JP3142941B2 - パン酵母及びこれを用いた冷凍パン生地 - Google Patents

パン酵母及びこれを用いた冷凍パン生地

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍耐性を有する新規な
パン酵母及びこれを用いた冷凍パン生地に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍パン生地は、ホイロ発酵後に焼成
し、または、単に焼成するだけでパンが得れるもので、
近時、消費者への新鮮なパンの提供及びパン製造の合理
化などの利点から市場に流通されつつある。
【0003】通常、パンは、小麦粉、砂糖、食塩、油
脂、水等のパン生地材料に所望量のパン酵母を添加混合
した後一次発酵し、次いで所望の形状に成形した後、ホ
イロ発酵(二次発酵)を行い、次いで焼成して得られる
が、上記冷凍パン生地としては、ホイロ発酵前の段階で
冷凍したもの(ホイロ前冷凍パン生地)とホイロ発酵後
に冷凍したもの(ホイロ後冷凍パン生地)とが流通して
いる。
【0004】上記冷凍パン生地の内、ホイロ前冷凍パン
生地は、ホイロ発酵による膨張前の状態で冷凍するので
小さくでき、保存や流通の合理化に適しているが、通常
のパン酵母では冷凍保存時にほとんど死滅してしまい、
解凍後のホイロ発酵が不可能になる。
【0005】そこで、冷凍パン生地用のパン酵母とし
て、冷凍耐性のあるパン酵母を用いる必要があり、例え
ば特公昭54−13491号公報に記載されたサッカロ
ミセス・ロゼイYー134−5(現在トルラスポラ・デ
ルブルーキー種)が市販の菌株(従来酵母)として流通
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来酵母
は砂糖に対する発酵能を有するものの、小麦粉に含まれ
る糖の主成分であるマルトースに対しては発酵能が欠損
している。このため前記従来酵母は、少量の糖を含む低
糖生地及び菓子パン等の砂糖の割合が高い高糖生地に用
いると十分に発酵するが、フランスパン等の砂糖を用い
ない無糖生地の場合には発酵が不十分となり、生地膨張
力が乏しくなって良好なパンが得られない不都合があっ
た。
【0007】本発明者等は前記に鑑み、種々のパン酵母
について鋭意研究を重ねた結果、トルラスポラ・デルブ
ルーキー種に属する新規なパン酵母が、十分な冷凍耐性
を有し、かつマルトース発酵能があるので無糖生地に有
効に利用できることを知見した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記知見に基づ
いてなされたもので、請求項1に記載した酵母は、冷凍
耐性を有するとともにマルトース発酵能を有することを
特徴とするトルラスポラ・デルブルーキーNS8422
(工業技術院微生物工業技術研究所における寄託に係わ
る受託番号第12709号)である。また、請求項2に
記載した発明は、上記トルラスポラ・デルブルーキーN
S8422を含むことを特徴とする冷凍パン生地であ
る。更に、請求項3に記載した発明は、小麦粉等のパン
生地材料にトルラスポラ・デルブルーキーNS8422
を混合した後に凍結することを特徴とする冷凍パン生地
の製造方法である。
【0009】
【作用】本発明に係るトルラスポラ・デルブルーキーN
S8422(以下、本発明酵母という)は、冷凍耐性を
有するとともにマルトース発酵能があるので、無糖の冷
凍パン生地の製造に用い、解凍後のホイロにおいて十分
なる発酵性が得られ、良好なパンを得ることができる。
【0010】
【実施例】本発明酵母は工業技術院、微生物工業技術研
究所に微生物受託番号第12709号として寄託されて
いるが、その菌学的性質を酵母の一般的同定法における
試験項目に従って示せば次の通りである。
【0011】1.形態学的性質 a.形 :円形または卵型 b.大きさ :(2.4〜9.6)×(4.8〜14.4) μm 2.胞子形成の有無 :なし 3.偽菌糸形成の有無:なし 4.増殖の形式 :多極出芽 5.凝集性 :あり 6.37℃での生育 :なし 7.糖の発酵性、同化性 8.窒素源の同化性 硝酸カリウム(KNO3) :なし エチルアミン(Ethylamine):なし カダベリン(Cadaverine) :なし L−リジン(L-Lysine) :あり
【0012】なお、上記同定試験において、胞子形成の
有無は、YM寒天斜面培地で3日間前培養を行った菌体
をゴロドコワ(Gorodokowa)氏寒天及びポテト・デキス
トローズ寒天斜面培地に培養し3〜14日間に亘り観察
して行った。また、糖の発酵性は、2%の糖を含む0.5%
酵母エキス(ディフコ社製)溶液中におけるガスの発生
の有無、即ち各種の糖に対する発酵能の有無を観察し
た。糖及び窒素源の同化性は、ウイツケルハム(Wicker
ham)の方法に従い、ディフコ社製のイースト・ナイトロシ゛ェン・ヘ゛ー
ス(yeast nitrogen base)、イースト・カーホ゛ン・ヘ゛ース(yeast C
arbon base)をそれぞれ用いて菌の増殖の有無を観察し
た。
【0013】以上の同定試験の結果から明らかなよう
に、本発明酵母は栄養細胞が球形ないし卵型で多極出芽
によって増殖し、グルコースを強く発酵し、ラクトース
を同化せず、硝酸塩を同化しないことからサッカロミセ
ス属、トルラスポラ属及びその近縁であると考えられ
る。特に、メリビオースを同化せず、シュークロース、
L−リジンを同化することからトルラスポラ属であると
同定した。また、ガラクトースを同化せず、37℃で生
育しないことから、The yeast a taxonomic study(N.J.
