JP2002027974A - パン酵母及びこれを用いたパンの製造法 - Google Patents

パン酵母及びこれを用いたパンの製造法

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Nobutoshi Matsumoto
信俊 松本
Kazumasa Sato
和正 佐藤
Koichiro Sano
公一朗 佐野
Yoichi Ueda
要一 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】培地からの分離回収が容易であり、長期間の冷
凍保存が可能であり、かつ、生地汎用性があるパン酵母
を提供し、当該パン酵母を用いてパン生地又はパンを製
造する方法を提供することを課題とする。 【解手段】倍数性が三倍体であり、3週間冷凍後の発酵
力が80%以上である冷凍耐性、好ましくは5週間冷凍後
の発酵力が80%以上である冷凍耐性、さらに好ましくは
5週間冷凍後の発酵力が90%以上である冷凍耐性を有
し、生地汎用性があり、かつインベルターゼ活性が5ユ
ニット/生菌体g以上20ユニット/生菌体g以下、好まし
くは、5ユニット/生菌体g以上10ユニット/生菌体g以
下であるパン酵母が本発明であり、上記課題を解決す
る。なお、パン酵母として好ましいものは、サッカロミ
セス・セレビシエである。また、上記パン酵母を用いた
パン生地又はパンの製造法が本発明であり、上記課題を
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間の冷凍保存
が可能であり、かつ、生地汎用性があるパン酵母に関
し、さらに当該パン酵母を用いたパン生地又はパンの製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年製パン業界では、過酷な労働条件を
解消するために製造工程の合理化や、消費者に焼きたて
パンを提供するために、冷凍生地製パン法がよく用いら
れている。冷凍生地製パン法とは製造した生地を冷凍
し、必要に応じて解凍、ホイロ、焼成を行うものであ
る。しかしながら、冷凍による酵母への障害が生じ、十
分な発酵力を維持できない事から、冷凍生地製パン法に
は特殊な「冷凍耐性酵母」が用いられている。
【0003】冷凍耐性の優れた酵母としてはサッカロミ
セス・ロゼイ(特公昭59−25584号)、サッカロミセス
・セレビシエFTY(特公昭59‐48607号)、サッカロミセ
ス・セレビシエFTY-3(特公平4‐20595)、サッカロミ
セス・セレビシエKYF(特公平6−87772号)等が知られ
ている。しかしパン酵母としての有用な性質に加え、冷
凍耐性も優れた酵母については、これまでの検討の中で
レベルアップは図られてきたものの、そのすべての面で
満足のいく酵母は得られていない。
【0004】パン酵母の有用な性質としてはあらゆる糖
濃度の生地で優れた発酵力を示すという生地汎用性、そ
して工業スケールの培養において培地からの分離、回収
が容易な沈降度の高さが代表的なものである。
【0005】高次倍数性酵母は沈降度が高いという長所
がある。しかし、冷凍耐性を持つ高次倍数体パン酵母に
ついてのものは以下の2件を除いてない。一件は「特開
平9−220086」であり、冷凍耐性酵母の倍数性を上昇さ
せる事により、沈降性を上昇させ、成形性に優れた酵母
についてである。しかし冷凍耐性試験の実施例がなく、
また生地汎用性については触れていない。もう一件は
「特開平11−13668」であり、倍数性を上昇させる事で
長期冷凍耐性を上昇させたものであるが、生地汎用性の
ある酵母ではない。また、「イースト技報No.50 1980、
イースト技報No.531983」では、無糖生地発酵力が高い
事などの長所を持つが、高糖生地発酵力は2倍体より弱
いと報告されている。
【0006】高糖生地での発酵力はインベルターゼ活性
が影響しているといわれている。これはインベルターゼ
がスクロース1分子をク゛ルコースとフルクトースの2分子に分解する
ために酵母のまわりの浸透圧が上昇し、それに伴い酵母
の活性が低下するためであり、インベルターゼ活性が低
い事が望ましい。インベルターゼ活性が低い事に着目し
た技術(特開平8−154666、特開平9−149785)もいくつ
か報告されているが、高糖生地用に開発されたものであ
