
【0053】[インク受像シート又は製版用リスフィル
ム]本発明のインク受像シート(製版用リスフィルム)
は、インク受容層が厚く、水性インキの吐出量が多くて
も、滲みが少ないという特色がある。
【0054】本発明のインク受像シート(製版用リスフ
ィルム)は、水性インキを用い線幅100μmで印刷
し、温度40℃、湿度90%RHで1日放置する試験に
おいて、下記式で表される滲み率が10%以下、好まし
くは8%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0055】滲み率(%)=[(放置後の線幅−印刷直後
の線幅)/印刷直後の線幅]×100
【0056】本発明のインク受像シート(製版用リスフ
ィルム)は、耐滲み性に優れると共に、インク吸収性及
びインク定着性が高い。また、前記インク受像シート
は、透明性が高く、その可視光線透過率は、85%以上
(例えば、85〜95%程度)、好ましくは88%以上
(例えば、88〜95%)であり、通常、88〜90%
程度である。
【0057】[インク受像シートの製造方法]本発明の
インク受像シートは、前記基材シートの少なくとも一方
の面に、少なくとも前記成分を含むインク受容層を形成
することにより製造できる。
【0058】インク受容層は、適当な溶媒(水、水溶性
であってもよい親水性溶媒、疎水性溶媒又はこれらの混
合溶媒)を用いて調製した塗布液を基材シートに塗布
し、乾燥することにより形成できる。塗布液は、慣用の
流延又は塗布方法により、基材の少なくとも一方の面に
流延又は塗布される。また、必要に応じて、塗布液を塗
布した後、50〜150℃程度の範囲から選択された適
当な温度で加熱して架橋性基により架橋したインク受容
層を形成してもよい。
【0059】なお、前記インク受容層の上には、必要に
より、多孔質層、ブロッキング防止層、滑性層、帯電防
止層等を形成してもよい。また、前記インク受容層と基
材シートとの間に、アンカーコート層やインク定着層を
形成してもよい。
【0060】本発明のインク受像シートは、インク(顔
料タイプ水性インクや染料タイプ水性インク等)の小滴
を飛翔させて記録するインクジェット記録方式によるイ
ンク受像シートとして用いられる。そして、本発明のイ
ンク受像シートは、透明性及び耐滲み性に優れ、インク
受容層が厚くても滲みが少ないため、インク吐出量が多
く、かつインク濃度の高いインクジェットプロッターで
の印刷が可能である。従って、本発明のインク受像シー
トは、特に、製版用リスフィルムとして有用である。
【0061】インクジェットプリンター又はプロッター
の吐出量は、1.0〜7.0×10 -2μl/mm3程度
であり、好ましくは1.0〜5.0×10-2μl/mm
3程度、さらに好ましくは2.0〜4.0×10-2μl
/mm3程度である。
【0062】[製版用リスフィルム及び印刷版の製造方
法]本発明のインク受像シートにインクジェットプリン
ター又はプロッター(特に、インクジェットプロッタ
ー)によって、コンピュータで作製した原稿に対応する
ポジ又はネガ画像を形成することにより、製版用リスフ
ィルムとする。原稿に対応するポジ又はネガ画像は、必
要により、色分解して形成してもよい。このように、本
発明の製版用リスフィルムは、インクジェット方式でシ
ートを印刷するだけの簡便な方法で製造でき、例えば、
従来の銀塩写真方式によって露光や現像等の工程を経て
作製したリスフィルムに比べて、簡便で安価に印刷板を
製造することができる。
【0063】そして、慣用の方法、例えば、PS版など
の平版を製造する場合は、感光層を形成した版材に、前
記画像を形成したリスフィルムを介して、紫外線などを
照射することによって、ポジ又はネガ画像を焼き付け
て、現像することにより、印刷版を製造する。なお、版
材の感光層の種類は、特に制限されない。本発明の製版
用リスフィルムは、透明性が高く、かつ滲みが少ないの
で、長期間に亘り保存していても、鮮明な画像が形成で
きる。
【0064】本発明の製版用リスフィルムは、オフセッ
ト印刷などで用いられる平版(PS版、可視レーザー露
光用高感度PS版、多層平版、ワイプオン版、スクリー
ンレス版等)、グラビア印刷やスクリーン印刷等に用い
られる凹版(グラビア版、スクリーン版、彫刻凹版
等)、活版印刷などに用いられる凸版(感光性樹脂凸
版、活版、金属凸版、フレキソ版等)等の印刷版に用い
ることができ、特に、PS版などの平版の製造に好まし
く用いることができる。
【0065】
【発明の効果】本発明では、インク受容層の厚みが大き
いにもかかわらず、水性インキを用いるインクジェット
記録方式で印刷しても、滲みの少ないインク受像シート
を製造できる。このインク受像シートは、透明性に優れ
ると共に、画像濃度を高めても長期間に亘り滲みが少な
く、保存安定性に優れるため、製版用リスフィルムとし
て有用である。従って、本発明のインク受像シートを製
版用リスフィルムとして用いて、印刷版の製造を行う
と、高い精度で簡便かつ安価に印刷版を製造することが
できる。る。
【0066】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。実施例及び比較例で得られたインク受像シー
トの各種特性の評価法は次の通りである。
【0067】(インク吸収性)インクジェットプロッタ
ー[日本ヒューレット・パッカード(株)製、HPデザ
インジェット2500CP、GOインク使用]にて吐出
量3×10-2μl/mm3で黒ベタ印刷し、印刷終了後
から一定時間毎にPPC用紙を印刷部にあて、一定荷重
をかけた。PPC用紙へのインクの転写具合を目視観察
し、インクの転写がなくなるまでの時間を測定し、以下
の基準で評価した。
【0068】 ○:1分以内 △:1〜3分 ×:3分以上。
【0069】(インク耐水性)インク吸収性試験と同様
に黒ベタ印刷した印刷部を水で濡らし、1分後に綿棒で
拭き取り、表面の状態を観察し、以下の基準で評価し
た。
【0070】 ○:画像にほとんど変化なし ×:画像に著しい変化(膜溶解など)。
【0071】(滲み率)インク吸収性試験と同様のイン
クジェットプロッターで100μm幅の線を印刷し、温
度40℃、湿度90%RHで1日間放置した後、CCD
カメラで観察し、線幅を計測し、滲み率を求め、以下の
基準で評価した。
【0072】 ○:10%以下 △:10%超20%以下 ×:20%超。
【0073】(透明性)分光光度計を用いて、400〜
700nmでの光線透過率を測定し、以下の基準で評価
した。
【0074】 ○:85%以上 △:80%以上85%未満 ×:80%未満。
【0075】実施例1 アクリルシリコーン共重合体エマルジョン(ダイセル化
学工業(株)製、アクアブリッドAsi537)34.