W.Kreger-van Rij)の分類に従い、トルラスポラ・デル
ブルーキー種であると同定した。
【0014】更に、上記同定結果の補足として本発明酵
母の遺伝学的解析を行った。試験方法は、アガローズブ
ロック法(Schwartz and cantor,Cell,37,67-75(198
4))によりサンプルを作成し、パルスフィールド電気泳
動法で染色体DNAの泳動パターンを写真撮影して行っ
た。泳動条件は、1.0%アガロース、パルスタイム60秒15
時間、90秒9時間、200Vである。
【0015】本発明酵母の泳動パターンを図面化したも
のを図1のjに示す。図1のa〜eはサッカロミセス
属、f〜iはトルラスポラ属に属するそれぞれの種の標
準株である。
【0016】図1から明らかなように、本発明酵母の泳
動パターンjはサッカロミセス属のパターンa〜eとは
異なるが、トルラスポラ属f〜iと高い相同性を示し
た。このことからも、本発明酵母がトルラスポラ・デル
ブルーキー種に属することが確認できた。なお、トルラ
スポラ・デルブルーキー種の特徴の一つは胞子形成能を
有することであるが、本同定試験では胞子は観察されな
かった。しかし、これは、本発明酵母が胞子形成能がな
いことを意味するものではない。即ち、胞子の形成は特
別な条件下で起こるものであり、本同定試験の条件下で
は胞子は形成されなかったということに過ぎない。
【0017】次に、本発明酵母の培養培地としては、該
酵母が利用し得る炭素源、窒素源、無機塩類、その他酵
母の生育に必要な成分を配合した合成培地、天然培地が
用いられる。培養方法としては、通常のパン酵母で行わ
れている糖蜜を用いた流加培養によって大量に製造する
ことが可能である。
【0018】(実験例1)本発明酵母を用い、日本イー
スト工業会のパン用酵母試験法の生地配合に基づき無
糖、低糖、高糖生地を製造し、これらの生地を用いて製
パン試験を行った。表1は本発明酵母を得た仕様で、種
培養、前培養、本培養、流加培養の後、培地から尿素を
除いて毎時増殖率0.04で流加し、熟成処理して得た。な
お、流加培養では毎時増殖率を0.15とした。また、糖蜜
の量はグルコース換算値である。
【0019】試験の対象となる試験パン生地は、表2に
示すように小麦粉を100とした各種配合割合(重量比)
のパン原料を用いて低速3分、中速2分、高速1分でミ
キシングし、次いで温度30℃、湿度95%で2時間一
次発酵させたものを50g単位で分割して得た。この試
験パン生地を用いて冷凍前の状態および冷凍後の解凍状
態でホイロ発酵をおこない、このときの二酸化炭素の発
生量を測定することにより生地の膨張力を観察した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】表3は前記試験パン生地を冷凍せず、直ち
にホイロ発酵したときの二酸化炭素発生量(単位はml/2
時間)で、表中上段は本発明酵母を用いたとき、下段は
比較として前記市販の従来酵母を用いたときの測定結果
である。
【0023】表から明らかなように、本発明酵母は無
糖、低糖糖生地において従来酵母より二酸化炭素発生量
が多く生地膨張力が優れていることが判る。特に、本発
明酵母はマルトース発酵能があるのでこれが欠損した従
来酵母に比べ無糖生地において顕著な差を生じ、本発明
酵母によれば十分な発酵が得られるの対し従来酵母では
発酵不十分となる。また、本発明酵母は、高糖生地にお
いても従来酵母と同等に使用可能な発酵力があることが
判る。なお、無糖生地において従来酵母でもそれなりの
発酵をしているが、これは、無糖生地中であってもグル
コースなどのマルトース以外の糖が少量含まれているか
らである。
【0024】表4は前記試験パン生地のうち、無糖生地
を冷凍後直ちに解凍してホイロ発酵したときと、3ヶ月
間冷凍保存後に解凍してホイロ発酵したときの結果で、
表から明らかなように、本発明酵母を用いた場合は表3
に比べ二酸化炭素発生量は減少しているものの、十分な
量を発生しており冷凍耐性に優れていることが判る。ま
た、従来酵母と比較した場合、本発明酵母はマルトース
発酵能があるので無糖生地において顕著な差を生ずる。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】なお、前記実施例における本発明酵母の培
養条件は一例に過ぎず、他の培養によっても同様な結果
を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明酵母は冷凍
耐性に優れるとともにマルトース発酵能を有するので、
無糖の冷凍パン生地に良好に用いることができ、本発明
酵母を含む冷凍パン生地は無糖生地であっても解凍後の
ホイロ発酵を十分に行うことができる。
【0029】また、本発明酵母は、ホイロ前冷凍パン生
地用のほかホイロ後冷凍パン生地用としても従来品と同
等以上に使用することができ、また、低糖、高糖のパン
生地にも用いることができるので広い範囲に利用可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るパン酵母と他の酵母とのD
NAの電気泳動パターンを比較した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−285673(JP,A) 特開 昭63−294778(JP,A) Agric.Biol.Chem., 54(3),829−831(1990) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/16 - 1/19 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷凍耐性を有するとともにマルトース発
    酵能を有することを特徴とするトルラスポラ・デルブル
    ーキーNS8422(工業技術院微生物工業技術研究所
    における寄託に係わる受託番号第12709号)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトルラスポラ・デルブル
    ーキーNS8422を含むことを特徴とする冷凍パン生
    地。
  3. 【請求項3】 小麦粉等のパン生地材料に請求項1記載
    のトルラスポラ・デルブルーキーNS8422を混合し
    た後凍結することを特徴とする冷凍パン生地の製造方
    法。
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