り、無糖生地発酵力には触れておらず、ここで示された
酵母については生地汎用性がないと考えられる。また、
インベルターゼ活性が低く、マルターゼ活性が高い酵母
(特開平9−149785)も報告されているが、冷凍耐性が
あるものではない。
【0007】以上より、三倍体酵母であり、優れた冷凍
耐性を持ち、かつ生地汎用性のある酵母はこれまでに報
告がなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、培地
からの分離回収が容易であり、長期間の冷凍保存が可能
であり、かつ、生地汎用性があるパン酵母を提供し、当
該パン酵母を用いてパン生地又はパンを製造する方法を
提供することを課題とする。
【0009】
【発明が解決するための手段】本発明者らが見出した、
上記課題を解決する手段は以下の通りである。倍数性が
三倍体であり、3週間冷凍後の発酵力が80%以上である
冷凍耐性、好ましくは5週間冷凍後の発酵力が80%以上
である冷凍耐性、さらに好ましくは5週間冷凍後の発酵
力が90%以上である冷凍耐性を有し、生地汎用性があ
り、かつインベルターゼ活性が5ユニット/生菌体g以上
20ユニット/生菌体g以下、好ましくは、5ユニット/生
菌体g以上10ユニット/生菌体g以下であるパン酵母が本
発明であり、上記課題を解決する。なお、パン酵母とし
て好ましいものは、サッカロミセス・セレビシエであ
る。また、上記パン酵母を用いたパン生地又はパンの製
造法が本発明であり、上記課題を解決する。
【0010】
【発明の実施の形態】<本発明のパン酵母について>本
発明にいう「パン酵母」とは、パンの製造に使用できる
ものであればいかなるものでもよく、例えば、自然界か
らの分離菌株、研究機関等の保存菌株、細胞融合株、交
雑株、あるいはそれらの変異株から選択しても良い。具
体的には、例えば、サッカロミセス属のパン酵母、トル
ラスポラ属のパン酵母、又はクルベロマイセス属のパン
酵母などがあげられ、さらに具体的には、サッカロミセ
ス・セレビシエ、トルラスポラ デルブルツキ、又はク
ルベロマイセス サーモトレランスなどがあげられる。
好ましくはサッカロミセス属に属するものがよいが、特
に好ましくはサッカロミセス セレビシエに属するもの
がよい。
【0011】本発明にいう「倍数性が三倍体である」と
は、染色体のゲノムが3セットからなることを意味す
る。
【0012】本発明にいう「3週間冷凍後の発酵力が80
%以上である冷凍耐性」とは、3週間冷凍保存した後で
も80%以上の発酵力を維持している酵母の能力をいう。
発酵力とは30℃、160分間の条件で、生地中の酵母によ
って生成される二酸化炭素の量を表す。1日冷凍処理後
の発酵力と比較して、3週間冷凍保存したこと以外は同
一条件で発酵させた区の発酵力が80%以上となる場合に
「3週間冷凍後の発酵力が80%以上である冷凍耐性」を
有することとなる。
【0013】同様に「5週間冷凍後の発酵力が80%以上
である冷凍耐性」とは、1日冷凍処理後の発酵力と比較
して、5週間冷凍保存したこと以外は同一条件で発酵さ
せた区の発酵力が80%以上となる場合の酵母の能力をい
う。「5週間冷凍後の発酵力が90%以上である冷凍耐
性」とは、1日冷凍処理後の発酵力と比較して、5週間冷
凍保存したこと以外は同一条件で発酵させた区の発酵力
が90%以上となる場合の酵母の能力をいう。
【0014】本発明にいう「生地汎用性」とは、無糖生
地(重量部:強力粉 100、モルト0.3、生地改良剤
1、食塩 2、イースト 5、水 68)において30gの生地
の1日冷凍処理後の発酵力が120ml以上であり、かつ低糖
生地(重量部:強力粉 100、砂糖 5、生地改良剤
1、食塩 2、脱脂粉乳 2、ショートニング 5、イース
ト 5、水 70)において30gの生地の1日冷凍処理後の
発酵力が180ml以上であり、かつ高糖生地(重量部:強
力粉 100、砂糖 25、生地改良剤 1、食塩 1.5、脱
脂粉乳 3、ショートニング 12、全卵 15、イースト
5、水 44)において30gの生地の1日冷凍処理後の発
酵力が90ml以上である酵母の能力をいう。
【0015】本発明にいう「インベルターゼ活性」は、
次のようにして測定される。生酵母菌体200mgに0.1M酢
酸―酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH4.6)を1ml加え、これに50m