8重量部[固形分含量27重量%(9.4重量部)]、
変性ポリビニルアルコール水溶液(日本合成化学(株)
製、エコマティWO−320)131.1重量部[固形
分含量18重量%(23.6重量部)]、水系アクリル
樹脂水溶液(高松油脂(株)製、NS−120X、アク
リル樹脂とポリビニルアルコールとポリウレタン樹脂と
カチオン性コポリマーとの複合混合物)446重量部
[固形分含量15重量%(66.9重量部)]及び架橋
ポリメタクリル酸メチル粒子(積水化成品工業(株)
製、MBX−30)0.1重量部を混合して、水性塗工
液を得た。
【0076】厚さ100μmのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(デュポンジャパン(株)製、メリネック
ス705)に、前記水性塗工液を塗布し、100℃で3
分間乾燥することにより、厚さ25μmのインク受容層
を形成し、インク受像シートを得た。得られたシートの
インク吸収性、耐水性、滲み率及び透明性について前記
のように評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】実施例2 水性塗工液として、水系アクリル樹脂水溶液(高松油脂
(株)製、NS−120X)666重量部(固形分含量
15重量%)及び架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(積
水化成品工業(株)製、MBX−30)0.1重量部を
混合して得た水性塗工液を用いる以外は実施例1と同様
にして、インク受像シートを製造し、得られたシートの
評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】比較例1 インク受容層の厚みを10μmとする以外は実施例1と
同様にして、インク受像シートを製造し、得られたシー
トの評価を行った。結果を表1に示す。
【0079】比較例2 水性塗工液として、変性ポリビニルアルコール水溶液
(日本合成化学(株)製、エコマティWO−320)5
55重量部(固形分含量18重量%)及び架橋ポリメタ
クリル酸メチル粒子(積水化成品工業(株)製、MBX
−30)0.1重量部を混合して得た水性塗工液を用い
る以外は実施例1と同様にして、インク受像シートを製
造し、得られたシートの評価を行った。結果を表1に示
す。
【0080】比較例3 水性塗工液として、アクリルシリコーン共重合体水性エ
マルジョン(ダイセル化学工業(株)製、アクアブリッ
ドAsi537)370重量部(固形分含量27重量
%)及び架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(積水化成品
工業(株)製、MBX−30)0.1重量部を混合して
得た水性塗工液を用いる以外は実施例1と同様にして、
インク受像シートを製造し、得られたシートの評価を行
った。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1から明らかなように、実施例のインク
受像シートは、インク吸収性、耐水性、滲み率及び透明
性に優れるのに比べて、比較例では、これら全ての物性
を満足するシートは得られなかった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの少なくとも一方の面に厚み
    20〜100μmのインク受容層が形成されたシートで
    あって、水性インキを用い線幅100μmで印刷し、温
    度40℃、湿度90%RHで1日放置する試験におい
    て、下記式で表される滲み率が10%以下であるインク
    受像シート。 滲み率(%)=[(放置後の線幅−印刷直後の線幅)/印刷
    直後の線幅]×100
  2. 【請求項2】 波長400〜700nmの光線透過率が
    85%以上である請求項1記載のインク受像シート。
  3. 【請求項3】 基材シートの熱収縮率が3%以下である
    請求項1記載のインク受像シート。
  4. 【請求項4】 インク受容層が、親水性高分子、架橋性
    基を含有する重合性不飽和単量体及び粒子状の滑剤を含
    有している請求項1記載のインク受像シート。
  5. 【請求項5】 基材シートの少なくとも一方の面にイン
    ク受容層が形成された製版用リスフィルム。
  6. 【請求項6】 基材シートの少なくとも一方の面に、厚
    み20〜100μmで請求項1記載の滲み率10%以下
    のインク受容層を形成する製版用リスフィルムの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のインク受像シートにイン
    クジェットプリンター又はプロッターにより画像を形成
    したリスフィルムを用いて焼き付ける印刷版の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008136920A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 建材

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