M砂糖溶液(0.1M酢酸―酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH4.6))
を1ml加え、25℃、3分間反応後、100℃、3分間ヒートブ
ロックで加熱し、反応を止める。グルコース濃度をグル
コースアナライザーAS-210(旭化成株製)で測定する。
インベルターゼ活性は水分含量67%の酵母1gが一分間に
生成する還元糖1mgを1ユニットとする。ここで生酵母菌体
は、YPS(イーストエキストラクト1%、ペプトン2%、
スクロース2%)液体倍地5mlに菌体1エーゼを植菌し、3
0℃、24時間培養後、培養液すべてをYPS 50mlに植菌し
て30℃、24時間培養して得られたものを使用する。
【0016】本発明のパン酵母は、上記のようにして測
定したインベルターゼ活性が5ユニット/生菌体g以上20
ユニット/生菌体g以下、好ましくは、5ユニット/生菌
体g以上10ユニット/生菌体g以下である。
【0017】本発明の好ましいパン酵母としてはサッカ
ロミセス・セレビシエAJ14798が挙げられる。サッカロ
ミセス セレビシエAJ14798は、工業技術院生命工学工
業技術研究所に平成12年7月5日に寄託され、受託番号と
してFERM P-17953が付与されている。
【0018】<本発明のパン酵母の取得方法について> 1.無糖生地での発酵力を有し、かつ、冷凍耐性を有す
るパン酵母の取得方法 三倍体パン酵母に対して、EMS(エチルメタンスルホン
酸)等の変異剤等を用いて変異処理を行う。得られる変
異株を用いて無糖70%吸水生地(小麦粉5g、システイ
ン0.25mg、食塩0.01g、生菌体0.01g、水350μl/well)
を二枚の24穴マイクロプレートに作成し、一方を−20℃
で1日保存し、30℃、3時間で発生ガス量をファーモグラ
フSS(アトー株製)を用いて測定、これをコントロール
とする。もう一方は―20℃で3週間保存後、同様に30
℃、3時間の発生ガス量を調べる。3週間冷凍サンプルの
発生ガス量の値をコントロールの発生ガス量の値で割っ
たものを冷凍耐性度とし、冷凍耐性度を80%以上保持
し、かつコントロールの発生ガス量が15kPa以上の株を
選択する。
【0019】2.インベルターゼ活性が5ユニット/生
菌体g以上20ユニット/生菌体g以下のパン酵母の取得方
法 候補となるパン酵母のインベルターゼ活性を測定し、生
菌体1gあたりの活性が20unit以下のものを取得する。
インベルターゼ活性の測定方法については上述の通りで
ある。こうして得られるパン酵母は生地中の高い糖濃度
の影響を受けにくくなり、高糖生地において高い発酵力
を持つ株である可能性が高い。
【0020】3.高い高糖生地発酵力を示すパン酵母の
取得方法 高糖生地(重量部:強力粉 100、砂糖 25、生地改良
剤 1、食塩 1.5、脱脂粉乳 3、ショートニング 1
2、全卵 15、イースト 5、水 44)を作成し、30g生
地の1日冷凍処理後の発酵力が90ml以上である株を選択
した。
【0021】4.生地汎用性がある酵母の取得方法 上記1及び3において、無糖生地と高糖生地での発酵力
を指標にして選抜が行われた酵母は、本発明にいう生地
汎用性を獲得しており、すなわち生地汎用性をがある酵
母を取得できる。
【0022】<パン酵母の製造>パン酵母の培地として
はパン酵母が通常利用し得る炭素源、窒素源、無機塩
類、その他酵母の生育に必要な成分を適宜配合したもの
が用いられる。培養方法としては一般的な糖蜜使用によ
る糖流加培養法によって製造できる。得られたパン酵母
は濃縮された状態の酵母クリームとしてパンの製造に利
用する事も出来るし、脱水して圧搾酵母としても利用で
きる。
【0023】<本発明の製造法について>本発明にいう
「パン生地又はパン」は、従来のパン生地及びパンと変
わるところがない。本発明にいう「パン生地又はパンの
製造法」は、本発明のパン酵母を含む以外、従来のパン
生地又はパンの製造法と変わらない。
【0024】従来のパン生地またはパンの製造法として
は、通常ストレート法と中種法がある。ストレート法で
は生地を調整後、一次発酵、分割、成形した後冷凍する
(例えば−20〜−30℃)。中種法では、一部の生地
材料で生地を調製後中種発酵を行い、残りの生地材料を
加えて生地を調製し、分割、成形した後冷凍する。この
生地を解凍後最終発酵し焼成してパンとする。パンの製
造法については、種々の資料があり「各種製パン法」
(雁瀬大二郎著)、「冷凍生地の理論と実際」(田中康
夫著)、「製パンプロセスの科学」(田中康夫著)など
の成書を参考にすることができる。
【0025】
【発明の効果】本発明の酵母は、三倍体であるため沈降
度が大きく、培地からの分離回収が容易である。3週間
冷凍後の発酵力が80%以上である冷凍耐性を有するた
め、それを含むパン生地の冷凍保存が可能である。生地
汎用性があるため、糖濃度にかかわらず使用できる。特
に、インベルターゼ活性が5ユニット/生菌体g以上20ユ
ニット/生菌体g以下であるため高糖生地でも使用する
ことができる。
【0026】
【実施例】以下に本発明の実施例について述べる。
【0027】
【実施例1】パン酵母の取得 当社保有の三倍体酵母Saccharomyces cerevisiae AJ147
99に対して、常法通りEMS(エチルメタンスルホン酸)
を用いて変異処理を行った。
【0028】得られた変異株1026株を用いて無糖70%吸
水生地(小麦粉5g、システイン0.25mg、食塩0.01g、生
菌体0.01g、水350μl/well)を二枚の24穴マイクロプレ
ートに作成し、一方を−20℃で1日保存し、30℃、3時間
で発生ガス量をファーモグラフSS(アトー株製)を用い
て測定、これをコントロールとした。もう一方は―20℃
で3週間保存後、同様に30℃、3時間の発生ガス量を調べ
た。3週間冷凍サンプルの発生ガス量の値をコントロー
ルの発生ガス量の値で割ったものを冷凍耐性度とし、冷
凍耐性度を80%以上保持し、かつコントロールの発生ガ
ス量が15kPa以上の株を64株選択した。
【0029】さらに選択した株についてインベルターゼ
活性を測定し、生菌体1gあたりの活性が20unit以下の
ものを3株取得した。
【0030】それら3株の高糖生地(重量部:強力粉 1
00、砂糖 25、生地改良剤 1、食塩 1.5、脱脂粉乳
3、ショートニング 12、全卵 15、イースト 5、水
44)を作成し、30g生地の1日冷凍処理後の発酵力が90ml
以上である株を選択した結果、AJ14798が得られた。
【0031】インベルターゼ活性の測定方法については
以下に記す。生酵母菌体200mgに0.1M酢酸―酢酸ナトリウム緩
衝溶液(pH4.6)を1ml加え、これに50mM砂糖溶液(0.1M
酢酸―酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH4.6))を1ml加え、25
℃、3分間反応後、100℃、3分間ヒートブロックで加熱
し、反応を止めた。グルコース濃度をグルコースアナラ
イザーAS-210(旭化成株製)で測定し、インベルターゼ
活性を水分含量67%の酵母1gが一分間に生成する還元糖
1mgを1ユニットとして求めた。ここで生酵母菌体は、YPS
(イーストエキストラクト1%、ペプトン2%、スクロー
ス2%)液体倍地5mlに菌体1エーゼを植菌し、30℃、24
時間培養後、培養液すべてをYPS 50mlに植菌して30℃、
24時間培養して得られたものを使用した。比較対照株と
して旭フーズ製YF株、鐘淵化学(株)製カネカ赤株を結
果と共に示した。図1に示すとおり、高糖生地用冷凍耐
性酵母であるYF株と比較してもAJ14798株のインヘ゛ルターセ゛活
性は極めて低かった。
【0032】
【実施例2】各生地における発酵力と冷凍耐性 実施例1において取得されたAJ14798株について糖濃度
の異なる3種類の生地において発酵力と冷凍耐性を調べ
た。無糖生地、低糖生地、高糖生地を作成し、30gに分
割、丸めを行い、急速冷凍後、−20℃で冷凍保存した。
各々の冷凍期間で生地を取り出し、ファーモグラフを用
いて発酵力を測定した。ここで対照としては、冷凍処理
を1日行ったものを用いた。また冷凍耐性度は冷凍処理
を1日行った生地の発酵力に対する、各冷凍期間の生地
発酵力の比率をもって示した。各々の生地組成、生地作
成工程は以下の通りである。市販低糖生地用冷凍耐性酵
母FC(旭フーズ)、市販高糖生地用冷凍耐性酵母YF(旭
フーズ)の発酵力測定結果も合わせて、図2〜4に示
す。まず、AJ14798株の発酵力について、無糖生地、低
糖生地における発酵力はFC株にほぼ匹敵する値を示し、
高糖生地における発酵力はYF株にほぼ匹敵する結果とな
った。また、AJ14798の冷凍耐性について、5週間冷凍保
存した生地の発酵力は対照の90%以上を保持してお
り、しかもFC株及びYF株を凌ぐ冷凍耐性を示した。
【0033】<無糖生地配合(Baker's%)> 強力粉 100 モルト 0.3 生地改良剤 1 食塩 2 イースト 5 水 68 <生地作成工程> ミキシング:低速3分、中速5分、高速2分 捏ね上げ温度:22℃ フロアタイム:30分 ベンチタイム:20分
【0034】<低糖生地配合(Baker's%)> 強力粉 100 砂糖 5 生地改良剤 1 食塩 2 脱脂粉乳 2 ショートニング 5 イースト 5 水 70 <生地作成工程> ミキシング:低速3分、中速4分、ショートニングを加
え、 低速3分、中速4分、高速2分 捏ね上げ温度:22℃ フロアタイム:30分 ベンチタイム:20分
【0035】<高糖生地配合(Baker's%)> 強力粉 100 砂糖 25 生地改良剤 1 食塩 1.5 脱脂粉乳 3 ショートニング 12 全卵 15 イースト 5 水 44 <生地作成工程> ミキシング:低速3分、中速4分、ショートニングを加
え、低速3分、中速4分、高速3分 捏ね上げ温度:24℃ フロアタイム:30分 ベンチタイム:20分
【0036】
【実施例3】沈降度の測定 酵母菌体の沈降度の測定法はOD600nm=0.5に調整した培
養液10mlを15mlファルコンチューブにとり、170g、150
秒遠心処理し、上清4mlをとり、この上清の600nmにおけ
る吸光度(X)を測定した。沈降度は{沈降度=100(0.5-
X)/0.5}により算出した。その結果を2倍体である旭フ
ーズ社製YF株と共に表1に示した。AJ14798の沈降度は明
らかに2倍体酵母よりも高い値であった。
【0037】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】旭フーズYF株、AJ14798株、及びカネカ赤株の
インベルターゼ活性を示す。
【図2】無糖生地での、AJ14798株、旭フーズFC株、及
び旭フーズYF株の、冷凍後1日(対照)、冷凍後3週間、
及び、冷凍後5週間における発生ガス量を示す。ここで
グラフ上の数値は冷凍耐性度を示す。
【図3】低糖生地での、AJ14798株、旭フーズFC株、及び
旭フーズYF株の、冷凍後1日(対照)、冷凍後3週間、及
び、冷凍後5週間における発生ガス量を示す。ここでグ
ラフ上の数値は冷凍耐性度を示す。
【図4】高糖生地での、AJ14798株、旭フーズFC株、及
び旭フーズYF株の、冷凍後1日(対照)、冷凍後3週間、
及び、冷凍後5週間における発生ガス量を示す。ここで
グラフ上の数値は冷凍耐性度を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 要一 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品研究所内 Fターム(参考) 4B032 DB01 DK58 DP33 4B065 AA80X AC03 AC14 AC20 BA18 BB26 BC31 CA27 CA42

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】倍数性が三倍体であり、3週間冷凍後の発
    酵力が80%以上である冷凍耐性を有し、生地汎用性があ
    り、かつインベルターゼ活性が5ユニット/生菌体g以上
    20ユニット/生菌体g以下であるパン酵母。
  2. 【請求項2】パン酵母がサッカロミセス・セレビシエで
    ある請求項1記載のパン酵母。
  3. 【請求項3】インベルターゼ活性が5ユニット/生菌体g
    以上10ユニット/生菌体g以下である請求項1記載のパ
    ン酵母。
  4. 【請求項4】5週間冷凍後の発酵力が80%以上である冷
    凍耐性を有する請求項1記載のパン酵母。
  5. 【請求項5】5週間冷凍後の発酵力が90%以上である冷
    凍耐性を有する請求項1記載のパン酵母。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5記載のパン酵母を用いた
    パン生地又はパンの製造法。
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